報道・広報

我が国の国際海上コンテナ物流動向
~全国輸出入コンテナ貨物流動調査結果からみた5つのポイント~

令和元年7月3日

この度、平成30年度全国輸出入コンテナ貨物流動調査をもとに、過年度調査との比較も踏まえ我が国の国際海上コンテナ物流動向の分析結果をまとめました。 前回の平成25年度調査と比較して、全体貨物量が増える中、中国3%減、東南アジア33%増と主要な輸出入先が変化した他、国内の高速道路網や国際フィーダー航路網の充実に伴う国際戦略港湾(京浜港・阪神港)への集貨拡大の傾向が現れています。 また、北米・欧州方面は、コンテナ船の大型化等に伴い寄港便数が減少する中、それに比して直航航路の利用率はデイリーサービスを維持している北米航路で78.6%を維持するなど、直航航路の利用に対するニーズは引き続き高い状況です。


1.全国輸出入コンテナ貨物流動調査の概要
 (1)調査目的
国土交通省港湾局では、我が国発着の国際海上コンテナの流動を詳細に把握するため、5年に1度、「全国輸出入コンテナ貨物流動調査」を実施しています。調査結果は、効率的な物流体系を構築するための港湾政策の企画立案、港湾整備計画の検討等に活用しています。
 
(2)調査内容
調査範囲:国際海上コンテナ貨物の以下の流動実態
(輸出) 国内の生産地から海外の仕向国(最終消費国)までの流動実態
(輸入) 海外の原産国から国内の消費地までの流動実態
調査期間:平成30年11月1日から30日までの1ヶ月間
調査対象:上記期間中に通関申告が行われた海上コンテナ貨物全量(空コンテナの流動は含まず)
 
3.国際海上コンテナ物流の動向
[1] 前回5年前の調査と比較して、貨物量は8.8%増と大幅に増加。
[2] 海上コンテナ貨物の相手国地域は、輸出、輸入ともに、東アジア州(909万トン:47%)、その他アジア州(523万トン:27%)、北アメリカ州(228万トン:12%)の順に貨物量が多い。
 ポイント1:中国はこの調査では初めての減となるマイナス約3%を記録、他方、東南アジアは前回より大幅増のプラス約33%
 ポイント2:2016年のパナマ運河拡張後、初めてとなる本調査では、北米西岸方面貨物は約158万トン(H25)から約154万トン(H30)に約4万トン減少した一方、北米東岸方面貨物は約48万トン(H25)から約73万トン(H30)に約25万トン増加しており、北米西岸方面から東岸方面へのシフトが見られた
[3] 国際戦略港湾である京浜港は東日本全体、阪神港は西日本全体を広く背後圏としており、引き続き、我が国の輸出入を支える基幹インフラとして機能。
 ポイント3:大分・宮崎方面の阪神港利用が増加。九州からの国際フィーダー航路による集貨に加え、東九州自動車道など高速道路ネットワークの延伸による内航フェリーとの連携輸送の効果が発現。
[4] 船舶の大型化や船社間のアライアンス再編などにより、世界的な欧州・北米方面の航路数が減少した結果、我が国への寄港便数は減少した。これに伴い、直航航路の利用率(東アジア・東南アジア諸港で積み替えられる貨物(トンベース)を除いた割合、以下「直航率」)は減少したが、その傾向は緩やかであり、直航航路に対するニーズが引き続き高いと考えられる。
 ポイント4:北米・欧州方面とも寄港便数の減少に伴い直航率は減少したものの、直航航路のニーズは高い傾向。デイリーサービスを確保している北米西岸方面貨物は直航率87.1%と高水準を維持した一方、週1便となった欧州航路は直航率38.8%となるなど、一定の寄港便数の確保が重要(欧州航路は本年5月に週2便に増加)。
[5] 国際戦略港湾と国内諸港とを結ぶ国際フィーダー航路網が充実。
 ポイント5:国内諸港を発着する外貿コンテナ貨物のうち、欧州・北米・中南米・アフリカ・大洋州といった長距離方面貨物について、国際フィーダー航路の利用比率が13.3%(H25)から14.4%(H30)へ上昇
 
4.国土交通省の取り組み
 コンテナ船の大型化や船社間の連携による基幹航路の再編等、海運・港湾を取り巻く情勢が変化する中、欧州・北米方面の直航航路の便数は全体として減少したものの、これまで、国際コンテナ戦略港湾政策として様々な施策を講じてきたことにより、国際戦略港湾と国内諸港とを結ぶ国際フィーダー航路が充実した。この結果、欧州・北米・中南米・アフリカ・大洋州といった長距離方面貨物の国際戦略港湾への集貨が拡大するとともに、平成29年、平成30年の北米西岸航路の新規開設や本年5月の欧州航路の再開など、着実に成果が上がりつつある。
 今後、国土交通省としては、欧州・北米航路をはじめ、中南米・アフリカ等多方面・多頻度の直航サービスを充実させることを政策目標として、「Cargo Volume(貨物量)」「Cost(コスト)」「Convenience(利便性)」の3つの観点を備えた国際コンテナ戦略港湾を目指し、重点的・効率的な集貨、コンテナターミナルの生産性向上、港湾の完全電子化をはじめとする「集貨」「創貨」「競争力強化」の3本柱の取り組みを引き続き推進することとしている。
 
5.本調査の集計結果の公表と調査票情報の利用について
 平成30年度調査分の集計結果については、下記のWebサイトにて公表しておりますので、ご利用下さい。
・政府統計の総合窓口「e-Stat」 (https://www.e-stat.go.jp/
・国土交通省 港湾関係統計データ ホームページ
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/port_list.html
 
 また、本調査の調査票情報の利用については、統計法第33条に基づき、公的機関との共同研究において行う統計的研究などに限り、研究等の目的に必要な最小限度の範囲において、本調査の調査票情報の提供を行うことができます。詳しくは、下記担当者へお問合せ下さい。

添付資料

報道発表資料(PDF形式)PDF形式

お問い合わせ先

国土交通省港湾局計画課企画室 坂井、佐藤、大濵
TEL:03-5253-8111 (内線46344,46342,46825) 直通 03-5253-8670 FAX:03-5253-1650

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