事務次官会見

谷口事務次官会見要旨

2009年8月31日(月) 15:00 ~ 15:22
国土交通省会見室
谷口博昭 事務次官

閣議・閣僚懇

 今日は事務次官等会議がございましたが、当省に関係するものはございませんでした。私からは以上です。

質疑応答

(問)昨日の総選挙で政権交代が確実となりまして、まず選挙結果に対する次官のご感想と、今まで仮定の話でしたが民主党がマニフェストで掲げた高速道路の無料化、或いは八ッ場ダムの中止というのがこれから現実のものとなって動き出すことになると思いますが、こういったことについての今後の取組み方、対応の仕方がありましたら教えてください。
(答)まず選挙結果についてですが、厳粛且つ真摯に受け止めております。政権交代、国民の多くの信任を得た新しい政権の発足ということになる訳ですので、政策の転換、或いは政策決定過程、また政策遂行過程等の変革が求められると思いますが、具体的な対応につきましては新しい大臣のご指示を頂きながら、またお考えをお伺いしながら適切且つ適確に行政の役割を果たしていければと思っています。また、事務次官として、事務方トップとして責任の重大さを痛感しているところです。高速道路の無料化については、マニフェストで原則無料化して地域の活性化を図るとされておりますが、具体策では割引率の順次拡大等の社会実験を実施し、その影響を確認しながら無料化していくということで示されているところです。具体的な対応につきましては、先程と同じですが、今後新しい大臣のお考え、ご指示を頂きながら総合的に検討していきたいと思っています。また、八ッ場ダムにつきましては今日財務省に概算要求を提出したばかりというところであります。その際、河川局からご説明させて頂いたと思っておりますが、八ッ場ダムにつきましては、治水・利水両面から必要な施設として関係の都県、また地元のダム予定地の首長等から早期完成を求められているということでありまして概算要求させて頂いているところです。新しい大臣に対して、こうしたこれまで進めて来た事業の経緯や考え方についてしっかりとご説明させて頂きたいと思います。その上で、新大臣のお考え、ご判断を頂いて大臣の指示に従って国土交通省事務方としてしっかりと、遺漏のないような対応をしていきたいと思っています。

(問)政権交代に関連して、民主党からは補正予算の執行を停止するという話もしていますが、国土交通省として影響があり得るような今回の補正予算があればどういう対応をしていきますか。
(答)新しい政権のお考え、方針が示されれば対応したいということが基本的な姿勢だと思います。当省としてこれまで民主党でご指摘して頂いていることを今想定するならば、基金の関係、総合政策局の関係であったかと思いますが、もう1つは合同庁舎の関係も予算があるかと思います。具体的な方針が示されればこれまで説明している状況をご説明しご判断を頂きながら、ご指示を頂きながら適確に対応できればと思っています。

(問)今回の選挙の結果について、民主党は脱官僚主権、或いはコンクリートからモノへの投資というキャッチフレーズを掲げてこれだけの支持を得たと。つまり、これまでの国土交通省が行って来た行政に対しての厳しい評価ということも言えるかと思いますが、次官は今回の示されている国土交通省のこれまで政権与党と一緒にやって来た政策に対しての評価というのはどのように受け止めていらっしゃいますか。
(答)これまでも政権の枠組みの中でその時々の大臣のご指示を頂きながら対応させて頂いたということですが、就任の時にも申し上げましたが、3点申し上げたと思います。そのうちの1つの国民の信頼の回復ということを申し上げましたが、残念ながら国土交通省、幅広い多くの仕事をやらさせて頂いておりますが信頼を得られて来ていないと指摘されています。今ご指摘頂きましたような国土交通省に対する批判を謙虚に、真摯に受け止め、今後も同じような批判を受けないように、また国民の期待に沿って信頼回復できるように新しい大臣のご指導を頂きながら対応していきたいと思っています。

(問)国民の批判、或いは不信というものは具体的にはどういうところに向けられていたものだとお考えですか。
(答)国民の不信の多くは、無駄が多い、コストが高い等の批判が多かったのではないかと思っています。また地方分権という点もあります。私も現場で事務所長をさせて頂いていましたし、また整備局長をさせて頂きました。就任の時、現場との距離感を縮めると申し上げましたが、私も最近になって直接お聞きしている訳ですが、直轄、国というのが思った程敷居が高いというご批判も直接お聞きしたりしています。そうした現場との距離感を縮める中で皆さん方にご理解頂けるよう知恵なり汗をかいていきたいと思っています。

(問)昨日の今日ではありますが、民主党と何らかのコンタクトは取ったのでしょうか。
(答)今のところ私は直接取っておりません。しかし現実冒頭お話しさせて頂きましたように、政権交代、民主党を軸とする政権ということになる訳でありますので、出来ますれば新しい政権の幹部に直接お会い出来るようにご挨拶を兼ねてと思っています。

(問)先程冒頭で仰られた次官会議についても今後見直すことを検討していると言われていますが、次官ご自身のこれまでの職業人生の中でかつて経験したことがないことの1つではないかと思われますが、次官ご自身の個人的なご感想で結構ですが、これからの流れを見てどのような感想をお持ちですか。
(答)私も次官に就任して1ヶ月と1週間になりますが、まだ他の事務次官と比べて経験も深くない訳ですが、事務次官会議が担ってきた役割というのは幅広い仕事を縦割りという批判も頂いていますが、調整するという一つの目標が設定されているということでありまして、そうした役割が何らかの形で担保されることが重要なのではないかと思っています。しかしながら政権の方で官僚主導から政治主導と言われていますが、そうした中でこれまでの事務次官会議廃止ということになればそれに従って私の役割を果たしていくということに尽きるのではないかと思っています。

(問)高速道路無料化についてですが、新しい大臣の指示に従うということですが、一方でこれまで国交省としても値下げ、或いは無料化についてマイナスの影響も含めて検討をするというお話しもあったかと思いますが、そういう説明は改めてされるお考えですか。
(答)そうした機会が頂ければ、前々の会見でもお話しさせて頂きましたが、現在実施中の料金値下げにおいて地域への効果が見られるというプラスの効果の一方で高速道路が渋滞するといったような交通状況もありますし、競合する交通機関への影響等について様々な指摘も頂いたということでありますので、そうした実績も踏まえご説明しながら総合的に検討させて頂きたいということを申し上げたつもりです。そういったことを新しい大臣にお話ししながら、その上でお考えを伺いながら大臣の指示を仰ぎながら対応させて頂きたいと思っています。

(問)午前中に概算要求について省議が開かれたと思いますが、その場で民主党の予算の組み替えについて何かしら話題に上ったのでしょうか。もう1点ですが、八ッ場ダムについてですが、先程事業の経緯をしっかりご説明したいというお話しでしたが、その中には八ッ場ダムの必要性といったものをご説明するということになるのでしょうか。
(答)最初の質問ですが、省議という場においてはそういう意見はございませんでした。2つ目につきましてはどのようなタイミングで新しい大臣にご説明させて頂けるかということもございますが、これまでやってきました事業の経緯を説明するということは当然八ッ場ダムが担っている、先程ちょっと触れさせて頂いたつもりですが、治水・利水の役割についてもお話しさせて頂ければと思っています。

(問)直轄負担金の問題ですが、今月中とされていた自治体への請求問題と今後の制度見直しに対する考え方を伺いたいのですが。
(答)直轄負担金につきましてはこれまでの考え方を踏まえ今日締め切りの概算要求はさせて頂いたということであります。また政府全体の方針というようなことが変わるということであれば、新しい大臣のご指示を頂きながら適切に対応していきたいということであります。

(問)今年度分の問題は如何ですか。
(答)今年度分につきましては当面維持管理分の直轄事業負担金が知事会から言われているということでありますが、一部の事項だけ取り上げるということではなく、関連する制度との関係全体を整理した上で、検討調整していく必要があるということですので、今時点でどうこうということを申し上げる段階には到っていないということです。

(問)高速道路と八ッ場ダムの件で色々経緯をご説明するとお話されてましたが、局の担当者ではなくて次官が自ら大臣に直接説明していきたいということでしょうか。
(答)どういうスケジュールで、どういう段取りでということはあるかと思いますが、当然、私から最終的に何らかの形で大臣にご説明させて頂くことになるのではないかと思っております。一義的には河川局ということになるかと思いますが、当然、私として最終的に事務方トップとして大臣にお話させて頂きたいと、私としては希望しています。

(問)新政権の発足まで暫く時間があると思うのですが、それまで国土交通省としてこういう準備をしたいとか、先程民主党幹部にお会いしたいと仰いましたけど、それも含めて新政権発足までの国土交通省の対応をお聞かせ願えますか。
(答)先程お話させて頂いた通り、マニフェストなり、政策集INDEX2009がありますので、それぞれのところ、司、司で検討をしてきていると思いますし、現実に政権交代ということになりましたので、更に精度を上げて検討を深めていくということではないかと思っております。また、政権の枠組み等が見えてくれば、先程申し上げました挨拶の中でご指導頂くということもあるのではないかと思っておりますし、またそうした機会がなくとも、何らかの検討をし、検討状況の説明ということも求められるということではないかなと思っております。

(問)八ッ場ダムの件ですが、特に説明するという話もありましたが、今回9月に八ッ場ダムの入札が予定されているんですけど、それはそのまま行うんですか、それとも1回止まるということもあるのでしょうか。
(答)なかなか難しい情勢になってきたのではないかなと思いますが、こうした選挙結果、政権交代という情勢の変化を踏まえて、スケジュール等も勘案しながら、必要に応じてどのような対応が良いのか、どういう対応が適切なのかを考えていきたいと思います。

(問)話題が変わって恐縮なんですけど、次官の座右の銘は何でしょうか。
(答)次官になって1ヶ月と1週間ということを申し上げましたが、技監の時に頂いたものを部屋に飾っておりまして、それは中国の諺になる訳でございますが、湯島の聖堂の方の99歳とお伺いしてますが、「将(おく)らず迎えず応じて蔵(ぞう)せず」ということをとりあえず座右の銘ということで部屋に掲げさせて頂いております。

(問)その心というか、意味するところはなんでしょうか。
(答)なかなか難しくて上手く説明出来ないんですが、過ぎ去ったことをくよくよ考えていても仕様がない、また来るべきことをあれこれ悩んでも仕方がない、目の前の事態にきちんと対応して、「蔵せず」ということですので、ストレスを溜めないように全力を尽くして目の前のことに応じるという意味かと思っております。

(問)今回、政権交代で大きな節目に当たる訳ですけど、その座右の銘をして今後頑張っていきたいというお考えなんでしょうか。
(答)なかなかその座右の銘のごとくいかないというのも私の到らないこともありまして現実であります。そうしたことを心がけて事務方のトップとして責任を果たしていければと思っております。

(問)民主党が国家公務員の人員を削減するという話があって、地方分権の中で整備局をどうしていくかという話と絡んでいくかと思うのですが、その辺については以前の会見の時から色々開発局の話なんかと絡めてお話されたこともあるかと思うのですが、改めてどういうような見通しをお持ちでしょうか。
(答)人員に関しても、出先機関に関しても我が省だけの問題ではないかと思いますが、何れにしましても6万1千人近い職員が、またその多くが現場で仕事しているということですので、そうした現場での仕事を十分認識して頂けるようにご説明申し上げ、その上で、大臣のご判断、また政権のご判断を頂くことになるのではないかと思います。今までのところ、これまでの出先機関のことにつきましては年末までに大綱ということが予定されていますので、こうした道行きの中で議論されていくということになろうかと思いますが、政権交代ということになりますので、そうした道行きが変わるのかどうかということも勘案しながら議論の内容にしっかりと対応していきたいと思っております。

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