vol.7... クイズでチェック! 足元の災害リスク

大地のルーツを知る


正解です!!

②水田が広がる一帯

ゼロメートル地帯が激しく浸水しました
平成10年(1998年)9月24日から25日にかけて豪雨となり、高知市では、24日午後9時からの1時間雨量が112ミリ、最大1日雨量が861ミリもの雨が降りました。土砂崩れや家屋の浸水が相次ぎ、床上浸水13,442戸、床下浸水10,235戸、亡くなられた方も8名に及びました。

特に被害が大きかったのは、国分川と舟入川の間の一帯で、深さ2m以上も浸水したところがありました。被害が大きくなった理由は、治水上の理由もありましたが、そもそも、この地域は海抜ゼロメートル地帯が広がる、「低いところ」でした。





注: 水害対策事業などの実施により、現在もこの範囲全てで浸水の危険性があるわけではありません。現在の浸水が予想されている範囲は、ハザードマップでご確認ください。

地形は、やはり要チェック

この水害で浸水したエリアを空中写真上に図示したものと(上:青色部分)、
国土地理院のホームページから配信されている、高知市周辺の標高地形図を見比べてみると、
のきなみ低いところ(濃い青色)が浸水していることが、一目瞭然です。
Q.1でもご紹介した、国土地理院地図や、この標高地形図のような資料を活用して、
自分の住んでいるところや、学校、職場がどんな「位置」にあるのかを見てみると、
水害リスクに対する意識がより高まると思います。
注: 水害対策事業などの実施により、現在もこの範囲全てで浸水の危険性があるわけではありません。現在の浸水が予想されている範囲は、ハザードマップでご確認ください。

昔の土地利用を知る

②の地域は、水田が多く広がっています。低いところにあるので、水が引き込みやすいとか、
貯めやすいといった、水田に適した場所であることが想像できます。
このような、「土地利用」について知ることも、災害に対して理解を深める良い手立てです。
例えば昔、湿地だったところは水はけが悪く水害のリスクが高いことがあります。

ここで大きなポイントは、「昔はどんな場所だったのか?」です。
現在は建物が立っていても、昔は湿地や田畑だった場所が随所にあります。
そんな昔のことを知るのに役に立つのが、古い地図や空中写真です。

この写真は左半分(西)が1948年、右半分(東)が1947年に撮影された空中写真です。
②の一帯は、人家はわずかで一面に水田が広がっていることがよくわかります。
また、西側の写真を見ると、高知駅周辺には、現在と同じように住家が密集しています。
約70年前に、既にこれだけの市街地が広がっていたのですね。

しかしよく見てみると、白丸の中は現在は住家を中心とした土地利用ですが、
この当時は水田のようです。これらの場所は少し低い所にあり、
1998年の水害で浸水被害を受けた所があります。

このように、昔の資料を見ることで、家や職場など、自分の関わるところが
どんな場所なのかを知ることも、水害に対する認識を深める上でとても有効です。
無論、自然条件や土地利用だけで水害の危険度が決まるわけではないので、
確たることはわかりませんが、古い資料に驚きの事実が隠されているかもしれませんし、
なかなか興味深いものと言えるのではないでしょうか。


さらに情報を活用する

地図や空中写真に加えて、国土地理院地図では、様々な情報を重ね合わせて見ることができますが、
その中の1つに、「土地条件図」というものがあります。
これは、土地の自然条件を元にして、地形を分類した図で、防災計画を策定する際などに活用されます。
この図を見ると、黄色で示された「自然堤防」というものがあります。

これは文字通り、川が運ぶ土砂が自然に堆積して、堤防のような高まりになった地形を示しますが、
1947・1948年の空中写真をよく見ると、②の一帯やその南側では、
自然堤防の上に集落があることに気がつきます(赤点線内)。
水害のリスクを避け、かつ農地にアクセスしやすい、そんなバランスの良い場所だったのでしょう。

国土地理院のウェブサイトでは、地図上で右クリックするだけで、その地点の標高がわかる
システムを試験公開しています。こちらもご参照ください!



現在の浸水リスクは
ハザードマップで確認!!


水害対策事業によりリスクが低減
1998年の豪雨災害の後、ここは激甚災害に指定され、「国分川(舟入川)河川激甚災害特別緊急事業」が行われました。これにより、堤防の拡幅、連続堤防の整備、河床の掘削、橋の架け替えなどの水害対策が進められました。

その結果、現在豪雨が発生した場合に浸水が予想される地域は、大幅に縮小しています。このような最新情報は、ハザードマップで必ずご確認ください。


※日本では、その地理的条件や社会の成り立ちから、急傾斜地や地盤の低いところに住まないわけにはいきません。そういった自然条件をよく知った上で、今回ご紹介しているように、地理情報を活用するなどのソフト対策も含めて、しっかりとリスク管理を心がけておくことが重要です。