vol.1.....川の生き物と水質

実は! 水のきれいさを教えてくれる生き物がいる


インタビュー:深沢篤子 先生
理科の先生に聞いてみました

これまで多くの水生生物調査を生徒さんと行ってきた、深沢先生に、調べ方のコツや、学びのポイントを多摩川にある二ヶ領(にかりょう)せせらぎ館・二ヶ領用水(川崎市)で聞いてみました。

Q. きたない水にすんでいる生き物は、どうしてそこにいるのでしょうか?
水のきれい、きたないは、水に溶けている酸素の量に関係しているわけですが、酸素の量が多くないと生きていけないものと、少なくても生きていけるものとがいるわけです。どれだけきたない水にたえられるのか? たえられるものだけがきたいない水にすんでいるのですね。

きれいなところにしかすめない「カワゲラ」を、酸素の少ない水にいれると、まるで、腕立て伏せをしているようように手足を動かします。本当かどうかは分かりませんが、カワゲラも息苦しいんじゃないですかね。(動画に出てきます)

深沢篤子 先生
自修館中等教育学校の理科の先生。これまで、子供たちを連れて多くの水生生物調査を行っています。お話は、二ヶ領せせらぎ館で伺いました。二ヶ領せせらぎ館 >

Q. しらべ方のコツを教えてください!
どこをしらべるか? これをしっかり決めることが大切です。家の近くの川はどうか、家族で遊びにいった上流の川はどうかなど、テーマを持つといいですね。

場所を決めたら、流れがゆるやかな川岸付近や、砂地、落ち葉などがたまっているところ、石の表や裏、石と石の間など、いろいろなところを見てみましょう。川底を掘るように「ガサガサ」して、下流側で流れてくる生き物をキャッチするのも効率的です。ただ、流れの速いところや深い所は危険なので注意が必要です。特に、ひざの高さより深いところは絶対にさけましょう。

Q. 生き物の見分け方のコツを教えてください!
特徴(とくちょう)をおさえることがポイントです。たとえば、カワゲラは胸の部分が3つのおだんごがくっついているようにみえます。カゲロウの幼虫の特徴は、しっぽの本数や腹部についている「えら」の形にあります。トビケラはいもむし型をしていますが、胸部(きょうぶ:むねの部分)に6本のあしがついている特徴があります。カワゲラ・カゲロウ・トビケラがしっかり区別できるようになれば、ステップアップです。

カゲロウなどの小さな昆虫とカワゲラを一緒にいれておくと、カワゲラがカゲロウを食べる様子も観察できます。また、保存して観察したい場合には、濃度(のうど)を70%にしたアルコールに入れておきます。じっくり観察できますよ。


Q. 自宅で飼ってみたいのですが・・・
とても小さいのですが、ウズムシ(プラナリア)はおすすめです。エアレーション(ブクブク)も必要ありません。ただ、水温を低く保つ必要があるので、プラスチック容器などに入れて冷蔵庫に入れておくといいです。エサはゆでたまごの黄身を少し入れてあげます。プラナリアはよく見ると、実は「より目」になっているんですね。かわいいですよ!(写真)

あと、トンボの幼虫(ヤゴ)を飼うと、羽化(うか)して成虫になる様子が観察できるので、こちらもおすすめです。


Q. 水質から何を考えたらいいでしょうか?
水がなぜ汚れるのか、そして、水をきれいに保つために、自分たちができることは何かを考えてみましょう。自然には、汚れた水をきれいにする力がありますが、それでも汚れてしまうのはどうしてかを考えるのは、いい自由研究のテーマになります。

水の汚れについて考える上では、「透視度」(とうしど)を測ってみるのも一つの手です。ペットボトルと紙があれば簡単にできます。水に一滴の牛乳をたらしてみたときに、どれだけ見えにくくなるかを観察するだけでも、いかに私たちの生活が、水を汚してしまうかを感じることができます。

一方で、生き物によって水がきれいになる様子も観察することができます。下水処理場(水再生センターと呼ばれている場合もあります)を見学して、水がきれいになる仕組みをしらべてみるのもいいですね。メモ(PDFファイル)を作ってみましたので見てくださいね。

※動画では、「ガサガサ」の様子やトビケラの腕立て伏せの様子を見ることができます。