報道・広報

「第2回日ミャンマー防災・水資源管理ワークショップ」の結果概要について

平成25年1月29日

この度、国土交通省では、ミャンマー連邦共和国ネピドーにおいて、ミャンマー連邦社会福祉救済復興省とともに、「第2回日ミャンマー防災・水資源管理ワークショップ」を開催しました。
本ワークショップにおいては、ミャンマー政府の高い関心のもと、我が国の防災・水資源管理に係る技術や政策を紹介するとともに、これらに関するミャンマーの取り組みについて情報交換を行いました。また活発な議論が行われ、これらの分野に係る我が国の技術や経験に対するミャンマー側の理解を深めるとともに、両国の協力関係を一層強化することができました。
この成果を踏まえ、今後ともミャンマー連邦共和国との一層の協力関係を推進してまいります。

日ミャンマー防災・水資源管理ワークショップ
(1)日程  平成25年1月22日(火)
(2)会場  ティンガハ・ホテル(ミャンマー連邦共和国・ネピドー)
(3)主催  国土交通省、ミャンマー連邦共和国社会福祉救済復興省
(4)出席者 88名
 [日本側]
    国土交通省 総合政策局 国際建設管理官 安田吾郎
    国土交通省 水管理・国土保全局 河川計画課 課長補佐 井樋世一郎
    気象庁 総務部 企画課 国際室 外事官 永田和彦
    独立行政法人 水資源機構 関東事業担当 課長補佐 小島幸康
    在ミャンマー日本国大使館、(一社)国際建設技術協会、
    (財)日本ダム協会、日本無線(株) ほか
  [ミャンマー側]
    社会福祉救済復興省 大臣 ミャッ・ミャッ・オン・キン氏ほか17名
    (農業灌漑省、運輸省、建設省、電力省ほか)

(5)結果概要
1)冒頭および終了時挨拶
・冒頭、国土交通省安田国際建設管理官より、本ワークショップをきっかけに防災分野での協力関係が深まり、国の安定的な発展のために不可欠な災害対策が進展することを希望する旨の発言があった。続いて、ミャンマー社会福祉救済復興省ミャッ・ミャッ・オン・キン大臣より開発のための防災の重要性について言及があるとともに、本ワークショップ開催への感謝の意が示された。
・閉会にあたり、国土交通省安田国際建設管理官より、今回のワークショップにより相互の取組や課題について議論ができたこと、また、両国間の防災分野での協力関係を官民ともに築けたことについて発言があった。また、ミャンマー運輸省水資源河川系開発局コ・コ・オ副局長より、本日のプレゼンテーションや意見交換を今後の防災対策に役立てていきたい旨の発言があった。

2)ミャンマー側の発表
<社会福祉救済復興省>(災害発生後の応急対応や防災総括を担当)
・ミャンマーで発生する災害の概要が説明された。
・災害対応を担当する防災関連機関の紹介やリスク軽減のためのガイドラインの説明が行われた。
・今後の取り組みについて、早期予警報体制の強化や気候変動への対応の重要性が説明された。
・サイクロンや水害による被害軽減のためには、日本、ミャンマー両国の経験、知識を共有することが重要であると強調された。

<運輸省気象局>(気象・水位・水文観測を担当)
・気象局の組織概要、ミャンマーにおける河川水位の予測方法や洪水予警報の伝達方法が紹介された。
・2012年の洪水予警報の発出事例や水位の観測状況について説明があった。
・今後の取り組みについて、高潮の予測プロジェクト、沿岸部でのリスク軽減対策、早期警報に関する能力向上が説明された。
・河川水位予測の精度などの課題が説明され、協力ニーズが示された。

<農業灌漑省>(灌漑ダム建設を担当)
・ミャンマーにおけるダムの点検・管理のポイントや点検・監査結果の報告方法について紹介があった。
・ダムの維持管理の際に使用する観測機器について、浸透観測パイプ、ピエゾメーター(流体圧観測器)、地下水観測井戸などが説明された。
・ダムの点検・維持管理について、日本の技術を学びたいとの発言があった。

<運輸省水資源河川系開発局>(河川航路維持、河岸維持を担当)
・Chindwin川における河床変動のモニタリング結果や、Monwya川で施工された水制について説明があった。
・ミャンマーでは、Ayeyarwady川やChindwin川など一部の河川でマスタープランが作成されているのみであり、河川管理の手法・実施に関して改善が求められていることが説明された。
・洪水対策や航路維持のためには河床管理が重要であることが説明され、協力ニーズが示された。


3)日本側の発表
<国土交通省総合政策局>
・日本の防災に関する法制度や防災情報の伝達システムが紹介された。
・法制度の運用に当たっては、各機関の役割分担の明確化、被害者に対する迅速・公平な支援の提供などが重要であることが説明された。
・災害情報システムとして、雨量、水位など洪水に関する情報の収集と提供が行われ、その例としてCCTVによる映像の収集、テレビ放送を通じた情報の発信が紹介された。
・大災害時に起きる事態の想定を十分行うこと、開発に伴う災害リスクの増大を抑制すること、迅速な対応を行える防災組織を構築すること、事態対処関係者間での情報共有の重要性などが説明された。

<気象庁>
・日本における降雨観測手法について、雨量計やレーダーを用いた観測が紹介され、観測されたデータの品質管理の重要性が説明された。
・警報等を発表する基準として用いている指標や、河川単位の洪水警報・注意報を気象庁、国土交通省、自治体が共同して発表していることが説明された。
・具体的な洪水警報・注意報等の発表事例について紹介された。

<日本無線株式会社>
・水災害による被害軽減のためには、正確な降雨・水位観測データの収集と的確な予警報の発出が必要であることが説明された。
・XバンドMPレーダーによって正確な雨量観測が可能となること、最新技術として高い信頼性を有し長寿命化・低コスト化されたSolid-stateレーダーが紹介された。
・日本無線として、今後も機器の改良などにより将来計画策定への貢献に取り組んでいくことが説明された。

<(独)水資源機構>
・アースダムを対象とした安全管理手法(沈下変位の計測、漏水観測、ダム堤体の安定評価)、およびその結果に対する評価の考え方について紹介された。
・ロックフィルダムの点検手法および点検結果や、地震発生後の各種機器の点検について今後の取り組みや考え方が紹介された。

<(財)日本ダム協会>
・日本におけるダム建設の歴史、ダムの目的や施工技術に関して、個別のダムを紹介し概略が説明された。
・洪水防御、水資源開発、灌漑用水確保、発電などの目的を兼ね備えた多目的ダムについて紹介が行われた。
・ダムの施工技術について、RCD(Roller Compacted Dam Method)や、より短期間で安価に施工できるTrapezoidal CSG (Cement Sand Gravity) Damについて、施工方法および施工事例が紹介された。




<国土交通省水管理・国土保全局>
・日本の河川管理の概略が紹介され、河川の特徴を把握し維持管理を行うことの重要性が説明された。
・河川の維持管理について、河床や低水路の管理、河口閉塞対策などの取り組みが紹介された。

<(一社)国際建設技術協会>
・河岸保護のための水制や堤防保護のための護岸、基礎工、堤脚保護などの手法・技術が紹介された
・河岸保護の具体的な取り組みとして、ベトナムでのパイロットプロジェクトが紹介された。

4)総括
・ミャンマー側の発表によって、防災・水資源管理に関する各省庁の取り組みや課題が具体的に示された。
・日本側の発表によって、防災・水資源管理に係る政策的取組や技術についてミャンマー側の理解を深めることができた。
・議論においてもミャンマー側から日本の発表に関する活発な質問があるとともに、日本側からもミャンマー側からの発表に対して、今後留意すべき点等に関するコメントなどがあった。
・今後とも、両国が持続的な協力を行っていくことで一致した。

お問い合わせ先

国土交通省総合政策局海外プロジェクト推進課 森・厳島
TEL:03-5253-8111 (内線25804, 25815) 直通 03-5253-8315 FAX:03-5253-1562

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