報道・広報

海運先進18カ国当局間会議(Consultative Shipping Group)の結果概要について

平成22年3月18日

 3月17日(水)、韓国・釜山において、海運先進18カ国当局間会議(CSG会議)が開催されました。
 海運先進国が連携して自由な国際海運市場の形成を促進すべきとの共通の認識のもと、金融危機後の海運政策、米国等の保安を理由とする規制や発展途上国による海運への障壁、海賊対策、温暖化防止対策等、国際海運にかかる幅広い課題につき活発な議論がなされました。 
 結果概要を下記のとおり報告します。

        記

開催日: 平成22年3月17日(水)
場 所: 韓国・釜山(ヌリマルAPEC House)
出席者: CSGメンバー13カ国及び地域等の海運当局担当者(局長~課長級)
 デンマーク(議長:Mr. Andreas Nordseth海事局長)、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、韓国、オランダ、ノルウェー、ポーランド、シンガポール、スウェーデン、英国、日本(出席者:森重大臣官房審議官(海事・港湾・危機管理)及び西田海事局外航課海運渉外室長)、EU(オブザーバ)、コットンクラブ(オブザーバ:主要海運国在米大使館海運アタッシェによる会合)  
※不参加(イタリア、ギリシャ、スペイン、フィンランド、ポルトガル)

(参考)CSG会議について
 海運自由の原則を目的としたOECD共通海運原則を遵守している国々の政策対話のためのグループとして、英国の主唱により1962年に欧州10カ国で発足。日本は1963年より参加。
 米国を始め特定国の国際海運に対する規制問題への対応を中心に、市況分析、海運自由化、海洋環境保護、航行安全、保安等国際海運に関する幅広い事項について、意見交換・調整等を行う場として活用されている。また、2年毎に米国との政策対話の場としてUS-CSG会議を開催している。


主な議題
 ・世界経済の状況と国際海運への影響
 ・第三国における海運サービスの障壁
 ・加盟国の海運政策の状況・条約の検討状況
 ・米国の海運政策(CSGと米国との対話(US-CSG)の準備)
 ・地球温暖化防止対策
 ・海賊対策
 ・CSGの今後の取り組み

結果の概要
 昨今の経済危機の状況や今後の海運市況の見通し及びクオリティシッピングの低下懸念に関し意見交換がなされ、海運市況は回復の兆しは見られるものの、船舶の供給過剰懸念等により、依然危機下にあるとの認識が示され、自由で公正な競争を確保するため保護主義の台頭を今後も監視していく必要があるとされた、なお、我が国よりは、外航海運を成長産業と認識した上で、自由で平等な競争環境の整備が重要である旨指摘した。
 我が国からは更に、保護的措置を監視する法的枠組みとしてのWTOのサービスの貿易に関する一般協定(GATS)の重要性を訴え、米国を含め交渉自体に消極的な国を如何に取り込むかが現在のWTO海運サービス交渉の課題であるとして、本件重要性について本年6月に開催されるUS-CSGにおいて取り上げることを提案した。EUやノルウェー等より、WTO海運サービス交渉の議長国としての我が国の努力を評価した上で支持が得られ、US-CSGの議題とすることとされた。
 我が国より、パナマ運河通航料に関し、経済危機下の2009年5月を含め、毎年10%~17%値上げされており、海運業界への影響が懸念される旨指摘したところ、当面、船社とパナマ運河庁の交渉を見守ることとするが、問題を認識し、引き続き注視していくこととされた。また、インドネシアのターミナルハンドリングチャージ規制やケニア、エジプト、アルジェリアにおける代理店業務等への外資規制について意見交換がなされ、これらの問題について引き続き注視していくこととなった。
 税制を中心とした各国の海運政策に係る情報交換について、我が国より、CSGを各国の海運に関する税制についての情報交換の場としても活用することを提案し、支持が得られた。なお、税だけでなく雇用に係る社会保障の負担も併せて対象とし、本件をテーマとしたCSGによるセミナーの開催も検討することとされた。また、国際海上物品運送に係る責任制度等を定めたロッテルダムルール、海事労働条約、船員の移動の容易化等を目的とするILO185号条約についての各国締結見込み等の情報交換がなされた。
 US-CSGの議題については、海賊対策、WTOドーハラウンド、100%コンテナスキャニング規制、バラスト水管理規制等幅広い分野に亘る双方の関心事項が設定された。
 地球温暖化問題に関しては、来週のIMO海洋環境保護委員会(MEPC60)の結果をふまえ、US-CSGで意見交換することとされた。韓国より提案のあった北極海航路の安全環境問題については、IMOでの取り組みを注視することとされた。なお、我が国より海洋政策研究財団による商船の航路開設の可能性に関する研究について紹介した。
 ソマリア沖の海賊問題について、海賊対処法の成立や護衛実績等我が国の取り組みを紹介した。また、マラッカ・シンガポール海峡での海賊対策に関しては、アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)の貢献を多とし、シンガポールの運営努力や日本の協力に謝意が示された。
 CSGの今後の取り組みとして、初めてのブラジルとの政策対話であるCSG-Brazilを本年秋ごろに開催することとされた。
 その他、EUより、EU海事政策(2008-2018)に関するセミナーを6月に開催する旨アナウンスがあった。

今後の予定
 6月にUS-CSG会議を開催し、次回のCSG会議は、2011年に欧州のいずれかの国で開催するとし、今後調整されることになった。

お問い合わせ先

国土交通省海事局外航課 北林、川村
TEL:(03)5253-8111 (内線43-363、43-354)

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