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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第48回河川整備基本方針検討小委員会

平成18年9月6日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤   徹
委   員   綾  日出教

池 淵 周 一
伊 藤 和 明
岡 本 敬 三
楠 田 哲 也
小 松 利 光
越 澤   明
坂 本 弘 道
福 岡 捷 二
福 永 浩 介
虫 明 功 臣
森    誠 一
森 田 昌 史
潮 谷 義 子


1.開      会

(事務局) そろそろ定刻となりましたので、小委員会を開会したいと思います。まず、カメラの方はご退席いただきますようお願い申し上げます。
 ただいまより、第48回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。
 私、本日の進行を務めさせていただきます事務局○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、お手元に配付しております資料のご確認をお願いいたします。本日の議事次第、名簿、配席図がございます。それから、次に、資料の目次がございます。きょう、資料1でございますが、審議の流れ。資料2、5回目の委員会での審議の補足等。資料3、基本高水ピーク流量及び基準地点。資料4−1、「川辺川ダムを考える住民討論集会」の概要。資料4−2、「住民討論集会」の論点(治水・環境)でございます。資料4−3、論点説明資料(計画高水流量)。資料4−4、現在の治水対策の考え方と実施状況でございます。参考資料が1から7まで、これは前回までお配りいたしています資料でございます。それから、別添のファイルがございます。これも、これまでの審議に用いた資料ということでございまして、皆さんの机の上に置いてございます。
 資料の中に修正が一部ございます。お手元、参考資料3でございますが、5ページを見ていただきたいと思います。こちらに左側の一番上に、一連降雨の頻度分布というグラフがございます。前回お出ししておりましたグラフ、この一連降雨という定義が、ここにございます下から2番目のグラフ、主要洪水における降雨継続時間、ここに一連降雨というのがございます。この一連降雨と、一番上にございます一連降雨、これは前回お出ししたグラフでございますが、定義が違っておりまして、今回、その定義に合ったグラフをその下に入れております。一番上の一連降雨が、洪水の立ち上がりからピークまでの降雨、2番目の一連降雨は、降り始めから降り終わりまでと。この2番目のグラフと、その下のグラフの一連降雨が合っておるということでございます。これがまず1点目の修正でございます。
 それから、もう1つ、同じ資料の7ページをお願いいたします。これは右の下にグラフがございますが、このグラフにつきまして、今回修正をいたします。事前に委員の方にはお送りはしておると思いますけれども。これとあわせまして、コメントも修正をいたしております。
 修正箇所については、以上でございます。資料に不備等ございましたら、お申しつけいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、本日はBグループでございます。○○委員、○○委員は、ご都合によりご欠席されております。
 傍聴の皆様におかれましては、傍聴のみとなっております。議事の進行にご協力願います。
  それでは、委員長、よろしくお願いいたします。


2.議      事

 

(委員長)  ○○でございます。本日は、委員の皆様にはご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 まず、議事に入る前に、地元の方々から意見書や要望書が来ております。既に配付しているものも含め、各委員にはこの場に用意してございます。各委員におかれましては、意見書の専門的な分野については既にごらんになっているところもあると思いますが、本日の審議に際しましては、これらの意見書の内容も踏まえて、ご意見をいただきたいと思います。
 それでは、議事に入ります。前回は、主に基本高水のピーク流量につきましてご審議いただきました。今回も引き続き基本高水のピーク流量についてご審議をいただきたいと思います。
 なお、前回は規定の時間の倍ぐらい時間を食っております。皆様の手当は倍はいただいていないと思います。せめて今回は時間内に終わるように、意見は簡潔にお願いしたいと思います。
 まず、前回の審議での質問事項等について、事務局より説明をお願いいたします。
(事務局)  事務局○○でございます。座ってお話をさせていただきます。
 まず前回の宿題ということではございますが、資料1というA4縦のものをご用意しております。毎回ご用意しておりますものと構成は同じでございますが、本日の基本高水のピーク流量の検討というところを四角で囲っております。資料につきましては、先ほど資料の紹介がございましたように、計画降水流量のうち、現在の状況といいますか、現在の治水対策の考え方と実施状況につきましては、一応ご用意のほうはさせていただいております。
 それでは、資料2のA3の横長のほうをごらんいただきたいと思います。これは、基本高水のピーク流量と計画降雨継続時間の考え方の整理ということでございますが、計画降雨継続時間につきましては、各100年に1回だとか、80年に1回だとかの確率に雨を引き伸ばすわけでございますが、何分、そういう引き伸ばしという仮想のものをやるわけでございますので、あまり伸ばさないほうがいいわけでございますが、洪水のピーク流量に効くところの降雨は、そこだけを伸ばすというために、そこだけ伸ばす部分の時間をどのようにするかというご議論をいただいているわけであります。
 この資料で、左側のほうに、前回の委員の意見を踏まえて、少しこの資料はまとめ直したものでございまして、資料の順番が違って恐縮ですが、2段目の委員の意見というところをごらんいただければと思いますが、1つは、計画降雨継続時間の設定には、洪水到達時間を基本と考え、洪水のピーク流量との相関等については、傍証として考えるべき。それから、洪水到達時間を先に定義し、過去に非常に強い降雨が降っていた時間を確認して進めるべき。それから、洪水到達時間内の降雨の降り方について考えることはよろしいのではないだろうか。それから、ピーク流量を対象とするなら、洪水到達時間を重視することでよいが、調節施設を考えた場合は実際の降雨の継続時間も考えに入れる必要がある。こういうようなご意見がございました。
 総じて、洪水到達時間とベースに考えて、その他のことについても検証・検討するというご意見かと思います。それをまとめましたのが、後先で恐縮ですが、一番左上の考え方というところに書いてございます。繰り返しの部分がございますけれど、洪水のピーク流量はピーク流量発生時刻までの洪水到達時間内の降雨に大きく影響される。このため、基本高水のピーク流量は洪水到達時間、雨が降りましてから下のほうで洪水になってくるという、そういう時間を重視して、計画降雨継続時間を設定する。洪水到達時間を重視しましょうということであります。それから、また、流域の地形や河川の形状と降雨分布等により洪水のピーク流量は影響を受けるため、流域での過去の洪水における降雨や流出特性といたしましては、括弧書きのように、洪水のピーク流量と強い降雨の継続時間との関係、このピーク流量をつくる雨というのはどのくらい、何時間ぐらい降っているものかと。それから、その次に、短時間での降雨の集中状況、そういう雨がどのように短時間の集中状況になっているかということを考慮して考える。
 この球磨川につきましては、前回つけておりますものを少し再整理したものでございますけれども、左3段目にありますように、1つ目の丸、洪水到達時間の検討というのをまず最初に考えますと、流域の大きさ、土地利用状況等の流域の特性等から洪水到達時間を算出する。これは、同じものは(A)(B)(C)でなるべく分けてございますが、左下の(A)と書きました主要10洪水における洪水到達時間を、Kinematic Wave法だとか、角屋の式でやりますと、人吉では8〜11時間、横石では10〜14時間ぐらいかということであります。これをベースに考えまして、なお流域への雨の降り方によって到達時間にもある程度の幅がありますので、以下の方法でも確認ということで、1つは、洪水到達時間程度の短時間雨量の中で、洪水のピーク流量との相関が最も高いのはどうだろうかと、これは真ん中下のグラフでございます。洪水のピーク流量と雨が降りました主要部分の時間でございますが、それを相関係数をとってみたものが(B)のグラフでございます。これは一番高いのが12時間ぐらいで、その他の若干高い低いの部分がその他のところでございます。それから、その次に、過去の大洪水が洪水のピーク流量を形成している強い降雨強度の継続時間の12時間以内ということ、これは右下のグラフでございますが、大体5mmの雨でありますとか、10mmの雨で見ましても、大きな洪水をなしておるものは、12時間とか、それよりも少し短いぐらいのものが支配的であるというように見てとれます。
 こういうことから、従前から6時間単位で計画降雨継続時間は設定を全国しておりますが、そのことも含めまして、12時間ということをこの球磨川の検討の中では計画降雨継続時間というふうに設定を考えたものでございます。委員の意見を踏まえて、ちょっと再整理をしたものでございます。
 次のページでございますが、これは委員の中からお求めがありました中に、昭和40年7月の洪水のタイプというのが非常に大きな洪水、引き伸ばす大きな洪水になってしまうこともございまして、それは棄却といいますか、省いておるわけでございますが、これは、しかし、その地域での非常に主要なといいますか、メジャーな洪水でございますので、これが、仮に先ほどの基本方針の案として前回なりお話を申し上げています、例えば、7,000m3/sであった場合には、どのぐらいの引き伸ばしを逆にしたことになるのだろうかということを出してみてくれということでございました。結果を申し上げますと、下のようなことで、40年ぐらいの雨は、雨はずっと真ん中上の水色の部分でございますが、主要部分、要は、洪水のピークの流量として効く部分は右側のほうの部分でございますけれども、この部分は、ブルーのやつが実績で、この7,000m3/sぐらいというのはどのぐらいにあたるかというと、雨としては1.16倍ぐらいに伸ばしたものに相当いたします。これが1つの結果でございます。
 それから、右のほうは、これは大変失礼いたしました。前回の委員会の中でも、前々回のときにお尋ねがございまして、たまたま市房ダムの流入・放流のお話を申し上げましたときに、ダムの流入量とか放流量というのはどんなふうに見ているのかというか、そういうものを計測なり確認をしているのかというようなお尋ねがございました。一番上の絵でございますように、ダムのほうへ上流から入ってきます量は、青で書きました1貯水量の増減と放流量、要は、入ってきますものから貯めますものを引きましたものが出すという、こういう関係でございますから、手順としては、下の1、ダムに溜まった量を最初に例えば求めます。これは、わかっているものは、貯水、湖の水位はわかっているわけでございますので、ある時間と次の時間との間の貯水が、例えば、これですと10cm増えましたというのが表で書いてございますけれども、10cm増えたのは、これはちょうどこのカーブで見ると12万m3になるということですので、10分間に12万m3貯めたことになると。次に、2の緑の放流量ですが、これは貯水と、それから、ゲートの開きがどれだけ開くとどのぐらいの流量かということをきちんとデータというか、資料として持っておりますので、それに基づきまして、このぐらいの水位で、このぐらい開けば何m3というのを出しております。これらを、先ほどありましたように、入ってくるものと出すもの、差分が貯まるものということで、この前のお尋ねは流入量でございましたので、ダムに貯まった量と放流量を求めますと、流入量は、今の一番下のようなことになりますということであります。
 それから、次のページでございますが、次のページは、委員長のほうからご指摘がございまして、いろんな地元の方から小委員会に寄せられたご意見の中に、こういう資料とこういう資料とで違っているのではないかというのが2点ご指摘がございましたので、その部分について明らかにするようにというようなご指示でございました。両方とも、一番上に書きましたように、当然いろんな計画検討にあたりましては、大まかな状況を把握するため等、様々な条件で試行錯誤をやっているわけですので、最初からこれしかないという計算しかないということは当然ないわけでございますが、こういう途中段階におけるこれらの検討が、必ずしもそういう意味では最終的な結論となっているものではございません。1つの検討過程の試算値です。
 ご指摘がある1つが、左側の相関係数の根拠が、平成13年度報告書と第4回小委員会資料で異なるというようなお話がございました。これは、左のほうに絵が2つございますけれども、そういう短時間、例えば、3時間とか、6時間とか、12時間とか、24時間とか、2日とか、こういう時間内の雨量と洪水の下流でのピーク流量との相関をとりましたもの、左下のやつが前ほども見ていただいているものでありますが、昭和13年の資料によると、12時間、18時間、24時間ぐらいのほうが高くなっているのではないかということであります。これは、当然、前提が少し違うわけで、その右側の表に書いてございますが、上のほうにつきましては、人吉上流域の平均日雨量が概ね100mm以上というものをとらえてございます。合計で言いますと、114洪水ぐらいを見ているわけであります。下のほうは、年最大洪水というのを見ております。これは53年分のデータですので、53ぐらいございます。上のほうに少し評価を書いてございますが、基本高水の検討にあたっては、大きな洪水のデータを使用するというのが基本でございますので、下のほうのようなところで今回お示しをしているわけでございます。いろんな整理の仕方の中では、上のようなものもあるというものでございます。
  それから、右側のほうは、オレンジで書きましたところが少し舌足らずでございますが、「平成12年では」というのは、この下にありますように、平成12年度の報告書ではということではございますが、計画降雨継続時間を48時間とした場合、1/80の洪水ピーク流量は、人吉で6,190m3/sとなっているのではないかというようなことがございまして、この資料そのものは、様々な降雨継続時間、実は48時間だけのご指摘かと思いますが、いろんな時間でやっている中でのものでございます。短いもの、長いものをやっているものでございます。そういう、先ほどの幾つかの検討過程のものでございまして、それから、この場合も、今回と同じように、やっぱり40年7月型の洪水は、非常に大きな流量、この場合ですと、1万3,000m3/sというようなものになってしまうというようなこともありまして、また、そういう短時間の雨量も異常な値だというようなことから、棄却をしているものでございます。いずれにしろ、一番上の黄色のところに書きましたように、いろいろやっている仮定の中で、こういう仮定でやったらどうかというものをお示ししたものでございます。
  次のページでございますが、日雨量と時間雨量の違いについてでございます。これも、委員のほうからご指摘というか、リクエストがございまして、お話は右側の流れのほうをごらんいただければと思いますが、検討の流れの最初にありますように、12時間の雨量データの実績は、昭和28年以降でございます。ところが、毎々、日雨量データとしては昭和2年ぐらいからあると。では、その28年よりも前、昭和2年から27年ぐらいまでの間を、何とかその相関をとって、日雨量から類推して12時間というものを出した場合、どのような洪水の流量になるだろうかというようなお話だったと思います。相関の図は左上に書いてございますが、これは前回もこの委員会の中でご議論ありましたように、必ずしも日をまたいで雨が降ってあったりするものを、日雨量で見ると、別々の洪水というか、雨と見てしまうとか、いろんな原因がありますので、あんまり相関がいいというわけではございませんが、そういう幅を持ったものとしてごらんいただいたとして、結果としては、右下の、こういうデータのばらつきも含めて、幅を見ますと、信頼度95%で見ますと、6,400m3/s〜7,100m3/sになります。これがお求めのお答えでございます。
 次に、資料3のほうに移らせていただきたいと思います。こちらのほうはちょっと分厚うございますが、説明は簡単に可能かと思いますので。一番上に書きましたように、基本高水のピーク流量に関する様々な検証というものを前回お出しいたしました。それらはすべて人吉地点で1/80のときの資料ですね。ものによりましては、萩原、横石のものが入っているものもございますが、基本的にはそういうものでございましたので、それが下流の横石地点、それから1/100というものを追加した場合の、どのような値になるだろうかというようなお話がございました。時間の関係もございますので、前回の資料に追加部分だけを赤字で、これは1ページから7ページまで共通でございますが、書いてございます。
 1ページ目は、現在の工事実施基本計画のときにやりました方法、真ん中上ぐらいに緑で検討1というのがありますが、今あります工事実施基本計画を策定しました昭和40年代当時のやり方で、最近の2日雨量までやったものが検討1です。これの結果が、一番下に1/80と書きましたのは、前回お出ししておりますが、1/100と赤で囲みましたところは、今回新たにつけ加えさせていただいているものでございまして、人吉地点8,900m3/s、萩原地点11,700m3/sと、こういうものになります。
 一方、今度は右側の検討2というのは、今の工事実施基本計画のやりました方法で、最近までのデータを入れましたのと、それから、手法が最近では一般的な貯留関数のほうでやってみたという、これも前回お話も申し上げました、これにつきましても、1/100のを加えまして、一番右下にございますように、赤で囲みましたような値になります。
 次のページは、九州の、たまたま球磨川のほうでは大災害というようなことでは近年ございませんが、先日も、例えば南の川内川だとか、いろんなものがありました。というようなこともあって、平成2年7月の菊池川、次のページには、先日の川内川につきまして、それが同じような雨がこの球磨川の流域に降ったらという検討をお示しさせていただきました。時間の関係で簡単に申し上げますが、右下の赤字で書きましたところが追加させていただいたものでございます。これは確率とかいうものではありませんので、その雨がここに降ったらというものですので、下流の横石地点、八代のほうの横石地点の流量だけを追加させていただきまして、9,300m3/sぐらいになるというようなものを入れております。
 次のページは、川内川のお話でございまして、同様に、左のほうに横石地点の最大流量約12,200m3/sというのを赤字で書かせていただいております。これが前回の資料につけ加えまして、横石地点についても、出してみるとこういう値になります。
 それから、この資料だけは、委員からお求めがありまして、右下にございますが、ちょっと長く書いてございますが、基本方針案でお示ししておりますが、人吉上流域の雨というのは、12時間で262mmぐらいではないかということでお話をしているわけでありますが、これに比べて、この検討ケースでは、下の表のように、12時間雨量が249.8mmというふうに小そうございます。小さいにもかかわらず、流量のほうは7,000m3/sよりも大きい7,800m3/sというふうになっておりまして、こういうのは短時間、もう少し短い時間の雨がそのときどうなっているかというようなことをお尋ねがございました。それが下の表にございますように、4時間の雨量だと129mmで、これは確率年で見ますと、これまでのデータだと1/140だとか、8時間雨量ですと199mm、1/100と。同じように、下流まで含めましたものを次の段に書いてございます。
 次をおめくりいただきたいと思います。次は、過去の洪水痕跡から実際ありました洪水を氾濫シミュレーションしているものですが、これは人吉地点の痕跡でございますので、追加をしてございません。
 次のページに行かせていただきます。5ページ、モンテカルロ法を用いた洪水シミュレーションというのも前回お話をさせていただきました。これは、簡単に言うと、コンピュータの中でいろんな係数で発生するというやり方をしたものでございます。左下に、前回お示ししておりましたのは、1/80で、人吉地点で各手法だとこうだと。全体では、一番下の黄色のところにまとめを書いてございます。これに下流の横石地点では、10,58m3/sぐらいから10,559m3/sだとか、それぞれ1/100のときには人吉地点はどうだ、横石地点はどうだというのを書いております。全体のまとめとしては、一番下の黄色の部分でございます。
 それから、次のページでございますが、モデル降雨波形による洪水流量の検討としてございます。これは、真ん中上ぐらいに山型になったような棒グラフがございますが、1時間の雨量は、80年に1回だったら何mm、それから、2時間の雨量だったら何mm、3時間の雨量だったら何mmというふうなやつをずっと、それぞれの確率のものをつけ足していっているものでございますが、その表は左側に書いてございますけれども、これも右下のように、こういうやり方でやりました結果、黒字のものは前にお示ししたもので、1/80の横石では幾ら、1/100の人吉と横石では幾らというものを、赤字の部分はつけさせていただきております。
 その次のページでございますが、これらを、総括の表も前回つけさせていただいておりますが、総括表のほうで、今申し上げました、基本方針の今回の検討以外に、いろんな手法で大体高水流量というのがどの程度のことになるかという検証をお示ししたわけでありますが、右側の人吉地点のところで、1/100と書いてあるところで幾つか赤い字で書いてありますもの、それから、横石地点(萩原地点)のものにつきましてはすべてでございますが、これらにつきましては、このページの1つ前のページまでのものを全部つけ加えておるものでございます。ものとしては、大体前の流量確率だとか、歴史的洪水だとか、みんな7,000幾らぐらいから、少し別なものですと8,000幾らとか、そういうのが人吉ですし、下流ですと1万弱ぐらいから1万2,000かそのぐらいになっているというのが大体の結果でございます。
 次のページへお願いしたいと思います。これは今までの話題とちょっと変わります。今までは、前回お示ししましたものを、1/100だとかをつけ加えたものです。こちらの最後のこのページのものは、毎々ご議論になっております、基準地点を1地点とした場合と2地点とした場合の比較で、前回、これも似たようなものを出させていただきました。つけ加えておりますのは、右上に委員からの意見というのを、前回幾つかいただきましたものを書いてございます。
 ちょっとだけ読み上げさせていただきますと、台風性は上流を中心に降ることが多く、このような場合には、人吉と横石の洪水のピーク流量の相関は高い。しかし、梅雨性は流域全体とか中流、下流を中心に降ることがあって、下流に多く降る場合には、人吉と横石の洪水のピーク流量の相関が悪くなる。そういうものではないだろうかというご指摘です。それから、同じような話ではございますが、例えばということで、平成18年7月の洪水もそうでございましたし、ほかのもそうでございますが、下流に多く雨が降った場合には、人吉と横石の洪水ピーク流量の相関からはずれており、このような場合もあることから、下流の横石地点についても基準地点とし――私ども事務局の案としては、人吉地点の1地点でと申し上げておりますが――、下流の横石地点も含めて2点で管理していくことが望ましいというようなご意見が多かったと思います。
 それで、その18年7月のものにつきましては、その次の表の2段目の右側、18年のものをつけ加えてございます。これは、右下のグラフをごらんいただきますと、先ほどの委員からの意見というところでございましたように、赤丸で囲みましたもの、青い丸は前回もお示ししたもので、この前お求めもありました赤い18年7月のものも加えたものでございます。これらは、その他のデータよりもちょっと飛び抜けてといいますか、少し離れて下流側が多く出るというような結果ではないかというのが見てとれます。これが、先ほどの委員からの意見のもとにもなっているものです。
 これを、本日もぜひこの辺でご審議をお願いしたいわけでございますが、総括的に、たくさん上のほうに細かく書いてありますのを、大きくとらえたものが左下の表でございまして、事務局的には河川整備基本方針の案として、基準地点は人吉地点で、かつ、確率が1/80ということで、人吉地点の流量が約7,000m3/sと。これは横石も、それが下流に流れていった状況で、周りのほうから集まりますと、約9,700m3/sというものでございます。それに対していろいろお話が出ておりますのが、基準地点を2地点にした場合、それから、確率をどうするかというようなご意見で、下の2段を用意してございます。
 一応以上でございます。
(委員長)  それでは、今説明が長すぎましたが、3時までには仕上げるように議事進行にご協力をお願いいたします。
 資料2ですが、1ページ目は私からの注文で、了解しました。洪水到達時間を主に考えるということ。なお、継続時間でも、右下のグラフのように、大体12時間で収まっているということで、理解いたしました。
 2ページの左側ですが、やっぱり40年災害というのは大変鋭いカーブだったということで、1.16倍伸ばしても簡単に7,000m3/sに届くということで、こういう雨がやはり球磨川に降る可能性があるということでございます。
 ダムへの流入量の問題は、これは○○委員ですが、よろしゅうございますか、この回答で。
(委員)  結構です。
(委員長)  わかりました。
 それから、計画降雨継続時間の過去の報告書での検討、これも私の質問ですが、左側は、要は、100mm以上としたものと年最大洪水で整理したものとの相違ですね。洪水を扱うわけなので、年最大洪水に関係する資料で母集団をつくって整理したということで、これも了解しました。右側の図は、やはり40年災というのは洪水流出が鋭くて、この計算でいけば、13,000m3/sになりかねないということなので、6,100云々という数字とは、かなりかけ離れて大きな数字が出る可能性があるという中で算出したものと理解いたしました。
 4ページは、これは○○委員のほうからでございますが、在席していませんので、後でまとめてご回答いただけますか。では、資料2はこれで了解したということで、なお○○委員には後でまたご意見をいただくということにします。
 それでは、資料3でいろいろ整理されましたが、これらの今までの資料に基づきまして、各委員から意見をちょうだいしたいと思います。できるだけ簡潔にお願いしたいと思いますが、まず○○委員からお願いいたします。
(委員)  ちょっとその前に、前回、私、休んでいましたので、資料2についてもちょっとよろしいですか。
(委員長)  はい。
(委員)  まず資料2の1ページ目の一番下の(B)の図なんですが、これ、洪水のピーク流量と各降雨継続時間の相関比較図となっているんですけど、そうじゃなくて、洪水のピーク流量と降雨量の各降雨継続……
 (「聞こえません」との声あり)
(委員長)  何か雑音が入っているんですね。どうぞ、お話しください。
(委員)  洪水のピーク流量と降雨量の各降雨継続時間ごとの相関比較図だと思うんですね。各降雨継続時間ごとに降雨量とピーク流量の相関をとって、そして比較しているということだと思うので、そっちのほうが正確だと思います。
 それから、さっきダムの流入量の算定方法のお話があったんですが、かなり大きな貯水池になると、多分、上流側からかなりの外力というか、流入量が入ってくるので、水表面がかなり静振と言うんですけど、かなり長周期の振動が出てくるんじゃないかなと思うんですね。この水位をはかるときは、多分、ダムサイトでこれをはかっていると思うんですが、そういう長周期振動みたいなものがあるのかないのか。もしあるとしたら、水位の測定精度はかなり落ちてきます。例えば、ダムの中で数点ではかって、その平均量をとるというような、そんな操作が今後必要になるのかなという気がします。というのは、やはりダム操作の段階で、ダムへの流入量を正確に測定するというのは、これは非常に重要なことなので、その辺について、もし情報がありましたら、また後日でも結構ですから、教えていただきたいと思います。
 それから、3ページ目の、これは委員長からのご質問だったということのようですが、平成13年と今回ので、前回は洪水が比較的大きい、日雨量が100mm以上ということで、そのときの1,500m3/s以上の数が53%、これは大体60個だと思うんですね。今回が、年最大洪水をとったということで、1,500m3/s以上が40個ということなんですが、何で年最大洪水なのかというのがいまいちよくわからない。というのは、年最大だけではなくて、年2番目、3番目でも大きいものがありうるわけですね。また、逆に、年最大でも比較的小さいものもありうるわけで、こういう統計処理では、できるだけサンプル数が多いということは非常に大事になるわけなんですけれども、年最大洪水を機械的にとるというところに、若干根拠が弱いかなという気がするんですが、もしその辺、明確なお考えがあったら、後日でも結構ですが、教えていただきたいと思います。
(委員長)  ちょっとこの図を了解したほうの立場から申しますと、1番のほうは、上の段の表は、下手すると夕立まで入れちゃうんじゃないかと。そういうことで、結論が濁ってくるんじゃないかとなります。ですから、比較から言うと、年最大雨量のほうが、年最大洪水を扱うわけですから、比較とすれば合理的なのではないかということだったと私は理解していますが。今後、継続的に勉強をまたしていったらどうかと思います。
 それから、もう1つありますか。
(委員)  資料3については、特にございません。
(委員長)  それでは、○○委員のほうからご意見ありましたら。
(委員)  この高水水量というのは、いろいろな意見があることは承知していますが、前回も、大体諸先生方のご意見では、7,000m3/sぐらいが無理ないのかなというようなご意見が多かったと思います。ただ、私どもは八代市との関係が非常に深うございますので、その辺についての議論は十分に尽くしていただきたいと思っております。
 以前から、私、安全度の高い計画をつくっていただきたいということを申し上げていますが、ことしも既に、うちの隣の川内川、それから菊池川も大変な氾濫をしたわけですけれども、天体という大きな観点から見ますと、これはもうピンポイントなんですね。その前の水俣もほんとうにピンポイントで、20kmから30kmぐらいしか離れていないところでもって大災害が発生したということは、ここ数年間、人吉は案外被害は少ないですけれども、北と南で大きな災害が発生している。そろそろ人吉の順番が来るのではなかろうかと、今、戦々恐々としているわけですね。どうかひとつ安全な計画をつくっていただくように、改めてお願いをしたいと思います。
(委員長)  それでは、その他の河川工学の先生からお伺いしたいと思いますが、○○委員、お願いします。
(委員)  数点、少しご意見と合意をする上でお話しさせていただきたいと思いますが、この日雨量と時間雨量の違いについてでございますけれども、両者にあっては、この図、相関、なるほどそれなりに出ておるんですけれども、その下にありますように、53洪水中、18洪水で、この年最大12時間雨量と年最大日雨量が異なる日に発生しておるのを見るわけであります。このことは、発生日が異なる雨量が3割強もあるということで、12時間雨量の確率評価をすることに焦点を当てるとすれば、この53個のサンプル数は、確率統計処理をする上では相当数にあたる、53個で1/80という、そういう形の出す上においては、相当数にあたると考えられますので、それから、前の参考資料でも見せていただきましたけれども、確率分布の適応度もそれに見合って安定しているように見えるわけでして、ここでありますような、この53のサンプルで12時間雨量の確率評価をするということでいいのではないかというふうに思っております。
 それから、前回もこの基本高水のピーク流量をいろんな方法、傍証を含めてやられた総括表を見せていただきました。今回も同じように出ているわけですが、この基本高水のピーク流量に限れば、この確率降雨洪水算定法、それから気象条件からの分析、あるいは歴史的な検証、それから流量確率による検証、コンピュータ上のシミュレーション、仮想モデル洪水、そういった幾つかの展開・検討をなされているわけでありますけれども、それぞれにおいて、観点が異なったり、あるいは計算精度や条件設定においても異なっているために、なかなか比較するというふうには難しい面もあろうかというふうに思っておりまして、やはり確率降雨、洪水の算定という、この規定計画におけるその方法で導かれた値、それが流量確率による幅がやや大きいものの、その範囲内に入っているということの検証を重視してとらえるべきではないかというふうに思います。基本高水のピーク流量につきましても、総括、この結果を見ても、基本高水のピーク流量を小さくするという方向ではないというふうに思う次第であります。
 それから、きょうの検討で見せていただきましたが、工事実施基本計画をそのまま継承するといたしましても、雨量資料を追加してみますと、非常に大きな数値が、貯留関数法を含めて展開されておりまして、そういった数字を見せていただきますと、こういった計画値では現実性があるというふうに思いませんので、こういった検討はなされたという扱いでよいのではないかというふうに思う次第であります。
 それから、基準点の問題につきましては、私も前回1点で人吉でいいのではないかというお話をさせていただきまして、きょうもその面は持っておりますが、この下流に降雨が大きく降る場合もありますけれども、表にありますように、人吉地点での計画管理でも、横石地点の通過流量が9,700m3/sと、下流に多く降った洪水をカバーしておりまして、聞くところによると、それを雨で見ますと、安全度が約1/90だということでございますようでして、人吉地点より高い安全度を保持しておるのではないか。計画管理面においても、1基準点のほうがよいのではないかという思いも持っております。基準点を人吉、横石にするにしても、この総括にあります2地点をともに1/80にするには、横石地点が9,600m3/sと小さくなっておりまして、その場合におきましても、やはり2基準点とするにしても、人吉1/80、横石1/100という組み合わせの安全度が望ましいのではないかというような気がしております
 少し資料2、3に関連して、前回申し述べた内容、重複いたしますけれども、そのような意見をさせていただきました。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  ○○でございます。基本高水の流量の算定も、400年とか500年のそういう流量データがありましたら、あるいは、その降雨のデータがありましたら、ここまでいろいろとご説明をいただきましたような手法をとる必要もないわけですけれども、現実は、データをとり始めて我が国の場合には100年弱という、そういう状況にあります。それを考えますと、ここでとられたこの推定手法というのは、現行のものの中ではとり得る手法の最前のものではないかというふうに考えます。
 そういう意味で、安全という観点からなんですが、人間というのは、みずからの生活が安心できるものを願っています。より安全であれば安全であるほど好ましいというふうに考えます。この観点からいきますと、氾濫に関しまして提案されています基本高水の値は、容認される幅に入っているのではないかというふうに思います。ここでは1/80という確率が採用されていますけれども、なぜより安全な1/100でないかという点につきまして、言いかえますと、どの安全確率までがシビルミニマムであって、それ以上のところでは、氾濫源の資産と人名の数に応じてそれ以上高めていくことになるかと思いますけれども、その算定手法というのは、また事務局からお教えをいただいたことはございません。しかしながら、従前の基本方針の例で出てまいりました数値を見てまいりますと、それに照らし合わせますと、ここで提案されている値というのは認めうる値ではないかというふうに考えております。
 また、基準点につきましては、きょうもお示しいただきましたけれども、地域の降雨特性が違うところがあるということから、2点を採用されてもいいのではないかというふうに思います。
 以上でございます。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  きょうの資料と、前回の資料をあわせて考えまして、これまで蓄積されたデータと技術的な知見を駆使されまして、多面的な視点から検討された多くのことが明らかになったということは大変よかったと思います。
  結論的には、計画降雨の継続時間を12時間にとるということ、それから、流出解析の手法につきましては、妥当性が示されたのではないかと思います。
  管理の基準地点数や治水安全度に関しまして、意見を述べます。資料3の8ページに基準地点を1地点とした場合と2地点とした場合の比較というものがあります。これによれば、今までの方法の中で最良と言われる――と思われますけれども――方法で見積もってきたわけですけれども、ここにあります表によって、人吉地点で1/80とした場合には、横石での通過流量の安全率は1/90になるので、事務局案では、基準地点は人吉1地点として、安全度は流域全体で1/80がいいのではないかというものです。
 私は第1回の会議からいつも申し上げていましたんですが、8ページの右下の絵の人吉及び横石地点における洪水生起の特性相関図のはずれた4点の理由につきましては、事務局でいろいろ検討していただき、その降雨の特性の違いとか、地域分布について明確になりました。そういうことで、上流部のほかに、下流部にも大雨をもたらす降雨があって、それによって横石地点がこの大雨の影響、下流部の雨の影響を受けるんだということが明らかになりました。今回の豪雨についても、1/80という計画規模は球磨川にとって、決して大きくない安全度の中で、幸いにも1/80の安全度を超えていなかったということと解釈すべきと考えます。そういうことから考えると、このような下流中心の雨の降り方というのは今後も十分考え得るということだと思います。
 その上、さらに、下流には八代市がございます。そこにはたくさんの人々が住んでおり、資産も多い。これを安全に守らなければなりません。上流の人吉の市街地の守り方というのは、堤防をつくって、そして、人吉市街の氾濫を防ぐという築堤方式を採用しています。上流域に降った雨は洪水となって河道に集まります。人吉では氾濫させないようにして横石を通過させ、八代まで洪水が到達します。八代市は住宅が密集しているところですから、上流の水が集まって来る八代市の安全度は、上流よりも高くある必要があるのではないのかということを、第1回目の委員会から申し上げてまいりました。
 人吉の1/80の安全度というものが十分あるとは思っていませんけれども、それを超える洪水流量というのは、これまで発生していませんので、人吉の安全度は、事務局案の1/80で、基本高水はピーク流量7,000m3/sというのは妥当であろうと思います。しかし、下流の横石では、ただいま述べたような理由から、基準点を設けて、治水の安全度を1/100、この表によれば、基本高水流量9,900m3/sということですが、こういうことで、下流については、横石基準点の水位を見て治水を行うというのが必要なことだと思っております。
 以上から、私が申し上げたい結論としては、球磨川水系の基準点は、人吉と横石の2地点とする。治水安全度は、人吉が今までどおり1/80として、横石は1/100で、基本高水流量は、人吉は、7,000m3/s、そして、横石は9,900m3/sと設定することがよいと思っております。
 以上が私の提案であります。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いします。
(委員)  委員長が資料3からということなので、3ページの球磨川にこの前の川内川の雨が降った場合というシミュレーションをやっていただいた、その右下の委員からの質問というのは、私の質問だったわけですが、これはかなり示唆的な問題を含んでいると思います。というのは、先回も言いましたように、12時間雨量では球磨川の1/80の262mm以下でも、この249.8mmというのは1/50の雨なわけですね。それにもかかわらず7,000m3/s以上、7,800m3/sの洪水が出たということ。この理由は、1つは、そこにありましたように、もっと短時間雨量、8時間雨量とか4時間雨量が効いているということと、もう1つ、ちょっと説明にはなかった重要な点なんですが、これはやはり前期雨量なんですね。前期雨量が随分あるということが効いているわけで、これを踏まえて、ちょっと資料に戻っていただきたいんですが、資料2の1ページ目で、継続時間の設定の考え方というのが整理されております。
 ここで繰り返す必要はないかと思いますけれども、洪水到達時間という概念というのは、水文学ではもう最初というか、非常に前からあった。ところが、それを利用できなかったのは、雨量のほうの解像度が日界の雨量だったためにできなかったというのがあるんだけれども、やっと球磨川で初めて洪水流出の物理的な基本概念がここで入れられたという意味では、実は画期的だと、私、水文学をやっている立場から喜んでいるんです。
 それで、そういう意味で、洪水到達時間というのを基本的な要素と入れたというのは、いわゆる科学技術的な根拠を持った議論になったということなんですが、この設定の考え方の3番目で、ぜひ入れておいてほしいのは、考え方の3です。洪水到達時間だけではなくて、重要なのは、さっきもありましたように、その中での降雨の集中度といいますか、分布なんですが、これに加えて、この括弧の中にぜひ入れておかなければいかんのは、流域の湿潤度なんですね。流域の湿潤度というのは書いてない。これは非常にまずいし、今までそういう議論はいっぱいやってきたんだけれども。これを継続時間として考えるのか、あるいは前期降雨という考え方にするのかは別にして。重要なのは、洪水到達時間という早い流出成分が出てくる期間を決めたということ。その前に、洪水流出が起こるような湿潤度がどれだけになったかというのがもう1つ重要で、さらに、その短時間の継続時間の中での降雨の時間分布、危険側で言えば集中度、それから、流域内での分布なんですね、空間分布。それらが基本的な要素だと思いますので、ぜひそのことはここで明確にしておいていただきたいと思います。
 関連で言いますと、この主要洪水における洪水到達時間という表がございます。Kinematic Wave法とか角屋の式。Kinematic Wave法は1960年代、高棹先生が理論的には出したわけです。ただ、このKinematic Wave法というのは、極めて単純化された斜面、矩形斜面にひと山の雨が降った場合という非常に単純化された条件に対して、理論的に導かれた到達時間なんですね。だから、僕は、これは球磨川流域のような複雑な現実問題には使うべきではないと思います。それで、これだけばらついているんですね。4〜25とか。角屋の式というのは、Kinematic Wave法理論に基づいて、流域の特性を入れて出した式なので、むしろ角屋の式が発展型で、むしろ現実の流域には適合できる形になっています。これは水理公式集をちゃんと読んでいただければ、Kinematic Wave法と書いてあるのは、非常に単純化された条件でやっているというので、これはやっぱりもうこんなにばらついているし、これは入れるべきではないと、これは専門的ですけれども、ちょっと指摘しておきたいと思います。
 それから、資料3に戻って、全般的な話なんですが、この基本高水7,000m3/sをどう見るかという話ですけれども、きょうは議論で出ませんでしたけれども、再々出ているいわゆる気候変動、温暖化のような問題、これはほんとうに現実問題として出てきているわけで、計画論には反映しなくても、少なくともそれは意識の中へ十分取り入れておくべきだということが1点、こういう基本高水を考えるときに。
 それから、あらゆるいろんな方法でチェックいたしましたけれども、やはりこれは皆さんがおっしゃっているように、いずれも7,000m3/sが決して過大ではなくて、むしろ小さいのではないかという印象を与えるような評価になっておって、これは、私、少なくとも、恣意的にこういうことをやっているわけでは決してないということは専門家としてはっきり言えることですので、そういう立場から、少なくとも7,000m3/s以下にするという議論は、これは、工事実施計画との連続性の議論においてもそうですし、つまり、行政責任という立場からもそうです。それから、今回は、流量改訂をやったんですよね、新たなデータを加え、全く新しい考え方を入れて。それがたまたま工実の7,000m3/sと一致したというところが、またちょっと何となく疑惑を持たれる面もあるかわかりませんけれども、実際に新しい方法でやっても7,000m3/sになったということで、これは、この値は非常に妥当であると思いますし、その前提となっている1/80という議論、これも、私個人的にはもうちょっと高い値でもよかろうという気がしておりますけれども、事務局のおっしゃるというか、今まで基本方針を立てる際に考えられてきた実績主義といいますか、実際にそういう洪水を起こすような降雨を経験した場合には改定するけれども、そうではない場合には過去の実績を重視して――実績主義というのは、僕は非常に重要な考え方だと思います。で、1/80というのは、積極的ではありませんけれども、支持したいということ。
 それから、基準点の問題ですが、これはやっぱり基準点とは何かということにかかわっているわけで、流量の評価が、今の事務局のお話では、人吉地点をやれば、下流の八代を含め、横石もその評価の中に入るからいいという、それは洪水の算定の評価の立場からはそうですが、もう1つ、やっぱり○○委員が言われたように、基準点の意味は、どこを守るかというような意味を持っていると思います。そういう意味から言うと、やはり人吉と下流の八代で、これも委員ご指摘のように、40万都市ですかね、下流八代は。上は10万。その差をどう見るかということ。一般には資産・人命が集中しているところを重視するという立場をとれば、基準点を2つにして、全国的なバランスで言えば、やっぱり球磨川が1/80というのは非常にバランスが悪いというふうに私は思っていますし、人吉1/80、下流の八代は基準点に起こして1/100というのが妥当ではないかというふうに考えています。
 以上です。
(委員長)  それでは、それ以外の専門の委員からもお伺いしたいと思います。○○委員、お願いいたします。
(委員)  今回の資料で、ことし7月の川内川に洪水をもたらした降雨が球磨川に降った場合が想定されたという資料が出ておりますけれども、先ほど○○委員が言われましたように、ことしの川内川とか、あるいは2003年の水俣に土石流災害をもたらした大雨、こういったのを見てみると、たまたま最近球磨川を避けて通っているような、そういう印象があります。これはやはりそのときの気圧配置とかかわっているんですけれども、梅雨前線が上下することによって、ほんとうにわずかな違いなんですね。これ、大変予測が難しいということでありまして、大体梅雨期の天候というのは、上下にというか、南北に動くんですね。秋とか春の天候というのは大体西から東へ動くのですけれども、そういった点で、大変予測が難しいということがありますので、いつ球磨川でも同様の豪雨が降り注ぐことになるか、これはわからないと考えておかなければいけないと思うんですね。
 それから、今回、1/100とした場合の計算結果などが示されておりますけれども、最近の雨の降り方を見ますと、非常にランダムに降っている。しかも、各地でピンポイントで短時間豪雨が降り注ぐ傾向が目立ってきていまして、それが今後次第に助長されていくのではないかということになりますと、やはりこの1/100どころではなくて、今後1/150とか、場合によっては1/200というような雨が降る可能性を秘めているのではないかと。したがって、やはり常に安全側に傾けた対策というものを整備していく必要があるだろうということが1つです。
 それから、もう1つ、下流域の雨量の問題ですね。先ほど出てきました、この8ページの○○委員ご説明になりましたけれども、この赤丸、こういうふうに飛び出しているところ。実は川の下流域というのは大きな都市が多くて、最近の傾向として、そういう大都市で都市型の豪雨が降るということが目立ってきております。つい先日も大阪の豊中で時間雨量110mmを超えるという猛烈な雨が降りましたけれども、これは都市のヒートアイランド現象ともかかわっているのではないかと思いますが、やはりそういう下流域には大都市――八代を大都市と言っていいかどうかはわかりませんけれども、そういう都市があることによって、短時間に集中的な大雨が降る。そういったケースもあり得ることを、今後の課題として視野に入れておかなければいけないのではないかと思います。
 以上です。
(委員長)  では、○○委員、お願いいたします。
(委員)  これまでかなりの時間をかけて、また、特に河川工学専門の方が今回も小委員会に多数入られておりますので、専門的な検討は十分にされたのではないのかなというふうに、私は直接河川は専門としておりませんが、そういうふうに考えております。
 それから、今回の中でかなり共通した見解としては、この1/80ということをどう考えるかというのですが、これはやはり必要最小限のものではないのかなというのが、これもかなり一致したことではないのかなと思います。もともと国の行政の役割として、国民の安全・安心というのは、これは非常に大きな責務でありまして、水害に限らず、地震対策も含めて、やはり安全度をより高めるということでずっと来たと思うんですね。特に日本の置かれている地形、自然条件との関係で言うと、それは決して何か過大なこと、余計な行政サービスをするということではなくて、むしろ必要不可欠なことであって、しかも、今回いろいろ整理された資料を見ますと、過去の日本人の古文書の解析というのは、これは大変重要でして、そういうことを含めて、やはりかなり共通した数値が出されてきておりまして、これはむしろ必要最小限の値ではないのかなと、私はこれまでの議論を聞いていまして感じております。
 それと、もう1点は、基準点の問題でございますが、確かに1点にした場合でも、この河川整備計画上は妥当であるということは、多分おそらくそうだろうと思いますが、現実の山間部の上流から一つ盆地があって、また山間部があって、下流の平野があるという、こういう非常に特徴的な場所と、また、これだけいろんな様々検討してきた経緯のある川でございますので、もしこの河川計画を今後も維持していくための行政コストにそれほど差がないのであれば、むしろきめ細かくやられていたほうが、より安心感を高めるといいますか、そういうこともあるのかなという感じもしますので、もしそれほど支障がないようでしたら、複数の先生方からも2地点というご意見も出ていましたので、結果としてはそのほうがやはりこの河川整備基本方針についての地域の理解を得られるので、やはりプラスに働くだろうという印象を持ちました。
 以上、2点でございまして、今回の資料3については、妥当ではないかなと感じております。
(委員長)  それでは、○○委員のほうから、ご意見ありましたら。
(委員)  よろしくお願いいたします。基本高水のご議論、私は十分理解してはおりませんが、印象という形で申し上げさせていただきたいと思います。
 資料3の7ページにありますような、様々な検証の結果というようなものを見させていただくと、この1/80というような数値が、印象ですが非常に小さな値のようにとられているようにみえます。ただ、実績、あるいは、○○委員言われたような観点から、この1/80というのが妥当ではないかというようなご議論ではあったわけですけれども、やはりこのあたりのご説明を我々素人にもわかるような形でまたいただければなというふうに思いました。
 それから、基準点の問題に関しましても、これも先ほどご議論されておりますように、やはりこの資料3の8ページの右下の図を見るにつけ、この4点以外にも、下のほうの数値というのが、また横石地区のものがぽこっと上のほうに出ておりますけれども、こういったようなことがこれから多々見られる可能性もあるのではないか。あるいは、この個数を何個増やしたらいいのかというようなこともいろいろ議論があろうかと思いますけれども、もしそれほどのコストがないとすれば、特にこの地域において、かつ最近の気象条件から何点か細かいデータがあったほうがいいのではないかなというような印象を持ちました。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員) 資料2の降雨継続時間ですが、昔懐かしの下水道では合理式で当然のことです。下水道の合理式は、あくまでも均一な降雨強度をとっています。これが河川のこの大きな流域で適用できるかどうかは知りませんが、まあ少しは、○○委員おっしゃるように、いいのではないかという感想であります。
 それから、洪水の確率ですが、私も前申し上げたと思うんですが、やはり下流まで1/80というのは、どう見ても納得できないといいますか、逆に、なぜ1/80なんだという説明が欲しいと思います。そういう点で、上流と下流を分けて、○○委員と○○委員と同等の考え方に賛成したいと思います。
 以上です。
(委員長)  ○○委員、お願いいたします。
(委員)  私は高水については全くの素人なんですが、この審議会が始まる最初に、上流部の雨量把握というところにちょっと関心を持っておりまして、いろいろ説明を聞いておりました。その把握というのは、相当進んできて、前回の検討より今回のほうが検討がかなり進んでいるなという印象を持ちました。
 地点については、特にございません。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  数回にわたりまして、河川工学の最先端の専門家のご意見をいろいろ拝聴いたしました。また、事務当局におかれましては、資料の作成に大変努力されたような印象を持っておりまして、結論的には妥当なところではないかというふうに考えております。結果的に1/80という数字が出たところは、全国ベースから言いまして気になるところではございますが、特に将来の課題として、先ほど○○委員のおっしゃいました地球の温暖化、それから、先日、きのうまで来ましたカトリーナ級の台風、幸いにしてそれましたが、そういうようなものを将来考えるとどうかというようなところもございます。
 ただ、より安全な施策は必要でございますが、地球のことでございますので、100点満点とはいかないということで、仮にこの数値を超えた想定外の洪水が発生いたしましたとしても、今回、議論に参加されました河川工学の専門家のほうを責めることは、私は酷であると考えまして、今回の数字は妥当ではないかというふうに考えます。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  それでは、簡単に。この球磨川地区のこの検討、今回で6回目ですか、ほかの地域と比べて、相当充実した内容で進んでいると、そういうふうに実感しております。これは、河川を地域的な視点、あるいは国土的な視点、そういった面から見て、国民の安全・安心といいますか、そういったことをしっかりと確保する、そういう哲学のもとに進められていると思いますけれども。この委員会で求められていますのは、もう1つ、行政の効率性、あるいは経済性といいますか、そういった判断をあわせて最終的な決定をしていくということだろうと思っておりますが。
 私は特に球磨川で勉強させていただいたような感じがするんですけれども、先ほど来出ております1/80の確率論の問題、あるいは基準点を2つ、あるいは1つ、そういった問題、高水流量といいますか、それの算定手法の内容といいますか、数といいますか、そういった問題、あるいは、流量なり雨量の算定データ、どこからどこを対象とするか、そういった問題等々、いろいろ私なりにわからない疑問があったんですけれども、相当十分なこの説明資料によって、私なりにも理解ができたというふうに思っております。
 もう1つは、森林の保水能力等の議論もありましたけれども、そういったことも踏まえまして、充実した委員会の運営によって、一つ一つ私の頭も少し整理がついてきたかなという感じがしております。そういう感想を述べて、私の意見にさせていただきます。
(委員長)  ○○委員、お願いいたします。
(委員)  各専門の先生方は、それぞれ事務局当局から出されたご意見、あるいは説明、結論、妥当ではないかというようなご意見、あるいは、基準点については2点、しかし、それは1/80ということではなくて、考慮をする必要があるのではないかというようなことが、今述べられました。
 私は、計画降雨継続時間、これは資料2の1でございますけれど、この中から、1つは、ピーク流量7,000m3/sは、昭和47年の7月の降雨波形をもとに設定されておりますが、計画降雨継続時間を12時間としたことから、これは私はもう前回からずっとこだわっているんですけれども、二山の雨が一山の降雨の形に変わっているということ、現実の降雨波形から大きくさま変わりをしているということ、これはやはり気になるところであります。
 また、河川整備基本方針を策定された全国の河川の状況を調べさせていただきましたが、今回、降雨継続時間は、時間雨量をもとに定める必要性を強く主張されたところでありますけれども、多くの河川が日雨量、それも2日雨量で設定されているという実態がございます。このようなことから、なぜ球磨川流域が12時間に設定されることが必要なのか。専門の先生方は妥当性をおっしゃいましたけれども、私にはいまだに疑問を感じているところです。
 本日の説明資料2の1ページ、ここでは、基本高水ピーク流量は、まず第一に洪水到達時間を重視して設定すると、こういうような形になっておりますけれども、横石地点の洪水到達時間は10時間から14時間となっています。この値は、角屋式の9時間から11時間の平均値の10時間及びKinematic Wave法の8〜20時間の平均値の14時間を単純に幅として示したものでありまして、先ほど○○委員はばらつきがあるということをご指摘を、このKinematic Wave法の中でなさいましたけれども、洪水到達時間としては、この幅を考慮いたしますと、平均値14時間より大きい値、こういった場合があるということです。このような中で、洪水到達時間のほかに、洪水のピーク流量と、それに対して影響を持ちます降雨の継続時間との関係、ピーク流量と降雨継続時間の相関関係も考慮して、総合的に評価を行った結果、横石は12時間が適当と、このように設定されておりますが、より洪水到達時間が長いケース、先ほど申し上げましたように、平均値で申し上げても14時間より大きい値となっているわけですから、それをカバーする必要はないのだろうか。これを踏まえた上で、計画降雨継続時間が洪水到達時間を下回っても、治水計画上問題はないのか。ほんとうにそういったことが、理論的には各委員の先生方は評価をされましたけれども、私は、理論的にほんとうに許されるものなのかという点が、なお説明をいただきたいところでございます。
 また、1ページ右下のところでございますけれども、ここのところも、私は、24時間を超えるものもございますので、計画降雨継続時間は、36時間、24時間など、12時間より長く設定する必要はないのかということを確認しておきたいと思います。
 なお、前回の委員会におきまして、流量を改定した7水系での計画降雨継続時間の設定根拠について質問をいたしまして、国土交通省のほうから口頭で説明をいただきました。計画降雨時間は、洪水到達時間、流量との相関関係及び主要洪水の降雨継続時間をもとに設定したと、こういった旨の説明だったというふうに思いますけれども、一雨降雨の継続時間の頻度分布は考慮されていないのか、再度確認させていただきたいというふうに思います。
 それから、やはり時間分布の棄却理由に関連してですけれども、計画降雨波形の設定、今回の資料にはございませんけれど、前回、引き伸ばしや時間分布の棄却について、私から質問をさせていただきました。そのとき、昭和40年7月洪水と、昭和47年6月の洪水が、短時間雨量の発生確率が極めて大きいと、こういう理由から棄却されているという説明を、事務局のほうから口頭で受けました。具体的な棄却基準については、説明がされなかったというふうに理解をしているところでございます。引き伸ばしや棄却については、科学的に妥当性が証明されているものではないが、現時点では一番合理的な手法だと、このように伺っております。しかし、今回の場合、棄却という行為、このことが基本高水を導く対象洪水を選定する上で非常に重要な意味を持つだけに、私は、球磨川水系における棄却基準について、再度説明をいただきたいというふうに考えます。
 それから、基準点についてでございますけれども、私は、人吉1地点で十分なのか、今なお疑問に感じているところでございます。それは、球磨川は工事実施基本計画のところと現在と全く変わっておりませんで、人吉と八代は狭窄部によって氾濫区域が分断されているという状況があります。そういった意味で、この基準点ということにつきましては、私は2点必要というふうに考えているところでございます。
 それから、治水安全度について、それぞれの先生方から、治水は安全度は高ければ高いほどということが今日も述べられておりますけれど、しかし、その一方の中で、計画規模を決定するにあたりましては、人吉地点も八代地点も、規定計画の基本高水を超える洪水はこれまで発生していない、こういう実績を踏まえながら合理的に決定していくという姿勢が大事ではないかというふうに思っているところでございます。
 皆様方のお話の中で、7,000m3/sも含めて、妥当ではないかというお話がございました。おそらく委員長のほうから総合的な判断が示されるというふうに思いますが、それに先立つ中で、私自身が少し気になるところを申し上げさせていただきます。この基本高水は、これからの球磨川の治水対策、これを進めていく上で非常に重要な項目でございまして、本県で開催いたしました住民討論集会で、9回にわたり、延べ1万2,580人の参加を得た中で、多くの時間を費やして議論が重ねられてまいりました。この小委員会、球磨川に限って丁寧な論議がされているという先生方のお話ございましたけれども、地元でも住民討論集会の中で、そのように丁寧に論議を重ねてきたところでございます。
 そういった中で、工事実施基本計画に比べて、幾つかの点で算出の方法が大きく変わっている。これは、○○委員が決して恣意的なことではないというお言葉もちょうだいいたしました。しかし、多くの県民感情というところで、これまでの論議の中で7,000m3/sということがほんとうに理解されていくのかどうか、また、きょう皆様方のところに住民の皆様たちから意見書が提起されておりますし、委員長からの要請もあって、この小委員会の中で、この皆様たちの意見書が取り上げられた項目もあります。しかし、多くの意見書で提案されている、あるいは提起されている疑問、問題点、こういったことに関しましては、まだ審議は道半ばの感があると私は思っております。こんな中で、この基本高水7,000m3/sが決定されるということになりますならば、私はほんとうにこの点について、もう少ししっかりと国土交通省のほうでも説明責任を住民の皆様方に対して今後とも果たしていくというようなことの重要性があるのではないかというふうに思います。
 また、私は、基本高水の決定、これをこの委員会の中で、プロセスを含めて、学ぶことがたくさんありました。どれほどの正確さ、客観性に基づくものであるか、素人としては、むしろ幾多の疑問、不可解さを覚えたものであります。例えば、引き伸ばし計算、ここのところでのご説明、伺いながら思いました。実績降雨継続時間はそのままにして、降雨量のみを引き伸ばして計算されております。その分、時間的に降雨が集中する状況になり、実績降雨継続時間が短い場合は、洪水のピーク流量が大きく算定される傾向、これが引き伸ばし計算の中から見えております。また、降雨量と流量測定、ここにも疑問を持ちます。降雨量は、実際面積に降った量の測定、これは限界があります。数カ所に設置された雨量計を算出の根拠にしているという説明が、これまで事務局のほうからございました。小さな狭い面積で採取したものが、流域の数十倍、あるいは数千倍の降雨量とみなされていくということ、そこにはほんとうに妥当性、正確性というものを私たち素人は受け取ることができるでしょうか。私はここにも疑問を抱きます。
 つまり、ここのところに既に誤差が生じているということ、これは、ここにおいでの河川工学の先生方は織り込み済みのところだというふうに私は思っております。流量測定も、流下断面積と流速の測定に限界があって、ここにも1割から2割限界がある、誤差がある。つまり、誤差の多い雨量と流量を前提として、流出解析のパラメータ群も、これはもう幾つも幾つも私も見せていただいたわけです、資料の中から。複数の洪水実績が決められています。私はこの表を見ましたときに、理解ができなくて、私どもの河川の専門の職員に、まるで耐震偽装と同じように、幾つも計算の方法があるんじゃないかと、このように言ったぐらいでした。したがって、このような流出解析によって求められた結果には大きな幅があるということも、この資料の中から見つけることができます。また、私は担当の者たちに言いましたことは、普通の自然科学における計算では、このような算出の方法、統計解析分析、これはとても理解することが困難ということを言ったところです。
 この前提で基本高水の計算、これを出すことになってまいります。そこで、国土交通省から出されている『河川砂防技術』という書がございます。ここの6の16ページの中では、カバー率は50%以上というふうに定めています。しかし、今論議をされました中身、あるいは、国土交通省からの資料、それは、カバー率100%、つまり、計算結果の最大値を慣行としている、こういう状態がございます。最大値、基本高水による流域の整備は、膨大な費用、深刻な環境破壊を招いていく結果にもつながっていくと私は思います。もちろん、人の命と財産を守るために、治水対策は必要です。このことは論を待ちません。しかし、今回、7,000m3/s、こういう決定、導き方をされるといたしますならば、私も含めて、県民が今回の結論を是とするかは、甚だ疑問と言わざるを得ません。
 森林保水力につきまして、この委員会では、考慮に値する、その数値が科学的に確立されていない、このように言われました。そして、それはそれとして私も受け止めさせていただきました。しかし、基本高水を積算していく、その根拠性の中にも、私は非常に大きな幅や誤差の範囲に基づく数値、これが裏づけの中に使われているのではないか、そのような疑問を持ったことは率直に事実でございます。新河川法では、樹林帯を水害防備林として位置づけております。氾濫水、あるいは、非常に破堤した場合の水を低減させていくという治水機能、これがあることも明記しております。計画的に明確に保水力がとらえられていないという現状は認識しております。しかし、やはり私は、今回の結論の進め方の中で、策定される基本的な項目に関しまして、河川整備基本方針の新たな基本高水については、国土交通省において、県民に対して、その経緯も含めて、わかりやすく十分に説明する責任があると考えております。今後様々な機会においても、決定に至る経緯を含めて、国土交通省に説明していただくように、県としてはお願いをいたします。さらに、基本方針策定後に検討されます河川整備計画の策定に際しましては、流域委員会を設ける。このことをしっかりとやっていただきまして、住民討論集会、そして県民の意見、ここを十分にくみ上げていただくようにお願いいたします。
  私の感想も含めて、素人としての立場から述べさせていただきました。
(委員長)  専門的なお話が挙がりました。
 それでは、事務局から、質問のあった点については答えてください。
(事務局)  まず、資料2の1ページの関係で幾つかお話がございました。
 例えば、洪水到達時間の左下のところに、10〜14時間とかありますので、14時間みたいなものも、12時間という中では見なくていいだろうかというようなお話。それから、真ん中のものにつきましても、もう少し上の時間でも高い相関ケースがあるかもしれない。それから、一番右下のところでは、5mmとか、そういうもの、一部30時間とか、こういうものがありますというようなところで、そういうものも見なくていいのだろうかというご指摘だったかと思います。
 基本的には、先ほど来申し上げておりますように、洪水到達時間というのを、前回までのご意見も含めまして重要視しておりますが、その結果が左下のものでございまして、これが今の8時間から11時間とか、10時間から14時間というものでございます。基本的には、計画降雨継続時間そのものも一般的に6時間単位、例えば、6時間、12時間、18時間、24時間、そういうふうな整理をしていく中で、12時間という整理がよろしいかと思っております。これを、左側のことだけではなくて、右のほうの下のやつで見ましても、一番右下のものは、これは30時間のものがありましても、ここで求めたいのは洪水のピーク流量を求めるのが目的でございますから、そのようなものに対応した強い雨というのがどのくらいのところ降っているかを見ましたときに、12時間ぐらい、もしくは、それよりも少ないぐらいのものが圧倒的に卓越している。だから、そういったものが最もこの地域の特性として見れるのではないかというものであります。
 このときに、しかし、6時間ぐらいとか、もうちょっと短いものでもいいんじゃないかというのが実は右下で見れるのでありますけれども、真ん中の(B)の下なんかを見ますと、逆に、12時間、6時間のほうなんかは相関が悪い。12時間ぐらい、それから、右のほうも少しでこぼこはございますけれども、あわせて考えると、右2つを見ますと、12時間のものがこの地域の特性としては一番卓越しているというものを選択しているものであります。これが、先ほど左で申し上げましたような、10〜14時間とかやっている中での6時間単位で見ている中では、12時間がよろしいかと思っております。加えて、先ほど○○委員のほうからは、Kinematic Wave法よりは角屋の式というものを重要視すべきというお話もいただいたところでございます。
 2つ目のお話で、先日、流量改定の7水系につきまして、計画降雨継続時間の設定根拠につきまして、一雨降雨といいますか、一連の降雨の継続時間の頻度分布というのは考慮されているのかというようなお尋ねだったかと思います。事実関係から申し上げますと、この7水系のうち、庄内川と高津川を除き、全部その他のものにつきましては、そういう一連の降雨の頻度分布というものを整理してございます。これは、これから今の降雨継続時間だとかを求めるというのではなくて、短時間の集中した形とか、この球磨川のように、だらだらと長く降るというようなものであってとか、そういう様子を見るためにこういうものを整理しているのでございまして、これから流量を出そうというものではございません。
 こういう中で、幾つかの例といいますか、庄内川みたいな川は、実はここは台風性の雨で洪水が起きております。台風性の雨というのは、大体非常に固まった降り方をしておりますので、庄内川の東海豪雨、数年前の東海豪雨でも、大体ちょうど降雨全体が24時間になっておりますが、ちょうどこれが今の一連の降雨としても24時間ぐらいであるし、洪水のピーク流量を考えるための雨としても24時間ということになっております。申し上げているのは、一連の降雨というのを、それをもとに算出はしておりませんが、一連の降雨というのが、ちょうど全体のピーク流量を出すものと一致しているものもあります。逆に、球磨川みたいに梅雨前線性のものは、だらだらと、台風のように一過性でございませんので、だらだらと降りますもの、これはほかの川もそうでございますが、こういう場合には、全体の一連の降雨というのは長くなって、しかしピーク流量に寄与するものは短い、そういう傾向でございます。
 3点目でございますが、棄却のお話がございました。棄却について明確な基準というものを設けているものではございませんが、今の12時間のやつで棄却になっておりますのは、毎々ご説明しておりますように、昭和40年7月型の洪水でございます。これは、実際棄却しないで検討いたしますと、大体約10,000m3/sぐらいの洪水になります。今、7,000m3/sぐらいではなくて、10,000m3/sぐらいの洪水になります。これを、なぜこうなるかという原因をずっと調べていきますと、毎々お話が出ております、短時間の雨量は実に1/30,000だとか、ちょっと信じられないような、基準だとか、そういうレベルではなくて、とてつもなくあり得ないようなものになっているということが判明しております。このようなことから、こういうあまりにも異常な短時間の雨のものにつきましては棄却をしたというものであります。前回の口頭で話がありましたがということでございましたが、前回ちょっと触れましたのは、もう少し長い、例えば、数十時間とか2日雨量ぐらいのときでも、40年7月だとか47年6月型のものにつきましては棄却になってしまいますと申し上げましたが、これらも洪水の流量にいたしますと、10,000m3/s近いものになってしまうというものでございますので、これも原因を調べてみると、同じように、短時間の雨は非常に異常な数万分の1とか、ものによりましては数百万分の1という異常なものが出ておりますので、それで棄却しているというものでございます。以上、そういうようなことで、棄却そのものが目的ということではございませんで、この水系として棄却をしません場合は、例えば、10,000m3/sぐらいになってしまうものを省いているというものでございます。
 以上でございます。
(委員長)  そのほかで幾つかまだございましたね。ちょっと先生方から、雨量観測所の数点で流域雨量が推定できるのかとか、流速をはかっただけで流量が算出できるのかとか、そんなので――耐震偽装という言葉もありましたけれども、その辺についてどなたか、○○委員、解説していただけますか。
(委員)  そういうふうに言われると、おっしゃるとおりで、雨も普通は雨量計を幾つか置いてはかると。空間的に本当は測りたいんだけれども、やっぱり点の平均でしかやられていない。レーダー雨量計というのは、熊本にもあるんですが、それでレーダーの反射強度から出すというような、いろんな努力をしています。ただ、今、球磨川には雨量計は幾つあるんですか。いつか資料で出ていると思いますけれども、結構上流域にも……
(委員)  4カ所ぐらいですか。
(委員)  4カ所、そんなことないでしょう。
(事務局)  球磨川は35カ所ぐらいですかね。
(委員)  そうでしょう。最近はとにかくできるだけ地上にも雨量計を置くようにして、三十何カ所かわかりませんが。それと、例えばレーダー雨量計と対応しながら、空間的な雨量を求めようと努力しています。それから、洪水流量にしても、やっぱり部分的なサンプリングなんですね。流速をはかるにしても、河川の全断面でははかれないと。
 そういうことで、できるだけ精度を上げようと努力しているけれども、もともと全体量を押さえるという手法を我々は持っていませんから。そういう意味で、例えば、雨量と流量とつき合わせて、これはいいであろうとか、クロスチェックを入れながらやっているわけです。それは、ほんと、真値をつかめないんで大変なんですが、ただ、ほかの分野、例えば、ナノエンジニアリングをやっている人から、「よく雨と流量の関係がつくね」と。つまり、相対的な精度で言えば、こういう非常に大きな現象で、複雑な現象で、他分野のほんとうに物理を扱っているような人から見て、劣っているとは見られていない。我々の分野は、対象そのものがそういうものであるということで、そこはほんとうに弱いけれども、解決の手段は現状ではないということなんですね。昔からいろんな議論がされていますけれども、やはり両方のつき合わせ、降雨と流量の。ちゃんとやれば、1割程度の誤差には収まっているだろうと。それは、相対誤差としては、こういう現象としてはそんなに過大なものではない。それを前提に議論しているということです。
 それから、先ほどの洪水到達時間の話ですが、そればっかり強調したので、ちょっと誤解があったのかなという気がするんですね。洪水到達時間というのは、流域が十分湿って、上流から下流へ到達するときに、その時間のことを言っているんですね。だけど、その前に、まさに流域が洪水が出るような条件になるという、つまり、十分湿潤をするということを考えれば、当然、今までも2日雨量とか、あるいは、流域の湿潤状態を考えるんだったら、例えば、先ほどのいい例が、川内川の例なんか見ますと、資料3の3ページ、これだと、もう湿潤状態に達するまで4日ぐらいの雨量を評価すべきで、実はこれはやっているんです、実際に。2日雨量というのは、先ほども言いましたけれども、古い資料は9時から9時に人が雨量計から見てとるというようなデータをとっていたときには、時間データが得られませんから、そういうものでは短時間雨量の議論ができなかった。それが、今は53年分、時間雨量を使うようにできたから。で、その2日雨量という概念の中に洪水到達時間があったかというと、多少はあったんですね。これで2日雨量がこの流域の洪水に効くであろうと。で、2日雨量のところも、1日もあるし、3日もあるんですが。だから、日単位でしか、いわゆる継続時間なり到達時間的な考えはできなかったけれども、時間雨量がとれるようになったので、そういう細かい議論ができるようになった。
 ただ、洪水到達時間が洪水ピークを決める重要なパラメータとしても、より継続時間が長い雨を決して捨てるわけではない。そこはぜひ事務局も強調しておかないと。その洪水到達時間の前の状態というのは、これは今までの2日雨量とかの概念ではなくて、やはり湿潤度をある程度高める前期降雨が重要です。先ほどの3ページの図も、集中度が高い、4時間雨量、8時間雨量が非常に強いから大洪水が出たということもあるんですが、これは湿潤度によって影響されていて、むしろ前期降雨の条件が洪水の大きさを決めるという、これも非常に重要なことなので、それも一緒に考えていけば、決してより長い継続時間の雨を捨てているというわけではない。これはぜひ事務局のほうでも強調していただければと思います。
(委員長)  先ほど○○委員から、国土交通省の責任、説明責任ということを非常に強く言われまして、これは私も同意見でございます。それらを踏まえて、この課題については、既に3回議論をいたしましたので、私としては、まず、一委員として私の意見を申し上げて、その上で私から総合的意見が述べられるだろうということですので、私から集約した意見を申し上げたいと思います。
 私は、住民討論集会の追体験ということで、この審議会を運営してまいりました。見るにつけ、読むにつけ、大変ダム建設派とダム反対派の激突で、○○委員も大変苦慮されたということはよくわかりました。なぜこうなったんだろうと、私、疑問を持ちました。なお、賛成の意見書も反対の意見書も来ております。特に反対意見書については、私は注意深く読んだつもりでございます。水害被害者の体験による反対というのが8件でございますが、1件あたり複数の方が出ておりますので、延べ人員は相当数に上る方が体験談から反対されています。それから、2番目に、技術的理由による反対というのが23件来ております。それから、環境上の理由というのは、まだ審議へ入ってないのでしょうか、4件。それから、信条的には反対というのが17件でございます。
 まず1番目の水害被害者の体験についてですが、私も、前に申し上げましたが、水害の経験者でございますので、体験から出た反対については謙虚に拝見いたしました。
 1つは、前日来の雨で既に床上浸水の最中に、「市房ダムが放水されますので十分注意してください」という消防署の広報車の声。私たちはもう浸水しているのにダム放水は何かの間違いではないか。要は、なぜ水害に追い打ちをかけるようなことをするのだということでありましょう。
 人吉の市議の方か、伝聞で、当時の市房ダム管理所長、この方は災害翌年の41年4月に人吉市の土木課長になった方だそうです。その人に聞いたら、「大雨のため大量の水がダムに入ってきたので水門を開けた。下流に迷惑をかけたので首になった」とおっしゃったそうです。ですから、聞いた方は、ダム操作に原因があったのではないか。だからダムは危険なのではないか、こういう感想をお持ちになったと思います。
 市房ダムができてから、放水のときは必ず球磨川の水位が上がってから放水が始まる。放水のときはサイレンが鳴る。なぜ水位が上がるときにダムは放水するのかねというご意見だと思います。
  昭和40年災害で、翌日には市房ダム放水のミスが指摘された情報が流れ、ダム放水と水害との関連に疑問がある。ダムが洪水予防という任務を果たすことは全く不可能ということを証明した結果であるというお話もありました。
  40年災害後、現在の川幅を100mぐらい拡張しないと水害防止できないということで、建設省は入っていった。所有地の8割に達するので交渉は難航したけど、土地買収に応じてくれたら大水害に確実に対応できる堤防と河川改修を確約するということで、幅70m、長さ1,200mの堤防を設置した。もう安全だからダムは要らないということのようですが、おそらくこれはダムと堤防とをあわせての本来の計画であったわけですが、その説明が地元になされていないのではないか。
 それから、市房ダム管理所放日誌に放流量、時刻の記載はあるが、流入量の記載はない。何十年前の記録で保存していない。隠したのではないかと、こういうことですが、先ほどの説明で、流入量は放流量とダムの水位から計算ができるものでございますから、流入量が書いてなかったとしても、さしずめ不思議ではない。放流量と水位が書いてあれば、いつでも計算はできる。
 前回の説明で、水位は低下させなかったと事務局から説明がありました。水位が低下しない限り流入量よりも放流量が少なかったことは明らかです。これは、ダム管理所、現在熊本県管理ですが、そこの資料からそれが言えたのだと思いますが、それが住民に伝わっていない。
 それから、人吉新聞では、郡市民、これは球磨郡、人吉市民でしょうが、台風襲来は早くからわかっており、事前に放水して、洪水時の放水を避ける方法はとれなかったのか。
 また、当時の助役さんが、ダム管理規則の利水偏重が追求されたのだから、臨機応変の非常事態の処置はとれるようにするべきであった。これは、多目的ダムが治水と利水と相反する目的を追求するがゆえに、洪水時に利水に偏重した操作があったのではないかという不満だと思います。
 それから、人吉新聞では、管理所からの連絡で、増水のため市房ダムは満水に達し、危険の事態が予想されるので、避難の用意を頼む。危険の事態イコール最悪の事態イコールダム決壊とダム職員も避難したとのデマも飛んだ。災害の最中に大変いろんな情報が駆けめぐって、それが依然としていまだに払拭されていないのではないかということであります。
 それで、このような認識が長い間放置されてきたがゆえに、純朴な熊本県民がダム反対ということに声が大きくなったんだろう。まさに国土交通省なり、当時の建設省、あるいは出先の九州地建が、この災害直後からの住民の不満に対して何も対応していなかったのではないかということを私は感じました。説明責任という意味では、これらの40年間たまりたまった認識の差を埋める必要があり、当然に説明責任は避けられない。また、委員会としても、結論としては、それを義務づけたいと思います。
 それから、2点目の技術の問題ですが、私はこの問題については、技術が果たすべき安全確保義務、それから、社会が受け入れることのできるリスクレベルに関する認識が全く欠落していると思いました。
 技術の安全確保義務、これは鉄道・旅客機、大規模化学プラント、あるいは原発と、住民、あるいは使用者の生命に危害を及ぼす恐れのある工学体系では安全工学として既に体系化されているものであります。
 私は安全工学の大家にご指導を得たときに、日本には八百万の神はいても、安全の神はいない。つまり、絶対の安全はないと。要は、危険の程度が高いか低いかである。それで、いかに危険の程度を下げるかということが安全工学であります。
 NHKの「プロジェクトX」でYS−11の誕生物語に、これをアメリカの航空局が認可するかというときに、試験パイロットが来て、YS−11の離陸時に片側のエンジンを切っちゃったそうです。で、片側のエンジンを切ったまま飛び立てたので、これは認可するとなった。おそらく1回の試験飛行、2回の試験飛行、10回やっても安全に離陸できるのではないか。つまり、その程度の安全であればいかがかと思いますが、人を乗せるときには、それでは乗せないですね。やはり2つのエンジンがしっかりしていなければ人は乗せない。人命を預かる限りはですね。ですから、過去のわずかな経験で安全か危険かということを判断すべきではない。人命を預かる限りは、さらに安全度の向上を期するべきである。
 それから、鉄道の事故回避技術で、車両の事故ではなくて、信号の事故でも全線止まります。上りの信号で事故が起きても、下りまで止めます。これは、何万人の足を奪っても、人を殺すような事故は絶対起こさないという安全システムだと思います。新幹線開業以来、人身事故ゼロを世界に誇っておりますが、その運行責任者で東日本の会長までやられた方の本を読みますと、今まで大事故につながる恐れが3回あった。1回は車軸事故、車軸が破損しちゃった。走っている最中にがたがたするんで、車掌が慌てて止めてみたら、車軸が折れていた。もう数百m走ったらえらい大事故になったかもしれない。つまり、どんなに安全と言っても、危険は忍び寄っている。
 したがって、今回の意見書の中で、手順が間違っていなければ低い安全度でいいではないかということが何度も提案されました。この提案は、基本的に、工学を扱う者として、工学に従事する者としての、安全確保の認識が欠落しているのではないか。森林の保水力向上に期待して、5,600m3/sから6,000m3/sでいいではないか。基本高水が低く出るデータを採用して、人吉は5,000m3/s台後半でもいいのではないか。国土問題研究会では、一般的に言って、現在、我が国の治水計画は高すぎると思われるほどの安全を確保するために、基本高水のピーク流量を過大に設定する傾向にあると言う。
 やはり、過去何十年間か起きていないから今後も起きないということは、自然現象に対する限りあり得ないわけです。だからこそ、他の工学では安全工学というのが体系化されています。河川工学もまだその途上段階であります。これらの説明が実はあんまり体系的でないので、いろいろと誤解を招くのだと思いますので、しっかりした論理を構築して説明をしていただきたい。
 それから、社会が受け入れられるリスクレベルの問題であります。これは危険が発生した場合に起きる損害のことです。100円の馬券を買ってきた場合には、外れるかもしれないので、この100円というのはリスクです。飛行機に乗って落っこちる恐れがあるので、これもリスク。鉄道に乗った場合に事故に巻き込まれる恐れがあるので、これもリスク。たばこを吸って肺がんになる恐れもリスク。登山をして滑り落っこちて死んじゃう恐れもリスクです。球磨川の氾濫区域で水害に遭うのもリスク。
 このリスクについて、2つに分けられると思います。個人が自己責任で選択可能なリスク。馬券を買ったらもうかるかもしれん。100円損するけど、うまくいったら山を当てられる。飛行機に乗ったらやっぱり便利だね。1日2日かからなくても、簡単に2時間ぐらいで東京へ行ける。たばこを吸って肺がんになると言ったって、気持ちいいもんね。登山したら、やっぱりいい気分になるね。これは、個人がそれだけのメリットがあるから、自分に納得して、自己責任において選択しているレベルであります。本人が納得してそのリスクを受け入れるんです。リスクレベルは高くなります。
 ところが、水害のリスクというのは、誰も望まない。メリットのない強制されるリスクです。リスクレベルは限りなく低いことが求められます。ダムがない球磨川はいいねと一個人が選択しても、水害リスクを社会全体に強制できるかというのが私の考え方であります。水害リスクというのはだれも望まないから、おれはダムは要らないよと言っても、じゃあ、他人に、住民全体に安全度を下げることは強制できないのではないか。だからこそ、この委員会で全国の水系との比較において議論しているんだと思います。
 それから、環境上の問題については、今後議論があると思います。
 信条の問題については、さっきのリスク問題について申したとおり、もっと社会全体共有の認識を持っていただきたいということです。以上で私の個人的な意見を申し上げました。
 一応ここで委員長としては集約したいと思います。従前審議してきた他水系と比較して、球磨川の治水安全度を格別下げる理由がない限り、妥当な水準と見なせるように結論を集約したいと思います。説明責任の問題は、先ほど言いましたように、深刻な問題なので、住民の不安を理解して説明に努力していただきたいということを、委員会としてもお願いしたいと思います。
 それから、基本高水については、ずっと皆さんからもお話がありました。昭和41年につくったときは、日雨量36個、時間雨量データ12個で1/80を想定するんですから、大変厳しい状況でつくったと思います。そのとき7,000m3/sという結論を出したわけでございます。40年間7,000m3/sで皆さんに約束して理解をしていただいてきた。ただ、その後、おそらく9回も住民討論集会で2日雨量で説明してきたのが、急に中身が入れ替わったじゃないかというのは、まさにおっしゃるとおりです。これは説明責任の中でしっかり位置づけていただきたいと思います。
 ただ、じゃあ、これだけデータが出ているんだけど、昭和41年のそのまま7,000m3/sで、この委員会は結論出すのかねということについては、これだけデータがあるのでいかがかなと思います。工事実施基本計画を見てみますと、その後の資料を追加したところでは、8,600m3/s。7,000m3/sと言っていたのが8,600m3/s。委員会として結論を出すにはあまりにもいきなり飛躍しているので、非現実的だと思います。それから、単位図法から貯留関数に変更するとすれば、9,900m3/s。大変過大で非現実的であります。それらもあって、これまで提案してきた7,000m3/sを中心に、これは専門家もいますけど、専門家でない方も含めて、大臣から委員を仰せつかっている上では、今までの7,000m3/sとの関連において、上か下か、何れが妥当かという判断が、おそらく一般的な皆さんの判断だと思います。
 今回、降雨継続時間というのが突如として出てきたという印象はぬぐえない。過去何回かやりましたけれど、まだ少数派であります。それは、やはり利根川等で昭和30年代に日雨量が5、60個の資料、時間雨量10個程度でやってきたと。それで、利根川では日雨量がそろそろ100個以上、時間雨量が5、60個ぐらいになりますから、日雨量と時間雨量を組み合わせている。この球磨川では、時間雨量が53個、日雨量77個というと、統計学的にはそんなに有意の差がないので、時間雨量でやろうという事務局の意図は理解できるところであります。
 出した結果が7,000m3/sぴたりというのは、正直言って、えーっ、何としても心情的にわからないというのは、非常にうなずけます。むしろ、ちょっと外して出してもらったら委員会の審議がおもしろかったんです。おそらく7,100m3/sと出たら、ほとんどの委員はよかろうと、今まで7,000m3/sだったけれど、7,100m3/sだったら安全度はそれぞれ守られているからということになったでしょう。6,900m3/sとなったときに、おそらく何人の委員が納得するでしょうか。7,000m3/sを6,900m3/sに引き下げる説明責任を果たせる資料はあるのかということで、審議は大変になったかと思います。
 そういうことで、実は棄却の議論も、何万分の1とか、いろいろ事務局はおっしゃるんですけど、答えを見ながら後から棄却しようと思ったら、そういう理由が出てきたということだろうと思います。この辺は説明責任の場で注意深く説明していただきたい。第1位の40年災は、非現実的に大きすぎるので棄却した。第2位がちょうど6,997m3/sだった。じゃあ、第3位の5,637に決めようとしたら、おそらく委員の皆さんも、他の水系との安全度の問題で、異議ありということになるのかと思います。
 そういうことで、私としては、総合的な判断として、結論が7,000m3/sだからというのはありますけれども、従前、この水系で確保してきた安全度の水準は落とさないということで決めたいと思います。
 それから、基準点の問題ですが、委員の大半は2基準点を支持しました。私も同じですが、例えば、人吉と横石がともに氾濫せず流れた場合、これは計画内でよかったよかったということで、みんなハッピーであります。人吉も横石もともに氾濫しちゃった場合、これは財力、資力、技術力を費やしても、不可抗力だったねということで、人吉の方も、横石の方も納得してくれるんだと思います。人吉が氾濫して、横石が氾濫しなかった場合、人吉は上から洪水が来るわけですから、その上から来る洪水を対象にする計画としては、残念ながら不可抗力でしたねとわかっていただけると思いますし、横石の方は、安全に流れたんだから不満がないということだろうと思います。人吉が氾濫しないで、横石が氾濫した場合は、どう思うんでしょうか。横石の方が、人吉を全く河川改修せずに、昭和40年の状態に置けば、あそこに人吉ダムがあって氾濫しているわけですから、おれのところにそんな洪水は来なかったかもしれん、人吉を改修した責任をおれたちに押しつけるのかという意見が出ても不思議はない。そういう方はいないとは思いますが、そういう批判もあり得るので、事務局は1/90相当と言っていますが、横石は1/100、9,900m3/sとする案が、当委員会としては、全国の一級水系との比較において妥当ではないかということで取りまとめたいと思いますが、ここで○○委員、ご意見があったらよろしくお願いします。
(委員)  今のご意見ですと、人吉は計画規模1/80、八代は先生方のご意見の中で1/100という、そういう論議が出ておりますけれど、しかし、これまで、さっきもちょっと触れたんですけれど、全国の河川の複数基準点の設定状況の中で、球磨川水系と同じように、狭窄部によって氾濫区域が分断されているということで、基準点を複数有している水系、これが5水系あるわけなんです。
 その中で、本川で計画規模が違う基準点を持つ水系、これは1つが庄内川と富士川です。その理由の中にありますのは、庄内川では、多治見市を含む上流域に35万人、それから、名古屋市を含む中下流域には370万人の人口が集積しているということで、明らかに流域の状況が球磨川とは違う、そういうような状況があります。
 それから、富士川については、人口としては同等ですけれども、上下流間に支川、早川、大変大きな支川ですけれども、これがありますし、基本高水が8,800m3/sと、それから1万6,600m3/s、大変大きな違いがあります。そういった意味からすると、この富士川の場合は別河川と、そういう取扱いをするということが妥当というふうに判断された所以だと伺っておりますけれども、こういったことから、仮に治水安全度を、先生方の中で、この八代、人吉違えてと、異なる計画規模を設定するというようなことでありますならば、これまでに発生した基本高水、人吉で7,000m3/s、八代9,000m3/sを超えた実績がないという、この部分を私たちはやはり重視します。1/80ということではなくて、そういう形になったときに、もっと合理的な理由を明確に示すということが必要ではないのかというこだわりを持ちます。2地点、1/80というのが妥当ではないかと私は思います。
(委員長)  球磨川は、今の庄内川と全く同じケースだと私は理解しているんですけれど、庄内川も多治見盆地で、ただ、人口は35万と下流名古屋は370万ですね。こちらは、人吉が10万程度ですか。下流が40万とか。そういう意味では、やっぱり狭窄部がある。たしか庄内川も、上流は1/100と、下は1/200といたしていますから、全く同じケースとお考えいただいていいのではないかと思います。
 それから、やっぱりこだわるんですけど、今まで出てないじゃないかという点については、大変私もこだわりまして、歴史的洪水、それは寛文何年、正徳何年で、実際にはわかりませんけれど、痕跡はちゃんと伝わっているわけです。何かの拍子にそこまで来るということはあり得るわけで、たまたま我々が生きている間はなかったということなので、そこは安全工学を専門とする私としては、意見がございます。
(委員)  委員長のご説明の中で、安全工学的な部分のご説明、大変説得性があります。私もそのことに反対をするものでは決してありません。しかし、先ほど述べましたように、こういったことに関しましては、今は最大のところ、カバー率、これを100%という形の中でとらえているわけでありまして、国土交通省自らが50%以上をカバーするというようなものであれば是であるということも、一方で、この本の中では示していらっしゃるわけでありますので、私は、そういった意味では、1/80というのもあながち安全度を無視した算出の結果ということではないのではないか、そのように思っておりますので、地理的状況、それからこれまでの実態、それからカバー率の問題、そういったことを含めて、2地点、1/80ということでいいのではないかと思っております。
(委員長)  カバー率は、事務局から答えてください。
(事務局)  おっしゃられた河川砂防技術基準の解説の本は、かなり昔のものでございまして、現在カバー率というものは、基本的にはとってございません。詳しい説明はちょっと時間がかかりますので。
(委員長)  それから、上流1/80、下流1/80とした場合、私の論理では、人吉を改修しなければ八代は助かったかもしれん、全くやっていなければ下流1/80でいいんですけれども、上流で昭和42年以来、堤防をつくって、いわば人吉ダムを1つつぶしているわけですから、その洪水は確実に八代に押し寄せるわけなので、下流のほうの安全度を高くするのが基本的だと思いますし、そういう理由で、庄内川でも、上は1/100、下は1/200とした次第です。
 これは、やっぱり説明責任の段階で、上流の○○委員なんか、おれのところも1/100にしろという気持ちがあるのを押さえているんでしょう。やっぱり上下流関係で、どっちかというと、下流が被害者になる可能性があるときには、慎重に下流の安全度を増やしておくことが大事なのではないかと私は思います。
(委員)  ほんとうにお言葉を返すようですけれども、先ほど委員長お触れになられましたように、流域の住民の皆様たちは、河川改修、こういったものや、河道の状態について、もう40年という長い間変わってきていないところもあるという一方、その不信感もあります。
 それから、萩原堤防、これは加藤清正公がおつくりになられたものですけれども、ここのところが、今、対策として、深掘れ対策をやっていらっしゃいます。しかし、この深掘れ対策の完成年度を見ますと、実はこれの完成年度を国土交通省が出されている完成年度よりもさらに遅いと。深掘れ対策は、ダムができても、なおかつ深掘れ対策をやっていっている、こういったような矛盾もあるわけなんですね。
 それから、住民の皆さんたちの中では、スーパー堤防を一たん計画していながらやめたじゃないかと、それは何かということがひたすらに言われています。私、スーパー堤防をやられたところの箇所、これを見てみますと、ものすごい大量の土、これが大変多く用いられているという、そういったような状況等もあって、おそらくそのスーパー堤防に関しても、説明責任を取られていないというようなことがあると思うんですね。
 ですから、やはり今後、この7,000m3/sという問題をどのように河道配分していくのか、そういった問題で、また改めて地元流域の皆さんたちのほうからの意見、それから、県側も意見を出させていただきたいというふうに思いますけど、そこはまさに2点、1/80とも非常に関わりがあるところでございますので、私はこの席では2点、1/80という点を重ねて申し上げたいと思います。
 以上です。
(委員長)  どうもそうなるとまとめにくいんですが、上流が80で、下流も80で、もし上流が氾濫せず、下流が氾濫した場合の説明責任というのは大変だろうと思うんですね。ですから、ベストは尽くしたけどということが言えるために1/100にしておかないと、大変難しい問題が出てくるのではないか。
 これが、人吉と八代が全然別な川でしたら、どういう形でもいいんですが、上から洪水を集めて八代に注ぎ込むことになります。いろんなことを考えても、そういうケースが全く絶無なら心配ないんですけど、先ほどの資料を見ても、かなり外れて八代が大きいケースはありますよね。やっぱり下流に雨が降るケースというのはありますから、それに対する対処はしておくべきではないかというのが私の意見ですが。
(委員)  ほんとうにお言葉を返しますけれど、やはりどこまで考えていくのかといったときに、まさに私はリスクということで委員長ご説明くださいましたんですけれども、河川ということに関しても、やはり私たち地域住民は、先ほどから局部的に非常にランダムに雨が降ってきているというようなお話がありました。確かに事実ですけれども、それを全体的にカバーするというようなことの困難性があることもまた事実でありますので、そこは私はぜひ今後地域の住民の皆さんたちが安全度ということをどのように考えるのかという、住民側からの意思の参画、そして、すべてこの情報公開が行われた後、住民自身もソフトの面で自分たちの身を守るという、それをしっかりと考えていかなければ、このリスクというのは、ハード的なものだけで防ぐことは決してできないというふうに思います。
 先ほど触れましたように、ぜひ河川整備基本方針では地域住民の意見、これを聞いて、そして、ほんとうにここについてはリスク的なものもこういうふうにある、しかし、自分たちで自分たちの身を守るという、そういうハザードマップ等々の理解も含めてやっていくということが、今日の中で膨大な費用、そして環境破壊、こういったものを考えたときに大事ではないかなと。お言葉を返すようで申しわけありませんけれど、以上です。
(委員長)  ちょっと時間がないので申しわけないけど。じゃあ、ちょっと一言。ちょっと簡潔にお願いします。
(委員)  私は言葉を返すつもりは全くないですけど、先ほど○○委員が住民討論集会のことを申されました。たしか私の記憶では9回なされたようですが、これは○○委員のように評価する方々と、私どもはあまり評価をしないわけであります。これは、ダムの建設をめぐっての是非を問う住民討論会であったわけですけれども、賛成する人と反対する人、これは両方いらっしゃいます。それは、例えば、40年の水害が市房ダムの放水が主たる原因であったというふうに思う方がいらっしゃるというふうなことを申しましたし、そうでない方もいらっしゃるというふうなことも申し上げました。
 少なくとも私は人吉の市長をことしで20年間やっていまして、最初就任したときの知事が細川知事であったわけです。護煕さんですね。その次が福島譲二さんという方で、この方が在任中に、今の潮谷知事を副知事に任命されまして、お亡くなりになって、知事が選挙でもって熊本県知事になられたわけです。
(委員長)  簡潔に。
(委員)  はい。よって、この3人の知事に私仕えてまいりましたけれども、細川さんの時代と、福島さんの時代と、それから潮谷さんの時代、このダムに関する考え方は全く違ってまいりまして、この住民討論会というのは、私どもは対立の構図を持ち込んだ討論会であるというふうにも考えております。
(委員長)  それでは、○○委員、2地点というお話があったことを踏まえつつ、私としてはやっぱり2基準点という皆さんが多くて、それは決して1/80、1/80ということよりも、放っておいても上は1/80なら下は1/90だという意見もありましたから、その1/90まで値切るということに対しては大変抵抗があります。私としては、その2基準点、1/80と1/100とし、ただ、説明責任を果たしてないじゃないかというところは大変重く受け止めたい。また、「おれはたばこ吸って肺がんになっても構わねえよ」という人もいるわけですから、「いや、おれのところは1/80でいい」という人が大半になったときはどうしようかと、これはおもしろい社会科学的な研究課題だと思います。壮大な社会実験ともなりますが、それはさておき、一応この問題は、そういうことで委員長としては取りまとめさせていただきたいんですが。恐縮ですが。
 そのほかの委員、ご意見あるでしょうか。
 では、そういうことで、一応次の段階に移らせていただきたいと思います。予定の時間を25分超えてしまいましたので、次回の課題の紹介だけ事務局からしていただいて閉じたいと思います。
(事務局)  簡潔に。資料として、資料4−1、4−2、4−3、4−4というのがございます。まず、現在の状況等をお話ししようと思いますが、前回といいますか、森林のお話とか基本高水のお話でございましたように、一度住民討論集会でのやりとりのほうの中身もご紹介をまずはさせていただいて、あとは、現在はまずどういうことをしているかというのを皮切りにきょうは用意しておりますので、それを踏まえて、その後の計画高水流量とか、そういうものに振りたいと思っております。
 以上です。
(委員長)  それでは、前回は2倍やったから、きょうは半分ぐらいで終わらせようと思ったら、また長引きました。大変議事進行が下手くそで申しわけありません。本日の議事を閉じたいと思います。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について、発言者の氏名を除いたものとし、各委員のご確認を経た後、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することといたします。
 本日の議題は以上でございます。

 

3.閉      会

(事務局)   ありがとうございました。次回の本委員会の日程等につきましては、改めてご連絡させていただきます。お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございますが、郵送をご希望の方には、後日郵送させていただきますので、そのまま席にお残しください。
  それでは、閉会いたします。どうもありがとうございました。






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