長良川河口堰建設差止請求控訴事件判決(H10.12.17)


平成10年12月17日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成6年(ネ)第529号長良川河口堰建設差止請求控訴事件
(原審・岐草地方裁判所昭和57年(ワ)第218号)


         判    決



       当事者の表示   別紙当事者目録記載のとおり



         主    文



    1 本件控訴をいずれも棄却する。

    2 控訴人らの当審における各予備的請求をいずれも棄却する。

    3 控訴費用は控訴人らの負担とする。



         事    実



(以下においては、別紙物件目録記載の長良川河口堰を「本件堰」といい、距離標

を基準とした河口からの距離を表すのに「粁」を用いるなど、原判決と同一の略号

・略称を用いるほか、長良川河口堰調査報告書平成7年7月第一巻ないし第四巻

(乙264の1ないし4)を「平成6年度調査報告書」という。)



第一 当事者の求めた裁判



 一 控訴人ら



  1 原判決を取り消す。

  2 主位的請求(第一次請求)

    被控訴人は本件堰を建設してはならない。

  3 当審における先順位の予備的請求(第二次請求)

    被控訴人は本件堰を収去せよ。

  4 当審における後順位の予備的請求(第三次請求)

    被控訴人は、本件堰につき、そのゲート扉を閉鎖してはならない。

  5 訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。



 二 被控訴人



  1 (主位的請求に対する本案前の答弁)

    控訴人らの主位的請求にかかる訴えを却下する。

  2 (本件控訴及び控訴人らの当審における各予備的請求に対する答弁)

    主文と同旨



第二 事案の概要



   本件は、長良川の揖斐川との合流地点付近に建設される本件堰につき、住民

  20名が原告として水資源開発公団に対し、人格権、環境権等に基づく建設差

  止請求をし、原審において請求が棄却されたところ、内12名が控訴し、当審

  において、環境権、安全権に基づき、建設差止請求のほか、予備的に本件堰の

  収去請求、ゲート扉の閉鎖禁止請求を追加し、これに対し、上記公団は、本件堰

  が完成したとして建設差止請求につき訴えの却下ないし控訴棄却を求め、その

  余の請求につき請求棄却を求めた事案である。



第三  当事者の主張



   当事者双方の主張は、当審において、本件各請求の根拠及び要件に関する主

  張が次項(第四)のとおりであり、また、本件堰の目的用途等、河道の流下能

  力、塩害等、利水上の必要性等、地盤漏水、環境問題、本件堰の危険性に関す

  る主張が第二分冊(控訴人ら準備書面)及び第三分冊(被控訴人準備書面)の

  とおりであるから、これらを付加するほか、原判決事実摘示「(当事者の主

  張)」欄(原判決1丁裏4行目冒頭から166丁裏6行目末尾まで)の記載と

  同一であるから、これを引用する。