津波の「津」とは、船着場や渡し場を示す港を意味します。すなわち、「津波」とは津(港)に押し寄せる、異常に大きな波です。
津波は、海底で発生する地震に伴う海底地盤の隆起・沈降や海底における地滑りなどにより、その周辺の海水が上下に変動することによって引き起こされるものです。発生した海水面の動き(上下動)が特に大規模なものであれば、沿岸に達すると破壊力の大きな大津波となります。
浜中町・チリ地震津波による浸水(浜中町提供)
津波は、海底地震に伴う地殻変動によるものが一般的です。地球表面上のプレートは地球内部に沈降するとき、反対側に接触しているプレートを引き込みます。引き込まれたプレートはひずみによる変形を蓄積させ、その限界を超えるとひずみを解放させ、プレートの端を大きく変位させます。この変位が海水を大きく動かし、津波の原因となるのです。また、その他の原因として海底火山の爆発、海岸付近の火山による土砂の大規模崩落などもあります。
プレート運動の概念図
海底地盤の動きと津波の発生
海底地震により発生した津波は、水深が深いところでは波の進行速度は速いながら、波高はあまり大きくなりません。波が水深の浅い近海まで達すると、速度は遅くなりますが、波高は高くなります。チリ地震津波(1960年)では、津波は地震の震源から18,000kmの距離を約1日で伝わり、日本の沿岸まで到達して大きな被害をもたらしました。
沿岸へ打ち寄せた波は、湾部などその地形によっては陸上を駆け上がることがあります。また、河口に水門等のない河川では波が河川を遡上することがあり、その流域に被害を及ぼすことがあります。
津波進行に伴う速度・波高の変化(参考:港湾空港技術研究所HP)
また、津波は繰り返し打ち寄せる性質があり、その開始が押し波であるもの、引き波であるものがあります。また、潮の干満にも大きさが左右され、満潮時にはより大きな波となります。
北海道東方沖地震時の久慈港における水位変動グラフ
(上)地震時の変動 (下)潮位差も含めた変動
(出典:「平成6年(1994年)北海道東方沖地震津波の特性」
港湾技研資料、1995年6月、永井・橋本ほか(一部加筆))