事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年6月11日(木) 14:02 ~ 14:28
国土交通省 会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 次官等会議の関係は特に国土交通省の直接の案件はありません。

質疑応答

(問)昨日、座席のライターで出火するという事案が相次いでいるので、それに関して航空局が各航空会社に対して検査を指示していますが、今朝程もオーストラリアのジェットスター航空で操縦席から火が出るという騒ぎもあったようですが、こういう案件が続いていること、検査の件等含めて次官のご所見をお願い致します。
(答)日本航空の便の関係では、6日に関西国際空港から台北に向かう航空機の座席の隙間にライターが入っていたことが原因で発火したということがあって、このことを契機に日本航空に対して型式の同じような座席についての調査指示をしたところ、調査の過程で2機の飛行機から座席にライターが挟まっていることが発見されたという報告が昨日ありました。ということは相当の確率で、同じ型式の座席が装備されているのが40機ということで全部で40機調べるということだったのですが、6機程調べたところで2機の座席から各1個のライターが発見されたということで非常に確率も高いと。そういった意味では同種のことがあるのではないか、そういう状況ではないかという感じがあったので、全航空運送事業者に対して、座席の安全性の確保ということで、座席の隙間にライター等が挟まってるといったことがないかどうか直ちに確認をし、結果を6月17日までに報告するよう昨日指示したところです。何故そのような挟まったものが発火をしたのかということはまだ解明しないといけないと思いますが、何れにせよ、そもそも挟まっている状態で運航しているということになれば、それは発火するということに繋がる可能性がある訳で、とりあえずそれを調べるように指示したということです。それから本日の朝、関西国際空港発ゴールドコースト行きのオーストラリアの航空会社であるジェットスターの機材で、操縦室から煙が発生したためにグアムに緊急着陸を行った事案がありました。燃えた部分が何であるかはまだ分かりませんが、窓のところのものが燃えたような、それで煙が発生したというようなことだったようです。乗務員が消火して、特に怪我人はないということです。発生した場所がグアムですので、事故原因の関係はオーストラリアとアメリカの事故調査当局により調査が行われる予定ということです。何れにせよ、こういった火が出たり煙が出たりということは、航空機の場合は他の乗り物とも違ってお客さんも非常に心配されるし不安を感じられるということもあるので、やはりきちんと原因を究明して、そういった問題に繋がるようなことがあれば事前にきちんと対応することが必要ではないかと思っています。

(問)タクシーのことでお伺いしたいのですが、昨日特別措置法が衆議院の国土交通委員会で可決されたということで、今国会で成立する可能性が高くなったのだろうと思いますが、世の中消費が低迷する中でモノやサービスの価格が最近若干落ちている中で、タクシーの割安な運賃への審査を強化する必要性について改めて、何故必要なのかということをお願いします。
(答)衆議院の国土交通委員会で法案審議がなされている中で修正の話が出て、道路運送法の規定の中で運賃・料金の認可基準の中で、第1号に書いている「適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないもの」という規定がありますが、この規定を当分の間「加えたものを超えないもの」とあるのを「加えたもの」と読むということです。ですから、当分の間は「適正な原価に適正な利潤を加えたもの」という基準になるという修正がされた訳です。この修正については、運賃・料金に関して収支が相償うことが法的に求められることになったということだと私共も理解しています。これから衆議院の方から参議院に審議が移っていくということになるので、そこでのご審議も見極めていく必要があります。特に、運賃・料金についての制度を運用していく中でどのような受け止めをしていくのかということが重要です。昨年の交通政策審議会の答申においても過度な運賃競争への対策が必要であるということで、下限運賃の設定、或いは下限割れ運賃の審査についてのガイドラインを明確化した上で、個々の運賃の適用を判断する必要があるとの指摘を受けたものであり、これを受けて、タクシー運賃制度研究会、これは自動車交通局旅客課に設けている研究会ですが、ここで専門の学識経験者等の方にも加わって頂き作業しています。その中で、今回の修正を含めた国会での議論を踏まえた検討を行う必要があると考えています。何れにしても、この法律が施行になるのは10月になると思います。そういうことを考えると、その時までに法律をどのように運用するか色々考えなければいけないと思っています。タクシーは、原価の中で運転手さんの人件費の占める割合が7割、非常に大きな割合ですね。ご承知の通り7割は歩合制の賃金です。つまり、どれだけ働いたかの働き度、或いは売上げの出方に応じて賃金が払われると。勿論これが完全にリンクしているということではなくて、色々な関係の下に歩合制になっている訳です。ですから、タクシーの場合の原価は固定的な費用ではありませんので、非常に変動する要素もありますし、どういう賃金体系かによって賃金が決まってくるという面もありますから、これはどういう形で運用していくか難しい点があります。今は下限運賃と言いまして、その地区での認可運賃の10パーセント下回るところまでは自動的に認可する、あまり問題がないという扱いをして、それを更に下回った場合には労働時間の問題等で労働基準法の違反がないかどうかをチェックして、問題がある場合には認可しないという運用をしております。ですから、タクシーの運賃の中に占める人件費の割合が高いという状況等を踏まえて、このルールをどのようにしていくか検討していかなければならないと思っております。よって、直ちに運賃が上がるとか、そういう類のことではないと思いますが、そういった検討も踏まえた上で、元々タクシーというのは適切な競争の下に、お客さんに対するサービス、料金面も含めて色んな取組みがされることが望ましいと考えているところであります。ただ、最近お客さんの減少が各地で見られるということ、労働環境が非常に厳しくなっていること、それからそういう中で特にサービス面にも影響するような安全に関わる問題が生じたりということが問題になって、これらにどう対応するかということですから、そういう問題状況の中で、先程の運賃の審査の仕方をどうするか考えていかなければならないと思っております。また、新しい法律の中で、特定の地域における色んな取組みも制度的に始まるという中で、この問題をどう適切に運用するかということだと思っております。具体的には法案の審議も踏まえた上で十分検討していきたいと思っています。

(問)今回の改正で恐らく下限割れ運賃については1年毎の認可なので確実にそこに審査強化されるのだろうと思いますが、運賃改定で全体が上に上がって取り残された形で新しい下限を下回っているものについてポカッと空いてしまうような状況が起きてますが、そこはどういうご見解なのでしょうか。
(答)運賃というのは元々申請主義ですので、他がもし仮に上がって上げないでいた運賃が、っていう意味で仰られていると思いますが、運賃そのものを強制的に変えることは手続き的には出来ないという点があります。その意味では、特に問題になっている安全の問題であるとかのチェック、現在もそういう取組みをしている訳ですが、そういう運賃の下で事業を行うことに非常に大きな問題が沢山出て来るということへの対応をしていかなけばならないと思います。ただ、下限割れでこれから運賃がどんどん上がるというような状況ではないと思いますけれども、運賃の格差が大きいような場合には問題があるのではないかという疑いというか疑念がありますから、そこはしっかりチェックをすると。特に労働条件、労働環境というところをチェックするということが必要になると思いますし、法律改正になれば特にそういうところを監視しなければいけないと思います。現に、附帯決議では指摘がなされています。そういう部分についてはしっかり対応していかなければならないと思います。

(問)帯広でエスカレーターの事故があり、女児が指を切断するということだったのですが、国交省として何か対応というのは考えておられますか。
(答)2歳の女の子が指を切断されたという大変痛ましい事故でございます。この関係については、建築基準法との関係でいくと特定行政庁と実際の行政の面で関係しているのは北海道開発局ですが、こちらの担当官も現地に入ってどのような状況だったのかということを確認しようとしています。まだその結果については聞いていません。

(問)路面下の空洞調査の関係でお聞きしたいのですが、前回の1回目の委員会で、陥没が発生するのが夏場に多いということで夏を前に見逃し等の疑いがあればチェックしようという話でまとまったと思いますが、14日に銀座の1箇所で行う予定をされていますが、周りからは1箇所だけでなく、複数箇所行った方が良いのではないかとの意見がある中で1箇所のみに絞った結論になっているようですが、合理的な理由があれば教えて頂きたいのですが。
(答)14日に現地で行う委員会で実際に確認してみようということですが、何処は調べないというつもりで絞っているものではなく、少なくとも場所を関係者皆なが同じ形できちんと確認するという形で取り組む訳ですが、必要に応じて他の場所も調べたりということ等のご意見が出れば対象を広げていっても良いと思います。殊更1箇所しか調べないということではないと理解しています。その辺は十分議論を尽くして頂けるように、実際に見てどうなのか疑念の無いようによく調べたら良いと基本的には思っています。委員会を持ち出して行うという形のことですので、それには制約もあるということだと思います。それ以上の意味は無いと思います。

(問)例えば2回目があったとしても、やはり1箇所ずつしか出来ないということですか。
(答)やり方とか、何をどの程度行うかということもあると思いますから、必要に応じてどのようなやり方で客観的な形で委員会で検証を行うのかということだと思います。色々可能性としてはあると思います。限定しているという意味ではないと思います。

(問)午前中に民主党が国交省の事業の事業仕分けを行い、担当課長と討論をしてその事業の必要性を民主党なりに判断するというものですが、対象となった7事業のうち2つが不要だと、廃止すべきだと。他にも改善が必要だとか、地方に移管すべきだとの厳しい評価になっているのですが、このことについて伺いたいのですが。
(答)私も具体的な仕分けがどのようになっているのかについてまだ報告を受けていませんので、議論の詳細を確認してからお答えをしたいと思います。申し訳ありません。2事業についてどのようなやり取りがあったかについて報告を受けていませんので確認をしてお答えしたいと思います。

(問)リニアについてですが、一昨日の大臣の会見でJR東海がとても丁寧に地元調整をしていると、皮肉なのか本音なのか分からない評価をなさっていましたが、特にルートに関して誰がどう見ても南アルプスを貫通させて直線で行くことが合理的というか経済的という中で、いくら長野県に対する地元調整が大切だと言っても、誰がどう見ても結論が見えていることについて丁寧に地元調整をするようにと、国交省の意向がかなり強いようですが、次官としては如何ですか。
(答)誰が考えてもと仰いますが、前から色々なルート案があり、そういう中でリニアのルートをどうするかということに関しては、関係の方はそれぞれ色々な考えをお持ちだろうと思いますので、やはり手順の問題というのは当然あるのだろうと思います。誰がやるか、例えば県がやったら良いじゃないかとか色々あると思います。ただやはり、こういうことを飛ばしてやったら飛ばしてやったなりに、次の手順に入るところで色々問題が出て来ることが起こり得る訳ですから、殊更何か意味もなく調整しなければいけないという趣旨では全くなく、必要な手続きはやってもらう必要があるだろうとのスタンスです。誰が考えてもいらないだろうと最初から決めてかかるのは、関係者の方からしてみれば自分達のところは何も意見を聞いて貰えないのかということに繋がるのだろうと思います。

(問)全幹法の枠組みを使っているとは言え、JR東海もきちんとした民間企業と言うか上場企業の訳で、あまり非合理な政治なり役所の論理で動き続ける訳にはいかないと思いますが。
(答)非合理ということはないと思っています。

(問)急がば回れとは言いませんが、そういうことだと。
(答)私は必要な手順だと思います。

(問)今の件の手続きの進め方のあり方についてお伺いしますが、基本的に今出している調査指示に対する報告書は、そこのルートに関する調整が済んだ上で国交省に出て来るのが理想ということになるのでしょうか。
(答)理想と言いますか、そこを正に調査して頂くのは調整ごとも含めて出して頂くことですから、今からこういう形でないと受け取らないということを申し上げることは全くないです。調査した中で、事業費がどれだけ掛かるかや、どれ位の需要に対して供給するのかや、技術的にも対応出来るのか等これらを調査して頂く訳ですから、やはり前提になるルートがはっきりしないとどの位事業費が掛かるかはっきりしないことになってしまいますし、そういう意味ではルートは当然のことながら調査の中で明らかにすると。明らかにする中身をこうでなければいけないと今から申し上げるようなことではないと思います。

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