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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第37回河川整備基本方針検討小委員会

平成18年4月13日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤   徹
委   員  綾   日出教

池 淵 周 一
伊 藤 和 明
岡 本 敬 三
岸 井 隆 幸
小 松 利 光
越 澤  明 
坂 本 弘 道
谷 田 一 三
福 岡 捷 二
福 永 浩 介
虫 明 功 臣
 森   誠 一
森 田 昌 史
潮 谷 義 子

1.開      会

(事務局) それでは、お時間が参りましたので、ただいまより第37回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。
 私、本日の進行を務めさせていただきます事務局○○でございます。4月より現職を担当させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、座って進行させていただきます。
 まず、お手元にございます資料のご確認をお願いいたします。
 まず議事次第が1枚でございます。それから、小委員会の名簿がございます。それから、配席図がございます。次に、資料目次がございまして、資料1−1、付議書及び付託書、A4判の各1枚でございます。資料1−2、社会資本整備審議会運営規則、2枚物でございます。資料1−3、社会資本整備審議会河川分科会運営規則、1枚でございます。資料1−4、1級水系に係る各種諸元、これも1枚物でございます。次に、資料2でございます。A3判のカラーの「球磨川水系の特徴と課題」でございます。資料3、「球磨川水系工事実施基本計画」でございます。これ、A4判でございます。
 次の参考資料に参りまして、参考資料1、「球磨川水系の流域及び河川の概要」、冊子でございます。参考資料2、「球磨川管内図」でございます。参考資料3、「球磨川流域図」、A3判のカラーでございます。
 以上でございます。資料に不備等ございましたら、お申しつけいただければと思います。
 それから、会議に先立ちまして、本委員会の新しい委員をご紹介させていただきたいと思います。
 球磨川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として、○○委員でございます。
 次に、地元に詳しい委員として、○○委員でございます。
 本日は、○○委員は、ご都合によりご欠席をされております。
 本日、本委員会でご審議をいただく球磨川水系の河川整備基本方針につきましては、去る2月8日付で国土交通大臣から社会資本整備審議会会長に付議がなされ、2月13日付で同会長から河川分科会長あて付託されたものであります。これは、資料1−1でございます。
 それでは、○○委員、よろしくお願いいたしたいと思います。

2.議      事

(委員長) ○○でございます。本日は、委員の皆様にはご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。球磨川水系の河川整備基本方針について審議をいただくことになりますが、本日は、まず球磨川水系の特徴と課題について議論をいただきたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
(事務局) 事務局○○でございます。
 まず最初に、ほんの数分でございますが、ちょっと画像を用意してございますので、少し空から見た球磨川というのをごらんいただきたいと思います。
 球磨川は、熊本県の南部を流れている川でございます。流域面積が1,880平方キロメートルでございます。ちょっと上流部のほうへ移らせていただきましたが、宮崎県との境のところから、東のほうから西のほうへ山間部を流れて行きます。途中に市房ダムがございます。洪水調節等の目的でつくられてございまして、ここからの球磨・人吉の盆地が広がります。川は、どちらかというと、この広がりの右側といいますか、そちらのほうを流れてございまして、左のほうは穀倉地帯で、それの焼酎等も有名でございます。ブルーで入れておりますのは、昭和40年7月の洪水のときに水がつかりましたところだけ、少しブルーで塗っております。相良村、錦町等を流下します。右のほうから、本川と同じぐらいの大きさの川辺川という川が合流いたします。合流した下ぐらいから、人吉の中心の市街地が広がってございます。過去何度か、このあたりの水害の写真を今出していただいておりますが、この盆地の出口から、だんだん今度は市部、狭搾部といいますか、渓谷部が長く続きます。そういうものも含めて、球磨川の渓流下りが非常に有名でございます。ずっと鉄道、それから、国道、それから、県道が谷合い、両面に走りまして、その間に少し狭い平地のところに集落がずっと点在しているという状況がしばらく続きます。途中には、電力でつくられておりますダムがございます。このうちの一つの今見ていただいております荒瀬ダムというのは、老朽化しておりまして、これを撤去する計画を今、県のほうでお立てになっております。
 この山合いを抜けますと、八代市のほうへ入ってきます。ちょうど扇状地を形成してございます。扇状地の一番頭のところというか、そこに遙拝堰という堰があって、そこからいろんな水利用のための水が引かれている状況です。もともとは、今見ていただいています右側のほう、位置にすると北のほうへ本川が流れていたり、いろんな川が流れておりましたのを、昔の城下を守る、お城のほうを守るというので、かなり左側へ急カーブをしてつくられた川でございます。今はそこに製紙業、金属業等の産業が広がってございます。
 簡単ですが、ちょっと地図で見ていただきました。
 それでは、お手元の資料2という、カラーでA3判の資料に従いましてお話をさせていただきます。本日は、先ほど委員長からもお話がございましたように、特徴と課題ということで、球磨川水系全般につきましての、ある種カルテというか、そういうものをお示ししております。処方せんに当たります、どうするべきかということにつきましては、次回以降、ご用意させていただくつもりでございます。ちょっと枚数ございますし、審議の時間をたくさんいただくということで、ちょっと端折った説明になるかもしれませんが、資料2のほうでごらんいただきたいと思います。
 まず1ページでございますが、これは歴然たる地形とか、社会、自然の特性でございます。左側のほうに地図がございますが、この内輪のような水系で、先ほど画像で見ていただきました上流のほうには盆地が広がって、大きな球磨川と川辺川があって、2つが合流して人吉の街があって、それから、狭搾部があって、それから、下流のほうに八代市が広がると。一番下は扇状地ですので、実際洪水があふれましたエリアは、流域より少し広いところまで広がっている状況です。流域面積が1,880平方キロという川でございます。
 右のほう、土地利用でございますが、8割以上が森林でございます。それから、人々が暮らしたり、産業等がありますところは、大体八代、それから、人吉に集中しているという地域でございます。産業としては、今水を利用しました製紙業ですとか、金属製品等の工場が、八代あたりでは立地しておりますし、農業では、米やイ草の二毛作、イ草は非常に有名でございます。それから、上流部のほう、人吉、球磨盆地のほうは、穀倉地帯でございまして、焼酎でも全国的にも有名でございます。また、特徴的な話として、かなり大型のアユがとれるということで、アユの漁獲量も多うございますし、それから、それを楽しむ人たちもたくさん来られています。それと、球磨川くだりというものもあわせた観光のシンボルとしても、球磨川が位置してございます。
 1ページおめくりいただきまして、今度気候特性ということで、ちょっと用意してございます。年間の雨量は、左上のグラフのように、日本全国は大体1,750mmぐらいが平均雨量なんでございますが、九州は台風銀座、梅雨でも多うございます。このあたりも、2,800mmという雨が、年平均では降っている地域であります。大半は、下は季節といいますか、書いてございますけれども、梅雨期に一番多く降っているのが、過去の平均的には見てとれます。それから、右のほうでございますが、ちょっと雨の降り方等で特徴がございます。上半分、梅雨性の降雨と、下半分は台風性の降雨というのが書いてございますが、梅雨どきの降雨は、右のほうに雨のグラフが時間変化で書いてございますけれども、大体梅雨のときがだらだら雨といいますか、前のほうからずっと降って、その何日か降った後に、どんと降ったときに大きな洪水が出ているというのが特徴でございます。
 また、台風のほうは、ちょっと下の地図のほうに、東側を通る場合と、西側を通る場合を載せてございますけれども、ご案内のとおり、台風は左巻きといいますか、左巻きで風が吹くというのもありまして、どちらかというと西側を通ります、この赤線で書いております、例えば昨年の9月のようなときにはたくさん降りまして、もう少し宮崎あたりといいますか、東のほうを通る場合は少ないという、地形と、その天気の状況との特徴で、こんなふうになっています。このように、時間とか空間で非常に雨の降り方、それから、洪水の出方が違うという特徴を、この川は持っているようでございます。
 1枚おめくりいただきたいと思いますが、どういう地形状況か、先ほどの画像も含めて見ていただきました。若干繰り返しもございますが、左側から1番と書いてございます下流の河口部は、八代海の干満を受けました干潟が広がるような地域でございます。少し上流、左真ん中の写真でございますけれども、山間狭搾部の出口は、そこはしばらく扇状地が広がってございまして、急カーブに左に、これは昔の八代の城下を守るということで、急カーブに切りかえてきてございますので、そういう場所がございます。
 それから、その上は、渓谷部で、周りの少し小さな平地のところにたくさんの集落があるというのが、このあたりでございます。ちょっと絵のつくりがあれで見づらいかもしれません、右下のほうが、4番目でございまして、そのちょっと上流、今度はその渓谷を抜けまして、人吉の市街地に入りますところ、これは、上流から下流を見た写真でございます。人吉の市街地の出口のところに、「狭搾部の入り口」というのが書いてございます。
 その上の5番目の写真は、今度は下流から上流を人吉・球磨盆地を見てございますけれども、市街地の少し上のところから、川辺川という大きな川が合流をしております。
 源流のほうは、右上のほうにちょっとご用意させていただいたような、非常に森林の豊かな場所でございます。
 1枚おめくりいただきまして、今度は少し各下流部、中流部、上流部。下流部は、ちょっと八代あたりと思っていただいて、それから、中流部は、先ほどの峡谷部というか、渓谷部、狭搾部でございます。それから、上の盆地の上流部というふうに、ちょっと分けて書いてございますが、どういう地形特性とか、治水の現状、それから、課題があるかというのをまとめさせていただいております。どういう形態の水害が起こりやすいかということが見てとれます。
 左側の地図は、八代でございます。先ほど来何度か申し上げておりますが、出口のところからしばらくは扇状地でございます。それからもっと外側へ行きましたところは、干拓がずっと盛んでございまして、広がっている地域です。その右側に八代平野の干拓の変遷という地図がございますけれども、川そのものは、もともと少し北のほうへ流れておりましたのを、ずっと左側へ切りかえて北のほうを守ろうと。昔は、この南側の堤防を少し低くして、北のほうの城下町を守ろうとした時代もございました。今は、そういう左・右岸の違いというのはございません。その扇状地の下に、順番に時代とともに干拓で広がってきてございます。左側の写真でもございますように、昔は旧市街のところにいろいろな施設や住宅等があったんでございますが、今は干拓のほうまで少し市街地等も広がり始めているという状況です。ちょっと扇状地や干拓地の状況は、ちょっと断面図で見ると特徴的にわかりまして、上の地図といいますか、これは山のほうから海のほうを見ますと、しばらくのところ、右半分は扇状地のところですね。それから、左半分は干拓のところでございますので、朔望平均満潮位という、満潮になりますと、何も堤防がなければ水がつかるような地域でございます。B−B’断面というのは、川に沿いまして直角に切っております。ここは扇状地でございますから、扇状地は大体こういう格好でございますが、川が一番高いところを流れて、堤防からあふれた場合とかは、周りへ広がるという形態を持ってございます。
 右のほうへ行かせていただきまして、今の下流部の川、特に急カーブしておりますところは、深掘れの存在というのがオレンジで書いてございますけれども、カーブしております側、右岸側といいますか、下流に対して右側を「右岸」と称しておりますが、ここのところに少し深掘れといいますか、深く掘れて、堤防際で掘れておりますので、この対策が重要になったりしてございます。
 それから、真ん中にございますように、逆に内側といいますか、真ん中側というか、そういうところは少し土砂が堆積して川底が上がっているいう状況でございます。洪水の流下能力を書いてございますけれども、結構かなり能力のある区間でございます基本高水のピーク流量という、大きな洪水が来ますときには、特に先ほどの急カーブのところ周辺を中心に流下能力が足りないという川でございます。
 右下に、それらを踏まえて、そういう流下能力の不足に対する対応、それから、深掘れ対策への対策、それから、急カーブして、非常に弱くなっているといいますか、そこが切れると、先ほどの扇状地から干拓地のほうへ洪水が広がるというのもございます。堤防の強化というものが重要になってございます。
 また、先ほどの土砂の堆積については、モニタリングをして必要な対策をするというのが、ここの川の、この地域の状況でございます。
 1枚おめくりいただきまして、今度は、その少し上流の渓谷部、山間の狭搾部のところを載せてございます。左側の写真、それから、真ん中の写真のような状況でございます。両方に鉄道と道路が走ってございます。そのあたりの少し狭い平地のところに集落が、たくさんプロットしてございますように、存在してございます。これは、ちょっと右の上のほうにも書いてございますが、この川の整備の歴史としては、先ほどの八代のところが最初にありまして、それから、人吉のところが直轄区間として編入をして対策が進みまして、それで、この中間部は少し後になってございました。それから、ちょっと堤防等、普通の対策をやりますと、先ほどのような狭い土地でお暮らしになっているわけですので、かなり地域の土地利用だとか、住まい方にも大変な問題が出るということで苦慮しておりまして、これは球磨川だけの制度ではございませんが、昭和60年代に、そういうので、治水の新しい手法として、宅地かさ上げの手法などを制度として設けまして、球磨川は代表例の一つとして、そういう対策をしております。ちょっと模式図でございますように、堤防をつくるかわり、地盤全部を上げるというような対策をしてございます。現在、右側のグラフのように、全体の地区で42地区ぐらいございます。五百数十戸の方が住んでおられますが、箇所数で大体36%ぐらい、家屋数で7割ぐらいが今進んでいるところでございますが、残りのところの分についても早急にやっていく必要がある場所かと思います。
 それから、左下に断面図がございますが、皆さん、ぎりぎりのところへ住んでおられますので、家のほうはかさ上げするんですが、鉄道、道路等、全線やるというのは大変な感じでございます。また、斜面を大きく掘削しないと上へ上げられないというようなこともありまして、この計画更新に合わせて全体のまちづくりをしているというのが現状でございます。
 1枚おめくりいただきますと、今度は、そのさらに上流部でございます。人吉・球磨盆地の地図が左上にございます。ちょっと左側のほうが、川の出口といいますか、八代のほうでございますけれども、そのすぐ上のほうに人吉市の市街地が広がってございまして、ちょっと赤い斜線で塗ったようなところでございますが、その少し上のところに球磨川の本川と川辺川、大体流域面積でちょうど半分ずつぐらいの、非常に大きな支川でございます。本川のほうを見ますと、その人吉の町中より上のほうは、穀倉地帯が広がってございます。全体の谷合いといいますか、盆地の中では、下流に向かいまして少し右側に川が偏ってございまして、その左側の、この絵で見ますと、南側のところは、そういう穀倉地帯が広がっております。
 それから、ちょっとこういうところでございます、右上にございますように、今の球磨川、川辺川、それから、その他の川も含めまして、盆地のところに一気にいろんな川が集まるという地形でございますので、例えば左下のように球磨川とか、川辺川の洪水のちょうどそのピーク、洪水の流量の一番大きなところが重なるような雨の降り方をいたしますと、一気に人吉の合流しました後のところ等々で大きな洪水の流量になって水害が起きるというような構造でございます。真ん中のほうに流下能力が書いてございますが、全体にわたって流下能力がございません。今までもちょっと下の、右下にございますように、かなり市街地が接近してございますので、一つは右下にございますが、市房ダムというのを、上流で洪水をためるということが35年ごろに行われました。
 それから、左岸側、この真ん中の写真で見ますと、右側でございますが、赤い点線から赤線のほうまで堤防を少し広げたのが40年代ごろでございます。その後、市外中心部のほうにつきましては、コンクリートの特殊堤というのを、余裕高の分といいますか、余裕の分だけは、こういうものの構造にさせていただいている状況でございます。上流の先ほどの穀倉地帯のところは、連続した堤防がつくられております。
 1枚おめくりいただきますと、これまでの洪水と計画の時間的な流れを用意してございます。左側の表は、左側の部分は年月日等でございますが、昔の洪水の痕跡等の情報も入れてございますが、正確な流量等はデータがなくてわかっておりませんが、痕跡から見ると、8,000m3/sぐらいの洪水が出ていたとも見てとれます。
 それから、大きな改修としましては、黄色が大体改修の計画でございますが、昭和12年に下流部の改修計画、八代市のほうから始まりまして、昭和22年には、今の人吉・球磨盆地のところが、治水対策を本格的にやり始めることになります。その後、市房ダムが35年に完成をしております。41年には、それらを踏まえた現在の工事実施基本計画の原形ができております。48年になりまして、先ほどの狭搾部のところも、一連の事業としてやるというようなことで直轄編入がなされてございます。
 大きな洪水としては、40年7月の洪水ですとか、47年7月の洪水ですとか、近年も、16年、17年と、大きな洪水が出てございます。被害として、右のほうに少し代表例を載せてございますが、40年7月、これが、流量としては戦後最大でございます。浸水の家屋は全部で1万4,000戸ぐらいの家が水につかったり、流されたりしてございます。下流の八代の萩原堤防という部分も決壊をしたりしてございます。それから、人吉の中も、市街地まで水につかって流れてしまった、家がなくなってしまったり、流出・浸水が、さらに、先ほどの全部を合わせますと、1万ぐらいになるということでございます。
 下には、57年7月のを載せてございます。この前にも47年のやつがかなり大きな洪水でございましたが、57年の7月出水の状況で、人吉あたりでの浸水の状況を見てとれるかと思います。
 1枚おめくりいただきまして、現在の球磨川水系、工事実施基本計画というものがございます。これに従って今治水対策が行われているわけでございますが、若干概要を説明させていただきたいと思います。上のほうに表がございます。この計画の基本となります基準地点を、人吉と、それから、下の八代の萩原と、2つにしております。確率は、80年に1回の洪水を想定しておりまして、2日間の雨量で、それぞれ書いてあるような雨量、それから、対象波形を40年7月の洪水、単位図法等でございます。ちょっと下のほうに順番になりますが、後でいたしますが、基本高水のピーク流量ということで、人吉では、上流で水をためません場合に7,000m3/s、ダムで3,000m3/s調節をいたしまして、川のほうで流すのは4,000m3/sと。八代の萩原では、何も調節いたしませんときに9,000m3/s、上流のダムなんかで調節をいたしまして2,000m3/sを引きますと、計画高水量の7,000m3/sという計画でございまして、右の図のように各地点の流量も想定してございます。
 ちょっとどうやってやっているのかというのが、少し順番で書いてございます。ちょっと細かい説明で恐縮ですが、左側1にあります、最初に計画規模というのを、河川の規模、流域の開発状況等を考慮して、80年に1回の洪水にしてございます。
 基準地点につきましては、八代地区と上流の人吉地区、当時、真ん中が直轄管理区間でなかったというのもありまして、2つの地点を基準点にして整理をしてございます。
 計画の降雨量につきましては、2日間の降雨量として80年に1回の流域平均雨量というものを用いてございまして、これが、次、4番で、単にそれだけでは、雨というのは、時間的な降り方、それから、地域的な降り方で洪水の流量が変わるものですから、降雨の時間的な分布につきましては、これは40年7月に大きな洪水があったということで、それに対応を何とかしようということもございましたので、40年7月の降雨の時間分布を採用しております。それから、地域の雨の降り方、下に絵が5つぐらいございますが、先ほど来の梅雨のとき、台風のときだとか、いろいろ雨の降り方が違いますので、今、過去にありました昭和38年とか、29年、39年とか、こういうタイプのも5ので、その雨を降らせております。
 これに従ってとございますが、流出計算をしてございます。雨を入れて洪水流量を想定しているわけですが、当時、一般的に用いられております単位図法というものでしております。一応、こういう計算というのは、計算でございますので、実際のものとちゃんと適合しているかというので、右のグラフのように、実績と計算のものと比較して、かなりよい適合度だということで、これを使っております。
 6は、それを踏まえて出てきましたものが、先ほど表にございます人吉地点7,000m3/s、萩原地点9,000m3/sという基本高水のピーク流入になってございます。
 それを、流量配分ということで、先ほどございました上流の市房ダム、それから、現在事業中でございます川辺川ダムによりまして、上流で洪水をためまして、人吉地点の川そのものに流すものは4,000m3/s、萩原地点の川そのものに流すのが7,000m3/sという計画になってございます。先ほどの5つのパターンでやりましたものの表が右下にございますが、赤字で示しましたいろんなタイプの中で、最も心配されるタイプのものを取り上げて、先ほどの7,000m3/sとか、9,000m3/sというのを出しているわけでございます。
 1枚おめくりいただきまして、じゃあ、現時点でこういうものをどう考えるかということでございます。球磨川水系の基本高水についての検討でございますが、基本高水のピーク流量というものを、基本方針の中では定めることになってございます。1に書きました基本高水ピーク流量の決定というのは、これは一般的なことについて書いてございます。一般的には、点で書いてございますように、全国的な安全度バランスを踏まえた目標となります確率規模、例えば80分の1だ、100分の1だ、200分の1だとか、川によって違いますが、そういう確率の降雨量から算出しました流量、それから、2つ目は、実際観測された最大規模の洪水流量、それから、周辺の状況等踏まえまして、総合的に勘案するとなっています。
 なお、さまざまな手法による検証も行うということで、一つは、ちょっとわかりづらい文章で恐縮ですが、水系のさまざまな区間の流量が、実際の河川の計画上必要になりますが、ただ、流量観測データが蓄積されました地点だけの流量ですと、実は流量確率手法というものでも出すことができます。ただ、ちょっと先に書いておりますさまざまな区間の流量というのは、ちょっと算出ができないので、検証だけに使ってございますが、こういうものでも、流量確率手法というのでも検証してみております。それから、確率の検討ではなくて、例えば引き伸ばしとか、そういうのではなくて、実際の雨、それから、実際の山の湿りぐあいみたいなものを重ね合わせて算出した場合どうだろうかというようなことも、検証としてやっております。
 2番目は、今まで基本方針なんかのときに、一般的な基本高水の見直しの考え方はどうしているだろうかというのを書いてございます。ちょっと「最近のデータまで含めた治水計画とすべきであるが」というのは、実は毎年毎年、データというのは変わるわけです。今年は雨が少ない、今年は雨が多いというようなことがございます。そういうもので、毎回変動するそういう毎年のデータで頻繁に見直すというようなことは、こういう治水対策という長期的な観点のものとしては適切でないと。毎年100になったり、120になったり、80になったりというようなことではございませんので、一般的には1、先ほどのような考えを受けまして、一つは、最近の洪水の流量の検証から、流量確率なんかで出しまして、ちょっと見直さないといけないぐらいの状況になっているというような場合、それから、計画策定以降に観測されました、実際に発生しました洪水流量が、これまでの計画を上回っているとか、かなり大きいものが何度か来ているとか、そういった場合等につきまして、また、土地利用の変化とか、そういうものも踏まえて見直しをすることに、これまでしてきてございます。
 球磨川について、ちょっと今回検討させていただいておりますものは、一つは、1番でございますが、最近の雨量、流量データ、昨年一昨年なんかも、雨が降って、洪水が出ております。そういうものまでを含めました検討を今回してみようと。それから、2つ目は、単位図法でやって、先ほどの適合度はよろしいんですが、最近、一般的な全国の水系では、貯留関数法というものを出してございますので、こちらのほうでも算定をしてみようということが一つです。
 それから、2つ目、これが、1番のところで、従前のような確率手法での答えは出るかと思いますが、あわせまして、2番として、最近までの流量確率での評価、それから、先ほどありました、湿りぐあいと、実績の実際降った雨と、両方来たらどうなるだろうかということを出してみようと。それから、3番は、ずっと近年の洪水とか、降雨がどんなふうに降っているかということで総合的に基本高水のピーク流量をご議論、ご審議いただけたらと思ってございます。
 近年の状況が右のほうにございますが、上のほうは、流量です。これはちょっと人吉だけ書いてございますが、下のほうは雨でございます。工事実施基本計画が41年に立てられましたが、それ以降の雨としては、少し濃く青で書きましたような流量でございます。それから、雨のほうは、下のほうのグラフでございまして、ちょっと年限が違うので場所が合っておりませんが、同じ意味でつくってございまして、雨は一部超えているものがございますが、先ほど来お話ししています雨の降り方で流量というのは相当変わりますので、上のほうのグラフと、下のほうのグラフのような状況になっているということです。
 それから、森林の話がよく出てきますが、一般的に森林は、宅地や農地に比べまして、保水機能が高うございます。ということで、森林を保全していくということは、治水上も極めて重要でございます。それから、森林の効果につきまして、いろんなご議論がありますが、広く学会等で指摘されているものを今用いてきているところでございます。それから、治水計画に用いている技術計算モデルの中には、流域に降った実際の雨と、下流河道の観測流量で再現性を確認してございます。計算の中に森林の効果も含むというような方法をとらせていただいているという状況でございます。
 この辺を踏まえて、ちょっと中に入りますが、次のページでございます。計画基準地点というのは、先ほどご説明しましたように、人吉と、それから、下流の八代のところの2点でやってきてございますが、ちょっと長いだらだらした文章で恐縮ですが、左上にございますように、基準地点というのは、その地点の流量だけを考えるという地点ではございませんで、水系全体の安全度といいますか、そういうものを検討する点でございます。水は上流のほうから下流のほうへ、全体につながって流れますので、つながっています水系全部ではどうだろうかという地点でございます。なので、基準地点をもし今、もともと2つ設けてございましたが、こういう場合には、2つのところで雨量確率の評価をやって、洪水の流出計算を行って基準地点の2つの流量を出してくることになります。
 ただ、先ほどのように、水系全部、上流から下流へ流量はつながっているわけでございますので、場合によっては逆転をするとか、不整合が生ずる場合もございます。一般的には、そういう代表地点というのは1地点で設けるのが望ましいということで、そうしております。ただしというので、上流、下流で安全度を変える場合とか、それから、流域が大きく、何かすごく変わるような地域がございますが、そういう場合は、ちょっと下にも、例がございますように複数設けているものもございます。球磨川についてでございますが、人口とか、その守るべき資産等々の多いところが八代や人吉でありますけれども、その2点のところを、結論から言うと、全国と同じように1つにしたほうがいいかなというものでございます。そのときに、八代と人吉の相関が、下のグラフにございますように、こういうふうに1つにしても、事実上の問題はございませんのと、洪水、上流から下流へうまく全部流れていきますので、通常は少し上流のほうで、例えば利根川なんかは、群馬県と埼玉県の境の八斗島で全体を見るとか、そうなってございますので、なるべく上流側で設定がされているほうがいいだろうというので、過去、真ん中が抜けていたということで2つございましたが、上流側の人吉のほうで検討を進めてはどうかと思ってございます。
 それから、右のほう、ちょっと、じゃあ、そういうものの前提を踏まえまして、最近の雨とかを入れて、それから、最近の一般的に使われています貯留関数法というのでやるとどの程度になるかというものを示させていただいております。(1)が、確率に対応した降雨量の設定というのを最初にやります。一般的に用いられていますように、最近一般的な方法としては、近年の時間雨量データというものを踏まえまして、洪水の一番ピークになります流量に最も影響を与えます雨が降り続ける時間、降雨継続時間を12時間と過去のデータで出しております。これに従って確率規模で、例えば80年に1回の雨はどのぐらいだろうか、100年に1回はどうだろうか、150年に1回はどうだろうかというのは、その下のような数字になります。
 これのグラフは、右のほうに示させていただいておりますが、ちょっと80分の1のところだけ拡大をしてございますけれども、各種の手法でやっております。下のような計算結果が各手法で出ておりますが、ちょっと適合性がいい悪いがございまして、全国の実流量から求めた、適合度をはかりますSLSCというのがございます。これの0.04以下という適合度のいいものだけを、逆に、悪いのはグレーのところでございまして、省きますとほかの数字になりまして、これの平均値が、先ほど示しました262mmとか、268mmだとか、279mmになります。
 次のページでございますけれども、主要洪水における降雨量の引き伸ばしというので、これを、実際に降った雨のパターンを検証する確率規模まで、先ほど80年に1回の雨ですとどれぐらいと、100年に1回の雨ですとどれぐらいという雨の規模まで、実際の雨のパターンのほうを引き伸ばします。これは、時間的な、空間的な分布がわかりませんので、その実際に降りました時間的な、空間的な分布を採用して幾つか検討しているわけでございます。ここの場合は、この表に載りましたような、大きな、この川で主要な洪水の各パターンを入れているわけです。
 それから、これを出します。引き伸ばしまして、例えば80分の1では262mmまで、100分の1では268mmまで引き伸ばすんですけれども、全体を引き伸ばしますと、局所的には、すごい、500年に1回とか、1000年に1回とか、何か起こりそうもないようなデータが出た場合は、それを棄却してございます。40年7月型、47年6月型というのは、そういうものでございますので、採用しないようにしているわけです。
 これを、(3)の流出計算モデルの設定ということで計算をいたします。モデルとしては、貯留関数ですが、乗数がございまして、この乗数というのは、過去の洪水と雨で検証しております。その検証の絵がちょっと小さくて恐縮ですが、例えば、40年7月型のやつが右側の図、主要洪水における再現計算結果というところに載せてあります。上が人吉、下が横石という、八代の上流部のところでございまして、実績と計算がほぼ合っているかなという、このモデルでいいだろうことの記述をしております。
 そういうもので計算をいたしますと、その下のピーク流量、これ、今80分の1と100の1のものを載せてございますが、ちょっといろいろあって、見づらくて、この表が大きくないといけないのかもしれませんが、40年7月とか、47年6月は、米印で書いておりますように、さっきの上のほうのありましたように、ちょっと変なといいますか、特異な雨の降り方がございますので、棄却してございます。残ったものの一番大きなものというのが、47年7月型になります。80分の1のピーク流量では6,997m3/s、それから、100分の1のピーク流量では7,201m3/sということでございますので、80分の1だと考えると6,997、100分の1だと考えると7,200m3/sぐらいをとるのが、通常の結論になります。これを、少し雨の降り方で違ったり、実際やっているものを右のほうに3つ載せてございますが、一番上が雨の降り方です。真ん中、時間的なその変化、2つ雨の降り方が2段にわたって書いてありますが、水色で書きましたように、確率雨量まで引き伸ばしをしてやっております。流出計算の結果が、下のようになりますので、一番大きなものというと、左側の6,997m3/sというのを、通常は採用するということでございます。
 ここまでが流量を出します結論みたいなものでございまして、次のページはこれを検証しておりますので、この次のページのやつで何か物を出すということではございません。先ほどもございましたが、その左上に書いてございますように、流量確率手法による検証というのは、1地点だけちょっと出すにはよろしいんですが、今、この水系全体の各区間の流量だとか、どこで水があふれ、どこで調節してというような計算はできませんので、検証だけで使っております。流量データも、最近の17年までの流量データを全部使いましてやってみた結果が、そのグラフのような、もしくは一番下の表のようになっております。これも、先ほどの全国の実績流量の適合度で、ちょっと合っていないものだけは、グレーでハッチをかけてあるところは削除をすると。結果は、流量確率(例)と書いてありますが、80分の1だと、6,001m3/sから7,159m3/sぐらい、100分の1だと6,211m3/sから7,523m3/sということで、先ほどありました80分の1だと大体7,000m3/sぐらい、100分の1だと7,200m3/sというのは、最近の流量で見ても、この中のレンジに入っていておかしくないものかと思います。
 それから、右のほうは、引き伸ばしでなく、実際の山の湿りぐあい、それから、実際の雨という、引き伸ばしだとかを何もしないでやったものを、参考に載せてございます。昭和47年6月の湿潤状態に対して、結構雨が降っています40年7月を加えると、今ここにあります6,694m3/sぐらいの洪水が想定されてございます。これは検証ですので、これで正確に出るということではございませんが、オーダーとして、大体こういうオーダーのものになりますというものであります。
 ちょっと時間の関係でスピードアップさせていただきます。次が、河川環境の現状と課題ということで、今度は環境の面でございます。少し、これもゾーンで分けて書いてございます。左側から河口部でございます。河口部は、大規模な干潟がございます。シギ・チドリなどの渡り鳥の休息地として国際的なネットワークにも登録されておりまして、シオマネキなどの干潟特有の生物がございますので、こういう生物相をはぐくむ干潟の再生とか保全というのが重要な課題だと思っております。
 それから、右上ですが、「下流部」と書きましたのは、ほんの河口部からもう少し上の八代の部分でございまして、ここは扇状地だとか、そこから海へ行くというところでございます。干満の影響を受ける汽水域でございまして、汽水域特有の生物、それから、ヨシ原が生育して、オオヨシキリなどがいます。それから、遙拝堰直下なんかでは、アユの産卵場がちょっと、瀬やふちの消失がございますので、そこを何とかしないといけないという課題がございます。それから、魚道なんかがつくられているんでありますが、うまく機能していないものもございますので、ちゃんとした、やっぱり連続した水の流れ、生物、物質の流れというのをきちんと確保していくことの連続性を何とかしていくことが重要かと思います。
 次のページでございますが、今度は中流部の、先ほどの山間の狭搾部です。いろんな奇岩・巨岩が連なっております。それから、そういう瀬やふちがございますので、アユだとか、オイカワ、カワムツなどが生息してございます。ほぼ全川にわたってそういう状況でございますので、左下にございますが、そういう瀬やふちの保全、それから、河畔林の再生とか保全、上下流方向の、やはりダムなんかもございますし、いろんな工夫はされてございますが、水・物質・生物の連続した空間として、少しこだわった整備をきちんとしておく必要があるのではないかと思っております。
 それから、右のほうは上流部でございます。盆地のほうでございますが、オギ、ツルヨシ、高水敷には柳等がございまして、それに合わせたコムラサキ等がございます。それから、ちょっと問題なのは、瀬やふちが連続する、そういう空間で、全体的に下が岩盤では軟岩層があって、上に砂れきが乗っているんですが、右上のところは、明廿橋というところ付近の写真を載せてございます。過去、砂利の採取で掘削をしましたときの岩が露呈したままになってございまして、そういうれき河原での生息空間としては、何とかしないといけないのではないかというような状況でございます。
 それから、ワンドがございましたり、それから、川だけじゃなくて、周りの水田だとか、水路だとか、いろいろ連続してやっぱり生物空間が形成されているわけでございますので、そういうところの連続性の確保みたいなものも、重要なことかと思われます。
 また、上流のほうは、源流部としてのヤマメその他がございます。
 それから次、水質でございますが、水質は次のページでございますが、全般的に昔ちょっと悪かったりはしているんですが、最近は環境基準、それもかなりAAとか、A型とか、こういう環境基準も、上流、中流は満足しております。下流も、そういう都市地域周辺の3mg/lというのは、十分満足している状況です。
 それから、下のほうに、ちょっと課題の一つに濁水の問題がございます。幾つかの原因等が言われたり、わかっているわけでありますが、一つは、市房ダムの取水後の濁水の長期化という話が出ております。それから、真ん中は、山腹の崩壊で濁水の長期化がしているものがございます。特に川辺川のほうでは、下のほうにグラフがございますが、16年は大きな雨の後にどっと土砂が出て、その後、中ぐらいの洪水できれいに洗われたために、結構、12日後ぐらいに濁度5以下できれいになるんですが、昨年の洪水といいますか、雨は、崩れはしたんで、その後の中規模の出水なんかがないこともありまして、少し長引いている状況です。
 それから、右のほうは、いろんな面的な濁水だとか、汚濁のものがございますので、少し代かきなんかの現状もございますが、こういった面的な対策の必要性というのがございます。
 それから、次のページは、河川利用の現状と課題です。一番下流のほうから書かせていただいておりますが、下流部は、そういう八代の町がございますので、人々が川をうまく活用する、まちづくりの中でうまく活用できる、親しんでいくということをしていかないといけない。一つは、ハード面もそれに合わせた近づきやすさだとか、景観その他がございますが、ソフトといいますか、人の係のソフトも含めて対応を考えていく必要があるかと思います。それから、人吉のほうも、町中でのいろんな花火その他も含めまして、活用がされてございますので、こういったことをさらにうまくできるようにしておく必要があるかと思います。
 それから、左下は、何度か出てきます球磨川下り等がございます。やっぱり、ダイナミックな流れというのがこの川の大事なところですので、そういう流れの保全とか、それに乗ったときの周りの景観が大事かと思います。
 それから、上の市房ダムだとか、いろんなところがございますが、こういった人々が親しむところについて、きちんとした対応をしていく必要があるかと思っています。
 それから、次のページ、水利用の現状でございます。用途別は、左上にございますように、農業用水が非常に多うございます。発電用水がまた非常に多いんですが、発電の場合は、取ってまた流してというような状況でございますので、ちょっとグラフでは合わせて書いてございますが、水源量だけで見ると、このぐらいの比率になります。
 それから、左下に発電所の位置図がございますが、全国的な問題として、発電所の取水堰の下流で水がないというのがございます。今、ガイドライン、全国的にやっておりますが、ここも、そういうのに合わせて3区間ぐらいの改善等が今図られているところでございます。引き続きやるべきところはやっていかないといけないと。
 それから、右の上のほうは、遙拝堰というところ、これがかなり八代平野、それから、天草も含めました水利用のかなめになってございますので、こういうところの安定的な水の供給というのをしっかり考えないといけないという状況かと思います。
 それから、右下は、農業用水で、人吉市のほうでございますが、先ほどございましたように、穀倉地帯を形成しております。大体は市房ダムのところの堰から取って、川の左岸側、地図でいうと南側ですが、そこへ供給されております。ただ、地形上、川の北側のほうは台地がつながっておりますので、かなり水利用については苦慮されておりまして、これを地域のところで今ご検討されているところでございます。
 それから、次の、最後のページになりますが、土砂の状況です。土砂の動態は、ちょっとお時間もあれなので、さっと言いますと、時によっての変動量というのがすごく大きい状況ではございません。それなりに、たまたまここは低くなっているとかいうのは、原因がつかめてございますので、縦断的には安定をしているかと思われます。ただ、局所的には、下流の八代あたりのところで少し河床が上がっていたりとかというのがございます。そういったところをきちんと丁寧にやっていけば大丈夫な状況かと思われます。
 また、右のほうにございますように、直轄の砂防事業で、もう昭和30年代から始まってございますので、こういったところでの対策も重要かと思います。
 右下には、ちょっとこの土砂の関係で、今、荒瀬ダムの撤去がございますので、たまった土砂も含めて、この動向をきちんととらえて、しっかりうまくやっていくというのが重要な問題かと思っております。
 以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、ご質問、ご意見をお伺いしたいと思います。
 なお、私のところに、子守歌の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会から、「球磨川水系河川整備基本方針の策定に関する意見書」というのが届いております。あるいは、皆さんのところにも届いているかもしれませんが、後ほど、事務局からコピーを皆さんに配付していただきたいと思います。項目だけ申しますと、川辺川ダムを考える住民討論集会の住民側専門家との議論の場を設けること、球磨川の基本高水流量はひどく過大である、球磨川の河道整備のおくれを解消すべきである、豊かな自然を未来に残すために、正常流量について、川辺川ダム計画は白紙の状態になっている、こういう意見書が出ておりますので、これらも参考にしながらご意見をお伺いしたいと思います。
 どなたからでも結構でございますが、時間の関係もございますので、もしありましたら声をかけていただくことにして、私のほうから、最初に、地元に詳しい委員としてご出席の○○委員からご意見を賜りたいと思います。お願いいたします。
(委員) ただいま○○委員から発言のお許しをちょうだいしまして、大変恐縮で、かつありがたく思っております。○○委員と申します。今日は、このような機会を与えていただきまして、まことにありがたく思っております。
 ただいま、事務局○○さんから、概要につきまして、ご説明をちょうだいしたわけであります。私どもは、球磨川といったものと、もう何百年前から共存、共用してきている地域でございまして、球磨川抜きには地域としては考えられないような、密接な関係がございます。申しますと、「母なる川」という言葉がよく使われますが、これは上流、下流の住民にとって、子供のころから球磨川と密接な関係を持って生き長らえてきているわけでございまして、その後は、球磨川をいろんな形で利用し、活用していくというのがまた、行政の仕事でもございます。母なる川という点では、先ほどもご説明ありましたように、その川に生息するアユといったものが極めて宝物でございまして、資料にもございますように、3匹で1メートルということは、30センチ以上のアユでございまして、通称「尺アユ」と言いまして、都会の人にお送りしますと、サバと間違えるぐらいの大きなアユでございます。さらに、魚族も、ご紹介ありましたように、いろんな魚が生息していまして、私、よく川沿いを朝、ウォーキングするわけでございますけれども、球磨川の魚を生育する、育てる、その能力というのは大変なものだなということを、つくづく感じるわけでございます。最近は、ラフティングとかいうものも出てまいりまして、伝統的な球磨川下りと相まって、大変な観光資源でございます。
 そのようにして、球磨川と私どもは切っても切れない関係であるわけですが、一方で、暴れ川といったような恐ろしい側面もあるわけでございます。資料にありました57年7月の災害、私も直接体験したわけでございますけれども、資料の7ページに、右側に写真が何枚かございますが、上の40年のときのことは、私は知りません。その下の57年7月の出水のときに、私はこのときに人吉におりまして、その状況は、その一番上の昭和40年のときの人吉市内を船によって避難をしている人、あるいは避難を呼びかけている写真がございますが、57年も、そのような光景があったわけでございます。
 問題は、この40年当時は、この船に乗っているのは、この帽子をかぶっているのは消防団でございまして、消防団にたくさん若い人たちがおって、救出をする能力を持った、経験を持った、若い人がたくさんいたわけです。反面、ご高齢の方は、まだまだ今から言うと少ないわけでございますが、最近は高齢化と、それから、逆に消防団の確保が非常に厳しいという状況がございます。
 昨年17年の台風16号、それから、一昨年の14号だったか、そのときに、一昨年、私は、避難勧告を出したわけでございます。人吉市内の避難勧告というのは、そのとき知ったわけですけれども、32年ぶりの避難勧告だそうでございまして、これは、避難勧告を出すということは、市長にとりましても大変な決断、判断というのが必要でございます。その当時、全国的にも異常気象による、新潟ですとか、福島ですか、大変川が増水して被害が出てきた。そして、その市長が避難勧告を出したときに、タイミングが早かったとか、遅かったとか、マスコミにいろいろ取り上げられたようなことも一応念頭にございまして、その判断を、タイミングを絶対間違ったらいかんと思いまして、私は、川辺川のこの合流点に直接参ったわけでございます。
 人吉の場合は、球磨川の上流の最上流は、水上村という、この資料にもございましたその川と、それから、川辺川の上流は五木村でございまして、その両方からの合流したところが人吉市内でございまして、もう気象庁の情報、国交省の情報、それから、さらに、水上の村長さん、五木の村長さんとも数回、タイミングを見計らいまして、電話でもって相談しまして、降り方はどうだということ、そしてまた、川辺川の合流点に私は行きまして、その川辺川の水量、それから、水の速度、流れ方、これは通常、川辺川というのは非常に優しい川でございますけれども、一たん降り出しますと、その左岸、右岸とも急峻な山地でございますので、降ったやつが即川に流れてくるということで、大変な急流になってくるわけでございまして、その状況を見まして、非常に恐ろしくなって、そして、人吉の市内の支川、万江川ですとか、山田川ですとか、あるいは胸川ですとか、そのような川の状況も見まして、これはもう避難勧告を出したほうがいいだろうということで、役所に帰りまして、避難勧告を出したわけでございます。
 それが、昨年も同じような状況でございまして、これはもう人吉の市民の生命・財産を守るには、ほんとうにきちんとした洪水対策といったものをつくっていただかないと、これは将来もう一遍、昭和38年・40年のこのような大水害の人命の損傷、あるいは財産の損害といったものが発生したら、これは大変だというような考えで、今日は、皆さん方に実情をお話をし、ご理解を賜りたいと、このような形で出席させていただきました。どうもありがとうございました。
(委員長) ありがとうございました。
 それでは、九州地方の河川にお詳しい○○委員からお願いいたします。
(委員) 質問と要望が幾つかあります。
 まず第一に、80分の1という球磨川に対するこの確率は妥当なのかということ。というのは、昨年の台風14号で宮崎県の耳川流域が大変な被害を受けて、我々も調査に行ったんですが、例えば広瀬地区などは大被害を受けて、非常に悲惨な結果で、地区が丸ごと移転したいということを言われていたわけなんですね。こういったことが中山間地域の荒廃にますますつながってきています。雨の降り方も最近変わってきているということから、80分の1というのはほんとうに妥当なのでしょうか。
 私は、河川管理者というのは、自分や、自分の家族をそこに住まわせてもいいと思うぐらいの安全度を心がけるべきだと考えております。そういった観点からも、整備後に80分の1というのは、あまり十分という感じがしないわけですね。私がもし流域住民だったら、国交省はここを軽視しているのではないかと疑いたくなるぐらいの気持ちです。100分の1とか、120分の1ぐらいの必要性はないんでしょうかというのが、これが1点。
 それから、2点目なんですが、昭和47年の洪水と、57年の洪水を見ると、57年のほうが洪水規模が大きかったんですが、被害は47年のほうが大きかったわけですね。これは何でだろうかということ。10年間の間があって、その間に対策が進んだということかなという気もするんですが、逆に10年間ぐらいだと、あまり対策は進まないという、そんな印象を持っているんで、この理由は何だったんだろうかというのを、これを教えていただきたい。
 それから、球磨川の特徴として、人吉盆地に本流と川辺川が合流しているということ、また、支川が幾つか集まってきているわけですね。こういう地形が球磨川の非常に大きな特徴だと思うんですが、支川の大きさ、流域面積、これがあまり明確に書かれていないんですね。ですから、こういう特徴を皆さんに理解してもらう上でも、支川の流域を色分けした図みたいなものを示していただけると、人吉市の上流、下流に大小幾つかの川が合流しているという状況がわかってもらえるのかなと思っています。
 それからもう一つですが、人吉で7,000m3/s、ダムカットで4,000m3/sです。3,000m3/sダムカットしているということで、これはこれでいいんですが、萩原が9,000m3/sから7,000m3/sということですね。上で3,000m3/sカットするのに、どうして萩原は2,000m3/sになっているのか。これは、もう少しわかりやすい説明が必要かなと思っています。
 以上です。
(委員長) それでは、第2点は、次回に十分資料を用意して説明していただくことにしましょうか。第1点と第3点、現時点でお答え願いたいと思うんですが、事務局お願いします。
(事務局) 1点目の47年、57年は、これは雨の降り方でございまして、本川系と……。
(委員長) 違います。80分の1の問題について。
(事務局) 大きいか小さいかということですね。
(委員長) 80分の1が妥当なのかということ。
(事務局) ちょっとこれも次回、グラフでも少し用意したいと思いますが、全国的に見ますと、今直轄で管理しています川というのは、周りの市街地の状況、川の大きさで200年に1回ぐらいのもの、それから、150年に1回ぐらいのもの、それから、その他のものが100分の1ぐらいのもので、新しい計画として80分の1にしたものというのはございません。
 ただ、先ほど資料でご説明申し上げましたように、これまでの計画の改定の流れからいいますと、そういう全国のバランス、それから、実際観測した最近の大きな洪水ということの両面を見てございますので、最近大きな洪水が、今までの計画を超えてという事実はございませんので、その辺をあわせてご審議をお願いできたらと思っている点でございます。
 それから、2点目ですが、2点目は、47年、57年の話は、流域の雨の降り方で、本川で降りましたり、本川のところの近くの水害、それから、支川のところの水害の違いとかの影響で出ておりますので、ちょっとこれも、物は具体的に用意したいと思いますが、そういう違いで出ているというものでございます。
 それから、色分けの図は、後日用意させていただきます。
 それから、萩原のところも、これ、人吉から萩原まで区間がございます。周りの残留域もございますので、それの時間的な重なりぐあいというのが変わっております。これも、ちょっと資料として用意したいと思いますが、そういう理由で、上流のほうでは3,000m3/sですけれども、残留域の時間的な兼ね合いで、実際下流のところは2,000m3/sの効果というのがマックスになっております。
(委員長) それでは、第1点についてはまた、この委員会の重要な審議テーマでもございますので、追ってそれぞれ議論したいと思います。
 それから、第4点ですか、萩原堤の関係については、説明が下手だということですか、委員のおっしゃるのは。
 では、ほかの河川工学の先生にもお伺いしたいと思いますが、それでは、○○委員、ご意見ありましたらお願いします。
(委員) 今ご説明のあった資料で申しますと、この雨を引き伸ばして流出解析としては貯留関数でなされて、それで、結構大きな出水等で再現をされてというお話を聞かせていただきました。それで、この貯留関数法というものであって、この同定されたパラメーターによってはちょっとばらつくとか、変動するという内容もあると思うんですが、この基本高水を出されたときの引き伸ばしの雨に対しての流出のパラメーターの計画値というか、そういう形のものが、どういうセットでなされたのか、そういったあたりを少し資料等でいただければなと思うのと、それから、その同じ計画の計画値というか、そういうパラメーターでもって流量確率とか、湿潤とか、そういう重ね合わせの、そういった形のものも、それが出されて、そういったものを含めた形での検証というような形になっているのか、そのあたりを少し資料等で追加的に教えていただければありがたいなということでございます。
 以上です。
(委員長) では、○○委員お願いいたします。
(委員) 次回で結構ですが、用意していただきたいことをお願いします。
 まず最初は、資料の6ページ目ですが、ここで水位の縦断と河床の関係というのが、人吉地点で出ております。この下の航空写真で人吉市街地が写っていますが、河道線形が複雑な形をしております。同時に、中の島公園の周りに大変な土砂の堆積があります。ここはおそらくこのような縦横断形をしているために、この中の島も含めて、洪水時の流れ方にかなり影響を与えているだろうと思います。ということで、計画高水位を超えた洪水が近年起こっていますので、今日用意された資料ですと、非常にその辺がわかりにくいというか、粗い図になっていますので、もうちょっと大きな図面を、この区域については出していただきたい。特に気にしていますのは、この区間の堤防の余裕高を特殊堤になっていますので、ここのところの安全度をよく評価していく必要があるということで、準備をお願いしたいというのが1点目です。
 2点目は、これも次回で結構ですけれども、降雨確率をとるときに、降雨の継続時間を12時間に今回はとっています。現計画では2日雨量であったのを12時間雨量にしています。人吉市域を考えるときには、上流域に降った雨が洪水となって出てくるのに数時間を要すると思いますので、12時間は、人吉の基本高水流量を検討するときにはいいと思うんですが、下流の八代に到達する時間を考えたときに、人吉の議論と八代の議論は一体どういう関係になっているのか、今日の説明ではわかりづらいということです。長い時間の降雨期間が続いていれば、おそらく下流への影響はそれなりに大きいだろうということで、人吉については12時間の降雨データに基づいて検討されたと思うんですが、流域全体としてどう見るのかということの説明が不十分であったと思いますので、この点についての追加説明資料が必要だと感じております。
(委員長) 大変基本的なところでございますので、次回に検討した資料を提出してもらいたいと思います。
 ○○委員お願いいたします。
(委員) 私も3点ばかりなんですが、先ほど○○委員からもご指摘のあった80分の1というのは、かなり気になります。配布されている資料1−4を見ていただきますと、これに80分の1というのはないんですね。今日のご説明を聞いていて、10ページあたりの、これは時間雨量で今度議論をしているんですが、100分の1と80分の1は、そんなに大きな違いが、雨でもないし、実際流量にしても、つまり、ある範囲を考えてチェックするという意味で言ったら、ある意味そんなに違わないわけです。基本高水の見直しをするのにはどういう場合があるというのが9ページにありますけれども、これには該当しないと思うんですね、今までのこの小委員会での議論は、工実に対して、それがよほどおかしくなかったら変えないというので来ていると思うんですけれども、ここでは、これだけ議論をして、解析もしているわけですから、ある種の見直しをするという立場に立ってもいいんじゃないかと。これは今後の議論ですけれども、そういう提案をしたいと思います。
 それから、やはり、ここでは一つの大きな問題として、対立点となっているのが、基本高水の問題なんですが、これも、今日の資料で非常におもしろかったのは、2日雨量440mmというのが一応対象として出てくるんですが、これは前の委員会でも議論になりましたが、2日雨量をとったり、あるいはもっと大きい川では3日雨量をとったりするのは、昔は時間データがなく、長期間のデータとしては日データしかなかったから、そういうデータを基準にしているんだということです。今のようにデータがそろってきたら、先ほどの10ページのような時間の議論ができるということになっているので、やはり、いろんな意味でその辺のところがちゃんとわかるような高水の評価法であるということ、これも、そういう説明をされているんですが、もっとわかりやすくその辺のつじつまを議論されることと。それから、地元の要望書から出ています、昨年の台風14号の2日雨量が440mm以上であったにもかかわらず、流量ははるかに低いではないかとの疑問。その辺も、具体的にちゃんと、なぜそういうことが起こっているかという、つまり、降雨の分布、空間的な分布、さらに流域の湿潤状態との関係でこういうこともあり得るんだということは、ちゃんと資料を持って説明していただきたいと思います。
 もう1点、高水に絡んでは、森林の効果がここでは非常に議論になっています。これも、この小委員会では吉野川、利根川で一応議論はされましたけれども、球磨川では、これは県が主催されている住民との討論会とか、あるいは住民側の専門家との討論会というようなところで議論されている資料があります。県の了解を得る必要があると思いますけれども、あそこでは一応、豪雨時の観測を含めてやっておられるので、合意が得られれば、その辺の資料も含めて、この小委員会で議論ができればと考えております。
 以上です。
(委員長) では、防災にお詳しい○○委員のほうからひとつお願いします。
(委員) 川というのは上流を見なければいけないわけでありまして、川辺川の上流地帯というのは大変土砂崩壊が起きやすい。地質図が参考資料の1の5ページにございますけれども、球磨川の本川の上に川辺川が途中からしか書いてありませんが、川辺川は、地層をほぼ南北に横切っているんですね。しかも、この地域の中央部には、このページの上から4行目に書いてあります仏像構造線という、これは四国から続いてきている大断層帯とで、破砕帯が当然あるわけでありますし、ここにありますように、「中世代」の「世」の字が間違っていますけれども、「生きる」という字です。中生代の砂岩とか粘板岩は大変崩れやすいということでありまして、この地域は、特に上流部が大変土砂崩壊が起きやすいわけでありまして、現実に昨年の14号台風、9月6日だったと思いますが、この時は200カ所ぐらい山腹崩壊が起きております。この資料2の15ページの真ん中のところに、濁水の問題として、山腹崩壊による云々というのがありますけれども、このとき、今お話ししたように200カ所ぐらい崩壊が起きて、しかも、データによりますと、川辺川の河床が一時的には4メートルぐらい上昇をしたということが書かれておりますけれど、それがその後の大雨で洪水災害を引き起こす原因にもなるので、現状が一体どうなっているのかということを、次の会議でお示しくださればと思います。
 というのは、やはり、一度多数の崩壊が起きますと、植生が失われるなどして、次の豪雨で新たな崩壊が起きてしまう。対策が進まないうちに次の災害を招いてしまうという可能性がありますので、どの程度山が荒れてしまっているかというのをぜひ知りたいということであります。しかも、ご存じのように、雨の降り方というのも、最近大変変化をしてきていて、短時間豪雨の頻度というのが全国的にも頻発をしてきております。ですから、将来の問題として、これは大変大きな問題ではないか。しかも、この地域というのは、台風銀座でもありますし、梅雨末期の集中豪雨、多分昭和57年の災害というのは、有名な長崎の豪雨災害が起きたのと同じときではないのかと私思っておりますけれども、そういう点で、梅雨末期の集中豪雨であるとか、台風による大雨というものが今後もさらに頻発する可能性があるということで、やはり、上流部で土砂を抑えることが非常に重要だと思いますので、そのあたりの資料をご提供いただければと思います。
 以上でございます。
(委員長) では、都市計画部門の専門家で、○○委員のほうからお願いいたします。
(委員) 2つばかり、「お尋ね」になるのかもわかりませんが、1点は、今日の資料でいいますと、7ページのところに、これまでの洪水等の実績の表がございまして、平成11年に高潮による浸水被害が出ているやに見受けられます。これは、縦断の状況が4ページにあって、確かに平均で2メートル以下のところがかなり下流部にあるという状況がわかるわけですが、こういう台風銀座で雨が上から来ると同時に、場合によったら高潮が襲ってくるという状況の中で、今、下流部の対策をこれから考えるときに、何も言及しなくていいのかというのが、やや気になるところであります。これはほかのところの一般論でもそうなのかもわかりませんが、高潮と、こういう河川の計画との関係について少し議論を整理していただけたらいいかなという気がします。
 2点目は、いろいろとご苦労いただいて、大分わかるようになってきたんですが、管内図などを拝見すると、完成しているところと完成していないところという表現が多少入ってきて、少しわかりやすくなったかなと思って見ておりましたが、ちょうど中流部のところ、人吉から、非常に狭搾なところについては、既に今、宅地のかさ上げの方法で地域の安全を保つんだということの説明があって、半分ぐらい進んでいるんだというお話がありました。そういう施策というのは、こういうほかの完成堤のところというか、ほかの堤防を整備していこうというところにおいても、対策としては考えられるのか、あるいは、これは既にそういうのが対策として盛り込まれているのか、あくまでも狭搾な部分のみ、そういうことを対応として考えているということなのかという点について、もう少し教えていただければと思います。その2点でございます。
(委員長) これは今、即答できますか。
(事務局) 2つ目のことでよろしいでしょうか。2点目の宅地のかさ上げは、水防災対策事業というのをつくってやっているわけですが、本来の堤防をつくるよりも、そちらのほうが地域にとってもいいというのもあるんですけれども、当然公共事業は税金でやっているわけですので、コストの上で、通常の改修よりは安いということがあります。そういうことから考えると、今おっしゃったように、大きなところでやりますと、相当な、みんな家を全部上げるというのは、また、そこで住んでおられる方の社会生活上も、ちょっと非現実的なものになりかねない。もうちょっとできるようなところは、どこに限ることなくやろうとはしておりますけれども、そんな現状です。
(委員) やっていただける、そういう方法は一般論としてあるんだという理解でよろしいですか。いわゆるスーパー堤防というのは、大河川でずっとやるというイメージが一方であり、こういう狭搾部のところは、そういう方法もあるなというのは前から議論されましたが、同じように、一般的な市街地の中でも、一部宅地をかさ上げしながら、そういう河道整備をするというのは、方法としてはあり得るんだと。
(事務局) はい。制度としても、現在の制度も、そういうことができる前提なんですけれども、現実的には先ほど言ったコストとの関係だとか、実際その地元の方が皆さん合意できるか、実際は小さいところでもかなり、地盤を上げるというときには区画整理の制度なんかも活用させていただいたりして、権利調整も含めて全部整理をしないといけないので、ご案内かと思いますが、気仙沼かどこかでも一度、やっているときに、やはりうまくいかなかったというか、合意形成ができなかったとかがございます。
(委員長) ちょっと答弁が不十分です。私有財産を税金で金をかけて安全にするというのは、本来だめなんですよね。自然災害が起きたところでも、阪神・淡路大震災でも、一切面倒は見ない。お金の補助金ではなく、利子を補給する程度ですね。それで、スーパー堤防の関係については、スーパー堤防をつくることによって堤防敷地の所有者だけでなく、受益者がたくさんおるわけですね、東京都民とか。そういうところは、オーケーだとしています。球磨川みたいに、助かるのはその人だけというところは、本来はだめだったんですけれど、まあ、上流もダムをつくる、下流も堤防をつくる、ここだけ置いておくのはいかがかというのが、制度を緩めた、風穴をあけたということです。おっしゃるように、市街地全部、人吉を全部持ち上げるよということには到底適用できないって、はっきり説明しておかないといかんのじゃないでしょうか。ですから、そんな無限定な話じゃなくて、極めて限定しているのですね。ほんとうはお金を出してもどこかへ退いてくれというようなところで、やむを得ずやっているんじゃないかと思います。
 ○○委員、ひとつお願いします。
(委員) ちょうど今、このことが話題になりましたので、ちょうど、この資料2の、この中流部のところの宅地かさ上げ方式のところですが、ちょっと図面と、この統計を持っていて、やや疑問に思ったということがありまして、さらに次回詳しい説明をお願いしたいんですが、左にあります航空写真といいますか、そこに42地区の事業完了、実施中、未改修、色分けがあります。多分、これと、右側のほうの宅地かさ上げ方式の実例が出ているところの下のグラフが、数が42地区、同じですから、多分同一のデータをグラフと写真といいますか、位置図にしているんだろうという前提でお話ししますけれども、全体としては、事業完了、実施中は、戸数としてはかなり行っているということですね。
 となりますと、残りの戸数、未改修169戸が、未改修の緑色の点が非常に多いということは、極めて小さな集落が点在しているということだろうと判断します。もしそれが正しければ、今、委員長がおっしゃった個人資産に対しての公共投資が云々という議論以前に、そもそもかさ上げ方式そのものをすること自体が非現実的でおかしいのではないかというような、率直な印象を受けます。ですから、実態として、未改修の意味が、宅地かさ上げ方式をするべきでしていないという意味の未改修なのか、そもそもこういう急峻なところの場所で、しかも、非常に高齢化が進んでいると思います。その中で行政サービス、それから、住民の安全を確保することの観点から言った場合に、むしろ、集落の移転・統合とかを含めての総合的な判断ではないのかなという気がしますので、少なくともこのような場所で宅地開発行為、率直にちょっと現地の事情がわからないんですけれども、これだけの資料を見ると、非常に不思議に思うといいますか、その必要性があるのかどうか大変疑問に思いますので、そこら辺は多少、次回少しわかる形でご説明いただきたい。そうすれば、未改修の意味が、全然違ってくるのではないか。別の対策をとるべき場所なのかもしれないなと。
 それと、今日、配付がありましたので、そのこととあわせて、住民団体の方からの資料がちょうどきょう出ていたものですから読んでいたんですが、この論点の一つ大きな点は、川辺川ダムを問題にしています。結局、このダム建設ありきという前提のこういう河川の行政をやっている関係で、中流とか、こういうところが、むしろ取り残されているんではないかという論旨展開をされていますので、これが事実かどうなのか、私はわかりませんが、つまり、この問題をどこまで扱うのかちょっとわかりませんけれども、少なくとも中流部の取り扱いについては、やはりもう少し資料をもってご説明いただきたいと考えております。
 あわせて、せっかく配られていますので、これは、ここに大部分の県民が、ダム計画はないと書かれていますが、実際問題、八代市、あるいは人吉市を含めて、この地域の住民の方々が何を考えているのかというのを知りたいと思いまして、きょうは時間もありませんのであれですが、○○委員さんも委員に入られていますし、地元の議会とかを含めてどうなっているのかというのを、この小委員会でどこまでこれを議論すべきかちょっとわかりませんが、情報として少し、バランス上、これではよくわからないなというのを、率直に感じた次第です。
 以上、2点であります。
(委員長) それでは、地元からご出席いただきました○○委員さんからご意見賜りたいと思います。
(委員) ありがとうございます。今、資料、そして、皆様方のご意見をお伺いしながら、○○委員としてぜひ、事務方を務めていただきます国土交通省のほうにお願いしたいことがございます。それは、私ども熊本県にとりまして、球磨川水系の治水対策というのは、大変大事な県政の課題でございます。そういったことから申し上げますと、資料に今日触れるということは、私にとりましても、なかなか洞察をしていく、大変丁寧な事務局○○の説明でございましたので、私も大変よくわかる部分ございましたが、大変と思いますが、事前にぜひ資料をお渡しいただきたいと、こういう願いを持つところでございます。
 具体的な内容について、次回に質問をさせていただきたいと考えておりますけれども、今、先生方のご意見聞きながら、それから、熊本県が抱えている実情について、少し、私のほうからも触れさせていただきたいと思います。
 まず治水についてでございますけれども、球磨川流域では、この中でも報告されておりますように、数多くの氾濫被害が起こっておりまして、昨年、一昨年におきましても、2年連続で計画高水を超える規模の出水が出てきております。大変流域の皆様たちは不安な生活を送られたということは、これは事実でございますし、○○委員のお言葉の中にも重なってくるところでございます。
 そこで、資料の4ページでございますけれども、ここで、先ほど説明の中で、事務局○○も、大変重要だという認識をお示しいただいたところでございますけれども、JR肥薩線、それから、国道3号、これに隣接をしておりまして、多くの人口・資産が集積をする八代市街、これを後背地に持っている下流部の萩原地区、ここにおきまして、平成12年度から、深掘れ対策工事が着手をされております。しかし、現在までの状況、あるいは予算の措置から見ますと、おおむね15年程度もかかるという見込みがございまして、現行の工事実施基本計画、これでされているダムの完成よりも大変おくれると。ですから、認識としては大変重要な地域であるとお示しをいただいたんですけれども、ただいま申し上げましたように、非常に長期のスパンの中でやられていくということで、やや、地元としては矛盾を感ずるところでございます。
 それから、こういった状況の中で、球磨川流域住民にとりまして、先ほども少しお触れくださったんですけれども、治水対策が、ダム計画への依存的な姿勢のために遅れてきているのではないかという疑念を抱いている人たちがいるということもまた、事実でございます。
 それから、さらに5ページをお開きいただきたいと思います。これは、○○委員、お触れくださったんですけれども、中流部において宅地かさ上げ工事、これが実施されておりますけれども、方法論を含めて、やはりきちんとここは検証していくということが大変大事ではないかと、私も感じております。現況の中で申し上げますと、42地区のうち、まだ9地区しか完了をされておりません。現在施行中の6地域はもとよりですけれども、未着手の芦北町漆口地区、ここ27地区では、常習的に浸水被害が起きているという実態がございます。
 それから、ページ6をお開きいただきたいと思います。まず人吉地域について、河道拡幅、それから、市街地部での特殊堤工事等が実施されておりますけれども、先ほど○○委員も少しお触れくださったと思うんですけれど、ここの護岸の未完成部分、それから、堆積土砂によります河床上昇箇所、こういったところも見受けられているという実態がございますので、治水という観点から考えてまいりますと、こういったことについても、私どもは対応をきちんとやっていかなければならないのではないかと思っております。
 当面必要な河川改修等については、ただいま申し上げましたように、未整備なところが多くて、流域におきましては、常に災害と隣り合わせの危機的な状況にある。一日も早い完成を待ち望んでいる住民の方たちの姿がございます。もちろん、県としても、スピード感を持って対処していくという計画を立てておりますけれども、国土交通省におかれましても、こういった点の早期整備、これは特段の努力をお願いしたいと思います。
 それから、これは今日、直接説明の中に、あるいは資料の中に触れるところではございませんけれども、熊本県の実態ということで、ぜひ、委員の皆様方にもご理解をいただきたいことがございます。それは、今日、先ほど配られましたいろいろな流域住民の方々の要望等ともかかわりを持ってくるかと思いますけれども、熊本県は、住民討論集会を開催いたしております。これに至った経緯、それから、県の考え方、少しお時間をいただいて説明をさせていただければと思います。
 地域住民はもとより、県民を巻き込んででございましたけれども、ダムに対しての賛否が非常に分かれる中で、初めて平成13年の11月、住民団体のほうから、ダムによらなくても、流域の命、財産が守れるという治水代替案が発表されました。これを機会に、私ども熊本県におきましては、国土交通省は流域の治水計画、あるいはダム事業について、そして、これまでの歴史的な行き方の中で、ほんとうに説明責任をわかりやすく果たしてきたのか、あるいは13年に出された治水代替案ということが、県民に見える形で科学的に検証されていくということによって、賛否両論の中にあるこの問題をもっと明確にしていくべきではないかということで、県をコーディネーターとして、球磨川のあり方が、住民と事業者との間に検証されるという、全国でも例がない形での住民討論集会が開催されるということになりました。これは、非常に住民討論集会での論点は、回を重ねるごとに紆余曲折がありましたけれども、主な論点を整理させていただきますと、第1回目は県が開催をさせていただきました。2回以降は国土交通省の主催ということで開催をしております。9回にわたって開催をしております。そして、この中で治水、そして、環境、また、治水そのものだけではなくて、利水についても事前協議会という形でテーマを重ねてきておりますけれども、この中での論点の一つが基本高水、それから、森林の保水力、こういった評価に対して非常に対立する論点が浮き彫りになってきております。
 例えば今日の資料の中でも出ておりますけれども、基本高水について、国土交通省は、人吉地点で7,000m3/sと設定をしていらっしゃいますが、それに対しまして、ダム反対派は5,500m3/s程度と主張されております。その違いというのは、主に計算手法と、保水力の評価の違いによるものでした。特に、森林の保水力の評価については、降雨が約200mm程度で頭打ちになると主張する国土交通省と、針広混交林化、針葉樹と広葉樹の混交林化を進めれば、ピーク流量を三、四割削減できるとするダム反対側の主張が対立をしているという状態の中にあります。
 それから、現況河道の流下能力、それから、計画高水流量、これにつきましても、国土交通省とダム反対派側の主張は対立をしているという状況の中にございます。
 それから、これは8ページと9ページにかかわってもまいりますけれども、基本高水、それと森林の保水力の評価、これにつきましては、討論集会で最も時間を費やして議論をしてきた課題であります。また、ここには専門家の皆様方による討論もなされて、論点はおおむね出尽くしたと考えておりますけれども、その是非について、県民の理解が得られたとは言えない状況の中にございます。
 それから、1ページ目の資料の中で、この流域の83%が森林であるということが客観的な数値として示されております。こういった中で、森林の保水力について、国土交通省とダム反対側による共同検証に取り組みまして、2年間に5回の地表流量の観察試験を実施しております。これは先ほど○○委員のほうからもございましたけれども、試験結果の評価、これも含めて、双方の主張は対立したままでございますので、また、これは資料として後ほど出して、県も、それから、国のほうも、出す必要があるかと思っております。
 そして、住民討論集会で議論された課題が、1997年、平成9年の河川法の改正に示された内容と相通じているということを、私どもは見出しているところでございますので、球磨川の治水対策を検討する上で重要な要素となりますところから、国土交通省は、河川管理者として、多様な意見が存在することを踏まえた上で、今後、この小委員会の中での検討を進めていただきたいと思いますし、委員の先生方からも、よい結果を得られることを、県民の理解が得られるためのよい道筋ができることを、切に願っているところでございます。
 それから、もう一つ、先ほどの説明の中で、○○委員、それから、○○委員のご質問等とも重なってくるかと思いますけれども、本日示されました事務局の説明資料では、基本高水を見直す場合の一般的な考え方及び例示として、9ページのところに「最近の洪水流量の検証から見直す必要がある場合」などと、限定的に記載をされておりますけれども、球磨川流域につきましては、住民討論集会の中で、まさに賛否の意見が真っ向から分かれたまま現在に至っているということを十分にご理解をいただきまして、河川整備基本方針は、その水系の将来のあり方を規定するものでありますから、基本高水流量の設定につきましては、検討小委員会において、過去の数値、基本高水のこの数値にとらわれることなく、県民の理解が十分得られるように、双方の主張と、そして、根拠となる十分な科学的な知見、資料も含めて、検証、審議をしていただきたいと、私のほうからは切に願うところでございます。
 なお、この住民討論集会を、行政的な手法の観点から整理をさせていただきますと、その特色、熊本県は、ユニバーサルデザインを掲げておりまして、まさにプロセスを重視するという観点に立っておりまして、この住民参加のもとに展開をされました事業者と住民参加、これはディベート的な討論であったと言えるのではないかと思っております。
 それから、公開性を担保してきたということにございます。そしてさらに、マスコミの皆様たちが常に参加をしてくださったということによりまして、それは記録性という大きな役割を果たしてきたと、そのように考えておりますので、ぜひ、この小委員会の中にありましても、熊本県の住民討論集会の中の相対する意見、ここをお含みいただきまして、今後ともよりよいご意見、検証、知見を重ねていただければと。私もまた、積極的にかかわりを持たせていただきたいと考えているところでございます。
 長くなりましたが、以上でございます。
(委員長) 大変重要なご発言でございましたので、重く受けとめて、今後の議事運営に反映させていきたいと思います。
 それでは、○○委員、ご意見ございましたらお願いします。
(委員)  教えていただけたらありがたいんですが、私の専門ではないんですが、8ページの工事実施基本計画の流量の配分図がございますね、古い配分図です。それによれば、川辺川からの合流量が500m3/sというのは、これは数値の間違いではないんですよね。流域面積から見ると、うんと多いんですが、これはどういうプロセスで500になっているのか教えていただきたい。
 それから、水質の問題があまりないとおっしゃるんですが、私が実際に球磨川の本川を歩きましたら、最後の清流と言われる球磨川なんですけれども、河床の状態は決して生態的に健全な状態ではなくて、非常に河床が劣化している。上を流れている水はきれいなんですが、河床の部分は決して健全ではないというのが、私の生き物屋としての実感でございます。そういう意味で、球磨川の清流を支えているのは、まさに川辺川だと思います。川辺川は、生態的にも健全な川であるということは、水中に入ってみて、実感いたしました。後者のほうは印象でございますので、水質のほうをもう少し検討してください。ちょっと楽観的に書かれているような気がするので、市房のアオコの問題も含めてありますので、ご検討ください。
 その2点でございます。
(委員長) では、同じく○○委員お願いいたします。
(委員) よろしくお願いをいたします。
 3点ほどお話をさせていただきたいと思います。1点目は、全体にかかわることでありますけれども、言うまでもなく、これまでの議論というのは、治水を中心にお話が多々あったわけでありますが、私はいわゆる環境の立場というところでお話をさせていただきたいと思います。
 1点目はアユ。先ほど一番最初に○○委員がおっしゃられましたアユが非常にここは豊かで、しかも、大物が出てくるというようなお話がありました。ぜひ次回は、このアユについて、もう少し知見をいただければと思いました。といいますのは、例えば放流量や、放流元、あるいは放流している場所とか、時期とかといったようなもの、あるいは天然アユはどの程度どこまで来ているのかといったような知見が、ぜひ必要かと思います。すなわち、それは、この球磨川の特性を持ったアユなのか、放流が主体となっているアユなのか、つまり、この把握は何を守るべきなのかといった際に極めて重要な知見になろうかと思います。もしそれが、球磨川産、あるいは球磨川の特性を持ったものだということだとすれば、先ほど事務局のほうからも、川の連続性という観点がより強固になり、重視すべきことになるでしょう。そういったアユなどの特に遡河性の、遡上する回遊性の魚類についての知見を、より努めて収集していただければと思います。そうすると、川の連続性を考えるという意味がより深まると思います。
 もう1点目は、先ほど○○委員のほうから、非常に詳しく重要な点をおっしゃられました、特に森林についてであります。森林は、この流域において非常に多いわけでありますけれども、針葉樹が多いのか、あるいは管理されているのかといったような、実際の森林の実態や管理状況、あるいはこれまで過去にどういう森林の状態であったかという知見もぜひいただければと思っております。そういったことを踏まえた上で、おそらく、森林の、あるいは水文的、あるいは生態的な機能というのも明らかになってくる一端があるのではないかと考えます。これは言うまでもなく、森林の崩壊、あるいは土砂の崩落は、水生生物に非常に大きな影響を及ぼします。私、実はここにお邪魔したことは一回もないんですけれども、先ほど○○委員がおっしゃられましたように、今のお話を伺っていると、特に人吉周辺の盆地のあたりですと、恒常的に水が滞っているんではないかなという印象を持ちました。滞留しやすい盆地においても、おそらく森林や水質の問題というのは大きく関与し、より生物にも影響を受けるだろうと思われます。
 もちろん、これは森林のみならず周辺の土地利用ということにも関与するかと思います。
 もう1点、これは、資料のほうでいいますと13ページ以降の河川環境の現状と課題という部分でありますけれども、これは、最初に、この球磨川というのを、河口部、下流部、中流云々という形で分類をされておられます。もちろん、これ自体は、ただ単に長さだけで均等にやったわけではもちろんありませんで、その地域地域の環境に応じて狭搾部を中心に中流部といったような形で、各河川の特性があらわれたような形で区分けをされていて、これは河川生態の実情を把握する上で、的確な出発点であるように思います。ですから、もういっそうの努力をされて、このグルーピングについての物理的な、あるいは流域の土地利用といったようなことを含めて、グルーピングする際の要素を出し、その根拠というものについてお示しいただきますと、そこに乗っかっている生物の相の特性も浮かび上がっているものと思います。おそらく生物相に関しましても、そうした5つの地理的グループごとに差が出てくるんではないでしょうか。すなわち、より球磨川の守るべき生物の多様性の特徴が出てくると考えられますので、そのあたりのお示しをいただければと思っております。
 もう1点は、先ほど地元からの意見書が委員長のほうから回って来ているかというようなお話をいただきました。私も事前にいただいておりまして、少し拝見してきておるわけでありますけれども、今はちょっと時間もありませんので、2点だけ、この意見書に関しての意見を述べさせていただきたいと思います。
 1つは、先ほど○○委員もおっしゃられましたけれども、こうした過去、川辺川ダムをめぐっての住民討論会が複数回されて、いろいろな資料がたまっていると。私自身は、最初、この報告書にもこういった議論が反映されているのかどうかということがちょっとよくわからなかったんでありますけれども、必ずしも反映されていないようである。とすると、やはり、今までこの球磨川にかかわった、いろいろな、さまざまな議論、資料といったようなものは、ぜひお示しなり、あるいは抜粋するなり、何らかの形で見せていただけると非常にありがたいと考えます。
 例えばそういった中で、もし今、事務局のほうでお答えができるとすればですけれども、この意見書のほうで、2枚目に当たります環境の4つ目の部分で、「豊かな自然を未来に残すために」という小見出しがありますけれども、そこに2つ目の段落の3行目、「委員会が住民討論集会での住民側専門家の主張も、国交省の報告と同じ扱い」云々というようなくだりがあります。でも、しかしながら、上2行目にも書いてありますように、「食い違ったまま中断している」ということであります。今日お答えいただかなくても結構なんですが、少なくとも次回、何が食い違った事項なのかということは、ぜひお示しいただきたいと考えております。
 以上です。
(委員長) それでは、○○委員お願いいたします。
(委員) 2つほど。1つは、本になった参考資料1を見ますと、渇水というより小雨ですね、雨が降らなかったのが、最近かなり増えているようであります。一応主とした被害は、農業関係のようでございますが、そういう農業被害に関して、小雨等による被害に関して、どの場所で、どんな被害があったのかがもうちょっとわかれば、利水サイドからの物の見方がよくわかる。下流の八代地域だったのか、それとも、上流なのか、この資料では、正直言ってよくわからないです。今後とも農業用水の貯水というのは必要ないのかなと理解していたんですが、こんなに小雨が続いているとなると、もうちょっと見直したほうがいいのかなという気もいたします。そこらの点、もうちょっと教えていただければと。
 それから、第2点ですが、ダム不要論が一時期相当流行しましたせいでもないんでしょうが、荒瀬ダムが廃止されると。耐用年数が来れば廃止されるということであります。これは、設備交換等をしましても採算がとれないという採算論で言えば、私はそれで結構なんだろうと思います。できてから長くたっていますので、環境サイドにとりまして、いわゆる安定した生態系になっていると思いますので、あってもいいのではないか。といいますのは、代替エネルギーとして言われております太陽エネルギー、風力、そんなのに比べますと、やはり水力というのは、圧倒的に地球温暖化防止に貢献するはずであります。ですから、採算がとれないからという理由で、日本全国の小水力発電所というのは片っ端からつぶしたんでありますが、最近は逆に、例えば水道でありましても、工業用水、あるいは農業用水でありましても、小水力というのが復活しつつあります。せっかくあります、むだに使っております落差を使おうということで、これは確かに風力発電やその他のもの、太陽光やその他に比べてはるかに効率がよろしいわけであります。せっかくあります設備を今後も使わなくていいのかなというのが感想でありまして、ここら辺もちょっとお考えを教えていただければと。国交省のほうではないでしょうけれど、県のほうだろうと思いますが、地球温暖化防止の観点から言うと、もったいないなというのが感想であります。
 以上。
(委員長) それは、次にまた機会ありましたらということでお願いしたいと思います。
 では、○○委員お願いいたします。
(委員) 森林の話が随分出ていまして、私も森林にかかわる仕事をしておりまして、いろんな意見もあるんですけれど、時間もないようですので、今回はいたしませんが、質問をまず1点だけしたいのは、9ページの人吉上流の雨量が出ているんですけれども、これの観測ポイントというのはどうなっているのかということをちょっとお聞きしたいんですが。9ページの右の中ほどですね。上流の雨量となっていますよね。
(事務局) 上流域全体の平均でございますが、ただ、観測所があるものです。
(委員長) だから、質問は、観測所が何カ所でということです。
(事務局) すみません、ちょっと手元にございませんので。
(委員) それでは次回で結構なんですけれども、私これ、個人的感想になるのかもしれませんけれども、前々から、森林の雨量については、観測が、過去にも整備されてきていませんし、それから、観測地点を設けたとしても、落雷等、いろんな障害がありまして、非常に観測が難しいという点があります。そういう意味で完備されていませんので、どうも森林地帯への実際の降雨量と、観測雨量というのに格差があるのではないかなという問題点をもともと感じているんですけれども、この意見書の中にも出ておりますが、雨量と洪水の関係が違うよというようなことについては、そういうずれかなと思います。ただ、この問題は、今回のこの計画の審議に間に合うような話ではありませんで、長期的に対応していく課題だろうと思いますから、直接の問題ではありませんけれども、そういう問題があるのではないかと思います。
(委員長) さっきの○○委員の紹介では、地元でも結構何か、観測したという事例もあるようなんで、次回以降でまた紹介していただいて、ご審議をお願いしたいと思います。
 それでは、○○委員どうぞ。
(委員) ちょっとまた国交省に辛口のことを申し上げます。今回のこの球磨川の論点は、まさにダムにあるということでございまして、マスコミの方もたくさんいらっしゃっているというのは、まさにこれがどうなるかということだと思います。
 先ほど○○委員さんのお話を聞いておりますと、この資料が届くのが遅かったと。これはおそらく県庁のほうには行っていて、○○委員さんまで上がるのがなかなか手間がかかったのかもしれません。次から早めに資料をお届けいただきたい。1級河川といえども、河川というのは地元の問題ですから、地元の人のご意見をきちんと入れた形でないと、というような感じもいたします。そういう面でひとつ、今までの川辺川ダムのいきさつ等、途中で何か利水が要らなくなったというようなこと、裁判の話とか、その辺、次の機会にでも、知事であられる○○委員さんから、地元のご意見を一遍言ってもらいたいと思います。今日、おそらくマスコミの方だってたくさん見えているのは、これがどうなるかということが論点だと思います。
 そういうことから言いますと、河川整備の全体的な話はもちろん、ほかの河川と同じ形でやっていただいていいんですけれども、論点である川辺川ダムについて、終わってから「国交省が押し切って」というような見出しが新聞に載るようなことにならないように、十分地元の意見を入れながら、議論していただきたい。世の中、反対、賛成の意見が色々あります。先ほどの80分の1の確率の話だって、もっと大きくしろとおっしゃったじゃないですか。そういう方もいらっしゃるし、一方では、それは大き過ぎるんだと。この辺の河川工学のことは専門家がたくさんいらっしゃいますから、十分ご議論いただきたいと思います。
 ただ、私が常々申し上げますのは、地元の意見、これが十分入った形でやっていかないと、これからの河川行政というのはなかなか難しいんじゃないかと。道州制やなんか言われておりますので、そういう中で、ひとつ知事でいらっしゃる○○委員さんとよく相談していただきたい。知事は住民の代表ですから、この川をどうしようかと考えておられるか聴いてみたいです。もちろん、環境のことも大事です。いろんなことが大事だけれど、その妥協点をどこに見出そうかということです。今日のご意見を伺っての感想です。ひとつよろしくお願いいたします。
(委員長) それでは、○○委員お願いいたします。
(委員) 今日の説明で、少し説明が少なかったと思いますのは、正常流量の関係なんですけれども、また、いずれ説明はしていただけるかなと思うんですが、正常流量といいますと、利水問題も関係してくるわけですけれども、特に今日の説明資料で、16ページに河川利用の現状ということが書かれているわけですけれども、熊本県の4分の1の流域を持つ大河川でありますから、この流域内の人口14万人と、ここに記載されていますけれども、この14万人の方々のための河川というだけではなくて、熊本県民全体でもあるでしょうし、日本国の方が球磨川に行ってみたいというような方もたくさんおられると思いますので、その意味で、河川利用のところをもう少し具体的に教えていただけないかなという感じがしております。
 実は、先日といいますか、ある河川に行ったときに、大変すばらしいことをやっておられると、私は感じました。ラブリバー事業とか、川の学校というような観点からの、ハードだけでなくて、地域住民を抱き込んだソフト事業も、河川事業の延長といいますか、一体となってやっておられると。非常にすばらしいことだと思っておりますけれども、特にこの球磨川は、そういった意味では非常にすばらしい、治水対策も大事なんですけれども、平常時の河川利用、そういったことも大事だと思いますので、正常流量の話とあわせて、ぜひ、もう少しそこのあたりを、次回か、説明していただきたいと思います。15ページには水質問題で、ここの水質は非常にいいということですけれども、先ほどの委員では、少しそうでもないんではないかということがありますけれども、それとか、河川環境というところも書かれておりますけれども、若干ちょっと気になりますのは、水田の濁水とか、水路との関係の記述がありますけれども、何か改善すべき対策をしなきゃいけない、あるいは具体的な対策をこういったことに対して考えておられるのかどうか。多分、河川は清濁当然あるわけですから、濁りをどうのこうのというのもいかがかなという気もしますが、そこらあたりも含めて、次回か、正常流量についての基本的考え方をお聞かせいただくことをお願いして、利水等も含めての意見としてお話しさせていただきました。
 以上です。
(委員長) 私の不手際で時間が超過してしまいました。一通り皆様のご意見を伺いましたが、この際、とにかく一言言っておきたいということはございますでしょうか。○○委員。
(委員) 今日配られた意見書に、「球磨川の自然に多大な影響を与えるため、各種世論調査の結果を見ても、住民の大多数はダム建設に反対しています」という記述があるわけですね。こういう川の施策に地元の意見を反映させるということは当然重要なんですが、結論から言うと、地元の意見をどう反映させるかというのは非常に難しいと思っております。どういうことかというと、東海豪雨の後、それから、吉野川の第十堰の周辺で、我々は以前、大規模な聞き取り調査をやったんですが、その結果、実際、東海豪雨の場合でしたら、被災した人と、被災しなかった人で、実に大きな意識の差が出てくるわけですね。実際被災した人は、もう環境より防災だと明確に言われるわけです。それから、吉野川第十堰の周辺の調査だったら、被災の可能性のある地域に住んでいる人と、それから、被災の可能性の全くない地域に住んでいる人、これはまた、大きく意識が違ってきます。こういうふうに、民意に対する見方、とらえ方というのは、非常に難しいわけです。被害を受ける可能性のある住民や、実際に近年被害を受けた住民というのは、流域全体とか、県民全体から見ると、これはごく少数なわけです。ですから、マイナーな意見にどうしてもなってしまうんですが、そのマイナーな意見を、あまり関係のない大多数の意見で圧殺してしまってはならないわけですね。ですから、やはり防災事業というのは、高所大所から、責任のある立場できちんと判断していくことが非常に重要だと考えています。
 ただ、民意も、もちろん大事ですので、こういう防災事業と民意との関係性については、今後もっともっと洗練された、いい関係性というのを研究していかなきゃいけないのかなとは思っていますが、防災事業に対して安易に民意を取り入れるというのは、非常に難しいし危険だなと考えています。
(委員) 1点さらに追加でお願いしたいんですが、実は今回、住民団体の方の大きな論拠は、森林がこういうふうに管理できるはずだという大前提ですけれど、ほんとうにそれができるのかどうか。これはむしろ日本全体で、森林系の管理は、大変問題が起きているわけでありまして、やはり、それが可能なのかどうかという総合バランスもあると思うんですね。ですから、それについては、この地域の森林の所有と管理を含めて、林野庁自体も大変今大きな問題を抱えているわけですので、県有林も大変だと思います。ですから、そこら辺もぜひ、情報としては教えてほしいと。
 以上です。
(委員) ○○委員がおっしゃられましたことについて、私も同感でございます。この意見書に、「住民の大多数はダム建設に反対しています」。この住民というのは、どの辺の住民かわかりませんが、私たち流域の住民の代表で私は来ているつもりでございまして、上流の水上村から、あるいは川辺の、これにはダム建設のことが書いてありますけれども、ダムが建設されようとしている五木村、あるいは相良村、そして、最下流の河口の八代市まで、市長、町長、村長は、全員がダムの建設につきましては賛成をしているということを申し添えさせていただきます。
(委員) ただいまの○○委員のご意見ですけれども、各種世論調査というのは、これはいろいろとこれまでデータも出ておりますので、私も今拝見いたしました。各種世論調査の結果ということで、熊本県の中にありますそういったデータを、この次にお示しをさせていただきたいと思います。マスコミの皆様たちもやっていらっしゃいますので、そういった幾つかの事例を出させていただこうと思います。よろしくお願いいたします。
(委員長) それでは、それぞれ予定があるようでございますので、これで打ち切らせていただきます。
 本日は、球磨川流域の概要、治水・利水・環境の現状や課題、基本高水の算出の仕方まで紹介がありました。
 なお、各委員からご発言があって、また、先ほど○○委員さんからもご紹介ありました国土交通省と住民側専門家により、それぞれ説明責任があるとして、科学的に検証する住民討論集会が開かれたとのことでございます。基本高水や、それに最も大きく影響する森林の保水力の評価について、住民討論集会では最も時間を費やしたと聞いております。9回だったか10回とお聞きしておりますので、これは国交省と県の事務局とで整理していただいて、9回、10回分、全部同じ時間原体験するわけにいきませんので、整理したものをご提出いただき、その内容について、ここで私たちも追体験をさせていただきたいと思います。
 また、本日、議論の中でも、基本高水に関しては、河川工学の専門家からもいろいろ議論が出ました。それらも踏まえまして、次回には、双方の主張と、その根拠となる資料も含めて審議をしていただきたいと思いますので、両事務局で整理した論点を提出して、次回審議をしていただきたいと思います。
 次回は、このような経緯を踏まえて、事務局から紹介していただき、地域における治水の論点を踏まえて、基本高水や、その流量配分について審議をしたいと思いますが、よろしゅうございますか。では、そういうことにさせていただきたいと思います。
 本日配付された資料も含め、お気づきの点がありましたら、次回以降の審議にも反映できるよう、あらかじめ事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。事務局におかれては、本日の議論や、委員からの追加意見を踏まえて、次回審議ができるようにお願いします。
 なお、資料の問題について、複数の委員からご意見ありましたように、少しお手元に早目に届くようにお願いしたいと思います。あまり美学にこだわらなくてもいいですから、審議に耐える資料であれば、できるだけ早く出していただきたいと思います。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員の確認を得た後、発言者の氏名を除いて、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議題は、以上でございます。

3.閉      会

(事務局) 熱心なご討議、ありがとうございました。
 次回の委員会の開催日時につきましては、別途ご連絡をいたしますので、よろしくお願いします。
 お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございますが、郵送をご希望の方には、後日郵送させていただきますので、そのまま置いておいていただければよろしいと思います。
 これで閉会をいたしたいと思います。どうもありがとうございました。
 次回は、5月10日の1時からでございます。会場は、この場でございます。失礼いたしました。





 

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