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「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(仮称)」の採択について

平成21年5月15日

 本年5月15日、香港において65の国及び地域、11の機関が参加して開催された「安全かつ環境上適正な船舶のリサイクルに関する国際会議」において、「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(仮称)」(通称:シップリサイクル条約)が採択された。

 我が国は、国際海事機関(IMO)における本条約案の策定に当たって、条約の骨子を提案して以来、条約策定を主導してきた。本会議においても、春田謙国土交通事務次官を首席代表とする代表団を派遣し、議場においては大坪新一郎国際基準調整官(海事局安全基準課)が全体委員会の第1副議長を務めるなど、審議に積極的に貢献した。


1.国際会議の開催の経緯
 大型船舶の解体は、主に開発途上国で行われており、環境汚染や労働災害が国際的な問題となっていた。この課題の是正に向けて、国際海事機関(IMO)は、2005年から新たな条約を策定するための作業を行ってきた。
この度、香港において条約採択のための国際会議が開催され、条約の最終審議を行い、5月15日に採択された。


2.採択された条約の概要
 本条約では、船舶のリサイクルにおける環境汚染問題や労働災害を最小限にするために以下のような要件が定められた。

(1)船舶に関する要件
・アスベスト、ポリ塩化ビフェニール(PCBs)、オゾン層破壊物質などを含む設備等の新規搭載の禁止
・船舶に存在する有害物質の種別、所在場所及び概算量を記した一覧表(インベントリ)の作成と備置き
・旗国の主管庁または承認機関による定期的な検査

(2)船舶解体施設に関する要件
・環境汚染や労働災害を最小化するための設備および適正な運営を施設に義務付け
・リサイクル国の所管官庁又は承認機関による施設の承認および定期的な検査

(3)船舶解体の手順
  1)船主がインベントリを最終化するとともに、船主と解体施設が共同でリサイクル計画を作成
  2)リサイクル国による、リサイクル計画の承認
  3)旗国による最終検査(インベントリと船舶の状態の一致、および承認リサイクル計画の確認)
  4)国際リサイクル準備証書の発給
  5)リサイクルの実施
  6)解体施設より、旗国・リサイクル国政府へのリサイクル完了の通知

 本条約は、 [1] 15ヶ国以上が締結し、[2]それらの国の商船船腹量の合計が世界の商船船量の40パーセント以上となり、かつ、[3]それらの国の直近10年における最大の年間解体船腹量の合計がそれらの国の商船船腹量合計の3パーセント以上となる国が締結した日の24箇月後に効力を生じることとなっている。





添付資料

公表資料(PDF形式:200KB)PDF形式

お問い合わせ先

国土交通省海事局船舶産業課国際業務室 
TEL:(03)5253-8111 (内線43-644)

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