事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年2月2日(月) 14:02 ~ 14:35
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 私から事務次官等会議の関係で特にご報告申し上げる案件はございません。

質疑応答

(問)国土交通省が、海外の航空会社に対して関西国際空港発着便に限り国内路線の運航を認める方針を固めたという一部報道がありましたけれども、事実関係含めてお聞かせください。
(答)新聞記事の中では、関西国際空港限定ということで出ておりました。関西国際空港につきましては、一昨年8月に第2滑走路が供用開始致しまして時間的にも制約の無い、しかも海上空港ということで我が国の国際拠点空港として成田国際空港と並んで非常に重要な空港の1つということですので、関西国際空港を有効に使っていくことが非常に重要だと考えております。そうした観点から、現在、外国政府との航空交渉をやってきている中で、関西国際空港関係路線の充実を図ることについては相当重点的に取り組んできているところでございます。10近く、実際には9つ位の国々ですが、関西国際空港を使ってもらって運航する話を相手国との間でも共通のテーマとして合意をしている状況です。そういう中で、関西国際空港の使い方として、外国から飛んで来た便について、更に国内の路線を、本邦航空企業とのコードシェアという形で運航することを、去年の8月のカタールとの交渉、或いは去年の12月のアラブ首長国連邦との交渉で、それぞれ地点とか便数の制限を関西国際空港路線につきまして撤廃をすることで合意したところでございます。それからもう1つ、関西国際空港をより活用してもらう意味で、関西国際空港に乗り入れた航空機がそのまま外国の別の場所へ更に運航をするのを認めることも、先程のアラブ首長国連邦との交渉て、アラブ首長国連邦の航空企業が関西国際空港または中部国際空港からロサンゼルスまたはサンフランシスコへ旅客便を運航することを認めることについて合意したところでございます。こういった取組みの中で、関西国際空港の利用促進ということで、色んな工夫をしていこうということでございます。色々な工夫の中で、今の本邦航空企業が運航する国内線に外国航空企業のコードシェアを促進させていくという、それで国際、国内の乗り継ぎを関西国際空港を経由して強化することに取り組みたいと考えております。勿論、この関係で国内線の運航自体を全く自由に外国の企業に認めることは、国際的な慣行からしても我が国としても非常に難しいことがあるものですから、コードシェアという形で取り組むことも含め色んなアイデアについて勉強をしているところでございます。その趣旨のことが新聞に載ったと思っておりますが、積極的にこういう問題については検討はしていきたいと考えているところでございます。

(問)先週末に、航空局から病歴隠しのパイロットが相次いだスカイネットアジア航空のパイロットに対して行政処分が出ました。その中で、今まで10名しか病歴隠しが公表されていなかったんですが、今回処分が出たのは11名ということで、昨年8月に更に1名が発覚していながら、スカイネットアジア航空はそれを公表しておりませんでした。公共交通機関として、そういう問題のあるパイロットが乗務していたということを公表していないのは、やはり企業として問題があるかと思いますが、次官の所見をお願い致します。
(答)スカイネットアジア航空については、昨年の5月に病歴を申告しないで乗務をしていた案件がございまして、この関係で業務改善勧告を出したところです。その後、スカイネットアジア航空が改善措置を講じるとの報告を5月23日に提出してきた時に、最初の2名の機長に加えて更に3名、同様の機長、副操縦士がいたということで、これで都合5名になりまして、更に航空局で5月29日から30日にかけて立入検査をしましたら、今度は更に5名の機長、副操縦士で、社内の書類の管理が不十分だったということがありまして、身体検査の関係の対応が不適切な事例が見つかったということで、都合10件ありまして、その後、航空局で3度に亘りまして安全監査という形で立入検査をしながら指導をしてきたところで、その途中で更にもう1件、8月に安全監査を実施した時で、機長の不適切な事例が見つかりました。結局合計11名になったということで、定期監査を10月28日から31日にかけて徹底を図る意味で航空局で実施を致しまして、これが4回目だったんですが、それを受けてスカイネットアジア航空は11名のそれまでの明らかになった問題の事例についてとりまとめて報告を航空局に行ったということです。その過程で、最後の機長の問題が出てきたのは8月21日でしたが、その内容について公表が無かったではないかということです。安全に関わることは、利用者の皆様にとっても関心の高い事柄ですので、こういった事柄については会社の方も出来るだけ公表するなり透明性を高く対応しておくということが基本だろうと思っています。今申し上げましたように五月雨式に色々事例が出てきたということ自体、徹底が十分されていないということだろうと思っています。会社に対して、安全監査という形で4回にわたり徹底を図ることも行って参りましたが、会社としてもこうした問題に関して透明性を発揮した形で対応していくべきものであろうと思っています。

(問)関西国際空港の件ですが、次官の最初の質疑での9カ国というのは、利用促進に向けた調整ですか。
(答)9カ国と申し上げたのは、昨年の8月に韓国との交渉で関空-金浦便の運航で合意し12月からアシアナ航空と大韓航空が運航開始しましたが、そのような取り組みも関西国際空港をもっと活用するということでスタートさせました。それから昨年8月にカタール、9月にフィンランド、スカンジナビア3国、シンガポール、10月にフランス、11月にフィリピン、12月にアラブ首長国連邦、今年の1月にベルギーと、何れも関西国際空港との関係の便を新たに開設若しくは増便という形での取り組みをしたのが、この9カ国です。最近の航空交渉においては、2010年に発着枠が増える関係と合わせて、より有効に関空を使うということを交渉の1つの柱として取り組んでいるということです。現在、それが成果を上げたものについて9カ国だということです。

(問)その内、国内線に航路使用を促進させたいとこととして調整をしているのは。
(答)その合意に達したものとしてはカタールとアラブ首長国連邦です。

(問)合意というのは。
(答)合意内容は、このような取り組みをしましょうという枠組みで、後は航空企業がその下で具体的に実施するかどうかは次の段階になります。国同士の話として合意したということです。

(問)他の国はそのような話をしたけど、先方が乗ってこなかったということですか。
(答)それぞれの交渉の中で具体的に合意まで至ったのは、カタールとアラブ首長国連邦です。

(問)カタールとアラブ首長国連邦については、国内線の運航を認めるということですか。
(答)コードシェアという形で認めるということです。

(問)機材はカタールなりの国別の機材を国内線に運航させると。
(答)コードシェアとしてです。勿論、これは共通で取り組んでいくことですので、また更に上手い路線の展開が十分可能ではないかと思う国との間では、このような交渉を更に進めていくことは十分出来ると思っています。

(問)何時どのような形で認めたのですか。
(答)航空交渉は、それぞれ終わった時にそれぞれ発表しています。今申し上げたことは全て交渉が終わった後皆さんにはお知らせをしている内容ですが、例えば、カタールは8月25・26日と行いましたので、27日には皆さんに発表していると思います。アラブ首長国連邦は12月15・16日でしたのでおそらく翌日には皆さんにお知らせしていると思います。
(航空局)交渉が終わった翌日には皆様にご報告をしており、ここで合意しているのは、カタールが関西国際空港に来た場合に本邦企業の関西国際空港からの国内線とコードシェアをするということについて合意したということですので、その旨ご報告をその都度させて頂いています。

(問)機材はカタールなりエミレーツの機材ではないということですか。
(答)外国の企業でその機材がコードシェア出来ればそのまま使える。つまり両方の便名が載るということです。
(航空局)両方の便名が載るのはその通りですが、機材はこの場合は本邦企業の機材を使うということです。

(問)どっちなんですか。
(航空局)カタールとアラブ首長国連邦については、関空から本邦企業の国内線に外国企業のコードが載るという意味です。

(問)すごくびっくりしたのですが、今のお話し聞いてて。
(答)結局、便としては先方の航空会社の便名とこちらの航空企業の便名が重なって載るということです。失礼しました。
(航空局)機材は本邦企業を使うということです。

(問)外航の機材をそのまま国内線に使って尚かつ国内線だけで乗り降りが出来るというのはどうなのでしょうか。
(答)そのままでというのはカボタージュに当たると思います。だから、その便がどのようなステータスになるかということで、さっきの国内航空企業との関係でどのような飛び方をするか、例えば、便名を両方付けたような形で且つ今までは国内航空企業の材料でということですが、外国航空企業でもそのようなことが出来ないかどうかということは検討の選択肢の1つということだと思います。

(問)外国の航空機がそのまま国内線を飛ぶということは、コードシェアされていれば可能だという判断なのですか。
(答)ですから、そこはどのような条件を整えてやるかというところはあると思います。運航の仕方もあります。

(問)勿論カボタージュに抵触するでしょうし、コードシェアと言ったってそれは形だけのことでカボタージュに抵触するでしょうし、なおかつ日本航空なり全日本空輸が大規模な路線の廃止便、減便をやっているところで、そこで外国の航空会社だったら儲かるかというと、儲からないところもあるので撤退している訳です。
(答)仰るとおりです。ですから運航の条件等そういったものがあります。例えば、地方の空港から外国に向けてチャーターみたいに飛ばすという需要はある程度はあると思いますが、それを国内の他の空港に寄って少し客をそこで積み増しして、それで飛び出すという格好を例えばとる等そういったような組み合わせはあるだろうと思います。その時にどのように機材を使うかということも、勿論カボタージュとの関係は確かにありますが、どのようにクリア出来るかということについて色んな工夫の仕方があるのではないかということを今検討しているということです。

(問)繰り返しになりますが、国内だけで乗り降り出来るということも視野に本当に検討に入っているのですか。
(答)ですから、国内のみでの運航は、先程の関係で言ったらカボタージュとの関係でやはり問題になるので。

(問)誤報ですか。
(答)独立で輸送するということになると、カボタージュの問題はクリアしなければならないという問題になります。

(問)クリア出来るのですか、出来ないのですか。
(答)色んな意味で検討をしないといけないと思っています。どういう条件の下で問題がないかということは検討出来るのではないかと思います。特に、独立に運ぶという話になると形式的にはカボタージュになります。

(問)コードシェアと言ってもそれは難しいという認識で宜しいんですよね。  
(答)単純では解決出来ないかもしれません。正に今減便等の話になっているので、そういったところの話がクリアに出来ないとやはり問題で、それは先程申し上げたように、例えばそうした運航をするということと、例えば他の空港の需要を上手く積み重ねて同じ機材の上で余り時間のロスが出ないようにしながら組み合わせることが出来れば、1つのビジネスとしては2つの空港を経由しながら例えば海外にお出かけの日本のお客さんを上手く束ねられると。

(問)それとこれとは別の話です。関西国際空港と地方空港の間を外国の航空会社の機材で乗り降り出来るような仕組みを作るのかということを聞いているのです。
(答)それは検討の課題に入っています。どういった形で出来るのかということは検討次第です。

(問)検討課題に入っていると言って宜しいのですか。
(答)勿論「検討しています」とはどういうことですかと言えば、そういったことを含めて色々と検討をしているところです。実際それがどのように上手く整理出来るかということはあります。

(問)静岡空港のことでいくつかお尋ねがあるのですが、先週の金曜日に静岡県が航空法第49条第3項の除去請求権を行使するという発表しました。まずその件でご所感をお尋ねします。もう1つは以前お尋ねした収用する必要のない土地まで収用していた問題について、中部地方整備局のその後の調査はどのようになっていますか。
(答)まず制限表面との関係でどのように対応するか、航空法の規定との関係でどういう対応になるのか、或いは県の方のそういった対応についてどのように考えるのかという点ですが、航空法第49条の規定で物件の制限という規定があります。この中で、制限表面の上に出るようなものについて、所有者その他権原を有する者に対して当該物件の除去を求めることが出来るという趣旨の規定があります。県の方からは完成検査の申請が先週金曜日に出て来たところですが、2千2百メートルという暫定的な形で完成検査の申請ということですので、この申請に関しては元々2千5百メートルの滑走路として取り組む必要があるという中で、私共からも県において2千5百メートルに向けた取組み、その道筋がつくような形での取組みをしっかりやってもらいたいと申し上げていたところであり、県の方では航空法第49条の規定も視野に入れて関係者との調整を行いたいということで記者発表されたということです。私共としては、基本的にはやはり航空法の手続きによるにしても、やはり関係者との調整、特に関係者の理解を得て進めていくということがまずは大前提なので、その点をしっかりやって頂く必要があるだろうと考えています。それから、もう1点の県の方で事業認定を受けた土地に関して更に測量を行ったところ、以前の事業の区域確定をしたところとの関係で齟齬というか違った測量結果が出されたという問題があるということです。このことについては、今回、県のほうで行われた測量について県のほうから聞いておりまして、その中で測量自身は、収用対象になった土地と地権者の方の土地というものの境界がある訳ですが、そこは境界標という杭を打って区域を確定していたということですが、その境界標の周辺を地形に沿って実地測量したところ、以前の事業認定が航空測量で測ったということで、実際、少し幅があるという形になったということです。この幅、実際には制限表面にはかからない部分が数十㎡あったということですので、その部分について、県は金曜日の段階で実際に必要とする土地という扱いではなく、地権者にこれを返還したいということで考えているということを発表したということだそうです。私共もそういう事実関係だということは確認しております。これについては、県がその部分に関してどうするかということで判断されたものだと思っております。ちなみに全体としましては、最初に事業認定した時の航空測量はそれなりの精度で行ったものだと思っておりまして、そのことには特に測量上の問題はなかったと考えております。ただ今申しましたように、その後実際に現地を具体の地形の状況に応じて測量し直したところ、実際に制限表面にかからないような土地も一部生じるような形になるということで、その扱いについて県はこれを返還する方向で交渉したいと言われているということだと理解しています。 

(問)そもそも立木の存在というか、県の測量ミスで明らかになった訳で、航空法の49条というのはそういった事態を想定していなかったと思うのですが、そこは如何でしょうか。
(答)この辺については、実際に土地収用法の事業認定で対応することと、それから今の航空法の49条なりで対応することと、勿論、違う根拠法である訳ですが、今までの経過の中で、県の方で航空法の手続きというものに沿った形で取り組みをしたいということでそういう意向を表明されています。そこの点は、まずはそこに権原を持っている所有者なりその他の権原を有する関係者の十分な理解を得て進める必要があるだろうと思っていますが、そういう交渉等も踏まえて県がどのようにこの問題に対応していくかを見守りたいと思っております。

(問)この49条の条文には、除去請求権の実行勧告という言葉が無いのですが、県でいう民事訴訟でやるという対応は適切なのでしょうか。
(答)その辺は実際に手続きになった際に色々ご相談していく話だろうと思いますが、やはり基本的にはいきなり強制ということではなかなか進まない問題ですから、県の方も地権者の理解を得るべく協議をまずやるというスタンスですから、まずそこを十分にやって頂くのが基本ではないかと思います。

(問)関連ですけれども、関係者の理解を得て進めていくのが大前提と言いながらも、昨年の10月ですか、その問題が表面化してから半年近く経ってもなお地権者の理解は得られておらず、結局、法的な手法を視野に入れた手続きに移らざるを得なくなったこれまでの県の対応というのは適切なのでしょうか。
(答)制限表面との関係で問題がハッキリした上で、この問題に関してどのように関係者の方の理解が得られるように交渉して解決の方法を見つけていくかが大事だと思いますので、県もそれなりに努力しているということは聞いておりますが、ごく最近、地権者との話が合わずに会えなかったということがあったということを聞いております。やはり、ここはまず直接関係する方と協議、お話し合いをすることが大事だと、ここに力を入れて頂かないといけないと思っております。

(問)先程の関西国際空港の件で1つ少し分からないことがあるので、教えて頂きたいのですが、航空会社の話を聞くと、コードシェアをして海外の航空便が国内路線を飛ぶのであれば、もう関西国際空港発の国内便を止めてしまおうという声もあるんですが、実際次官が今、関西国際空港の振興策として仰られたんですが、こういうことをされたら関西国際空港というのは利用が伸びたり需要の便が増えたりするものなんですか。
(答)関西国際空港の利用促進というか、関西国際空港を上手く活用することを色々考えていく必要があるだろうと思っていますので、仰られるように関西国際空港が上手く活用されるということと違った方向になるようなことであれば、上手くいくような検討をしないといけないと思っています。確かに空港の場合には色々な路線の組み合わせがありますので、そのような組み合わせの中で関西国際空港を少なくとも経由として利用するような路線というのが、色々ネットワーク的な面や利用する場合の運航頻度等に照らしてより便利になって、他の組み合わせよりもそちらを使う方がお客さんにとっても非常に都合が良いというような形にしていかないと意味がないだろうと思っていますので、この辺は実態等を踏まえてどのようなことが可能かということを積極的に検討していきたいと思っています。

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