事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年5月21日(木) 14:00 ~ 14:43
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 事務次官等会議の関係ですが、政令案件で「一般国道の指定区間を指定する政令の一部を改正する政令案について」というものがありました。これは一般国道の中で、国土交通大臣が管理を行う区間を指定区間として指定するものです。内容は、一般国道468号、これは首都圏中央連絡自動車道ですが、これの一部と一般国道475号、これは東海環状自動車道の一部ですが、この区間について追加の指定をする、他に変更等の改正が行われるということで政令案が掛かったということです。私共の方からは案件としてはこの1件です。

質疑応答

(問)昨日首都圏でも新型インフルエンザの患者が見つかったということで、一部鉄道会社等は対応を始めていますが、首都圏で新たに発生したということで国土交通省として何かお考えがあるのかお聞かせ頂きたいのですが。
(答)これは昨日、東京都八王子市と神奈川県川崎市で各1名、計2名の方が新型インフルエンザに感染されておられるということが確定されたということです。ただ、この2名は海外からお帰りになられて海外で感染されたということであるようで、国内でヒト・ヒト感染という形で感染された事例ではないということです。この2名を含め国内で感染されておられる方は266名に達しているということです。この他に以前水際で発見された方が4名がいらっしゃるので、足すと270名ということになります。特に今お尋ねの件は、八王子と川崎で発生したことについてですが、ヒト・ヒト感染が関東或いは東京、神奈川エリアで確認はされていない状況ですので、私共としては、既に国内発生が確認された際に患者や濃厚接触者が活動した地域が指定された場合には、指定された地域で公共交通機関の利用者へマスクの着用を呼びかけること等を含めて取組みをするということの要請を行っているところです。各交通事業者において、色んな情報の中で自分たちでどういう対応を取って頂くかはそれぞれの判断でというところがあります。ということで、一部の事業者の方は、一応念のためにということで取り組みをされているところがあります。今日11時現在で、鉄道の関係では旅客へ感染防止の呼びかけをしている事業者の方がおられます。また、乗務員や駅員等のマスクの着用を始めている事業者の方がいます。具体的には、例えば車内或いは駅の構内で呼びかけをしている事業者の方が3事業者おられますが、JR東日本や京王電鉄や横浜市交通局といったところでは丁度関係するエリアにおいてそういった呼びかけをしている。今の3事業者に加えて、小田急電鉄や東京急行電鉄を加えて5つの事業者になりますが、乗務員や駅員等がマスクを着用することを既に始めているという状況があります。関東においてはヒト・ヒト感染という状況ではないので、取り敢えずは事業者におかれてはお客さんと接するところで念のためにという対応をしているということだと思います。他の事業者の方に更に同じ対応を取るということまで徹底を図ることが今時点で必要だとは思っていません。前にも申しましたが、状況に応じてある程度冷静に対応していかなければならないと思っています。一方で、近畿圏においては相当の広がりで感染者が拡大しているということもあり、近畿圏では感染地域が指定されているので、当該地域においてはそれぞれの交通機関についてターミナル或いは乗り物の中でマスクを着けることをおすすめしたり、うがいや手洗い等の徹底の呼びかけをしていますし、お客さんと接する従業員の方についてはマスク着用を徹底すると。それから、交通機関ですから、その地域だけで完結する交通というものでもないので、その地域外との間で行き来をするということについてももう片一方にターミナル的なものがあればそういったところでも呼びかけをするというようなことを今皆さんに徹底して頂いているところです。この点は地域が拡大して昨日も滋賀県等に広がりましたが、そういう地域に関しても同様の措置で対応しているところです。他の地域への広がりがあった場合には同様の措置を私共も講じていきたいと思っています。また、実施状況については私共も把握しながらやっているので、具体的なお尋ねがあればまたお答えしたいと思っています。
 
(問)整備新幹線の関係ですが、補正予算での配分について新潟県がまだ受け入れを決めていないようですが、今後の対応は如何でしょうか。
(答)新潟県との関係については、知事の方から私共に質問を頂いていたので、そのことについてお答えするということで対応をしているところです。具体的には、県の方より文章へのご質問があったので、鉄道局から5月19日に改めて回答したところです。この19日の回答は皆様にもお知らせしているところですが、知事の方で具体的内容が明確でないといういことを答えられて、まだ19日に出したものについての正式な回答を県から頂いてないのですが、当初予算分の事業については、鉄道運輸機構の方から工事費総額の増加理由と事業の具体的内容についての説明を都合10回程に渡り行ってきていますが、また更に詳しいことをということであれば改めてご説明をしていくということにしています。それから、補正予算に係る事業に関しては、工事の前倒しをどのように進めていくかについて関係の道県に意向を確認する必要がありますので、4月10日に関係道県の方にお集まり頂いて私共よりご説明させて頂いたところですが、関係道県からは補正予算で更に追加的に取り組むことについて応じる或いは相談しながらやりましょうという意見が大半なのですが、ご承知の通り、新潟県からはこの点について進めていくということについてまだご同意が頂けていないところです。引き続き、新潟県との間では出来るだけお話しが進むように、私共なりに出来る限りの説明もして参りたいと考えています。今そういった状況です。
 
(問)泉田知事は、補正予算の配分について総額が示されてないので回答のしようがないと記者会見で言っています。それについてどう思われますか。
(答)それぞれの道県に補正予算に関する相談をした時に金額をお出しするというのは、各関係の道県とも詰まっている状況でもないというところもあったので、その段階では金額を出さずにこれからどのように進めていくかについてご相談しながらということにしたところです。特に、北陸新幹線の場合は基盤の整備に加えて建築工事についても前倒しで行っていくということになると、その辺をどのように行っていくかということをある程度ご相談してから具体的な金額の配分ということも決めていく必要があるだろうということで、例えば、北陸新幹線の場合には融雪設備等の整備を織り込みながらどのように出来るか。そのためには、今の工事費の枠の中での事業の進め方としては、認可その1、その2とあるんですが、その2である設備関係の方も手続きを進めていくことについて関係の道県とも合意する必要があります。そういうそもそもの段取りは固めていかないと、いきなり何の説明もなく金額だけということになると、これもまた十分ご理解頂くことが出来ないのではないかということにもなりますので、こうした手順を踏まえて金額も詰めながら、また、特に新潟県におかれては当初予算分の金額でも特に増額分の範囲でないところで留保されていることもあることから、どういう工事が必要かという内容はこれまで既に10回程度県には事務的にご説明させて頂いていますが、その辺のご理解も頂きながら、今回補正で行う工事分についてもどういう段取りでやるかということをご相談して調整しながらということだと思っています。
 
(問)国家公務員の再就職についてお伺いします。先日、総務省の調査で国土交通省の公益法人、特殊法人で5代続けて再就職した指定ポストと言われるポストが123法人155ポストとなっていますが、次官からご覧になってこの数が多いと思いますか、少ないと思いますか。ご見解をお願いします。
(答)3月9日の時点で確認出来たものでお出ししたのが10法人10ポストという数字を提出させて頂いたところです。この際には時間の制約もありましたので、本省所管の公益法人を対象にして調べてお出しをしたと。その後、民主党のETC等天下り実体検証チームというところから70法人について資料の要求がありましたので、それに対する作業を、これは地方の所管の法人も入ってましたが、新たに確認出来たものを追加して28法人47ポストについて、4月9日、16日にお出ししました。この後引き続いて調査を行っておりまして、5月14日時点で確認出来たものを更に追加を致しました。国土交通省本省の関係で85法人98ポスト、この他海上保安庁で4法人6ポスト、気象庁で1法人1ポスト、海難審判庁で1法人1ポストということでございます。結果、丁度トータルの数字で発表されていますが、国土交通省で123法人で155ポストが出ている訳でございます。多いか少ないかというのは、これは調べた結果ですので、基準を持っているというよりも、全体で1,113法人の中でこういう数字だったということでございます。調べる過程で増えているではないかというのは、過去に遡ったこともありますので、相当年数が古く30年以上前に遡るケースもあるようですから、資料についてもどのように押さえられるか、私共が持っている資料だけでカバー出来ないところもありますので、そのようなことでちょっと時間がかかったり、一遍に数字が全部出せなかったりということもあろうかと思いますが、私共なりに努力したつもりでございます。続けてそういうポストに公務員のOBが就かれているというのは、当該法人の仕事の関係もあるでしょうし、そこで求められている経験もあると思います。ですから、基本的には公務員のOBの方が経験をされたり、知識的にお持ちのこと等を活用して就かれている限りでは、そういうケースが仮に5代重なることが結果としてあるのは実体として十分あり得ることだと思っています。そのことだけで5代も続くといけなくて3代が良いというような事柄ではないのかなと思っています。ただ、こういう数字が色々出た時にご批判も出て来るということもあるだろうと思います。公益法人の関係は、行政支出として適切かどうかということですね。この点は行政支出総点検会議の昨年12月の指摘事項でありますので、こういうものも踏まえてしっかり見ていく必要があると思いますし、公務員の再就職に関しては、新しい枠組み、官民人材交流センターという窓口を通じて透明性の高いやり方ということで、当該法人が求める人材と実際の経歴とかをマッチングさせて、最もそういう仕事に相応しい人が就くようにする新しい枠組みの下での取組みが大事だと思っています。
 
(問)関西国際空港株式会社の会長に国土交通事務次官を経験された方が就任されたと発表されましたが、ご感想をお願いします。
(答)関西国際空港株式会社については、今年6月の役員改選期に併せて丁度3期6年になる代表取締役会長の宮本さん、それから代表取締役社長の村山さん、代表取締役副社長の平野さんというトップ3人が退任されるということで、新しい体制を作ると。現在、関西国際空港は色々な課題を抱えている中で若返りも図るということです。そういう環境の中で全社一丸として取り組んでいくということで、この人事の関係では関西の経済界でそれぞれのポストをどのように作っていったら良いのかというご相談があったというように聞いています。結果として、まず代表取締役社長は、村山さんに続いてパナソニックから福島さんという60才の方が就かれると。また、代表取締役副社長には関経連から竹内さんという58才の方が就かれると。併せて同時に3名のトップの方が交代するということで、関経連においてはトップの中に航空関係に精通している経験者が不可欠という判断で、関西電力の顧問もされていた国土交通事務次官経験者の、また航空局長も経験されていた岩村さんを選任する意向になったということと聞いています。関西財界の意向で、そういった全体のトップの人事をどのように選ぶかということであったと聞いています。本人の方にも関西財界の方から打診をされたと聞いています。そういった意味では、「渡り」、一度OBになった人が再就職をすることについて役所が斡旋をすることをやってはいけないということの中では、そういう形ではなく人選がされたということです。私共も関西国際空港は現在非常に大事な状況にあると思っているので、国としても、関西国際空港の新しい体制の下で色んな課題に的確に或いは特に経済界の方を中心に民間の経営センスも活かしながら、また岩村さんおかれては行政の経験或いは航空の色んな経験を生かして取り組んでいって頂きたいと思います。取締役会でこういった人選が決定されたということで、特に村山社長もその辺の人事の中でどのようなことをこれから取り組んでいかなければならないかというお話もされたということもお聞きしています。国としてもバックアップして色々な課題に取り組んで行かなければならないと思っています。
 
(問)今回岩村さんには代表権が付かなかった訳ですが、このことについて何かありますか。
(答)これは、会社の中での色々な役割分担や、特に代表権の扱いとして色々あるんだろうと思います。特に会社の会見等では社長、副社長である民間の方が会社の推進役ということで取り組みながら、岩村さんはそれをサポートといいますか、そういったことで対応する中で色々と代表権の扱い等も考えられたというお話をされているので、勿論色んなお考えもあるのだろうと思いますが、そういった形で代表権の扱いをされたということだと理解しています。
 
(問)代表取締役会長であると閣議了解が必要になるという話ですが、私は別にそのように思っている訳ではないのですが、敢えて閣議了解を避けるために代表権を外したのではないかと邪推をする人もいるのではないかと思うのですが、それに対してどのようにお考えですか。
(答)手続きの問題と、会社としてどういう形でそれぞれの方が役割分担をして取り組んでいったら良いか等色々な問題があると思いますので、第一義的には会社の運営について、どういう人材の方がどういう風にその役割を果たしていかれるかというのが基本なんだろうと思います。
 
(問)お盆の高速道路料金の割引期間の話ですが、一部報道で8月10日から14日を軸にとなされていますが、実際にそういう調整に入っているのでしょうか。
(答)確かに新聞記事がそういうことで出ていましたが、大臣からのご指示があり私共検討しているところですが、まだどういう内容で出来るかとか、そういうことで決めたとかではございません。色々と検討しなければいけないと思っていますし、特にゴールデン・ウィークの利用実態や、お盆の時期であれば昨年のお盆の実績ですよね、今年のゴールデン・ウィークと昨年との比較でどう見るかということも参考にして、お盆の時期も昨年と比較してどういうお客さんの利用のされ方になるかということを想定しながら、特に休日に渋滞が集中するということは出来るだけ緩和する観点からどういう対策が有効なのか考える必要があると。それから前にもご質問頂きましたけれども、当然そういうことをやるためには財源面も考えなければいけないと思っていますので、財源との関係も併せて検討しどういう方針の下にどうやるかということを具体化していかなければいけないと思っていますが、今のところは決まったということではございません。
 
(問)大臣からの指示は。
(答)大臣も検討しろと仰っているので、検討している最中であって具体的にこういう日にちでというご指示があった訳ではございません。
 
(問)でもそんなところですよね。
(答)ちゃんと検討してですね。私も「そんなところですかね」という訳にはいかないですから。
 
(問)羽田空港の日本空港ビルデングについてオーストラリアの投資ファンドが事実上撤退することになりましたが、外資の買い占めにあってそれがきっかけで空港外資規制問題が浮上して特に航空局がひどいめにあったと。一応一段落してご感想をお願いします。
(答)今回、日本空港ビルデングが6月19日の株主総会で承認を受けるという条件で自己株式の公開買付、TOBを行うということであります。買付株式の全体数は2,200万株で発行株式の22%、関係の方ともある程度の話はされていて、筆頭株主であるマッコーリーからも賛同が得られているということでやると。外資規制の関係の議論も相当なされた中でこういうことは、正にそれとの関連と受け取られることだと思いますし、正に、関連の事柄であると思っています。こういうターミナルビルは、空港として非常に大きな役割を持っているものですから、公開買付ということを通じて外資が株を持つこととの関係はおそらくこれを契機にして変化があるのだろうと感じています。そこは会社の判断で進められることだろうと思いますし、買付の後どうするか含めて色々な議論がなされているところであり、色々なことをお考えになりながら対応されるだろうと思います。私共として具体的に会社に申し上げるようなことではないと思いますが、そういう状況の中でご判断されるのではないかと思っています。
 
(問)結局、空港法改正で外資規制が頓挫して、色々あって内外無差別大口出資規制というところに落ち着きましたけれども、こうしてみると一体あの会議は何だったのだろうなという印象もなくはないのですが如何ですか。
(答)そういう事柄と今回の事柄が直接関連しているかというと、必ずしもそういうことではない、色々な経済状況等がある中で外資系が国内企業の株をある程度持つという状況が、その後の色々な経済状況、特に金融関係の状況の変化で影響を受けていることも背後にはあるのだろうと思います。ですから、そういう環境変化も常に経済の関係では起こる訳ですけれども、外資規制の問題というのは資本を一定の割合で保有することによって会社が果たしている役割に影響が及ぶとした時に、空港の色々な機能、そういったものがどのように変わっていくかということ、あの議論があったのでこうなったということでもありませんので、関係者は参画もして会社としてどうなのかということがその時議論の対象になったり、直接意見を申されたりとかあった訳ですから、こういう事態の中でそういう問題に対してどうしようかと考えながら対応されると思います。
 
(問)新型インフルエンザですが、季節性インフルエンザのような軽い症状の人が多いという状況を踏まえ政府として新しい指針を作るようですが、その中で交通関係の事項は入って来るのでしょうか。入って来るとするとどういうものになりますか。今の時点でお願いします。
(答)相当程度国内の感染が広がっているという中で、今まで水際対策が第一ということにウェイトをかけていた訳ですが、全体の体制をどうするのか、現下の状況の中でどうするのかという議論があるのだろうと思います。その辺のところをどうしようかというのは、政府内でも厚生労働省を中心に内閣で色々と検討されていると思います。私共としては、全体情勢に合わせて特に、公共交通機関の関係では国内感染が起こった時に交通機関は感染が広がる1つのきっかけになるということもありますので、どの程度の措置をしたら良いかということが大事だと思っています。交通機関のもう1つの役割としては、色々な事態になった時にも社会機能として維持していかなければならないとということがありますので、このことをどのようにしっかり担保するかということが大事だと思っています。我々は全体の状況に応じた対策、検疫体制をどうするか等含めて、そういう体制が取られたところで、それに応じた役割や感染が広がる契機になるところへの対応と、それからサービスを維持して社会生活を確保する部分との兼ね合いをバランスとりながら、しかもきちんと対応すべきことを徹底することが必要だと思いますので、私共独自で「こういうことをします」ということは特に今の時点ではないだろうと思っています。むしろ今、感染が相当広がっている地域について交通機関を利用される場合の拡散防止ということを皆さんに呼びかける、それから交通機関の職員自らもマスク着用、手洗いやうがいの励行をすることでお客様に感染が広がらない、また自分達がその関係の媒介にならないということだと思います。勿論、事業の継続を図る意味でも従業員が感染してはまずいですから、細心の注意を払ってそういうことにならないようにということはあると思います。いずれにしても、事態への対応の仕方、検疫体制含めて政府全体として決める中で、その状況に応じて我々と対応することだと思います。よく相談しながら政府全体の対策の中で私共の役割を果たしたいと思います。一方で、修学旅行等に非常に大きな影響が出ていまして、相当取り止めたり延期ということが拡大しております。観光関係では関西方面では旅館、ホテル等の宿泊施設ではお客さんが極端に減少していると聞いています。感染の拡大を防止する観点からある程度そういうことが起こることもあり得ると思いますが、地域経済に大きな影響がありますので、必要以上にそれが拡大していくことは注視しなければいけないと思っています。全体の対策をどう展開するのかということとの兼ね合いもありますから、必要に応じて調整、或いは私共として出来る事柄も考えていきたいと思っています。
 
 
                

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