事務次官会見

春田事務次官繰上げ会見要旨

2009年1月9日(金) 14:01 ~ 14:24
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

(次官)今日、繰り上げ事務次官等会議がありましたが、特に報告するような案件はありませんでした

質疑応答

(問)サッシメーカーの偽装の問題ですけれども、今朝も大臣会見で大臣が詐欺罪の適用も視野に入れるというようなことを仰いましたけれども、次官としてはメーカーへの対処についてはどのように考えていますか。
(答)今回の案件に関しては不正受験があったということで、しかも重大なことは、平成19年の12月に当該会社から不正等は行っていないという報告も出されていたということでした。極めて悪質な行為が不正受験という形で行われたと。しかも、そのことについてこれまで報告が無かったと。その間、国民の生命財産に対してきちんとそれを保護するという観点からの認定制度の信頼性を傷つけたということで誠に遺憾なことだと思っています。大臣も今朝の会見の時に、こういう悪質な事案であるということを受けて、詐欺罪の問題も考えたいと申されました。可能性について十分検討したいという趣旨です。私共もどういう対応措置が講じられるかということに関しては考えていきたいと思います。ただ、詐欺罪では相手を錯誤させるというか、相手の判断を偽計を用いてごまかすということと、経済的な損失といったことが刑法上の要件として必要になってくるということからすると、形式的にどうなのかというのがあるかと思いますが、特に偽計をもって対応されたのが試験機関ということもありますので、試験機関において詐欺罪として構成できるかどうかということを考えてもらいたいなと思っています。そういう意味で、この問題に対する受け止めと、それを受けての法的責任追及はしっかりやらなければならないと。ただ、勿論一番大事なことは、認定取り消しだけではなくて、こういう工事をしたところについてはきちんとした物に取り替えて頂くということを、それぞれの会社の責任においてしっかり対応してもらわなければならないと思っています。

(問)今日の大臣の発言ですが、冬柴元大臣の時にニチアスに対して詐欺罪で告発出来ないかという大臣のご発言がありまして、担当課でじっくり協議した結果、詐欺罪で告発出来ないと判断されたにもかかわらず、何故今の大臣が詐欺罪の可能性を示唆するような発言をされるのかよく分からないのですが、省として大臣にニチアスの時に考えたけれど出来なかったと、きちんと説明したのですか。
(答)そういう経過のことはお話しています。ただ非常に悪質だったということはありましたので、大臣も何らかのことが出来ないかなということは事務方が説明した時にもそういった疑問を呈されたということはありました。

(問)昨日の担当課のレクの際に、私が詐欺罪の適用は可能性としてあるのかと聞いたところ、担当課の課長が無いと断言されたのですけれども。どうして今日になって次官が告発するとすれば試験機関等が可能性として考えられるというご発言になるのですか。
(答)そこは前の時の判断もありますが、ニチアスの問題も含めて、不当受験の後でも結局問題ないという答えをしていたということも周辺の事情ではあるかもしれませんが、そういうことも加わっているものですから、非常に悪質性が高いなと。こういう点を問題としてどこまで構成出来るかを考えていく必要があるだろうかということを大臣も申されたのだと思いますし、はっきり言って、なかなか難しい問題だと思いますけれども、私共もそれを踏まえた形での受け止めはしたいと思っています。

(問)定額給付金は次官はどのような使い方をされるのですか。
(答)私が頂きましたら、特に直ぐ消費に回るような形で有効に使いたいと思います。

(問)先程サッシメーカーの1つである三協立山アルミ(株)の会見がありまして、当然お知りになっていないと思いますけれども、経営者として、問題が片づいた後の企業トップの責任にまで話しが及んだのですけれども、当然、自分の進退の話が出たのですけれども、全然辞めるとか責任を取るとか減給処分とか、原因が分からないのでその辺は判断できないという形で終始したのですけれども、そのような企業トップの責任についてはどのようにお考えですか。
(答)この問題は特に住宅という国民生活に重要な関係を持つもの、そういったものを安心して使ってもらえるということが商品の性格ですから、そういうものを製造している、提供している企業の責任というものの重さはしっかりと受け止めて頂かなければならないと思います。勿論、出処進退的なことは、それぞれの経営者がきちんと判断するべきことだと思います。ただ、事柄の重さ、関係者の信頼を裏切ったという問題に関しての経営者としての受け止めをしっかりやって頂きたいなと思います。

(問)やはりその辺の認識が欠如しているというのが垣間見えているということですか。
(答)それは事柄が判明した、あるいはこういう形で世の中に対して明らかにしたという時点からの対応というのは当然ですし、今までのそういうことがもし仮に内部的にある程度分かっていながらというような部分についての反省も当然大事なことだと思います。

(問)一連の国土交通省の調査で規定に届いていない製品というのはけっこう沢山見つかっていて、それは個別の製造過程の問題だったりとか、一連を悪いと言えるかどうか微妙なケースも多いのですけれども、今回みたいな明らかに違法行為というのはざっと考えてもニチアス、東洋ゴム、日軽、今回と大手の企業が続いていて、この背景はどのような企業側の意識があるからだと思われますか。
(答)その辺のことはみんなまとめて判断出来ることかどうかありますが、非常に性能面とそのようなものを提供する価格なりの面で色々しのぎを削って競争しているという背景もあるという感じがしますが、価格面で色々と工夫して対応することはとても企業としても大事な観点だと思いますが、性能面を偽って価格面で有利なという場合は本末転倒のことだと思います。このようなことが起こらないようにするためには、指定性能評価機関でメーカー側が提供したものを試験するということではなく、試験体、つまり試験を実際に行う対象物を作り付けたもの自体を試験機関側で製作するなり、製作過程を現認をするといった監視をきちんとしていかなければいけないのかなと、そのような方向で対応していかなければいけないのかなと思いますし、また既に認定を受けたものの中で問題のあるものが無いのかという不安がありますので、市場から調達した材料を用いて試験体を製作して確認するというサンプル調査を既に行っていますが、こういったことについて今後も継続して力を入れていかなければいけないのではないかと考えています。

(問)ユーザー側は、このようなことが続くと防耐火に関する認定がある商品はどうも胡散臭い、信用ならないという気持ちが既に広まっていると私は思っていますが、それは認定制度を動かしている役所として非常に困った事態だと、何か新たな策が必要なのではと思いますがどうですか。
(答)正に認定に当たってのところが一番大事だと思っています。実際に試験をする対象物を、サッシというのはサッシだけを試験出来るというものではないので、壁に作り付けた形にして防火性能を見るということになりますから、結局、構造物の形にまで組み立てて試験をしなければいけないと、その手間も掛かることではありますが、逆に言うと、組み立ての過程の中で色々と材料的なものを入れ込んだり、前にもありましたように、水を含ませたりすることによって性能が変わるようなことまでしたというようなことが現にありましたので、そうしたことに関しては、厳しくメーカーサイドが提供する試験体をそのまま鵜呑みにする形ではない取り組み、しっかりした監視体制が一番必要になるのかなと。勿論これはこれで大変手間も掛かりますので、どのように有効にやるかよく考えなければいけないと思います。

(問)先程、給付金について消費なさるということでしたけれども、まずは大臣にきちんと聞きたかったんですが、今日ちょっと時間が無かったので聞くのですけれども、具体的な効果はあると思いますか。
(答)今、消費にそれが回るという形で消費されたものがお金として回るというのが経済ですので、現下の消費そのものについても非常に皆が慎重になっている中でそういう行動を少なくとも定額給付金を通じて起こして頂くと、そういう気持ちを持って頂くとことも効果があるのかなと思います。

(問)これまでバブル崩壊後、景気刺激策として無駄なものも含めて公共事業を沢山やって来られて莫大な借金を背負った主になった所管官庁の事務方の長として今回の給付とどれだけリンクするか分かりませんが「バラマキ」的なお金を、バラまかれたお金を消費することに反省はございませんか。
(答)特に、社会資本整備ということで公共事業について色んな批判がありました。正にばらまきというのは無駄だという評価だと思いますけれども、それは無駄な支出が公共事業の中でも、特に景気対策という形で消費することについてどういう効果があるかということが取り上げられ、経済効果も十分上がっていないのではないかというご批判と、もう一つは、公共事業そのものが本当に有効なものがなされているのかと、あるいは整備の仕方についてきちんと効率的に、効果が発現出来るような形で取り組んでいるのかというご批判があったと思いますので、その辺はしっかり受け止めをしていかなければならないと思っています。ただ、今、色んな意味で経済が、特に需要の面が非常に弱い状況になる中でどういう経済活動が行われることが一番景気の浮揚・刺激の効果があるのかという中では、公共事業という将来にきちんとした基礎を繋げていけるようなものの取り組みは有効な策であるという面は十分あると思っています。

(問)公共事業の有効性を確認した上で今回の給付金についても消費すべきというお考えでしょうか。
(答)ご指摘のものは税金で賄わなければいけない性格のお金でありますので、そういうものについては基本的に効果が上がるようなこと、無駄にならないようなことを十分考えていかなければならないと思います。

(問)定額給付金の総額と同額を公共事業に使えるとしたらどちらが効果があると思いますか。
(答)それは難しいことがあると思います。経済ですから、そのような具体的な金銭がどういうところでどのように回っていくかというのは支出の仕方によって回り方がみんな違います。定額給付金は、殆ど全ての人に対して給付するということになりますから、そこで支給された段階で各人のところで消費が生じるということになります。一方で、特に公共事業ということでいきますと、それに携わる或いは関係する事業でお金が消費され、それが関係するところに波及的に回っていくということだと思います。その意味では、定額給付金というのは、広く国民一人一人に、消費の基になる金銭が支給されて、それが広い形で消費を刺激するということになるものと思います。

(問)今の現状を考えますと、定額給付金のような形で、ある程度の年収、500万、600万、700万又は1000万ある家庭の主婦が、例えばルイビトンを1万円で買った場合、儲かるのはアパレル産業で、そういった金持ちになるのと、公共事業に投入した場合は、それなりに川下というか日雇い労働といった形の所得の低い方々にお金が行く訳でして、そういった意味では、率直に言って公共事業に使ったほうがまだましなのではないかとは思ってしまいますが、如何でしょうか。
(答)結局、公共事業に回ってそれがどういう形で回るかということは、例えば労賃に回るという場面を考えても、結局貰った人が生活、或いは色々な形の商品購入という形でお金が回るということになるのだろうと思いますが、そういうことと比較した時にどうかということと、もう一つは波及の仕方なんだと思います。建設のようなものであれば、そこで使われる機材一つとって見ても、その機材の中には色々な個性要素がありますし、それぞれの物を製造する過程に非常に幅広く関係してくるというのが事業自体の性格で、ある意味では波及効果が大きいということの内容なのだろうと思います。個人の場合でも、それをどこで使われるかと言っても、第一時的に消費するところが生活必需品であったり、或いは飲食のようなものであったりしても、またその先がどういう形で波及的な活動に繋がっていくかこれは色々ありますので、一概に断定は出来ないと思います。よく、経済的に波及効果が大きいという意味では、公共事業的なものの波及効果は比較的高いと言われてきたことだとは思っていますが。

(問)国土交通アドバイザーの白石さんはどうなりましたか。
(答)出馬表明されたことはお聞きしておりますが、勿論、ご相談して御本人の意向も確認して、色々活動されるということになれば、活動との関係で私共もアドバイザーということでやって頂くのはどうかということになれば、そこで御本人の意向も踏まえて交代して頂くようなことになっていくのだろうとは思います。

(問)正式に出馬表明されても、そこで国交省側からアクションは起こさないのですか。
(答)これは具体的にまだ起こしていないと思いますが、ご相談はしないといけないと思っています。

(問)どうして早急にやらないのですか。即クビでもいいような気がしますが。  
(答)出馬表明といっても実際に直ぐその活動をされるのかどうかということがありますから。

(問)直ぐされると言っていますが。
(答)その辺は確認しなければいけないのではないでしょうか。

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