事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年2月9日(月) 14:01 ~ 14:26
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 事務次官等会議では、本日法律案として、「港則法及び海上交通安全法の一部を改正する法律案」、またタクシーの関係で、「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案」の2つについて了承頂きました。それから政令案ですけれども、臨時国会で成立した「長期優良住宅の普及の促進に関する法律の施行期日を定める政令案」、この施行期日は6月4日です。それと施行令も同様に了承頂いたところです。

質疑応答

(問)先日、北海道開発局の職員が国道改良工事の一般競争入札で、競売入札妨害の疑いで北海道警察に逮捕されるという事案が発生しました。それについてのご所見をお願いします。
(答)先週の金曜日ですけれども、北海道開発局の職員1名が平成18年3月に発注した道路工事に関して競売入札妨害の容疑で逮捕されました。併せて関係官署の家宅捜索を受けたところです。昨年、北海道開発局を巡る一連の談合事案が発覚しまして、再発防止に努めている最中です。今回、このような不祥事が明らかになったことは国民の信頼を裏切るもので極めて遺憾であり、お詫びを申し上げたいと思います。今後、捜査当局に対して全面的な協力を行いながら事実の解明に努め、関係職員の処分について厳正に対処するとともに再発防止に全力を尽くして参りたいと考えています。

(問)先週金曜日に、日本航空が3月期の業績予想で大幅な赤字を発表しましたけれども、業界各社の赤字を受けて国土交通省として業界への支援をどのように進めていかれるかお願いします。
(答)先週金曜日、日本航空から第3四半期の決算及び3月期決算の見通しの発表がありました。1月30日には全日空、スカイマーク、日本貨物航空の発表があったところで、何れも当期ベースで赤字という見通しが示されました。今年度通期の見通しは、何れも前年度から大きく減少して赤字となっているということで、非常に経営が厳しい状況に置かれていると思います。こうした中2月4日に定期航空協会からも支援策について要望が出されており、こういった航空業界の状況に鑑みまして、年度末を目途に政策パッケージをまとめるということで取り組みたいと思っています。なお航空企業の経営状況は特に、年が明けてからが前年までの状況に比べて更に一段と厳しい状況になっていると。特にお客さんが国際線を中心に非常に減少しているということがあります。国内航空につきましても落ち込みが相当あるという状況です。この辺の内容も見極めて、行政としてもどのような対応が出来るかということを考えていかなければならないと考えています。

(問)航空会社への支援策ですけれども、一番やり易いという意味では政策投資銀行の業界向けの融資、資本注入も含めてあるかと思うのですが、逆に損益計算書上での稼げる体質を作っていかないと、一時しのぎのお金を貸したり、資本注入したりしてもあんまり意味がないと思うのですけれども、稼げる体質、厳しい状況の中で戻して行くにはどうしたら出来るかその辺のお考えは如何でしょうか。
(答)全体的に、今、金融の関係とか経済の関係が非常に落ち込んでいるということがベースとなって、1つはビジネス客の需要、特に国際関係はその落ち込みが大きいと。国内におきましても、ビジネス関係は同様で、観光関係も相当影響を受けているという状況です。また、航空貨物は元々経済の落ち込みを正に反映しているということであると思います。基本的には、航空企業が、特に今の需要の中で確実に商売として見通しを持てる部分を作り出していくかということが大事であろうと考えます。その意味では、現下の輸送需要全体の落ち込みの中で、どういったところが特に落ち込みが激しいのか、どういった策、手当てが可能か。まだそれでも堅調に推移しているようなところは更に需要を掘り起こしたり、拡充したりということが出来ないか、その辺のところを航空会社においても色んな見極めをしていく必要があると思っています。国におきましても、これからの航空需要の中でどういったところが今後期待出来るかというところにある程度焦点を当てながら支援策を考えていかなければならないだろうと思います。この辺りのところは前回もちょっとお話しましたが、国際関係でオーストラリアとか中国が大きく落ちていると。また、グァム等観光関係で落ちている状況がありますのでこの辺への対応と、それから先程申し上たようなビジネス関係をどのようにテコ入れ出来るか、航空会社においてまずどんな対応が出来るか、この辺のところをよく詰めていく必要があると思います。

(問)個別対応とはまた違った意味になるかもしれませんが、特に業界としては公租公課の負担が大きいと、常々そういう主張をしていて、今回、その辺が一番期待出来る部分だとは思うのですが、航燃税等公租公課を引き下げることについてはどういう姿勢で臨まれますか。
(答)元々、公租公課の問題に関しては、どれだけそういう税なり着陸料を必要とするかということと、それからもう1つ、負担との関係でバランスをどういう風に取っていけるかということだと思います。ですから、大きく税とか料金の問題について全体的な水準を変えていくことは今の時点でなかなか難しいとことだと思います。寧ろそういうテーマに関しても、さっき申し上げたようにどういうところが特にこれから力を入れていかなければならないか、あるいは今でも離島の関係では色んな形で軽減措置を講じているところでありますが、そういった中身に関してもそれが有効に機能するという意味でどうなのかというようなことは検証してみる必要があるだろうと思います。

(問)関連ですが、例えば2010年には成田・羽田の増枠があります。先程次官も需要に応じた形でと仰いましたが、そういう観点からいくとこういう厳しい状況が続く中で増枠というのはなかなか航空会社にも厳しいという見方もあるかと思いますが、その辺は如何お考えですか。
(答)確かに今の状況だけでいくと、例えば需要との関係で増便の見通しを立てられるかというところは航空会社側もなかなか状況を読みづらいということはあると思います。ただ、その中でも、例えば需要が期待出来る、特にアジアの関係、さっき中国路線は本邦航空企業では需要がちょっと落ちているという話がありましたが、逆に中国から我が国に来るお客さんは春節の間も上海周辺から非常に多くのお客さんがお見えになっているという状況があります。ですから、今後とも市場として有望で力を入れていけばそれなりの効果が期待出来るところは力を入れていくということに当然なると思います。それから今まであまり成田に入って来れなかった例えば中東等に関して対応していくというのは十分有り得ると思います。例えば、機材で見ても大型の機材で対応するのか、それともある程度機材の大きさを小振りにして効率というものも見ながら対応するか、この辺も併せて必要になる対応策なのだろうと思います。勿論、現下の経済状況というのが将来にわたって継続するかどうかということもありますので、何処かである程度回復していくというようなことも出てくるだろうと、特に経営的に見ましても、その回復のところでどのように対応するかというのが非常に重要なことではないかと思います。

(問)北海道開発局ですが、事実解明と再発防止に努めるということですが、実際に関係した会社に対する聞き取り調査といったものは実施しないのでしょうか。
(答)株式会社本田組で逮捕者が出ているのですが、そのような状況ですから、まだ事実関係は警察が調べていますので、まずそれを見守らなければならないと。この事柄が発覚したのが、昨年の7月外部からの情報も寄せられたということもあり、捜査当局に通報・相談し全面的に捜査に協力してきたという中で逮捕というところまで事態が進んだということであります。その中で、その過程では私共なりに内部の調査ということもありましたが、道警からは捜査の関係をまず第一というようなことであった訳です。私共としては、当然のことながら事実解明は大事なことですので、特に背景等を含め、どういった形でこのような事案が発生したのかということも明らかにしていく必要があると思いますが、やはり第一義的には捜査を見守るということが必要だろうと思っています。

(問)本田組以外に対する調査というのはあるのでしょうか。
(答)この辺について、まだどのようにこの事案が全体的な形になるのかというところがまだはっきりしていませんが、私共としても、当然のことながら、ある程度その事案の関係が警察の調べが進むという中で、当然の事ながら全体の関係についても十分事実関係を把握しなければいけないと思います。

(問)今回の案件では11社が参加していて、本田組が落札率99パーセントで、他の全社がどうやら予定価格を上回ったようですが、こういった落札の仕方をしているということは他の会社もこういった事案に係わっているのではないかと。要するに国土交通省の工事に対して組織ぐるみというか、業界ぐるみのこういった不法行為があったような気もするのですが、この辺は如何でしょうか。
(答)この辺については、落札率が非常に高い率だったと新聞等でも報道されています。この辺のことは、私共も注意深くどういう事だったのか見守る必要があると思っています。ただ現状においては警察の方も捜査に入っているということですので、今の段階で私共がそういう事実関係に関して直接当事者の方に調べに入るというようなことはなかなか難しいと思っています。ただ、背景や関与といった辺りはどういうことだったのかということは注意して見守る必要があると思っています。

(問)明日閣議決定されるタクシーの特別措置法ですが、これは道路運送法の改正ではなくて特別措置法としてというのは何故なのかということを説明して下さい。
(答)これは、特に供給過剰等の関係で色々と安全の問題を含めて問題の生じているような地域に対して、当該地域で協議会を組織するとともに、タクシー事業の適性化を含む計画を作って頂く。こういったスキームで、供給過剰のような状況において増車を届出から認可の形にするという枠組みを設定するものであり、本体の道路運送法との関係では特定の地域の状況に応じてという形での対応であって道路運送法そのものの仕組みを変えるという選択にするのかということではなく、つまり地域の中でそういった特別の問題があるような状況に関して特別のスキームを作りながらその問題の改善が図れるような措置を講じるという法制で行くのが適当であろうということで、道路運送法の改正という形ではない法律制度というものを設定してはどうかということで考えたものです。

(問)では、自由化という道路運送法の精神といいますか、この辺は変わりないということで良いのですか。
(答)そこは基本的には制度の仕組みとしては変わりがないということです。

(問)今回の法律の運用をする場合、国土交通省としてもそれは変わりないということですか。
(答)そこの基本は変わらないということです。

(問)あくまでも、特別な措置ということですか。
(答)そうですね。必要に応じて特別な措置をとるということです。

(問)5年を経過した場合に検討を加え、必要な措置をとるとあるのですが、5年を前にして状況が好転すれば見直すこともあり得るという認識で宜しいでしょうか。
(答)法律制度は、全般的に当然必要な見直しということがあれば、見直していくことになります。ですから、何か最初から限定するんだということではないと思います。5年というのは、ある運用をした時にある程度実績も出て来るだとろうと、そういうことだと思います。それは、ある意味では1つの見直しのタイミングとして設定しているということに過ぎないと思っております。

(問)それを前倒しといいますか、5年を経ずにして見直すこともあり得ると。
(答)結局こういう制度ですから、当然のことながら、何か問題が生じたり、これでは不十分だということが生じた時には、そのことが明らかになったところで直ちに色々と対応していくということもあり得るとは思います。

(問)そもそも、特措法にした理由として同一地域・同一運賃とか、そういったものが、新たに法制度として出て来る可能性があるのでといったことも視野に入っているのでしょうか。
(答)以前、免許制の時にも、同一地域・同一運賃という考え方の一方で、結局申請に基づいて運賃を決めることになるかどうかというある意味では運賃自体の性格にもよるところですので、少し問題の観点が違うのだと思います。つまり、同一地域・同一運賃というのは、結局、異なる運賃を申請するとかがあって、一方で、そうことについて規制があったかというと実はそういう規制は無かったと。ですから、同一地域・同一運賃についてはどういう効果が発揮出来るようにやるかというのは色々な考え方が勿論あるだろうと思いますけれど、それはまた1つの新しい運賃制度の考え方ということになるのかなと思います。

(問)長期優良住宅の政令案の件で、住宅局の関係ですが、建築士法改正や瑕疵担保担保責任法で住宅への保険というか債務、担保という義務付けられますが、こういった措置に対するPR、建築基準法改正の時は混乱を招いたということで批判を受けたと思いますけれども、こういった混乱を2度と招かないように国交省としてどのようにしていきますか。
(答)瑕疵担保の関係の施行に向けた準備については、必要な確認をする必要があります。担保しなければならない瑕疵の部分についての体制を、きちんと作らなければいけないものですから、当然、そのための要員等、そういうことをチェック出来るような資質の方の人数をきちんと把握することが実質的に円滑に施行する上では必要になります。そこの部分に関しては、人数的にはある程度対応できる見通しを持ちながらやっておりますけれども、それでもきちんと問題がない形で出来るかどうかということについては念には念を入れて、周知も当然のことですが、併せてそういう法律を運用していく為の体制、それから勿論瑕疵担保の関係でいけば当然のことながら、担保する業務を行う体制がきちんと執られなければいけない、当然そういうことをやる団体については準備を着々と進めていると聞いています。ただ、問題が無いように慎重に対応していかなければならないと思います。

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