事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年6月15日(月) 14:04 ~ 14:32
国土交通省 会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 事務次官等会議は特に私共の案件はございません。

質疑応答

(問)北朝鮮の核実験の関係で国連安保理が制裁決議を行いましたが、国土交通省としての対応等ありましたら教えて下さい。
(答)先週土曜日の朝早く、国連安保理で決議第1874号が全会一致で採択されたということです。この決議は、安保理の度重なる強い要求にも拘わらず北朝鮮が核実験を行ったことを受け、従来の決議第1718号で定められた措置に加えて、武器の禁輸、貨物検査、金融面の措置等について強い内容が含まれているということです。我が国としては、他の国々と連携してこの安保理決議を実行あらしめるように適切な対応を早急に行うことにしたいと考えているところです。この関係で、特に貨物検査の関係では新規の立法が必要になるのではないかということで、早急に関係省庁間で調整して決議を実行あらしめるような対応について検討する必要があると考えています。私共に特に関係するのはその点だと思っています。

(問)直轄国道の凍結18路線の解除について、先週末大臣が閣議後会見で18日から事業評価監視委員会で議論するとのことですが、その際には、幅広い見地から総合的にご議論頂くと、B/Cの議論とそこはまた違う部分があるのか現時点でその意味を伺いたいのですが。
(答)大臣がお話しされたように、今週18日から26日までの間に各地方整備局等でそれぞれ事業評価監視委員会を開催する予定になっています。委員会でどのように審議をして頂くかに関してはそれぞれの委員のご意見を勿論踏まえた形になるので、具体的にどういった議論がなされるかということを全部予測している訳ではありません。ただ、幅広く総合的なご議論を頂くということで、例えば必要に応じて知事さんから意見を頂くとか、現地の状況について委員会で現地の方に実際に出かけるといったことが予定されているところもあるようです。コスト縮減の内容であるとか、道路が持つ様々な役割についてご議論頂き幅広い観点から総合的にご審議を頂くことになるだろうと考えています。後は個別にそれぞれ委員の方がご議論されると思うので、私の方から具体的にどういったことかというのは、まだ審議が始まる前なので、後は審議の中で広範な形で審議がなされることになると考えています。

(問)北朝鮮の貨物検査ですが、海上自衛隊或いは海上保安庁がするのはどうかということが今議論されていますが、どちらが適任、妥当な任務だとお考えですか。
(答)これはまず政府内で相談をした上で、特にこの決議を実行あらしめる形でどのように取組むかということになろうかと思います。私共は海上保安庁が関係機関としてある訳ですが、やはり警察機関として必要な活動を行っていくということは当然あるだろうと思います。それがどういう範囲でどういう形でやっていくのか、それから他の機関との連携を含めてどのようになるかというのは、今後調整をしていく中で色々と私共も判断をし、また関係方面と相談していくことになろうかと思っています。

(問)大臣が先週の閣議後会見で、関西地方の観光振興についてキャンペーンを行いたいということを仰いましたが、現在の検討状況は観光庁でどのようになっているのでしょうか。
(答)これは大臣も正にお話しされたように、関西圏は今回のインフルエンザの関係では大きな影響を受けています。特に修学旅行ですが、この辺は非常に大きな影響の1つです。先週金曜日までの段階で修学旅行の取消しや延期は、主要な旅行業者の方への調査によれば、国内の修学旅行で2,306件が取消又は延期になっていると、海外への修学旅行では同じく先週の金曜日の数字では526件ということです。特に関西圏は国内の場合に目的地になっているということもありますし、関西圏から修学旅行に行くようなところもインフルエンザの影響もあってか取消したり或いは延期になっているものがあるようです。ということで、関西圏の観光関連産業の状況が非常に悪くなっているということであります。大臣はこういう状況の中で、旅行者の方が安心して関西を訪ねることが出来るように、特に影響の出ている関西についてビジット・ジャパン・キャンペーンによる観光魅力の海外への発信や、関西の方からも受け入れ側で色々な対策も講じていることについて色々と活動していくことも必要だろうと。そういう中で、ご自身も舛添大臣とも相談して関西に出向かれたいと、この前の会見の時に仰られました。未だ具体的にどういう内容で現地に赴かれるかは今後日程を調整してということになりますので、未だ今の時点でははっきり何時ということは申し上げられないところです。それから今、関西圏の関係では色々と必要な施策に取組んでいく話があります。今、観光庁で取りまとめをしております。関係の施策となりますと、観光とか集客のサービス等経済産業省とも関係するところがありますので、そういったところをまとめて出来るだけ早くに取りまとめをして発表をしたいと考えております。

(問)新幹線の関係ですけど、国土交通省とJRグループが海外への日本の新幹線の売り込みとか受注を目指して連絡会を設置したということなんですけど、進捗状況を教えて頂けますか。
(答)オバマ政権が発足して、経済再生策の取組みと併せて地球環境対策ということで、鉄道整備に非常に積極的な姿勢が示されているということです。今年の2月に成立した米国再生再投資法に基づいて、高速鉄道に80億ドルの補助金を充当するということが連邦政府レベルの動きとしてあります。その一方で、カリフォルニアにつきましては高速鉄道整備計画の具体化の動きがあります。カリフォルニア州の高速鉄道は、サンフランシスコからアナハイム、アナハイムというのはロサンゼルスからすぐ近くですが、そこまでの計画を第1期の計画として考えているところですが、昨年の11月にカリフォルニア州がこの事業について州の債券を発行する是非を問う住民投票を行ったところ、52.2パーセントの賛成で可決した訳です。また、今年の2月に日米の首脳会談がアメリカで行われた時に、米国の高速鉄道計画に対する協力をしていくということで日米首脳で合意したことを受けまして、今年の5月の連休の時に、加納副大臣がアメリカを訪問されまして5月4日にラフード運輸長官と会談を致しました。この中でラフード運輸長官に訪日を提案しました。また、政府関係者等からなる米国高速鉄道連絡会を設置をすることを決めまして、5月18日にその第1回会合、これは日本で連絡会議を開いた訳ですが、これを行ったところです。我が国として、アメリカ、特にカリフォルニアの高速鉄道計画になりますと、どういう形で、どういう技術基準で整備していくかについて、我が国が整備計画に十分対応出来る基準で計画が組まれていくということが、我が国の技術を活かしてもらうために必要になりますし、また色んなレベルで関係機関との協議、それから特に実務者レベルの協議を含めて必要になると思いますし、キーパーソンになるラフード長官も我が国を訪問して頂いて新幹線に乗って頂くということも申し上げておりますが、そういうことやセミナー等の取組みも必要になると考えています。因みに、サンフランシスコとアナハイムは線路延長で740キロメートルということで、丁度日本に引き直しますと東京から岡山位の距離です。ここをアメリカの計画では2時間40分、最高時速約350キロメートルで走行する鉄道を予定している、先方は2012年頃に着工して開業が2020年目標というような計画を立てておられますので、これから色々なレベルで我が国の新幹線技術を利用して頂くということに向けて取組みをしていきたいと思っています。

(問)連絡会はJRグループだけで民間は入っていないのですか。
(答)連絡会はJR関係と、メーカーというか施設整備の関係でいきますと、鉄道運輸施設整備支援機構の理事長だったり、それから全体技術の関係では財団法人鉄道総合技術研究所の理事長が加わっています。それから行政の関係では経済産業省製造産業局が参加をする、或いは、外務省経済局が参画をするというような形になっています。先程申しましたように色々なレベルでまた民間の車両、或いは施設の整備、それから信号関係、色々な産業関連がありますので、そういった所の参画や関係の民間との協議等、関係の方に入って頂く形で取組んでいくということになると思います。

(問)他省庁のことですが、厚生労働省の現役の局長が逮捕されたということがありましたが、ご感想をお願いします。
(答)報道で出ていることですが、捜査当局の捜査もまだ行われているということですので、事実関係は別に致しまして、ある団体活動をしている団体を公の立場で社会福祉活動をしているとの認定を行うことに関して公文書の偽造があったか問われているというものでありまして、そのこと自身について非常に重大な事柄だと思っています。行政が公の信頼を得て、法人の活動についてどういう活動であるか公に公証することは国民の信頼に関わることだと思いますので、この問題に関しては、事実関係が調査中ということは別として、重大なことと受け止めをしていかなければならないと思います。

(問)繰り返しになるかもしれないですが、日々お仕事をなさっている中で、与野党問わず政治家の先生方から色々求められることが多いと思いますが、そういう時はどうなさっていますか。
(答)行政の立場では、政治との関係はご要請等色々な形であり得ることだと思いますけれども、行政としての手順をきちんと踏んで対応しなければいけないということに関しては、そういう手順を踏まない限り進められないこともありますので、そういったところは行政として筋をきちんと通して対応することが必要ではないかと思っています。

(問)静岡空港の関係ですが、今回国際線で韓国のエアラインが乗り入れていまして、ソウルの仁川と日本の空港を結ぶ路線が全部で27になったということですが、これを見ると、地方空港の整備というのは逆にソウルの仁川空港のハブ機能を補完しているような形になっているように見受けられますが、その辺について次官にご所見をお願いします。
(答)27というのは全国の路線を足してということですね。これは成田や羽田が入っています。そういった意味では、成田、羽田、関空や中部といった所謂国際拠点空港と言われているものを別にすると、地方空港と言うのでしょうか、そういった所は23空港で全体週409便の定期国際旅客便が就航しています。特にアジアとの交流が最近盛んになってきているということもありますので、各地域とアジアとの関係を中心に幅広く行き来が出来るような受け皿としても地方空港を活用していくということを通じて、地域地域の結びつきが広がっていくことが望ましいということで国際航空ネットワークの展開の観点から進めていることであります。先程409便と申しましたが、韓国ソウルとの間は非常に行き来が活発でございまして、週に約120便程がソウルとの間を行き来しております。ですから、全体で409ですから約30パーセントのウェイトがあります。そういう意味で諸外国との行き来ということで考えますと、路線だけでいくと30パーセントですが、地方空港の数では、大体仁川国際空港は乗っているお客さんで40パーセントのシェアをこの地方空港で持っているということになります。一方で、成田国際空港、関西国際空港、中部国際空港の3空港では60パーセントのお客さんを担っているということです。ですから、地方空港の割合が非常に大きいということ、それからもう1つは路線数や便数が増加傾向にあるということで、そういう利便というものを更に向上させていくことも必要だと思っています。先程お話しが出ました、日本の各地の空港から仁川国際空港を経由して乗り継いで外国に出かけられる方が非常に多いのではないかと、国際ハブ空港としての仁川国際空港を地方空港が支えるような形になっているのではないかというご趣旨だと思います。実際に仁川国際空港経由で日本から出かけられた方が更に他の国に乗り継いで行かれるケースは、出かけておられる方の5.2パーセントで、人数で18万人という人数です。一方で、地方空港から成田国際空港、関西国際空港、中部国際空港を経由して海外に行くお客さんというのは、211万人おりまして、先程仁川国際空港由で他の国に行かれるお客さんが18万人ということですから、成田国際空港、関西国際空港、中部国際空港経由の方が約10倍位乗り継いで出て行く方が多いという数字になっています。ですから、一部は仁川国際空港の乗り継ぎを利用されていますが、そちらの方にシフトしているような数字ではないかなと思っています。勿論、出来るだけ行き来は便利に、お客さんが利用し易いようにネットワークを上手く使われるというのは大事だろうと思いますので、仁川国際空港経由で行かれることが適当でないということは全く考えていません。そういう利用も当然利用者の利便の関係であって、またそういう現実が存在するということは受け止めていかなければ行けないことだと思っています。乗り継ぎ等を出来るだけスムーズなものにして出かけ易い、或いは海外からのお客様を迎え易い形にしていくことが重要です。トータルとして、アジアとの交流が活発になっていますが、我が国とそういった所との行き来を盛んにしていく、そういうものを通じてそれぞれの地域も色々な形で経済面でも或いは人の行き来を通じた意味でも活力というものを発揮していくことが大事だと思います。

(問)例えば関西国際空港が北東アジアのハブ空港を目指しているということ、一方で関西国際空港に行く国内線が徐々に減っているという傾向もあります。人数的には確かに割合としては少ないということでしたが、関西国際空港に対する施策との違いというか、矛盾も感じることがありますが、その点についてお願いします。
(答)関西国際空港も全体の中では中国向けの路線を充実させています。そういう意味では、地理的な状況から言っても、特性を上手く発揮していくことは大事だと思います。一方で、ヨーロッパやアメリカに行く場合に関西国際空港から行っている便を利用した時に、時間の関係や方面の関係でどうしても成田国際空港に出て乗り継いでいく必要がある場合には成田国際空港経由も出て来るということで、そういうような所も関西国際空港から乗り継いでいく利便性を出来るだけ高めていくことは大事ではないかと思っています。空港毎に方面や特色を持ちながら、ネットワークの中での役割を上手く果たしていくといいますか、そういうことが必要ではないかと思っています。

(問)千葉市長選ですが、政治絡みのお話しでお答えにくいとは思いますが、建設省出身の技官の方が31歳の若い方に大敗なさったということですが、国土交通省の次官としてご感想をお願いします。
(答)これは選挙の結果ですので、千葉市民の方が、今のこういう状況の中で前市長がお辞めになった経緯も踏まえてだと思いますが、選択をされたことですので、このことは受け止めをして対応していかれるということだと思います。非常に若い市長が誕生したということですので、こういう状況の中で新しい市政に向け取組まれていくのではないかと思います。特にそれ以上に私の方からコメントを申し上げることではないと思います。

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