ここで記述したテキストは、日本河川協会の会誌「河川」2015年9月号に掲載された「我が国近代以降におけるダム貯水池建設の展開」(浜口達男)の内容に基づいています。(一部修正追記を含みます) これは、ダム建設展開のあら筋を記述したものであり、ダムの歴史、技術の発展などに関し更に詳しく知るために、参考となる文献を以下に記します。
まず、世界のダムの歴史に関して、1971年発行の「A History of Dams」(ノーマン・スミス)があります(資料1)。古代文明の時代から20世紀に至るダムの歴史が幅広くまとめられています。また、その後、1994年にニコラス・シュニッター(スイスの技術者)による「A History of Dams, The Useful Pyramids」が出版されています(資料2)。近代以前の世界各地でのダムにも力を入れた記述となっています。
1976年の米国ティートンダム決壊事故の後、米国内務省開拓局のロバート・ジャンセン設計・施工部長によってまとめられた「Dams and Public Safety」は、1983年に「ダムと公共の安全 世界の重大事故例と教訓」として邦訳出版されています(資料3)。その第1章において、太古以来のダムの歴史がまとめられています。
日本については、土木学会、工学会編集の一連の日本土木史が基礎的な情報を与えます。現在までに5冊が刊行され、古代から平成2年までをカバーしています(資料4~8)。現在、これに引き続く時代の土木史編集作業が進められています。
「多目的ダムの建設第1巻(計画・行政編)」(資料9)では、その第1章において、海外も含むダム技術の変遷及び今後のダム技術をコンパクトにまとめています。また、「コンクリートダムの細部技術(改訂3版)」(資料10)の第1章では、独自の視点でコンクリートダムにおける技術発展の歴史がまとめられています。
利水・治水といった個別分野ではなく、日本社会における多岐にわたるダムの役割を中心にその歴史をまとめた著作として、日本大ダム会議による「ダムの役割」報告書(資料11)があります。
一般あるいは学生向けの書籍として、ダムへの愛情をベースにした独特の語り口の「ダムのはなし」(資料12)、上記「ダムの役割」を一般読者向けにリライトした「にっぽんダム物語」(資料13)、図版が豊富でわかりやすい「ダムの科学」(資料14)があります。 また、日本のダムに関する基礎的データ集として、日本ダム協会が毎年発行している「ダム年鑑」(資料15)があります。
これらの資料とともに、本稿の参考とした資料を 資料16から資料20に掲げました。 そのほか、日本のダムに関する英文資料としては、資料11 を海外の水資源関係者向けに再編集した"Dams in Japan – Past, Present and Future -" (資料21)があります。また、2012 年の国際大ダム会議・京都大会の際に、日本大ダム会議が取りまとめた"2012 Dams in Japan" (資料22)では、第1 章において日本のダム技術の発展を整理し、第2 章でわが国の代表的なダムの構造諸元・技術的特徴を紹介しています。
(2017年3月)