報道・広報

バス火災事故調査報告書がとりまとめられました!

平成22年6月30日

 平成21年3月16日及び同年9月20日、東名高速道路の静岡県牧之原市で発生した同一構造のエンジンを搭載したバス火災事故について、「東名高速道路で発生したジェイアールバス関東株式会社及び株式会社ローレル観光バスのバス火災事故に関する調査小委員会」(以下「調査小委員会」という。)において、事故の原因究明とその再発防止策の検討が行われてきました。

 この度、調査小委員会の第6回会合が開催され、調査結果が報告書として取りまとめられましたのでお知らせします。

<1> バス火災事故の概要

 別添資料の通り

<2> 調査結果 (概要)

 ・  火災の原因は、ターボチャージャー(以下「ターボ」という。)の破損による。

 ・  火災の発生メカニズムは、推定次のとおり。

<JRバス関東>
 ターボの軸受部が潤滑不良となり、又は何らかの原因により急激に、コンプレッサー側が破損して全体がアンバランスになったため、シャフト等が破損し、ターボ破損部からのオイルが排気系にかかり出火、延焼。火災発生後もエンジンを止めなかったため火災が拡大。

<ローレル観光バス>
 ターボの軸受部が液状シーリング材と推定される異物により潤滑不良となり、コンプレッサー側又はタービン側のホイール(羽根車)が破損して全体がアンバランスになったため、シャフト等が破損し、ターボの破損部からのオイルが排気系にかかり出火、延焼。

 2つの事故のターボの破損状況は異なり、また破損に至った過程は異なると推定される。いずれもターボの部品に潤滑不良の痕跡が認められたが、JRバス関東の原因はターボの関連部品が火災の影響により溶損したため特定できず(なお、ターボの軸受部には異物は認められなかった)、ローレル観光バスの原因はターボ軸受部に液状シーリング材と推定される異物が混入したことによるものと推定される。

<3> 再発防止策 (調査小委員会の提言)

(1) ターボチャージャーに係る点検整備の実施  
  ・ バス輸入・販売事業者及びバス製作者は、ターボの定期的な点検の指定等又はターボの定期交換時期を明確化することが必要。  
  ・ 国土交通省は、バス輸入・販売事業者又はバス製作者が指定等したターボの定期点検について、バス事業者に対し点検の励行を周知することが必要。

(2) 異物の混入防止
  国土交通省は、ターボ潤滑系の配管部品類の整備を行う場合には、液状シーリング材を用いないよう、整備事業者に対し注意喚起することが必要。

(3) 火災発生時における緊急時対応マニュアル等による適切な行動
  バス事業者は、運転者に対し、「車両火災発生等緊急時における統一対応マニュアル」に応じて行動するよう教育を徹底することが必要。

(4) 車両火災防止対策等の検討
  国土交通省は、国連の自動車基準調和世界フォーラム(※)において検討されている材料の燃焼性質等に係る規則の強化について、国内導入に向けて検討することが必要。

(※) 自動車基準調和世界フォーラム(WP29)とは、国連欧州経済委員会(UN/ECE)の下に設けられている組織であり、1つの運営委員会と6つの専門分科会を有している。自動車の安全・環境基準を国際的に調和することや政府による自動車の認証の国際的な相互承認を推進することにより安全・環境性能の高い自動車を国際的に普及させることなどを目的としている。

<4> 調査小委員会の開催経緯

  第1回 平成21年 4月14日 調査小委員会設置
  第2回    同年  8月 5日
  第3回    同年 11月17日 調査対象にローレル観光バスを追加
  第4回 平成22年 3月30日
  第5回    同年  6月 7日
  第6回    同年  6月29日 取りまとめ

<5> 調査小委員会委員 (敬称略、五十音順)

  委員長  森沢 正旭 (東京都市大学名誉教授)
  委  員  相川 春雄 (社団法人日本バス協会)
  委  員  佐々木 均 (社団法人日本自動車整備振興会連合会)
  委  員  須川 修身 (諏訪東京理科大学システム工学部教授)
  委  員  谷口 哲夫 (独立行政法人交通安全環境研究所)
  委  員  田村 裕之 (消防庁消防大学校消防研究センター)

お問い合わせ先

国土交通省自動車交通局 安全政策課 大森・松井
TEL:(03)5253-8111 (内線41622・41624)
国土交通省自動車交通局 技術安全部 整備課 橋本・奥
TEL:(03)5253-8111 (内線42426・42415)

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