事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年7月2日(木) 14:01 ~ 14:31
国土交通省 会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 私から事務次官等会議の関係で特に申し上げることはございません。

質疑応答

(問)今朝、与党の整備新幹線のプロジェクトチームが会合を開いて、整備新幹線の建設の促進ということで、この後大臣の所にも来られるらしいんですけど、この整備新幹線は来年度予算に向けての動きだと思うのですが、改めて次官の所感をお願いします。
(答)今朝、与党整備新幹線建設促進のPTが開かれまして、私共から今までの検討状況等の説明を致しました。これを基に色々ご議論があったということです。その上で、PTにおいて3点の申し入れ事項がまとめられたということで、今日の夕方、その申し入れを国土交通大臣にもお持ちになられるとお聞きしております。昨年末の合意事項を受けて色々検討を進めるということで取り組んでいるところですので、今後とも与党と相談しながら適切に対応していきたいと考えております。今日の申し入れは、昨年末の合意を基にして更に前向きに検討を進め、かつ、そういうものを概算要求や、或いは年内の色々な手続きを進めることに結びつけてもらいたいという内容だと受け止めています。

(問)政府が昨日来年度予算の概算要求基準を決定して、その中で注目されていた公共事業関係費の扱いですが、結局3パーセント削減という方針は引き続き盛り込まれたんですが、この点についての国土交通省としての考えをお聞かせください。
(答)22年度の概算要求基準では、今お話がありましたように、公共事業等の経費は前年度比マイナス3パーセントということでありますが、もう一方で、経済危機対応等特別措置ということで3,500億円の枠が設けられたということです。併せて年末までの間に、経済状況も踏まえて特別措置の規模については年末の時点で決定することも謳われています。経済の底割れを防止するということで、経済を持続的な成長軌道に乗せていくことに繋がるような取組みが必要であると考えているところですが、こういう要求基準の下で、安全・安心、地域活性化や成長力の強化という課題に十分応えられるように予算要求し、また予算額の確保を図るということで取り組んでいきたいと思っています。

(問)その概算要求基準に絡んで、総務書が各省に対して、国土交通省に対しては直轄負担金の維持管理費分について廃止して欲しいということで、申し出というか要求があったのですが、この点についてどう考えますでしょうか。
(答)概算要求基準が設定される時に大体同じタイミングで、毎年総務省から地方財政との関係を中心に各省に対して要請がなされます。7月1日付けで総務大臣から各大臣に文書が出されていますが、形式的には、本日の夕方に総務省の方がお見えになるということも聞いております。その中に、直轄事業負担金のあり方の見直しということで維持管理費の負担について本来管理者が負担するべきものだということで、事業実施責任の明確化を図る観点から直轄事業負担金の中の維持管理費部分を廃止されたいと。去年も同様の文書で来ておりますが、こういう内容が入っているということで、この問題はつとに全国知事会との関係でも議論になっているところです。従ってこの問題に関しては、特に維持管理の関係は相当大がかりに全体事業の量とどういう関係になっていくか、併せて国と地方の役割分担に繋がることですので、この点は私共も検討を進めていかなければならないとの認識を持っているところであります。関係の省庁とも、それから自治体との関係でも、この問題についてどのように対応していくか考えて参りたいと思っています。前からこの問題についての意識を申し上げておりますけれども、申し入れを受けて引き続き特に財務省、総務省との関係が大きいと思いますけれども、検討を進めていきたいと思っています。

(問)新幹線のことでお伺いしますが、直轄負担金の地元負担金について与野党問わず見直しの議論が出てきていますが、新幹線の地元負担金はそこの中に入ってくるのか、それは全然違う世界のものなのか、そこはどのように理解されていますか。
(答)新幹線の負担金というのは、財源をどのように関係者間で分担するかというものですね。そういう意味では、構造的には通常の直轄事業負担金と変わらないという形にはなっていると思います。ただご承知の通り、整備新幹線については、このスキームをどのように作っていくかという中で、地方からの非常に強い要望があり、整備新幹線の整備を進めましょうと。どのように進めることにしましょうかという議論を経て、その経過の中で今のような負担割合や着工の前提条件をどのように設定するか、これには地方公共団体の意思も入る進め方の枠組みを作ったという経緯はあります。ですから、通常の公共事業の直轄事業負担金と経緯や経過が違っているということは実質的な意味であると思います。ただ、ご承知のように、現下の経済事情の中で地方も財政的に厳しい状況にありますので、そういう中で地方の財政状況との関係で整備新幹線の整備を進めるに当たっての地方の負担というのはどのように考えられるか、またそのことについて負担軽減ということが出来ないかという点については地方からも声がある訳でございます。そういう意味で、申し入れでも早期完成と地方負担軽減を内容とする概算要求をするということが申し入れの中に書かれていると理解をしております。形式的には同じですが、この問題は整備新幹線をどうやって進めるかという議論の中でないと解決出来ないという問題かと思います。直轄負担金問題を全般的に議論することとは、形式的には類似でも実質的には異なる問題であるという、その実質の中身のところを上手く整理しないと進められないという構造になっているということかと思います。

(問)それはもうちょっと言い換えると、欲しい欲しいと言うのならばある程度負担してもらわないと困るよというのが原則ということですか。
(答)そういう風に申し上げているというよりは、整備新幹線を整備するということは地元も相当色々な意味で経済的な面で大きなインパクトになるということがあるので、従前よりどういうスキームの整備をしていこうか議論を積み重ねてきたということでありますから、そういう経過の中でこの問題を整理していかなければ、既に整備がほぼ終わった地域、完成した地域も含めて整備新幹線の整備をどのように進めていくかの議論の中でどういう扱いをしていくか決めていくことだと思います。一般的な直轄事業負担金の問題も個別個別でいくとそういう問題になるのかもしれませんが。直轄事業負担金と同じ扱いで決まっていくというよりは、特に整備新幹線の予定されている地域の方との関係ではそういう経過も踏まえて整備新幹線についてどう進めるかというテーマとして検討する必要があるのだろうと。現にそういう意味で与党の中でPTが設けられたりということでございます。

(問)総選挙が近づいている中で、昨年12月の政府与党合意の有効性について、もしも民主党が政権を取った時にその政府与党合意の有効性というのはどのようにお考えですか。
(答)それは政府与党のワーキンググループというものですので、政治的枠組みが替わったときには当然意味合いが変わって来るということになると思います。私は政治の枠組みが変わることがあるということを申し上げている訳ではなく、仮定の問題として「そういうことになれば」ということでして。そうなるとやっぱり性格付けは変わるということになると思います。

(問)もちろん16年合意も変わると。
(答)16年合意が変わるんじゃなくて、16年合意はあるんでしょうけれども、あっても意味合いが変わるということなんでしょうかね。

(問)概算要求に関して、時期的に各党のマニフェストが出て総選挙と時期が重なる訳ですけれども、例えば新規事業の扱い等は各党のマニフェストとの兼ね合いみたいものを考慮されるのかどうか、国交省として必要なものは新規で要求していく形になるのか伺いたいのですが。
(答)行政は連続性がありますから、今まで手掛けて途中までやりかけたものは仕上げていく方向で、当然政治情勢が変わった場合は変わった中でご相談していかなければならないと思います。仮にそういうことではなくて、新たに大きな柱でこういうことをやらなければならないというような政治情勢になるとすれば、それはやっぱり政治情勢を踏まえた形で取組まなければいかないと。ただそのタイミングはどうかということで、我々が色々想定してそういう方向で舵を切っておきましょうというようなことは出来ませんので、それはその時の政治情勢、仮に変化が起こるとすればそれに応じた形で対応していくことになると思います。ですから、政治情勢にしっかり応じてということになると思います。一方で、出来るだけ今まで取組んできたものについてはしっかり結果を出していかなければならないということもありますので、要請があった場合でもそういう方向で今までの取組みを生かすことについてよく説明をしていかなければいけないということになると思います。

(問)在来型新幹線の北米への売り込みの話ですが、一昨日でしたか、JR東海の葛西会長がワシントンに行かれてアピールなさったようですが、JR東海が先行してアピールしていることについてご所見をお願いします。
(答)アメリカ合衆国政府では鉄道の位置付けを重要視されておられるということで、今年の2月に日米首脳会談で麻生総理がアメリカに行かれた時にも、また今年の5月に加納副大臣が連休の時だったと思いますが、運輸長官に会われて、新幹線鉄道技術について日本から協力をしていきますとお話をしたところです。今回JR東海の葛西会長がアメリカに行かれてラフード運輸長官とも会われたということでもありますし、また講演された機会に日本の新幹線技術というものの優位性について説明されたということであります。こういった取組みはアメリカに対して有効なプレゼンだったのではないかと思っています。勿論、それぞれ言われる方によってどういう技術が一番良いのかということはあるかもしれませんが、基本的に合衆国が求める鉄道に対する要請に出来るだけ私共の鉄道技術が応えていけるような対応をしていきたいと思っていますので、色々な形でアプローチ、プレゼンをしてそのことが受け止めてもらえると非常に望ましいことだと思います。また、政府としても、国土交通省としても色々な取組みと連携しながら進めていかなければならないと思っています。

(問)JR東海がアメリカに売り込むという姿勢は特段問題ないというお考えですか。
(答)セールスには行かれているようですが、具体的に成立するとかしないとか今の段階ではないと思いますから、何処で整備するかというとカリフォルニア州等含めて相談事はあると思います。私共は向こうの要望に応えられるようなものであれば、そういうものを実現すべく努力していかなければならないと思っていますので、こういう形では駄目だとか、こういう形に限るとかということではないと思っています。全体のシステムの評価ということで他の国の仕様と比べてこちらの方が良いということになれば、あるいは何か特色を発揮したいということであればそれぞれ対応しなければならないと思っています。

(問)みんなで仲良くやろうというのではないですか。
(答)色々な要望が来た時に柔軟に対応するのが大事だと思います。私も申し上げているのは、先方が求めることに応じたものでないと、先方がこういうものが欲しいと言っても、それよりもオーバースペックのものでこれが良いと言ってみてもなかなか相手と擦り合わないということになれば、そこは色々と知恵を出しながら対応していくことも必要ではないかと思います。その中では国土交通省も役割を果たさなければいけないと思っています。

(問)昨日、JALの西松社長が国交省に来て経営改善計画について説明されたのですが、その中に盛り込まれていた路線の見直しについてですが、西松社長が不採算路線についてダウンサイジング等の工夫をしながら路線の維持を図っていくことを検討していきたいと説明しています。国交省として、路線の見直しについてダウンサイジングをしてでも維持していくと考えるのか、採算が見込めない路線は一切やめるべきだと考えるのか、非常に大雑把な聴き方ですがどちらを重視すべきですか。
(答)航空企業が需要に対して色々なサービスを提供していけるか、また色々な競争を通じて非常に質の良いサービスが展開されお客さんにも満足してもらえるということが一番望ましい訳です。今特に、需要が経済の影響や他の事情で落ちたりといった波動がありますが基本はそういうことだと思っていますので、日本航空が経営的に厳しい状況にあることに対して金融支援をしていきましょうと考えていますが、そういうことも通じて、サービスの提供を競争原理の下で適切に発揮して頂きたいと考えています。そういう意味では、出来るだけ求められるサービスに応じていくということでお願いしたいと思っています。勿論今申しましたように、現下の経営状況が厳しく、需要が極端に落ちてしまったり、或いは新型インフルエンザ等の関係で外国からのお客さんが急に減ったりという状況があったりしますので、経営的な負担が増えるというようなことがあれば、そこは少し軽減するような工夫もしていく必要があるではないかという場面は当然あるだろうと思っています。ただ、日本航空の経営が成り立つならば、路線がどんどん無くなる、運休したり、便を削るというようなことで良いかというと、極端にいけば最終的には飛行機1機で何処かの2地点間だけを飛ぶようになりましたということで良いかというとそうではない訳で、それなりのネットワークを張ってサービスが出来るようにやっていかなければならないと思っています。具体的にこういう地点は今ある機材で考えるとなかなか対応が非常に難しくて、例えば供給が十分対応出来なかったり、或いは場合によると供給出来なかったりということを通じて少なくとも持ち堪えられるとか、或いは他のサービスの維持が可能であるというような場面が出てきた時には、ある程度そういう対応もしていかなければならないと思います。今減便や色々なことがあるのも基本的に減便が良いことだという訳ではなく、減便は、将来的な航空輸送というものをきちんと維持していくために現下の状況で必要だということであれば、勿論その場合でも内容が色々ありますが、ある程度やむを得ない所は減便したりということが出てくることはやむを得ないだろうと思っています。しかし、需要がある限りはそれに対応していけるよう出来るだけ企業体質も強化しながら対応して頂けるようにして頂きたいと、そのことを国としてもサポートしていきたいというところです。

(問)分かり易く言えば、今の古い機材なり大きな機材で対応出来ない路線を小さくて新しい機材で対応出来たら対応していく。そのために穴が空いた分は公的資金注入で賄いますということで良いのでしょうか。
(答)全体的にそうですとは言えないところはありますが、機材の点は燃料効率の良い機材に取り替える。もう1つは需要に応じてサイズを見合うものにすれば十分ペイするというようなことになれば、そういう体制で臨むということが一番当てはまることがあるだろうと思います。そういう体制にしていくことは望ましいですが、これ全部をそういう体制にするために国側が必要な経費を全部賄うことが出来るかというと、それは元々民間企業が経営する中でのことですので、直接的に国がそのことに対して財政支援をするという訳はいかないと思っています。ですから、経営の理念としては需要に上手く対応して機材の型を揃えたり、ただ色々な機材を揃えると逆にコストが余計にかかることにもなりますので、その辺の兼ね合いをどのように持っていくのかという点は色々工夫して頂きたいと、知恵を絞った上で色々な対応が将来に渡って講じられるようになって貰いたいなと。そのためには、多少その過程で大きな波が来ているということもありますので、その辺を乗り切りながら、そういう体制への切り替えを必要なことについての支援なりについては我々も協力しましょうということだと思っています。

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