副大臣・大臣政務官会見

大塚副大臣会見要旨

2018年10月17日(水) 11:00 ~ 11:25
国土交通省会見室
大塚高司 副大臣 

閣議・閣僚懇

この度、国土交通副大臣を拝命いたしました、大塚高司でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

質疑応答

(問)副大臣に就任されまして、改めまして副大臣としての抱負と、これから優先的に取り組む政策を教えてください。
(答)国土交通省は、被災地の復旧・復興、防災・減災対策、社会資本の整備や老朽化対策、戦略的な観光振興、そして、領土・領海の堅守等、幅広い分野にわたり施策を展開しております。
最近は、平成30年7月豪雨や平成30年北海道胆振東部地震など、自然災害が頻繁に起こっております。
私の地元大阪でも、大阪府北部地震や台風第21号により大きな被害が発生いたしました。
災害復旧等に向けて、今年度の補正予算案を15日に閣議決定したところでありますが、今後も、自然災害からの復旧・復興に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
また、災害時の重要インフラの機能確保についても、総理の指示の下、ソフト・ハードの両面から緊急点検に着手してまいります。
そして、点検の結果を踏まえ、3年間に集中して防災・減災対策に取り組んでまいりたいと考えております。
これらのあらゆる取組に加え、石井大臣の指導の下、国土交通省のあらゆる分野において進められている「生産性革命」の取組にも更に推進してまいりたいと思っております。
更に、15日の臨時閣議において、総理より、消費税率について、平成31年10月31日に、現行の8%から10%に2%引き上げる予定の表明があったところでございます。
それを受けて、自動車・住宅の税制・予算措置、防災・減災対策など、国土交通省としても、前回の3%の引き上げの経験を活かし、更に、経済に影響を及ぼさないよう、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
国民の安全・安心の確保をはじめとする様々な課題に対し、従来の発想にとらわれることなく、スピード感を持って取り組み、全力で石井大臣をサポートしてまいりたいと思っているところであります。

(問)自動車分野で2点程お伺いしたいのですが。
自動車メーカー各社で完成検査の不正案件が相次いで発覚しております。
これに対する所感と今後の国土交通省としての対応をお伺いしたいというのが、まず1点です。
(答)先般いろいろありました自動車メーカー等が指定の車について行う完成検査は、国に代わり、自動車の保安基準適合性を確認するものでありまして、厳に適切に実施することが必要であるにも関わらず、昨年の秋以降、複数の自動車メーカーにおいて、不適切な事案が判明いたしました。
コンプライアンス上の不適切な事案が続発していることは、我々にとっても極めて遺憾であります。
自動車メーカー各社にあっては、不適切事案につながるリスクや要因にまで目を向けつつ、現場業務の把握・管理を徹底するとともに、コンプライアンス重視を浸透させることにより、信頼回復に向けて取り組んでいくことが必要であると考えております。
国土交通省におきましても、先週12日に公布した省令改正の着実な実施によりルールの遵守と不正の防止を図るとともに、タスクフォースのとりまとめの内容にある効果的な監査の実施に取り組み、適切な完成検査の確保を図ってまいりたいと思っております。

(問)2点目です。
自動車の自動車安全特別会計から一般会計の方に6000億円を超える金額が繰り入れられているかと思います。
繰戻しに関して、今年度23億円ちょっとあったのですが、今後の繰戻しに関しての所感を伺いたいと思います。
(答)平成6年度及び7年度に自動車損害賠償責任再保険特別会計から一般会計に繰り入れられた1兆1200億円については、平成30年度予算において、平成15年度以来15年振りに23.2億円が繰り戻されることになったものの、平成30年度末時点でなお、6159億円が繰り戻されていない状況となる見込みであります。
昨年、国土交通大臣と財務大臣との間で交わした新たな合意において、毎年度の繰戻額については、「被害者等のニーズに応じて被害者保護増進推進事業等が安定的、継続的に将来にわたって実施されるよう十分に留意しつつ」、協議の上、決定することとしております。
国土交通省といたしましても、この合意に基づき、平成31年度予算概算要求においても、一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しについて要求しているところでございます。
一般会計への繰入金については、被害者保護増進事業等の貴重な財源であり、これらの事業の継続性、安定性に対する交通事故被害者及びそのご家族の皆様からの不安の声にお応えするために、着実に繰戻しがなされるよう、財務省とよく協議してまいりたいと思っております。

(問)水管理・国土保全ですとか鉄道といった社会インフラを担務されておりますけれども、社会資本整備に対する現状認識と今後の進め方についての御所見をお聞かせください。
(答)社会資本は、頻発する災害から国民の命と財産を守るとともに、わが国の経済成長に貢献するといった大変重要な役割を担っていると考えております。
こうした社会資本の整備を計画的に進めていくことがこれからにとって重要な課題だと思っております。
まず、安全・安心の確保の観点からは、気候変動の影響もあり、これまでの前提を超えて発生する様々な自然災害にも改めて向き合っていかねばならないと考えております。
このため、全ての主体が災害リスクに関する知識と、そして、心構えを社会全体で共有しながら、様々な災害に備える「防災意識社会」への転換に向けて、ソフト対策・ハード対策を総動員した防災・減災対策が必要であります。
また、本年相次いで発生している災害で明らかになった課題に対応するためにも、災害時の重要インフラの機能確保について、ソフト・ハード両面から緊急点検に着手するとともに、社会資本整備審議会河川分科会においても、大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方について、審議をいたしているところであります。
これらの結果も踏まえ、災害から国民の命と暮らしを守るため、総理指示による3年集中で講じる緊急対策をはじめ、総力を挙げて防災・減災対策に取り組んでまいります。
加えて、人口減少や高齢化が進む中において、生産性を向上させることで、地域経済の産業、そして雇用を支え、経済成長の実現に資する社会資本整備に取り組んでまいりたいと考えております。
特に、私の担務の分野でもあります、例えば、整備新幹線でいえば、現在建設中の3区間の着実な整備を図るとともに、残る整備新幹線区間の整備の目途を早期につけるように、新幹線の全国ネットワークを構築することが必要だと考えております。
このように生産性を向上させる社会資本を全国で重点整備をしてまいりたいと考えております。
また、こうした社会資本整備を継続的に進めるためには、建設生産プロセス全てを対象として、ICTなどを活用する「i-Construction」を推進し、建設現場の生産性の2割向上を目指してまいります。
社会資本は、未来を切り拓く投資であります。
今後とも、安定的・継続的な公共投資を確保しつつ、必要な社会資本整備を計画的に進めてまいりたいと考えております。

(問)昨日、免震・制振装置のデータの改ざんが明らかになったんですけれども、そのことについて御所感をいただけますか。
(答)昨日16日、KYB株式会社及びカヤバシステムマシナリー株式会社が建築基準法に基づく国土交通大臣認定や顧客との契約内容に適合しない免震・制振オイルダンパーを出荷していたことが、同社からの報告によって明らかになったわけであります。
大臣認定等の内容に適合しない製品について検査データを書き換えて出荷したことは、所有者や使用者等に不安を与え、かつ、建築物の安全・安心に対する国民の信頼を揺るがす行為であり、極めて遺憾であります。国土交通省といたしましても、所有者等の関係者への丁寧な説明、構造安全性の確認、交換の迅速な実施、徹底した原因の究明及び再発防止策の報告、出荷製品の品質確保、相談窓口の設置を指示し、引き続き、同社を指導し、所有者等の安心の確保と、再発防止の徹底について、厳正に対処してまいりたいと考えております。
更に、今回の不適合事案の原因究明結果等を踏まえまして、国土交通省といたしましては、今後、同様の事案の発生を防止するため必要な対策に取り組んでまいりたいと検討しております。

(問)建設産業の働き方改革についてお伺いします。
地域の守り手とか社会資本整備の担い手でもある建設産業の人手の確保が大きな課題になっていますが、これに対応していくためには、働き方改革の推進が欠かせないと思いますが、どのように後押ししていくお考えなのかお聞かせください。
(答)御質問のありました建設業は、わが国の経済成長を牽引する「基幹産業」であり、地域の暮らしの安全・安心を支える「守り手」でもあります。
また、建設現場は約330万におよぶ「人」によって支えられており、自分の人生を過ごすのにふさわしい、魅力的な現場を増やしていかなければならないと考えています。
一方、建設業では、他産業で当たり前となっている週休2日の確保が十分でないということなど、就業者の長時間労働が生じており、将来の担い手にとって魅力ある産業へと変えるためにも、働き方改革を進めていくことが必要不可欠であると考えています。
国土交通省としては、建設業における長時間労働の是正や週休2日の確保に向けて、直轄工事で率先して取り組んでいるほか、建設現場の生産性向上を図る「i-Construction」の推進や、昨年8月に政府で策定したガイドラインの周知・徹底を引き続き図ってまいりたいと考えています。
私としても、「建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」の議長代理となっておりまして、建設業の働き方改革を政府全体でしっかりと指導してまいりたいと考えています。

(問)今の関連ですが、自動車運送分野でも働き方改革が叫ばれていますが、その取組についてお聞きしたいのと、その一環として、11月に「ホワイト物流国民運動」というのを国土交通省が展開されると聞いていますが、それに対する御所見があればお聞かせください。
(答)まずは1点目ですが、自動運転の話があります。
これは、交通事故の減少、渋滞の緩和、高齢者の移動手段の確保、物流の生産性向上の課題の解決などに大きな効果があると我々期待をしているところでありまして、このため、国土交通省といたしましては、自動運転戦略本部を設置しまして、全省的に自動運転の実施に向けた環境整備、そして技術の開発・普及促進、実証実験・社会実装のために必要な施策に取り組んでいるところであります。
また、2点目については、荷主などの関係者が連携していくことが必要だということで、ホワイト物流についてもこれらの関係者と検討してまいりたいと思っています。
今後とも政府全体の目標として掲げられている、2020年を目途とした高速道路での高度な自動運転の実現や、2020年までの限定地域での無人自動運転移動サービスの実施に向けて、道路の現場・技術と自動車の車両技術・制度を持つという国土交通省の強みを活かしながら、これからも安全確保を最優先しつつ、関係省庁とも連携をして、省を挙げて自動運転の早期実現に向けた取組を加速してまいりたいと思っています。

(問)副大臣は自動車分野・鉄道分野では、どんな問題意識をお持ちでしょうか。
あるいは個人的な施策・御興味をお持ちの点があれば教えてください。
例えば、あきもと前副大臣は、無車検車のナンバー読み取り装置というものに尽力されておられまして、これは実現しましたが、何かこういうものを実現したいとか、こういうところは直した方がいいのではないかとか、そういう話があれば伺いたいです。
(答)特に私が興味を持っているのは自動運転でございまして、その分野についても我々取り組んでまいりたいと思っていますし、特に車両ですよね、車両の安全基準等の策定や、保険ですよね、損害賠償責任の検討、運送事業への導入に係る検討も我々これから取り組んでまいりたいと思っておりまして、また自動ブレーキ等を備えた「安全運転サポート車」の普及啓発など、そういったところも取り組んでいきたいと思っていますし、特に最寄りの駅と目的地を結ぶ「ラストマイル自動運転」や物流生産性向上に資する「トラックの隊列走行」、中山間地域における人の流れ、物流を確保するための「道の駅等を拠点とした自動運転サービス」の実証実験、そういったところにも我々力を入れて取り組んでまいりたいと思っております。

(問)空き家の増加も社会問題などになる中、住宅や建築物のストック活用に関して御所見をお伺いできますでしょうか。
(答)住宅や建築物のストック活用の促進に向けては、増加が見込まれる空き家の利活用を図り、その発生を抑制するため、また若年・子育て世帯、高齢者世帯などが正にこれからふさわしい住まいを適切な負担で確保できるようにするためにも、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化が必要であると我々考えています。
このため、既存住宅の適切な維持管理やリフォームを促進する観点から、長期優良住宅化リフォーム等への支援を行うとともに、消費者が「住みたい・買いたい」既存住宅を選択できるよう、「安心R住宅」制度を開始したところです。また、空き家を改修してグループホームとして利用するなど、空き家を住宅以外の用途で活用していく観点も重要です。
このため、建築基準の更なる合理化等を含む改正建築基準法が先の国会で成立したところです。
こうした取組により、住宅や建築物ストックの活用の促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。

(問)全産業でIT化、システム化という流れがある中で、不動産業の場合はITを使った重要事項説明、いわゆるIT重説というのが進められているわけですが、こちらの現状の課題と、それに対する対策、今後の展望などありましたらお聞かせいただけますか。
(答)特に遠隔地での取引ですよね、そういったところで効率化が期待されているITを活用した重要事項説明については、平成27年8月より、賃貸取引及び法人間売買取引について社会実験を実施してまいりました。
社会実験の結果や有識者会議における議論等を踏まえ、まず、賃貸取引を対象に平成29年10月より本格運用を開始したところです。
本格運用後、賃貸取引は既に15000件を超える実績が確認され、消費者からは「時間と交通費の節約につながった」等のメリットが報告されています。
引き続き、運用状況を注視し、円滑な取引環境の整備に努めてまいりたいと考えています。
一方で、法人間売買取引については、十分な検証結果が得られていないため、来年1月末まで社会実験を継続して実施してまいりたいと思います。
現在、不動産関係団体等を通じて幅広く社会実験への参加を呼びかけているところであり、こうした取組を引き続き行い、法人間売買取引におけるIT重説の実施件数の増加に努めてまいりたいと思っています。

(問)内閣改造後の未来投資会議の中で、自動車関係の新しい方針として、「移動弱者ゼロ」とか「次世代モビリティの推進」というのが掲げられていて、その中でタクシーとか自家用有償運送の対策が盛り込まれていますが、副大臣としてどんな思いでこの「移動弱者ゼロ」に対して臨まれていくのかというのをお聞きしたいなと思います。
(答)そういった状況下において、我々、何度も言うのですが、道路の現場・技術、それと自動車の車両の技術・制度というものを持つ、わが国土交通省の強みをこれからもどんどん活かしていきたい、伸ばしていきたいと思っておりますし、特に一番大事なことは、安全確保を最優先、それをしながら関係省庁とも連携して、省を挙げて、これからも自動運転の早期実現に向けた取組を加速してまいりたいと思っています。

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