事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2008年12月15日(月) 14:02 ~ 14:32
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 本日の次官等会議の当省関係の案件では2件あり、1つは国会に提出する案件ですが、広島平和記念都市建設事業進捗状況報告書というものを出す他、全体でこのような何々都市と言われるものが14程あり、これについての国会報告を提出をするという決定案件がありました。もう1つは政令案件で、エネルギーの使用の合理化に関する法律施行令ということで、国土交通大臣が勧告をする対象の建て売り住宅事業の要件を定めるとの政令改正案を閣議にかける決定をしました。以上です。

質疑応答

(問)先日、与党税制改正大綱がまとまりましたが、ご感想等伺います。
(答)先週の金曜日に与党の税制改正大綱がまとめられました。いくつかの点がありますが、特に住宅・土地税制の関係が思い切った内容になっているということが特色としてあるだろうと思います。経済波及効果が高い住宅あるいは不動産投資関係の措置が、現下の経済情勢の中では非常に重要なのではないかと考えています。具体的な内容としては、住宅ローン減税の控除額が過去最高の水準に引き上げられ、あるいは個人住民税からの控除措置が創設をされるということになっていますし、また長期優良住宅等に対する投資型減税措置も創設されました。また、土地に関わる譲渡益課税について新たな特例措置が創設され、土地に関わる登録免許税の引上げの2年間凍結の措置が盛り込まれています。この他にも、都市再生やまち再生、環境問題関係の特例措置の延長等が認められ、さらに現行の自動車グリーン税制の対象とされている環境性能の良好な自動車等について、自動車重量税あるいは自動車取得税の大幅な減免税が盛り込まれた点が特色であると考えています。国土交通省としても、大綱で認められた税制措置を最大限活用して、内需拡大、経済回復の実現といった取り組みに繋げていきたいと考えているところです。

(問)整備新幹線ですが、与党が部分着工を申し入れましたが、これについてお願いします。
(答)これも、先週の金曜日に与党から整備新幹線建設促進プロジェクトチームということで、津島座長から政府に対して申し入れという形でまとめられました。内容としては、整備新幹線の未着工区間について、区間を限定して出来る限り早期に完成することを前提に、21年末までに認可するための検討を進め、結論を得ることとするという内容でした。与党における調整の上でこういう形でまとめられたということでありますので、私共としては、これをどのような形で受け止めて対応するかということをしっかり検討したいと考えています。

(問)今日の日銀短観でDI値が過去7年ぶり位の低水準ということで、景況の冷え込みがすごいのですが、先程お話しがあった通り、新しい税制が期待されるところですが次官の所見をお願いします。
(答)今、経済関係は非常に厳しい状況になっているということであります。そういう意味では、金融関係の対策も、雇用関係の対策も非常に差し迫っている状況だと思っています。今、来年度の予算の取りまとめと2次補正と先週末にまとまった税制大綱、それから総理から発表がありました生活の対応ということでの対策が、全体を取りまとめている段階ですので、現下の経済状況の中で出来るだけ効果の上がり、しかもタイミングを見て対応していかなければいけないと考えています。

(問)新幹線ですが、今回与党合意というのが、所謂着工5条件に反するという意見もあるのですが、ご認識をお伺いします。
(答)着工の5条件は、当然のことながら、しっかり確認していくということが前提になると思っていますが、今回の与党申し入れは、未着工3区間がある訳ですけれども、それについて一番絞り込んだ形でいけばどういう区間になるかを示している内容であると思っています。これをどう受け止めるか、政府としても今詰めているところでございますけれども、新規着工区間については相当絞り込んだ内容にしながら、それに応じて、先程お話があった財源の問題、あるいは収支の問題他5条件がございますけれども、こういったものを詰めていく形の中で提案をされたものという受け止めをしています。そういう意味では、5条件との関係をどのようにきちんと満たして対応出来るか、これを受け止めることになった場合には、今後、特に財源措置を含めて検討し、その問題もクリアした上で、21年末までの認可をするための所要の検討を、進めていかなければならない性格のものであろうと考えています。

(問)今回の合意を受けて予算措置をされるのだと思うのですが、予算措置されたものは、もし全体の財源に見通しが付けば進行されていくのでしょうが、付かない場合は執行されていかないという理解で宜しいですか。
(答)ここで示されているのは、新規着工区間について、北海道新幹線であれば札幌・長万部間、北陸であると金沢・福井間、九州新幹線は長崎駅部ということですが、こういった内容に関して財源措置を検討した上で他の条件も検討して認可出来るか出来ないか詰めをしていくこととなる話だと思います。ですから、私共は今回頂いたものを受け止めて政府・与党として共通の取り組みの方針と出来るかどうか、関係省庁含めて調整しているところですけれども、これが仮に政府・与党の間の共通認識になったと致しますと、そういう検討をしていくことになると思います。

(問)安定的財源の目途が付いて、初めて認可され予算が執行されていくというこれまでの姿勢に変わりはないということでしょうか。
(答)はい。そういうことだと理解しております。

(問)ということは、全体の財源の目途が付かない場合は認可されないし、執行されていかないということになる訳ですけれども、そういう予算を敢えてここで検討する根拠はどういうことになるのでしょうか。
(答)これを検討する意味については、正に与党でも未着工区間に関して全体としてどのように取り組めるかという財源問題中心に議論してきた中で、ギリギリ絞り込んだ形の検討課題を提示されているということだろうと思っています。ですから、絞られた整備計画で新規の着工区間に取り組んだ時に、財源問題は勿論でございますけれども、他の収支の問題、B/C等もどういう格好になるかで検討することになると考えております。

(問)今のお立場はよく分かるのですが、新幹線の歴史を振り返ると、平成元年に動かした時に国鉄の二の舞はしないんだと、28兆円で国民に迷惑を掛けた反省に立って5条件が作られて、あるいは平成8年の政府与党合意では借入金には頼らないのだという形が盛り込まれていて、私はそのような理解をしていたのですが、2004年の申し合わせ辺りからですけれども、いつの間にかそういうルールがないがしろになってきて、遂にここまで来てしまったなという感はあるのですが、その辺の認識は如何でしょうか。
(答)それは正に新幹線の計画を財政の裏付けも含めて関係者の合意も経てどういう形で進めていけるかということが、今までの経緯の中でも確認されてきておりますので、今回もそういう意味では、何を検討するかに関しては、申し入れの中で何を整理するかとの要件も相当絞り込んで検討の対象にされて、その上で少なくとも期限は来年一杯ということになりますけれども、内容についての検討を所要の検討を進めるということで結論を得るように政府に申し入れるということですので、先程来申し上げていますが、当然こういうものを進めていくときの前提の条件はきちんとクリアをしていかなければならないということだと思っています。その点は、政府も与党も基本的にはそういう基本条件について認識が異なるということではないと考えています。

(問)ただこうなると理念の問題ですが、国鉄分割民営化の時に20何兆円の債務を背負って結局国鉄は破綻した訳で、もう借金を重ねて新幹線を造るのは止めましょうという理念の下にスタートしたはずのものが、結果的にとっくに踏み外されていますが、今回もこのスキーム、平成50年までの貸付料を前提に借金をしてやっと6千億円で造るというスキームが前提になっている訳で、結局借金をして新幹線を造るというところに戻っているじゃないですか。どういうことでしょうかこれは。
(答)財源の見方については、将来の貸付料を基にしてそれを前倒しで使えるように計算しているということは、勿論、その意味では前倒しの部分で何らかの借り入れ的なことが出てくることはあると思います。ただ、先々の貸付料、どこまで確実に見込めるかということは関係者の合意も含めて必要になる訳ですが、少なくともそういう性格の借り入れということで、ある意味では将来のツケを次世代あるいは本来はっきりしないところに委ねるというよりは、やはり確実に返済することが出来る財源はしっかりと明確にした上で積み上げをしようという考え方ですから、必ずしも借り入れをしたからといって、将来にツケを残すことにならないようにしなければいけないという考え方だと理解しています。

(問)考え方はそうかもしれませんが、前回の合意で平成29年までは先食いするということでした。それ位ならまだ考えられないことはないと思いますが、まだ開業もしていない線区について、そんな先々の物を担保等にするというのは、それは確実に返済する目途があるとどのように言えるのですか。
(答)今も6千億円からの金額を積み上げて議論をさせて頂いていますが、この額も明確に現存する資金かというと仰る通りで、それは先々の貸付料の活用可能額のようなものです。その点は、しっかりとした物だと私も断定的に申せるものではないと思っています。逆に言えば、将来の見込額でしょうか、大体これぐらいは堅いのではないかと思われる数値をベースにして計算しているだけですから、このことが確実なものかどうかということも含めて財源をきちんと確保出来るかどうかと言う課題が、我々としてもはっきりと出来ていない状況だと思っています。そういうことも踏まえた上で、更に線区を示された上で必要な財源の措置、あるいは認可をするための色々な所要の条件を検討するようにというのが与党からの申し入れの内容だと考えていますので、その辺はどこまで明確に出来るか別にして、財源についてもしっかり詰めないといけない。そうしないと申し入れに対する対応にならないのではないかという認識をしています。

(問)財源について明確に出来なくてすいませんという訳にはいかないのでしょうか。
与党の気持ちは分かりますが。
(答)これがそういう性格のものだということは、今までの議論の中でずうっと申し上げてきているところです。急にその性格が変わったという訳ではありません。私共も、こういった将来の貸付料に関しては性格が急に変わるということではないという前提の下で、これを確実な形で算定出来るかどうかということは詰めなければならないと思います。

(問)確認ですが、今現在で安定的財源と言えるのは国土交通省としては6千億円から7千億円までというところで変わっていませんか。
(答)5千億円から6千億円です。

(問)平成30年度の建設費を乗せると1千億円かと思いますが。
(答)そういった仮定を置けば、色んなことがあるかもしれません。

(問)この間PTで発表されたところからは少しも変わっていないという理解で宜しいですか。
(答)現時点では変わっていません

(問)明日になってそれが変わると言うことも無いですか。
(答)無いと思います。1日でそのようなことはないと思います。

(問)一般的に見ると、今回与党が示した案ですと、北海道では奥の方から建設して間をつなげればいい、あるいは先に駅の方だけ作ってしまう等、そういうところは果たして計画として理解出来るものなのか、国民から見た場合目にどう映るのか、全体の財源が見つかっていないのに部分的に作ってしまうということについてどのようにお考えですか。
(答)その点は与党側の調整の結果で出て来た話ですので。先程も申し上げたのは、整備をしていくときに全体の金額にすると2兆5千億円掛かるというようなものに対して、ぎりぎり絞り込んだらどのようなことになるかという知恵を絞った結果出されているものと理解しています。北海道の場合も、札幌から長万部までということですから、新函館から伸ばすのと逆方向というのは、恐らく工事の区間を短くする知恵の結果と受け止めています。金沢・福井間は金沢からの延長の部分であろうと思いますが、区間を出来るだけ短くした時にそれなりの機能はある程度は果たせるという区間を設定したということではないかと思います。

(問)でも札幌・長万部は需要無いですよね。
(答)札幌-長万部で独立に生じる部分だけではなくて、もちろん函館から長万部までは在来線で行って、そこで乗り継いでということを含めたことだと思いますけれども。

(問)そこの区間だけのB/Cが1以上というのは無視されるということで宜しいですか。
(答)もちろんB/Cを見ていく時にはそうです。札幌-長万部で。

(問)その場合、明らかに今特急が走っている南回りのところの便益をき損してその減る分を計算に入れないと、本来B/C1以上というのはおかしいと思いますけれども。
(答)全体の算定をする時には既設の鉄道ネットワークとの比較をする訳ですから、計算する時は当然そういう前提の下に採算、収支を見ながらということなると思います。

(問)既存のものと比べる時に、新しく作ることで今完成している部分の本数が減ることは合理的に推測出来ますけれども、そういうき損を含めてB/Cが1以上になるという前提で作るという理解でよろしいでしょうか。
(答)B/Cも計算しなければいけない訳ですから、正に5条件の中にそういうことも含めて確認されているかどうかというのはまだこれからの話ですから、そういう作業はこれから必要になるということだと思います。

(問)概算で結構なのですが、この新規着工3区間で大体どれくらいの建設費が掛かるのか、一般論で結構なのですが、教えて頂きたいのですが。
(答)これは私共も具体的な数字は、色々詰めないとお答えできません。

(問)概算で結構なのですが。
(答)概算的にも。その点も含めてこういうご提案をどのように受け止めるかを考えたいと思います。

(問)率直に言って、受け止められますか。
(答)なかなか悩ましいです。勿論簡単に「出来ます」と言えないのは先程来からでして、財源的にも確保されている訳ではないので、そこをどのように取り組めるのか。それから、今仰られたことの関係で言っても、私共も財源をどのように確保するのか、こういう区間をどのくらい合理的に整備が可能なのか、それも一緒に考えないといけないことだと思っています。勿論、その上で出来るか出来ないかというのをぎりぎり詰め切れるかというと非常に難しい話ですから、21年中に検討して結論を得るということを含めてどの程度の作業になるかを見極めて政府として取り組めるかどうかを私共も判断しなければならないというところですから、今、その点について調整・検討しているところです。

(問)今、ぎろぎり絞り込んだら、こういう形になると言われましたけれども、逆に言うと来年に向けてその財源で検討して、この区間に必要な財源に届かなかったら、財源を絞り込んででも認可するという可能性は無くて、全部流れるという理解で宜しいですか。それとも、もし財源足りなかったら、その区間を絞り込む場合もある、認可もあり得るということですか。
(答)全部まで届かなければその途中までということで今申し入れられているかと言うと、そういう内容ではない文言です。結果としてどういうことになるかということまで含めてお尋ね頂いているとすると、仮にそういうことになった時はこれは届かないという話になってしまうのかなとも思います。また、それが逆になって、あまり中途半端に何も無いところまで線を引いてという訳にはいかないだろうと思います。

ページの先頭に戻る