令和7年11月28日
| 2050年カーボンニュートラルの実現に向けて住宅の省エネ化の支援を強化するため、国土交通省、環境省及び経済産業省の連携による「住宅省エネ2026キャンペーン」の実施を通じて、「GX志向型住宅の新築」、「子育て世帯等を対象とする長期優良住宅・ZEH水準住宅の新築」、「住宅の省エネリフォーム等」を支援します。 |
1.背景
令和7年11月21日に「「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~」が閣議決定され、エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現に向け、「家庭等における省エネ化、建物の断熱性向上、(中略)を進める。」方針が示されました。
これを踏まえ、本日閣議決定された令和7年度補正予算案に、住宅の省エネ化への支援を強化するための補助制度が盛り込まれました。
2.事業の概要
国土交通省・環境省は、「GX志向型住宅の新築(注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅)」や、子育て世帯・若者夫婦世帯を対象とする「長期優良住宅・ZEH水準住宅の新築(注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅)」を支援します。
また、国土交通省、環境省及び経済産業省は、住宅の省エネリフォーム等に関する補助制度をそれぞれ実施するとともに、各事業をワンストップで利用可能とするなど連携して支援を行う予定です。
※ 国会で補正予算が成立することが前提となります。
(1)省エネ住宅の新築
<みらいエコ住宅2026事業【国土交通省・環境省】(1,750億円)>
1)対象と補助額
○次の表のとおり、それぞれの対象世帯を対象とした住宅
※1,2の新築に対して支援
| 対象世帯 |
対象住宅 |
補助額
( )は1~4地域※6 |
| すべての世帯 |
GX志向型住宅※3 |
110万円/戸(125万円/戸) |
子育て世帯
または
若者夫婦世帯 |
長期優良住宅※3,4 |
75万円/戸(80万円/戸) |
| 長期優良住宅※3,4 古家の除却を行う場合※5 |
95万円/戸(100万円/戸) |
| ZEH水準住宅※3,4 |
35万円/戸(40万円/戸) |
| ZEH水準住宅※3,4 古家の除却を行う場合※5 |
55万円/戸(60万円/戸) |
※1:対象となる住戸の床面積は50㎡以上240㎡以下。
※2:以下の住宅は、原則対象外とする。
[1] 「土砂災害特別警戒区域」、「急傾斜地崩壊危険区域」又は「地すべり防止区域」に立地する住宅
[2] 「立地適正化計画区域内の居住誘導区域外」かつ「災害レッドゾーン(災害危険区域、地すべり防止区域、
土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域又は浸水被害防止区域)内」で建設されたもののうち、
3戸以上の開発又は1戸若しくは2戸で規模1,000㎡超の開発によるもので、都市再生特別措置法に基づき
立地を適正なものとするために行われた市町村長の勧告に従わなかった旨の公表に係る住宅
[3] 「市街化調整区域」のうち、「土砂災害警戒区域又は浸水想定区域(洪水浸水想定区域又は高潮浸水想定区域
における浸水想定高さ3m以上の区域に限る。)」に立地する住宅
[4] 「市街化調整区域以外の区域」のうち、「土砂災害警戒区域又は浸水想定区域(洪水浸水想定区域又は
高潮浸水想定区域における浸水想定高さ3m以上の区域に限る。)」かつ「災害危険区域」に立地する住宅
※3:「GX志向型住宅」は環境省において実施、「長期優良住宅」及び「ZEH水準住宅」は国土交通省において実施。
※4:子育て世帯・若者夫婦世帯(以下「子育て世帯等」という。)に配慮した安全性・防犯性を高めるための技術基準
に適合することが必要。なお、「長期優良住宅・ZEH水準住宅」の賃貸住宅の場合、以下の要件に適合することが必要。
・事務局が確認した合理的な優遇家賃を設定し、子育て世帯等に限定して最低3ヶ
月間の入居募集を行うこと(要件に該当する具体的な募集方法については今後提示。)
・賃貸住宅の場合、子育て世帯等に配慮した安全性・防犯性を高めるための技術基準
に適合すること。
※5:住宅の新築にあわせ、建替前に居住していた住宅など建築主(その親族を含む)が所有する住宅を除却する場合。
※6:建築物省エネ法における地域区分。
2)補助対象住宅の要件
○ 戸建住宅、共同住宅の別に応じて、基準値等はそれぞれ下表のとおりとする。
| 住宅の種別(形態・立地を含む) |
断熱性能 |
一次エネルギー消費量の削減率 |
高度エネルギーマネジメント |
| 再エネ除く |
再エネ含む |
| GX志向型住宅 |
戸建 |
下記以外の地域 |
等級6以上 |
35%以上 |
100%以上 |
HEMS※7の設置等 |
| 寒冷地又は低日射地域 |
75%以上 |
| 都市部狭小地等又は多雪地域 |
要件なし |
| 共同 |
階数1~3 |
75%以上 |
| 階数4・5 |
50%以上 |
| 階数6以上 |
要件なし |
| 長期優良住宅・ZEH水準住宅 |
等級5以上 |
20%以上 |
要件なし |
要件なし |
※7:他の機器との接続が可能な規格に適合することが必要。(接続の是非は居住者の判断)
3)交付申請の手続き期間
申請受付開始~予算上限に達するまで(遅くとも2026年12月31日まで
※8)
※8:新築の「ZEH水準住宅」のうち、注文住宅に関しては、新築の注文住宅における
ZEH水準への適合が一定程度進んでいることを考慮し、交付申請の期限を予算上
限に達するまで(遅くとも2026年9月30日まで)とする。
(2) 3省の連携による住宅の省エネリフォーム等
1)高断熱窓の設置
<断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業【環境省】(1,125億円)>
○ 補助金は、断熱改修工事を行う事業者の申請に基づき、住宅所有者に補助金全額が還元
されることを条件に、当該事業者に対して交付。
○ 高断熱窓(熱貫流率Uw1.9以下等、建材トップランナー制度2030年目標水準値を超え
るもの、その他要件を満たすもの等)への断熱改修工事に対して支援。
○ 工事内容に応じて定額を交付。(1戸あたり最大100万円。)
2)高効率給湯器の設置
<高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金【経済産業省】
(570億円)>
○ 一定の基準を満たした高効率給湯器を導入する場合、機器・性能ごとに設けられた定
額を支援。
○ 寒冷地において高額な電気代の要因となっている設備(蓄熱暖房機や電気温水器)を
一新するため、高効率給湯器の導入とあわせて、こうした設備を撤去する場合には、
加算補助。
○ 補助金は、給湯器導入を行う事業者等の申請に基づき、消費者等に補助金全額が還元
されることを条件に、当該事業者に対して交付予定。
3)既存賃貸集合住宅向けエコジョーズ等取替
<既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業【経済産業省】(35億円)>
○ 既存賃貸集合住宅において、一定の基準を満たしたエコジョーズまたはエコフィールに
取り替える
※9場合、機能ごとに設けられた定額を支援。
※9:従来型給湯器からの取替に限る。
○ 補助金は、給湯器の交換を行う事業者等の申請に基づき、賃貸オーナー等に補助金全額が還元されることを条件に、当該事業者に対して交付予定。
○ 補助額は、追い焚き機能なしの場合は5万円/台、追い焚き機能ありの場合は7万円/台として、これに工事内容によっては追加の補助(今後公表)
4)開口部・躯体等の省エネ改修工事
<みらいエコ住宅2026事業【国土交通省】(300億円)>
○ 対象住宅の省エネ性能に応じて、一定の省エネ性能を確保するリフォーム
※10に対して支援。
※10:「『リフォーム前の省エネ性能』と『リフォーム後の省エネ性能』に応じた改修部
位や設備の組合せ」をあらかじめ指定・公表
○ 住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修等を行う場合に、工事内容に応じた定額を支援。
| 対象住宅 |
改修工事 |
補助上限額※11 |
| 平成4年基準を満たさないもの |
平成28年基準相当に達する改修 |
上限:100万円/戸 |
| 平成11年基準相当に達する改修 |
上限:50万円/戸 |
| 平成11年基準を満たさないもの |
平成28年基準相当に達する改修 |
上限:80万円/戸 |
| 平成11年基準相当に達する改修 |
上限:40万円/戸 |
※11:リフォーム工事の内容に応じて定める額を合算した額。
【補足事項】
○「みらいエコ住宅2026事業」は、令和7年11月28日以降に、対象工事(新築の場合:基礎工事
※12、
リフォームの場合:リフォーム工事)に着手したものを対象とする。
※12:今年度実施している「子育てグリーン住宅支援事業」は、「基礎工事より後の工程の工事」を対象
としておりましたが、「みらいエコ住宅2026事業」においては、「基礎工事」に変更されている点に御注意ください。
○「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」は、令和7年11月
28日以降に対象工事(断熱窓への改修を含むリフォーム工事全体)に着手したものを対象とする。
○「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」は、令和7年11月
28日以降に対象工事等(新築注文:建築工事、新築分譲:住宅の引渡し、リフォーム:給湯器
の設置工事)に着手したものを対象とする。また、「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業」
は、令和7年11月28日以降に給湯器の設置工事に着手したものを対象とする。