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河川局

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記者発表
雄物川・小矢部川・円山川・旭川水系に係る
河川整備基本方針の策定について


【同時発表記者クラブ】
秋田県政記者会、横手記者会、秋田魁新報社大曲支局・ 湯沢支局、富山県政記者クラブ、近畿建設記者クラブ、 大手前記者クラブ、兵庫県但馬県民局県政記者クラブ、 豊岡市政記者クラブ、中国地方建設記者クラブ、合同 庁舎記者クラブ、岡山県政記者クラブ
平成20年1月25日
国土交通省河川局

  河川整備基本方針の策定につきましては、河川法第16条第3項に基づき、国土交通大 臣から社会資本整備審議会会長へ意見を求め、同審議会から河川分科会に付託されました。 その後、社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会において審議を行 ったのち、社会資本整備審議会河川分科会の審議を経て平成20年1月28日付けで、河 川整備基本方針を策定し、同日付で官報に公表されることとなりました。



<雄物川・小矢部川・円山川・旭川の河川整備基本方針の概要>

 平成9年に河川法が改正され、豊かでうるおいのある質の高い国民生活や良好な環境を求める国民のニーズに的確に応えるため、制度を見直し、それまでの工事実施基本計画に代え、新たに、河川整備の基本となるべき方針に関する事項『河川整備基本方針』と具体的な河川整備に関する事項『河川整備計画』に区分されました。
 河川整備基本方針は、各水系における治水、利水、環境等に関する河川管理の長期的な方針を、総合的に定めるものであり、河川整備の基本となるべき事項等を定めます。
 今回策定した4水系についても、各水系の地形、降雨、環境等の特性を踏まえた治水・利水・環境に関する整備の方向性を示しています。

【河川整備基本方針・河川整備計画について】
https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/index.html
【社会資本整備審議会河川分科会について】
https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/bunkakai/index.html

 今回策定する4水系の河川整備基本方針の主な特徴的内容は次のとおりです。


●雄物川(おものがわ)水系(流域面積:4,710km2、幹川流路延長:133km)

 雄物川(おものがわ)は、その源を秋田(あきた)・山形(やまがた)県境の大仙山(だいせんやま)(標高920m)に発し、奥羽(おうう)山脈(さんみゃく)から発する皆瀬川(みなせがわ)、横手川(よこてがわ)等の支川を合わせながら横手盆地を北上し、玉川(たまがわ)を合流した後、進路を北西に変え、秋田市(あきたし)新屋(あらや)で旧雄物川を分派し、本川は放水路を経て日本海に注ぎ、旧雄物川は秋田港を経て日本海に注いでいる。
 その流域は、秋田県の県都秋田市や大仙(だいせん)市など5市2町1村からなり、沿川には東北中央自動車道、東北横断自動車道、国道7号及び13号、秋田新幹線(JR奥羽本線・田沢湖(たざわこ)線)、JR奥羽(おうう)本線(ほんせん)、JR羽越(うえつ)線等が雄物川と並行及び交差しながら整備されており、交通の要衝となっている。雄物川流域は、十和田(とわだ)八幡平(はちまんたい)国立公園や栗駒(くりこま)国定公園、田沢湖(たざわこ)、小安峡(おやすきょう)等の豊かな自然環境、景勝地に恵まれるとともに、全国花火競技大会、角館(かくのだて)武家屋敷(ぶけやしき)、乳頭温泉郷(にゅうとうおんせんきょう)等豊富な観光資源にも恵まれている。下流部の秋田市は、藩政時代からの城下町として栄え、この地域における社会・経済・文化の基盤をなしている。このような状況から、本水系の治水・利水・環境についての意義は極めて大きい。
 雄物川は、明治43年9月や昭和22年7月等の大洪水を契機に雄物川放水路や大曲捷水路等の治水事業を治水安全度のバランスを考慮して展開してきたものの、昭和62年8月や平成14年8月等の洪水では、未だ多く残る無堤区間などにおいて、浸水被害が生じている。
 このような状況を踏まえ、それぞれの地域特性にあった治水対策を講じることにより、水系全体としてバランスよく治水安全度を向上させるため、流域の豊かな自然環境や地域の風土・歴史等に配慮しながら、堤防の新設、拡築及び河道掘削等を行い、河積を増大させるとともに、水衝部等には護岸等を整備し、計画規模の洪水を安全に流下させる。なお、堤防の基礎地盤や築堤材料の特徴を踏まえ、堤防の詳細な点検及び堤防の質的強化に関する研究等を実施し、堤防の質的強化を図り、堤防の安全性を確保する。そのため、河口部、支派川の分合流部等において洪水の安全な流下、河床の安定を図るため、洪水時の水位の縦断変化等について継続的な調査観測を実施し、その結果を反映した河川整備や適切な維持管理を実施する。また、河道で処理できない流量については、気象予測や情報技術の進展、水文観測や流出解析精度の向上等を踏まえた、より効果的な洪水調節の実施により既設洪水調節施設の治水機能向上を図るとともに、洪水調節施設を整備する。なお、河道の整備にあたっては、上流の流下能力を増大させるとその下流部に対する負荷が増すことから、堤防を含む河道の縦横断形などの河道整備の在り方について検討し、必要な整備を図る。
 河川環境の整備と保全に関しては、雄物川と流域の人々との歴史的・文化的つながりを踏まえ、雄物川の流れが生み出す良好な河川景観や多様な動植物が生息・生育・繁殖する自然環境を保全及び創出し、次世代に引き継ぐよう努める。

(基本高水のピーク流量及び計画高水流量)
 基本高水のピーク流量は、既定の工事実施基本計画と同様に基準地点椿川で9,800m3/sとし、河道と洪水調節施設への配分についても工事実施基本計画と同様に流域内の洪水調節施設により1,100m3/sを調節し、河道への配分流量を8,700m3/sとした。

●小矢部(おやべ)川水系(流域面積:667km2、幹川流路延長:68km)

 小矢部川は、その源を富山・石川県境の大門(だいもん)山(標高1,572m)に発し、富山、石川県境に沿って、北流し、砺波(となみ)平野に出て南砺(なんと)市において山田川を合わせたのち、小矢部市に入り、渋江(しぶえ)川、子撫(こなで)川を、さらにその下流、高岡市において祖父(そふ)川、千保(せんぼ)川等を合わせて日本海に注いでいる。
 その流域の上流部では、大門山、猿ヶ(さるが)山、大倉(おおくら)山等の1,000m級の山々がある。中・下流部は、隣り合う庄(しょう)川によって形成された扇状地である砺波平野が広がり、富山県第二の都市である高岡市などを擁し、富山県内一の穀倉地帯であるとともに、基幹交通ネットワークが形成されている。
 また河口部は、特定重要港湾伏木(ふしき)富山港[伏木地区]があり、明治時代から豊富な電力と海上輸送力により化学工業、製紙・パルプ工業、銅鋳物産業を中心に発展し、国宝瑞(ずい)龍(りゅう)寺(じ)をはじめとした歴史的、文化的資産にも恵まれ、古くから富山県西部地域における社会、経済、文化の基盤を形成している。
 一方、小矢部川では、隣り合う庄川を源とする支川等からの流下をはじめとする地形特性や蛇行・緩流河川の特性などから、昭和28年9月の計画高水流量を上回る洪水をはじめ、近年、平成2年9月洪水、平成10年9月洪水等度重なる計画高水流量相当の洪水により、護岸の欠壊、支川での破堤、内水による浸水被害等、多数発生している。
 このような状況を踏まえ、沿川地域を洪水氾濫による被害から防御・軽減を図るため、堤防の拡築及び河道掘削による河積の確保、水衝部における護岸や水制等の整備を図るほか、関係機関と調整しながら流域内の既存施設による洪水調節、支川合流点処理、計画的な樹木管理等により計画規模の洪水を安全に流下させる。なお、小矢部川流域は、隣り合う急流河川庄川の氾濫域でもあるため、その氾濫特性を踏まえた被害軽減対策を講じる。
 河川環境の整備と保全に関しては、小矢部川とその流域の人々との関わりを考慮しつつ、良好な水質・豊かな流れ及び河川景観を保全するとともに、多様な動植物が生息・生育・繁殖する豊かな自然環境を次世代に引き継ぐよう努める。人と河川の豊かなふれあいを確保するため、自然環境との調和を図りながら、自然とのふれあい、スポーツ、祭りなど河川利用に関する多様なニーズを踏まえ、整備・保全を図る。

(基本高水のピーク流量及び計画高水流量)
 基本高水のピーク流量は、基準地点津沢地点で1,600m3/sとし、このうち、流域内の洪水調節施設により300m3/sを調節して、河道への配分量を1,300m3/sとする。

●円山川(まるやまがわ)水系(流域面積:1,300km2、幹川流路延長:68km)

 円山川は、源を兵庫県朝来(あさご)市生野(いくの)町円山(標高640m)に発し、大屋(おおや)川、八木(やぎ)川、稲葉(いなんば)川等の支川を合わせて豊岡盆地を貫流し、豊岡市において出石(いずし)川、奈佐(なさ)川等を合わせ日本海に注いでいる。
 流域は、兵庫県の豊岡市、養父(やぶ)市、朝来市の3市からなり、城崎温泉、神(かん)鍋(なべ)高原の他、出石城下町などの観光資源に恵まれ、京阪神を中心に数多くの観光客を集めている。また、下流部では地域を挙げて、国指定特別天然記念物のコウノトリを野生に戻す取り組みが進められている。
 円山川では昭和34年9月の伊勢湾台風、平成2年9月には秋雨前線と台風19号など、甚大な被害が発生しており、平成16年10月の台風23号では観測史上最大の豪雨を記録し、円山川及び出石川では堤防が決壊するなど、沿川では甚大な被害が発生した。
 円山川は河床勾配が小さく、排水の悪い豊岡盆地及び、その下流の山間部に洪水が集まるという特性を踏まえ、なるべく下流に負荷を与えないようにするとともに、水系全体として、バランス良く治水安全度を向上させるため、円山川の豊かな自然環境に配慮しながら、堤防の新設、拡築、河道掘削、堰の改築等により、河積を増大させるとともに、河道の遊水機能を活かした洪水調節施設および新たな流域内の洪水調節施設により、計画規模の洪水を安全に流下させる。また、治水対策を早期かつ効果的に進めるため、河道や沿川の状況等を踏まえ、住民との合意形成を図りつつ、連続した堤防による洪水防御だけでなく輪中堤や宅地嵩上げを実施する。内水被害の著しい地域においては、関係機関と連携・調整を図りつつ、必要に応じて内水対策を実施する。
 河川環境の整備と保全に関しては、円山川と流域の人々との歴史的文化的なつながりを踏まえ、円山川の流れが生み出す良好な河川景観を保全し、コウノトリなど多様な動植物が生息・生育・繁殖する基盤となる自然環境の保全を図るとともに、豊かな自然環境を次世代に引き継ぐよう努める。
 円山川では、多様な動植物を育む瀬・淵やワンド、河岸、河畔林、河口干潟等の定期的なモニタリングを行い、生物の生活史を支える環境を確保できるよう良好な自然環境の保全・再生に努める。出石川では、コウノトリの採餌場等となっていた湿地環境について、関係機関と連携して保全・再生に努める。さらにオオサンショウウオが生息する渓流環境や瀬・淵の連続する環境の保全に努める。

(基本高水のピーク流量及び計画高水流量)
 基本高水のピーク流量を既定の工事実施基本計画同様に、基準地点立野で6,400m3/sとする。
 このうち流域内の洪水調節施設による調節量を、既定の工事実施基本計画の1,000m3/sから800m3/sとし、河道への配分流量を5,400m3/sから5,600m3/sとする。

●旭川(あさひがわ)水系(流域面積:1,810km2、幹川流路:142km)

 旭川は、その源を岡山県真庭市(まにわし)蒜山(ひるぜん)の朝鍋鷲ヶ山(あさなべわしがせん)(標高1,081m)に発し、新庄川(しんじょうがわ)、目木川(めきがわ)、備中川(びっちゅうがわ)等の支川を合わせて南流し、岡山市(おかやまし)御津(みつ)において宇甘川(うかいがわ)を合流し、岡山市三野(みの)において百間川(ひゃっけんがわ)を分派した後、岡山市の中心部を貫流して児島湾(こじまわん)に注いでいる。
 その流域は、岡山県中央部を南北に伸びており、関係市町村数は3市4町1村からなる。下流部には県庁所在地の岡山市が位置し、この地域の社会・経済・文化の基盤をなしている。沿川には山陽自動車道、国道2号、JR 山陽新幹線、JR 山陽本線、国道53号、JR 津山線等が整備された交通の要衝となっている。上流部は大山(だいせん)隠岐(おき)国立公園、湯原(ゆばら)奥津(おくつ)県立自然公園等、優れた景観と環境を形成し、中流部は旭川沿いの大部分が吉備(きび)清流県立自然公園に指定されており、豊かな自然環境に恵まれている。
 旭川下流部の岡山市街地は、干拓等によって形成された低平地に発達しており、ゼロメートル地帯が拡がっている。このような場所では河川からの氾濫により広範囲に浸水域が拡がるだけでなく、内水や高潮によっても浸水するため、重大な被害が発生することとなる。
 旭川の本格的な治水事業は、大正15年から直轄事業として着手したが、昭和9年9月の室戸台風により、旭川・百間川の堤防が決壊するなど甚大な被害を受けた。その後も流域の社会状況の変化等に対応した治水事業を展開してきているが、近年では平成10年10月洪水の浸水被害や平成16年8月の高潮被害が発生するなど、低平地特有の内水被害も併せて、未だ治水対策が課題となっている。
 このような状況を踏まえ、沿川地域を洪水から防御するため、旭川の豊かな自然環境に配慮しながら、堤防の新設や質的強化、河道掘削、護岸整備等を実施する。また、流域内の洪水調節施設により洪水調節を行い、計画規模の洪水を安全に流下させる。岡山市街地においては、百間川への洪水の適正な分派を図るための改修を行うとともに、計画的な伐開等の適正な管理を実施する。また、洪水等による被害を極力抑えるため、関係機関や地域住民等と連携して、総合的な被害軽減対策を推進する。
 河川環境の整備と保全に関しては、旭川と流域の人々との歴史的文化的なつながりを踏まえ、人々にうるおいとやすらぎを感じさせる豊かな自然と緑が織りなす良好な河川景観、清らかな水の流れの保全を図るとともに、多様な動植物の生息・生育・繁殖する豊かな自然環境を次世代に引き継ぐよう努める。

(基本高水のピーク流量及び計画高水流量)
 基本高水のピーク流量は、既定の工事実施基本計画と同様に基準地点下牧において8,000m3/s とし、このうち流域内の洪水調節施設により2,000m3/s を調節して河道への配分流量を6,000m3/s とする。

 


<河川整備基本方針の概要>


<河川整備基本方針>

 


問 い 合 わ せ 先
【総括・円山川】
国土交通省河川局  河川計画課 河川計画調整室 課長補佐 矢崎 剛吉
    代表03(5253)8111 直通03(5253)8445 内線 35372
【雄物川】
国土交通省河川局  河川計画課 河川計画調整室 課長補佐 青野 正志
    代表03(5253)8111 直通03(5253)8445 内線 35352
【小矢部川・旭川】
国土交通省河川局  河川計画課 河川情報対策室 課長補佐 安原 達
    代表03(5253)8111 直通03(5253)8445 内線 35382


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