事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年7月23日(木) 14:03 ~ 14:33
国土交通省 会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 次官等会議の関係で特にご報告する案件はありません。

質疑応答

(問)山口県防府市の集中豪雨災害ですが、これまでの国交省の対応をお聞かせ下さい。
(答)7月21日からの山口県を中心とした記録的な大雨が記録されたということで、特に山口県においては非常に大きな人的被害が発生したということであります。今の時点で消防の発表されたものを受けますと、山口県で死者8名、行方不明者9名ということであります。一連の関係で床上・床下浸水も相当な数に上るという状況で、特にその中で特別養護老人ホームの方が亡くなったということ、或いは土砂崩れで道路に土砂が被りその関係でお亡くなりになったということがありました。災害で亡くなられた方に対しては謹んで哀悼の意を表したいと思います。ご冥福をお祈り致します。また負傷された方々につきましても一刻も早く回復されることを祈っております。なお行方不明者の方がまだ9名おられるということで、その捜索に力を入れる必要があると思います。関係の現地の消防或いは警察、自衛隊関係の方を中心に行方不明者の捜索活動も行われています。またまだ災害現場で復旧の関係もあります。その辺の関係についてもそれぞれ取り組まれています。国土交通省としては、災害対策用のヘリコプター2機を山口県に出動させました。また現地にTEC-FORCEを派遣し、災害の緊急調査を実施し、その他に照明車や排水ポンプ車等も被災地に派遣をし、それぞれ活用してもらう体制にしています。それから、特に防府市を中心に山口県で発生している土砂災害については中国地方整備局からの要請があり、国土技術政策研究所の砂防研究室長他2名の土砂災害専門家を現地に派遣し、技術的な助言等も行っているところです。道路関係では、今日9時現在での中国地整管内では、高速道路の1区間、直轄国道1区間及び県管理道路67区間で通行止めという状況です。この内高速道路の1区間、中国自動車道については、2箇所で土石流で被災されていますが、今復旧作業中です。一刻も早く復旧をしたいと思っています。また、直轄国道の通行止め、国道191号線については、本日15時に片側通行を確保する予定です。鉄道の関係は、JR西日本の宇部線で線路のバラストが流出したということで運転を休止していますが、今復旧作業をして明日までに運転を再開する見込みです。昨日も政府の災害対策関係省庁連絡会議が開かれ、行方不明者の捜索救助に全力を挙げるとともに引き続き情報収集及び伝達を行うと。また地方公共団体とも連携して応急対策復旧等について政府一丸となって対応するということが確認されたところです。私共もその中で対応していきたいと思います。なお色々な報道で、気象情報を踏まえて土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域内にある災害時の要救護者施設、災害時に救護を要する施設について情報の伝達をするというシステムになっていますが、今回の災害では十分生かされたのかというような問題等の取り上げがあります。現在は行方不明者の或いは災害の復旧の対応等をまず活動しなければなりませんが、その辺の問題についても災害復旧等を当面行う行動の上で色々と検証もしていかなければいけないと考えています。今回の災害関係は以上です。

(問)昨日、東北地方整備局で凍結国道の事業評価監視委員会が開かれ、事業継続は妥当という結論が出て3月末に一時凍結を決めた18路線の再評価作業が全部終わった訳ですが、一時凍結を決めてから今回の再評価作業を終えられて17路線が継続妥当となったのですが、一連のこれまでの過程を振り返って道路整備のあり方等について次官のご所感をお聞かせ下さい。
(答)昨日、東北で都南川目道路、一般国道106号について事業評価監視委員会が開催されたということで、事業継続が妥当というご意見を頂いたところです。この詳細についてはまだ報告を受けていませんが、今後この委員会の審議結果或いは知事の意見も踏まえて大臣ともご相談し、その上で対応したいと考えています。そういった意味で18事業について、1事業については昨日の委員会を受けてということですが、18事業全体についての評価監視委員会レベルのところは終わったというところです。私共色々なご議論もある中で、所謂3便益ということで今までに取り上げてきたものに加えて、3便益以外の問題についても色んな便益があるのではないかということのご議論がありました。このことについては私も会見でも申し上げましたが、やはり3便益以外についても私共費用便益分析マニュアルでも、そういう問題についてはどういった形で所謂評価が出来るかということの課題にはあたっているところですが、やはりそういったものの積み上げ、ある程度基準に持って行くことに向けた色々な検討もして行かなければいけないと思っています。今回も、一部の区間でそういう判断を評価委員会等からもして頂いたものを受けて、事業継続ということを私共も判断した部分がありましたが、そういう問題をより具体的に明らかにしていけるような努力が必要かと思っています。また、今回の取組の中では所謂コストの削減の関係で、4車線のところを2車線にするものもありました。今回の東北の案件もそういった内容で委員会の方で検討されたところですが、こういうコストの削減のところに関しても、18事業に関して色々な議論がなされたということで、こういった所謂対応の仕方ということについてもしっかりと積み上げていかないといけないことだと考えているところです。今回の18事業の色々な議論を踏まえて、やはり道路に関してこのB/Cという問題をどのように考えるかということについての、我々として関係者との色々な関係の理解というか、どのようにしていったらいいかという判断を、どのように公正に作っていくかということを我々は経験をしたということにもなるので、これは先々の問題に関する対応として活かしていかなければならない。また色々とそれぞれのご批判頂いている内容についても特に便益の評価であるとか、そのような問題についてもしっかりと我々はより具体的なものになるような努力をしていかなければならないと思います。

(問)次官としては今日のこれが最後の会見となるのですが、この1年間を振り返って事務方のトップとして一番印象に残ったこと等も含めて、次官としての在任中の何か感想がありましたらお聞かせ下さい。
(答)丁度1年と1カ月弱でしたが、私も当初就任する時の会見の時にもこれは職員の皆さんにも申し上げたところで、3つのことを大事な課題として申し上げました。1つは公務員の規律の保持の問題です。2番目は国民が真に求める施策を実現するということ。3番目は私共の勤務の仕方、勤務環境といったものを改善しながらしっかりと仕事をしていくことにする必要があるということで申し上げました。特に規律の関係では、丁度私が就任してからタクシー券の使用の問題や或いは公用車の使用の問題等があり、また北海道の河川関係では北海道局長が逮捕、起訴といったようなことで、裁判で厳しい判決が出たといったことがありました。また北海道の関係も含めて、所謂公用車の契約に関わる談合ということで公正取引委員会からも厳しい処分及び国土交通省に対する指摘もなされたといったこともありました。そういった意味では、まだ色々な意味で私共が襟を正していかなければならない。また国民に信頼をしてもらえるような取組をしていかなければならないということがまだ色々と起こっているし、またそのことは1つ1つしっかりと具体的な事実も明らかにしながら、併せて行政の無駄や或いはその不適正な支出に繋がることはないかというような問題も含めてしっかりと対応していかなければならないことが多いと感じています。真に求める施策の推進ということでは、私もこの会見で随分色々な問題、ダムの問題もあったし今日もお話で出た道路の関係。またその中では高速道路の料金の問題も多く取り上げられたところです。また、そもそも道路に関しては特定財源の一般財源化ということも節目の丁度切り替わるところの時期もありました。そういったものを色々と通じて、やはり国民に理解をしてもらうということに向けて我々がどういった取組が出来るかということについては、国土交通省として非常にしっかりと対応していかなければならないということがまだ多くあると思っていますし、記者会見の中でも色々な対応について厳しいご指摘を頂き、我々は真摯に色々な関係者の声を、また国民目線でで受け止めをして、それに対して成果を出していけるように取り組まなければならないということをずっと感じ続けてきたところです。なお、そういう問題は地方分権や直轄負担金等の問題も含めてございますけど、そういう意識で取り組んでいかなければならないなと改めて感じた次第です。最後の勤務環境の問題は、前に関連して申し上げたことがあるのですが、最近もたまたま書類の整理で休みの日に来ましたら、課によっては課の3分の1近くの人が出ている課もあるということを職員から聞いて、仕事の環境も事務が増えたところがありますけど、そういうところに関してはもう少し事務処理の仕方を工夫していかなければならないなと感じた次第です。皆さん方には色んな形で、国土交通省は案件が非常に幅が広いものですから、毎回色んなテーマで厳しいご指摘、或いはご指導頂いて、そのことを我々も受け止めをして取り組んだということは大変感謝を申し上げる次第です。また引き続きましてよろしくお願い申し上げたいと思います。私に関して言えば、皆さん方から色々と頂いたご指摘とかご叱責とかは非常に、私共の行政の中でもそれを糧に取り組んでいくことが多かったと思っております。改めて感謝申し上げます。

(問)今日は福知山線事故で、JR西日本で処分を行ったんですけど、歴代社長で南谷さん以降の方が入っているんですが、例のカーブ付け替えで山崎さんが鉄道本部長の時に社長でJR西日本発足以来ずっと経営に関わっていた井手さんとか入っていなかったんですが、この処分内容をどう受け止められますか。
(答)今日の10時30分にJR西日本で役員の報酬返上を発表されたということです。過日社長交代ということで新しい体制が発表され、その中で山崎社長に関しては在宅ではありましたけど、起訴されるということを受けて改めて関係者の処分を行ったということだと思います。具体的な処分の内容等発表されたことは承知しております。このことについては会社として福知山線事故を重く受け止めた処分と考えております。その内容がこの程度では生ぬるいとかそういう類のことは私から特にコメント申し上げるものでもないと考えております。これまでも事故が起こった2月位のところで、事故当時の取締役、監査役、執行役員の報酬返上は行われましたが、それに加えた形で今回また歴代の代表取締役社長、それから事故当時の取締役、執行役員、現在の常勤取締役、或いはグループの取締役、執行役員に対しても全体として返上をまた更に加えたということであると思っています。そういう姿勢は、会社がこういう形で企業風土の変革に取り組んでいくということであったことは受け止めをしているところです。

(問)ご遺族の方で、山崎さんが起訴された時も、山崎さん1人で責任を負わせるなということで歴代の社長、特に井手さんはちょっと関わっていた訳で、何故責任を問われないんだという方が多かったんですが、特にそれはもう労働契約とか打ち切られているから仕方ないと。
(答)おそらく起訴の点は刑事の業務上過失致死という罪状との関係で判断をされたものだと思いますので、それは形式的にどうというよりも実質的な責任とか結果に対する予見性とかの類のものを総合されているものだと思います。どの役職のどういう人が比較して対応が厳しい処分なり、刑事の告発、起訴という形でバランスがどうなのかが議論としてあると思いますが、それはそれぞれの事柄に応じてそれだけの理由を付けた形での処分であったりということだと思いますので、そのことについては色んな声があると思います。それぞれの目的、趣旨に沿った形での対応になっているんだろうと思います。それ以上逆に、ルール、基準、ものの考え方、根拠等を超えて色々と議論という訳にもなかなかいかないところはあるかと思います。遺族のお気持ちも色々あるんだとはもちろん思います。

(問)伊丹の件ですが、また今日管制トラブルを起こしまして、元々大型機が降りた時は一つの滑走路を横切らなければならない構造になっていて前にもこういうことがあって何度も対策が出されていますがまた起きてしまったということで、そもそも横切らないような構造にすることを中長期的には検討されるようなことを前に仰っていますが、今のところそういう形跡があるとも思えないのですが、構造自体横切らない形でやるということを考えていかれないのでしょうか。
(答)今日起こった件は重大インシデントになる訳ですけれども、伊丹は滑走路が確かに2本ありまして今日起こった事案というのもA滑走路という短い方の滑走路に日本エアコミューターの便が進入中にB滑走路、長い方の滑走路ですけれども、ここに着陸を既にして駐機場に向かっていたジャルエクスプレスの便が短い方の滑走路に進入したということで、着陸態勢に入っていた日本エアコミューターの便が着陸復行、着陸を中断をして、また復行したという事案です。滑走路の横断ということがあったということで、伊丹空港については滑走路の横断の問題、それから閉鎖している滑走路に対して着陸の指示をしたということ含めて19年9月から21年3月にまた重ねてそういうことがあったということで既に最近で4件ある訳です。その中で本件が発生したということで、特に今年3月に発生した時には現地にも管制トラブル対策チームが行きまして、管制中心にそういうチームが行き色々な検討もして、今その検討も整理しているところもありますが、仰られるように滑走路を横断するというのは一番危険な、着陸機なりとの衝突ということが起こりかねない非常に重大なことですので、今日の事案が起こったということを受けて、一般的な改善策はその他にも滑走路誤進入対策の検討会議も設けて色々検討して、或いは分科会も作って、特にコミュニケーションの問題だとか視覚的にそういうことが起こらないようにするということも検討を進めておりますけれども、それはそれとして伊丹についてはやはり相当思い切ったことを、こういうことが4回起こった上にまた起こったということがありますから具体的なことは至急の検討をしてもらうようにお願いをしました。例えば手順、手間等時間がかかることがありましても、管制官からの指示について復唱してもらってもそのことを確認してからでないと航空機が動かないような形を徹底する等そういう手順を含めたことを伊丹空港については少なくても当面的に何か考えなければいけないのではないかということを担当課長にも指示をしました。何らかの形で一般的な対策は伊丹空港も滑走路に入る前の管制官がそこで停止というような時には赤いランプが滑走路の手前の誘導路の所に点くというようなそういう機器の整備も至急に図る必要があるのではないかということを今言っておりますけれども、それだけではなくて手順的な、すぐにでもできることも考えて欲しいということを担当に指示しました。仰られるようにこういうことが、似たような形のことが徹底できてないということは大きなことだと思います。これは管制だけではなくてエアライン側も管制とのコミュニケーションで十分な共通の対応ができていないというようなところがあるかと思いますので、そういう関係者間で特別の手順を考えるということも含めて、至急に伊丹空港の安全対策ということで取組む必要があると、こういう風に感じております。

(問)運用のあり方を抜本的に変えるというようなことは今のところ検討されないのですか。
(答)運用のあり方を抜本的にというのは、例えば今の伊丹の短い方の滑走路の使い方のルールを、というようなことも課題としてはあるかもしれません。特にこれはターミナルビルに向かうのに必ずA滑走路を跨がないとそこに辿り着かないという構造になってますから、確かに空港として運用上の非常に大きな制約になっていることは確かだと思います。ただそういう風に行く前に、今すぐ運用上の問題としてどういう工夫ができるか、特に今起こっているようなことが現場でまた再び起こりかねないということを具体的に考えて手順を一つ増やすようなことを伊丹については特別に、これはエアラインの方には全部きちんと航行警報というのかそういうものを出した上で徹底を図らなければいけませんけれども、そういうことも検討したいと思っています。それを今日指示したところです。

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