報道・広報

“ハンドル形電動車いす”での鉄道利用の要件などが拡大
~~新たな運用のための報告書がまとめられました~~

平成21年3月31日

【背景】
 平成14年度の「交通バリアフリー技術規格調査研究」において、ハンドル形電動車いすによる公共交通機関の利用についての検討を行い、技術的な課題の整理と当面の利用方針がとりまとめられ、実際にハンドル形電動車いすの公共交通機関での利用が定着してきたところです。
 しかしながら前回の調査研究から5年が経過し、その間にハンドル形電動車いすの開発状況や旅客施設の整備状況が変化してきたことから、ハンドル形電動車いすの施設利用等に係る調査研究委員会で見直しの検討を行ったところ、前回の報告書のうち必要な部分の見直しを行うことになり、更なる利用者の利便性の向上を図ることとなりました。
 
【報告書のポイント】
[1] ハンドル形電動車いすを使用する鉄道利用者(以下「利用者」)の要件
  ・ 現行の「補装具費支給制度により真にハンドル形電動車いすの利用が必要として支給を受けている者(過去に補装具支給制度による判定を  
    受け、現在、介護保険による貸与を受けている者を含む)」に加え、
  ・ 「障害者または障害者と同程度の障害を有する者であって、介護保険制度により真にハンドル形電動車いすの利用が必要として判定がなされ
    貸与されている者(※1)」を追加する。
 
◇ 利用者は以下の何れかを鉄道利用時に駅窓口等で提示。
  ・ 補装具費支給決定通知書
  ・ ハンドル形電動車いすに係る補装具費支給証明書
  ・ 障害者手帳の補装具欄に「ハンドル形」の記載があり、市町村の確認印のある障害者手帳
  ・ 介護保険制度による福祉用具貸与利用の利用契約書等またはハンドル形電動車いす提供証明書
 
[2] 利用できる鉄道車両の条件
  ・ デッキ付き車両はその内部が狭隘であることから利用に制限があるが、今後、東海道・山陽新幹線でのN700系車両と同程度以上の車いす留 
    置スペース(多目的室を含む)、車いす対応トイレ、通路幅を有するデッキ付き車両(※2)について、改良型ハンドル形電動車いす(※3)による
    利用を可能とする。
  ・ なお、従前利用が可能である車両の取扱いに変更はない。
 
[3] 利用駅の情報提供
  ・ 現行は「段差が解消されている駅のうち、ハンドル形電動車いすによる利用に支障がない駅」について、その情報が漏れなく利用者に伝わるよう  
    情報提供することとされている。
     今後は「段差が解消されていてもハンドル形電動車いすが利用できない駅」については、その理由を利用者に情報提供することを追加する。
 
 上記は各鉄道事業者が安全に留意しつつ自主的な判断により緩和することを妨げるものではありません。
 
【今後の対応】
  [1]  鉄道事業者等の関係者においては、この対応方針が関係者の間の共通の認識であることを踏まえ、これに沿った対応を行うことが望まれま  
         す。
          なお、利用者は鉄道を利用する前に利用条件などを各鉄道事業者にお問合せください。
  [2]  国土交通省は鉄道事業者に対しこの対応方針を通知し、周知・普及を図っています。
  [3]  厚生労働省は障害者自立支援法、児童福祉法及び介護保険法におけるハンドル形電動車いすの取扱いについて、都道府県及び市町村
        に対して事務連絡を送付し、周知を図っています。
  [4]  【報告書のポイント】[2]の「改良型ハンドル形電動車いす」とは※3のとおりであり、(社)交通バリアフリー協議会(http://www.jtbfc.gr.jp/)で
        認定を行います。
  [5]  本取扱いは、利用者、鉄道事業者、福祉用具貸与事業所等、(社)交通バリアフリー協議会、都道府県、市町村及び関係行政機関との
        間における信頼関係のもとで運用するものです。
         従って、不正などが発覚した場合、本取扱いの運用が困難となる恐れがありますので、関係者皆様のご協力をお願いします。
 
【その他留意事項】
 ※1 「介護保険制度により真にハンドル形電動車いすの利用が必要として判定がなされ貸与されている者」とは、以下の者である。
   ・ 介護保険制度による要介護認定結果及びサービス担当者会議における協議、判定等によりハンドル形電動車いすが必要な状態と判断さ 
     れた者。
 
 ※2 「東海道・山陽新幹線のN700系と同程度以上の車いす留置スペース(多目的室を含む)、車いす対応トイレ、通路幅を有するデッキ付き車 
    両」の目安は以下の1))~3))を全て満たすデッキ付き車両である。
 1))客室内の車いすスペース想定(1,500mm×1,500mm以上)または多目的室想定(通路と多目的室間の進出入に支障がなく、車いすが利用で 
   きる有効面積が1.1m2以上のスペースで、かつ、扉幅が900mm以上)のいずれかを有する場合。
 2))通路と車いす対応トイレ間の進出入及び便座への移乗に支障がなく、車いす対応トイレ内にて車いすが利用できる有効面積が1.2m2以上の 
   スペースで、かつ、扉幅が900mm以上を有する場合。
 3))車両の乗降口、車いすスペース、車いす対応トイレそれぞれの間の通路幅が900mm以上を有する場合(乗降口のドア幅及びデッキから客室間 
   のドア幅は、通過できることが最低限の条件であり800mmでも可)。
 
 ※3 「改良型ハンドル形電動車いす」とは以下の1))~7))を全て満たした機種であり、従来型ンドル形電動車いすとは区別して定義したものであ 
    る。この改良型ハンドル形電動車いすに該当する機種の一例として、「タウンカート」がある。
    なお、「従来型ハンドル形電動車いす」とは、道路交通法で歩行者と位置づける規定に適合した機種であって、改良型ハンドル形電動車い 
    す以外の機種と定義したものである。
   1))基本寸法(全長1,200mm以下、全幅700mm以下、高さ1,090mm以下)
   2))直角路走行性能(900mm×900mmの直角路を数回の切り返しで通過可能なこと、かつ、1,000mm×1,000mmの直角路を切り返し無しで 
    通過可能な性能を右左折両方で満たす場合)
   3))左右180度の旋回を1,800mm未満で回転可能
   4))取って(ハンドル形電動車いすが溝にはまった時に復旧させたり、または少し角度をずらすなどの作業が必要であるときなどに、支援者が操作 
    できる取ってを有し、かつ、取っての存在を支援者が容易に判別できる場合)
   5))支援者が容易に判別できるクラッチ(緊急時に一般利用者の避難の妨げにならないよう、ハンドル形電動車いすを移動させる必要があるとき 
    に、バックサポート背面への取付けなど支援者が容易に判別できるクラッチレバーを有し、かつ、誤操作の防止など安全性に十分に配慮してい 
    る場合)
   6))6km/hを超える速度を出すことができないものであり、かつ2km/h以下の設定が可能
   7))歩行者に危害を及ぼす恐れがある鋭利な突出部がない場合
 

お問い合わせ先

国土交通省総合政策局安心生活政策課 松隈、駒形
TEL:(03)5253-8111 (内線25-504、25-518) 直通 (03)5253-8306

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