事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年4月16日(木) 12:33 ~ 13:04
国土交通省 会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 本日の事務次官等会議の案件でございますけれども、淀川水系における水資源開発基本計画の変更という案件がございました。これは淀川水系における水資源開発基本計画について、計画目標年度を平成27年度とし、需要の見通し、供給の目標等の変更を行う内容でございます。私からは以上でございます。

質疑応答

(問)幹事社からお尋ねします。海賊対処法案の審議が始まりましてですね、金子大臣とかが国会で答弁している中で、海保を派遣出来ない理由として、航続距離が足りないとか、ロケットランチャーに対応出来ないというような下りがありました。これはちょっと言葉足らずというか、説明がもう少し必要ではないかと。何故かと言えば、航続距離が長い巡視船は「しきしま」以外にも「やしま」とか「みずほ」とかがあると。ロケットランチャーは、世界中の武装勢力が持っている武器で、マラッカ海峡の海賊も持っているし、南西沖の引き上げられた不審船も持っていると。当時の資料をみると、有効射程距離は500メートル、対して海保の巡視船の機関砲は35ミリだと、公表されていませんけども有効射程5,000メートル、バルカン砲も2,000メートル、だから500メートル離れたところから撃てば対応出来ますと。しかし、工作船が積んでいたミサイルは有効射程が5,000メートルなので海保は対応出来ないと。だから、予算を組んでそれ以上長い射程を持つ、40ミリ機関砲を持つ巡視船を整備して日本海沿岸に配備したと。この流れからすれば、ロケットランチャーには対応出来ないというのは、ちょっとおかしいのではないかと。こういう意見もありますが、何故対応出来ないのかというところを補足的に説明して頂けますか。
(答)ソマリア沖の海賊行為は、色々メディアでもとりあげられていますけれども、複数の高速小型ボートで襲撃する、それからロケットランチャー等の銃器を隠し持って一般船舶の進路の前方で待ち伏せをして突然攻撃をすると、それからソマリア沖で通常よく見かける漁船のような船で襲撃するといった特徴を有しているということでございます。ロケットランチャーの有効射程は500メートルといわれておりますけれども、こういう海賊行為に対して、やむを得ず、そういうエリアに入らざるを得ないという場合も想定される訳でございまして、そういう状況でも、「やしま」、「みずほ」といった巡視船の対応が可能ではないかというお話がございました。しかし、ロケットランチャーの攻撃を受け被弾した場合、被害をある程度食い止めた上で業務を継続する能力があるかという点について十分な対応能力を持っていないために、海賊への対応はなかなか十分に出来ないと。併せて乗組員の生命が危険にさらされるということもあろうかと思います。射程とかその辺の詳しいところは存じませんが、「やしま」や「みずほ」もある程度の装備で機関砲なりを持っていると思いますが、これはシチュエーションの問題で、相手の武器の届かないところから撃てば、ということはあると思います。これはシチュエーションの問題ですから、いろいろな行動、どういう形態で、といった点では色々な想定がされるものですから、なかなか対応が難しいと。一方、詳細を詳しく申し上げることは保安庁の方も差し控えたいということのようですが、「しきしま」については、ある程度の対応能力は持っているということは聞いております。今言われたように現有の船艇で対応するということが可能だということはなかなか言えないという状況にあるということでございます。

(問)シチュエーション次第でやれないことはないという意見もですね、次官もよく知っている海保の元大幹部もそういう言い方をしていまして、絶対に出来ないという表現は国民に対して誤解を与えるのではないかと。被弾した際のダメージコントロールについてもイエメンとかに避難用の港もありますので、敵だらけの海域ならなかなかですけれども、やれないことはないという意見もあるということを頭においた上で、説明して頂いたほうが良いと思いました。

(問)札幌の丘珠空港の問題ですけれども、エアーニッポンネットワークが全路線の撤退を検討しているという話がございますけれども、もし撤退が実現してしまうと北海道エアシステムという会社の2路線しか残らないということなり、空港自体が機能しなくなるおそれもありますが、エアラインが撤退するという方針と空港のあり方についての見解をお願いします。
(答)お尋ねの件につきましては、全日空関係のエアーニッポンネットワークという会社が丘珠関係路線を運航しています。もう一方で、北海道エアシステムというJAL系の会社が路線を持っています。ANAについては非常に厳しい環境だということで、収支改善策の一環として丘珠路線の新千歳への移管を勉強していると聞いています。ただし、現時点で決定したということではないと承知しています。私共と致しましても、地元にも大きな影響のある話でありますので、全日空に対しても、初めから丘珠空港から移管・移転をすることありきということではなく、やはり地元との間で丘珠空港の路線のあり方について真摯に議論を行って頂く必要があるだろうと思っており、会社に対してもそういうお話しをさせて頂いています。私共も、北海道の路線の中で丘珠の路線というのは比較的、ビジネスというか色々な用務で使われている実態もありますので、そういう利便との関係も十分踏まえた対応が必要だろうと考えています。

(問)全日空が今回撤退を検討している最大の理由として、滑走路1,500メートルの丘珠空港で発着出来る航空機の耐用年数が近々来るという理由があると思いますが、逆に、自治体側、国交省側としても丘珠空港の能力を引き上げるといった努力や検討が必要と思いますが、その辺はどうこなされるお考えですか。
(答)確かに難しい問題だと思います。今エアーニッポンネットワークが使っているのはボンバルディアDHC8-Q300という機材ですが、これも相当年数が経っている機材であるのは確かです。もう一方で、丘珠空港は防衛大臣が設置・管理する空港です。また、非常に市街地の中にある空港でもあります。そういう制約の中でどのように機材との関係、或いは空港の能力等の関係を考えるかということはあるかと思いますが、空港の能力まで高めるというのは、単純に物理的なことだけではない話でもありますし、市街地の中にある空港ということもあります。ですからそれは一つの課題であるということはその通りだと思います。そういう中で今の機材の問題もあるかと思いますが、既存の施設を有効に使いながらどういうことが出来るかということも難しい点もある中で十分検討していく必要があると思います。

(問)昨日、一部報道で出先機関の地方合同庁舎の建設について、4月から一部工事を見合わせていたものを再開したとありましたが、それについては、一方で地方の出先機関の再編を検討している地方分権改革推進委員会からは、まだ結論が出ていないところで再開というのは如何なものかとの批判も出ていますが、それについて次官のお考えをお願いします。
(答)この問題は、地方出先機関が入っている官署に関して改修や施設の統合等の観点から庁舎の建て替えに取り組んでいます。そういう中で、地方分権の議論が行われ、特に8府省15系統といった機関に関して地方分権改革推進委員会でも見直しの勧告が出されているところです。私共としても、勧告が出されたことを受けて20年度は新しい整備に入ることについては取り敢えず見合わせをするという対応を行いました。特に、これから色々と地方分権の方針が具体化されるということがありますから、その中でこういうものに柔軟に対応出来るということが必要だろうと考えています。取り敢えずの方針では、20年度中は新たな整備は見合わせようということで対応して参りました。21年度に入ってですが、20年度に契約を締結した案件が10件あり、21年度に事業化された件数が24件です。柔軟な対応という中で、これから地方分権の関係も議論が具体化していくということですので、特に、入居する機関に応じて、どういう規模に組み替えが必要になったりするかといったことへの対応も必要ですし、もう1つは、建物そのものもそういったことを考えた時は壁を出来るだけ作らないで大空間の方式で整備したり、それから工事の実施手順の面でも色々と工夫する、スケルトン方式というようなことで詳細は出来るだけ後の方に送るような方式も必要だろうと思っています。そういった意味で、平成20年度に契約締結した10件、それから平成21年度の予算で計上している24件については、そういった方針も最大取り入れて手戻りになったり無駄が生じないように対応していかなければならないと考えています。平成21年度に事業化された24件というのは数は多いのですが、その中で18件程は敷地調査や設計費等に計上するものが多いです。そういったものについては、すぐに工事に入るというものではないということです。平成21年度の6件の中には平成20年度に着手する予定のものを切り替えたものも含まれていますが、その中でも出先機関の改革の進捗をもう少し慎重に見極めた方が良いだろうというものが2件あります。これは仙台と長崎の庁舎です。これらについては引き続き見送りとするというか、契約手続きには入らずに見通しがはっきりするまで待つこととしようと思います。他の案件については、手戻りが生じないような、あるいは入居官署の調整がある程度色々な組み合わせで可能だというようなものについては、そういうことも想定しながら進めるということで対応したいと思っています。これが今の私共の考え方です。こういった考え方について、関係の皆様にも良くご理解頂けるようにしていきたいと思っています。

(問)今、仙台、長崎については今後しばらくは待つということでしたが、大臣は会見で仙台の話題が出た時にはっきりと凍結するという話をされています。そうなると、国民の側としては、こういった議論が進んでいる間は何らかこういった事業についてはある程度凍結されるのではという思いを持っていると思いますが、そうした中で、契約がある程度進んでいるものについて再び工事を始めるという決定に至った背景というか、どうしても国民、地方分権に興味有る国民にとってはちょっと違和感を感じざるを得ない決定だと思いますがその点についてはどうなのでしょうか。
(答)これは今申したように、地方分権の色んなご議論に対して、私共の事業が無駄なものになったり、或いは非常に大きな手戻りになるといったことについては避けなければならないと考えています。ですから、そういった点は慎重に検討した上で、支障等が生じない範囲で対応出来るものは何かということで、中身に応じた対応をしていこうということです。勿論、そうした工夫もしないで目をつぶって、例えば「凍結」という形にしてはどうかという議論もあるかと思いますが、手戻りにならないように進められるものについては、予算が取れたものはどんどんやるんだという趣旨ではなくて、やはり庁舎も色んな事情で手を加えていかなければならないところはありますので、そういったものにもある程度対応しなければならないところもあります。そういう対応をする中で、問題が生じないないよう工夫して、特に地方分権の議論との関係で問題が生じないようにということでこの問題を処理をしていかなければならないと思っています。

(問)昨日の全日空グループのストライキについてですが、ご見解をお願いします、今年2度目ですが。
(答)パイロットの処遇の関係を巡ってのストライキだったということを承知しています。労使間で色々と協議して、どのようにしていくかということの中でのことだと思いますので、そのこと自身についてどうこうと申し上げるのは適当でないとは思いますが、ただ、利用者の中には他社便に振り替えても実際には旅行が出来なかったというような方が生じたりといったこともある訳で、そういう利用者への影響というものについては、十分努力をして頂く必要があると考えているところです。

(問)先週末に業界支援のパッケージが出たばかりで、ある意味、政府なりひいては国民を愚弄するような対応ということも考えられますが、その辺は如何でしょうか。
(答)全日空の場合には、機材がそれぞれ会社によって大型、中型、小型とある中で、それぞれの機材のタイプに応じた形での処遇についてどういう体系で取り組むかという議論だと思いますので、これを労使でしっかりと議論して頂くことは必要なことなんだろうと思います。ですから、そのこと自身をどうこうということではないとは思っております。支援策の問題は勿論ございますが、利用者もそういう中で航空の利用というものに対しての思いを持っておられることもありますけれども、ストライキという形態が取られて、特に利用者にも影響があるということは、労使ともどのように議論をしていくかを含めて利用者の立場もよく考えて頂くと。それから、ご質問の中にはこういう経済状況じゃないかということもあるのかもしれません。色んな労使での相談事の社会に与える影響等が勿論あるのだと思いますが、特に利用者の利便についてはよく考えて頂きたいと思います。

(問)庁舎の関連ですが、地方分権改革推進委員会で先程仰った36件について凍結を要請されていたということがあって、それを受けて見合わせという部分があったんだと思いますけど、地方分権改革推進委員会に対しては今回の対応をご説明されて、どういう反応を得ていらっしゃるんでしょうか。
(答)1つ1つの庁舎についてどうかということをお尋ねするのもどうかとは思いますが、一応こういう方針であることについては事務局なり委員長にはお話として申し上げた経緯がございます。ただ、個々のことについてどうこうということを仰られている訳ではありませんので、出来るだけ手戻りになったり、無駄な整備になったりということが無いように十分工夫しながら対応していくということではないかと思っておりますし、その中でも対応が難しいのではないかという慎重に対応すべきところは対応しようということで臨みたいと思っておりますので、その点についてはご理解頂けるように説明していかなければならないと思っています。

(問)庁舎の関係で1つお聞きしたいのですが、先程スケルトン方式で無駄が出ないようにと仰っていましたが、例えば道路、河川の移管の協議の進み具合や、地方分権改革推進委員会での出先機関改革のイメージがこれから煮詰まってくると思うのですが、例えば出来た庁舎が人数に対して過大な規模になった場合、今仰ったようなことでは対応出来ないと思うのですが、その辺りどうお考えですか。
(答)ですから、その辺も見極めた上でということで、例えば場所によると相当大掛かりに集約しないといけない、今建っている庁舎をまとめるということで取り組んでいるという建物がこの中に入っているのもあります。また、直接地方分権と関係ないような官署も含めてあるようなところもあります。地方分権で議論になっているところが非常に集中している箇所については、やはり慎重に考えた方が良いだろうということで見合わせをすると。ですから、スケルトン方式と言っても、どこも入らないのにスケルトン方式を作ってもしょうがないですから、そういう見通しもある程度持ちながら、ある程度の幅があるところはそういう形で対応することも十分出来るし、創意工夫しながらというところは個々に考えながらやっていくということで、一応の方針を整理したところでございます。その中味に関しては、必要に応じてどういうことなのかはご説明していく必要があるかと思います。

(問)仙台とか長崎はそのボリュームに影響が出て来るかもしれないという受け止めで宜しいですか。
(答)慎重にそこは考えた方がいいだろうということですね。

(問)淀川水系の水資源開発基本計画についてなんですけれども、案とは言われてますけれども、河川整備計画に入っている大戸川ダムが入っておらず、若干相違があるようなんですけれども、ご所見をお願いします。
(答)水資源開発基本計画は、所謂「利水」の関係でございます。利水の関係は、主要な水系を中心に「フルプラン」と言ってまして、水の利用、特に都市部の一般の都市用水を中心に他に農業用水だとか他の利水があるのですが、淀川水系に関しては都市の用水関係の需要は、旧の計画が秒当たり144立方メートルという計画でございましたが、これも水道用水と工業用水の需要が大分変化を致しまして、新しい計画では秒当たりの立法メートルが114ということで、規模が縮小されております。それから、農業用水関係の需要も同じ秒当たりの立法メートル単位でいくと8.4という計画が6.6ということでの見直しということになります。その辺のところを入れ込みまして全体の目標だとか、供給の目標だとか、必要な改定を行っているところでございます。ですから、治水関係中心の河川の整備関係との関係の整合は当然考えた上でございますけれども、どちらかというと需要側、河川の水がどう使われるかということに応じた計画の見直しをしているということでございます。直接大戸川ダムがどうだとかということとは関係しないとご理解頂ければと思います。

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