報道・広報

飲酒に起因する不適切な事案等を受けた航空運送事業者及び運航乗務員に対する不利益処分等について

平成30年12月21日

定期航空運送事業者において運航乗務員の飲酒に起因する不適切な事案が連続して発生したことを踏まえ、国土交通省航空局としては、これまで各事業者から各事案の調査及び再発防止策の報告を受け、航空法第134条に基づき各事業者に対する立入検査及び当事者からの聴取等を実施してきたところです。  
その結果、航空法第104条第1項に基づき認可した運航規程への違反などの不適切な事項が確認され、飲酒に関する更なる全社的な意識改革が必要であることが判明したため、航空運送事業者及び運航乗務員に対し下記の措置をとることとしました。  
国土交通省航空局としては、各社において再発防止が確実に図られ安全運航のための体制が維持されるよう、引き続き厳格に指導監督を行ってまいります。

1. 日本航空株式会社

(1)事案の概要
   平成30年10月28日(現地時間)のJAL44便に乗務予定の副操縦士が、通報を受けた現地警察による検査の結果、社内基準及び英国法令の基準を大幅に超過するアルコール濃度が検出され、同警察に拘束された。当該副操縦士に対し乗務前に行われた会社におけるアルコール検査においては、機長及び副機長は同社の運航規程に基づく相互確認を適切に実施しなかった。
   また、副操縦士拘束後、運航規程上認められていなかったにもかかわらず、三名乗務編成から二名乗務編成に変更のうえ同便を定刻より1時間9分遅れで出発させた。
   さらには、同社への立入検査の結果、新型アルコール感知器が導入された後の運航乗務員のアルコール検査データにおいて、出頭時のアルコール検査の記録が欠損するなどして確認できない事例が多数確認された。

(2)国土交通省航空局による対応
  (ア)会社に対する措置
     航空法第112条に基づく事業改善命令を行い、飲酒対策の抜本的な再構築及び乗務編成の変更禁止を命令し、平成31年1月18日までに必要な再発防止策について報告させることとした。
  (イ)運航乗務員に対する措置
     機長(PIC):文書警告(行政指導)
     副機長(SIC):文書警告(行政指導)
  (注)副操縦士については、11月29日(現地時間)に禁固10ヶ月の実刑判決を受けて現在英国で拘置中であり、今後、本人からの聴取を実施したうえで行政手続法に基づく手続きを経ることから、措置の実施には一定の時間を要する。

2. 全日本空輸株式会社

(1)事案の概要
   同社への立入検査の結果、運航乗務員のアルコール検査データにおいて、出頭時のアルコール検査の記録が欠損するなどして確認できない事例が多数確認された。

(2)国土交通省航空局による対応
   会社に対し文書による厳重注意を行い、平成31年1月18日までに必要な再発防止策について報告させることとした。

3. ANAウイングス株式会社

(1)事案の概要
   ANAウイングスの機長(当時)が同社の運航規程により乗務開始前12時間以内の飲酒が制限されていることを認識しながら、平成30年10月24日、沖縄県石垣市内において飲酒制限時間を超えて酩酊するほどの過度な飲酒を行った。
   また、翌日25日の乗務前に会社に体調不良による乗務不可である旨申告したが、その際本件が飲酒に起因することについては自ら報告しなかった。
   本事案に伴う乗務員の交代により計5便の運航便に出発遅延が発生した。

(2)国土交通省航空局による対応
  (ア)会社に対する措置
     会社に対し文書による厳重注意を行い、平成31年1月18日までに必要な再発防止策について報告させることとした。
  (イ)運航乗務員に対する措置
     元機長:文書警告(行政指導)

4. スカイマーク株式会社

(1)事案の概要
   平成30年11月14日のSKY705便に乗務予定の機長が、乗務前に行ったアルコール検査において陽性反応があり、その後の詳細検査結果の推移から出頭時にはアルコール濃度が社内基準を超過していた可能性があることが判明した。当該便は乗務員の交代により定刻より23分遅れで出発した。
   当該機長は乗務前日に過度な飲酒をしており乗務に影響を及ぼす飲酒を禁止している運航規程に違反した行為であり、他社における飲酒に起因する不適切な事案を受けて国土交通省航空局から飲酒に関する航空法等の遵守の徹底を指示(平成30年11月1日付 国官参事第800号)していた状況において本事案を発生させた。

(2)国土交通省航空局による対応
  (ア)会社に対する措置
     会社に対し文書による厳重注意を行い、平成31年1月18日までに必要な再発防止策について報告させることとした。
  (イ)運航乗務員に対する措置
     機長:文書注意(行政指導)

5. 日本エアコミューター株式会社

(1)事案の概要
   平成30年11月28日のJAC3741便に乗務予定の機長が、乗務前に行ったアルコール検査において陽性反応があり、乗務員の交代により当該便を含む計4便に出発遅延が発生した。
   当該機長は乗務前日に飲酒をし、乗務前のアルコール検査において社内基準を超過するアルコール濃度が検出されたことは、乗務に影響を及ぼす飲酒を禁止している運航規程に違反した行為であり、他社における飲酒に起因する不適切な事案を受けて国土交通省航空局から飲酒に関する航空法等の遵守の徹底を指示(平成30年11月1日付 国官参事第800号)していた状況において本事案を発生させた。

(2)国土交通省航空局による対応
  (ア)会社に対する措置
     会社に対し文書による厳重注意を行い、平成31年1月18日までに必要な再発防止策について報告させることとした。
  (イ)運航乗務員に対する措置
     機長:文書注意(行政指導)

お問い合わせ先

1.~4.の航空会社に対する措置について  国土交通省 航空局 安全部 航空事業安全室 久保  原
TEL:03-5253-8111 (内線50145  50163) FAX:03-5253-1661
5.の航空会社に対する措置について  国土交通省 大阪航空局 安全統括室 航空事業安全監督官 久保田  橋本
TEL:06-6949-0595  FAX:06-6949-1381
航空従事者に対する措置について  国土交通省 航空局 安全部 運航安全課 小西  奈良
TEL:03-5253-8111 (内線50104  50312) FAX:03-5253-1661

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