報道・広報

KYB(株)及びカヤバシステムマシナリー(株)が製造した免震・制振オイルダンパーの国土交通大臣認定への不適合

平成30年10月16日

○KYB(株)及びカヤバシステムマシナリー(株)より、同社が製造した大臣認定※1等の内容に適合しない免震・制振オイルダンパー※2が986件の共同住宅、事務所、病院、庁舎等に設置されているとの報告がありました。
○国土交通省は、同社から、大臣認定等の内容に不適合な製品について、早急に交換を行う方針であると報告を受けています。
○国土交通省は、同社に対し、所有者等関係者への丁寧な説明、構造安全性の確認、交換の迅速な実施、徹底した原因究明及び再発防止策の報告、出荷製品の品質確保、相談窓口の設置を指示。
※1多様な建築材料や構造方法等の導入を可能とするため、建築材料や構造方法等について、その性能が建築基準法に適合していることを国土交通大臣が認定する制度
※2免震オイルダンパーは、地震時の積層ゴム等の支承の揺れを抑えるために設置。制振オイルダンパーは、地震時の躯体の揺れを抑えるために設置。(図1)

1. 事案概要

国土交通省は、KYB(株)及びカヤバシステムマシナリー(株)より、同社が製造した免震・制振オイルダンパーの一部に関し、国土交通大臣認定や顧客との契約(以下「大臣認定等」という。)の内容に適合しないものとなっているとの報告を受け、以下の事実関係を把握しました。
(1)検査データ書き換えによる大臣認定等に不適合な製品の出荷(図1)
・ 不適合があった(不明を含む)のは、大臣認定等に係る製品(報道発表資料別紙1の表1)のうち、平成12年3月から平成30年9月までに出荷したもの。出荷先は986件(報道発表資料別紙2の表1)の共同住宅、事務所、病院、庁舎等(報道発表資料別紙2の表2)。
・ 不適合の内容は、オイルダンパーの減衰力性能の基準値からの乖離値が大臣認定等において許容されている値※3の内容よりも大きいこと。
※3 免震:大臣認定が±15%以内、顧客との契約が±10%以内等。制振:顧客との契約が±10%以内等。
・ 大臣認定等の内容に適合しない乖離値の製品について、検査データを大臣認定等において許容されている値に書き換えて出荷していたこと。
・ 不適合製品のうち特に乖離値が大きい製品が設置された建築物(免震4棟、制振2棟)及びH27.3に免震材(高減衰積層ゴム支承)の認定不適合等が問題となった東洋ゴム工業(株)関連の1棟に関し、当該建築物の構造設計を担当した設計事務所において、同社からの依頼によりサンプル的に構造安全性を検証した結果に基づき、震度6強から7程度の地震に対して倒壊するおそれはないとの見解が第三者機関から得られていること。
・ その他の建築物についても同様に同社から設計事務所に検証を依頼し、結果について第三者機関の確認を早急に得ることとしていること。
・ 同社は、大臣認定等の内容に不適合な製品について、疑いのあるものを含めて、大臣認定等の内容に適合する製品※4に全て交換する方針であること。
※4 第三者機関による出荷時の全数立会検査により適合品であることを担保
(2)大臣認定仕様と異なる材質のピストン、パッキン及び塗料の使用(図2)
・ 大臣認定仕様と異なる材質のピストンの使用があったのは、大臣認定6件に係る製品(報道発表資料別紙1の表2)のうち、平成17年1月から平成30年9月までに出荷したもの。
・ 大臣認定仕様と異なる材質のパッキンの使用があったのは、大臣認定4件に係る製品(報道発表資料別紙1の表3)のうち、平成18年6月から平成29年12月までに出荷したもの。
・ 大臣認定仕様と異なる塗料の使用があったのは、大臣認定1件に係る製品(報道発表資料別紙1の表4)のうち、平成21年11月から平成30年9月までに出荷したもの。
・ 出荷先はピストンが29件の事務所等(報道発表資料別紙2の表3)、パッキンが113件の主に住宅(調査中)、塗料が23件の事務所等(報道発表資料別紙2の表4)。
ピストンのうち認定5件(MVBR-0217、MVBR-0328、MVBR-0408、MVBR-0464、MVBR-0465)、パッキン及び塗料については、出荷製品の仕様について、安全性に問題がない旨の見解が第三者機関より得られており、当該仕様での大臣認定の取得に向け、必要な手続が進められている。また、ピストンのうち認定1件(MVBR-0312)については、性能の確認中である。

2. 国土交通省の対応

(1)KYB(株)及びカヤバシステムマシナリー(株)への対応
国土交通省は、本日、同社の代表取締役社長に対し、建築物の安全性確保のために、全責任を持って、オイルダンパーの交換その他必要な対策を、最後の1棟、1本まで速やかに遂行するという姿勢に基づき、以下の対応を行うよう住宅局長から指示書を交付します。
[1]所有者等関係者への丁寧な説明
・所有者等関係者に対して、事案について丁寧に説明するとともに、交換方法、体制、スケジュールなど是正の具体的な方針を示すこと。
[2]構造安全性の確認
・年内を目途に、対象建築物の設計者等の関係者と協力して、速やかに構造安全性を検証し、第三者機関の確認を受けること。
[3]交換の迅速な実施
・大臣認定の内容に不適合の案件については、所有者等と調整の上、可及的速やかに交換を進めること。特に、東洋ゴム工業(株)による免震材料の不正事案に係る建築物については、東洋ゴム工業(株)等の関係者と連携を図り丁寧に対応すること。
・大臣認定の内容に不適合ではないが顧客との契約の内容に適合しないものについても、顧客の意向を踏まえ、誠意をもって交換等の対応を行うこと。
・交換の実施にあたっては、所有者等と調整の上、交換計画を策定し、国土交通省に報告を行うこと。
[4]徹底した原因究明及び再発防止策の報告
・性能確認試験データの書き換えを不可能とする措置を講ずるとともに、品質管理方法に関して徹底した原因究明のもとに、再発を防止するための改善策をとりまとめ、国土交通省に報告し、当該報告に基づき必要な改善策を講じること。
[5]出荷製品の品質確保
・交換用の製品を含め、今後出荷するダンパーが大臣認定等に規定された性能を有しているものであることについて、性能確認試験を第三者による全数立会のもとで行うこと。なお、国土交通省は、同社からの改善状況の報告を受け、品質管理方法が適正なものに改善されたと判断するまでは本措置を継続することとする。
[6]相談窓口の設置
・相談窓口を設置し、所有者等関係者の意向を十分に把握し、誠意を持って真摯に対応すること。
(2)関係特定行政庁への依頼
国土交通省は、関係特定行政庁等に対し、大臣認定不適合等が判明したオイルダンパーが設置された建築物について、同社からの報告を受けて、建築基準法上の不適合状況等※5の確認、構造安全性の検証結果を踏まえた是正指導を行うよう依頼。
※5住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度を利用し、免震建築物であることが性能評価書に表示されている住宅は、免震建築物の評価基準に不適合となる場合がある。
(3)他の事業者からの報告徴収
国土交通省は、免震ダンパー等に関し大臣認定を取得している他の事業者に対しても、検査データ書き換えによる大臣認定等に不適合な製品の出荷と同種の事案の有無について確認の上、年内の報告を求めることとしています。
(4)再発防止策の検討
今回の不適合事案の原因究明結果等を踏まえ、国土交通省として、今後、同様の事案の発生を防止するため必要な対策を検討します。
 

3. 相談窓口

(1) KYB (株)において、以下の窓口が設置されています。
【窓口】 KYB株式会社
電話番号 0120-247-852
受付時間 24時間受付対応、土・日・祝日含む
(2) 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(愛称:住まいるダイヤル)に次の消費者相談窓口を設置しています。
【窓口】 電話番号 0570-016-100
    PHSや一部のIP電話からは03-3556-5147
  受付時間 10:00-17:00(土日、祝休日、年末年始を除く)
 

添付資料

報道発表資料(PDF形式)PDF形式

お問い合わせ先

国土交通省住宅局建築指導課 菅原・高橋
TEL:03-5253-8111 (内線39-564, 39-525) 直通 03-5253-8513
国土交通省住宅局住宅生産課 鹿島・田窪
TEL:03-5253-8111 (内線39-453, 39-421) 直通 03-5253-8510 FAX:03-5253-1629

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