事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年4月2日(木) 14:02 ~ 14:33
国土交通省 会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 本日の事務次官等会議の関係ですが、政令案件が1件あり、「海上汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」が掛かりました。内容は船舶から廃棄物を排出する基準に関して、地中海の関係で規制が強化されたという内容です。以上です。

質疑応答

(問)警察庁の検討委員会が、本日、「生活道路は30キロメートル以下が望ましい」とか、「一般道も構造によっては速度制限を80キロメートルまで上げても良いのではないか」等の趣旨の提言をしています。今後建設・改良する道路への影響等はどのようになるのかお尋ねします。
(答)警察庁で制限速度の決定方法が見直されるということで、一般道でも安全が確保されれば時速80キロメートルを上限にして、法定最高速度の時速60キロメートルを超える規制速度の設定も検討するといったことが方針として発表されたと聞いています。今回の規制速度の見直しは、実際に走っている車の実勢速度を基にして交通事故等や道路の構造といったような現場状況に応じた補正を行って制限速度を決定する。そういう時には、当然のことながら道路の線形、幅員等の関係でどういう速度にするのかといったようなことが必要になると思うので、警察の方でそういった御検討をされていく時に私共道路関係で相談に預かることもあると思っていますから、よく連携を取って検討を進めることになると思います。道路構造令は政令ですが、道路構造令の見直しが直接出てくるかについては余りそういったことではないのかなと。寧ろ現場でどういった対応をしていくのかということが主たる調整の内容ではないかと思います。

(問)ETCの販売台数についていつもお伺いして申し訳ありませんが、現段階でどうでしょうか。
(答)3月12日から4月1日、昨日までの状況で、助成台数合計が82万2千台になりました。4輪車が80万5千台、2輪車が1万7千台ということです。この件については、大臣も100万台という助成台数について財団法人高速道路交流推進財団や高速道路会社と調整しているという趣旨のことを国会で答弁されておられますが、今、正にそのことを相談しているところです。これだけ非常に好調な実績ですので、助成台数をもう少し増やせられないかということを調整しているところです。近々調整結果を踏まえて私共の考え方を申し上げることになろうかと思います。

(問)先日、淀川水系河川整備計画で大戸川ダムの凍結方針が盛り込まれました。地元の市町村が賛成する一方で、県知事は反対表明をしています。凍結の判断をされた理由等御所感をお願いします。
(答)河川整備計画案について関係の府県に意見をお聴きし、それについて3月2日に関係の府県知事からの意見が出そろったということで、これを受けて大戸川ダムの扱いをどのようにするかという検討をしたものです。それぞれの知事さんからの意見もありましたし、それから沿川の市町長さんからは推進をして欲しいというような意見も出たところです。そういう色々な意見等も踏まえ、今度の河川整備計画では大戸川ダムの本体工事は凍結させて頂くということで、実際にダムを進めるということになる時には、改めて関係の府県に対して意見照会するということにしようということで今回の判断に至ったということです。

(問)今回の凍結というのは、ダム・タスクフォースや知事が反対をされている川辺川ダムの件についても何らかの波及というのは無いのかと。特にダムのタスクフォースの中で何かしらこういった項目を掲げることになるのですか。
(答)ダム事業については、それぞれの河川なり地元状況といった周辺の環境はそれぞれ違うと。また経緯もそれぞれ踏まえている訳です。ですから、この大戸川の対応がそのまま別の場所で当てはまるということではないだろうと思っています。タスクフォースはこの前も2回目の会議を開催したところですけれども、特に、ダム中心に河川整備計画に関してどのように関係者との合意形成を図るかを、今まで取り組んでいる手順や説明の仕方についてもう少し合意形成がうまく進むように、また合意形成という場が実質的に実効性のあるものにしていくにはどうしたらいいかを中心に検討をしようと。勿論、この問題に関して色々制度的な面からも問題点があるのではないかということも検証して頂こうということですから、そういう意味では非常に幅が広いことだと思っています。それから、川辺川ダムのようなところにどうなのかということになりますと、地元の公共団体の関係だとかそれから河川そのものの置かれている環境も違うのと、また具体的に今、川辺川の問題については検討の場が設けられていることもございます。その中でダムによらない治水のあり方ということで検討作業をしているところでございますので、検討の場を通じて答を作っていくということではないかなと思っています。

(問)航空業界に対する支援策についてですが、大臣は一昨日の閣議後会見で明日にも成案を示したいと仰っておられましたが、現時点で検討状況は如何でしょうか。
(答)確かに大臣は火曜日の会見の時に、3日ということを仰られたとお聞きしております。年度末目途ということで、航空局において航空業界の支援施策、パッケージをまとめるということで作業をしているところでございますが、未だ時間がもう少しかかる状況でございます。前回、私も御質問頂きまして何時までに出せるのかということ、内容がどういうものになるのかについて、皆さん方もどうなっているのかということであろうかと思います。支援策の内容については、航空企業が非常に旅客が減になっていることが第1でございますので、そういう中でどういう対策を、国として講じられるか、収入をある程度確保したり増やしていけるような方策とか、コストの面でこれを何とか圧縮したり、余計な手間がかからないようにすることだとか、そういうことをどこまで効果的に効果を発揮出来る形で設定出来るかが課題でございます。勿論、何でも出来るという広い、自由に白地に絵を描くというよりはどちらかというと色んな制約がある中で何が出来るか知恵を絞る問題でございますので、出来るだけそういうことについては効果を発揮出来るようにということでギリギリ、当然相手航空企業との関係で、そういうものを通して評価されるものでなければならないということもありますので、そこを詰めて多少感触も探りながらまとめをしていくということでございまして、未だ内容のことははっきりと申せませんが、ただタイミングもありますので、各航空企業も年度が改まりましてこれから今年度の色んな取組みを、普通会社であればその前から今年度の事業計画を色々作ったりというところでございますので、そういう意味では出来るだけ早くしなければいけないなと。ただ、ちょっと今週中は難しいということでございます。時期についてはちょっと未だはっきりと申せません。未だ少し時間がかかるということでございます。

(問)国土交通省と国土交通記者会のことに関わる話なので敢えてお尋ね致しますが、昨日の入省式で私を含めた数社の記者が式の模様を取材しようとしたのですが、取材拒否されるということがありました。私も記者を長くやっていますが、お役所のこういったイベントの取材を拒否されるのは始めてのことでございまして、取材拒否した合理的な理由が果たしてあるのか非常に疑問なんですが、そこは御説明頂けますか。
(答)入省式の時には、辞令交付と併せてその後大臣が訓示という形で歓迎の意味も込めて挨拶をされております。今回の入省式は特別何か理由があって本当にお断りしなければならないということだったかどうかは反省して考えないといけないなと思っています。辞令交付等通常内部的な行事がありますけど、入省式でありますので来年に向けてこういうものの扱い、皆さんに見て頂くというようなことをどういう風に対応出来るかちょっと考えたいと思います。はっきり言いまして、あまり確たるお断りをしなければならないはっきりとした理由があるかというと、そう明確なものでもないなという感じがします。

(問)そうしますと、来年以降は原則としてオープンにして頂ける方向と考えて宜しいでしょうか。
(答)式のやり方等も含めて考えたいと思います。

(問)考える余地というのはどういうことなんでしょうか。普通にオープンにすればいいんじゃないんでしょうか。
(答)そこはみなさんの御趣旨も承りましたので、そういう御趣旨に沿うような方向でいろいろ考えます。

(問)拒否した明確なものがないということは、国交省の体質ですか。
(答)必ずしもそういうことではないと思います。

(問)航空業界支援パッケージの件ですが、支援策の中に財務省との調整が必要とされるものも入っているということですか。
(答)私共の採りうることというのは、料金や税の問題ということになればそういう関係のところにもなりますし、各省との関係でも連動して行わなければいけないこともあると思います。そういう問題を排除して検討している訳ではありませんので、私共としても対応策の中に、他省庁、特に財務省と関係するようなものも含めて検討しています。

(問)大戸川ダムに関してですが、昨日、滋賀県知事が会見をして、事前にもらった計画書の中で凍結の位置付けが不明確だと国交省の対応に不快感を表しており、計画策定までの経緯を求めていくということですが。
(答)昨日の会見で、河川整備計画の本文の中で二枚舌が見え隠れしているとの御批判があったという記事に私も接しております。滋賀県知事との関係では、記者発表前に近畿地方整備局長が大戸川ダムの本体工事は当面実施しない、凍結するということと、将来ダム本体工事に着手する場合には、改めて知事等の意見を聴いて河川整備計画を変更する、こういう内容を説明してそれから記者発表資料もお送りしたということでございます。河川整備計画の中では、ダム本体工事は中・上流部の河川改修の進捗状況とその影響を検証しながら実施時期を検討するという記載をお伝えしたということでございます。知事と市町長の考え方が違うというような状況もある中で、知事の御意見も重く受け止めて河川整備計画を策定したということでありますので、この点は御理解を頂きたいと思います。大戸川ダムの実施時期を「検討する」との記載になっており、この「検討する」と記述しているものについては、河川整備計画の中で注を付けて河川整備計画との関係を特に記述をしています。「検討する」と記述している施策は、今後実施の可否も含めて検討を行っていくもので、実施するとの検討結果が出た場合にはこの計画の変更を行うと、その場合には当然改めて知事の御意見もお聴きして河川整備計画を変更するということであります。そういう趣旨のことを御理解頂きたいと考えています。

(問)実施時期について、どのような状態になった場合に実施になるのか。実施と決めたら知事の了解を得るとお話しがありましたが、どういう状態になったら国交省としては進めるということですか。
(答)河川整備計画の記述に、ダムの本体工事については、中・上流部の河川改修の進捗状況、その影響も検証しながら実施時期を検討するということであります。河川改修工事についても、関係の知事さんから要望頂いて私共も河川整備計画の中でそういうものについて取組みをするということを書いていますので、そういうものを進めながら影響の検証もして検討すると。その結果、この計画を見直さなければいけない時には、当然のことながらまた改めて関係の知事さん等に御意見をお聴きするということになります。

(問)関空の話ですが、大阪府の橋下知事がエアラインの路線の張り方について、伊丹・成田線を残しながら関空・成田線を復活させてもいずれ関空・成田線の需要がついてこないということで、関空・成田線を消すための戦略ではないかと批判しているようなのですが、国交省として関空を大事にしていくという意味で成田線を存続維持させる指導等ありますか。
(答)関空・成田の間は3月、4月から日本航空、全日空が毎日1便。その他にノースウェスト航空が1便運航していますが、時間帯の問題等を含めて地元で議論があるということだと思います。関空から成田への便を繋げることで成田の国際線の利用に結びつけてということでの関空での活用が出来るということでありますから、大いに期待しているところです。ただ、前にも同じようなことで御質問を頂きましたが、近畿圏のお客さんが関空から出発されるというのは1つある訳ですが、必ずしも関空からは国際線が無かったり、あるいは上手く使えなかったりというような問題に関してどのように対応するかということに関して、航空会社も工夫しながらそうしたニーズに応えるということなので、ここはどのようにお客さんのニーズを上手く拾いながら利便に結びつけていくかということだと思います。行政として働きかけるようなものにはなかなかならないだろうと思いますので、色々工夫しながら関空を上手く活用して利便が発揮出来るような形で取組みがなされると良いなと思っています。

(問)事故調査委員会から運輸安全委員会になり、一見行政上というか法規上三条委員会になり、立派なものになりましたが、成田空港で墜落した事故機から回収されたフライトレコーダーのデータの取り出しが出来ないと、取り出しの能力がなくてフライトレコーダーをアメリカに持って行ってアメリカ側でデータの取り出し作業を行ったと、そうした能力の無い部分というのは、今後どのようにお考えですか。当局に聞くと予算がないと仰っているのですが、日本の運輸安全委員会は調査能力があまりにも欠落していると思うのですが、それについては何かありますか。
(答)私も実はよく分からない点があります。今回はフライトレコーダーやボイスレコーダー、特にボイスレコーダーの録音されていた部分の損傷がいわゆる熱で焼けて相当痛んでいたということで、これが通常の手段ではなかなか再生が出来ないということがあって、アメリカにボイスレコーダーを送って、向こうで判読をして貰って、それを日本に持ち帰って今解析をしているところだと聞いています。判読が難しいというのが、非常に極端な状況、例えば炎に包まれて高熱の中で焼損したケース、当該機の製造国であるアメリカ側に再生する技術と言いますかノウハウがあるということである程度頼らざるを得ない部分があると、日本の運輸安全委員会でそういうこと全部含めて必要な能力を持たなければいけないかどうか、私も専門のことは分かりませんので軽々には申せませんが、ある程度そういう場合は製造国に持って行って見て貰わなければならないことはあり得るのかなという気はします。ただ、対応しなければならない基本的な事柄がその通り出来ないのであれば十分ではないではないかということはあるのかなと思います。ただ、予算や技術的な問題等色々な要素があるだろうと思いますので、運輸安全委員会でその辺についてどう考えるかだろうと思います。事情の許す限り、私もどうなっているのか、あまり私の方からお聞きすることではないのですが機会を捉えて勉強してみたいと思います。

(問)アクアラインに関してですが、千葉県知事に当選された森田健作さんが総理の所に行ったら、800円の値下げを検討するように総理から国交省に指示したということを総理が言ったと仰っていますが、具体的に何かありますか。
(答)総理からは「検討するように」という指示を頂いたということです。そういうやり取りがあったということをもって、私共の方にもそのような指示があったと伝わってきています。今後については、まだ知事としてお仕事が始まった訳ではありませんので、知事としてお仕事を始められるに当たってその辺の問題についてもよく御意見を承ってどのように対応出来るかということを検討していくということかなと思っています。ただ前にも申しましたが、森田知事のお考えになっている毎日800円というのはなかなか大変な課題であるなと思っています。

ページの先頭に戻る