新たな時代へ(2012年~)

2012年12月には、再度、政権交代がありました。2013年以降は、最盛期と比べるとほぼ半減となっていた公共事業関係費は下げ止まりし、横ばいないし微増の状況となりました。

ダム検証がかなり進んだことから、継続となった事業で本体建設工事段階に進むものの数も増えました。

中長期的には様々な課題があります。人口減少、高齢化の進行、財政状況等の中で、今まで用水・エネルギー供給や洪水被害軽減等の面で日本社会を支えてきたダムのストックをどのように効率的に維持・向上させ、あるいは社会経済の状況に応じて変えていくか、ということです。

また、雨の降り方が極端になってきていることが実感されるようになっており、気候変動への対応が重要な課題です。2013年台風18号による淀川水系桂川での大出水に対して 日吉 ひよし ダム(1997、京都府)が大きな効果を発揮したことが知られていますが、今後、洪水調節容量の増強は全国的に重要な課題であると考えます。

国内ではダム新規建設は少なくなり、再開発系の事業が主体になってくると考えられますが、防災・水管理分野での日本の経験や、高度な日本のダム技術を海外、特に途上国の国づくりに役立てることも重要な課題の一つです。今後の海外への展開に期待がかかるところです。

さらに近年、ダムはインフラツーリズムの対象としても注目を集めています。その規模と迫力、さらには放流という動的景観の魅力もあり、地域の様々なイベントや民間ツアーなどの舞台となりつつあります。もとよりダム建設は、水源地域の方々のご協力の上に成り立っているものであり、またその受益地である下流域住民の生活を支える存在であることから、そうしたダム水源地域の振興のためにもダムツーリズムは大いに推進されることを望みます。

コンクリート打設中の日吉ダム

コンクリート打設中の日吉ダム

試験湛水放水中の日吉ダム

試験湛水放水中の日吉ダム