事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年4月30日(木) 15:03 ~ 15:29
国土交通省 会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 本日の事務次官等会議では特にご報告する案件はございません。

質疑応答

(問)新型インフルエンザのフェーズが1段階更に引き上げられましたが、国土交通省として新たな対応があるかお尋ねします。
(答)本日早朝、WHOがフェーズを4から5に引き上げました。日本政府は、直ちに8時20分から官邸で新型インフルエンザ対策本部幹事会、内閣官房長官がヘッドで各省局長級が集まる会議が開かれました。現時点では国内に患者が発生している状況ではないということで、基本的にはこれまで通り必要な対策を着実に実施していくということになったところです。国土交通省としてはウィルスの国内侵入を出来るだけ阻止するということで、水際対策の強化が重要であると考えています。28日の内に、航空については検疫当局からの依頼に応じて機内検疫の実施、或いは検疫強化の取組み等について航空会社及び空港管理者に要請を既に行い実施をされています。港湾に関しましても検疫を含めた関係機関と密接に連携して対応するということで港湾管理者に要請を既に実施済みで、関係船舶について臨船検疫が必要に応じて行われています。更に旅行業界につきましては、外務省によるメキシコに対する感染症危険情報の発出を受けまして、旅行業界に対して旅行者への周知徹底を要請しています。今後もこうした対策を着実に実施していくということで取り組みたいと思っています。

(問)新型インフルエンザに関してですが、国内で何時起きてもおかしくない状態だと思いますが、その際の国交省の対応については何か、特に鉄道を含めてですが。
(答)国内で発症者が出ていないということですので、何よりも大事なのは水際の対策であると、つまり国内に持ち込まれないように、或いは持ち込まれることになった時でも水際での対処を行うことによって国内感染を防ぐということが第一だと思います。仮に国内で感染者が出て、それが広がった場合という趣旨だと思いますが、対応にもよりますし、どのような場所でどのような形でということにもよると思います。今回、WHOでも出来るだけ交通の便等に配慮してということも言われていますので、国内で感染者が出た場合の対応に関しては、元々のマニュアルでもその状況に応じて一定の交通サービスを確保するという前提の下で、旅客の対応についてもマスクを着用して頂くということ等を通じて対応するということになると思います。政府全体としても、例えば学校の休校や出勤の抑制といった取組みが必要に応じて考えられると思います。こうしたことを受けて交通事業に関しても、利用者にマスクの着用を呼びかけるといったことをした上で一定の事業継続の要請を行うことになると考えています。今のところはそういう段階ではないということですので、具体的にどうするというところまで、これも政府の対策本部で色々と決めていかなければいけないことでありますので、そういう方針が決まったということではありません。

(問)国幹会議に出席された委員の皆さんから、会議のあり方についてもクレームめいた意見も幾つかあったのですが、これについては次官はどのようにお考えですか。
(答)会議の持ち方については、会議を開く予告がショートノーティスであったということと、色々な状況判断をする資料についても前広にもう少し詳しい資料が提示されるべきではないかという指摘がありました。大臣からも、この問題に関しては受け止めをしっかりして、今後どのように会議を持つかということを含めて、特に資料の内容についても、要請のあったものについては十分議論が出来るような資料を考えて用意をしたいと大臣からも話があったところです。多くの方がそういう意見を出されましたので、国幹会議の持ち方、会議の開催の仕方については十分配慮する必要があると思います。

(問)ETCの助成が打ち止めになったということですが。
(答)ETC助成については、四輪車については115万台が助成の枠でしたが、4月28日火曜日に115万台に達したということで、助成は終了したということです。二輪車については、総助成台数5万台に対して既に助成した台数が2万5千台ということで引き続き助成を行っていくということです。なお、助成の対象を広げる時に高速道路交流推進財団が実施をしている分については20万台の増加ということで対応したのですが、更に各高速道路会社において普及促進策として、助成と言うよりもETC車載器を廉価で提供するということでこちらについては今準備を進めているところです。全体の規模は各社合計で20万台ということで予定をしているところですが、まだ何時からどのように実施出来るかということは各会社の方で今鋭意準備しているというところです。目途がついたところで順次詳細を発表して支援策を講じるということで対応しようというところです。現状では、既に4輪車については助成台数は115万台に達したと、28日の時点で達したということです。

(問)ETC割引をゴールデンウィーク前になるべく実施するということで、国としてスタートをしている訳で、皮肉なことに28日にETCの助成が終了してしまっていると。こうした状況についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)私も折角助成をやるのであれば、前にもこの会見でも申し上げましたが、切れ目のないような形で行われることが利用者との関係でも望ましいし、そういう方向で調整をお願いしていると申し上げたところです。結果として、各高速道路会社においては、ETCの車載器を確保した上でそれを廉価で提供するという形で支援措置を講ずることにしたいということもあって、そういった支援策の準備と車載器の確保と両方あって、そういう意味で準備が整わないということもあるようなので、この辺は非常に残念なことだと思います。仰るように今のタイミングでいくと、連休前は難しいといったことになるかなと。今日、明日しか連休、実際休日の前というのはないので、ちょっと間に合わない状態になったということは大変残念だと思っています。利用者の方にも準備が少し追いつかなかったということで、非常に期待をしておられた方に対しては申し訳ないと思っています。

(問)海賊の関係ですが、4月26日に日本人の方が乗った船が襲撃を受けたということがあったようですが、これは国土交通省の方で情報把握されていますが発表はしてないのですが、前にも日本の会社が管理する船が海賊に襲われたというケースがあった時にも国土交通省は把握されていましたが発表はされていません。今防衛省の方では活動する時はリリースされていますが、日本関係の船や日本人が乗っている船が襲われた時に発表しないというのはやはり不十分だと思いますが、これは今後何かこういったケースがあった場合は出してもらえないのでしょうか。
(答)今回、日本人が乗っているクルーズ船が海賊から襲撃されたという情報に接しておりました。実は、元々この船については、危険海域を航行することで非常に海賊に遭遇する危険があること、それと木造船なのでどのように対応するかということで、我々も慎重に、寧ろ情報に接していたので航行について出来るだけ避けるべきではないかということを働きかけたり等、それから、襲撃後も脆弱性の高い船であるため最寄りの港に向かわなければならないと。これは、必ずしも襲撃されたことによる影響ではなくて、エンジンそのものの調子が悪くなったということがたまたま起こったということもあり、その修理の為に最寄りの港に行かなければならないと。ただ、これもどこに行くとか、所在がどうなっているかという辺りは、我々も外務省でも非常に心配していた訳ですが、外務省においてこうした内容を公表することは当該船の安全の関係にも繋がるので、取り敢えずそういった状況については公表を差し控えようということで対応したものです。であるにも関わらず、私が何故喋っているかということに関しては、今日の事態に関してはある程度対応の措置の方も取られている状況の中で、情報に関しては積極的な発表は控えるということでしたが、そういった事実に関しては、安全問題が心配されるような事態が緩和されれば事実として明らかになっても仕方ない、支障はないと考えていたものです。このことについては、確かに事実関係を公表するということも大事なことですが、一方でそういった情報は当然国内だけではなくて広く知られることにもなるので、そういった意味で情報管理は我々も慎重になっていたというところです。そういったことがなければ、勿論襲撃されたという事態に関しては出来るだけ皆さんにもお知らせをすべき事柄だと思います。

(問)事前にというのは分かるのですが、やはりそういったことが起きたら、出来るだけ、たまたま分かったものだけこちらが把握しているという状況なので、日本人が絡むものや日本の会社が絡むものの被害があった時には出来るだけお願いします。
(答)はい。タイミングも含めてその辺の見極めをどのようにつけながらお知らせするかということをよく考えたいと思います。

(問)昨日の日中首脳会談で羽田=北京の路線開設に合意したということですが、これについて次官の御所見をお願いします。
(答)昨日の麻生総理と温家宝国務院総理との会談において、羽田空港と北京首都国際空港を結ぶ定期的なチャーター便を本年10月から開設するということで合意をされました。定期的なチャーター便で首都同士を結ぶということでありますので、政治的にも、またビジネスや観光の面でも非常に大きな事柄であると考えております。またこの会談の中で、麻生総理からは、日中間の交流の促進ということで、個人観光ビザの発給を7月から開始することを表明したということで温家宝総理もこれを歓迎したということでございました。そうした意味でも、チャーター便の関係は非常に大きな取組みであると考えています。

(問)この羽田、北京のチャーターは、羽田の枠は足りるんですか。
(答)何とか捻出をしてと思っています。

(問)それはまた公用機枠を取ったりするんですか。
(答)この前の航空企業支援の時に公用機枠から捻出しましたが、こういうことは元々できれば実施をしたいと思っていたところですから、どちらかというと今の全体の枠の中で捻出して対応するということで対応をしたいと思っています。

(問)ほぼ2便で良いんですよね。
(答)航空当局間で具体的に調整して最終的に決めていくことになりますが、羽田と上海の場合には日中双方を1日2便ずつで開始していることもありますから、羽田、北京の場合も同様の便数で調整を進めていくことになるのではないかと考えております。ただ何れにしてもこれから航空当局間で調整することになっておりますので、未だ決まったというようには申せないかと思います。

(問)日本航空が一昨日大幅な業績下方修正を発表しましたが、ご感想をお願いしましす。
(答)日本航空は昨年の2月6日に、2009年の3月期の決算の業績予想を出したところです。この修正を4月28日に発表したというものです。売上高、営業利益、経常利益、それぞれ減額になり、当期の最終損失ベースでは630億円ということで2月6日の見通しよりも290億円の下方修正という内容でございます。景気の低迷に伴ってビジネス需要が減少し、また円高に伴う海外発の需要の減少が主たる要因でございます。引き続き、日本航空においては徹底した自助努力を行って経営基盤の強化を図って頂く必要があると考えております。

(問)今、自助努力という言葉がありましたけれども、先般も大臣から「日本航空の経営活動が続けられるように国土交通省としては支援していく」との発言がありましたけれども、支援していくという立場から今後どのようなことを考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)正にコストの面の取組みがウエイト的には高いかと思いますが、現下の厳しい状況の中でも営業的な関係は回復に向けて色んな取組みをしていくことも大事だと思っています。支援は会社としてのコストが中心になるとは思いますが、会社の取組みがより進め易い環境を作っていくことは大事だろうと思っております。日本航空に限らず、全日空も決算については大分厳しい状況があって、ただ全日空は営業外で利益を計上するような施策を取り入れたものですから、最終的な当期の損失ベースは圧縮した形になっています。これも営業外の取組みが入っているということでありますので、航空企業が置かれている環境は、特に売上げの面は非常に厳しいと思います。全日空の見通しは21年4月27日に発表されていますが、売上高は1兆4,000億円ベースでございますが、やはり21年1月30日のものより75億円程の減であったと。ただ営業外で100億円程利益を積み上げられたものですから、最終的に当期損失ベースでは45億円の改善が見られたという形になっています。営業外のものですから営業ベースのところはやはり大きな影響を受けていると。航空企業の経営状況は非常に厳しいものでありますが、色々な支援をして航空企業における自主的な経営改善に向けた取組みを促していきたいと考えています。

(問)敢えて全日空のことをお話しされましたが、厳しいのは日本航空だけではないんですか。みんな厳しいから支援するという論法をなさいましたが、実際全日空は厳しい中でも営業利益は5億円修正しただけで、JALの場合は営業ベースで370億円の赤字が510億円に膨らんでいると。国際線ネットワークに差があるとJALは説明しますが、それにしてもやはり経営努力が足りないという側面はありませんか。
(答)単純に比較することは難しい点もあるかもしれません。ただ、確かに数字そのものからすると、日本航空の数字は経営的に非常に厳しいという受け止めをしております。

(問)どうしてだと思いますか。
(答)先程申し上げましたが、海外発の事業や国際関係のビジネス需要の減少が大きく効いているということが1つあると思います。

(問)その辺正していくと。監督官庁としては。
(答)正していくと言うか、需要の点はなかなか正していくという性格ではない点があります。ただ、収入が減になることに対応したコスト面の取組みは今までよりも厳しい状況の中でより踏み込んだ対応が求められるということになると思います。それぞれの企業が置かれている経営環境の中で、それぞれの厳しさに応じた対応をしていかなければならないと思います。

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