報道・広報

自賠責保険における高次脳機能障害の後遺障害認定に係る損害調査方法の充実が図られます
~審査対象要件に「MTBI」、「軽度外傷性脳損傷」の診断名が明記されます~

平成30年6月29日

 損害保険料率算出機構において「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」(報告書)が取りまとめられ、MTBI(※1)等の診断がなされている事案が審査対象から漏れることがないよう、これを審査対象要件に明記するとともに、医療機関への照会様式の一部見直しを行い、画像所見が明らかでない事案の審査にあたってはより詳細な臨床所見の収集に努めることとなりました。
  
 自賠責保険(共済)における脳外傷による高次脳機能障害(※2)の後遺障害認定については、平成13年に自動車保険料率算定会(現在の損害保険料率算出機構)が策定した「高次脳機能障害認定システム」(※3)に基づき、専門医を中心とする自賠責保険(共済)審査会において、審査が行われているところです。

 同認定システムは、平成23年までに3回の見直しが行われ、充実が図られてきたところですが、前回の見直しから6年以上が経過していること等に鑑み、平成29年10月、同機構に対して見直しを依頼し、同年11月に同機構内に検討委員会が設置され、外部専門家の意見陳述、委員の意見発表、文献のレビュー等を踏まえた検討が行われ、本年5月に報告書が取りまとめられました(委員:別紙参照)。

 同機構では、この検討結果に沿って自賠責保険の高次脳機能障害認定システムの充実に向けた見直しを実施し、平成30年7月1日から、見直し後の認定システムによって高次脳機能障害の認定審査を行うこととしています。

<報告書の概要及び報告書>(同機構ホームページ)
https://www.giroj.or.jp/cali_survey/brain.html 

※1 「MTBI(Mild Traumatic Brain Injury)」とは、WHO(世界保健機関)共同特別専門委員会の定義によれば、以下のとおりとなります。(訳は同検討委員会)
MTBIは、物理的外力による力学的エネルギーが頭部に作用した結果起こる急性脳外傷である。
臨床診断のための運用上の基準は以下を含む:
(1)以下の一つか、それ以上:混乱や失見当識、30分あるいはそれ以下の意識喪失、24時間以下の外傷後健忘期間、そして/あるいは一過性の神経学的異常、たとえば局所神経徴候、けいれん、手術を要しない頭蓋内病変
(2)外傷後30分の時点あるいはそれ以上経過している場合は急患室到着の時点で、グラスゴー昏睡尺度得点は13-15
上記のMTBI所見は、薬物・酒・内服薬、他の外傷とか他の外傷治療(たとえば全身の系統的外傷、顔面外傷、挿管など)、他の問題(たとえば心理的外傷、言語の障壁、併存する医学的問題)あるいは穿通性脳外傷などによって起きたものであってはならない。
※2 「脳外傷による高次脳機能障害」とは、自動車事故による頭部外傷等によって脳が損傷され、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが生じ、これに起因して、日常生活・社会生活への適応が困難となる障害です。半身の運動麻痺や起立・歩行の不安定などの神経症状を伴うこともあります。
※3 「高次脳機能障害認定システム」とは、専門医を中心とする自賠責保険(共済)審査会にお いて後遺障害等級の認定を行う仕組です。

お問い合わせ先

国土交通省自動車局保障制度参事官室 坂本、三井
TEL:(03)5253-8111 (内線41512、41534) 直通 03-5253-8585 FAX:03-5253-1638

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