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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第53回河川整備基本方針検討小委員会

平成18年11月21日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤  徹 
委   員  綾   日出教

石 原 由美子
伊 藤 和 明
楠 田 哲 也
黒 木 幹 男
小 池 俊 雄
越 澤  明 
坂 元 隼 雄
谷 田 一 三
塚 本 隆 久
浜 田 康 敬
福 岡 捷 二
高 橋 はるみ
泉 田 裕 彦
伊 藤 祐一郎


1.開      会

(事務局)  ただいまより第53回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。私、本日の進行を務めさせていただきます事務局の○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、お手元に配付しております資料のご確認をお願いします。
 議事次第、名簿、配席図がございます。それから、資料目次がございます。
 資料1−1、付議書及び付託書。
 資料1−2、社会資本整備審議会運営規則。
 資料1−3、同河川分科会運営規則。
 資料1−4、一級水系にかかる各種諸元。
 資料2でございますが、これは十勝川水系、関川水系、肝属川水系、「特徴と課題」ということで、1、2、3とございます。
 資料3でございます。こちらも、3水系につきまして、「河川整備基本方針(案)の骨子」、1、2、3と3水系ございます。
 資料4でございます。こちらも3水系、「工事実施基本計画と河川整備基本方針(案)」ということで、1、2、3とございます。
 資料5、こちらも3水系「基本高水等に関する資料(案)」でございます。
 資料6、こちらも3水系「流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する資料(案)」でございます。
 資料7、こちらも3水系「土砂管理等に関する資料(案)」でございます。
 参考資料といたしまして、これも3水系ございます。「流域及び河川の概要(案)」でございます。
 参考資料2で、管内図、これも3水系ございます。
 参考資料3につきましては、流域図、これも3水系ございます。
 資料に不備がございましたら、お申しつけいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 本日の審議はAグループでございます。会議に先立ちまして、本委員会の新しい委員をご紹介させていただきます。
 十勝川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として○○委員でございます。
 地元に詳しい委員として、○○委員でございます。
 関川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として○○委員でございます。
 地元に詳しい委員として、○○委員でございます。本日はご都合により、ご欠席されております。
 肝属側水系の審議のため、地方公共団体からの委員として○○委員でございます。
 地元に詳しい委員として、○○委員でございます。
 本日、○○委員、○○委員、○○委員は、ご都合によりご欠席されております。
 傍聴の皆様におかれましては、傍聴のみとなっております。審議の進行に支障を与える行為があった場合には退出いただく場合があります。議事の進行にご協力願います。
 本日、本委員会でご審議いただく水系は、十勝川水系、関川水系、肝属川水系の3水系です。十勝川水系及び肝属川水系の河川整備基本方針につきましては、去る9月21日付で国土交通大臣から社会資本整備審議会長に付議がなされ、10月4日付で同会長から河川分科会会長あてに付託されたものです。
 また、関川水系の河川整備基本方針につきましては、去る1月11日付で国土交通大臣から社会資本整備審議会長に付議がなされ、1月19日付で同会長から河川分科会会長あてに付託されたものです。
 それでは、○○委員長、よろしくお願いいたします。

 

2.議      事

(委員長)  ○○でございます。本日は、委員の皆様にはご多用中のところ、ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、議事次第に沿いまして、十勝川等3水系の河川整備基本方針について審議をいただきたいと思います。
 事務局から、まず説明をお願いいたします。
(事務局)  事務局を担当させていただいております○○でございます。よろしくお願いいたします。お許しをいただきまして、説明は座ってさせていただきたいと思います。
 まず、本日の説明の流れでございますけれども、先ほど紹介がありましたとおり、北から順番に、十勝川、関川、肝属川の順でご説明させていただきます。
 それから、説明の中身でございますけれども、まず、流域の状況を概括的に把握していただくために、画像を用いて流域の概要をご紹介させていただきます。それに引き続きまして、お手元に配付しております資料2−1から2−3というのが、それぞれ十勝川水系、関川水系、肝属川水系の資料でございますので、これらを用いまして、各水系ごとに特徴と課題をご説明すると、そういう流れでやらせていただきます。
 全体のお時間が限られておりますので、重複するところはできるだけ省略して説明させていただきます。よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、まず十勝川からご説明いたします。
 まず、十勝川水系でございます。北海道の南西部、太平洋側に注ぐ位置にございます。大きな支川がございます。流域面積は9,000km2。幹線流路延長は156kmということでございます。
 水源は、十勝岳という火山でございます。そこから下りまして、十勝ダム、これは直轄で施工いたしましたロックフィルダムでございます。それから、本川をずっと下ってまいりまして、見ていただきますような、酪農だとか穀倉地帯、そういうようなことになってございます。右側から佐幌川を合流します。
 川の中を見ていただきますと、かなり網目状に流れています。下流では、十勝川でNPOの皆さんだとか、こういった川を活用して、環境学習だとか、そういう活動をされています。このあたりが帯広市になります。帯広市は、人口17万の、この地域の最大の都市です。ここでは、川の幅が狭かったものですから、引堤というのを行いまして、帯広市を守るための工事が行われました。
 こちらは、音更川でございます。左側の支川でございますけれども、かなり急流な河川でございます。
 右側の支川の、こちら、札内川でございます。こちらにも、直轄のコンクリートダムでございますけれども、札内川ダムというのがございます。山の中から流れ出しまして、やはりこちらも急流河川でございます。川の中には、ケショウヤナギだとかそういったものがございますけれども、かなり急流河川で、水制工等で流路を安定化させているということでございます。
 帯広市で、今の音更川と札内川が合流いたします。ここから下りまして、千代田堰堤という固定堰がございます。こちらでは、固定堰なものですから、右側に新水路をつくりました。これは、来年の春、完成いたしますけれども、こちらで流量をきっちり流せるようにするということでございます。今の千代田堰堤、それから、猿別川につきましては、サケをとるような、そういう作業が行われてございます。
 もう少し下流にいきますと、利別川という左支川が入ってまいります。これは足寄、本別町、1万弱の町を貫流いたしまして、ずっと下ってまいりまして、ワインで有名な池田町というところを抜けて合流いたします。この合流点は、かつては、ここに示しましたような蛇行している状態でございましたけれども、統内新水路というのをつくりまして、ショートカットをしております。その後、利別川もショートカットをいたしまして、現在の形になっております。
 この水系で大きな水害は、昭和37年8月の出水でございます。下流部で大きな浸水被害を生じてございます。
 今の合流点からずっと下流、シシャモは実際はもう少し河口でございますけれども、産卵場がございます。それから、平成15年ですけれども、十勝沖地震がありまして、堤防が傷んだり、津波が遡上したりというようなことがございました。
 十勝川につきましては、こういう川でございます。
 お手元の資料2−1というのを使いまして、十勝川の水系の特徴と課題についてご説明させていただきます。
 資料2−1の1ページでございます。今見ていただきましたとおり、この十勝地方は、酪農、畜産、畑作、こういったものが大規模に展開されておりまして、日本有数の食糧の供給基地と言われてございます。それから、ちょうど流域の中心に帯広の市街地がございます。帯広市、人口17万、この地域の最大の都市でございます。十勝川には、帯広市の地点で、音更川という支川と札内川という支川が相次いで合流しているという状況でございます。
 下の資料を使いましてご説明させていただきます。
 まず、十勝川流域の諸元でございますけれども、真ん中の地図の上にありますけれども、流域面積9,000km2、幹川流路延長156km、主な市町村としては、帯広市、音更町、幕別町、池田町、こういったようなところになってございます。想定氾濫区域内の人口は16万人ということでございます。
 流域の地形でございますけれども、右側に示してございます。十勝川流域の地形でございますけれども、十勝平野には、扇状地、段丘、台地が広がっております。帯広の市街地には、急勾配の音更川、札内川が左右から相次いで合流するということでございます。
 合流点付近の本川の勾配は600分の1程度。本川の下流部は3,000分の1から4,500分の1ということで、かなり低平地というようなことになってございます。
 この地域の気象状況でございますけれども、一番左の上のところでございますけれども、年間の平均降水量は900mm程度ということで、前々回に常呂川の流域のご紹介をさせていただきましたが、あちらが北見で800mmということでしたので、日本でも有数の少雨地域であると言えるかと思います。
 それから、流域の土地利用状況でございますけれども、左の下の図でございますけれども、山林がおおむね半分、農地が27%という状況の土地利用になってございます。こういう土地利用を生かしまして、右側の下でございますけれども、十勝川流域の主要産業といたしましては、先ほども申しましたように、酪農、畜産、畑作を中心としまして、日本有数の食糧供給基地となっていると。農業産出額は、エリア別に申しますと、全道で1番ということになってございます。
 また、河川の捕獲量でございますけれども、サケにつきましては、斜里川、千歳川に次ぐ3番目の捕獲量だとなっております。
 また、シシャモにつきましても、かなりの量がとれるということで、そういう典型的な状況になってございます。
 1枚おめくりいただきまして、主な洪水とこれまでの治水対策ということでご紹介させていただきます。
 主な洪水については、一番左に年表のような表がございますけれども、大正11年に台風で大きな出水がありました。それを受けまして、流量の検討を行ったというようなことでございます。
 昭和41年に一級河川に指定されまして、工事実施基本計画ができてございます。その段階では、基本高水流量、茂岩で1万200m3/s、帯広で4,800m3/s、計画高水流量は、茂岩で9,700m3/s、帯広で4,000m3/sということでございました。
 それ以降、昭和47年、50年、大きな雨がありました。また、56年にも低気圧で大きな雨がございました。この辺の雨を受けまして、55年に十勝川水系の工事実施基本計画が改定されておりまして、基本高水が茂岩で1万5,200m3/s、帯広で6,800m3/s。計画高水流量については、茂岩で1万3,700m3/s、帯広で6,100m3/sというような計画が定められております。
 その後、昭和58年に基本計画の改定が行われておりますが、これは河口部の左側の派川というんでしょうか、浦幌十勝川水系を編入したというようなことでございました。
 既往の洪水は先ほど申し上げたとおりですけれども、その辺の写真等を使いまして、右側の上のところでご紹介させていただいております。
 こういうような出水の状況を見まして、これまでどういう治水対策が行われてきたかということでございますけれども、上流域におきましては、先ほど画像でも見ていただきましたけれども、十勝ダム、札内川ダムなどの直轄の多目的ダムが建設され、既に供用されてございます。
 また、土砂の流出の多い川でもございますので、川を見ていただきますと、砂州が非常に発達して、副列砂州が見られたということが、先ほどの画像でもわかったかもしれませんけれども、そういうこともありまして、直轄砂防事業、こういったものがこれまでも行われてきてございます。
 1枚おめくりいただきまして、これまでの治水対策、もうちょっと中流部及び下流部についてご紹介させていただきます。
 中流部では、先ほどの画像でも出てまいりましたけれども、帯広市内のところで、音更町のところで大きな引堤をやってございます。木野の引堤工事ということで、これは平成9年に完成してございますけれども、こういったことで安全度を上げるというようなことをやってきてございます。
 また、右側のところに新水路事業というのがございますけれども、千代田堰堤のところ、固定堰でございまして、流下能力が不足しているということもございまして、現在、千代田新水路というのを、高水敷に当たる部分に造成中でございます。これが完成いたしますと、分流堰を設けまして、大きな水が出た際には、こちらに水を流すというようなことで、疎通能力を上げるということをしてございます。
 もう少し下流部になりますと、もう少し古い時代でございますけれども、先ほどの画像でも出てまいりました統内新水路、こういったものの施工、それから、利別川のショートカット、こういったものが行われております。
 また、そのほか、下流側の軟弱な泥炭層で、石狩川のときにも出ていたと思いますけれども、丘陵堤というものを整備して堤防の安定化を図ったり、そのほかにも浚渫だとか内水対策をやっております。
 また、急流河川のところでは、先ほども申しましたけれども、左側に河道安定化対策とございますけれども、札内川のような急流河川におきましては、水制工等を設置しまして、河道の安定化を図ってきてございます。
 こういう治水対策によりまして、一番右のところに比較の図がございますけれども、大正11年と現況と比較してございますけれども、広大な湿地帯でありました十勝川の下流域、これにつきましては、農地だとか酪農地だとか、そういったものへの利用が可能になったということでございます。
 ちなみに、堤防の整備率でございますけれども、完成断面が52%、暫定断面が43.6%ということになってございます。
 1枚おめくりいただきまして、基本高水のピーク流量の検討でございます。先ほどもご紹介いたしました工事実施基本計画におきましては、左上のところに昭和55年の工事実施基本計画の概要とお示ししてございますが、3日雨量をとりまして、確率規模150分の1として、貯留関数法で求めてございますけれども、基本高水流量が、茂岩地点で1万5,200m3/s、計画高水流量は1万3,700m3/s。帯広地点が、基本高水が6,800m3/sに対しまして、計画高水が6,100m3/sというような計画でございました。
 これにつきまして、最近の雨だとか、いろんなもので検証させていただいております。
 まず1点目でございますけれども、左側の下でございますが、年最大流量と年最大降雨量の経年変化というのを示してございますけれども、既定計画を策定後に、昭和56年に結構大きな雨が降ってございますけれども、流量という観点では、計画を変更するような大きな出水は発生してないということが言えるかと思います。
 次に、流量確率からの検証でございますけれども、ちょうど真ん中のところにございますけれども、茂岩地点、帯広地点で、流量確率の検討の結果、茂岩地点では1万2,100m3/sから1万5,600m3/sの幅ということで、先ほどご説明しました工事実施基本計画の基本高水流量1万5,200m3/sは、この幅の中に入ってきてございます。
 同様に、帯広地点でも、今回、流量確率から出しましたバンドの中に、6,800m3/sという基本高水が入っておるということでございます。
 また、既往の洪水からの検証ということでございますけれども、洪水時に流域が湿潤状態にあることを仮定し、既往洪水の降雨パターンにより流出解析を実施ということでございますが、大正11年8月の降雨パターンで計算いたしますと、ピーク流量は約1万6,900m3/s、これは茂岩地点でございます。帯広地点では7,900m3/sというようなことでございまして、これらの結果からしますと、従来の工事実施基本計画の値を変更するまでのことはないだろうと考えてございます。
 1枚めくっていただきまして、次は、こういう計画を組みました。治水対策の考え方でございます。一番上の箱の中にポイントが書いてございますけれども、十勝川では特に注下流部で流下能力が不足しているほか、下流部で軟弱地盤が広がっており、河道掘削、緩傾斜堤防、先ほど言いました丘陵堤でございますけれども、こういったものの整備を促進する。
 また、ここは、十勝沖地震が平成15年にもございましたが、地震・津波対策についても調査検討を進め、必要な対策を講じるという方針をここに記載してございます。
 まず、中流部でございますけれども、左側の箱の中にございます。課題といたしましては、千代田堰堤の場所と相生中島地区というのが記載されてございます。千代田堰堤のところは、先ほどもご紹介いたしましたけれども、固定堰のところでございまして、流下能力が不足しているために、千代田新水路というのを設けまして、流下能力の拡大をしてございます。来年の春には完成するという見込みでございます。
 もう一方、一番下の図を見ていただきますと、計画高水位に対しまして、どの地点が計算水位が高いかというのがわかりますが、今申しました千代田の新水路のところが非常に高いんですけれども、そのほかにも、相生中島地区という、これは札内川と十勝川本川の合流点付近でございますけれども、ここでも計画高水位を計算水位が上回るということにもなってございまして、この地点におきましては河道掘削、こういったものを現在検討しているところでございます。
 それから、下流部につきましては、右側の上のところに、やはり今お示ししたものと同様な計画高水位と計算水位とわかる図を載せてございますけれども、全般的に流下能力が不足しているということが言えるかと思います。これに対しまして、右側に対策とございますが、流下能力の確保として、河道掘削や暫定堤防の整備等で流下能力の確保を図るということを考えてございます。
 また、あわせまして、築堤河川でございますので、内水被害対策だとか、先ほども申しました軟弱地盤対策、こういったものもあわせて講じていくというようなことを考えてございます。
 地震・津波対策では、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域、これに今年2月に指定されてございまして、地震・津波対策の検討を行うこととしております。
 河道の掘削等の整備の考え方でございますけれども、地図のあります下のところに「断面設定の考え方」とありますけれども、低水路及び高水敷の掘削、特に平水位程度としてございますけれども、こういった施工の仕方を考えてございまして、環境面の配慮をするという考え方でございます。
 もう1枚めくっていただきまして、6ページでございます。支川の音更川、札内川、利別川でございますけれども、これらにつきましても、先ほどの本川と同様に、断面が不足している、流下能力が不足している、そういったところがございますので、河道掘削を進めるとか、利別川の下流部では泥炭層もございますので、緩傾斜堤防等の整備を促進するということを考えてございます。
 また、札内川につきましては、特に急流河川でございまして、土砂流出等の対策をこれまでも講じてきてございますけれども、調査検討を進め、必要な対策を講じるとしてございます。
 右側の下に、河川整備基本方針における流量配分というようなことで、基準点帯広で、基本高水6,800m3/s。それに対しまして、計画高水は6,100m3/s。茂岩地点では、基本高水1万5,200m3/sに対しまして、計画高水が1万3,700m3/sというようなことで流量配分を考えてございまして、この流量に合う河道整備等を進めていくという考え方でございます。
 1枚めくっていただきまして、自然環境でございますけれども、十勝川流域周辺には、大雪山国立公園だとか阿寒国立公園、日高山脈襟裳国定公園をはじめとする豊かな自然がございます。河川の整備に当たりましても、こういう豊かな自然に配慮しつつ整備をしていくというようなことが必要でございます。
 源流部につきましては今のような話ですけれども、上流部、右側の上でございますけれども、上流部につきましては、河川の中に、十勝川水系を代表するようなケショウヤナギだとか、そういったものが分布するということで、そういったものに配慮した河道掘削を行うというようなことを記載してございます。
 中流部につきましては、千代田堰堤だとか、先ほども申しました相生中島地区、こういったところの流下能力不足に対する対応を的確に行うということが必要でございますが、その際にも、周辺の環境だとかそういったものにも配慮した形でやっていくというようなことでございます。
 下流部につきましても、全般的な流下能力不足に対処するための施工ということでございますけれども、シシャモの産卵床だとか、タンチョウの生息地でもございます。こういったことに対して配慮しつつ行うというようなことでございます。
 支川につきましても、同様に環境への配慮を行いつつ工事を進めていくという考え方でございます。
 次に、8ページでございます。河川空間の利用・利水・水質ということでございます。ここでは、河川空間の利用について左側のところでご紹介してございますが、パークゴルフというのは十勝地方発祥だということでございますけれども、こういったものが活発に行われたり、水を利用したアウトドアスポーツだとか、そういったものも活発に行われてございます。
 それから、地域との連携という観点では、NPOの皆さん方が、今申しましたような活動を通じまして、子供たちの環境教育だとか自然体験、そういったものをサポートするような活動もしておられると伺ってございます。
 ちなみに、水質については真ん中の上の表にございますが、BODの75%値で環境基準、これをほぼ満足しておるということでございます。
  水利用につきましては、左側にございますように、発電用水の利用が9割ということでございます。
 1枚めくっていただきまして9ページでございますけれども、流水の正常な機能を維持するため必要な流量の設定ということでございます。正常流量でございますが、これにつきましては、左側の表にございますけれども、漁業を含めまして9項目の検討事項、それによりまして維持流量を設定してございます。
 基準地点は茂岩地点と考えておりまして、水文資料が長期にわたり得られている、上下流の水収支が明確に把握されているということで、従来の工事実施基本計画と変更なしで基準地点を設定させていただいております。
 結果的にですが、真ん中の下のところに、「イトウの移動の必要推進35p」と書いてございますが、イトウという絶滅危惧の1のBだったですか、そういう種を想定いたしまして、正常流量の検討を行ってございます。
 この結果、一番上の箱の中にありますとおり、茂岩地点においておおむね70m3/sということで考えてございます。10分の1渇水流量が72.7m3/sということでございますので、おおむねその数値とイコールの値と言えるかと思います。
 もう1枚めくっていただきまして、10ページでございますけれども、総合的な土砂管理ということでございます。経年変化というものを見ますと、左側の上の図でございますけれども、茂岩地点では、下流部の浚渫だとか河道の掘削だとか、そういったものの影響で、一時河床は低下しておりましたけれども、近年はさほど顕著な浸食・堆積の傾向は見られないということでございます。
 茂岩地点につきましてもほぼ同様でございまして、河道掘削等で一時河床は低下しましたけれども、ここのところ、あまり大きな浸食・堆積の傾向は見られないということでございます。
 河床変動の縦断方向の変化を見たのがその右側の図でございます。ちょっと図が小さくて恐縮でございますけれども、今申しましたような河道改修等による河床高の変化、低下というのがあって、ずっと下がっておりますが、最近はさほど大きな変動は見られず、ここのところは比較的安定した河道となっているのではないかということでございます。
 それを表現するのが、右下の河床高の経年変化ということでございますけれども、2つ図があります。上が、昭和58年から平成1年までの間の変化ですけれども、下流のほうは河道改修、浚渫による影響で河床が下がってございます。札内川合流点、先ほども申しました地点ですけれども、堆積傾向が見られております。
 最近の状況でございますけれども、平成元年から13年というのを見ますと、やはり河道改修による影響がありまして、河口のほうで下がっておる。それから、札内川の合流点前後で堆積傾向が見られるというようなことが言えるかと思います。
 なお、河口の状況でございますけれども、その左に記載してございますが、流量が少ない年では砂州が発達するというようなこともあったようですけれども、平成4年に河口部の左岸側の締切堤というのを行っておりまして、ここのところは安定している評価と聞いております。いずれにしても、土砂につきましては、札内川等、土砂率の大きいところもございますので、しっかりモニタリングを行いながら対応していくことが肝要かと考えております。
 以上、十勝川でございます。
 引き続きまして、次は関川でございます。関川、流域面積が1,140km2、流路延長が64kmでございます。焼山という2,400mの火山が源流でございまして、下流に下りまして、笹ヶ峰ダムというのがかんがいのダムでございます。この右側にありますのが妙高山で、そこから下ってまいりまして、ちょうど野尻湖があるあたりで北に流れを変えます。野尻湖は、河水統制事業で水の開発が行われたものでございます。この辺は発電の利用が非常に多いところでございまして、何回も水を使いながら下流に流れていって、この板倉堰堤というのが一番最後の取水堰になっているというようなことでございます。ここから旧新井市の妙高市に入ってまいります。ここらあたりでは、平成7年に大きな出水がありまして、現在の妙高市、旧新井市のところで破堤、堤防が切れてございます。こんなような状況で、大きな被害が発生いたしました。
 ここから下流でございますけれども、こういうような改修が進められまして、河道の状況になってございます。矢代川という左側の支川入ってまいりますけれども、ここらあたりに巣がついておりまして、ここがアユだとかウグイの産卵場になっているということでございます。旧高田市を抜けまして、ずっと北に流れてまいりまして、旧直江津市のほうに流れ込んでいくということでございます。
 今、昭和57年9月の出水の絵が出てございます。これを契機に大きな河川改修が行われまして、川幅が2倍程度になったということでございます。
 ここには大きな支川がございます。保倉川と申しますが、これは野々海峠、こちらを源流としてございますけれども、豊かな自然の中、谷間の中を下りまして、高田平野のほうに至るわけでございます。
 中流あたりから、かなり蛇行が激しくなりまして、河跡湖がございますけれども、こういうようなものが残っております。河川改修はかなり進められておりまして、そういうものをショートカットして改修を行ってきてございます。後ほど、中でもお話がありますが、この間につきましては、放水路というものが計画されております。ここにございますように、かなり市街化が進んでございますけれども、こういったところを流れる支川、保倉川でございます。もともとは直接海に流れ込んでいたのを、江戸時代に関川につなぎかえたという歴史があると聞いてございます。
 以上、関川の画像でございました。
 関川の資料は2−2でございます。少しはしょりながら説明させていただきます。
 関川水系でございますけれども、降水量は全国平均の約1.8倍、積雪深の記録は全国1位ということで、全国有数の多雪地帯でございます。
 河口部付近で保倉川と関川が合流いたしますけれども、この辺は低平地が広がっております水害の常襲地帯となっております。低平地は、昔の直江津の工業地帯に形成してございまして、ひとたび氾濫すると大きな被害が起こるという地域でございます。
 まず、流域の諸元でございますが、流域面積は1,140km2で、幹川流路延長は、関川が64km、保倉川が54kmでございます。主な市町村は、上越市、妙高市ということでございますが、氾濫区域の人口は10万人でございます。
 ずっと右側のほうにいっていただきまして、地形・河道特性でございますけれども、保倉川でございますけれども、昔は、直接日本海に注いでおりましたけれども、江戸時代に高田藩によりましてつけかえが行われまして、現在のように関川に注ぎ込む、そういう川になってございます。
 川の勾配は、右にございますように、上流にいきますとかなり急流河川でございますけれども、下流のほうは緩流河川ということでございます。
 降雨特性でございます。左側の2つ目の図でございますけれども、年間降水量は3,000mmということで、全国平均の約1.8倍。積雪深は全国1位でございます。
 土地利用は、山林が8割、流域の2割が農地ということで、コシヒカリの有名な産地になってございます。
 1枚めくっていただきまして、主な洪水とこれまでの治水対策でございますけれども、関川の流域では、明治30年に高田市の市史に残るような大きな出水がございました。その後、昭和40年に大きな出水がございまして、これを契機にしまして、昭和44年に工事実施基本計画が策定されてございます。関川が1,950m3/s、保倉川が1,280m3/sということでございます。その後も再三、この地域は豪雨に見舞われております。昭和44年8月に大きな出水がありまして、工事実施基本計画の改定が行われまして、この段階で保倉川の放水路というのは位置づけられました。このときは、保倉川の全量を分派するという計画でございます。その後、56年、57年、60年というふうに再三大きな被害に遭っておりまして、それを契機としまして、なかなか進まない大幅な引堤だとか、そういった工事が進んでございます。
 昭和62年には、そういう災害を受けまして、工事実施基本計画が改めて改定されてございまして、関川が3,700m3/s、保倉川が1,900m3/s。放水路の分派量を700m3/sとするような計画が定められてございます。
 これまでの治水対策は、先ほども申しましたけれども、昭和44年の洪水を契機として、大幅な引堤計画、河道幅を2倍にしようという計画を立てておりましたが、なかなか進捗が進みませんでしたけれども、昭和57年に関川の本川堤が溢水、昭和60年に保倉川で溢水と大変な被害が出た関係で、いわゆる激特事業というものが導入されまして、河道の改修が行われてございます。
 3ページでございます。基本高水のピーク流量の検討でございます。この辺の検討は、先ほどの十勝川と基本的には同様でございますので、細かいところの説明は省略させていただきますが、平成7年に大きな出水がございましたけれども、これも既定計画の域には達していないということで、計画変更するような大きな出水は発生していないということ。
 流量確率を検討いたしましたけれども、関川につきましても、保倉川につきましても、流量確率で出しましたバンドの中におさまっているということでございます。
 もう1枚めくっていただきまして、歴史的な洪水。明治30年の洪水のお話をいたしましたけれども、これにつきまして検証いたしておりますけれども、この流量からいたしましても、今の計画を大きく見直すところはないと考えてございます。
 また、4ページの右側には、「洪水到達時間に着目した検討」ということで、洪水到達時間を12時間と設定しまして、これも検証してございますけれども、今申しましたとおり、基本高水のピーク流量は高田地点で3,700m3/s、松本地点、これは保倉川ですけれども1,900m3/s、従来の工実の値を変更しなくてもよいのではないかと考えてございます。
 次に、治水対策の考え方でございます。5ページに参ります。ここの治水対策でございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、再三の出水を受けまして改修工事が進められまして、堤防はほぼ完成しておりますけれども、河道内の河積不足だとか、固定堰等の流下阻害で全川的に流下能力が不足しているという状況でございます。
 関川につきましては、河道内の掘削を行うことによりまして、水位を下げて安全性を確保するという基本的な考え方でございます。
 一方、保倉川につきましては、左側の下のところに、「保倉川における治水対策の基本的考え方」というのを示してございますが、このように現況河道は、矢板を打ちましたこういう、かなり人工的な河道になってございます。災害対応で、こういう河道にせざるを得なかったということでございますけれども、この現況河道、いくら頑張って流量をたくさん流そうとしても、400m3/sの追加掘削が限度ということでございます。これは、下流側で関川と合流するということで、本川側の河床の高さというのも関係してございまして、400m3/sの追加掘削が限度ということでございまして、それで考えますと、この現河道で流せるのは1,200m3/sということになります。先ほど申しましたように、保倉川の基本高水は1,900m3/sということになってございますので、今の不足分700m3/sにつきましては、放水路で受け持つという計画にしてございます。
 次、6ページでございますけれども、自然環境でございます。上流部から中流部につきましては、上信越高原の国立公園ということで、自然が豊かでございます。
  中流から下流につきましては、先ほどから申しておりますように、かなり改修が入っておりまして、人の手の入った状態ではございますけれども、やはりところどころで瀬と淵だとか、そういったものが残ってございまして、そういった場については、きっちり配慮した形でやっていく必要があるということでございます。
 また、下流部についてもほぼ同様な状況でございます。
 次、1枚めくっていただきまして、7ページの水利用でございますけれども、この地域につきましては、先ほど画像で申しましたように、発電の利用、農業用水の利用、こういったものが活発に行われております。高度成長期以降は、結構地下水のくみ上げが行われておりまして、これによりまして地盤沈下が顕在化したというような経緯がございます。そういったこともございまして、地下水の表流水転換だとか地下水管理計画で地盤沈下の抑制が行われている地域でございます。
 発電の利用につきましては、左のほうにございますとおり、かなり活発に行われております。時間の関係もございますので、ちょっと省略させていただきます。
 8ページに参りまして、河川空間の利用・水質でございます。河川空間につきましても、下流部につきましては、市民の皆さんに親しみのある川の使われ方がしてございまして、スポーツだとか郷土の行事だとかカヌーだとかマリーナだとか、そういったものに活発に使われております。
 水質につきましては、右側の上にございますとおり、改善傾向にあるというようなことでございます。
 1枚めくっていただきまして、9ページでございます。流水の正常な機能を維持するため必要な流量の設定ということでございますが、基準地点は高田地点ということで設定させていただいております。ここは、干潮域が結構ありますので、少し上流に上った基準地点、高田というところを工事実施基本計画のときと変更なしで、基準地点として使わせていただいております。9項目の検討を行いまして、先ほどの十勝川と同様で、ここも動植物の生息地、生育地の状況ということで、サケ、サクラマスの移動水深、これをとりまして、高田地点で、通年、おおむね6m3/sというような正常流量を設定させていただいております。10分の1渇水流量は5.71m3/sということでございますので、おおむね同じような状況でございます。
 1枚めくっていただきまして、総合的な土砂管理ということでございます。この河川につきましては、先ほどから申しておりますように、大きな改修で河道掘削をこれまで活発に行ってきておりまして、そういう背景を受けまして、河床がこれまで工事に伴って低下傾向というようなことでございます。ただ、平成12年以降は、ここのところはあまり大きな変動は見られないということでございますけれども、いずれにしても、かなり川自体に手をかけてきておりますものでございますから、河床変動のモニタリング等をしっかり実施しながら、土砂収支バランスをよく見ながら、河道の状況を見守り、管理していく必要があるのではないかと考えております。
 なお、河口部の状況でございますけれども、河口の右岸側には導流堤がございまして、その中に直江津港がございますけれども、最近は、導流堤の建設以降は、河道内に砂州が発達しないで、河道が維持されているということのようです。
 それから、河口の左手側に浜がございますけれども、そちらについては、汀線は今、前進傾向ということでございまして、今後もモニタリングを引き続き実施していく必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、この川は、土砂管理という観点では、かなり大きく川をさわってきている川でございますので、モニタリングを実施しながら、しっかりその辺の対応をしていく必要があると考えてございます。
 以上が関川でございました。
 次が、肝属川でございます。
 肝属川は、大隅半島にあります川でございます。源流は、桜島に近いほうの高隈山地の御岳というところが源流と伺っております。御岳は1,200mぐらいの山でございます。
 こういう1,000m級の山から肝属川は下りまして、すぐシラス台地、左に笠野原台地というのがございますけれども、こういう大きな台地状のところを削りながら流れているというふうに見えます。大きなシラス台地を削って、谷になったところを肝属川は流れ下ってまいります。
 昭和13年10月に大きな出水がございまして、この中心地であります鹿屋市、人口約10万人でございますけれども、ここは大被害を受けております。その後、昭和51年の出水を契機に、今、ごらんいただきました鹿屋分水路というのができまして、市街地の洪水被害を軽減するための分水というのをシラス台地の中にトンネルとして掘ってございます。
 ここから市街地を下ってまいりますが、このあたりは畜産排水や市街地からの排水もございまして、水質が悪いところでございます。
 もう少し下ってまいりますと、シラス台地の中を川が削って平地をつくっているというのがわかっていただけると思います。右側から姶良川という支川が入ってございます。こちらは清流でございまして、カヌー等を楽しむ方々がたくさんいらっしゃると伺っております。
 川の中は高水敷が発達してございますけれども、低水河道はかなり直線化しております。この下流で見られますように、これまで治水対策で蛇行部をかなり直線化してきておりまして、北海道でいいますと石狩川のような感じであると思いますけれども、ショートカットをたくさんやっております。右側から高山川というのがあらわれ込んできております。
 川の中の高水敷は、ほとんど飼料用の採草地ということになっています。左側から、大きな支川の串良川というのが入ってまいりますが、川の状況はほとんど同じような状況です。
 堤防はかなり高くて、築堤河川ということで、昭和13年のときには、ここにありますように、青いところはどっぷりつかったということでございます。
 河口は志布志湾のほうに出てございまして、有名な志布志湾の石油備蓄基地、これが埋立地として左側にございます。こういうような形で海に流れ込んでおる川でございます。
 それでは、資料2−3を使いまして、肝属川についてのご説明をさせていただきたいと思います。
 まず1枚目でございます。降水量は、全国平均の約1.6倍ということでございまして、2,800mmということでございます。主要洪水の7割が台風という、台風銀座にあります地域でございます。
 先ほどご紹介いたしましたように、流域の7割がシラスに覆われておりまして、笠野原台地を中心とする広大な台地が形成されております。その台地を利用いたしまして、畜産が盛んに行われておりまして、鹿児島の黒豚というのはかなり有名でございますけれども、そういったものの飼育が行われてございます。
 流域の諸元でございます。左下にございますけれども、流域面積は485km2、幹川流路延長は34km、想定氾濫区域内人口は2.2万人ということで、主要な市町村は鹿屋市ということになってございます。
 右の上でございますけれども、地形・地質でございますけれども、再三ご紹介しておりますけれども、姶良カルデラという錦江湾、これがもともと大きなカルデラでございまして、桜島はその外輪山のところに当たるようでございますけれども、ここからの噴出物が大きなシラス台地を形成したということでございます。シラス台地が肝属川流域の約7割を占めてございます。このシラスというのは、通常の土と違いまして、粒子の比重が小さいということで、流水による浸食作用に弱いという特性があります。したがいまして、先ほど見ていただきましたようなシラス台地を川が削って、平野部を形成しているような地形になってございます。
 上流部は大変急峻な河道でございましたけれども、中下流部は緩勾配になっておるということで、そこの下のところにA−B断面とありますが、シラス台地を削って低平地ができていて、そこの中をまた川が削っているということで、日本的ではなくて、欧米的な地形条件と見えるところでございます。
 なお、下流につきましては、先ほど見ていただきましたように、築堤がかなり高い河川になってございます。
 土地利用状況でございますけれども、山地が約3割、台地が5割、平地が2割で、台地のうち、かなりの部分は畑になったり、田んぼになったりしているということでございます。
 鹿屋市は、豚や牛につきましては鹿児島県内1位の生産を誇っているということでございます。
 1枚おめくりいただきまして2ページでございますけれども、主な洪水と治水対策というのは左に年表がございます。昭和4年に大きな出水がありまして、昭和12年には早くも直轄河川改修に着手されております。昭和13年10月洪水が非常に大きかったものですから、その洪水を受けまして、昭和15年に改修計画ができ、昭和42年に工事実施基本計画が、その改修計画を踏襲してつくられてございます。
 それ以降、台風の常襲地帯ですので、再三、大きな出水を受けておりますが、昭和51年6月の、これは梅雨前線の豪雨でございましたけれども、これを受けまして、工事実施基本計画を改定いたしまして、基本高水流量を2,500m3/s、計画高水流量を2,300m3/sということにしてございます。
 昭和51年の出水を契機としまして、鹿屋市街地の洪水対策ということで、分水路が着工されました。これにつきましては、平成12年に完成ということで、シラス台地の中にトンネルを掘るということで、かなり難渋した工事だったと伺っております。あと、平成17年9月にかなり大きな出水があったということでございます。
 これまでの治水対策につきましては、このページの右のところでございますが、本川、支川の流下能力向上のために堤防の整備をする、蛇行箇所を直線化するショートカットを歴史的にずっとやってきているということでございます。
 ショートカットしますと、河床低下が進みますので、その対策として床止めが設けられたということもございます。
 右側には、先ほど申しました分水路のご紹介でございます。
 1枚めくっていただきまして、基本高水のピーク流量の検討でございますけれども、これにつきましても、先ほどからご説明いたしました2つの川と基本的に同じ考え方でございます。
 昭和56年の工事実施基本計画について検討いたしておりますが、既定計画を策定後に大きな雨というのは、平成17年にございましたけれども、流量的に見ますと、改定をするまでの大きなものではないということ。それから、流量確率による検証、既往洪水による検証もいたしておりますけれども、基本方針において、これまでの工実の値を、基本高水流量を変更する必要はないと考えてございます。
 なお、工実の場合は、左側の流量配分図にありますとおり、俣瀬地点という基準地点で基本高水を2,500m3/s、計画高水を2,300m3/sということで、洪水調節施設を想定しているということでございました。
 1枚めくっていただきまして、4ページでございます。治水対策の考え方でございますけれども、先ほど画像で見ていただきましたとおり、堤防はずっと完成してございまして、河道内の河積不足だとか固定堰の流下阻害、こういったものの対策をしまして、全川的な流下能力の拡大というのが求められてございます。
 計画高水流量配分図というのを右下に書いてございますけれども、先ほど申しました洪水調節施設というものと河道での流量確保ということを検討いたしまして、ここでは俣瀬地点で2,500m3/sという計画高水流量といたしてございます。
 1枚めくっていただきまして、治水対策の考え方ということでございますが、今申しました基本高水、計画高水でございますけれども、治水対策でもう1点考えなくてはいけない点がシラスということで、それに対しての配慮について記載してございます。
 シラスがやはり密度が小さく、堤防が浸食されやすいということもございまして、左側の下にあるような河岸の浸食が進みやすいという傾向がございます。こういったものに対する手当てが必要でございます。
 また、古くから、シラスが削られて、川の底にたまったもの、こういったものを堤防材料として利用してきてございまして、通常の地域の築堤材料に比べますと、やはり質の落ちるものを使ってきたということもございますので、現在、堤防の点検を進めまして、堤防の質的強化対策を検討しているということでございます。
 1枚めくっていただきまして、自然環境でございます。
 ここにつきましては、先ほどから見ていただいておりますように、かなり全川的に手が入っているような状況でございますけれども、その一部に、たまりの部分だとか瀬だとか、そういったところがありまして、そういったところにはこの地域を代表するような生態がございますので、そういったものの保全をしつつ河道改修をやっていくという基本的な考え方になろうかと思います。
 特に左側の下に「河川の連続性」というのがございますけれども、ショートカットをたくさん行った関係で床止めがたくさんございますけれども、こういったところでは魚類の移動等を考慮して、連続性の確保に努めるということが重要なポイントになろうかと思います。
 1枚めくっていただきまして7ページでございますが、河川空間の利用、水利用ということでございますけれども、鹿屋の市街地はかなり水質が悪いということと、改修の関係もありましてアクセスが悪いんですけれども、最近では、水辺プラザだとか水辺の学校だとか、そういったものの整備をしておるということでございます。
 水の利用につきましては、農業用水がほとんどということになってございます。
 1枚めくっていただきまして、もう一つの課題の水質でございます。この地域は、水質の問題がございます。BODで見ていただきますと、最近、また少し悪くなり始めておりますけれども、全国の川の中で、166の川の中でワースト7番目、このぐらいのBODの平均値になっております。
 どこからそういう汚濁負荷が出ているかということでございますが、右下のところに、BOD、総窒素のブロック別の排出負荷量が示してございます。BOD、総窒素、いずれもブロック1というところとブロック5というところが多いんでございますが、ブロック5は畜産系の排水の多い、先ほど見ていただきました笠野原台地エリア、ブロック1というのは鹿屋の市街地でございまして、下水道の整備率が、たしか30%程度だったと思いますけれども、そういったことを受けまして、生活系だとか事業所系の排水が多いということでございます。
 1枚めくっていただきまして、こういう水質に対してしっかりとした対策をとらなくちゃいけないということで、この地域では、いわゆる清流ルネッサンスUという第2期水環境改善緊急行動計画に基づきます、関係の皆さんが総力を挙げて、水質改善に向けた取り組みを行うということが行われています。
 具体的な対策としましては、右にありますように、ブロック別に幾つかの対策がありますが、事業所の方々は、例えば、施肥の抑制だとか、排水基準の遵守だとか、そういったことを行う。住民は、生活排水対策をしっかりやる。それから、下水道だとかそういったものの整備を自治体が行う。国土交通省も、流入河川の部分につきましては水質浄化対策を行う、こういうような対策をみんなで立てまして、国、自治体、事業所、住民が連携・分担して、水質改善に向けた施策を実行していこうということにしてございます。
 これらにつきましては、大変重要なことですので、しっかりモニタリングを行いながら、その効果のフォローアップも行いつつ、目標達成に向けてしっかりやっていこうという考え方でございます。
 1枚めくっていただきまして、流水の正常な機能を維持するため必要な流量の設定でございます。ここは、シラス台地で、湧水だとかそういったものも多いですし、支川からの流量も多いということもございます。そういったことを背景にいたしまして、正常流量の基準地点は、朝日橋という、鹿屋市街地の中にあります地点を採用してございます。この地点におきまして、かんがい期0.35m3/s、非かんがい期0.46m3/sという正常流量を設定させていただいております。10分の1渇水流量は0.38m3/sということでございます。
 参考までに、その設定に当たりましては、オイカワ・カワムツ・ヨシノボリ等の産卵及び移動に必要な流量ということで、平均水深10pを設定させていただいております。
 1枚めくりまして、11ページでございます。総合的な土砂管理でございますけれども、土砂がどういうふうに動いておるかということでございますが、河道改修だとか分水路の工事だとか、そういったものに伴いまして変動はございますけれども、全般的には、河床の変動の少ない川だと、安定している川だと見られるかと思います。
 河口部の状況でございますけれども、右にございますけれども、浸食とか堆積の顕著な傾向は見られず、導流堤完成後、河口閉塞を生じていないということで、シラスということでございますので、通常の川と違う土砂移動というのが考えられましたけれども、そう大きな違いはないということであったかと思われます。いずれにしても、ここでもモニタリングをしっかりやりながら、土砂の動態について見守っていくことが必要だと考えております。
 ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。
 十勝川等3水系の特徴や課題の紹介がございましたので、これからご意見、ご質問などを伺いたいと思います。私から指名させていただきます。
 まず、十勝川水系等の地元に詳しい委員としてご出席の○○委員からお願いいたします。
(委員)  ○○でございます。私、仕事は建築の設計事務所をしておりますが、私は民間として、まちづくりの側面で、川との取り組み等にいろいろかかわっていることもございまして、今日は住民という立場で出席させていただいております。
 先ほど、事務局から、十勝川水系についてのお話、説明をしていただきましたが、私からは、まず、私どもの住んでいる十勝の広さをまず皆さんに実感していただきたいと思いました。十勝の広さは、実は東京都、埼玉県、神奈川県の1.3倍の広さ。これは岐阜県と同じ面積になりますが、その台地の中を流れているのが十勝川でございます。十勝川の流域面積、その85%を占めているわけですが、その85%というのは鹿児島県に匹敵する広さとなっております。その中で、私たちの生活や産業、文化が大きくかかわっているのが現状でございます。
 先ほどのご説明にもあったんですが、十勝川水系、こちらは本流の十勝川が背骨のように十勝平野を流れておりまして、そこから葉脈のように各支川が流れております。ですから、私たちは、時々、そういうような形から、十勝川水系のことを「水の大樹」というような言い方をすることもあります。
 そういうような環境のところなんですが、先ほどの説明にもありましたとおり、十勝は農業王国、日本の重要な食糧基地となっておりますが、十勝は農業の総生産高というのは、もう20年連続で2,000億を超えている地域でございます。水田はほとんどなく、畑作、テンサイ、バレイショ、また豆等々の農作物がとれる畑作中心でありまして、その農作物を原料とする加工工場も多く存在しております。
 今、十勝がこのような形で農業王国ということでありますのも、実は河川整備により氾濫が少なくなり、農地が確保されたということが今の農業王国の基盤をつくっております。
 また、そういうような地域柄ですので、やはり冠水ということがありますと、十勝の農業は壊滅的なダメージを受けてしまいます関係上、十勝の住民にとりまして、河川整備というものは非常に重要なものとなっております。
 皆さんもご承知のとおり、北海道は非常に歴史が浅く、開拓の歴史というものがございます。特に十勝川、こちらは先住民族の時代から、サケ文化というのが非常に発達しております。サケ文化といいますのは、それをとって食べるということ以外に、その皮や骨を利用するということが先住民族の時代から行われておりまして、十勝川、こちらもサケが上る川として非常に住民になじんでおりますし、また、その支川にも、過去、多くのサケが上ってきているという関係上、やはりサケにこだわる住民が非常に多うございます。
 そういうような中で、十勝というのは太平洋側と接しているわけなんですが、やはり海水浴ができるような海ではなく、私たちの生活の中で水と触れ合うというのは、海ではなくて、川と触れ合うというのが一番日常的に接している部分でありまして、私も中学生のころは、学校の授業の中に川狩りというものがございまして、これは、川に、リアカーにいろんな材料を載せて引っ張っていって、河原で炊事遠足をする授業なんですけれども、私たちは川狩りと呼んで、そういうような文化もあり、また、子供たちもそれになじんでおりましたが、最近は川が危険なものという認識が非常に強くなりまして、そういうこともなくなってしまったのは残念な限りです。
 北海道の、特に開拓の歴史の中で、屯田兵による開拓というのが皆さんの中に認識としてあると思いますけれども、その中で、十勝は屯田兵ではなく、唯一、民間の開拓団により開拓をされた地でございます。ですから、十勝は川で活動する団体、NPO、また、いろいろな方たちが非常に多く活動しています。先ほど説明の中にも、いろいろ簡単に説明をしていただいたわけですが、民間レベルでの活動が非常に多い場所です。
 例えば、それは子供たちの教育でもあり、アウトドアスポーツでもあり、河川の清掃、環境教育、そして、川づくりに対しても、住民が非常に積極的にかかわってきております。
 今日のお話には名前は出てきておりませんが、十勝には、十勝エコロジーパーク構想というものがございます。それは、今、現実化に向けて、もう実際に供用になっている部分もありますが、先ほどご説明にありました千代田堰堤の新水路、こちらもそのエリアの中にある新水路となっております。こちらは、近隣の3町にまたがる広域公園構想で、これは面積的には418haある非常に広い公園計画でありまして、これが現在、一部、道立公園として整備をされ、供用されておりますし、また、国の事業も進められ、また、各自治体もその整備に向かっているところでありますが、実は、この十勝エコロジーパークも、25年前、十勝の若者たちが集まって、十勝川でサケを釣りたい、十勝川を使った何か観光資源をつくっていこうということで立ち上がった構想でございました。それにかかわった若者たちが、10年間、15年間、関係機関にいろいろと接触いたしまして、15年前に道立公園の指定をされ、整備をされ、そして、それから10年間たった現在、その完成がだんだん近づいているわけですが、これも実は民間ベースで打ち出したということで、官と民両方が一緒になって進んできた大きな事業であります。
 また、この事業のほかに、民間からの川づくりといたしまして、先ほどにもご説明していただきました相生中島地区、こちらの計画も、数年前から住民が主体となって、私たちは住民としてどういうような整備を望んでいるんだろうということで、何度もワークショップを行い、独自にそれの案をつくり、関係の行政といろいろと検討し、今、それが進んでいる途中でございます。
 また、十勝川のいかだ下り、こちらも今回で34回目となり、日本で一番最初に川下りを行った行事ですが、これも住民が主体で、とにかく楽しもうよということで始まったイベントが、今は非常に大きなものとなっております。
 このような形で、これらの積極的な川とのかかわりというものは、十勝川がいかに住民に根づいた川であるか、また、身近な川であるかを証明するものであり、反面、川に親しまなければ生きていけなかった歴史というものを物語るものであると思っております。
 また、エールセンター、日本で初めて、このエールセンターができたわけですが、やはりこの地域でのさまざまな民間レベルでの活発な活動というものが認められたあかしではないかと私たちは認識をしております。
 十勝は非常に厳しい気候条件の地域でありますし、その中でも、住民主導の文化がしっかりと根づいております。ですから、全国画一の整備ではなく、その特徴を生かした独自性のある整備というものを私たちは非常に望んでおりますし、先ほど、私がお話ししましたとおりに、私が先ほど紹介した川の活動というのはほんとうに一部でございます。子供たちへの環境教育をやっている人たちもほんとうにいっぱいいます。まだまだ話し尽くせないんですが、十勝はこのように、民間レベルでの活動が非常に盛んな場所です。やはり川と積極的にかかわっているという気風のある土地柄で、これを守りつつ、住民と川とのかかわりということは、これからもぜひ守っていきたい大切な事柄でありますので、安全を確保しつつ、そして、人とかかわっていけるという川の整備というものを強く望んでおります。
 以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。
 それでは、十勝川について、河川工学の立場から○○委員、お願いいたします。
(委員)  この1枚目にありますように、十勝川の流域というのは、北海道の中では、比較的山林が少なくて、50%弱でございます。そのためかどうか定かでありませんが、流域面積あるいは年降雨量のわりには計画雨量が大きい、そんな特徴を持っている川だろうと思っています。
 最近、本流に関しますと、ちょうど新水路がほぼ完成いたしました。これによりまして、供用されますと、この辺の河床に対する影響が若干心配されるところであります。
 また、最後のページの河床の安定を見ますと、下流部は掘削のためと明記されてございますが、まだ相当掘っていらっしゃいます。これが安定に維持できるのかどうかということをご検討いただければと思っております。
 それから、支川の札内川でございます。ここが帯広に近いところで、非常に大きな土砂を出してくるということで、上流直轄砂防が入っております。ただ、直轄砂防も進展しておりますし、札内川ダムもできましたので、土砂の流出に関しては相当抑制をされているのかなと思っております。逆に、札内川下流につきましては、河床礫の厚さが比較的薄いと私は認識してございます。そのために、ひょっとして上からの供給が過剰に絶たれますと、むしろ河床低下の危険等々があるのかと思っておりますので、この辺はずっと見ていただければと思います。
 それから、もう一つ、質問になるかもしれませんが、帯広地点での河道配分流量との差が700m3/s、これは十勝ダムだろうと思いますが、その下の茂岩で1,500m3/s、これは札内川ダムと十勝川ダムを合わせたものプラスアルファがあるのかないのか、ここだけでは読み切れませんので、追加のご説明をいただければと思います。
 以上でございます。
(委員長)  この質問は今……。
(事務局)  今、お答えさせていただきます。
帯広地点は、ご指摘のとおり、十勝ダムのみでございます。茂岩地点につきましては、十勝ダムプラス札内川プラス、もう一つの洪水調節施設、これを考えてございます。
(委員長)  それでは、次に関川でございますが、今日は○○委員、河川工学の○○委員もご欠席ですので、次の機会にお伺いしたいと思います。
 なお、昔を知る者として、関川の堤防引堤は相当大規模だったし、昭和50年の激特事業以降にぱたぱたっと片づいたふうに受け取れましたけれども、それ以前に相当取り組んでおったし、現地も相当動いていたと思いますので、また次の機会にでも、大体どのくらいの人が動いたのか、事情がおわかりになったらお知らせ願いたいのと、こういう大事業が風化していくことを、せっかくの先輩の努力が風化していくことをちょっと心配しております。
 次に肝属川ですが、○○委員からお願いいたします。
(委員)  鹿児島から参りました○○でございます。
 肝属川の水系につきまして、私が専門にしております水質の立場から少しご意見を述べさせていただきたいと思います。
 肝属川は、先ほど説明がございましたように、鹿児島県はシラス台地という、非常に崩れやすという特徴を持った地質特性を持っております。その中で、近年、笠野原台地は鹿児島の黒豚とか、2番手をいく牛などの畜産業が非常に広がっており、肝属川はその影響を受けた河川の1つと考えております。
 九州河川の中では、肝属川はBODの値が常にワースト1位とか2位ということで、国土交通省さんはそれを解消したいということで、私ども、改善策に今までいろいろ協力してまいりました。特に、肝属川は、市内を流れる1級河川としては、非常に水量が少ない。そういう河川に、住民の生活排水だとか、それよりもまして一番量的に多いのは、住民の数よりも豚の数が、住民の数は数万のオーダーのところですけれども、10万頭を超すぐらいの豚がいるとか、牛はもう少し少ないかもしれませんけれども、畜産によるいろんな廃棄物は、最近では素掘りではなくて、畜産廃棄物を台地にそのまま捨てるんじゃなくて、その処理施設ができてはおります。その中には、処理施設の持ち込みをきちっと守らない小口の方がいらっしゃる。特に支流河川というか、肝属川の支流から流れるところで、ふん便性の大腸菌であるとか、BODが非常に高いものが出てくる。このような地域的な特徴を持った河川であります。
 現在、肝属川、全国の中では非常に汚れた川である。そういうことで、何とか汚名を返上したいということで、いろんな団体が中心になって、特に国土交通省さんあたりでは、清流ルネッサンスUという、17年度から27年度までの10年計画の中で、鹿屋市、あるいは農業関係、畜産関係者等とか、各種団体とも協力しながら、肝属川をきれいな河川にして、将来的には、肝属川で子供たちが魚を釣ったり、あるいは水辺で遊べるような環境をつくるための準備が、住民ぐるみとなって、現在、計画進行中でございます。
 肝属川を、子供たちが環境学習の場として使えるような河川にぜひともしていただきたいと思っております。
 以上でございます。
(委員長)  河川工学の立場からは○○委員ですが、今日はご欠席なので、次の機会にお伺いしたいと思います。
 ○○委員の代理の方で、最終的なご意見は次回にまたお伺いしますが、欠席の方もおられますので、何かここで、もしコメントすることがございましたら、お願いいたしたいと思いますが、○○委員からは何かございますか。
(委員)  北海道でございます。十勝川のご審議をしていただきまして、ありがとうございます。
 先ほどお話がありましたが、十勝川は川づくりに多くの市民が積極的に参加していただいている、北海道でも有数な河川です。また、平成15年8月の台風10号により、北海道が管理している十勝川の支川において、集中豪雨で人命が失われたという被害がありました。これは、橋梁が落橋し、車が転落したという災害なのですが、北海道はその教訓をもとに、河川とか道路の情報の共有化に取り組んでいるところです。
 十勝川は、その流域形態から、道内では石狩川に次いで2番目の河川延長になっており、道の管理する指定区間はおよそ2,100kmに及んでおります。現在、道においても、支川の利別川、帯広川、売買川などで河川の整備を進めているところです。国はもとより、道においても、十勝川水系の河川整備の推進を図るため、早期策定をお願いしたいと考えております。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○委員からお願いします。
(委員)  代理で参りました○○でございます。
 関川につきまして、このような場でご審議いただき、ありがとうございます。新潟県としての河川整備は、従来の工事実施基本計画をもとにしているため、これを踏襲した今回の基本方針に異存はございません。関川水系現況治水安全度に関しまして、関川本川の県管理区間は、平成7年の7・11水害で巨額を投じた助成事業が25分の1程度と上がっておりますが、保倉川はせいぜい10分の1程度と低いため、また、下流部では工場などの産業基盤が集積してきており、保倉川の治水安全度の向上が急務となっております。このため、保倉川放水路につきまして、ぜひ事業を進めていきたいと考えております。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○委員からお願いします。
(委員)  鹿児島県でございます。肝属川水系のご審議をいただきまして、大変ありがとうございます。本県は、先ほどからお話ありますように、台風常襲地帯に位置しまして、梅雨期に降雨が集中するなどの厳しい自然条件に加え、県土の大半がシラス等の特殊土壌に覆われていることから、河川の氾濫等による甚大な浸水被害に見舞われ、これまでにも多くのとうとい人命と財産が失われてきました。ご存じかと思いますが、本年7月の県北部豪雨災害では、同じ9水系の川内川水系などで5名の方が亡くなられ、3,000戸以上の家屋浸水が発生するなど、極めて甚大な被害が発生いたしました。
  連続雨量が1,000mmを超えるという未曾有の豪雨が原因ではございましたが、それはいつでも、どこでも起こり得るということで、県にとりましては、治水対策が緊急の課題であることは申すまでもございませんが、ただいま、県民の関心や期待も非常に大きくなっているところでございます。
 肝属川のあります大隅地方も、昨年の台風14号によりまして甚大な被害を受けました。肝属川の治水対策につきましては、昭和の初期より、国におかれまして取り組まれ、堤防の概成、最近では、鹿屋分水路の完成などで治水安全度はかなり上がっていると考えておりますが、まだ河積不足の箇所が多く残っていると伺っております。今回の河川整備基本方針及びこれに基づく河川整備計画を早期に作成していただき、肝属川の計画的な治水安全度の向上を引き続きお願いしたいと考えております。
 また、県といたしましても、国と協力しまして、肝属川水系の安全度の向上に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
(委員長)  それでは、河川工学の専門家からお願いしたいと思いますが、○○委員、お願いいたします。
(委員)  それでは、それぞれの川について、気づいたことをお話しします。
 まず、十勝川です。先ほど、○○委員から、札内川の合流点の付近の土砂の厚さが薄い可能性がある。だから、土砂が来なければ下がる可能性がありというご意見がありました。私が現地で思ったことは○○委員とは少し違っていますので、ご検討をお願いしたい。
 帯広市内のかなり急勾配のところで、札内川と音更川が合流しています。近年、十勝川は大きな洪水が出てきてないというために、本来土砂の生産が多い十勝川と札内川ですが、生産を起こすような豪雨があまりない状態にもって治水事業をやってきてないかという心配を持ちました。
 具体的には、札内川は本来は複列砂州を形成している河道なのですが、流量が大きく出ていないこと、流量が出たときには河岸が浸食されて、堤防に危険を及ぼす心配があるということで、低水路に単列砂州が形成されるように、水衡部に連続的に水制をつくって来ました。その結果として、あまり大きくない洪水に対しては水制群が見事に働いて、単列の河道を形成し、河岸浸食もない河道になったことは事実であります。しかし、札内川流域に計画に近い大雨が降り河道に大洪水が発生したときに、今のような河道のつくり方でほんとうに確実に守っていけるのかどうか。特に十勝川との合流点の札内川上流、左岸側に帯広市が発達していますので、そこの堤防及び、現在の水制に頼り過ぎの守り方が、ほんとうに大水が出て、土砂が出たときに大丈夫なのかどうかを心配をしています。
 現地では、現在河床にかなり細かい材料がたまっています。これは、大きな洪水が出ていないことを示しています。それで、局にお願いして河床材料調査をやっていただいたところ、20pクラスの大きな材料が現河床から深さ1mぐらいのところに層状にあることがわかりました。100分の1から200分の1の勾配からすれば、その程度の粒径の砂礫が出てきて当然ですから、計画高水に近い流量が出たときの札内川が現在のような守り方で大丈夫かどうか検討が必要です。水位が上がったとき、高水敷にも十分水が乗って、堤防の線形で決まるような流れ方になったときに、すなわち、水制で決まるような流れ方でなくて、堤防の線形で決まる流れ方をしたときに、大洪水で谷底平野が形成されるように浸食を受けないかどうかについて十分検証する必要があります。これが、第一点目です。
 第2点目は、十勝川と札内川の合流点の広いところは遊砂地を形成し、大量の土砂が出て来たときそこにためる思想があるようなつくり方になっています。この合流点付近の堤防をどうするのかが大変重要になります。帯広市の人口は17万と言っていましたが、大きな洪水が出たときその地域の守り方について、長期計画として十分検討する必要がある。今までのやり方は、中規模ぐらいの洪水に対して安全な作り方をしてきているんですが、もっと大きな洪水が出たときにも安全を調べ、しっかりとした計画まで持っていっていただければと思っています。以上が十勝川です。
 関川につきましては、今日の資料を見て、1点、どうしても調べていただかないといけないのではないのかという点を申し上げたい。これまでの幾つかの河川でも問題にして来たのですが、川が海に入る河口付近の河床の高さが、洪水のときに一体どうなっているのかをわからずに、計画が決められていないかという問題です。関川の場合も、流下能力がないので河口付近を掘ることにします。しかし、流下能力はまだありませんということです。ところが、河床材料の粒径を見ると、河口では相当小さい河床材料になっています。しかし、日本海の水位の変化は、大きくてもたかだか干満差が50p内外ですよね。そういったところに、数mもの水位を上昇に洪水が流れてくると、河道と海とのつながり部分すなわち河口では、そんな水位差を持った急勾配流水になって水が流れるわけがありません。
 事実、今日の関川の資料を見ましたら、水面形状が出ているんです。資料2−2の5ページです。距離標0kmの付近から海の方向にむかって海底は深くなっている。ところが、川底はゆるやかな勾配になっている。これは洪水後の河床高を示しています。これを使って水面形を計算するものですから、この図のように河口付近で急な水面勾配が計算されるわけです。実態は海のほうが深くなっていますから、洪水がくると河床材料が小さいので河床付近の川底は相当下がっているだろうと思います。従って、思っている以上に河口では流量は流れるだろうと思います。これは、全国の河川の河口の河床高と流下能力について、どう考えるべきか悩んでいるところです。水面計を用いた縦断水面形が測れたり、痕跡水位も含めて水面形が測られていれば、洪水期間中の河床高はどんな大きさになるのかはある程度検討できる段階にあります。
 もっと言えば、この関川については、もう既に激特を2回やってきて、堤防もほぼできて、治水上、かなりの仕事をやってきているわけです。したがって、残る大きな課題である河口部の流下能力について水面計を配置して洪水のときの水面と河床の挙動を調べて、川底が一体どうなるのか明らかにしていただきたい。これは、利根川河口でもやっていますし、常願寺川でもそれをやろうとしています。どこもが同じような問題があって、それでも掘りますよと言うんですが、通常は掘っても埋まるところだと思います。ところが、洪水になったら、そのたまった土砂がフラッシュされる可能性があります。これを確認する必要があります。堤防もほぼ概成していますから、これをやっていただければ、河口計画をしっかり決めることができるのではないのかと思います。洪水のときの水面形の時間変化に河口付近ではかって、流量と関係をつけ、それから、川底がどんなになっているかを推定する。はかれればもっといいでしょうけれども、推定するということで、よいと思いますので検討お願いしたい。
 3番目、肝属川です。資料2−3の4ページでは、鹿屋分水路をつくったんですが、400m3/sを流すには現況の河道では流れないという説明がありました。ここはかなり住宅密集地帯で勾配のきついところですから、あふれたときには、それなりの被害が想定されます。
 ここではショートカットをしているため、床止めが入っています。床止めを今後どうするのかが大事ですが、この図を見ると、最上流の床止めの存在が、ひょっとしたら川底の高さを既定してないか。図でいえば、4ページの真ん中付近です。「鹿屋市街部・下谷川」と書いてありますが、このように掘ると、今典型的な都市河川で、コンクリート張りの見苦しい川になっていますが、この川をさらに掘るのでしょうか。床止めを撤去するなりすることによって自然の状態に近い川にならないのでしょうか。護岸の根継ぎ等問題はあるかもわかりませんけど、もうちょっとそういった立場でご検討いただいたほうが、全体の流下能力の確保のためにもよいのでないかと思っています。
 以上です。
(委員長)  ありがとうございました。
 それでは、○○委員、お願いします。
(委員)  関川について意見を申し上げたいと思います。
 この中にもありますが、平成7年、平成16年は関川ではなくて、新潟とか福井で大水害がございましたが、いずれも梅雨前線が日本海にあって、その末端で集中豪雨があったと。こういうパターンが過去10年、4回、この地域はあるんですね。平成7年7月11日の豪雨は、その典型でありました。
 先ほどご説明ありました資料2−2の右側の真ん中にございますように、保倉川と関川で挟まれた地域、ここでは「鍋底のような低平地」と書いてございますが、2ページ目の浸水域の図を見てもおわかりのように、水害の常襲地域になっているわけです。
 治水の考え方ということで、ここでは放水路ということが治水の考え方として書かれています。これは、昭和46年の工実の改定以来とられてきた方針だと思います。ただ、関川本川は、先ほどから何度もお話がありましたが、引堤をやっているんですね。保倉川は、昭和46年の工実の改定以来、そのときの土地利用を見れば、十分引堤できたんではないかと思うんですが、それ以来ずっと放水路計画がきておりまして、今回もその案ということになっています。
 日本海側の海岸砂丘の裏にある川というのは後背湿地になっていて、水はけが悪い。ですから、いろんな川で放水路をつくってきたわけでありますが、ただ、ここは、海岸砂丘状に旧街道があって、ここに昔、佐渡と面していますから、天領で古い町並みの集落が形成されております。放水路はそこを切ることになるわけで、そういう集落を分断する河川工事と、確かに現在、ある程度資産が集積はしておりますが、そういうところの引堤によって洪水を処理するという考え方、これの比較検討というものがどのレベルまで行われたのか。要するに、具体的には、放水路で何軒移動しなきゃいけない、引堤で何軒、資産はどれぐらい、あるいは費用は幾らぐらいとか、それが及ぼす、当然本川にも影響がありますから、今、○○委員もおっしゃった。○○委員がおっしゃった、洪水のときにどんな流れ方をするかということにも実は関係しておりまして、そういうことがどの程度比較の上で、こういう基本的な考え方が出ているのかということをぜひ教えていただきたいというのが1点目でございます。
 今のが一番大きなことですので、これはぜひご検討いただきたいと思いますが、あと3点は簡単に申し上げますが、流水の正常な機能のための必要流量について、これはこういうふうに基準点をつけて決めることで結構だと思うんですが、実はこの川は、左支川で矢代川という川があって、先ほどもご説明ありましたが、発電でよく使っているということもありますし、農業用水も、上江用水、中江用水という大きな用水があって、随分引いていて、夏はこの川は水が流れなくなるんですね、大きな支川なんですが。そういう流水の正常な機能の維持の考え方は、もちろん基準点を使ってやるわけですが、比較的大きな支川の状況等は全く考えなくてもいいのかなというのが、これを今、こういう形でチェックはされていますが、正常流量ということの意味を、ある程度は面的にも考える必要があるのではないかということで問題提起をさせていただきたいと思います。
 3つ目は、土砂のことなんですが、特に保倉川流域というのは、第3紀層地滑り地帯でありまして、古来、ここは棚田を斜面高くまで切って、農業が行われてまいりました。ですが、現在、いろんなところでそうですが、中山間地がいろいろ疲弊しておりまして、棚田の維持というものが非常に難しくなってきております。そういう社会的な状況と河川における土砂の流層という問題が必ずしも河川改良の中で十分光が当てられてないように思います。この中でも、土砂の総合管理が必ず議論になりますが、ただ、今申し上げたような社会的要因による土砂の変動というものが、いわゆる端的にここで言えば、棚田の放棄による土砂の問題というものも考える必要があるのではないかと思います。
 最後の1点は、これは別の審議のときにも出てきましたが、ダムの放流という問題でして、放流というのは言葉がよくないと思いますが、実は私、ここ、かかわってきて、笹ヶ峰ダムというのが上流にございますが、平成7年の7・11水害のときには、笹ヶ峰ダムから放流があって、それが水害を引き起こしたと感じている人が住民の中にたくさんいらっしゃいます。私は大分説明したんですけれども、河川管理の説明責任という問題で、こういうところははっきり住民の方に伝える必要があるのではないかと考えております。
 以上です。
(委員長)  大きな宿題ですけど、次回でいいですか。
(委員)  はい。
(委員長)  今の保倉川放水路が成立するかどうかという問題にも関連するようですけれども。じゃあ、次回に用意してください。
 それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  ○○でございます。それでは、大小まぜて4点ほどお願いがございます。
 今、各河川工学のご専門の委員から、治水面でのコメントがございました。河川の環境を考えますと、治水を進めて、氾濫を防ぐようにすればするほど、その反面で、生物多様性が減少していくというところがございます。その観点から、治水を進めた分だけ、生物多様性のリハビリテーションをするんだという方向性を、この基本方針の中でうたうことができないかどうかというのが第1点目のお願いであります。
 第2点目は、治水上で、河床の形態とかその変化、あるいは河口計画ということが数多く指摘されていますけれども、海岸への影響ということを考えますと、適正土砂輸送量というコンセプトがあってもいいのではないか。そういうものが導入できないかどうか、ご検討いただけたらと思います。
 第3点目は、今日のご説明をいただきました3つの河川を通しまして、あるいは、以前からご説明をいただいています河川に関します説明の中で、河口部の生物による生態学的に見た使われ方のところの表現が、もう少し書き込んでいただいてもいいのかなと。通しで見ますと、いつもあるパターンの表現が登場するような気がしています。もうちょっと書き込んでいただいてもいいのではないかという気がいたします。
 最後の4番目は、これは少し視点が変わりますけれども、河川整備基本方針では、総合的管理を確保するための方針について記載するということになっておりまして、整備計画では、具体的な手法を記載するということになっているかと思います。ただ、現実の整備計画では、例えば、20年後の姿とかを想定して、その期間内にどこどこまで達成しますという書かれ方がされているかと思いますけれども、20年もたちますと社会の状況が変化してしまって、基本方針そのものを少し改めたほうがいいというようなこともあるかと思います。現在、基本方針には有効期間は定められておりませんけれども、見直すことのできる期間というものを導入してもいいという規定にはならないかということでございます。
 以上、4点です。
(委員長)  4番目はかなり基本論です。そもそも整備基本方針のときに、整備計画がなきゃ整備基本方針を描けないじゃないか。整備計画でもし問題があったら整備方針にまた戻すのかとか、基本的な議論があって、要は、やっぱりフィードバックありということだろうと思っているんですけれども。ただ、法律手続上は、やっぱり整備方針をつくって、それから整備計画をつくりますとなってます。ですから、整備方針が不十分で、整備計画のときに計画がまとまらないんでしたら、また基本方針へお戻しいただくということだろうと、委員会としては受けとめたいと思うんです。
 あとの点については、また次回、事務局から、もし資料があればということでお願いしたいと思います。
 それから、○○委員、ほかの河川でも何かございましたら。
(委員)  ありがとうございます。私も既に○○委員からご指摘ございました関川の放水路の可能性について、実はお伺いしたいと思いましたが、○○委員から詳細にご説明いただきました。次回、それに対するご回答をいただければ結構だと思っています。
 以上であります。
(委員長)  それでは、それ以外の委員からもお聞きしたいと思いますが、○○委員、ございましたらお願いします。
(委員)  まず十勝川ですけれども、十勝川で非常に重要な課題の1つだと思うのは、堤防の耐震強化だと思います。と申しますのは、3年前の2003年9月26日でしたか、十勝沖地震が起きまして、堤防が何と23kmにわたって、ひび割れであるとか陥没を生じた。この5ページにも、右下に写真が載っておりますけれども、私、実際歩いてみて、堤防ってこんなに弱いものなのかということをつくづく感じたんです。23kmということですから非常に長い距離なんですね。これまで地震で、それだけ長い距離、堤防がやられたというケースはあんまりなかったと思います。それとともに、津波が、これ、自衛隊のヘリが撮影したんですが、10.5km遡上しました。大きな被害は川沿いではなかったんですけれども、下流域が低平ですから、長い距離遡上したということなんですね。堤防の破壊のほうですが、これは地震動による破壊と液状化という現象が随分起きておりまして、堤防のすぐ近くでは液状化によってマンホールが抜け上がっていました。
 問題は、どの程度の揺れだったかということですが、おそらく震度6弱から、内陸部では震度5だったと思います。その程度の揺れで、これだけ堤防がやられるというのは、ちょっと見過ごすことができないと思って、視察をしてきた覚えがあります。
 問題は将来ですけれども、中央防災会議で、日本海溝、千島海溝で発生する海溝型地震の防災対策推進地域を決めまして、ここも入っているわけなんですが、千島海溝沿いというのは、過去しばしば巨大地震が起きています。つい6日前にも、ずっと東のほうですけれども、マグニチュード7.9が起きまして、津波警報が出たんですけれども、想定される地震の中で一番問題なのは、500年間隔地震というのがありまして、これ、書かれた記録には残っていないんですが、津波の堆積物を調べることによって、火山の噴出物との上下関係で年代決定がされたわけですが、大体17世紀の初めぐらいに大津波を起こすようなすごい地震があったということで、さらにそれ以前の堆積物を調べていくと、大体500年ぐらいの間隔で起きているだろう。ということは、17世紀初めから400年ですから、もうそろそろ危険期に入ってくるということでありまして、やはり堤防の耐震強化。特に液状化対策というものを十分に進めていく必要があります。例えば、大地震が起きて、堤防が破壊されたところに大津波がやってくるということになりますと、相当な被害を生じてしまう。まさにこれが喫緊の課題じゃないかと思っています。
 それから、肝属川ですが、先ほど説明がありましたように、面積の7割ぐらいがシラス。シラスというのは、カルデラを生じるような巨大噴火が起きて、火砕流の堆積物が鹿児島県一帯に広く積もっているわけですが、シラスというのは、大雨によって垂直に崩れるという、そういう特徴があります。これは、わずか2万数千年前ですから、あんまり固結をしていないということでありまして、垂直に崩れてしまう。それが大きな被害を生じてきているんですが、しかも、シラスが堤防の材料になっているというのが大きな問題でもあるんですが、従って、洪水によっても浸食されますし、写真が載っていましたけれども、やはり津波が来ますと、津波による浸食というのも考えておかなければいけない。南海地震が、おそらく今から30年ぐらいの発生確率50%と言われております。南海トラフの巨大地震が起きますと、やはり地震動による堤防の被災とともに、当然のことながら津波が、やはりここも十勝川と同じように平坦な川ですから、かなり奥まで遡上するんじゃないかということも含めて、ここでもやはり堤防の強化が大きな課題ではないかと思っております。
 以上です。
(委員長)  堤防の強化もなかなか難しい問題があって、あるいは、津波予想図みたいなものですか、それらと合わせるというのも1つのアプローチでしょうか。
(委員)  はい。津波の浸水予測図というのは、今、全国でかなり進んできておりますから、この地域、私、よく知りませんけれども、おっしゃったように、それを合わせるのは重要だと思います。
(委員長)  次に、○○委員からお願いいたします。
(委員)  生物に関係したことを1点と、それ以外の件なんですが、1つは、○○委員からご指摘いただいたんですが、従来も点検してきたかどうか私自身も反省があるんですけれども、河川が河口から上流部まで連続性が担保されているかどうかですね。十勝川ですと、サケなど、あるいはサツキマス、ヤマメなどがちゃんと上れる連続性があるかどうか。魚道がついているだけではだめなんですね。うまく機能する魚道がついているかどうかということです。
 関川でも、サケもありますし、サツキマス、アユもあるでしょう。そういうものがちゃんと上がれるかどうかということをしっかり点検していただきたい。
 それから、河口部の問題は、特に十勝川ですと非常に少なくなっているシシャモの産卵場の確保というのが大事な問題だと思いますので、そこら辺はぜひしっかりと、沙流川もありますけれども、非常に少ない河川しかシシャモは上がっていないので、ぜひ遡上河川を守っていただきたいということです。
 それから、生物とは関係ないんですが、私、肝属の災害図を見せていただいて、家屋の全・半壊流出戸数の多さに非常にびっくりしたんですが、肝属では人の被害は出ていなかったんでしょうかというのが1点です。そういうぐあいにして、3河川の被害状況を比べますと、ある河川については、床上浸水何件、床下浸水何件と書いてあるところもあるんですけれども、肝属ですと、浸水家屋409、家屋も全壊と半壊というのでは、財産に対するインパクトはかなり変わってくると思います。もし判れば、全壊が何戸、半壊が何戸という書き方にして下さい。だから、家屋については、全壊、半壊、床上、床下、そういうものを区別して書いていただいたほうが、これからの河川防災で壊滅的な被害を避けるという視点からいいますと、どれぐらいの被害が出たかというのがよくわかると思うんです。ちなみに、関川で拝見しますと、半壊、床上浸水、2,738戸なんです。床上浸水で半壊したのかどうか、これ、違うと思うんですね。半壊家屋はこれより少なくて、床上浸水が2,738戸だと思うんですけど、わかる限りで結構ですので、内部調査してください。
(委員)  ここの「主な洪水災害」のところに、死者171名って書いてある。
(委員)  肝属ですか。そうですか。左上のまとめのところにも、死者数を入れていただいたらわかりやすいと思います。
 十勝川についても、やはり被害家屋としか書いていませんので、床上、床下を、できる限りの範囲で結構ですけど教えていただければ幸いだと思います。
 以上、2点でございます。
(委員長)  じゃあ、それは次回、用意していただきたいと思います。
 それでは、○○委員からお願いいたします。
(委員)  水質に関して、○○委員からもご指摘ありました肝属川の点ですけれども、あるいは、先ほど○○委員から基準点に関する問題提起というのがありましたけれども、私もちょっと違う視点ですけれども、肝属川に関して少し意見を聞かせていただきたいというか、問題提起をしたいということなんです。
 肝属川に関しましては、先ほど、計画のご説明で、清流ルネッサンスというような取り組みがなされて、環境基準はBOD5ということですけれども、目標値はBODで3を目標ということが、対策が実施されようとしているということです。そのときのBODの環境基準の目標値が、地点でいうと、河原田橋というところでの目標値になっているんですが、基準地点はその地点と違いまして、やや上流の朝日橋ということになっております。量と質の管理は、基本的には別に同じ地点でなくてもいいというご意見なのかもしれませんけれども、やはり低水管理において、例えば、BODの2倍値ということで正常流量の算定値にしているということも考えれば、河原田橋にしたほうがよいのではないかと思うんですけれども、朝日橋にしなければならない理由というのがどういうものかということを教えていただければと思います。
 特に、負荷量の地図がありますけれども、ブロック5は一般家庭排水などがかなり負荷量が高いというようなことが、朝日橋にすることによって入らないという意味でも、私としては問題提起をしてみたいなという点でございます。
 もう1点、これは簡単な質問ですけれども、関川のほうで、これも環境基準の関係ですけれども、17年、厳しいほうに改定されたというのがありましたけれども、この理由、背景あれば教えていただきたい。
 以上でございます。
(委員長)  これは、次回、用意していただけますか。
 それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  肝属川水系の資料9ページの右側の水質対策について1点お伺いしたいと思います。
 水質浄化施設や下水道については、年次計画に従って整備が進んでいけば、浄化対策として、それぞれ効果があらわれてくると思いますが、畜産・農業排水については、例えば、景気がよくなって、黒豚の生産量が増えるということになると、排出量も増えてくるのではないかという心配もあります。そこで、清流ルネッサンスU、10年計画の中で、畜産・農業排水について、ある程度具体的な削減計画のようなものが織り込まれているのかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
(委員長)  これも、資料は次回でよろしゅうございますか。
(委員)  はい。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  今回、ちょうど十勝川と肝属川、北海道と九州で対称的な川ではないかと思っています。それは水質に関してです。十勝川は、ご承知の方が多いと思いますが、家畜の排泄物を全部畑地還元しております。はずです。最近の情勢は知りませんけど。それによって、冬季のふん尿をためておきまして、春になって芽が吹きそうなときに全部畑地に散布する。そういうことで、北海道で広く行われている還元処理の発祥の地ですよね。そういうことで、河川の水質も、多分、処理施設もなしに、非常に正常な水質が保たれているだろうと推測しています。
 また、民間の施設ですが、もう何十年も排泄物だけで運営している試験農場もありまして、私もよくそこからおいしいおそばをいただくんですが、そういう非常にきちっとした伝統があります。
 一方、肝属川は、黒豚、それと赤い牛とで畜産が盛んだということですが、以前はたしか、この流域は、不勉強で申しわけないんですが、サツマイモ、唐イモ、デンプンで、随分排水で苦労したんだろうと思っていたんですが、今はこれは豚ということですよね。結局、畜産排水に関しては農地還元が一番よろしいんでしょうが、問題は、やはりそういう農地面積当たりの頭数負荷量にあると思います。その負荷量が両者どれぐらい違っているものか、正直言って非常に興味があるところで、もし教えていただけるなら教えていただきたい。多分、輸入飼料を大量に使っているとすると、肝属川の豚の密度、牛の密度というのは極めて高いんではないかという気がしております。
 それと、ちょっとわかんないんですが、8ページで、いろんなところの、畜産系であるとか、事業所系であるとかの負荷量が出ているんですが、色ごとの、何色が何だかわからないですね。よく見るとわかるんですが、緑色も何だかよくわからないとかありますので、わかるようにしていただけたらと思います。
 そして、もう一つわからないのが、事業所系と書いてありますのが、事業所が何だろうか。焼酎工場なのか何なのか、結構あると思うんですが、これもいろいろなことをやってくれますので、そこいら、原因を教えていただきたいと思います。それによって、水質のBODの推移とか、そこいらがもうちょっと読み取れるのかと存じます。
 もう一つ、以前も何回か申し上げたと思うんですが、下水処理等が非常によく行われております地域においては、BODは絶対に下がらない。むしろBODは上がるわけであります。川を汚しているのは炭素系のBODです。有機物です。それが第1段階のBODといいますが、きちんと処理すると、窒素系のBOD、第2段階のBOD、最近はやらない言い方ですが、古い言い方で言いますとそういうことになります。そして、窒素を硝酸に変えるために大量の酸素を要求するので、それが酸素を要求するというのでBODが増える。つまり、有機物を一生懸命減らすと、今度は窒素に移るんで、BODが高くなってしまう。ですから、肝属川の8ページのところの全国の水質ワースト20なんて並んでおりますが、ここのところの鶴見川あたりまでは、実は川はすごくきれいなんですね。ほとんどが窒素のBODだと思います。これをもっときれいにしようといったって、それは無理な話だと存じます。
 前もお願いしたんですが、河川の、将来どこまできれいにするのかということを環境として議論したいときには、ぜひとも、ここで言いますところの、これはTBOD、トータルのBODですが、有機物だけを代表しますCBODであらわしてほしい。当然のことながら、環境省あたりもそこいら、CとNとをちゃんと分けて環境基準を公表していただきたいものだと思いますが、特に河川に関しては、CBODというのをきちっとやっていただけたらと思います。環境基準がどうなろうと、川がきれいかどうかはCかNかでわかります。そういう点からいいますと、肝属川、ちょっとCが高いのでないかなという気はしております。
 大都市近郊のは、もうとっくに、これ以上不可能ということでございます。肝属川でさらに総窒素が経年的に増えているということだそうですので、今後ますます、いくら一生懸命やっても、数字上はきれいにならない。その可能性があるということを申し上げておきまして、きれいにするためには指標をきちっと、いい指標を使っていただきたい。さもなければ方針を間違えてしまうだろう、こういうことを申し上げておきます。
(委員長)  いいですか、○○委員は。
 単にこの河川だけじゃなくて、河川行政から水行政全体に及ぶお話なので、その辺は……。
(委員)  河川だけやっていても構わないんじゃないですか。
(委員長)  やっぱり汚濁物質のもとからいろいろ議論しないとはっきりできませんね。河川側に恐らく被害者意識も大変あるんじゃないかと思いますが、最後に流されてきたから、おそらく被害者意識も大変あるんじゃないかと思いますが、その中でどれだけ対策がとれるかということでしょう。基本方針にはどう書き込むかということは、また関係機関とのいろんな調整ということがあるでしょうから、工夫していただきたいと思います。
 一応、皆様のご意見を承りました。○○委員は別用があって退席されました。そこで、全般お聞きしますと、一応、従来の工事実施基本計画の数値はそのまま継承しようというのが大勢の意見だったように思います。
 茂岩1万5,200、帯広6,800。それから、流水の正常な機能の維持については、茂岩69.3m3/s。
 それから、関川については、本川、高田で3,700、保倉川は松本地点で1,900、それを放水路へ700。これはいろいろご意見のある方もあるようでございますが、試しに、新潟県内で海に出ている河口と河口の距離みたいなのを、加治川だとか落堀川とかいろいろありますが、大体何キロに1本ずつ海にぶち抜いているのかを調べて下さい。関川と保倉川、ちょっと並んだところに出ていて、維持できるの、あるいはもっと管理の段階で考えて、洪水のときは流すけど、ふだんはこっちに流すというやり方もあるのか、その辺が参考になるので、そういうデータもつくっていただくとありがたいと思います。それから、高田地点では、正常流量5.7m3/s。
 肝属川は、俣瀬で2,500m3/sですが、ダム計画は取りやめて、俣瀬、基本高水イコール計画高水流量にすると。したがって、高山川は、ダム計画をやめた分だけが増量になるけど、これは吸収可能というご説明でしたか。それから、正常流量は朝日橋。これはいろいろ議論があったようでございますが、かんがい期が0.35m3/s、非かんがい期が0.46m3/s。ご議論のあるところは、また次に用意していただきますが、大体において提案されたものを基本として、ご議論のあったところについては、次回、また丁寧にやっていただくこととして、それ以外は、大体こういう数字を踏まえた上で、次回、本文を書いていただくということにしたいと思います。
 本日は、河川整備基本方針の本文(案)とその骨子などの資料は用意されていましたが、時間の都合で、その紹介がありませんでした。次回は、本日の議論も踏まえ、また、質問等についても、あるいは修正等もあると思いますが、それを踏まえて、本文(案)について審議していただくことになります。本日、配付された資料も含め、お気づきの点がありましたら、次回以降の議論にも反映できるよう、あらかじめ事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。
 事務局におかれましては、本日の議論や委員からの追加意見を踏まえて、本文(案)に必要な修正を加え、次回、改めて紹介するようお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきまして、内容について、発言者の氏名を除いたものとし、各委員のご確認を得た後、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することといたします。本日の議題は以上でございます。

 

3.閉      会

(事務局)  ありがとうございました。
 次回の本委員会は、Aブロックにつきまして、十勝川等3水系の審議のため、11月30日、木曜日、13時から15時の間。場所は、中央合同庁舎第2号館低層棟1階共用会議室にての開催としておりますので、よろしくお願いいたします。
 お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございますが、郵送をご希望の方は、後日郵送させていただきますので、そのまま席にお残しください。それでは、閉会いたします。どうもありがとうございました。

 





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