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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第44回河川整備基本方針検討小委員会

平成18年7月19日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤   徹
委   員   綾  日出教

池 淵 周 一
伊 藤 和 明
岡 本 敬 三
岸 井 隆 幸
小 池 俊 雄
小 松 利 光
坂 本 弘 道
中 川  一
福 岡 捷 二
福 永 浩 介
虫 明 功 臣
潮 谷 義 子


1.開      会

(事務局) それでは、会議に先立ちまして、カメラの撮影はここまでとさせていただきたいと思います。
 ただいまより、第44回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。
 私は本日の進行を務めさせていただきます事務局○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、お手元に配付しております資料のご確認をお願いします。議事次第、名簿、配席図、それから、資料1でございますが、審議の流れ、資料2、市房ダムの洪水調節について、資料3−1、住民討論集会の論点、資料3−2、住民討論集会の「ダム反対側」の説明資料、資料3−3、ダム反対側の基本高水のピーク流量の算出方法について、資料4、基本高水のピーク流量の検討について。それから、追加資料で1枚、A3判で、森林保水機能の説明について、これは目次に入っておりませんが、追加資料でございます。残り、参考資料が1から7までございます。これは、これまでお配りしたものでございます。それから、別添にファイルがございまして、机の上にございますが、これまでの審議に用いた住民討論集会等に関する資料でございます。以上でございます。不備等ございましたら、お申しつけいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、本日はBグループでございます。○○委員、ご欠席されております。
 傍聴の皆様におかれましては、傍聴のみとなっております。議事の進行にご協力願います。
 それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

2.議      事

(委員長)  本日は、委員の皆様には、ご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 まず議事に入る前に、地元の方々から意見書や要望書が来ております。既に配付しているものも含め、この場に用意してありますこの分厚い資料がそのようでございます。各委員におかれましては、意見書の専門的な分野についてはごらんいただいているかと思います。昨日届いたものもありますので、全部はごらんになっていないかもしれませんが、これらの意見を踏まえた上で、ご意見もいただきたいと存じます。
 それでは、議事に入ります。
 前回は、主に基本高水における森林保水力の取り扱い等につきまして審議をいただきました。また、基本高水のピーク流量の検討につきましては、目次のみの概要について、事務局から紹介がありました。今回は、引き続き基本高水のピーク流量の検討についてご審議をいただきたいと思います。
 なお、前回、私のほうから市房ダムの洪水調節について示すようにお願いしておりましたので、最初に市房ダムの洪水調節についても説明をいただき、続けて基本高水のピーク流量の検討についての説明を事務局からお願いいたします。
(事務局)  事務局○○でございます。座って説明をさせていただきます。
 今、委員長のお話でございますが、最初に資料の順番でお話をさせていただきますが、最初に資料1というA4の縦長のものがございます。一応審議の流れというものをお示ししているものでございまして、前回までもここでお話をさせていただいておりますが、大体特徴と課題、それから住民討論集会でのお話、それから森林の保水力のお話までを前回ご審議いただいてございます。森林の保水力につきましては、定説がなく、それに頼ると、大洪水時に流域の安全を損なう可能性があり、現時点ではこの学説は採用しないという委員会の結論もいただいたところでございます。本日は、四角で囲みました基本高水のピーク流量の検討というところでお話をさせていただきます。以下は、今後の大まかな流れでございます。
 では、次に資料2という、A3判の横長のカラーの資料をごらんいただきたいと思います。これは、今お話がございました市房ダムの洪水調節のお話でございます。いろいろご意見をいただいている中に、前回もご紹介がございましたが、球磨川大水害体験者の会の方々から、市房ダムができてから水害が増えたのではないかというようなご指摘もございました。それにつきまして、特に昭和40年7月、46年8月、57年7月の洪水のことを触れておられますが、これらについての事実関係につきまして資料を用意しておりますので、ご説明させていただきます。
 まず、資料2の1枚目は、市房ダムがどういうダムかという概要をまず書いてございます。地図がございます。それから、諸元・目的というのが右にございますが、ちょっとごらんいただきたいのは、この中で洪水調節容量というところが、第1期850万トン、それから第2期1,830万m3というのが、洪水を貯めるための容量として持っているものでございます。1期、2期というのはちょっとわかりづらくて恐縮ですが、真ん中ぐらいに、洪水調節についてというので、ダムの水位の模式図が書いてございます。その下に、ピンクで1期、2期のことを書いてございますが、雨の季節で雨の降り方が違いますので、第1期6/11〜7/21、それから10/1〜10/20、2期のほうは8/1〜9/30というふうになってございます。これを、また上のほうに戻っていただきまして、右のほうに計画高水流量図というのがございますが、市房ダムを見ますと、上流から入りました洪水が、計画では1,300m3/sに対しまして、赤字で書きましたように、650m3/s、マイナスというか、貯留、貯め込みます。下流のほうには、最大で650m3/sを流すという計画でございまして、真ん中の表の下に書いてございますけれども、治水としては、人吉地点で大体400m3/sぐらいを調節する、ピーク時最大でこのぐらいの効果を持たそうというものでございます。
 それから、込み入って恐縮ですが、その下に、先ほどの体験者の会の方等からいただいております疑問の声というものを書かせていただいております。大きくは2つあるかと思います。
 1つは、人吉市内における疑問とありますが、これは、ダムの放流で洪水になりやすくなっていないだろうかということかと思います。1つ目は、市房ダムの異常放流により、急激な水位上昇があったと。これは人吉市の矢黒町というところでありますが、約30分間で1.5m、それから、もうちょっと広い意味での人吉全体を見ますと、30分で一気に2mのところもあったと。それから、市房ダムからの急激な放流が被害を大きくしたのではないか。市房ダム完成前は膝ぐらいまでだった洪水が、完成後いきなり腰より上に水が上がるようになったというようなお話があります。これらは、要は、ダムができた後に、ダムの放流で逆に洪水になりやすくなっていないかというようなお話かと思います。
 もう1つのグループは、市房ダムの操作に関する疑問でございます。市房ダムによる人吉市の水位低減効果は20〜30cm程度しかないのではないか。それから、第一期の洪水調節容量850万m3のうち、約400万m3ぐらいしか貯めておらず、450万m3はまだ余裕を残したまま放流していたのではないか。7月3日の1時から3時の降雨量が一番激しかったときに、満杯になってこれを放流して異常な水位の上昇になったのではないか。それからまた、同じ2時30分ぐらいから云々とございますが、最初は10分間隔で放流量の操作があったのですが、以降4時ごろまでは50分間隔と、少し間隔が延びた形で、これがもう少しきめの細かなことをやっていれば、もっと効果が上げられるのではないかというようなご指摘かとも思います。
 これを頭に入れていただきまして、どういう調節をしているかというのが左下に書いてございます。これは、番号から順番に調節のステップが書いてございまして、図のほうは、横軸が時間で、縦軸がダム地点での流量でございますが、青い太い線が流入量、それから、赤い線がダムから出します量です。ですから、貯留という字が書いてございますけれども、青い線よりも赤い線が下のところでは、その分ダムに貯め込んでいるというものでありますし、逆のところは、入ってくるのよりも少し多く出すというところであります。雨のほうが上の棒グラフでとります。
 1で、最初は流入してきたものをそのまま流します。それはまだ洪水というほどのものではないからでありますが、これが300m3/sぐらいの流入になりますと、入ってきますうちの約3分の2はダムのほうへ貯めまして、3分の1ぐらいを流すというようにして、 2の線を放流いたします。その上のブルーで塗りましたところが貯めていくと。そのうち洪水がピークになりますと、ここが一番たくさん貯め込む必要がある場所でございますが、貯め込んでおりまして、ピークまでになりますと、今度は、放流のほうは計画最大放流量650m3/sとなりますと、これよりはもう上げないで、650m3/sにずっと抑えたまま貯め込んでいく。そのうち洪水がだんだん下がりますが、ダムのほうがもう満杯になりますので、ピークが過ぎました後、今度は 4の線のほうへ参りますけれど、流入しているよりも少し放流のほうを多くいたしまして、次の洪水に備える。これは、流入量300m3/sというところと2段階にしておりますが、こういう操作をしているわけでございます。このブルーの分を貯め込んで、さっきの流入量のピークという、洪水が一番厳しいところを減らしてやろうというものでございます。
 ちなみに、右のほうの棒グラフは、平成17年ぐらいまでの、青と黄色を全部合わせましたのが、ダムのほうへ入ってくる一番大きかった流量です。出している一番大きい流量が青いグラフの分ですので、差分の黄色い部分が、ダムで洪水を貯めた、流量的にこの分をカットしたというものを示させていただいております。
次のページをおめくりいただきまして、先ほどの疑問点というようなお話の関係でございます。右のほうから先にごらんいただきたいと思いますが、右の絵は、昭和40年7月洪水について、同じ右のほうにグラフが4つございますが、これは、一番下の時刻と書きました数字が、全部上の4つのグラフを通して同じ時間に合わせてあります。一番上がそれでダムの貯水位、次のやつがダムから入ってきたりダムから出ていっている量、それから、水位というのは、これは人吉地点の水位、それから、一番下は人吉地点の流量でございます。
 ちょっとごらんいただきますと、一番上で、雨のほうが棒グラフのやつです。雨のほうがたくさん降りまして、水位のほうは少し流出してくる時間がございますので、その青い線のように水位が上がります。先ほどちょっとご指摘ありましたように、赤い薄い線、サーチャージ水位というのがダムの満杯の水位ですから、この洪水のときは、大体真ん中ぐらいまで水位が上がって、まだ上のほうの容量は残っているというような、そんな感じでございます。
 次のグラフが、これがダム地点の流入量と放流量です。赤い線がダムへ入ってきます流量、それに対して、黒い線がダムから出ていく流量でございます。先ほど模式図でごらんいただきましたように、赤い線、ある一定の流量、300m3/sでございますが、このぐらいになりますと、ダムのほうへ貯めまして、赤い線を黒い線のように放流すると、この分の差分をダムで調節して、下流の洪水を防ぐということをしておるわけでございます。
 それから、その次のグラフは、そういうことをしました結果、人吉地点でどうなっているかということですが、これはいろんな洪水のパターンで、後でほかの年のやつも次のページにございますが、この年のものといたしましては、水位で見ると、黒い線が市房ダムがなかった場合、赤い線が市房ダムがあった実績の水位です。赤い線が少しだけ下になってございます。水位でわずかです。流量はもうちょっと大きいかと思いますが、それでございます。
 それで、一番下は、では人吉地点の流量はどこから来たものかと。これは、真ん中上の地図がございますが、青い線でぐっと一筆書きしたもの、それから、赤い線でずっと囲ったもの、黄色い線で囲ったものとかいうのは、流域を切ってございます。その青いというか、紫みたいなところが、右下のグラフでは川辺川流域から入ってきているものです。それから、黄色いものが、市房ダムから人吉までの途中から入ってきているものです。赤いのが、市房ダムから出ていっているものでございます。市房ダムのところで流量は当然調節して減らしているわけでありますが、その他の流域から入ってくるものが非常に大きゅうございます。一番大きいのは川辺川から入ってきているものでございますが、これを合計した形で、例えば、この年は4月3日ごろに人吉地点で最大の5,000m3/sというようなものになってございます。
 先ほどお話の疑問の中に、小まめな操作をすればもうちょっと効果があったのではないかというようなお話がありましたが、このグラフの上から2つ目のグラフをごらんいただきますと、本来は、実はこの青い点々で放流するのが基本ルールでございますが、上のほうにあります棒グラフにありますように、もう雨は大体このときには止んでいるというようなことで、もうこれからさらに洪水が入ってくることはあまりないという判断もありまして、ここは熊本県のほうでされているわけですが、県のほうできめの細かな操作をされて、実際はその青い点々よりは下の黒い線で操作をして、下流の被害をなるべく減らすような操作もされているというような状況でございます。
 総括的に申し上げますと、ダムから入ってきます流量というものが赤い線でございましたので、出している黒い量が放流量でございます。上から2つ目ですが。洪水の主要な部分、下流で洪水が非常に心配されるようなときというのは、ダムに入ってきますよりも、下流へ流すものがいつも小さい、多いことは基本的にないということでございますので、このグラフを見ていただくとわかりますように、ダムがあるがゆえに洪水が増えているというか、下流部が危険になると言っていることは、この40年7月のものでは見受けられません。
 それから、ご指摘の中に、人吉市内で30分程度で一気に2mも上がったというような話がございました。これは、左のほうに、どういうことなんだろうかというので、少し調べてみました。左側の上の地図は、人吉市内です。A地点、B地点とありますが、その下に今のグラフが書いてございます。これは、川の中ではなくて、市街地のほうを見ますと、市街地のほうの水位は、103.5ぐらいのところに地盤があるわけです。このところに緑の線が来るのは、これが川のほうの水位です。途中までは当然川の堤防とかで守られてございますので、周りの土地はその地盤の高さそのもので、何も水がついておりませんでしたのですが、当然、川があふれ始めますと、急に水位が上がります。この部分が、ちょっと見ますと、A地点では大体30分で1.29mとか、B地点では30分で2m。これが実際の市街地でお住みになっている方の体験している水位の上昇かと思いますので、この辺のお話かと思っております。いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、入ってくる量よりも、ダムから多く出しているということはございませんし、それから、水位の上昇は下2段目ぐらいに書いてございますけれど、1時間に水位だけでは大体80cmぐらいです、川の中の。そういう状況が見て取れます。
 次のページでございますが、これはほかの46年8月とか57年7月の洪水ではどうだっただろうかというのを、同じようにしたものです。時間の関係で細かいご説明はしませんが、上から2段目のグラフを見ていただきますと、赤い線が洪水の入ってくるもので、ダムから出しているのは、その黒い線まで下げている。これが、3段目のグラフで見ますと、黒い線よりも、実際ダムで調節した分、赤い線になっております。また、右のほうも同じようにごらんいただきますと、ダムのところで赤い線、それから、ダムから出ますのが黒い線、この分、差分を、矢印で書きましたところで洪水を調節しているわけです。その結果、人吉地点では、水位でも大分下がっていると。これは、先ほどの40年7月ではごくわずかですが、洪水のパターンによっては、こういうふうにかなり下げるような効果も出ております。それから、ダムの洪水というのはいろんなパターンがございますので、いろんなものに対応できるようにというようなことから、先ほどの40年のほうでは、ダムの容量は半分ぐらいの水位までしか取りませんでしたが、この46年とか57年のものは、特に46年のなんかのは、最大水位まで水位が上がっているのが、左側上のグラフで見てとれます。そういうふうなことで、一部ダムが満杯近くの操作をしておりますが、これも流入量=放流量ということで、そのことが下流へ悪さをするようなことはなかったのではないかと思います。
 次に、続けてご説明させていただきます。基本高水流量のお話をさせていただきますが、若干前々回と重なる部分はございますが、資料3−1、それから資料3−2というのをご用意させていただいています。これは、川辺川ダムを考える住民討論集会の中で、主要な課題としまして、基本高水流量がご議論されていますので、若干前々回と繰り返しの部分もございますが、さっとだけおさらいをさせていただきますと、資料3−1というのを1枚お開きいただきたいと思います。
 これは、熊本県のほうでダム反対側、国土交通省推進・容認側という全体を総括的におまとめになったものであります。下に1ページと書きましたところの下に、3番、基本高水流量というのがございます。80年に一度の洪水でございますが、ダム反対側でのお話は、川辺川研究会とか国土問題研究会とか、いろんなところで検討の経緯がございます。7,000m3/sとか、6,000m3/sとか、5,300m3/s、6,350m3/s等ございますが、結果としては、平成15年6月30日の川辺川ダムの体系的代替案というところで、5,500m3/sという案を示されています。また、下流の八代市内では、同様の15年6月30日の代替案の中で、毎秒7,800m3/sというものを示されてございます。これに対して、国土交通省の現在の計画の案としまして、人吉地点7,000m3/s、それから八代地点9,000m3/sというのが示されてございます。
 これは、恐縮ですが、もう一方の資料3−2をお開きいただきたいと思いますが、これはダム反対側のところでの、先ほどの数字の考え方を示してございます。1枚おめくりいただきまして、右下に1ページと書きましたもので、基本高水流量についての算出方法でございます。これは前々回も詳しい資料をお示ししましたし、きょうも机の上に別途ございますが、2番の計算手順というのがございます。(1)で、森林の成長と人工林化による山の保水力の変化の把握というのを最初のステップで取り扱ってございます。流れとしては、「具体的には」という、その下から 1があります。1995年7月の、現在の森林状態での洪水を取り上げまして、これは前回もご説明申し上げましたが、タンクモデルという手法で、タンクモデルの係数を定めております。次に、1995年洪水に適合するタンクモデルを使いまして、1995年7月以外の過去の10洪水についての洪水流量を計算しております。これは、恐縮ですが、少し後ろの10ページからごらんいただきますと、10ページには図1というのがございます。これは、先ほどのタンクモデルを、1995年の洪水をもとにいたしまして検証されているものです。実際のものとタンクモデルでの計算流量とをあわせて図1で係数を算出されています。これをもとに、図2、その次の図3とございますように、これはほかの洪水もしてございますが、代表例ではここに示されておりますけれども、そういうモデルで、1972年の洪水、1954年8月の洪水というのを流してみております。
 これをやりまして、結果として、13ページの図4がございます。図4は、これが基本的な図でございますので、ごらんいただきたいと思いますが、これは1995年のときの森林の状態を1.0といいますか、基本にいたしまして、このときつくったタンクモデルで、実際過去の1955年とか1965年とかのときの洪水の解析を雨からしています。そうしますと、実際起きましたものと計算で出しましたものが少しずれてまいります。例えば、1955年のところでは0.8の前後にございますが、これは計算したものに対します実績のものです。ですから、計算しましたのよりも実績のものが8割ぐらい、2割ぐらい少ないというものであります。逆に、1965年とか70年ぐらいのところは大きゅうございまして、これはどういうことかというと、森林の状態が1955年ぐらいはよかったので、現在の森林の状態で計算したタンクモデルよりは8割ぐらい、要は2割ぐらい少ない洪水しか出てこない。逆に、森林の状況がよくないと、例えば、1965年、70年ぐらいのところは、森林があまり水を貯めずに流れたので、実績のほうは計算よりも大きくなっているというカーブをおつくりになったものでございます。
 お戻りいただきまして、先ほどの2ページをごらんいただきたいと思います。これが、実は今2ページの上のほうの 34だとかに書かれたものでございます。それから、そのときの森林状態は14ページ以降に示されてございます。図5、6、7に森林の状態が掲載されていて、 5ぐらいのところでございます。
結論を見ると、 6のところに書いてございますが、今のようなことからしますと、例えば、1955年以前の森林状態に再現すれば、先ほどのような0.8とか1.2という数字を、そういう0.幾つという1よりも小さいものにできるのではないか。そういうふうにすれば、現状よりも人工林の間伐により、針広混交林化を進めれば、森林のほうは余計に水がうまく貯まって、洪水を例えば8割ぐらいに下げたりとかできるのではないかというようなことが、まずここまでの基本ストーリーでございます。
 その下の(2)は、それをもって今度は基本高水流量を算定していくわけですが、基本高水流量につきまして、流量確率と雨量確率というのがございますが、ここでの判断は、流量確率を選択すべきではないかということであります。雨量確率手法は、ここに書かれているそのものを見ますと、また計算者の判断要素が入るというような問題もあるというようなご指摘もありますが、ここではそういう流量確率で出そうと。
次に、右のほうへ行きまして、(3)で人工林間伐による針広混交林化を考慮した毎年の洪水流量の補正というものをされてございます。これは、出してきました流量を、先ほどの係数を掛けまして、実際に針広混交林化したら0.何倍になるというような数字をお書きになったものでございます。これをもとに、流量確率で確率計算をいたしますが、(3)の下のところには、若干データがはっきりしておりません1955年以前につきましては、1955年が0.8ぐらいでございましたが、若干安全を見て0.9としておりますというような記述もございます。
 (4)で、そういうふうに各洪水を、少し森林の状況を付したもので補正をかけまして流量確率を出してみますと、その結果と書いてございますが、人吉地点は5,300m3/s、横石地点、これは八代のほうでありますが、7,500m3/sとなりましたと。これを若干の余裕を加えて、人吉地点5,500m3/s、横石地点7,800m3/sとお出しになっているものでございます。
 これを、資料の横長のカラーのやつで、左側に資料3−3と書きましたものに、今申し上げましたものを少し体系的に整理させていただいています。ダム反対側の基本高水のピーク流量の算出方法ですが、左上にございます 1の年最大ピーク流量というのを出しまして、 2の実際の森林の状態、現在のタンクモデルから昔のときはどのぐらい森林は貯めていただろうかというのを計算されまして、それをもとに 3の年最大ピーク流量というものを出すようにされています。 3は1955年以前のものです。これらもあわせまして、1955年のものは 3、それから、それ以外のものは、先ほどの補正をかけまして、 4で出てきました流量を1/80の洪水のピーク流量というのを流量確率手法で出していると。人吉地点5,300m3/s、横石地点7,500m3/s。ただ、若干の余裕を見て、基本高水としては 5のようにしてはどうかというような提案であります。
 前回の繰り返しになりますが、一番下に、ただ、この解析に当たりましては、上記 2の解析、右上の特にグラフでありますが、ここで出しましたタンクモデル、通常10洪水ぐらいの洪水で検証を行う必要がございますのが、一応1995年1洪水の検証でございまして、他の洪水でやった場合には合わない場合がございます。それから、 2の検討には、最近のもの、2000年以降の16年とか17年の洪水なんかを入れますと、右上のようなグラフにはならないのではないかということが、相関係数等でもわかります。そういうこともありまして、本検討の中では、一番下に書かせていただいておりますが、基本高水のピーク流量の検討に当たりましては、通常用いている貯留関数法により、最近のデータも含めて多数の洪水によって検証し、実施するというのを事務局としては考えてございます。
 それが、次の資料4というものでございます。資料4のほうは、基本高水のピーク流量の検討についてと一番上のタイトルで書いてあるものでございまして、時間がかかると思いますので、なるべく簡潔にと思いますが、一番最初にステップといいますか、基本的な考え方です。基本高水のピーク流量の考え方として、 1でございますが、基本高水のピーク流量の決定というのは、これは一般的な話でございますが、a、b、cと書きました。全国的な安全度バランスを踏まえた目標となる確率規模の降雨量から流出計算で算出される流量というものを雨量確率手法で出してございます。それから、これは全国的な安全度バランスの確率で見たもの、bは、実際におきました最大規模の洪水の流量、それから、cは、周辺状況や被害発生形態などというので、これを踏まえて決定を全国でしてございます。
 確率規模の決定につきましては、雨量確率手法のほか、流量確率手法というものもございますが、実際、各区間の洪水の流量が流量確率手法では算定できませんのでということと、それから、一般的には流量確率に用いますデータは雨量データほどはそろっておりません。蓄積はされておりませんので、雨量確率手法を用いるというのが一般的でございまして、先ほどの確率規模の決定にはそれが必要不可欠になってございます。
 それから、流量確率手法につきましては、ただ、きちんとそういうもので見た場合どうかというので、検証を行うということをしています。その他、例えば、実績の流域の湿潤状態と実績の降雨を重ね合わせたときはどうかとか、起こり得る状況としてどういうものが起こり得るだろうかというようなことの検討をしたりしております。
 2では、一般的な基本高水の見直しの考え方というのを述べておりますが、現在1/80の確率で人吉地点何m3/s、下のほう何m3/sになっておりますが、最近どんなときにどういうふうに見直しをしているかというようなことであります。最近のデータまで含めた治水計画とすべきということがございますが、変動する毎年のデータを用いて頻繁に見直すというようなことは、長期的な観点で整備する治水計画の目標としては適切ではないのではないかということで、一般的には、以下のような場合に見直しを行っております。
 最近の洪水流量の検証から見直す必要があるもの。例えば、もう明らかに超えて大きな洪水が流れてきてというような最近の洪水の流量の状況がございます。それから、もう1つ、計画策定以降に観測された洪水流量がこれまでの計画を上回っているなどの場合などに見直しを行ってございます。
 それから、右の 3でございますが、球磨川における治水計画の検討というのをどのようにしていくかということでございますが、1番、最近の雨量、流量データまで含めた検討を実施していっております。昔のデータだけでなくて、最近のデータまで入れていると。それから、もう1つは、当時、工事実施基本計画をつくりましたときは単位図法というものを用いておりましたが、他水系で近年一般的に用いられている貯留関数法によって流量を算出してきております。2番目、最近までの流量データを含めて流量の確率で先ほど言いました検証評価をしてみよう。それから湿潤状態等の検証をしてみよう。それから、最近の洪水や降雨の発生状況、こういうものを踏まえて、基本高水のピーク流量を決定するということにしてございます。
 下のほうは、これまでの雨量、それから流量の状況を載せさせていただいてございます。
 次、1枚おめくりいただきまして、これまでも委員会からもご質問もございましたが、雨の降り方で洪水の流量というのは非常に大きく変わります。これが実際の基本高水のピーク流量の検討の中でも重要なものでございますし、先ほど申し上げましたご質問もございましたので、載せております。特に、平成17年、台風14号では、計画の雨量が、ここは2日で440mmなんですが、460mmも降ったにもかかわらず、流量が少なかった。これはどういうことが起こっているのかということがございました。計画流量7,000m3/sに対して、4,600m3/sの流量でございました。これは、下のほうにまず4つの洪水を載せてございます。雨の降り方の分布が、それぞれいろんな降り方をいたします。それから地域的な分布、それからその次のグラフには時間的な分布がございます。結果、出てきた流量が一番下のものでございます。
 これを表にいたしましたのが右上です。代表的なものを幾つか並べてございますけれども、ぱっと見ていただきますと、流域の平均の2日雨量というのは355とか400とかになります。平成17年9月は460mmということで、計画の440よりもさらに大きいぐらいです。流量はどうだったかというのは、その次です。時間ごとの雨が書いてあります。ごらんいただきたいのは、右側に前期雨量というのがあります。雨が降りまして洪水が出ます場合、山でございますとか、森林であるとか、畑であるとか、市街地もそうでありますが、前期、それまで降っておりまして、十分湿潤状態といいますか、水が湿って飽和している状態かどうかで、大きく洪水の出方は違います。これは球磨川だけではございませんで、平成17年9月をごらんいただきますと、極端にその前までの10日間ではわずか26mmしか降っていないという状況です。この時期、結構だらだら雨が降りますが、その他のところでは380mmとか400mmとかいうもので、計画も380mmを使ってございます。 ということで、例えば平均雨量のところで、一番上の40年7月も、355mmが2日で降ったにもかかわらず、5,700m3/sとか、5,000m3/sという数字が出ておりますが、平成17年では、460mmが降っても、それらよりも1,000m3/s以上小さいものが出るというのが実態でございます。
 これは、原因だけ簡単に申し上げますと、下の雨の降り方も違うのでありますが、1つの原因としては、今、下のほうのグラフで、雨が降っているところに と書いたりしておりますけれども、やはり少しまとまって短期間にどんと降るかどうかということが結構効いているようでございまして、例えば、40年7月のところには、 と書きましたところに集中をしたり、57年度もそういうところです。ところが、17年9月の洪水を見ますと、結構全体的にだらだらとしておりますので、短時間で降る雨のほうは結構少なかったりしております。特にこの流域の大きさから来ると、12時間ぐらいに非常に集中してくるかどうかが洪水の量に効いているというのが見てとれます。
 次のページでございますが、基本高水のピーク流量の検討についての、これはステップを踏んでございます。まず、計画基準地点というのをどう考えるかというのが1つの基本的な問題としてございます。球磨川はどういう流域の状況かと言いますと、下流部の八代、それから上流部といいますか、中流部といいますか、そういうところの人吉盆地のところに人口・資産が集積してございます。上流の人吉から下流の八代間は、大きい支川がなく、2地点の流量には強い相関関係がございます。というのは、下流と上流で洪水の流量の出方が違うと、それぞれで考えないといけないんですが、下のグラフにございますように、大体上流で出るときは下流で出る、出ないときは出ないというようなきれいな相関が出ておりますので、こういう意味からすると、1点の基準地点で考えればいいのではないだろうかということ。それから、洪水は上流から下流へ流下することから、上流側で設定をすべきもの。これは、例えば、利根川という川がございますが、利根川は千葉県の銚子まで流れてございますが、基準点は群馬県と埼玉県の間の八斗島というところで見ている、そういうものだったりしているわけであります。工事実施基本計画では、直轄区間が中抜けしていたという、この場合は、人吉盆地と八代の間、しばらく直轄区間ではございませんでした。別々に治水計画が立てられた経緯みたいなものがございますので、基準地点を2地点としていたことかと思いますが、こういうようなことを考えますと、全国一般的な通例からすると、基準地点は人吉の1地点とするのが一般的ではないかと思われます。
それから、次、3番でございますが、雨量確率手法による基本高水のピーク流量の検討を、(1)、(2)と、ステップを踏んで、次のページ以降も書かせていただいております。先ほど申し上げましたように、最近のデータまで使って、かつ貯留関数でやるという手法です。(1)は、確率に対応した降雨量をまずは考えないといけません。どんな降雨量を考えるべきかというのを決めないといけないわけでありますが、これは、現行の計画策定時はあんまり時間降雨のデータがございませんでしたので、2日雨量というものを用いておりましたが、近年、時間降雨のデータがわかっております。毎日1日ではどれだけではなくて、時間ごとのデータがありますので、洪水のピーク流量に最も影響を与える降雨の継続時間、これを降雨継続時間と称しておりますが、それを設定しております。この人吉市の場合は、下のグラフにもありますが、大体12時間ぐらいの降雨が強いかどうかで、下流のピーク流量が大きく変動する、先ほど雨の降り方のところもごらんいただきましたように、そういう傾向がございます。相関係数も、下のグラフで見ますと、12時間ぐらいが一番高いというものでございます。ということから、12時間で見てございます。また、洪水到達時間というのは、雨滴が上のほうで降りましたのを、実際下流へ到達する、人吉市まで到達するのにはどれぐらいだろうか、横石まで到達するのは何時間だろうかと見ますと、それは8時間、12時間というので、大体12時間というのが、実際雨が降りまして流量に出てくるところとして見る分にはいいのではないかというものであります。
 こういうものを用いまして、12時間の雨量がどのような確率のときに何mmだろうかというのを見ますと、右下のグラフがございます。たくさんの確率分布の手法がございますが、この中で妥当性の高いものだけを見ますと、その中で、例えば1/80というのは、下のグラフの絵の中に、251mmから273mmとあります。平均値で見ますと、262mmでございます。同じように、1/100だと268mm、1/150だと279mmです。
 真ん中下の表は、今の表になってございます。1/80、1/100、1/150のいろんな確率手法でやってございますが、一番下にSLSCというのがあります。これは普通0.04以下ぐらいであればということでありますが、一応その0.04を超えるものを除きますと、結果としては残ったものは0.03よりも小さいものばかりでございますが、これらの手法の平均を申し上げたのが、先ほどの右のグラフでございます。
 次に、1枚おめくりいただきまして、基本高水のピーク流量の検討の続きでございますが、今出ましたのは、例えば80年に1回の雨ではどのぐらいだろうか、100年に1回の雨ではどのぐらいかというのを出しております。これを、(2)のところでございますが、だらだら書いてございますけれども、先ほど絵で見ていただきましたように、雨の降り方にはいろんな時間的な分布、それから空間的な分布がございますので、実際起きました主要な、ここでは右の10洪水について、今の雨量まで引き伸ばしをしてございます。もし1/100ぐらいの雨だったら、1/80ぐらいの雨だったらと。しかし、分布は、実際の各年のパターンを使っております。それが右の結果で出ておりますが、ただ、※で書きましたように、40年7月のものと47年6月のものは、こういうふうに雨を少し引き伸ばすと、すごく局所的にはといいますか、部分部分ではあり得ないぐらいの、めったに起きないような雨が出てきてしまいますので、そういうものを除きますと、※以外のもので検討を入れております。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、実績降雨量という欄に203とか185とありますが、これを、例えば、1/80だったら262mmまで伸ばすと、引き伸ばし率は1.287と、それから、1/100の268まで伸ばすと、1.317倍すればいいというようなことを書いたものでございまして、こういうふうに、全部そのときの降雨を1/80の262mmとか、1/100の268mmまで伸ばしますと、結果がどうかと。それで40年7月とか47年6月のものでは、全体ではいいんですが、局所的な流域では非常におかしい値が出るので、対象外にしております。
 これをしましたものを、(3)で流出計算モデルの設定ということであります。これは前回お話申し上げました貯留関数モデルを使って定数を決定しております。これは、その右側にグラフが8洪水とあって、次のページまで続いておりますが、実際起きましたものが小さい丸の点々です。それから、計算が緑の線でございます。これはたくさんやっておりますのは、結局、実際降りました雨が森林だとかに貯められまして、実際川に出てきますものは、こういう森林の効果も含めて下流の洪水として出てくるものはどのぐらいかと見るのは、こういうものできちんと検証されているかどうかが命といいますか、そこへ全部頼っているわけでございます。ある種、今の森林の効果もここに全部見込まれているわけでございますので、丁寧に全部やっております。40年7月、46年8月、47年7月、54年7月、それから、次のページは、57年7月のもの、平成5年のもの、平成7年、平成9年と、こういうもので相当な適合度が高いものでございますけれども、出しました定数を計算に使用しております。
 ちなみに、最近、16年、17年にいろいろ洪水が起きておりますので、それでも検証してみましたものが、5ページの右側の3つでございまして、この場合でも非常に適合度がいいというものであります。あまり土地利用全体の状況は変わっていないというのも、この1つの原因かと思います。
 それをもちまして、6ページでございますが、基本高水のピーク流量の検討を、流量を出してございます。左側に流れがございますが、先ほど出しました計画の雨を出しまして、それで幾つかの洪水のパターンを選定いたします。それから、モデルは貯留関数を使いますが、定数は過去のもので検証したと。そういうモデルとか材料がそろいますと、実際そういう雨を流しまして、どのぐらいの流量になるかとしましたものが、この左側のものでございまして、上のほうの降雨のパターン、それから、上の空間的な分布、地域分布、それから、時間的な分布が真ん中のグラフです。結果、出ましたものが、下の流量でございます。真ん中の黒い棒グラフは2つございますが、上の欄は実績です。これを、先ほど引き伸ばしと言いましたように、1/80だったら12時間のところはこのぐらいの雨になるはずだからとか、100年に1回だったらこのように雨が降るはずだからと伸ばしたものが、薄いブルーで書きましたものでございます。それは全部伸ばしますと、すごい巨大な洪水になってしまいますので、先ほどの12時間分だけを引き伸ばして出したものでございます。
 結果としては、これらを表にいたしましたのが、右側でございます。流出計算結果、これは80年に1回の洪水、100年に1回の洪水、2種類出してございますが、先ほどの40年7月だとか47年6月のように、全体としてはよさそうなんですが、個別の流域を見ると異常な値が出るようなもの以外を見ますと、一番大きいのは昭和47年7月の洪水のパターンでございまして、1/80のとき6,997、1/100のとき7,201m3/sというのが計算されます。右上のほうは、計画に用いましたRsaとf1というものの定数を示させていただいてございます。
 最後のほうになりますが、基本高水のピーク流量につきまして、あとは、今出ました流量約7,000m3/sとか7,200m3/sというものは、流量確率ではどうだろうかとシミュレーションしましたのが、7ページです。左側のほうは拡大図で出ておりますが、いろんな手法をこれもしております。いろんな手法をしたものから、適合度の悪いものだけ取りますと、それが1/80だと、例えば6,001m3/sから7,159m3/s、1/100だと、6,211m3/sから7,523m3/sぐらいになります。ということで、先ほどの7,000m3/sとか7,200m3/sンというのは、この範囲の妥当なレベルではないかと思われます。
 ちなみに、左下には、先ほど適合度が悪いと申し上げましたが、SLSCというのがあります。各いろんな確率手法で0.04を超えたものを棄却しております。ちなみに、0.03を超えるものも、結果的にはなかったというものでございます。
 右のほうは、流域がすごく湿っていたときに、たくさんの雨が降った場合、これは先ほど平成17年のやつなんかでも見ていただきましたように、もともと湿っているか湿っていないかで、すごく洪水の出方が違いますので、実際起きております湿潤状態と実際降りました雨とを、そういうことは両方起こり得るものでございますので、重ね合わせてみますと、一番雨が降っているのは、例えば、逆算Rsaというところが小さいほうがよく湿っているといいますか、湿潤状態のものでございます。一番小さい47年6月のもので、各洪水・降雨を入れてみますと、40年7月のところで6,694m3/sぐらいが出てきます。
 それから、最後でございますが、基本高水の設定について、計画規模より基本高水流量の設定ということで、今ずっと1/80というものと1/100というものを両方併記させていただきました。ここは幾つかの考え方があるので、両方お示しさせていただいたわけでありますが、上のほうの文章で書かせていただいてございますが、これまで策定した河川整備基本方針の計画規模というのは、1/100より小さいものは、こういう一級水系のものとしてはございません。それから、現行の工事実施基本計画における計画規模は1/80でございますが、想定氾濫区域内人口とか、資産、それから流域面積において、これまで河川整備基本方針を策定した他の水系と比較して、著しくバランスを崩すものではない。これは、左下のグラフを見ていただきますと、グリーンのものが今1/200ぐらいのものがあります。利根川とか、そういうものでございます。それから、青いものが1/150で設定したもの。石狩川だとか阿武隈川とか、相当大きな川でございますけれども。それから、黄色いものが1/100というので、天竜川とか、沙流川、留萌川とか、そういうものがございます。球磨川は、一番右にあわせて書いていただいておりますが、上の流域面積から見ると、このぐらいの位置にあります。
 それから、氾濫した場合の守るべき人口でございますが、想定氾濫区域内人口のところを見ますと、大体一番右のような位置に存在しております。ですので、1/100であってもおかしくないところでございますが、1/80であると著しくバランスを崩しているか、逆転するぐらい崩しているかというものではないかなというものでございます。
 それから、また上のほうの文字でございますが、3つ目、これまでの基本方針策定におきましては、基本高水につきましては、計画を超える洪水とか計画に相当するような洪水がたびたび起こるというので、それより大きいものがすぐにでも起こりそうだというような場合には、計画の規模を含め変更しておりますが、そういうものも球磨川では発生はしてございませんので、結論として、私ども事務局としては、現在の1/80、7,000m3/sでございますが、全部1/80というので考えてはどうかというように思っております。結果的に言うと、人吉地点1点で、1/80で、結果の流量としては7,000m3/sというもので妥当ではないかと思ってございます。
 以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの一括の説明につきまして、ご議論をお願いいたします。まず最初に、○○委員のほうからお願いいたします。
(委員)  ただいまの事務局○○さんからの説明に対しては、特に質問等はありません。
ただ、2点についてちょっとお話したいと思います。というのは、市房ダム、これは、今県管理でやられているわけです。治水能力は小さいダムですが、私はそれなりに頑張っているというふうに考えています。ただ、計画されている川辺川ダムの5分の1から6分の1程度になるんですか、その程度の治水能力しかないということで、市房ダムは川辺川ダムのミニチュア版とも言えるかなと思います。県は荒瀬ダムの撤去を表明しているわけですが、荒瀬ダムは治水能力がないので参考にはならないわけですけれども、今回、市房ダムのことが出てきましたので、○○委員にぜひご意見をお聞きしたいと思っています。県として、現在の小さいながらも治水能力を持つ市房ダムをどう評価、総括されているのか、今後我々も参考にしたいので、ぜひご意見をお聞きしたいと思います。
 それから、もう1点なんですが、最近地球温暖化ということで、ある人に言わせると、これは温暖化ではなくて高温化だと。温暖化というのは非常に暖かいイメージがあるんだけど、そうじゃなくて、非常にこれは厳しい高温化、地球高温化なんだと言われています。今も梅雨前線等で、福井など多くのところが洪水の危機に瀕しているわけなんです。災害外力が間違いなく上がってきていると思います。時間雨量50mmなんていうのはもうざらで、時間雨量100mmなんて雨も、最近頻繁に降ってきているわけですね。私は、将来もっともっと災害外力は上がってくると思います。そうなると1/80の安全度が、将来1/80でなくなるわけですね。そうなると日本国中の多くの防災施設がもたなくなって、将来国交省に防災安全度をもっと上げてくれるよう、多分、陳情が相次ぐようになるのではないかなと思っています。そのときは、本当にそれを手当てできるだけの財力が我が国にあるのだろうか。また、もしそれができたとしても、治水施設を整備するには時間がかかります。間に合わなくなる可能性が多分にあるわけですね。地球温暖化などがなくて、地球高温化などがなくて、従来の災害外力のままだったら、基本高水を下げろとか、もっと森林の保水能力を評価しろとかいうような議論もある程度意味があると思うんですが、現在のような状況で、地域住民の生命財産を守るべき首長さんの立場で、○○委員、1/80の安全度とか、基本高水の決め方について、どうお考えなのか。その辺お聞かせくだされば、この委員会としても、また私自身としても非常に参考になると思うんですが、いかがでしょうか。
(委員長)  直接のご答弁はまた後ほどお願いして、その前にほかの委員からもお聞きしたいと思いますが、第1点については、後でコメントいただきたいと思います。
 地球温暖化についてどうしていくかとなると、これは国の財政から国政全般の話になってきますので、ちょっとこの委員会では手に余ると思います。一応温暖化と言われている課題については、本来疑わしきは安全だというのが基本として前にも議論は出ましたけども、今回はその問題は、一応そこまでは踏み込まないということで議論してまいりたいと思います。
 それでは、○○委員のほうからご意見ありましたらお願いします。
(委員)  今、委員長おっしゃった、現状の中で物事を考えていきたいと。きょうの基本高水のご説明と、それから、これまで住民討論会等でいろんな論点があったと思います。私なりにちょっと整理させていただいて、各挙げられてきたポイントについて意見を述べたいと思います。私なりに総括しますと5点あるかと思いますので、順を追ってご説明いたします。
 まず第1点目は、森林の保水力を基本高水の考え方に入れるかどうか。これは前回のこの小委員会で結論が出ていると了解しておりますので、これは現段階では考慮しないことを確認されたというふうに思います。
 第2点目は、確率に関することでございます。今も委員長、あるいは○○委員からもお話がありましたが、確率というのは、自然現象の中で、そのメカニズムがはっきり理解できて、そして、きちっと予測できるというものがない現象のときに、私どもはその自然のばらつきぐあいを見て、計画にそれを反映するということにしております。ですから、温暖化によってそのばらつきぐあいが今度変わってきますと、これは計画論そのものが変わるということになりますので、先ほど委員長がおっしゃったように、きょうの議論のベースが外れてくることになりますので、現段階では、現在ある確率が今後も続くという仮定のもとに議論を進めるべきだと思います。実際は違うと思いますが、それは後の議論に任せたいと思います。
 その上で、雨量を使うか、流量を使うか、ここが1つの争点になっております。ご承知のとおり、流量にはさまざまな影響が含まれます。人為的な影響が含まれます。この中で、住民の方々のほうから出されてきたタンクモデルも、実はそれを表そうとしているわけですね。その人為的な影響のあるものを確率でとらえるかどうかということが論点で、基本的にはとらえない。そのために、それをモデルで修正した流量を使って、これが自然の現象を再現したものとして確率的に扱うというのは、流量確率の、このご提案になっている考え方だと思います。
 そのときに必要になってくるのは、本当にそれが自然現象であるということを正確に見積もれるか見積もれないかということになるわけで、私は、これは前回の森林の保水力の議論の中でも申しましたが、現段階では、現在の科学では、それを正確に見積もることはできないというふうに思います。したがって、今般のこの検討において、流量をそういう形で修正したということを踏まえても、流量を使って確率の判断をするということはいかがかと思います。したがって、雨量を使うということが妥当であろうと思います。今のが第2点目でございます。
 3点目は、そういう雨量を使って洪水流量を出す流出解析という手法についてでございます。国交省では貯留関数法、それから、先ほども言いました流域住民の方々からご提案があったのはタンクモデルという手法についてでございますが、これの一番の問題は何かと言いますと、雨の降り方が時間的にも空間的にもばらばらしているということでございます。特に空間的にばらばらしているものをどういうふうに、流域全体のばらばら降っているところが違う、しかもそれが時間的に変化することをどういうふうに表すかと言いますと、これは流域を分割して、それぞれの雨の分布に対応した流出を足し合わせていくというようなやり方をせざるを得ません。
 この点において考えますと、一番現在の科学で進んでおりますのは分布型流出モデルというのがございますが、この観点に沿って見ますと、タンクモデルで計算されているのはいかがなものかと思います。流域を1つのお盆のように見立てて流出を計算していますので、実は雨の降り方によって流出形態は非常に大きく変わってきますので、これはいかがかと思います。実は貯留関数も同じ特質を持っているのですが、この貯留関数の計算にあたっては、流域を分割して計算されておられますので、雨が山のほうに降ったか、平野のほうに降ったか、そういうような違いは一応は出ております。ということで、現段階でこれを判断するとしたら、貯留関数法で、しかも、いろいろな洪水で検証されたパラメータといいますか、係数を使ったものというのが妥当であろうと思います。3点目は、今申し上げた流出解析法の選択に関することでございます。
 4点目、これは今回だけでなく、こういう基本高水を算定するときにしばしば議論の的になります引き伸ばしという手法でございます。これは、私どもというか、私自身がそうですが、こういう水の循環を扱う水文学といいますが、これを研究する者にとっては永年の課題でございまして、これをいかに科学的に合理的に算出するかということにずっと腐心しております。ところが、非常に申しわけないんですが、なかなか答えが見つからない。台風とか、梅雨前線とか、あるいは雷性の雨とか、そういうものによって、このパターンが全然違ってきます。そういう降雨原因別にそれを解析するというような研究も行われておりますし、また、つい最近でございますが、ここ一、二年、これを統計的・確率的に、非常に高度な手法ですが、雨の降り方を分解して、これをさらに組み合わせるといった方法が学会の中では提案されてきて、検討の道がちょっと開けたなと、私自身は研究者として思っております。しかし、これを実務に適用するまでには、まだ学問が成熟しておりません。それは私どもの怠慢と言えばそうでございますが、これは非常に重要なことですが、科学的にはまだいい方法、胸を張ってこれなら大丈夫ですという方法がお示しできていないのが現状でございます。
 その中にあって、現在使われている、ある降雨継続時間、今回の場合は12時間でございますが、12時間という時間を設定して、あまりにも、例えば、それが1時間で降るような雨だと、もう非現実的な雨になるわけですが、そういうものを除いたという形で算定されているということにつきましては、現在のそういう科学的な状況を踏まえますと、一定の合理性があると私は考えております。こういうことをやらない限り、いわゆる確率的手法を使って流出につなげるということができないからでございます。今のが、引き伸ばし率に対する私の考え方でございます。
 5点目、計画地点でございます。先ほど事務局○○さんのほうからお話のあった点も1つの論点であると思いますが、私はやはりこういう流出で洪水が生じる、豪雨によって洪水が生じるというときの1つの計画、基準点の計画地点の考え方は、やはりどこであふれるかということだと思います。この球磨川の場合には、人吉市の下流に渓谷、狭窄部と言いますが、谷が迫っていて、そして、それが長く続く場所がございます。その上に、上流側に人吉盆地が位置するわけで、山で降った雨が人吉盆地に流れ込みますが、出口が狭まっている。幾ら吐こうと思っても、狭まった出口のところがある。そこに非常に多くの人がお住まいになっているということを考えますと、洪水の氾濫という観点からも、社会的意義という観点からも、この人吉が重要地点であるというふうに私は考えます。そういう観点から計画地点を人吉市に置くということは、非常に合理的であろうと思います。
 以上5点申しましたが、科学的に私ども――私どもと言うとちょっとあれですが、科学的にすべてが理解されていて、十分に証明できているわけではございませんが、現段階で判断いたしますと、森林の保水力は考慮せず、雨量の確率を使って、貯留関数法、複数の洪水で検証された係数を使って、それから、引き伸ばし率を使い、計画地点・人吉ということで基本高水を定めるということは妥当であるというふうに考えております。
 2点、ちょっとつけ加えたいことがございます。
ダム操作について、一番最初に資料2でご紹介いただきました市房ダムの件ですが、先ほど○○委員からもお話がありましたが、私、これを見ておりまして、こういうのをただし書き操作と言います。実際の操作に対して、状況を判断しながら、ダム管理者が実際規定される操作でない操作をやるということでございますが、この県管理の市房ダムは非常にうまい操作をよくやっておられるなと思います。なかなか規定があって、水をそのまま流すのが本当は楽なんですが、状況を判断して、雨が降らないなと思ったら放流をちょっと下げるとか、そういうようなことをやるということは、非常にいい操作をやっておられるので、県管理のダムでなかなかうまい操作をやっておられるというふうに私は見ます。
 それから、2つ目でございますが、雨の降り方と流出ということに関しての資料がございました。これは、皆さん感覚的にはおわかりになれるかどうかということで、ちょっと専門家として簡単にご説明しますが、雨が降るというのは、四六時中強い雨が降っているわけではないんです。強い雨が降っている時間というのは限られております。夕立なんかのことをお考えになっていただければ、おわかりだと思います。ものすごくざーっと降っているのはほんのわずかの時間であって、その後だらだらとしております。洪水に貢献する雨というのはどういう雨かと言いますと、一番その流域の奥に降った雨が、今守りたいと思っているところに到達していく時間内に最大の雨が降った、そこが洪水のピークをつくるんです。ということで、雨の降り方及びその強さ、要するに、時間的、空間的な降り方によって、洪水のパターンは大きく変わってきます。特にピーク流量ががらっと変わってきます。こういうことは日常の雨の降り方をよく見ているとおわかりになる、そういうことと、今申しました、一番奥に降った雨が今自分たちが住んでいるところに到達するのにかかる時間内に降った最大の雨が洪水ピークをつくるということをご理解いただけると、幾分先ほどの話はおわかりいただけるのではないかと思います。
以上です。
(委員長)  ○○委員のほうは、いつも非常に長いタームのお話をされるんですが、今温暖化の話について、ご意見ありましたらお願いします。
(委員)  温暖化のお話が出てきましたので。この委員会では取り上げないということなんですけれども、日本の河川全体のこれからの問題を考えると、やはり避けて通れない問題ではないかと思います。
 と言いますのは、これからの21世紀というのは、異常降雨の出現する数が相当増えてくるのではないか。これは気象庁の異常気象レポートというのが昨年の9月に発表されまして、それによりますと、1日の降水量が100mm以上、あるいは200mm以上の大雨の出現数には、長期的に見て統計的に有意な増加傾向があると。有意――意味のあるという意味ですね。有意な増加傾向があると。特に、具体的には、最近の30年間、1975年から2004年までの30年間と、20世紀の初頭の30年間、これは1901年から30年までを比較しますと、例えば、200mm以上の雨が降る日数がおよそ1.5倍になっているという統計があります。また、最近20年間の大雨の出現数は過去100年で最も多くなっていると書かれておりまして、これらはIPCC――気候変動に関する政府間パネル――が第3次報告書を前に出しました。それにも、北半球での大雨の出現数が増えているという記述がありまして、それと全く矛盾していないということでありまして、この異常気象レポートでは、日本の大雨の出現数の長期的な増加傾向には地球温暖化の影響が表れている可能性が高いということを初めて記述しました。それまで気象庁は割と慎重で、異常気象レポートを5年ごとに出すんですが、書かれていなかったわけなんですけれども、初めてこれを記述したということは、やはり今後の問題を考えるときに、大きく参考にしてほしいという意味だと思います。
 こういう極めてラディカルな気候の変化は、地球の大気はいまだ経験したことがないと思うんです。その結果が、異常気象が多発するとか、あるいは台風やハリケーンが大型化していくというようなことにつながっているわけでありまして、そういうことを考えると、今後さらに短時間に異常降雨が降るという件数が増加する傾向がある。これはもう皆さんご経験でしょうが、最近でも1時間雨量が80mmとか、あるいは場合によっては100mmというような雨があっさり出てしまっているわけでありまして。ちょうど今、梅雨末期の集中的な雨が各地で相次いでいまして、おとといも島根県の出雲で、時間雨量100mmというのが降りました。
 こういうことを考えると、やはり1/80とか1/100どころではなくて、150分の1とか200分の1という豪雨が今後降る可能性がだんだん高くなってきているということを想定したピーク流量を予想していかなければいけないのではないのかと、そんなふうに思っております。長期的な視野に立ってものを考える必要があるのではないかということでございます。
 以上です。
(委員長)  そういうご意見もあったことも留意しましょう。○○委員どうぞ。
(委員)  どう申し上げていいか。私自身、異常気象レポートをまとめた立場なので、今○○委員からご説明のあったことがそのとおりで、まとめるときにも、やっぱりこういう科学的事実を国民にきちっと示したほうがいいという意気込みでまとめましたが、この基本方針の小委員会の議論は、それをやると、今の河川計画の計画も全部変えなくてはいけないというふうになります。それは、雨の確率が定常的な確率過程であるということを前提にこの計画論をつくっておりますので、頭に今○○委員からご説明のあった懸念をしっかり置いておくことは大事だと思いますが、議論の焦点は、現段階の気候条件の中で計画をつくるということに私ども集中したほうがいいのではないか。そうしないと、直近に生命財産の問題があって、そういう計画論の大改訂を全部やってからでないと基本方針はつくれないということになってしまいますので、私は現段階のものでやっぱり議論を進めるべきだというふうに思います。
(委員長)  いずれにしても、我々もこの計画をつくるわけですけど、本当は住民の生命財産を考えれば、無限大の、どんな洪水が来ても安全という計画をつくりたいんですけれど、残念ながら人間のやることで限度があるので、それを80年に一遍ぐらいにするか、100年に一遍ぐらいにするかというのが、今の現実的なところを求めているものだと思います。そういう意味で、この委員会ではある程度、あんまりいろんなことを条件に加えて考え込むよりも、現実的に対応したほうがいいのではないかという意味で私は意見を言いましたが、それらも踏まえつつ、最終の取りまとめのときは、また皆さんのお知恵を集めたいと思います。
 ちょっとここまで聞いた上で、○○委員のほうからご意見ありましたらお願いします。
(委員)  ありがとうございます。皆さんが球磨川のこと、あるいは人吉市のことをいろいろ考えていただいて、本当にありがたいと思っております。
 市房ダムにつきましては、先ほど○○委員のほうから○○委員のほうに意見を求められましたので触れませんが、基本高水につきまして、いろいろ計算方式はそれでも私は全くわかりませんけれども、この資料4の冒頭にありますように、安全度バランス、あるいは最大規模の洪水流量、こういうことからいたしまして、やはり私どもの住民、あるいは下流の住民の安全度がきちんと確保されるような、そういう基本高水の判断をぜひお願いしたいと考えております。
(委員長)  それでは、河川工学の立場から、○○委員、お願いします。
(委員)  幾つか言わせていただきたいと思いますが、最初、この市房ダムの洪水調節の内容で、40年の部分についてはこのような形をされたということで、46年8月の洪水について、ちょっと説明等は時間の関係でなかったと思うんですが、これは第2期の制限水位のもとでの時期からしたら、そんなにされているんだろうということと、それから、この図でもっと大分前のほうから、もう既に水位がずっと立ち上がって、この図ではもう既に放流を流量よりも抑えてという形で、それで、これは何日になりますか、11時から13時ぐらいの間で、流入量が非常にシャープな立ち上がりになって、一定率のこの判断とか、相当難しいなと思ったんですが、非常な調節をなされた、そういう内容を見せていただきまして、もう少し前のほうから見ると、さらにそういう調節の内容の全時間的なものを見て、そういう調節を鋭意なされたというふうに見られるのではないかと。それから、57年7月については、結構このあたりもみなただし書き――57年7月はそうではないんですね。そういった形で洪水調節が、こういう方法をやったらいいじゃないかといういろんな事後解釈論がありますが、事前と事後では相当内容の違う不確実さの中で、このような調節をなされたということを、非常にある意味では感心したところでございます。
 それから、もう1点は、なるほど、基本高水のピーク流量というものの算定、あるいは検証、確認ということについては、洪水のピーク流量の算定にあたりましては、洪水の到達時間内の降雨強度がもう支配的であるということで、このとおりだというふうに思いますが、一方では、ピーク流量だけではなしに、基本高水になってきたときに、そのハイドログラフそのものも定めるというふうに考えますと、この計画降雨継続時間というものと形のものが、ここであります洪水到達時間内の、あるいは包含した形で12時間というもので、その前後は実績という形の定め方の基本高水のハイドログラフそのものの定め方としてのとらえ方、そういったものが整合を持ったピーク流量と基本ハイドログラフというものとのかかわりで12時間という形のものをとらえる、あるいは、相関等を見ますと、24時間とか、そういったものも少し見ていただけたらなという形のものも少し思ったところでございます。
 それから、基準点でピーク流量の相関を見せていただいたんですが、雨の降り方等によって、幾つか外れる――相関係数で言えば、当然これぐらいの値だろうと思いますが、幾つか外れているポイントはあって、この下流の地点と上流の地点で1/80という形でいろんなパターンの雨を入れて、下流での実績はこうですけれども、そういう形で伸ばしてなったときに、この2つの地点でそういった安全度が十分カバーできているというような形として見ておいていいのかどうか。多分、1/80で、下流の基準点においても、それを先ほどの相関からして、その中に入っているというふうに言えることは言えるんですが、少しそういった検討をされたらどうかなというふうに思いました。
 それから、あと、流出解析でございますが、貯留関数で流域分割の指定ですが、ピーク流量は結構よく合っているということで、計画時においても実績再現等においてもあれですが、ピークまでの立ち上がりも、これもまた結構合う。ハイドログラフになってくると、貯留関数でなかなか宿命的なところもあるんですが、低減部のところが少し合いがたい状況になって。ここら辺はいろんな溜めるものの施設等を考えるときに、もっと再現精度を上げなあかんのかどうか、そこのあたりは少し、ピークの流量の算定については十分な内容を持っておりますが、収支としての見方を少しハイドログラフという形でどう見ておけばいいのかなと。
 それから、Rsaが非常に大きいわけですね。Rsa1とRsa2。それが雨の降り方でRsa2が結構大きくなる。この地域は火山性の流域ということで、この入っていく、あるいは貯留する、そういった量が、今まで描いてきた流域に比べると、非常に大きな地質的、そういったことも含めてあって、これぐらいの大きなものを持って、流域面積の割にはピーク流量が少しそこまで出ない。そういったことも、この流出関数とパラメーターのかかわり、再現等を見たときに、この球磨川流域というものの火山性流域での水文特性をこのような形で見せていただいているのかなというふうに思った次第で、これにつきましては、この再現とか計画値が、前も申しましたけれども、このような形で十分観測値を説明しているモデルではありますけれども、雨のインプットに対して計画値を出す展開のモデルとしては妥当ではないかというふうに思っております。
 以上でございます。
(委員長)  2つの基準点の問題については、もうちょっと慎重に検討したらどうかというご意見と承っていいですか。
(委員)  はい。
(委員長)  それでは、○○委員のほうからお願いいたします。
(委員)  特にご説明していただいた内容につきまして異論はございませんけれども、1点、もう少しはっきり論理的にご説明していただいたほうがいいのかなと思うのが、資料4の4ページの(2)、「球磨川では、過去の主要な実績降雨(右の10洪水)について検討(※の2洪水は、引き伸ばした雨が短時間に極端に集中しているため対象外とする)」というようなことでございますが、この対象外とすることについての、もう少し確率論的な、こういったことで棄却するとか、そういったことをやっておられると思いますので、もう少し科学的な棄却理由というものを説明していただいたほうがいいのかなと思います。
 以上です。
(委員長)  これは、では、答弁していただきますか。2洪水を棄却した理由について。
(事務局)  1つは、地域的な分布と、それから時間的な分布を見ました場合に、例えば、今※をつけました40年7月のものを全体の流域で見れば、1.568倍で伸ばして、例えば、1/80だと262mmにするんでございますが、部分的に見ますと、今のケースでございますと、洪水到達時間の、例えば8時間の中だけのものを見ますと、1/1500とか、そのぐらいになってしまうんですね。ですから、全体のことから言うと、1/80とか1/100を議論しているわけですが、局所的に見ますと、例えば、4時間のもので見ますと、1/30000ぐらいの時間になると。だから、4時間ぐらいで降るものとか、8時間ぐらいで降るものの雨をどうかなと見ると、通常、世の中では想像できないぐらい大きなものになるので、そういうものを棄却させていただいているという、そういう極端なものが出ているのが、この40年7月のものと、47年6月のものだということでございます。
(委員長)  ありがとうございました。
それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  2つ意見を述べさせていただきます。1つは、きょうの資料の中に配付されているんですが、国土交通省の九州地方整備局河川系の所長会議での私の講演に関するものです。そのときの講演内容の一部が、日本共産党の熊本県委員会委員長から意見書として本委員会に出てまいりました。既に各委員に配られております。これは私がかねてから委員会で申し上げている河川の計画のあり方とも関連しますので、最初にこの意見書に対する私の考えを述べます。2点目は、本日の議題の基本高水流量につきまして、私の意見を述べたいと思います。
 第1の件につきましては、熊本県の新聞にも報道されておりますので、ご承知の方も多いと思います。平成12年の8月に九州地方整備局の河川系事務所長会議におきまして、私が学識者の立場で講演した記録が何枚か出てまいりました。私としては、その資料が外部に出たことに大変な驚きを持ったわけですけれども、部内資料が出てまいりました。
 具体的には、きょうの配られた資料の参考の一番最後の「球磨川水系河川整備基本方針の策定審議に関する要望」というところに資料が入っております。土木技術の専門家を相手にお話しする部内の講演会でしたので、学識者としての視点で河川技術について私の意見を述べて、それから、専門家と意見を交換するという、私にとっては貴重な研修の場でした。当然のこととして、私が河川の将来に対して考えていることを前向きに語っておりまして、6年後の現在読み直してみても、そのとおりだなと思っています。と同時に、現場の技術者に向かって話したことではありますが、若干説明不十分な点もあったかなという反省もあります。しかし、講演で私の申し上げていたことは、全文を読んでいただければ十分理解できることであって、むしろ、この意見書を出してきた日本共産党熊本県委員会の見方によって、私の申し上げた全体ではなく、一部抜粋して議論することに問題があると思っています。この機会を利用して、私の述べたこと、考えていることを説明いたします。
 意見書には3点書かれていますが、一番大事なのは第1点であります。すなわち、私が関東地方を流れる多摩川水系支川の浅川の基本高水流量について言及し、河川整備基本方針流量で決定した流量よりも小さくてもよいのではないかということを会議で述べていることについて、その理由を尋ねておられるんだろうと思います。
多摩川水系の河川整備基本方針では、多摩川水系全体の治水安全度が1/200で、多摩川基準点の石原で計画高水流量が6,500m3/sで、一番大きな支川、浅川の基準点である高幡橋地点で計画高水流量1,800m3/sです。
 浅川はどういう川かというと、河口から39キロで多摩川に合流している、多摩川水系の最大支川でかつ急流河川であります。多摩川は、人口・資産の極めて高度に集積した、社会経済上極めて重要な地域を貫流しております。基準点の石原をはじめとして、大部分の区間で主に固定堰がたくさんあるために、河床の上昇や水位の上昇、樹木の繁茂など、計画高水位以下の水位で計画高水流量を流下させるには、多くの固定堰の改修、それから大幅な河道掘削や、そしてまた堤防の強化、こういった河川整備を強力に進めなければなりません。
 多摩川は氾濫区域内人口125万人、氾濫区域内資産額18兆円という人口稠密地帯を流れる急流河川で、一たび氾濫すると激甚な災害になります。多摩川の治水は、連続した堤防によって洪水氾濫から人命・財産を守っているわけで、首都圏の壊滅的な被害につながる堤防の決壊というものは、絶対に許されることではありません。
 治水的に見て、浅川と多摩川の関係は、支川・浅川の流域の水を集めて、洪水となって多摩川に流れ込みます。支川・浅川の治水計画については、多摩川水系の本川と支川の関係、上下流のバランス、そういったものを考慮した、水系が一貫した河川整備の考え方が最も重要であります。
このために、最大支川・浅川の治水安全度は、多摩川本川の治水安全度に比べて、相対的に低く設定されるべきものと私は考えております。すなわち、多摩川の計画規模1/200に対して、支川・浅川の計画規模1/200で決めた計画高水流量1,800m3/sは、多摩川の中流や下流部の治水にとって極めて厳しい状況を与えております。こういうことから浅川の計画高水流量は、1,500m3/s程度が望ましいと私は考えています。では、浅川の治水はどうすべきかというと、河道改修に加えて、流域の保水や遊水機能を確保すること、総合的な治水対策や超過洪水対策を積極的に進めていくということが大事であります。
なお、浅川で1,800m3/sの河道をつくろうとすると、大規模な河道掘削を必要とします。浅川の河床には砂質粘土が堆積して、長年にわたって凝結した、しかし洗掘抵抗は小さい土丹が一部現れております。計画されているような大がかりな河道掘削を行うと、浸食抵抗の小さい土丹を河床表面に全面的に露出させることになりますので、浅川の河床高の維持管理という点で、困難を来すことになり、土丹の露出は最小限になる掘削にとどめるのが望ましいと考えています。
 このように、本川下流域の大変人口の多い地域、しかも急流河川で氾濫すると大災害となり、地域を守っているのが連続堤防であるような本川区間の治水安全度は、本川上流地域や支川流域の治水安全度よりも当然高く設定するケースがあり得ます。このような考え方は、この小委員会においても、例えば中部の庄内川でも議論されました。私が今申し上げているような人口稠密地帯の治水のあり方というのは、もう河川整備基本方針の検討の中では当然のように議論され計画に取り込まれているということであります。浅川の基本高水、計画高水のあり方につきましては、このように考えています。
 2つ目、3つ目の意見は、河川のデータの信頼度と特殊堤についてでありますが、これは私の講演の本文を読んでいただければもう十分わかることで、私の託したある部分だけを示しているにすぎません。データの信頼度につきましては、今日の整備基本方針とか整備計画をつくっていく上で、今までのようなデータの解釈だけでなくて、データの持っている意味を十分理解して使うと同時に、データ収集とか観測の技術を高めていく必要があるということを土木技術者に向かって申し上げたわけであります。
それから、特殊堤につきましても、今後は特殊堤の使い方としては、景観上必要なところなどは、やはり特殊堤もいいのではないのかと講演では言っておりますが、同時に、ここの引用された中では無視されていますが、用いる場所を選ぶ必要があると述べています。具体的には、流水を流す断面が十分でなかったり、流速が大きかったりするようなところでは、特殊堤前面の流速とか水位が非常に大きくなりますから、こういったところに特殊堤を使うにあたっては十分検討が必要だということを申し上げています。
 これが、日本共産党熊本県委員会の意見書に対する私の回答といたします。
 きょうの本題に戻らせていただきます。
 まず、球磨川流域の基本高水のピーク流量についてであります。これにつきましては、今まで各委員からいろいろお話がありました。この基本高水のピーク流量について、幾つか私の考え方を述べて、そして質問もさせていただきたいと思います。
 まず、計画降雨の継続時間であります。資料4の3ページ、先ほど来議論がありましたが、氾濫戻し流量と各継続時間の相関度比較図、この図が3ページにございます。左の真ん中の図ですが、この図で見ますと、人吉地点で4,000m3/s程度の流量が出現しているところで、横石地点の流量が3点ほど相関を引いた直線からはずれ、大き目に表れております。こういうことですので、横石地点でこの降雨群をどう解釈するのかということが、まず1点、非常に大事であり、よく調べる必要があります。
 もう1点は、降雨の継続時間を12時間にとるということであります。これは現行の工事実施基本計画では時間雨量データが不足していたということで、2日雨量を用いていますが、これについては、私は、1回目の小委員会でも、計画降雨継続時間は基本高水流量の設定に非常に大きく影響するので、継続時間のとり方について質問いたしました。
 球磨川水系では、確かに先ほどご説明ありましたように、大きな洪水は降雨継続時間12時間程度に集中しております。こういう大雨の場合に大流量が出ているということですが、12時間よりも長い降雨継続時間で発生している洪水も見られます。そこで、降雨継続時間12時間で確率降雨を引き伸ばして基本高水流量を求めるという方法は、現在用いることができる望ましい方法だと思っております。すなわち、実績の流域湿潤状態とか、実績降雨の波形を用いて検討しており、さらに、流量確率等でも検証しており、この検討委員会に出てくる河川はこういう方式で検討、検証しておりますが、その意味においては、私は妥当なやり方だと思っております。
 このことに関連しまして、調べていただきたいことがあります。これまで災害が起こったり、大流量が出たりして、基本高水流量改定を行った河川が幾つかあります。この小委員会でも、それらの川が議論されました。流量改定を行った水系について、計画降雨の継続時間をどのように決めたのか。大きな流量が出たから改定を行っているわけですが、そのときに計画降雨継続時間をどう決めて、その採用した根拠はどういうことだったのかなということについて、次回ご報告願えると、球磨川の場合をどう見るのかということの参考になるのではないかと思います。
 第2点は、流域の計画規模、すなわち1/80とか1/100という治水安全度の考え方です。球磨川は、下流部の八代と上流部の人吉付近に人口・資産が集中しています。これまでは計画基準地点は人吉と横石の2地点ということでありました。しかし、今回は、資料4によりますと、人吉地点と横石地点の洪水流量の相関、これを比較すると非常に高いということで、上流の人吉から下流の八代間の間でも入ってくる支川が少ないということで、計画基準地点を人吉1地点としております。
 先ほど参照しました資料4の3ページ、計画基準地点というところの図に再び戻ります。この図は基準点が人吉1地点でいいのかを考える上で、重要な図だと思います。この相関図から外れている点、横石地点の流量がやや大きくなっている3つあるいは4つ等の洪水については、人吉・横石間で流量が増大している理由というのは、雨の降り方と関係しているだろうと思います。これらの洪水については、雨がどういう降り方、地域分布、時間分布も含めてどういう降り方をしたのかということを示していただきたい。そのときには、横石地点を基準点とした場合の横石流量と、人吉地点を基準地点とした場合の横石の通過流量を比較して、基準地点は人吉1地点だけでよいのか、または、横石も基準点にしないと下流の安全度の議論ができないのか、これについて、ぜひ次回までに資料をつくっていただきたいと思います。
 その検討結果によっては、上流・人吉よりも、下流・八代の安全度を高くすることが、例えば、人吉が1/80とする場合には、八代は1/100に計画規模を設定することも考える必要があります。これは、先ほど多摩川水系の浅川について申し上げたことと密接に関連することであります。
 計画規模を考えるにあたっては、降雨特性とか人口、流域面積など、こういったものを通常考慮するのですが、河道改修など物理的な制約条件も考慮しなければならない場合もあります。人吉地点は、そのような課題を抱えています。球磨川の流域は降雨量が非常に多いにもかかわらず、これまで計画規模1/80を超える洪水が発生していないことを考えると、基準地点・人吉では計画規模は、現在の1/80程度が妥当と私は考えております。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○委員のほうからお願いします。
(委員)  最初に、温暖化の問題は取り上げないというのはそれでいいんですが、つい最近のニュースで、気象研究所の温暖化の効果についての研究成果が、これは7月14日の読売新聞で出ています。日本の世界的にも誇れるスーパーコンピュータを使って、非常に解像度を上げて現象を解明できる、あるいはシミュレーションで予測できるという事態になってからです。地域を特定しての議論ができるようになって、ここでのニュースというのは、温暖化で梅雨の明けが10日ぐらい遅くなる、8月にずれ込むということと、特に西日本で梅雨の豪雨の強度が高くなるという、かなり地域を特定された議論がされるようになっています。
 これを計画論に入れるか入れないかというのは、今の委員長とか○○委員の立場でいいと思うんですが、やはりこれは十分頭に入れておく必要があって、後の1/80の議論を先にしますと、私も、現在は1/80でいいだろうという気になっています。なぜかというと、8ページの理由の 3が結構重要なんだと思っています。今までの基本高水の改定をやる際に、計画を超える洪水や計画に相当するような洪水を経験した場合というのがあります。これは、ある意味では実績主義なわけです。実際に起こったことに対して、ちゃんと手当てを示そうということです。ほかの川の基本高水を改定して、流量を規模を1/100にしたときに、やっぱりこういう考え方で、実績に基づいて上げてきたから1/100になったんだろうと思うんです。その辺を実は具体的に、そうでない例もあったのかどうかというのを、次回までに資料を出していただければと思うんですけれども、少なくともここでは、想定した1/80以上の洪水実績はないと。ということは、逆に言えば、もし起これば、やはり改定、見直しをやるんだということで、そういう実績主義を貫くという立場はやはり重要かなと思います。で、100か80かというふうにこだわると、やはり九州でもいろんな川が1/100になっているのに、ここは80というのは、それはやはりバランスは悪いなと思いますけれども、先ほど申しました実績主義優先ということで、1/80でいいのではないかということ。
 それから、次に、基本高水のピーク流量の検討について、幾つかお願いしたいと思います。先ほどから降雨の引き伸ばしとかその棄却とかというお話は、これは現在のピーク流量の推定法としてはいたし方ないといいますか、こういう方法しかないということですが、やはりもう少しそういうあまり人為的な操作をしないような検討方法、例えば、確率論を使った、他の確率論を使った方法なんかも考えられると思いますので、ちゃんとそういうことを少し検討していただければということですね。3つ申し上げたいと思っているんですが、それが第1番目です。
 もう1つは、球磨川流域というのは、計画対象になる大洪水というのは、梅雨前線で起こっているんですね。台風も影響はありますけれども、台風はやはり流域の東側、宮崎よりにしか雨は降らないという地形的な影響が非常にありますから、むしろ梅雨前線がどこにあるかによって決まって、ことしも、私も注意して見ておりましたけれども、球磨川流域の北と南には降ったけれども、真ん中の球磨川流域には降らなかったということがあります。ただ、前線があそこで停滞しないということは決してないわけです、気象学的に考えても。したがって、実績という意味では、九州の梅雨前線豪雨の近年のものを探していただいて、それが球磨川流域に降ったときにどういう洪水が出るかという、これは確率論的には、時間確率を空間確率で置き換える、エルゴート性というんですか、時間と地域を入れ替えて考える考え方がありますけれども、そういう考え方に沿って、今まで九州を梅雨前線は随分、特に西側はその影響を受けるわけですから、そういう雨が降ったときにどうなるかという検討をしていただければと思います。
 それから、もう1つは、ほかの川でもやってきたことがあるわけですが、歴史的な洪水というか、流量が定量的に推定できなくても、過去に大災害の記録があるというような。つまり、ここではなかなか、今実績がないから実感がないというのが、私、多少問題だと思っていますので、少し歴史的な洪水をさかのぼって調べていただければということです。
 以上です。
(委員長)  一応専門家という方のご意見を承ったので、この時点で○○委員のほうから、ご意見ありましたらお願いします。
(委員)  非常に専門家のご意見が続いたわけですけれども、私は、実はこの審議会に臨むにあたりまして、私どもの県が管理しております二級河川、この二級河川について、実際にどのような考え方をしていくべきか、そういったことを少し学ばせてもらったわけです。基本高水の設定方法、あるいは異常降雨を棄却する、あるいは基本高水を導き出す、そういったときに、これはデータがございませんので、二級河川ですと、私ども県が管理をしているという立場がございますので、そこで説明を受けました。本当に大変難しさを覚えたわけです。そういうことを前提にしながら、私は素人でございますけれども、少し疑問点をつまびらかにさせていただきたいと思います。
 まず、一番最初に、○○委員のほうから求められました市房ダムの洪水調整について、このことについて申し上げたいと思います。市房ダムの完成は、昭和35年の3月でございます。これはおそらく委員の皆様方もお読みくださったのではないかと思いますが、球磨川大水害体験者の会の皆さんたちの意見、これを読ませていただきますと、過去300年にわたって、このような40年洪水のような大水害は経験していないと、このようなことを言っていらっしゃいます。そして、この市房ダムができ上がって、10回ぐらい水害が起き、ヘドロが含まれた土砂、これが水害として自分たちは経験させられたというようなお話があっております。
 こういったことを考えてまいりますと、県はこれまで市房ダムの洪水調節とその効果について、県議会で答弁をしたり、あるいは新聞等に県自ら投稿したり、さらには県独自で作成したパンフレットを用いまして、市町村や流域住民の方々に説明を行ってきたところでございます。また同時に、衆議院建設委員会からの調査も行われておりまして、市房ダムの放流が水害の直接の原因ではないと、このような報告が出されておりますし、ただいまの専門の先生方の意見をお伺いいたしますと、○○委員は操作が非常に微妙に行われたということで、評価もしていただきました。
 しかし、ただいま申し上げましたように、実際に水害に遭われた方々の一部には、水害の原因は市房ダムであると、こういった疑問を持ち続けていらっしゃる、このことも事実でございます。それは自分たちの体感したこと、これは国や県からの説明を受けた内容で説得できるほどのものではないということの表れではないかと私は思っております。体感したことはわかります。経験したことや体感したこと、それはないかもしれないけれども、私たちの生活の中では、想像して補うということもあります。しかし、想像は想像でしかありません。歳月を経ていく中で、私たちは、体感したことは脳裏深く刻み込まれていく、これが人間の中の習性でございます。
 そういったことを考えてまいりましたときに、非常に私たちはこの市房ダムにかかわって、今後ともわかりやすい形での情報説明、情報公開、あるいは説明責任、こういったものが求められ続けていると、こういう認識を続けていかなければならないのではないかと思っております。
 それから、地元紙、平成12年7月1日の報道についてでございますけれども、洪水調節についての、その状況報告の中で、市房ダムの最大流入量を毎秒1,300m3/s、これは先ほど事務局○○のほうからも説明がございました。1,300m3/sと想定して、その半分を貯めることで、下流域の洪水被害を軽減する、こういう計画であったわけですが、実際には、最大流量に達していない、その状況の中でダムが満杯になり、洪水調整ができなかった事例が2例あることを指摘した記事がございます。昭和46年8月5日洪水、昭和57年7月洪水。つまり、理論的に説明をされてきた、その状況が覆されているという現実があった中で、実はこの40年人吉災害、このことにも私はおそらく思いが重なって言っているのではないかと思います。また同時に、まさに川辺川ダムのミニチュアが市房ダムであると○○委員は指摘なさいました。ゆえに、ダムは命と財産を脅かした、こういう感情を持っていらっしゃる方々が、市房災害の中を通していらっしゃるということも事実であると、このように市房ダムについては申し上げさせていただきます。
 資料に基づいて、私のほうから少し質問をさせていただきます。資料4についてですけれども、現実的に熊本県での住民討論集会の中でも、基本高水は治水の根幹でありまして、多くの時間を費やしてまいりました。しかし、賛否双方の意見の一致は見ておりません。これまでの経緯、いわゆる工事実施基本計画をもとに住民討論集会での議論が重ねられてきた経過から考えますと、この工事実施基本計画と比べて、幾つかの点で、今回の基本高水の算出に至る手法が変更、見直しをされている。そしてまた、その結果として、基本高水がこの工事実施基本計画と同じ7,000m3/sとなっていることを見ますと、討論集会での議論を経験いたしました県民の中では、なかなか理解しがたい気持ちがあると。そしてまた、地元でこの7,000m3/sということを思いましたときに、7,000m3/sということは、実は市房ダム2つ分に相当する流量であるというイメージを持つこと、このことも事実でございます。
 そこで、資料4の3、ここのところから申し上げたいと思います。これは、数名の委員の先生方が論理的にもお触れになりました。人吉、八代の2地点であったものが、今回、この2地点の流量は相関が高い、こういった理由から、人吉の1地点で十分であると、こういう説明がございました。しかし、これまでの資料から、工事実施基本計画、5つの降雨パターンで算出した基本高水を見ましても、一概に相関が高いとは言えないのではないでしょうか。もし国交省が言われますように、八代と人吉に強い相関関係があるとしますならば、むしろ八代市はこの流域の中で最も人口・資産の分布が集中しておりまして、治水対策の要所であると私どもは思います。八代市を基準点とするほうが一般的な考え方ではないだろうかと思います。市民の方々に無用な誤解や不安感を持たせる、こういうことになりかねないのではないかということを、私は心配するものでございます。
それから、全国の河川におきまして、上流、下流それぞれに防御対象区域がある水系については、基準地点が2地点設定されている例もあるというふうに伺っております。これは、8ページのところの中に、これまで策定された河川が示されております。この河川のところの中で、一体どのような根拠性の中で、地点をどのように取り、降雨量をどう理解し、そして時間をどのように考えていったか、そういったものを次回示していただきたいと私は思っております。最近の審議会の中でも、一級河川でも継続雨量は1降雨量を採用している、こういうところがあるのではないかと私は思っているところでございます。
それから、先ほどの説明の中で、直轄区間が中抜けしていたという理由の中で、人吉を基準点としたと、こういう説明がございました。しかし、それだけでは、なぜ人吉なのか、明確な理由づけは私たちには納得することができませんので、この点についても、ほかの委員の先生方も求められましたと同じように、次回、もう少し科学的な知見の中でお示しいただきたいと思います。
それから、計画降雨継続時間、これにつきまして、計画降雨継続時間は、事務局からの説明では、12時間とした理由について、継続時間と洪水ピーク流量との相関関係を見ると、12時間の場合が最も相関が高いという説明でございました。しかし、住民討論集会において、当時の国交省の説明では、昭和40年7月の降雨を基準とし、継続時間2日間で440mmの計画降雨をもとに基本高水7,000m3/sが設定され、その正当性がずっと主張され続けてまいりました。また、県民も、この工実策定からことしまでの40年あまりの間、2日間の雨量での7,000m3/sの妥当性を示され続けてまいりました。これは私自身の生活感覚からでございますけれども、2日ぐらい降り続いたときに洪水が起きているような気がいたします。
そこで、計画降雨継続時間は、基本高水ピーク流量算出の根本的な問題と考えておりますので、これまで球磨川流域の実際の降雨ではどのぐらい降り続く雨が多いのか、その頻度がどのようになっているのか、次回にお示ししていただきたいと思います。時間雨量の観測値が昭和28年以降からしかないということでございますけれども、昭和27年以前も1日雨量データはあるのですから、12時間雨量を推定することは可能ではなかったんだろうかと、逆に私自身は、住民討論集会の中からなされた状況等を考えたときに、非常に疑問に思ってしまうところでございます。○○委員のほうのお話から、雨量を使うことの妥当性、これを学ばせていただいたわけですけれども、ぜひ次回はこうした疑問点についてもお示しいただきたいと思います。
次に、資料4のページ6のところで示されております「引き伸ばし」、このことについて、これで見ますと、工事実施基本計画の基本高水ピーク流量7,000m3/sを根拠とする、それは40年7月の洪水でございますけれども、本日の資料では、相当大きな数字になっております。そして、同ページの左側に記載されている基本高水を決定する計画対象降雨となっている昭和47年7月の雨は、引き伸ばし率が極めて高く、実績降雨と引き伸ばし降雨後の降雨データと比較いたしますと、波形が2つの山から1つの山に変わってしまっておりまして、実像を残さない形に変貌しております。まさに素人ゆえそういうふうに申し上げられるかもしれませんけれども、本当に一山目を無視した状況で安全は確保されていくのでしょうか。私には甚だ不安の中で、そういった思いを持つところでございます。
引き伸ばしによって降雨の波形が変わることが合理的なのかどうなのか、このように降雨継続時間の取り方、引き伸ばし、そういったことによってさまざまな姿が出現するということは、私にとっては非常に大きな驚きでございます。おそらく県民の皆様も私と同じような驚きをお持ちではないでしょうか。この点につきましても、ぜひわかりやすく説明をお願いしたいと、そのように思います。
昭和40年7月の雨は、引き伸ばした降雨が短時間に極端に集中している、このような理由で棄却をされ、代わりに昭和47年7月の洪水が計画降雨に採用されております。この姿は原形をとどめない洪水の姿を表しているということはただいまも申し上げたとおりでございますけれども、47年7月洪水が対象とされたということは本当に適当であろうかというふうに、私は今なお疑問に思っているところです。
短時間に降雨が集中、洪水波形がシャープ、ピーク流量が大、これに変貌しているのが47年7月の洪水です。国交省の資料では、もともと47年7月の洪水は、だらだらとした洪水、洪水波形が緩やか、ピーク流量が小、このように資料の中には記載されております。それが、引き伸ばし12時間、こういった中から、短時間に降雨が集中し、洪水波形がシャープ、ピーク流量が大に変貌しているという、こんな姿がございます。結果として、素人の私が見ても、棄却した昭和40年7月洪水に酷似したというのは、あまりにも不思議な偶然の一致であると私は思っております。
さらに、私自身、大変この段階に来て悩んでいることがございます。工事実施基本計画は、単位図法、2日雨量、そして基準点2カ所、これが今回は大きく変わりました。そうしますと、平成10年から、今もこの工事実施基本計画、存在をしているわけですが、どのようにこれを評価をしていけばよいのか。今回の出されました視点と大きく変わった工事実施基本計画に対しての客観的な評価をどうすればいいのか、私は甚だ悩むところでございます。
さらに、先ほど1/80、1/100、これについて○○委員から所見を求められました。このことに関しましては、○○委員、○○委員のほうからもお触れいただきました観点と同じように、計画規模は河川計画を策定する上で重要な事項の1つであるため、計画規模を決めるにあたっては、既定計画の基本高水を超える洪水はこれまで発生していない、このことを総合的に考慮し、合理的に決定されなければならないのではないかと、このように思っております。
それから、地球温暖化につきまして、私は、だからこそ森林の機能、あるいは休耕田の問題、そういったものを含めて、今後とも行政は大きな課題にしていかなければならないと認識を深くしたところでございます。また、異常降雨につきましては、先ほど○○委員がお触れになりましたけれども、どのような地形の中で、どんな条件のところで発生しているのか、そういった検証が今後の学問の領域の中にも求められてくるのではないかと、このように考えております。
こういった問題に対しまして、今回の基本方針を拝読いたしますと、そこの中にはすべての治水でもってさまざまな異常、これを網羅して対応することのできない困難性、むしろそこの中には、人間が人間として自らの命を守っていくことの大事さ、そのことをハードによらず、ソフトによることの大事さも、この河川方針の中には触れていると、私は理解をしているところでございます。
以上です。
(委員長)  それでは、ただいまのご指摘は、次回に資料を事務局につくって説明させるということにしたいと思います。
時間が超過しておりますが、一通りご意見を承りたいと思います。○○委員のほうから、ありましたらお願いします。
(委員)  もう超過していますので短く。先ほどの確率の1/80、1/100の問題をおっしゃいましたけど、これ、上流側の人吉市のところと、下流側の八代と、完全に2つの性格に分かれた川のように思います。だから、上流側と下流・八代のほうとの確率が違っても構わない。ですが、正直言いまして、1/80というのは、今まで見たことはございません。それの根拠になっておりますのが、先ほどから議論になっております計算方法、推定方法なんですが、いずれにしても、元データは随分ばらついておりますし、タンクモデルも貯留関数法も似たような計算法でありますので、最後はやっと決めるしかないというぐあいに思っております。小さいところをつついていくほど、我々はどんどんどこかに入り込んでいくような感じを受けておりますので、よろしくお願いします。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  ○○さんのほうから森林のことについて再度お話があったと思いますけれど、確かに森林の効果というのは認められるわけですけれども、それを、では数字的に、数字として高水にどのように反映させるのか、反映させるべきだというご意見でございましたけれど、ではどのようになるのかということについては、現在その確固たる方法というのはないように思います。
それから、あと1つ質問なんですけれど、市房ダムの放流について、いろんな被災者からのご意見が出ています。私、1つだけ、これはそのご質問なんですけれど、ダムへの流入量というのが出てきます。これの確認の方法を明確にしていただきたいと思います。
以上です。
(委員長)  次回でよろしいですか。どうぞ。
(委員)  先生、私は森林の保水力を申し上げたのではありませんで、今後の地球温暖化、これに対して私たちが森林、あるいは休耕田、こういった問題をしっかりと考えていくということが大切であるというようなことで申し上げさせていただきましたので、前回と今回のところでは、森林に対しての意見は違う角度で申し上げさせていただきました。
以上です。
(委員)  わかりました。
(委員長)  今の質問は、次回でよろしいですか。後段のほうは。
(委員)  はい。
(委員長)  では、○○委員のほうから、お願いします。
(委員)  もう既にかなりの方がご指摘になっているんですが、計画基準地点を1つにするということの妥当性について、従来は本川下流型の降雨パターンというのを想定していたように思えるんですが、そういう降雨パターンを無視していいのかどうかということについて、もう少ししっかりした検証をしていただきたいという気がいたします。
(委員長)  一通りご意見を承りましたので、一応本日の議論はここで閉じたいと思いますが、委員長のほうからちょっとまた注文でございます。大変意見書をいただいております。中には、前日いただいたので、私ももう老齢ですから全部読むのが大変でしたが、一応読ませていただきました。確かに○○委員の言うように、水害に遭った人の気持ち、実は私も大学時代に水害に遭っておりますので、非常に身にしみて読まさせていただきました。長い間に記憶が増幅している部分もあれば、少し入れ替わっている部分もあるかと思いましたが、きょういただいた市房ダムの資料で、これは2ページの左下の図が2つありますが、地盤高から水位が、30分間で1.29mとか2.01m上がりましたよと、ぽんと書いてあるんです。これは、被害に遭った方のお気持ちと、洪水が流れたほうは、緑線だからそんなに上がってないけど、あんたの家のところだけ運が悪かったねと言っているように聞こえるのですね。これは河川行政官としてはもうちょっと現地を見て、この水はどこから来たのかよく調べておいていただきたい。あるいは、ここに山田川なんて書いてありますが、山田川も当時大氾濫していたでしょう。被害に遭った住民の方にとっては、あまり丁寧な説明でないなと思うんで、現地を検証してやっていただきたい。
それから、これはどなたでしたか、○○さんという方からの質問書が来ておりました。写真入りで、水害が激化しているという写真がありまして、市房ダム以降に激化しているとご本人はおっしゃっているんですが。私の判断はちょっと違って、40年以降、人吉も堤防をつくって氾濫を防いだし、あるいは、上流でも河川改修して氾濫防止したし、いろんなことが積み重なって、例えば、昭和40年のときは人吉がダムの役割を果たした分が、堤防を造って氾濫しなくなった分だけ下流に影響しているのかなと類推をしたのです。地図の上で見ると、そういうような地点の方のようですが、これも説明をお願いしたい。
それから、同じ趣旨のグラフを2枚、第2回と第3回と使い分けているという指摘がありました。これはちょっと私も知りませんでしたけれども、もしそういうことであるのなら、これは丁寧に、ちゃんとその事情を事務局から説明していただきたい。もし今日この場で答弁があるのならお願いします。
それから、○○委員からもありましたので、歴史上の大洪水がどういうものであったかというのがわかる範囲で教えていただきたい。
それから、被害者の会という方々の中に、当時、河川改修をすれば水害がなくなるというので協力した、土地の買収にも協力しているんだ、延長幾らで幅幾らの河川改修をしたということが書いてありました。この改修が終われば水害はないよと言ったとは思いませんが、どういう前提の河川改修であったか、ご説明いただきたいということであります。
それから、きょうは基準点2つの問題については、非常に議論がありました。次回、資料をいただきながら、最終的には当委員会で判断したいと思います。事務局の案どおりにならないことも踏まえて、熱心な議論をお願いしたいと思います。
それから、○○委員から大変的確なご質問がありまして、いずれもごもっともだと思います。確率論というのは、多い資料から、あるチャンスにどういうものが起きるかということを本来確率論でやるわけですね。10万人の資料から、この人はどういう関係、あるいはどういう傾向なんだろうとか、幾つかの傾向かを探るとか、確率というのは、文学部から、理学部から、工学部から、農学部から、ありとあらゆるところで非常に大きく扱っているわけです。ただ、河川は数十年間の資料で100年とか150年を類推するので、この確率論の手法を使いながら外挿するものです。外挿するときに、どうしてもいろいろ判断が入る。先ほど40年災というのが大水害にもかかわらず、40年災を棄却して、47年災を、取り上げたのはどういうことだという、まことにごもっともな質問だと思います。それなりに判断があったのでしょうが、そういう誤解を招くことに対して、もっといろんなアプローチを用意しておいていただきたい。
また○○委員から、その前に昭和2年以降の日雨量があったじゃないか、だから、そこから、例えば12時間を類推する方法だってあるんじゃないのという、まことにごもっともな質問なので、12時間がいいかどうかはわかりませんが、日雨量から時間雨量にアプローチする手法についても検討していただきたい。
さらに言えば、日雨量の資料と時間雨量の資料を使って、ほかの工学ではよくやっていますが、いわゆる数理解析というやつですね。極端なことを言ったら、コンピュータの中で何年分、何十年、何百年、何千年、あるいは1万年ぐらい降らしてみて、どんな洪水が出てくるかということも、確率論としてはひとつ、そういう解析もやっていただきたい。1つの答えで、これでどうだと言われると、大変委員は悩むので、それらをひとつづつ踏まえた解析もしていただいて、次回提出していただきたいと思います。
以上、宿題として。あと、各委員から出ていました宿題は当然に用意していただく。
ごめんなさい、○○委員。
(委員)  大丈夫です。私は河川工学の専門家ではございませんが、きょうのを聞かせていただいて、河川の整備計画ですから、論理的に物事を決めないといけないと思います。○○委員のお話等もお聞かせいただきますと、いろんな疑問な点があるということでございますので、それについては、事務局のほう、ひとつよく出していただいて、その中でまた議論してもらうことです。
ただ、1つ気になりますのは、先ほどの○○委員と○○委員がお話しになった温暖化の件なのでございます。私は練馬に住んでいますが、昨年の練馬の大集中豪雨、それから2週間前の鹿児島の集中豪雨のときに、私も現場におりまして、ものすごい雨が降りました。これはシンガポールにおるんかいなと思うぐらいの雨でございました。こういう傾向が出てくるというのを、将来どう考えるかというのは大変難しいとは思うんですけれども、物事を決めるのは確率論できちっとやるのですが、実際にこれをアプライする段階で、そういうものも含めて、ひとつやってもらったらと思います。
数日前の朝日新聞の社説で、この審議会の河川分科会のほうで出した、いわゆるダムと堤防だけではなくて、あふれることを前提にした河川のあり方というものを非常に評価しているというようなこともあります。この川について、どこでどうするかというのは、これはまた県内の問題だと思いますが、そういうことも含めて、ひとつまた議論していけばと思います。
(委員長)  大変失礼いたしました。
それでは、本日の議論は以上で……○○委員、どうぞ。
(委員)  先ほど○○委員が、過去の集中豪雨災害、梅雨末期の集中豪雨、事例として取り上げて教訓にしたらどうかという話がありました。その事例だけ申し上げますと、2003年に熊本の水俣で大規模な土石流災害がありました。それから、97年の針原川。針原川で、これも土石流が出て20人死者が出た、これも梅雨末期の集中豪雨。それから、古くは93年の鹿児島の豪雨災害、そのあたりがモデルになるかなと思います。
(委員長)  では、本日はこれで議論を閉じたいと思います。大変時間は超過しましたけど、それだけ……
(事務局)  恐縮ですが、先ほどのを簡単にだけよろしゅうございましょうか。
すいません、追加資料というのをA3で1枚入れてございます。森林の保水機能の説明のグラフが、第2回の小委員会と第3回の小委員会で2種類出ているのではないかということです。左側が第2回の小委員会の資料でございます。ご指摘は、下の資料4のページ2というものと、それから右側が第3回の小委員会の資料で、これも下のほうの資料3のページ6とか、資料4のページ6が、この右と左がちょっと違うのではないかというものであります。
実は、これは、その上にあります資料3の1のページ5、それから右のほうも資料3のページ1とも同じなのでございますが、これらのグラフは、降りました雨と、それから、山のほうからとか、流域から川のほうへ出てくる総流出量、全部出てくるものをどうとらえるかというので、上のほうでございますと、赤い点と赤い点が書いてあります、この上の水色で塗りましたところが、流域から川のほうへ出てきたものというふうに見てとるんですが、上のやつと下のやつでちょっと絵が違います。下のほうのがわかりやすいかと思いますが、水平に見ております。ある時間から始まって、同じぐらいの流量まで下がったときの全部を見ているんですが、ただ、流量というのは徐々にゆっくり下がりますので、上のほうに書いてあります変曲点とございますが、ある程度下がったところまでを、この雨から出てきた流量というように考える、2つの考え方がございます。
こちらのほうでもうちょっと丁寧なご説明をすべきでしたのですが、第2回のときには、実は資料3の1、上のほうのは今の変曲点をとる方法をとったわけです。それから、資料4のほうは、水平型のものをとっておりました。これでちょっとそれぞれ考え方が違いますので――考え方というか、値としてはそれほど変わらないのでございますが、右側のように、第3回の委員会のものとしましては、全部統一して変曲点のところまでをとるタイプにしたものでございます。内容のデータの元は全く同じでございますし、一定のところから45度に上がっていく傾向も同じでございます。
十分なご説明をしないで、大変申しわけございませんでした。以上でございます。
(委員長)  今後、資料を出すときは、すみませんが、事務局○○が責任を持ってよくチェックしてもらって、変えるときは変えた理由をちゃんと説明するようにお願いしたいと思います。
各委員には本議題につきまして貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
それでは、事務局で本日の出ました議題を整理して、体系的に説明をお願いしたいと思います。また、宿題の出ましたものについても、時間に間に合わせてやっていただきたいと思います。
最後に、本日の議事録につきましては、内容について発言者の氏名を除いたものとし、各委員のご確認を経た後、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することといたします。
  本日の議題は以上でございます。

3.閉      会

(事務局)ありがとうございました。次回の本委員会は、Bグループにつきましては、球磨川水系の審議のため、8月10日木曜日10時から12時の間でございます。場所は後日ご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
また、お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございますが、郵送ご希望の方には、後日郵送させていただきますので、そのまま席にお残しください。
  どうも長時間ありがとうございました。閉会いたします。








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