報道・広報

「建築と地域社会-建築等を通じた地域社会の良好な景観形成に向けた提言-」について
(「良好な景観形成のための建築のあり方検討委員会」における検討結果のとりまとめ)

平成20年6月26日

 「良好な景観形成のための建築のあり方検討委員会」(座長:山本理顕 建築家、横浜国立大学教授)は、昨年9月に設置されて以降6回にわたり、良好な景観を形成するための建築のあり方、建築の専門家に期待される役割、良好な景観を形成するための仕組み及びその運用のあり方等について検討してまいりましたが、このたび、提言がとりまとまりましたので公表いたします。

【背景】

 景観法をはじめ各種施策が制度化され、今日では多くの地方公共団体において相当の取組みが行われるに至った。しかし、景観法の理念をより実効あるものにするためには、地方公共団体によるさらなる景観施策の展開と、民間事業者等の理解と協力が、今後ともなお一層必要である。特に、建築分野においては、今なお、良好な景観の形成に向けた取組みが順調に進められているとは言いがたく、景観上問題を引き起こしている建築の出現を食い止められていない。
 この背景には、建築業界をめぐって様々な課題が存在しており、社会における建築設計者のあり方が改めて問われている。一方、現代社会においては、高齢化による地域社会の疲弊、地方と中央の格差など緊急の課題が発生している。こうしたそれぞれの地域社会が持っている課題に対して、建築は中心的な貢献ができると考えられる。加えて、我が国がフロー型社会からストック型社会への転換を図る中で、社会的資産として建築の価値を高めていくことが求められる時代となっている。
 以上のような観点を踏まえ、景観法全面施行から3年を迎えた今、改めて建築の視点から地域社会における景観問題を見つめ直し、建築活動を行う事業者の一層の取組みを促すとともに、国及び地方公共団体の施策に働きかけるため、この提言をとりまとめた。


【提言のポイント】

○ 建築設計者や建築活動を行う事業者の良好な景観形成に向けた一層の取組みを促す指針として、また国及び地方公共団体における景観施策推進の参考として活用されることを企図。さらに、一般国民・市民向けに地域社会における景観形成の意義や必要性を伝えるメディアとして機能することも期待。
○ 景観を形づくる要素のうち建築物や工作物がつくりだす景観(以下、「建築景観」という。)に着目。良好な建築景観の形成に必要な視点として、
(1) 良好な建築景観に関する共通の理解の促進
(2) 良好な建築景観を実現するためのデザイン調整システムの充実
(3) 建築設計者が果たすべき役割
の3点を提示。
○ さらに、理念的なものにとどまることなく、良好な建築景観の形成に向けた7つの具体的な行動を提案。英国の建築都市環境委員会(CABE)の取組み(デザインレビューなど)をはじめ、国内外の先進事例を多数紹介。
(1) 地域資産の把握・共有
(2) 良好な建築景観に関する共通言語の検討
(3) 専門家によるデザイン調整の推進
(4) 公共建築におけるモデル的取組みの推進
(5) 地域の技術継承・創出のための専門家の育成
(6) 良好な建築景観についての普及啓発・調査研究
(7) 専門家が良好な景観形成に向けた活動を行う場づくり
 
 
 国土交通省においては、今後、本提言を踏まえ、有識者、関係団体、地方公共団体等との幅広い議論を行いつつ、建築等を通じた地域社会の良好な景観形成に係る制度や手法等の充実に向けた検討を進めていくこととしています。
 
 
※ 各検討委員会における資料等は、以下のホームページから入手可能です。
国土交通省 住宅局 市街地建築課
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/machikei/machikei.html

お問い合わせ先

国土交通省住宅局市街地建築課景観建築企画官 佐藤 研一
TEL:(03)5253-8111 (内線39602) 直通 (03)5253-8515
国土交通省住宅局市街地建築課課長補佐 松本 忠
TEL:(03)5253-811 (内線39633) 直通 (03)5253-8515
国土交通省住宅局市街地建築課係長 松本 潤朗
TEL:(03)5253-811 (内線39634) 直通 (03)5253-8515

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