1.河川管理における情報の把握、活用の現状と課題
- 河川の水位や水質の観測は、基本的には「点」の情報として把握されている。
- 河川の状態や、堤防等の施設の状態は、基本的には巡視員等による巡視により把握されている。
- 限られた予算と人員・体制で河川管理を行わざるを得ない状況を踏まえると、ICT等を最大限に活用して、維持管理を効率化していくことが必要。
- 情報の把握、活用を高度化し、より質の高いサービスを提供することも必要。
2.「次世代の河川管理」に向けた河川管理のイノベーションのあり方
(1)リアルタイム、線的・面的な状況把握と迅速・確実な対応の実現
- 流域全体を視野に入れた線的・面的な状況把握の仕組みを構築することが重要。
- 平常時の状況把握の安定的な仕組みを構築することにより、はじめて非常時の危機管理にも機能することを認識すべき。
- 水位の状況や堤防、施設等の危険箇所の状況、水質の状況が線的・面的に、かつリアルタイムに把握できるよう、他機関の有する情報も含めて、多様な情報がネットワークされ、総合的に評価できることが重要。
- 土砂災害はその発生の予測が難しい災害であり、センサー等を活用し土砂災害危険箇所等の状態を把握することが重要。
- ポンプ場、水門等の施設が適切に維持管理されるとともに、洪水、高潮、津波等の際に確実に機能するよう、バックアップシステムを備えておくことが重要。
(2)技術革新による効率化の追求
- ICタグにより、施設修繕の履歴管理を行うなど、的確・効率的な管理を行うための技術開発を推進するべき。
- 水位予測や氾濫予測、土砂災害発生の予測等の精度向上のための予測技術の高度化が必要。
- 予測技術の向上により、ダム操作等施設の一層の効果的な運用を実現すべき。
(3)多様な主体の連携による地域の特性にカスタマイズした河川管理の実現
- 川に関心のある人や団体が、やりがいを持って河川管理に参画できるよう平常時から仕組みを構築しておくことが重要。
- 河川管理者等と民間・NPO等との責任を明確化し、合理的な役割分担を実現することが重要。
3.「次世代の河川管理」を実現するための体制・制度のあり方
- 河川情報の提供に関する制度整備など制度イノベーションを進めるべき。
- 情報提供にあたっては、民間・NPO等との連携、役割分担が適切になされていることが必要。
- 国としてデータとソフトの専門組織、専門家を育成する必要。
- 防災に関する情報は、専門性を持った組織により、責任ある情報が24時間途切れることなく提供されることが必要。
- 流域全体を視野に入れ、緊急時等に市町村や防災関係機関による意志決定を支援するような情報を提供する組織が必要。
- 情報提供、技術革新などに民間活力を活用する視点が必要。
|