副大臣・大臣政務官会見

馬淵副大臣就任会見要旨

2009年10月6日(火) 15:00 ~ 15:39
国土交通省会見室
馬淵澄夫 副大臣 

閣議・閣僚懇

 副大臣就任後の会見ということで、少し遅れましたが今日初めての会見をさせて頂きます。18日に副大臣に就任後、本日で19日が過ぎました。野党時代はこの国土交通省は私が委員会で様々な質問をしてきた関係省でございますが、こうして省の中の一員として仕事をさせて頂き、また各当局の方々と議論を重ねながら今抱えている課題についての取り組み、本当に全身全霊をかけて役所の皆さんと一緒に新たな船出をした、そんな思いで一杯です。例えて言うならば、予算委員会と選挙が同時に来たようなそんな忙しさの中で、今前原大臣のご指導の下、国土交通省として新たな施策を推進していく、そういった決意を持って取り組んでおります。今日は皆様方にまずは一般紙の方々からということでご質問を中心にお答えをさせて頂こうと思っていますが、私がこの省内でのご挨拶で申し上げたように公共事業のあるべき姿、また新たな税金の使い方ということを我々国土交通省がしっかりと中心になって率先して示していくこと、これが求められていると思っています。国家の背骨、これを形作ることが私達の役割であります。前原大臣を中心に大臣が仰っている3つの課題、少子化、高齢化、財政悪化、こうした3つの課題に対して真摯に取り組みながら成長戦略もさることながら国家の背骨を百年の計としてしっかりと形作る、このことが鳩山政権の中での国土交通省の役割だと自認しております。しっかりと取り組ませて頂きたいと思います。まずは冒頭私から簡単ではございますが、ご挨拶として述べさせて頂きました。今日は皆様方からの会見ということで、ご質問を中心にお答えをさせて頂きたいと思っておりますので、幹事社で仕切って頂くということで宜しいでしょうか。以上でございます。

質疑応答

(問)高速道路の無料化についてですが、大臣は現行の上限1,000円を社会実験として位置付けながら今後進めていくという発言をされていますが、馬淵副大臣として今後どのような形で進めていくおつもりなのかをお願いします。
(答)無料化の進め方でありますが、これはマニフェストに記載されていますように、段階的な実施ということで、その段階的実施の中では社会的な影響を考慮しつつ実施するということでありますので、その影響を考慮する方法としては一つは社会実験でございます。この社会実験は割引も社会実験であるということから大臣のご発言があったと理解しております。今後はこの社会実験をどのように進めていくのか、例えば割引率であるのか、或いは区間であるのか、或いは違った方法も含めまして、こうした社会実験の方法も踏まえ、今後具体的な検討を行っていくところであります。
 
(問)これも先日大臣が仰ったことではあるのですが、国幹会議を廃止するという点なんですけど、廃止後の姿、まだ大臣は示されていない訳ですが、馬淵副大臣は国幹会議のこれまでの問題点がどんなところにあったのかという点と今後どういう形が望ましいかをお願いします。
(答)国幹会議の廃止を大臣は明言されております。これは民主党の中でもマニフェストにも明記しておりまして、まず国幹会議の問題点としては国会審議の軽視というのがあります。国会審議で本来ならば予算を前提に道路整備も当然ながら基本計画から整備計画への格上げも含めた計画そのものを議論しなければならないのに、数年に一度しか開かれない国幹会議で莫大な予算付けが今後行われていく事業が決定されてきた。国会審議は一体何なのかというのが我々の問題意識でありました。したがいまして、この国幹会議はまず抜本的に見直すということで大臣が廃止を表明された。ならばそれに代わる今後の道路行政に関わる機関、或いは決定すべきプロセスについてはこれから慎重に検討を始めたいと思っております。既にこれについては事業評価の見直しも含めて考えなければならないと思っております。抜本的な公共事業のあり方という中で言えば、道路行政の事業評価のあり方、これは総務省が平成14年に定めた行政評価法に基づく事業評価の手法が各分野毎の事業評価として定められています。これについては道路行政においては、私もこれは予算委員会の中で指摘をして参りましたが、まずは事業評価のあり方そのものを抜本的な見直しを進めるべきだと考えておりますので、これも政務三役の中で議論を重ねながら、大臣のご指示の下進めたいと考えております。
 
(問)当面の課題として概算要求をなるべく早く出さなきゃいけないというのがあると思うのですが、どういった方針で進めていくおつもりでしょうか。
(答)これは総理の基本方針に基づいてということで行ってきた補正予算の見直し、更には今回の概算要求見直しということでありますが、まず事業の妥当性、そしてその実効性ですね。必要であるということについては全ての事業が必要であるという前提で要求がなされています。しかしその妥当性或いは実効性ということをしっかりと再検証しながら判断をしていくということが基本的な考え方だと思っています。時間が無い中で関係部局にも大変ご苦労を強いておりますが、これも政権の極めて重要な方針の一つでありますから、この概算要求の見直しも期限までにしっかりと抜本的な見直しを図るように政務三役が全力で取り組んでいるところであります。
 
(問)政治主導と公共事業についての基本的なことで恐縮なんですが、民主党が政治主導を掲げていて、国土交通省は予算の配分とか或いは許認可などの非常に大きな権限を持っておりますが、自民党時代はむしろ箇所付けとかそういったところにかなり政治的な思惑等入ってですね、ある種こういった分野の政治主導はあまり過ぎるとかえって予算が付き過ぎたりということがあって、自民党の政治主導と民主党の政治主導は公共事業においてどう違うのでしょうか。
(答)かつての公共事業、ばらまきと言われた公共事業、箇所付けも含めて政治主導というよりもむしろ政治がある意味裁量的に行政を動かしていた部分がある。私はこの裁量行政というものについては際限がなくなってしまう危険性があるとかねがね指摘をして参りました。それは役所の問題があったり、政治家の問題があったりと野党時代にそれは厳しく追及をしてきた訳ですが、ならば我々民主党が政権を担った時にでは政治主導をどのように進めていくかということにおいては、まずは先程申し上げたように事業評価などの明確なその手法、プロセスの決定と開示です。これなくしては事業の決定は行われないんだという形でしっかりと決めていくと。先程申し上げたように、国幹会議は国会審議を全く無視したものでした。敢えて言えば形骸化と言っておきましょうか、こうした仕組みで言わば予算の成立日と同日に箇所付けが全て行われて、そして直ぐに債務負担行為として執行官から実施計画に落とし込まれて執行されていく。基本的には長年の与党の政治の中で予算が覆ることは前提にされていなかった訳です。だから一切の計画もある意味形骸化して審議が行われてきた。そうではなくて我々は新たな事業評価というものをしっかりと作りこんでいく、これは例えば国が中心となるだけでなく様々な民意を反映する仕組みというのも検討の余地としてあるでしょう。或いは地方自治体の意見を吸い上げるといった方法も検討の余地としてあると思います。これは今私は単に自身の考えとして申し上げたことであり、今後は政務三役の中でまた大臣のご指示の下に、この事業評価というプロセスをしっかり作り上げていく、これこそが政治主導として国民の前に分かりやすい形で提示出来る方法だと思っています。
 
(問)そうしますと例えば与党になった民主党の同僚議員から個別の事業について要望なりそういったことが大臣とか副大臣に来たら、そういった部分も透明化されていくといことでしょうか。
(答)基本的にはどの場面にいても陳情は受けていますからお話は承ります。しかし先程申し上げたように事業評価という一つの方法ですね。事業評価という仕組み、或いは
国幹会議に代わる合議体なり機関の設置も含めて今後検討を重ねていかなければなりませんが、今までのように形骸化した審議過程も何も示されない中でいきなり予算額の決定と同時に箇所付けがバッとばらまかれる、このような仕組みというのは変えなければなりません。そのことを我々は言い続けて来た訳でありまして、前原大臣がそれを象徴的に国幹会議の廃止と明言された訳であります。今後はどのように組み立てていけるかというのは先程申し上げたようにまさにこれから検討を始めるといったところであります。
(問)今度の概算要求の中で直轄事業負担金の扱いというのがポイントではないかと思いますが、マニフェストに書いてあるとおり概算要求の段階で廃止を前提にされるのかどうされるのかお聞かせください。
(答)今まさに現時点で概算要求の見直しを図っているところでありますので、中身については申し上げることはできません。ただ、ご指摘の点、直轄の問題や様々なそのプロセスといったものについての考え方、或いは法定されたものについて、またもしくは法定はされていないけれども実態的に進められていた手続き等、これは数え上げれば各局において、或いは各法令において様々ありますがこういったものをどのように考えるかというのを、今この概算要求の議論の中で、私共政務三役の中で進めておりますので、中身に関しては申し上げられませんが抜本的な事も含めて検討をしていると、このように申し上げたいと思います。
 
(問)国幹会議の廃止に関する法改正は来年の通常国会で提出する運びでよろしいですか。
(答)これについてはまだ何も具体的な日程も含めて指示は頂いていません。少なくてもマニフェストに明示されている国幹会議の廃止を大臣が表明されたという風に私は受け止めておりますので、先程申し上げたように会議の廃止だけが全ての問題の解決策ではありませんので、これは総合的にトータルとしてプロセスをどう作り上げるかというこが重要ですので、それを勘案しながら国会提出の時期も含め、或いは法案の提出も含めて、これはまた三役、そして最終的には大臣のご判断、或いは内閣においての判断というものを私共は承っていくという風に思っています。
 
(問)国幹会議で4月に決まりました東京外環道等4車線の工事を決定した件と、暫定2車線の4車線化について国幹会議で決めてますけれども、そのことについて今後どのように対応していきたいとお考えになるのか教えてください。
(答)大臣が表明されたのは国幹会議での議決ということについては我が党の議員も出席しているということで、この議決そのものをなくすという話ではないんだ、という発言をされたと理解しておりますし、また大臣からもそういうお話がありました。この国幹会議の議決というものをしっかりと踏まえながら、補正の見直しに係わる問題でもありますので内容については申し上げられませんが、大臣の発言を踏まえながらしっかりと見直しを図っていくという過程にあります。
 
(問)高速道路の無料化について国民に約束されてきた訳ですが、国民はETCをいつまで買い続けなければいかないのか明確にお伺いしたいのですが。
(答)個別具体的にいつまでということは申し上げられない、先程申し上げたように段階的実施、更には行程も含めて検討を始めたところでありますので、いつなんだとか日程的なものをここで今明示することはできません。はっきりと申し上げられることは、高速道路の無料化という我々のその公約に対して実現を果たすべく検討を始めたということであります。
 
(問)先程、地方からもどの場面でも陳情を受け入れるということでしたけれども、地方の陳情に対しても今後受け止め方が変わって来るというになるのでしょうか。
(答)陳情を受け入れるということでご理解をどのようにされるかというのは難しいなと思いますが、基本的に私共が申し上げたいのは国民の声を聞くということが大前提ですからその意味でどの立場に立っても声に耳を傾けるのは当然であると、そういう意味で申し上げました。それによって、今後の事業の計画、或いは執行が変わるのかと言われれば先程申し上げたように、裁量や恣意的な判断がそこに入り込む余地がないような形で、仕組みとしてシステムとして新たな公共事業、今回道路行政と先程申し上げましたが、道路行政のあり方を図る事業評価も含めた見直しを図っていくことを検討を始めたいと申し上げた訳ですから、これは陳情の、或いは多寡や強弱によって変わるものではないと私は思っています。
 
(問)高速道路の無料化について確認ですが、高速道路の無料化については料金の補填とか色々な費用が必要だと思いますが、今回策定中の概算要求に高速道路の無料化に必要な予算というのは組むのか組まないのか、組まないとすれば1000円高速は来年度とりあえず継続するのか、その辺りは如何ですか。
(答)中身の具体的なことになりますので、お答えは差し控えさせて頂きますが先程申し上げたように高速道路無料化についての検討は始めておりますので、ひとつひとつ今後具体的な行程や様々な影響、評価ということも含めて検討を指示したところでございますので、それについては具体的なことが決まっていけばまた皆さん方にもお伝えする機会もありますし、それが今後反映されていくということでご理解頂きたいと思います。
 
(問)実施するに当たって、今世論調査で高速道路無料化に否定的な声も結構上がっていますが、そういったことも考慮していくということですか。
(答)何度も申し上げるように段階的実施の具体的な計画を作るための検討を始めたところですから、今ご批判に上がっているのは無料化ということがある意味極めて象徴的なところで取り上げられている部分があると思います。全体像が見えないところで不安を増長、助長しているところがあるかと思いますので、それをしっかりと解決していくために私たちは具体的な行程や、或いはそのプロセスというものをしっかりと明示すべく検討を始めたところでありますから、それは今後においてお伝えをしていくことになると思います。
 
(問)副大臣自身は無料化は必要だと、すべきだとお考えですか。
(答)何度も申し上げているように段階的実施、民主党のマニフェストに掲げております。この無料化の段階的実施、無料化のマニフェストに掲げられた政策の根本となる高速道路政策大綱というのは私が事務局長でまとめたものでありますから、これをしっかりと推進するということであります。
 
(問)それに併せて現在実施している1000円に関する費用対効果というか、所謂CO2の排出も含めた検証を行う必要があると思いますが、具体的にいつ頃までにそういった試算結果を公表されるご予定ですか。
(答)この1000円割引の影響、評価ということに関してはご指摘の部門についてCO2並びに他の公共交通機関への影響、こういった様々な観点から総合的に我が国土交通省がしっかりと把握すべきものとして理解しております。このことに関して私の方で既に検討指示もしております。これもスタートしております。具体的にいつということは今の段階では申し上げられませんが、まずはこういった検討を行っているということはお伝えをしておきたいと思います。
 
(問)補正予算の切り込みというか削減について、中身についてはまだ発表されないと思いますが、具体的にはどのような方針に基づいてどうようなプロセスで作業をされてきたのかお聞かせください。
(答)方針は基本方針、総理が示された、閣議決定された基本方針がありますのでその基本方針に則っているということと、先程申し上げたように公共事業の中でその妥当性、或いは実効性、こういったものを総合的に勘案しながら判断していくという作業を皆さん方にお願いをし、もちろん私も担当している部分は私も担当しながら行いました。
 
(問)判断は全て政務三役で行われたという理解でよろしいでしょうか。
(答)はい。
 
(問)今の妥当性、実効性というところですが、もう少しかみ砕いて説明して頂けますか。
(答)全ての予算については必要だという前提で作られています。この補正予算においても全ての予算において無駄なものはないという説明を当然ながら原局から受けることになりますが、その妥当性・実効性というものを我々は政治家として判断をしていくということですから、それは個別具体的に申し上げることは出来ませんのでどのようにということはここでお伝え出来ませんが、1つ1つそれこそその担当者が担当部局と確認をしながらこれが果たして今現時点で本当に必要なものなのか不要不急ではないのかということをしっかりと確認をして頂いたと理解しています。
 
(問)その中で地方の負担分を議決していく可決していく事業に関しては、妥当性という意味ではどのように判断していくのでしょうか。
(答)これも中身のことに係わってきますので個別具体ということでお答えを差し控えさせて頂きますが、これも併せて担当者しっかりと判断して頂いていると理解しています。
 
(問)昨日前原大臣が道路の財源について「本当の意味での一般財源化をしなければいけない」と仰いました。ちょっと問題意識が今の一般財源化についておありなのかなと思っていますが、その辺について副大臣に問題意識があれば今の一般財源化についてどのような問題があってどうすべきかお聞かせ下さい。
(答)直接大臣からお聞きしていないので私の方で想像でお答えするのも問題かもしれませんが、私自身の問題として考えれば、この2月の予算委員会の中でもこの道路特定財源の一般財源化の最終の結果を見てそれらが本当に一般財源化として必要なところに振り向けられているのかという議論はありました。本来ならば社会保障費、或いは子育て・教育といった分野に振り向けられるべきではないかという、これは我々野党である民主党が主張してきた議論であります。その意味でまさに道路特定財源が一般財源化された財源をどう使うかというのは内閣の判断、内閣の意志の下にあるものですから、これを今後は前原大臣が閣僚の一員としてその内閣の中でご発言頂けるものとだと思います。おそらく問題意識としてはそういったものをお持ちではないかと私の想像でありますが、私自身も予算委員会の中でもその点は指摘をしたこともありました。本当に一般財源化したならば徹底的な公共事業の見直しというものも行わなければおかしいのではないかという指摘もしましたので、その問題意識も私自身持っています。その意味で先程申し上げたように私の担務は社会資本整備の分野でありますから、道路や河川や様々なその他の公共事業ということの全体の中で今までのように箇所付けで決まっている、或いは陳情で決まっている、政治家の力関係で決まっているなんてことは起きないような仕組みをどう作るべきなのか。これを我々政治家がしっかりと指導をして作り上げていくという決意です。
 
(問)細かい路線の話はいいのですが、高規格道路1万4千キロ造る大きな方針があって、その方針についてはどうされるのでしょうか。
(答)これも私としては細かい話になってしまうというように申し上げるのですが、要はそれについて明確なことを申し上げることは出来ないのですが、私自身はこの道路問題に取り組んできて本来の高速道路無料化というのはまさに道路が無料原則であるというところに立った施策です。今ある有料道路の仕組みも含めて今後どのような道路事業というものに対する哲学を持たなければならないかということ。これはきちっと議論をしていかなければいけないなと思います。無料原則である道路を造るために非常立法措置として作られた昭和28年の有料道路法はじめ特措法。しかしながらこの無料原則を非常立法化した、だけど原則無料なんだから30年後には無料にしますよと言いながらも、全国の料金プール制というものを作って不採算の地域にも道路を造り出してきたという歴史があります。私はその過去の歴史において全てが駄目だとは申し上げません。今後において新たに、まさに先程大臣が仰った3原則、少子化、高齢化、経済の悪化、財政の悪化という状況の中で新たな道路政策、新たな道路を造るという哲学をどこに置くべきなのかということ。これを単に私は高速道路無料化という施策を実行するということだけではなくて、道路行政ひいては公共事業全般にまでしっかりと民主党がこの鳩山政権そして前原大臣の下でこれを型作ることが我々の使命であると私はそのように思っています。勿論最終的にはご判断は前原大臣にして頂く訳ですが、私はそれぐらいの思いを持って今回副大臣を拝命して取り組もうという思いでいるということだけお伝えしたいと思います。
 
(問)87年の1万4千キロは、当然哲学が変わったのだから見直しの対象になるのですか。
(答)先程来申し上げるように、その何キロだとか何処をどうだとか、今ここで具体的に申し上げることは出来ません。私は道路をどのように造っていくかということについてはまず抜本的な考え方というものを、これは今までの仕組みとは違う延長上ではない中で作っていかなければならないと思っています。
 
(問)公共事業と景気の関係でお伺いしますが、公共事業を切りすぎると景気の足を引っ張るというか実質GDPの伸び率のかなりの部分公共投資が締めているという試算もありますが、副大臣として公共事業の役割やあるべき姿はどのようにお考えですか。
(答)確かに高度経済成長或いは戦後間もない頃、インフラが不十分だった時代において公共事業というものは経済の牽引、動力となったのはよく理解をしておりますし、またその効果というものも全て私は否定するものではないと思っていますが、先程申し上げるように21世紀は新たな時代の中での少子高齢化、財政赤字に関しては今後解決していかなければいけない問題でありますが、少子高齢化という人口減少社会、或いは低成長若しくはマイナス成長時代にも必要となる公共事業はどういうものなのか、それが経済にどのような影響を与えていくかというのは慎重に考えなければいけないと思っています。今までのように無いところにどんどん造っていく、或いは開発していくという発想からは今後少し方向転換していくだろうと。これは職員の皆さん方のご挨拶でも申し上げたのですが実は公共事業投資というのは、私はある一定程度までは減じていくことになりますが、しかしある年限を超えた段階からずっと恒常的に伸びていくという報告があるということを非常に懸念しております。つまりGDPに締める1人当たりの公共事業費というのは今後10年後20年後から増加の一途を辿る。これは何故か。これはいわゆる構造物といわれるものの対応年数が間もなくほとんど全てのものについて到来してくる。となりますと維持管理ということに莫大なコストが掛かっていく。この維持管理については例えば様々な金融のシステムであればもう仕組みとして問題があるから変えましょうといった時に、仕組みを変えること自体についてはコストはそれ程掛かりません。激変緩和措置というのは必要かもしれませんが。しかし構造物をもう今後は新たに維持管理の中で変えていこう、或いは維持させていこうというところに目を向けると莫大なコストが掛かっていくんです。これが勿論人命、安全という観点からも極めて重要な部分になるでしょうし、時には生活の質にまで影響を与えていく。水道施設なんて正にそういったものだと思います。こうした公共構造物、或いは社会資本、インフラというものをこの人口減少社会、或いは低成長時代、マイナス成長もある得るような状況の中で、我々は維持管理手法をもってどのようにこれを図っていくかということについてはこれからの公共事業のあり方としては極めて重要な論点だと思っておりまして、ここを今すぐに厳密な回答を持ち合わせている訳ではありませんが、少なくともかつての建設省或いは運輸省として開発或いは国土の均衡ある発展の中で行ってきた公共事業からまた違った観点での公共事業のあり方というものに目を向けて転じていかなければならない。私は国土交通省のあり方はこいういったところにあるのではないかと思っております。経済に関して言えば、こうした分野で公共事業は決して無くなるものではありません。したがいまして一定程度の経済の寄与というのも十分にあるとは思っています。ただ、それが全てにおいての牽引者となるかというと甚だ難しいかもしれない。他の成長産業、成長分野に対して目を向けなければならない。これは前原大臣は常々おっしゃっていることでもありますので、こうしたところにも目を向けつつ、私は公共事業というものの必要性も含めてしっかりと所管単務の部分について政務三役の中でしっかりと議論させていただきたいという風に思っております。
 
(問)新規事業はなるべく押さえて、維持管理に重点を移すつもりということですか。
(答)先程申し上げたとおり、今まで一辺倒だったものが大きく代わっていくだろうということを私は申し上げている訳でして、今、目の前のことについてどうかということで申し上げている訳ではありません。
 
(問)地方戦略局というのが出来てきていて、そこが窓口になって、いろいろな要望を受けて、それを担当のそれぞれの大臣の方に精査してもらうということを地方の戦略局の方がおっしゃっているのですけれども、それに対してはどのように対応していくのでしょうか。新しい体制づくりとかをされるのでしょうか。
(答)おそらくおっしゃているのは、民主党の各地方組織、県連などで出来てきた動きということですかね、これはまだ党として本部として一律的にそういった指示が出されている訳ではありませんので、各県連が自発的に地域戦略局ですか等々、陳情も含めたその地域の課題をまとめて中央に発信するという仕組みを作り出したというのは、私も報道で見てます。ただ、これに対してですね、新たな窓口を設けるとか、これを一括で請け負う窓口を政府内でつくるといった議論は私は今のところないという風に承知しています。
 
(問)その地方の戦略局の方が話をまとめてそれぞれの大臣の方に直接持って行くっておっしゃっているところもあるのですが、こちらにも沢山、建設途中の道路とか新しい道路を造って欲しいとかそういった話が上がってくると思うのですが、そういうのはどうされるのでしょうか。
(答)先程申し上げたように、いろいろなお話は承ります。これは国民の声として地方組織の戦略局であれば、我々民主党の仲間がそれこそ皆さんの声を地元から吸い上げたことですから、しっかりとお聞きをさせていただくつもりですが、それによってどうこうではなく、先程申し上げたように、私どもが考えるこれからの公共事業というものについては、少なくとも道路行政に関してはと限定的に申し上げますけれども、事業評価の仕組みというものを徹底的に見直していく、そしてその上で様々なチェックのあり方や、国会審議への載せ方も含めて、大きなプロセスそのものを見直していくことをしますので、それで反映をさせていただくということでしかないです。戦略局が持ってきたから、何か特別の扱いであるとかそういった我々が裁量的に判断するものではないと思っております。
 
(問)関連するのですが、今日、農水省で行った副大臣主催の政策会議ですが、国交省について開催のご予定はあるのかということと、そこでの議員達の要望とかですね、声っていうのはどのように反映されるのでしょうか。
(答)政策会議はですね、野党時代は部門会議というのがありましたが、今回この政策会議というのは、政府の各府省における政策決定、意志決定のプロセスの1つだという位置づけです。従って与党にはもう政調はございませんので、この政策会議が一元的に意志決定、政策を決定していく重要な会議となるという位置づけからですね、今後定例的に行っていくということも含めて検討をしております。まだ、皆様方にはご案内は出来ておりませんが、近々にこの政策会議を開く予定にしております。そこで与党の皆様方から様々なご意見出てくると思うんですね。こういった意見を、これ副大臣主催ですから、副大臣、政務官において主催をした政策会議で取りまとめて大臣へ報告していく。最終的に制度や法律や或いは政治判断ということについては、意見を賜ったものを大臣に報告しながら政務三役で決定していくと、こういう仕組みになるということで理解しております。
 
(問)先程、道路を中心とした公共事業の評価の見直し、プロセスの見直し、という中身は分かるのですが、その基準をどのようなものにするのか、プロセスが固まった段階でそれをいつ、どういった形でそれを示すのか、この当たりの行程表というかスケジュール感というのは。
(答)今は申し上げるものはないです。それを検討を始めたというところでしかないです。
 
(問)ただ一方で、来年度予算、マニフェストを具体化する最初の予算を作っていく中で、そこがハッキリ示されないと予算に分かり易い形で政策に落とし込んでいくというのは難しくなるのではないでしょうか。
(答)当然ながら、先程申し上げたように国幹会議を廃止をしてということでありますから、国幹会議を廃止したときに、それに代わるものが必要になってくる訳ですから、自ずと時間というのが限られていくものになると思いますけれども、今現時点において、いつどのタイミングでとかいうことを持ち合わせている訳ではありません。
 
(問)予算案が提出するまでにはまだ固まらない可能性があるということでしょうか。
(答)何度も申し上げておりますように、今まさに検討を始めているところですから、具体的な日程というのは持ち合わせていません。
 
(問)今の関連ですけれども、公共事業の評価手法の見直しについて、例えば道路の場合は三便益を使ったB/C計算を今まで使ってきましたけど、副大臣としてはこの手法そのものを変えようと思っていらっしゃるのか、それとも運用を厳しくしようと思っているのか。どちらでしょうか。
(答)これもですね、それこそ私どもは国交省一丸となってチームで今改革を進めていこうということですから、担当部局において検討を始めていただくということですので、私がある一定程度の予断を持って何か発するということを現段階ではするつもりはありません。ただし、様々なこれは幅広い検討課題を持って作り上げていかなければならないと思っておりますので、ご指摘のような全部1つ1つどうするのかということについて具体的にはお答えできませんが、私の頭の中には一定程度こういう方向でというものは持ち合わせております。ただ、これは今申し上げる訳にはまいりません。現局当局においてしっかりと検討していただきたい。そして検討して上がってきたものを政務三役の中でしっかりと議論していきたいとこのように思っています。
 
(問)公共事業のダムにしても道路にしても見直していく中にあっては、地元への説明ということは今後ますます見直しするに当たって、道路のこれから見直しとか、様々地元から反発の声とか、いろいろ出てくるかと思うのですが、地元へ説明するに当たっての仕組みというのは今後どのようにされるとお考えでしょうか。
(答)私も、八ッ場、そして川辺川、五木村にも長野原にも大臣と同行して参りまして、地域の皆様のご労苦或いはお気持ちというのを本当に真摯に受け止めなければならないと実感しております。その意味でですね、地域の皆様の声を聞くということについては当然のことながら必要だという風に考えております。具体的なプロセスの話は今ここで申し上げることは出来ませんけれども、しっかりとその地域の声を吸い上げるということも当然ながらその仕組みの中には考えていかねばならないと思っております。
 
(問)そういった仕組みがないところも、例えば地元の声が大きいところとか、騒ぎが大きくなったところとか、そういったところの声に引きずられたりするような可能性が出てくるのではないかと思うのですけれども、その当たりの仕組みについてはご検討されていることはありますでしょうか。
(答)声が大きいか騒ぎがどうかということについて私の方から申し上げられませんが、今まではそれこそ声の大きい、或いは力の強い政治家というところが1つのキーワードだったかもしれません。これは当然ながら排除される。そして地域において、地方において本当に必要かどうかということについて、その地域の事情というものをしっかり勘案していくということは、これは言うまでもなく必要なことだと思います。これをどういう仕組みに落としていくかというのは、これは制度設計の話ですので、これはまさに今後詰めていかなければならない課題だと思ってますが、ご指摘な点というのは十分に理解をしているつもりです。
 
(問)一部、三役の中で事務方から説明を受けている際にお部屋の中に国会議員でもなく三役でも無い方を同席させて説明を受けている議員もいると聞いておりますが、副大臣はそういった党の関係者なりを同席させて説明を受けていらっしゃるのでしょうか。
(答)党の関係者は同席はしておりません。
 

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