報道・広報

「持続可能なシップリサイクルを目指して」国際的な意見交換を実施しました
~シップリサイクル国際セミナーの開催結果~

平成28年2月4日

国土交通省は、2月3日、英国・ロンドンにおいて、安全かつ環境上適正なシップリサイクル(船舶の解体)の実現を目指して、シップリサイクルに関する国際セミナーを開催しました。セミナーには、世界24か国から約90名の関係者が参加し、南アジアにおけるシップリサイクル施設の改善プロジェクトや主要リサイクル国、旗国等のシップリサイクル政策等について意見交換が行われました。セミナーにおいては下記の認識が示されました。
  • 南アジアの国々で改善のための取り組みが着実に進んでおり、一般財団法人日本海事協会がインドにて実施したシップリサイクル施設の改善事業はモデルとなる事例であること。
  • 安全かつ環境上適正なシップリサイクルの実施のためには、シップリサイクル条約(※)の早期発効が重要であり、各国政府が早期締結に向けて取組を進めるべきこと。
  • シップリサイクルに関する安全及び環境上の問題は国際海事社会の共通の課題であり、政府、国際機関、船主、リサイクル事業者、船級協会等の関係者による連携促進が重要であること。
(※)2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約

 国土交通省は、国際海事機関(IMO)の協力のもと、2月3日、英国・ロンドンにおいて、シップリサイクル(船舶の解体)に関する国際セミナー「持続可能なシップリサイクルを目指して」を開催しました。世界各国から、政府、国際機関、船級協会、海運会社、船舶リサイクル事業者、労働組合、環境NGOなど89名が参加しました。
 
 セミナーでは、シップリサイクル施設の改善プロジェクト、各国政府のシップリサイクル政策、様々なステークホルダー(海運会社、船舶リサイクル事業者、船級協会、政府、国際機関、リサイクル仲介業者、環境NGO等)の果たすべき役割や欧州の地域規制等について、プレゼンテーション及びパネルディスカッションを行いました。パネルディスカッションでは、安全・環境に配慮した持続可能なシップリサイクルの実現を目指して活発な意見交換が行われました。
 
 また、シップリサイクルの改善とシップリサイクル条約の早期発効のため我が国が国際セミナーを開催する等国際的議論をリードしていることについて、多くの参加者から感謝の意が述べられました。
セミナーの結果概要は、以下のとおりです。なお、会議で使用したプレゼン資料は、後日、国土交通省ホームページ(英文(http://www.mlit.go.jp/en/maritime/maritime_fr5_000002.html)に、発表者の許可が得られたものを掲載する予定です。


<結果概要>
1.日時:平成28年2月3日(水)9:45~18:15

2.場所:英国ロンドン、St. Ermin’s Hotel (Caxton Street, London SW1H 0QW, UK)

3.出席者:89名:国土交通省からは、加藤光一大臣官房技術審議官(海事局担当)らが出席。

議題1:シップリサイクルの改善方法(優良事例の共有)
 一般財団法人日本海事協会(NK)、IMO、国連環境計画、インド及びバングラデシュのシップリサイクル事業者並びにインダストリオール(国際労働組合)から、南アジアのシップリサイクルの労働安全及び環境対策に関する取組が紹介された。
南アジアの国々で、各国政府、国際機関、リサイクル業者、労働者などによりシップリサイクルの改善のための取り組みが着実に進んでいることが確認された。
 パネルディスカッションでは、「リサイクル施設の選定には、シップリサイクル条約に適合であることが基準になる」との意見があり、NKがインドにて実施したシップリサイクル施設の改善事例が、今後の南アジアでの改善プロジェクトの国際的なモデルケースになるとの認識が示された。

議題2:各国のシップリサイクル政策
 主要なシップリサイクル国であるバングラデシュやトルコから、シップリサイクルの安全・環境に関する政策が紹介されたほか、ノルウェーからシップリサイクル条約の締結のために検討すべき事項が紹介された。また、ベルギーからシップリサイクル条約の締結に関するメリット・デメリットの分析に基づき、シップリサイクル条約の早期発効の必要性が強調された。また、国土交通省からは、日本とインドとの間で検討が進められているシップリサイクル改善のための2カ国間協力の概要について紹介を行った。
 パネルディスカッションでは、船主国であるリベリア、南アジア以外でシップリサイクルを実施している中国の代表者を加えて、シップリサイクル条約の早期発効のための課題について意見交換が行われ、各国政府が早期締結に向けて取組みを進めるべきとの認識が共有された。 

議題3:可能なシップリサイクルを目指して(関係者の果たすべき役割)
 欧州委員会、欧州船主協会、インドのシップリサイクル事業者、リサイクル仲介業者、環境NGOから、それぞれのシップリサイクルに関する方針、労働環境・環境汚染の改善に関する方針等が紹介された。
 パネルディスカッションでは、国土交通省、フランス政府及び日本船主協会の代表者が加わり、シップリサイクルの改善に向けて、それぞれの関係者が果たすべき役割、欧州の地域規制等について議論が行われた。活発な議論の結果、シップリサイクルの安全及び環境上の問題はシップリサイクル国だけでは解決が難しく、海事産業の国際性に留意しつつ国際海事社会全体の共通の課題として取り組むべきことが指摘された。また、持続的なシップリサイクルの実現にはさらなる努力が必要であり、政府、国際機関、船主、リサイクル事業者、船級協会等の関係者が、条約発効に向け、また、条約発効後に必要な役割を果たしていくことが重要であるとの認識が共有された。

お問い合わせ先

国土交通省海事局船舶産業課 宮武
TEL:03-5253-8111 (内線43-641) 直通 03-5253-8632 FAX:03-5253-1644

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