事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年4月23日(木) 14:02 ~ 14:32
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 本日の事務次官等会議に掛かった案件ですが、道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律が昨日成立し、その関連の政令が掛かりました。それから独立行政法人住宅金融支援機構法の施行令の一部を改正ということで、住宅の建設・購入に必要な資金の円滑な融通を図るために、土地利用に寄与する建築物の対象の敷地要件の面積要件について、これまでの500平方メートルを300平方メートルへ対象を広げる内容の政令が掛かりました。本日の会議ではこの2件が掛かったことをご報告します。

質疑応答

(問)間もなく衆議院本会議で海賊対処法案が可決されるということで今国会中の成立に目処が立ったとのことですが、これについてのご感想をお願いします。
(答)本会議で先程可決されたそうです。これから参議院で審議されるということになります。ソマリア沖アデン湾の海賊事案というのは引き続き多発していますし、警護が始まったところですが、船主協会、海運関係の組合等関係者も非常にこの法案の成立を望んでいることもありますので、早期の成立に向けた審議をお願いしたいと考えています。

(問)道路特定財源を一般財源化する法案が昨日成立したと思いますが、これが今後の道路整備にどのような影響を与えると見ていますか。
(答)道路特定財源制度は昭和29年からの制度ということで、我が国の戦後の経済復興及び経済成長の中で道路整備に大きく寄与してきたということも事実としてある訳ですが、昨日の道路整備事業特別措置法成立ということで半世紀以上続いた道路特定財源制度は廃止されたということです。道路特定財源については、色々な財源が道路の整備に充てられる仕組みの中で不必要な支出があったり、必ずしも必要性が高くないものに対して整備が進んでいるのではないか等色々な問題提起がある中で一般財源化されたということです。こういう状況の中で必要な道路というものを確実に整備すると、そのために重点化・効率化ということも積極的に進めていかなければならないと考えています。そういった意味で、新しい枠組みの中で、真に必要な道路の整備といったものについて確実に、かつ効率的に事業が行われるように、また無駄な支出が指摘された問題に関してもきちっと対応しながら取り組んでいくことが必要ではないかと考えています。

(問)先日の会見で王子駅の汚水垂れ流し問題について東京都下水道局が説明を行った旨の報告を受けて、その後国交省としても東京都から事情を聞いていくと言っていましたが、どのように報告されているのか教えて下さい。
(答)この件に関しては、3月23日に東京都に対して、JR王子駅南口のトイレ排水の垂れ流し事案を重く受け止めて、本件の誤接続の内容・原因究明・再発防止措置を報告するよう要請し、併せてJR東日本の協力も得ながら本件の経緯の調査や住民への説明といったことを行うと。それから3月23日には全国の自治体に対しても管路等の点検、誤接続の際の適切な対応の通知もしたということです。東京都に対して、特に東京都区部の雨水の雨水吐口、雨水が流れる捌け口の点検・調査の指示をしました。3月31日に東京都から、原因究明については引き続き調査中であり、併せて東京都区部の雨水吐口全箇所730箇所の誤接続の有無の緊急調査を実施するとともに、JR東日本の23区内の駅舎の排水設備の系統の調査も実施しているということについて中間的な報告があったということで、今後、調査結果がまとまり次第報告を受けることにしています。

(問)31日の中間報告では、10年前のJR東日本の接続をし直してしまった問題については中間報告には入っていないのですか。
(答)3月31日時点の中間報告の中には入っていません。JR東日本が平成10年から11年の雨水排水渠の撤去工事の際に、トイレ排水設備の付け替え工事を行っていたというのは4月13日に判明したということです。

(問)東京都下水道局がしっかり対応していれば次官にお伺いする必要のないものだと思いますが、如何せん下水道局の主張とJR東日本の主張が住民の場で真っ向から対立し、泥沼化している状況に今ある訳で、こうなってしまうと国としての何か姿勢というか解決の糸口が何も見えてこないのですが、それについて如何ですか。
(答)JR王子駅のトイレ排水問題に関しては、元々昭和41年頃からの経緯があり、そのことについて何故気が付かなかったのか。こういう問題について関係者が真摯に問題意識を持って、その原因をしっかり確認するということと、同種のこと等を含めて同じようなことが起こらないよう確実に担保していくことが大事だと思います。そういう意味では、当事者の間で責任の関係でお互いの主張をし合うことは、そのことで問題が解決することにはならないことではないかと思っております。原因究明は必要だと思いますし、その原因究明の中でどうすれば良かったのか明らかになると思いますが、この問題の解決と言うのでしょうか、住民の方も何でこんなものが放置されたのかということを強く問題意識を持ち、またそのことについて非常にとんでもないことだというお怒りの気持があるという中で、それに対して真摯に対応していかなければならないと思っております。

(問)明後日、4月25日は福知山線の脱線事故から丸4年になるのですけれども、改めまして事故についてのご所見と、今年度予算で被害者対策についての検討を進められていますけれども、それについてお聞かせください。
(答)今度の25日で4年を迎えるということであります。非常に被害も大きなものでありましたし、また被害の対応、事故の対応も非常に大きな問題を内包していただけに、このことをどのように教訓として活かしていくか、それからこれだけ多くの方が亡くなられ、また怪我をされ、傷つかれたと、またそのご家族の方を含めた問題に対してもどのようにきちんと対応していくかと、非常に大事な問題だと思います。その思いを改めてまた新たにしているところでございます。予算面でもどういう形でこういう問題に対して被害者の方へ対応が出来るのか、こういったこともよく勉強する必要があると思います。安全の問題は色々なものの積み重ねがありますし、特に安全の問題を引き起こす人的な問題の背後には色々な要因、要素がある訳ですから、そういったものについては、単純に事故を起こさないということではなくて、体質的なことだとか、色々な要因的なことの問題意識を持って、そういうことが起こりづらい、或いは起こらないような環境を作っていくことが大事ではないかと思っています。

(問)先日の中央防災会議で、東海地震及び東南海・南海地震の防災戦略、今後10年で被害を軽減させる防災戦略の進捗状況が報告されたんですけど、その中で住宅の耐震化があまり進んでおらず、達成状況は2割から3割で概ね順調とするものの、住宅の耐震化があまり進んでない部分も指摘されたんですけれども、それについて何か国土交通省として今後の取組みをされるご予定があればお考えを教えて頂けますか。
(答)耐震化の問題は、特に住宅を通じた安全は生活そのものの安全でもありますので、大きな問題だということは広く認識されてきていると思います。そういう認識の下で、耐震の改修なり、建替えが進むようにどういう環境整備をしていくかが大事だと思います。勿論、経済的にも支出の伴うことになりますから、そういう問題に関しても出来るだけ軽減措置、負担が少ない措置を講じていかなければならないと思います。今年度からの税制の中でも、そういった取組みについては投資減税を含めて取組みがなされますし、また耐震の診断を通じてどういう取組みをしたら良いかという意識をそれぞれの方に持って頂くことも大事だと思います。何れにしても、色んな形の施策を講じながら環境整備を図り、住民の方は元々この問題に関して非常に危惧しているところが多い訳ですから、それぞれの対策がどこまで効果を発揮出来るかということ等も検証しながらしっかり取り組まなければいけない問題だと思います。

(問)先般、国土交通省の航空業界支援策の中に政投銀等を通じて、財務面での支援の調整がございました。昨今、沢山の企業が政投銀に殺到するようになって、国土交通省としてはどういう役割を果たして、どういう姿勢でやっているのかということと、最新の情報を分かる範囲で教えてください。
(答)これは現下の経済危機の状況の中でございますので、色んな業種で色んな問題、特に金融機関との関係で資金需要をどのように満たしていけるかは非常に厳しい状況です。その中で、航空の関係はご承知の通り国際、国内共に航空需要は大きな影響を受けております。中にはビジネス関係の需要もありますし、個人の旅行需要というものも相当大きな影響を受けていると。こういう中で、航空企業が将来に亘って安定してサービスを提供していける体制を確保していくことが大事なことですので、支援策の中では出来るだけコストの関係や収入を確保する関係での有効策も講じる一方で、金融面でも必要になる場面においては、この問題に関して行政としては必要な支援をしていかなければならないと考えております。今どうなってますかということに関しましては、この前大臣が記者会見でもお話しされておりますけど、私共のスタンスはそういうことでありますし、ただ具体的にどういう状況なのか、どういう金額になるのか等は事柄の内容からして私共から申し上げることはどうかなと思われます。政策を総動員しながら、また特に金融機関等の関係の支援についても積極的に出来るだけのことをしていかなければならないと考えおります。

(問)今取りざたされている日本航空への2,000億円の融資ですが、ロットがロットですし、長期の低利融資ということでかなり資本性が高いというところで、一方で今期も恐らく赤字だと思います。そういう会社に対して2,000億円規模の大型融資をすることはモラルハザードにつながるというご懸念はございますか。
(答)モラルハザードというのは、結局企業が置かれている状況の中で、どういう努力をしてそういう問題に対応しようとしているのかということを踏まえた総合的な取り組みの姿勢なり、あるいは現下の経済環境の変化の中で有効な対策が採りうるのかというようなところとの兼ね合いだと思います。ですから、相当の金額になると仮に致しましたときに、そのことがモラルハザードという、経済の合理性があまり認められないのではないかということにならないような取り組みをしていかなければならないと思います。ですから、そのこと自身が一概にモラルハザードなのかというのは難しいのではないかと思います。

(問)政府の保証がついている以上、税金としての意味合いもある訳で、常識的に考えても年収2千万、3千万というパイロットがごろごろいる会社に新たに融資をする、国交省として支援していくというのは如何でしょうか。
(答)今申し上げましたように、どういう取り組みをしていくのかということとの関係があります。人件費やそのほかの経費、運航にかかる経費、あるいは営業にかかわる経費といったコスト面の切り詰め、合理化をしていくということが大きな課題だと思います。一方で、これからのことも考えれば、効率の良い機材や必要な代替等にも取り組まなければならないと思います。それぞれの必要性というものについて、一方で理解が得られるような必要な切り込みをしているのかということが問われると思いますので、これに対する十分な説明をしていくことが求められると思います。まさにその辺の問題だと思います。

(問)補正予算で相当な額の公共事業が盛り込まれていますが、経済効果を発揮するため地方の中小企業が受注出来るように入札制度を時限的でも良いので変えるべきだという声がありますが、それに対してどのように対応されますか。。
(答)地域の色々な声の中には、地元の建設関係の事業者の方がなかなか契約がとれないというような状況もあるということで、出来るだけ地元で貢献されている、あるいは頼りにされている企業が契約をとれるようにしていくべきではないか、という声があることは十分承知してます。契約も随意契約から競争入札という競争性を発揮する契約形態が全体の流れでございますので、このこと自身は進めることで、例えば地域の中堅あるいは規模の小さな事業者の方でなれば地域の貢献度というのでしょうか、例えば評価の中で見るのかとかということもあると思います。ただ、抜本的に契約の仕方とかを変えるべきではないかといったことは、発注単位を下げることによってそういう事業者の方が契約に対応し易くするということもありますが、ただ必要以上にそれを行うことは、かえって契約そのものの公正さを阻害することになり兼ねないということもありますから、一定の枠組みの中で工夫してやっていくのだろうと思います。せっかくの経済対策ですから、特に地域経済は非常に厳しい状況にありますので、地域経済が良くなるような事業の仕方を工夫していかなければならないと、これは非常に大事なところだと思います。一般競争入札契約の場合でも地域の貢献度ということを折り込んで評価を高めていくということも取り組むべく、実際に見直しもしているところでございますが、そういったことも通じて効果が上がるようにしていかなければならないなと思います。

(問)枠組みの中で工夫していくとのことですが、そういったことを都道府県に国交省から通知するということはいかがですか。
(答)既に都道府県がそういう要件のところを厚くするということ等、総合評価方式の中で、競争入札の場合でも金額だけで評価をやるということではなく、どういう能力なりを持って仕事の成果を出すか、それから地域に貢献しているという要素をどう折り込むかについて平行して取り組んでいます。これは地方公共団体にもお願いをしておりまして、国側は総合評価方式について相当数字の上で実績も出てきていますが、地方は必ずしも十分でないところがありますので、そういう取組みをする中で、今申し上げたようなことにも力を入れて頂くように、こういう契約全体の関係は地方公共団体にもお願いしているところですので、そこはうまく足並みをそろえながら効果が上がるように取り組みを行っていきたいと思っています。

(問)ETCの助成について、今後枠を拡大する等ご検討されていることはございますか。
(答)ETCの相当助成の台数も積み上がっており、3月12日から4月22日までの状況で、助成台数は合計109万3千台ということであります。ですから、助成台数全体では120万台ということですから、残すところ10万台です。これは財団のほうで20万台追加するということと、まだ発表出来ていませんけれども、高速道路会社の関係で20万台分を購入し易くする工夫をするということがあります。この辺は、関係の会社でどのように行えるのかを鋭意検討しているところだと聞いております。そういった意味では、今の助成制度がまだ続いている間に、さらに20万台分の助成が上手く実施出来るように、そういうタイミングで進めていくことが大事だと思いますので、道路局のほうでそこを調整している最中でございます。近々、そういうことが発表出来るように取り組みたいと思います。
                                  

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