報道・広報

マラッカ・シンガポール海峡の航行安全対策の協力メカニズム動き出す

平成20年5月30日

 エネルギー輸送など世界貿易上、重要な海上輸送路であるマラッカ・シンガポール海峡(マ・シ海峡)の航行の安全及び環境保全のために創設された協力メカニズム※に基づき、第1回協力フォーラムが開催され、同海峡沿岸国、利用国及び利害関係者が会し、同海峡の安全対策に関して意見交換等が行われた。また、第1回プロジェクト調整委員会が開催され、同海峡沿岸国から提案されたプロジェクトについて、沿岸国及び支援を表明している利用国等が具体的な実施について調整を行った。両会合の結果は下記のとおりです。
 
 協力メカニズムは、昨年9月に開催されたIMOシンガポール会議において創設され、協力フォーラム・プロジェクト調整委員会・航行援助施設基金の3つの要素で構成。
 
 

1.第1回協力フォーラム

開催日:平成20年5月27日(火)~28日(水)
場所:マレーシア・クアラルンプール
出席者:沿岸国(インドネシア、マレーシア、シンガポール)
      利用国(オーストラリア、バングラディシュ、中国、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、インド、日本、オランダ、ノルウェー、パキスタン、イラン、フィリピン、ロシア、タイ、UAE、米国)
      海事関係者(IMO、ICS、OCIMF、SIGTTO、IFSMA)
      国際機関等(EC,IMO)
      ※ 日本側出席者:岡西外航課長、前田外航課専門官、マラッカ海峡協議会、日本財団、日本航路標識協会
 
結果の主な概要:
☆ 協力フォーラムの開会に際し、沿岸3カ国から、利用国及び利害関係者の本フォーラムへの参加の歓迎の辞が述べられ、かつ、本会合のホスト国であるマレーシアの運輸大臣から、利用国及び利害関係者の協力を受け、沿岸国はマ・シ海峡の航行の安全及び環境保全の向上に努力する旨述べられた。
 
☆ 先月、マレーシア・ペナン島にて開催された第1回航行援助施設基金委員会について、当該委員会のホスト国であるマレーシアより次のとおり報告がなされた。
・ 2008年~2010年までの3年間、基金の管理をマレーシアが行う。
・ 既存の航行援助施設の現状の評価調査を本年6月~11月に実施。
・ 日本財団が当該評価調査の実施のために約135万USドル拠出。
・ 沿岸国が実施する当該評価調査に、マラッカ海峡協議会が支援。
 
☆ 沿岸国より、マラッカ・シンガポール海峡における通航量、航行援助施設の現状、海難事故及び油汚染防除設備の現状の報告、並びに今後の通航量の増加に伴う当該海峡の環境保全への対応問題提起がなされ、意見交換が行われた。
 
☆ 沿岸国より、6つのプロジェクト※について、各プロジェクトの目的、具体的な内容、プロジェクトの実施による効果、進捗状況等について、説明がなされた。
  ※   [1] 分離通航帯内における沈船の除去
    [2] 有害危険物質(HNS)への対応体制整備
    [3] 小型船舶用のAIS(船舶自動識別システム)クラスBの実証実験
    [4] 潮流・潮汐等の観測システムの整備
    [5] 既存の航行援助施設の維持・更新
    [6] 津波の被害による航行援助施設の復旧整備
  上記プロジェクトに対して、利用国等から次のとおり支援表明がなされた。
・ 中国は、プロジェクト[2]及び[4]に支援する旨述べた。
・ 我が国は、プロジェクト[3]及び[5]に支援する旨述べるとともに、航行援助施設基金に対して、日本船主協会やエネルギー業界など同海峡を利用する我が国の民間団体から支援を行っていく旨述べた。
・ ECは、協力メカニズムへの可能な協力・支援について検討していく旨述べた。
 

2.プロジェクト調整委員会

開催日:平成20年5月29日(木)
場所:マレーシア・クアラルンプール
出席者:沿岸国(インドネシア、マレーシア、シンガポール)
      利用国(オーストラリア、中国、日本、韓国、米国)
            海事関係者(IMO、IFSMA)
     ※ 日本側出席者:岡西外航課長、前田外航課専門官、マラッカ海峡協議会、日本財団、日本航路標識協会
 
結果の概要:
☆ プレナリーにおいて、沿岸国より各プロジェクトの概要説明がなされ、我が国から、以下の点について、コメントした。
・ プロジェクト3について、現時点でのスケジュール上、AISクラスBの実証実験後のデータ分析に6ヶ月間を予定しているが、データ分析装置が整備されていないことを踏まえると期間内での達成が困難ではないかと指摘するとともに、AISクラスBトランスポンダーの沿岸国への提供について、政府予算の範囲内で提供する用意があること。
・ プロジェクト5について、マラッカ海峡協議会が評価調査に第3者機関として参加していることで技術的貢献を行っていること、評価調査により優先度が高いとされた航行援助施設について、政府予算の範囲内で基本設計調査を実施する予定であること、及びそのためにも評価調査が透明性をもって的確に実施されることが必要であること。
プレナリーの後、3つのワーキング・グループ(WG)が設置され、WG1はプロジェクト1及び2を、WG2はプロジェクト3及び4を、WG3はプロジェクト5及び6について検討がなされた。
 
☆ 我が国が支援を表明しているプロジェクト3及び5については、以下のとおり。
(プロジェクト3)
・ プレナリーにおいて、我が国が指摘した実証実験後のデータ分析に要する期間については、データ分析装置を速やかに調達し、オーストラリアの支援を得て、データ分析の調整を行うことにより、スケジュールどおりの期間でデータ分析を行うこととされた。
(プロジェクト5)
・ 評価調査は12月まで行われるが、航行援助施設基金に新たな参加者を募るためには、10月の同基金委員会において今後の必要額をある程度明らかにする必要がある旨我が国が指摘したところ、10月の同委員会までに中間報告が行われることとなった。
 

お問い合わせ先

国土交通省海事局外航課 
TEL:(03)5253-8111 (内線43302)

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