事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年2月16日(月) 14:03 ~ 14:33
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 事務次官等会議の関係で特にご報告する案件はありませんでした。

質疑応答

(問)整備新幹線の地元負担の件ですが、昨日福岡県知事も増額分について予算計上を見送るという発言をされましたが、先週、次官は「丁寧に説明して理解を求める」ということでしたけれども、その後、逆に反対の声が広がっているようにも見えますが、今後どのように対応されますか。
(答)先週の木曜日に新潟県の泉田知事から、北陸新幹線の新潟県関係のところでの工事費増嵩の問題に関してまだ十分内容的に納得できる説明がないというお話がありました。その後、九州新幹線鹿児島ルート関係の知事から、それぞれ建設費増嵩分に関して応じることが難しいというお話が出たということです。整備新幹線の既着工区間の事業費が増えるということについては、1月7日に鉄道局から関係の沿線自治体の皆様に説明をした後、鉄運機構から個別の自治体に説明に伺ったと申し上げました。九州新幹線の場合は、福岡県については鉄運機構から4回、佐賀県については2回、熊本県についても2回伺って説明をしているところです。私共としては、事業費増嵩につきましては前の北陸新幹線の時にも申しましたが、建設物価の上昇、九州新幹線の場合には基礎工事を当初の予定よりしっかりとした形でやらなければならないとことが事後的に生じたと。あるいは地元協議では、九州は水利の関係でトンネル工事の時に渇水対策ということで費用の増嵩があったといった事情も含めてご説明しているところです。今の時点では、従来のスキームに従い、3分の1を地方でご負担頂くことをお願いせざる得ないということで、引き続き機構から新潟と九州の各自治体に対して十分説明を行い、理解が得られるように鉄道局にも指示したところです。

(問)先週末の報道で、主要27空港の空港収支状況の開示を検討しているというのがありましたが、現在の検討状況等をお願いします。
(答)骨太方針2008におきまして、国管理空港については、平成20年度内を目途に共通的経費の取り扱いなど技術的な課題を整理し、早期に空港別の収支の開示を検討するとされたところで、整理が出来次第公表したいと思っています。元々空港別収支というのは透明性を発揮するということと、空港運営の効率化を図るということで、空港整備については概成しているということもありまして、むしろこれからは運営のあり方をどのようにしていくかということが非常に大きな課題になる中で、空港別の収支も明らかにして、運営上の色々な問題に対しても適切な対応を図る必要があるだろうと。共通経費については、例えば管制の関係で空港の運営の経理とは区別するというようなこととか、一般管理費的なものをどのように整理、配分するかということがあります。その辺も含めて作業しています。

(問)今日内閣府が平成20年10-12月期のGDPを発表しましたが、年率換算しますとオイルショック以来の落ち込みだということでご所見を伺いたいのと、少し早いのかもしれませんが、追加経済対策云々ということが言われていますが、国土交通省として何か言えることがあればお願いします。
(答)10-12月期の実質GDPの成長率が前期比でマイナス3.3%、年率換算ではマイナス12.7%ということです。特に民間の設備投資とか、輸出の落ち込みが大きく出ているということがあります。この厳しい経済状況、こういうことが雇用に対しても影響が及ぶのではないか。既に及んでいるところがありますが、更なる調整に繋がるおそれもあると懸念されているところです。全体的な世界の金融情勢が悪化して景気の下降局面が更に厳しいと。また、それが相当期間今後も続くのではないかと、こういうリスクがある訳でございます。補正予算の関係も2次補正予算が先日成立しましたが、1次補正予算も合わせまして、こういったものを効果的に活用するということと、21年度の予算の成立を図りまして切れ目無く対応していくということが重要であると思っております。国土交通省関係でも、2次補正の関係の執行に当たりましては、色々な手続きの関係が従来7週間程度かかるというものを、3週間程度に短縮することを含めて可能な限り早期に効果が上がるような形で事業に取り組むことが必要であると考えております。

(問)新幹線ですけれども、福岡県の麻生知事が負担増についていわゆる貸付料を充当すれば良いのではないかと。そういう話を既に国にやっているというお話がありました。それについての考え方をどう思われますか。
(答)貸付料の関係は、去年、政府与党でも議論がなされて、特に未着工区間の扱いとの関係で既着工区間の新幹線に関して工事費の増嵩が避けられないという情勢の下でその金額はどれ位になるのか、そういったものも将来の貸付料の前倒しのようなことを考える時にも計算上どれだけの規模になるのかということは色々検討する必要があるということであった訳でございます。そういう中で、昨年の暮れに4,100億円ということで増嵩分が出て来るという議論になったところでございました。貸付料の前倒しの話は新規着工の財源との関係での議論であった訳でございますが、一方で、既着工区間の扱いに関しては、工事の進捗に応じた形で事業費を用意していかなければならないということがございます。来年度の事業に関しましては、来年度工事の予定のところをベースにして事業費をきちんと確保しなければいけないということで、国の側の負担と併せて地方の負担も確保しておかなければならないということでございます。貸付料の議論もございますけれども、一方で正に工事中のところでその工事の進捗に応じて必要な工事費を計上していかなければならないということがございますので、21年度の事業との関係で事業計画を組み立てていかなければならないということがありまして、その中で地方の負担分がどういう額になるかということをご提示をして、そこの点は21年度の取り組みとして今までのルールに従った負担をお願いしたいと。増嵩部分の説明が十分でない、あるいはもっと早く説明をしなかったのかということ等含めて色々あると思いますが、その辺につきましてはよく話をしていきたいと考えております。

(問)その貸付料の活用ですけれども、昨年末の政府与党のワーキンググループの資料の中でもありますけれども、未着工区間に充当するという6,000億円の計算の根拠の過程の中で、増嵩分4,100億円を貸付料より充てる前提で6,000億円という数字が弾き出されていますが、そうしますと、ここで充てはめないとなると逆に未着工区間の6,000億円は増えるという考え方で宜しいのでしょうか。
(答)この問題に関する昨年末の政府与党のまとめでは、21年中に将来の財源の見通しも立てた上で、未着工区間の扱いをどうするかということを明確にするということになっています。その中で今の貸付料の扱いも含めて一体どのようにするかまとめていくということになろうと思っております。ただ、貸付料を前借りしてというところに関しては、一つのものの考え方としてそういうことで整理したらどうなるかという計算をしているところでございまして、未だ具体的にそういうものが顕在するということではない前提の下ですから、先程申しましたように、今年度の事業については、現実にそれぞれの区間で必要な工事を今正にやっている中でこれへの対応を予算的にもきちんと用意をしていかなければならないということだと考えています。

(問)九州3県の首長が口を揃えて言っているのが、正確な提示額、各県毎の負担額を受けていないんだと言ってますけれども、実際問題そこはどうなっているのか。もし提示してないとしたらいつ位に提示する予定でしょうか。
(答)九州新幹線博多-新八代間全体の増嵩分については、当初博多と新八代の間で15年4月時点での計画額が8,130億円だった訳ですが、色々増嵩分が発生したということで8,920億円になり、その結果790億円増加するということで、それぞれの関係県には当然具体的な工事の中身、増嵩分含めて金額もご提示しています。ただ、それぞれの県の側では具体額のことについては申し上げていますが、各県においてはまだ仰っていないと。ご説明している中にそういう数字は入っていますが、調整中ということで仰っておられないのだろうと思います。私共は当然その額も示さないではなかなかご理解頂くことも難しいということもありますから、そこはお示しをしてございます。ただいくらで示しているかはそれぞれの県の立場もありますので、具体的内訳は控えさせて頂きたいと思っています。

(問)近畿地方整備局の河川部長のご異動の話があるのですが、時期が通常の人事異動とは異なりますが、今、大戸川を抱えている中でどのようなことでしょうか。
(答)仕事の関係でということではないようで、何か今の状況の中で特段の人事上の配慮があったのかということに関してはそういうことではないと申し上げたいと思います。理由については、人事の関係では色々なことに基づいて判断されるので、ご本人の事情も含めて色々なことでこのような人事になったということで、これ以上は私の方からお話しするのは控えさせて頂きたいと思います。決して業務の状況に係ることではないことを申し上げたいと思います。

(問)新幹線に戻りますが、先程ご説明があった中で、政府・与党の昨年12月の合意の中で地方負担のあり方についても1年かけて見直していこうというお話しがありましたが、これは増嵩分の地方負担についても見直しが有り得るという認識でいらっしゃるのかということと、地方負担を貸付料から賄うにしても追加分についても国が何らかの責任で全額やって欲しいという意見がある一方で、自治体が全く負担を無しに事業を進めるにはどうかという意見もあると思いますが、改めて地元負担について何らか必要なのかどうなのかお考えをお願いします。
(答)1点目は、未着工区間の議論もする中で地方の負担というのは非常に大きなテーマでありますし、そのことに関しては見直しをしていくということで、議論の対象を何か限定しているということではないと思います。増嵩の問題が全然遡上に上らないとは断言出来ないと思います。現実に増嵩部分に関して、1月から関係自治体に増嵩に関わるる負担部分についてもお願いを申し上げているところでありますが、この点については私共としては現実に21年度の事業を組まなければいけないということもありますので、その中で、今までのルールに従ったご負担額についてなかなか中身が承服出来ないとか、あるいはどのような理由なのか明確でないと判断出来ないという部分に関してはしっかりとご説明しながらご理解を頂けるように努力をしたいと思っています。

(問)整備新幹線のスキームは何度聞いても分からないのですが、元々の理念から考えると、借金してまで無理して造るのは止めようというところから話が始まっていると理解しているのですが、お金がないのだったら工事を遅らせて開業を遅らせると、貸付料を前倒しすると話はややこしいのかもしれませんが、お金がなかったら工事を遅らせるしかないという結構簡単な話ではないかと思いますが如何ですか。
(答)勿論、新幹線事業というのは、工事の段取り含めて開業の見通し、目標時期との関係で色々な事業を段取りの下に組んでいくということになりますので、それが予定通りに進まないとなかなか目標のところが達成出来ないということにもなります。私共は少なくとも今はそういう目標をクリア出来るように取り組みをしていきたいという前提の下に、関係地方公共団体にもご相談をさせて頂いているということですので、むしろ予定通りで進めていくにはどうしたら良いかという方向で努力することで、県にもよくご相談をして理解が得られるように努めたいというスタンスで臨んでいるということです。

(問)このような話は駆け引きなんでしょうが、本当に国も地方もお金が無くて、特に地方にお金が無いのであれば目標をずらす以外方法はないのではないでしょうか。
(答)私共としては、目標に対し最大の努力をしていくことでそのような取り組みが必要だと考えています。

(問)先程の「地元負担ゼロに」というご意見についてはどうですか。
(答)「地元負担ゼロ」ということに関しては、増嵩の問題がありましたので、今そこについてのご理解を得なければいけないと申し上げておりますが、整備新幹線に関しては元々のスキームとして、国の負担と地元公共団体の負担に関しては2対1というルールの下で最初のスタートに合意をして進めてきたという経緯があります。ですから、そのルールの上に立って建設をしていく必要があると思っています。勿論、ルールが変われば話が違うだろうと言われればその通りだと思いますが、今はそのルールの下で、現実に21年度の事業についても取り組みをしなければならないという状況です。

(問)先週末、北陸地方整備局がJR東日本に対して違法取水についての処分の手続きについて始めると発表されましたが、ご見解をお願いします。
(答)JR東日本の河川法違反の関係で、許可をした事業につきまして超過取水を始めとして多岐に渡る違反・事実が明らかになったということで、処分を行うための手続きの開始をしたということです。JR東日本の超過取水等の行為については非常に国民の信頼を裏切るもので遺憾なことだと考えています。このことについて、厳正に処分をするということで手続きを進めて参りたいと考えています。

(問)これからの手続きに半月、一月かかると思いますが、大体どのような目途を考えておられますか。特に取水の停止期間の目途はありますか。
(答)まずは、河川法の手続きをすることになりますと、聴聞するということがありますし、河川法に基づいて関係行政機関の長と協議をする必要があります。これらのことを含めて考えますと、その処分までは一月くらいかかるのではないかと考えております。

(問)それで、どれくらいの処分になるのですか。
(答)聴聞や関係行政機関の長との協議等を含めて、その上で判断をすることになりますので、今の時点で処分の中身についてはそのような手続きを経た上でということです。

(問)極めて悪質ということですし、ダムについては環境破壊の先駆的な事例とも言えるんですが、一方、そこで賄っている電力量は2割、3割ということで実際の運行にもかなり影響があると思いますが、その辺のご配慮はどのように考えていますか。
(答)これは超過取水ということで、上限のリミッター、許可量を超えて取水するという場合にその記録では超えていないような処理をするという部分が改ざんされていたということがありました。もう一方で放流、水を流す方の部分が不足するということで、下限のリミッターを付けてコントロールすることになったんですが、この下限のリミッターについてもデータの改ざんがなされたと。一連の発電関係の取水、あるいは水の利用に関して色々な問題が指摘されたこともあり、当該JR東日本に尋ねたところ、そういう問題行為は無いというような回答があったというようなこともありましたので、こういう事実に照らしてきちんと厳正な処分をしなければいけないと思っています。非常に水力発電の関係に依存する割合が高いということは事実としてあるかもしれなせんが、今回の処分の関係では、まず当該行為の内容に応じて厳正な処分をするというのが第一であると考えています。一方で、どのように対応出来るかということは第一義的にはJR東日本でもよく考えて頂かなければならないということになろうかと思いますし、またその上でどのようなことが必要であるかというのは、この処分とは別に色々と相談をしていくということがあるかもしれません。それは切り離して考えるべきだと思っています。

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