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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第56回河川整備基本方針検討小委員会

平成18年12月25日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤  徹 
委   員  綾   日出教

池 淵 周 一
岡 本 敬 三
岸 井 隆 幸
楠 田 哲 也
小 池 俊 雄
小 松 利 光
越 澤   明
坂 本 弘 道
福 岡 捷 二
福 永 浩 介
虫 明 功 臣
森   誠 一
森 田 昌 史
潮 谷 義 子


1.開      会

(事務局)  それでは、そろそろ定刻を超えておりまして、委員の皆さんもそろわれたようでございますので、小委員会を開催したいと思います。
 カメラの皆さん、最初だけ撮っていただいてご退席いただくようにお願いしたいと思います。
 ただいまより、第56回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。
 私、本日の進行を務めさせていただきます事務局○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、お手元に配付しております資料のご確認をお願いいたします。議事次第、名簿、配席図、資料目次がございます。資料目次にのっとりまして確認をいたします。資料1、球磨川水系河川整備基本方針に関する審議の流れ、資料2、洪水調節の実現可能性について、資料3−1、「川辺川ダムを考える住民討論集会」論点(治水・環境)、資料3−2、住民討論集会の「ダム反対側」論点説明資料(環境)、資料3−3、住民討論集会の「国土交通省側」論点説明資料(環境)、資料3−4、「川辺川ダムを考える住民討論集会」(環境)概要等について、資料4、河川環境の現状と対応方針、参考資料といたしまして、参考資料1、球磨川水系管内図、参考資料2、球磨川水系流域図、参考資料3、球磨川水系の特徴と課題、参考資料4、計画高水流量について、参考資料5−1、住民討論集会の論点説明資料(計画高水流量)、資料5−2、「川辺川ダムを考える住民討論集会」「計画高水流量」概要等について、参考資料6、現在の治水対策、河道流量について。
 それ以外にも、一枚もののA4で、「河川整備の具体的な内容の取り扱いについて」、これは一枚もののペーパーでございます。それから、「安全工学から見た堤防」ということで、カラー刷りのA4サイズがございます。あと、別添ファイルでございますが、これまでの審議に用いました資料を別添ファイルで用意しております。資料に不備がございましたらお申しつけいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、本日はBグループでございます。○○委員はご都合によりご欠席されております。また、傍聴の皆様におかれましては、傍聴のみとなっております。審議の進行に支障を与える行為があった場合には退室いただく場合があります。議事の進行にご協力願います。
 それでは、○○委員長、よろしくお願いいたします。

2.議      事

(委員長)  本日は、委員の皆様にはご多用中のところご出席いただきましてまことにありがとうございます。まず、議事に入る前に、地元の方々から意見書や要望書が来ております。既に配付しているものも含め、各委員にはこの場に用意しております。各委員におかれましては、意見書の専門的な分野についてはお読みいただきながら、本日の審議に際してはこれらの意見書の内容も踏まえてご意見をいただきたいと思います。
 それでは、議事に入ります。前回、計画高水流量4,000m3/sの審議を行った際に、複数の委員から洪水調節施設に関する意見が出されました。このため、計画高水流量については、前回の審議で一応腰だめという結論にし、今回、洪水調節施設として川辺川ダムの説明を事務局からしていただくことにいたしました。洪水調節施設は、本来、河川整備計画で議論すべきものでございますが、計画高水流量を決定する審議上で委員からの意見もあったことでございますので、事務局より洪水調節の実現可能性について説明してもらいたいと思います。よろしくお願いします。
(事務局)  事務局を担当しております○○でございます。お許しをいただきまして着席して説明させていただきたいと思います。
 まず、資料の1をお願いいたします。これまでの審議の流れを説明した資料になってございます。前回、前々回、第7回、第8回の委員会で計画高水流量の検討、現在の治水対策の考え方と実施状況、河道流量、それから計画高水流量についてご議論いただきました。本日は、2点ご説明させていただきます。四角囲いのところにございます洪水調節施設の実現可能性、それから新たな丸でございますが、河川環境・河川利用についての検討ということで、そのうちの河川環境についてご説明させていただきます。
 説明に入る前に、資料番号のついておりません「河川整備の具体的な内容の取り扱いについて」という資料を説明させていただきます。委員長のほうからもお話がございましたとおり、洪水調節施設は本来、河川整備計画の策定段階で議論すべきものというようなお話がございましたけれども、本日の審議の前提条件として、このペーパーについてご説明させていただきたいと思います。
 まず1つ目の四角でございますが、「河川整備基本方針と河川整備計画の基本的考え方」、委員の先生方には再々ご紹介してございますけれども、ご説明をさせていただきます。まず、河川整備基本計画でございますけれども、河川整備の長期的な目標であり、河川管理者が全国的な整備バランスを確保しつつ、水系全体を見渡して定める必要のあの事項、基本高水だとか、河道と洪水調節施設への配分だとか、主要地点の計画高水流量、そういったものでございますけれども、それらを定めるものである。このため、高度に専門的な観点から治水施策の基本的な方向を議論する必要があることから、社会資本整備審議会の意見をお聞きすることにしているということでございます。
 次に、「河川整備計画」でございますけれども、河川整備計画は、河川整備基本方針に沿って行う河川の整備、例えばダム、堰、堤防等の河川工事、浚渫等の河川維持、こういったことに関する事項を定めるものである。このように、河川整備の具体的な計画であるため、河川に関する学識経験者、地方公共団体の長の意見を聞くとともに、関係住民等の意見を反映するために必要な措置を講ずる仕組みとなっているというようなことでございます。したがいまして、河川整備基本方針と河川整備計画では、ただいまご説明したような基本的な違いがございます。
 次の四角でございますが、「河川整備の具体的な内容の取り扱い」ということでございます。ダム等洪水調節施設の具体的な内容は、河川整備計画に位置づけるものであり、その具体的な内容については、河川整備基本方針策定段階ではなく、河川整備計画策定段階で議論されるものということでございます。委員長からもご指摘のあったとおりでございますが、このようなことから、他の河川の基本方針の議論の中でも、個別の洪水調節施設の議論は差し控えさせていただいてきているところでございます。本日はこういった前提条件のもとでご審議をお願いしたいと思います。
 次は、資料3−1でございます。洪水調節施設の実現可能性の議論に先立ちまして、これまで関連してどのようなご議論があったのか、熊本県さんのほうでおまとめいただきました「川辺川ダムを考える住民討論集会」の資料を使いながら追体験というような形でご説明させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。資料3−1でございます。3ページをお開きください。3ページの6から5ページの8までが、本日ご紹介する点でございます。3ページ、6、洪水調節流量(洪水調節が必要な流量)としています。ダム反対側として、国土問題研究会では、遊水地で200m3/sから400m3/sカットだとか、水源連として、計画河道の確保で対応といろいろ記載がございます。これらにつきましては、前々回、前回の議論の中でもご紹介させていただいてございますけれども、若干、前提条件が変わってきてございます。それに対しまして、国土交通省推進・容認側のほうは、ダムにより毎秒3,000m3/sをカットということで、前回ご紹介しました比として、80分の1で基本高水7,000m3/sを3,000m3/sカットして計画高水4,000m3/sというお話でございます。
 1枚めくっていただきまして、八代地点でございますけれども、ダム反対側のほうは、ダムなしで流せるというご主張でございます。それに対しまして、国土交通省推進・容認側は、ダムにより毎秒2,000m3をカットしてと、これは、前の条件での話でございますけれども、そういうような主張になってございます。
 7番のほうにまいりまして、ダム以外の代替案のほうでございます。まず、人吉地点でございますけれども、ダム反対側のほうが、川辺川研究会、部分的に河床掘削と堤防の嵩上げで対応する。それから、川辺川ダムの体系的代替案の中でも同様に、計画河床高までの河床掘削を行い、未整備の堤防を整備するというようなことを主張されてございます。それに対しまして、前回、前々回もご紹介いたしましたけれども、国土交通省推進・容認側のほうでは、川幅の拡幅案は人吉市街地の中心部を大幅に移転させることになるとか、河床掘削案については、○○委員からもご指摘がございましたけれども、人吉層の軟岩の問題が新たにある。堤防嵩上げ案についても、人吉の市街地の移転が必要だとか、いろいろ問題があるとご指摘がございました。
 次に中流部でございますけれども、川辺川研究会のほうでは、堤防、あるいは宅地の嵩上げという主張がございます。また、ダムを撤去して、堆砂による水位上昇をなくすとか、宅地等水防災対策事業や築堤による河川改修を進めるというご主張がダム反対側のほうからでございます。それに対しまして、国土交通省推進・容認側のほうでございますが、ダムがなければ中流部でさらに2.5mの宅地嵩上げが必要だとか、国道、JRの嵩上げが必要と整理されてございます。
 それから、遊水地でございますけれども、川辺川研究会のほうでは、平成13年に遊水地の候補地として9カ所発表されております。その後、国土問題研究会の中で毎秒500m3から1,000m3の洪水調節流量を有する遊水地の整備を提案。それから、平成14年2月では、住民討論集会で毎秒500m3程度のカットでよいという発言がございました。14年6月には、毎秒200m3から400m3程度のカットでよいというような発言に見直してございます。その後、国土問題研究会のほうでは、遊水地については位置づけが変わって、現在の治水対策の基本は、計画河床をしっかりと掘削して確保すればそれで十分で、遊水地は現在ではたくさんある案のうちの1つというようなことに変化してきてございます。それに対しまして、国土交通省推進・容認側のほうですが、幾つかの町で、遊水地の場合には1,000haの土地の買収が必要だとか、優良農地を洪水にさらす問題だとか、深さ7mの遊水地を確保する必要があるだとか、今ある田畑にそのまま水をためても川辺川ダムの10分の1程度しか効果がないというようなことで、遊水地については実現の可能性はなかなか厳しいものがあるというご指摘でございます。
 そのほかにも何点がございますが、平成15年6月30日の川辺川ダムの体系的代替案というところでは、反対側のほうから、森林の保水力の話なんかが出てございますけれども、これにつきましては、第3回をはじめ、小委員会でも既にかなりご議論されてございますので、皆さんご承知のとおりのことと思います。
 5ページの右下でございますが、8、費用対効果ということでございますが、大分議論の前提条件が変わってきておりますので、直接関係しづらくなってきておりますが、ダム反対側のほうからは0.73、国土交通省推進・容認側からは1.55という数字が示されてございます。
 以上、洪水調節施設に関連する住民討論集会での議論についてご紹介させていただきました。
 次は、資料2でございます。ご準備、よろしいでしょうか。「洪水調節の実現可能性について」という資料でございます。この資料の1ページ、2ページは、前回の小委員会でもご説明したところのおさらいになりますけれども、まず、それについてご説明させていただきたいと思います。資料の1ページでございますが、ここでは、現況流下能力――現状の河道における流下能力です。それから、流し得る流量――物理的、社会的、環境上の制約条件等を考慮した上で堤防の整備等の改修を行った河道における流下能力、それらを踏まえて計画高水流量を求めるというような考え方の流れになってございます。
 まず、上流区間、人吉区間でございますけれども、現況の流下能力は3,600m3/sで河床整正後には3,900m3/sということになってございます。流し得る流量としましては、河道の維持管理だとか、河川環境への影響をできるだけ小さくするため、人吉層の露出割合を極力抑えた掘削等により確保できる流量として4,000m3/sを提案してございます。
 それから、中流区間でございますけれども、渡地点の評価といたしまして、現況の流下能力として3,200m3/s、家屋の嵩上げを行った後は4,800m3/sという現況の流下能力でございます。流し得る流量としましては、これまでの家屋の嵩上げ等の対策、JR、国道等に影響を及ぼさないように、基本的に計画高水位を変えないで、河床の岩の状態に留意して樹木の伐採だとか、河床堆積土砂部にたまっております砂礫、土砂の除去を行うことにより流下が可能であるというようなことで5,500m3/sを流し得る流量としてございます。
 下流区間、横石地点でございますけれども、ここでは現況の流下能力は萩原堤防のところは深掘れがございますので、6,900m3/s未満としてございますけれども、深掘れ対策後は6,900m3/sと考えてございます。流し得る流量といたしましては、河道の変遷等からおおむね安定して確保できる流量として8,000m3/sと考えてございます。
 今ご説明しました流し得る流量等をベースにしまして計画高水流量でございますけれども、まず人吉地点、80分の1の基本高水7,000m3/sでございますが、計画高水流量4,000m3/sとしてございます。それから、中流区間につきましては、渡地点でございますが、5,500m3/s、流し得る流量を採用してございます。下流区間につきましては、横石地点でございますけれども、上流での洪水調節の結果が、流し得る流量8,000m3/sを下回るということもございまして、100分の1の横石地点、9,900m3/sの基本高水のピーク流量に対して、計画高水流量が7,800m3/sということでご説明させていただいております。
 1枚めくっていただきまして、これも前回のおさらいになりますけれども、1ページの、今ご説明した内容のバックデータでございます。一番上の箱の中にございますが、上流・中流・下流について流し得る流量を検討した結果、河道のみでは基本高水のピーク流量を安全流下させることができないということで、洪水調節施設を必要としています。上流の基準地点人吉では、できるだけ河道で洪水を流すため、流し得る流量4,000m3/sを計画高水流量とし、基本高水のピーク流量との差3,000m3/sは上流の洪水調節施設により対処するというようなことで、きょう、この点についての実現可能性についてご説明させていただくことになったわけでございます。
 中流は、人吉4,000m3/sのときの流量が5,500m3/sであることから、洪水調節後の流量を計画高水流量とします。
 下流、横石地点でございますけれども、洪水調節の流量が流し得る流量以下となるため、これを計画高水流量とするということで、先ほどご説明したような結果でございまして、河川整備基本方針(案)と書いてあります計画高水流量図でございますが、人吉地点で4,000m3/s、渡で5,500m3/s、横石で7,800m3/sというような流量配分になっているわけでございます。
 その根拠でございますけれども、下に参考として、各地点における計画高水流量算定結果というのをお示ししてございますが、これまで経験いたしました多様な雨のパターンをベースに流出計算を行っておりまして、そういった中で一番大きなものを、今申しましたような算定に用いているわけでございます。
 1枚めくりまして、3ページ目からでございますけれども、「洪水調節の実現可能性についての検証」ということでご説明させていただきます。洪水調節施設の実現可能性の検証に当たっては、洪水調節の選択肢の1つとして、既にあります市房ダムと建設中の川辺川ダムによりまして、洪水調節に必要な容量が確保可能かというような点を検証するということでご説明させていただきます。
 まず、かい摘んで申し上げますと、上流の人吉地点の基本高水のピーク流量7,000m3/sを4,000m3/sに洪水調節することが可能か確認する。中流及び下流は、上流での洪水調節の操作により計画高水流量の範囲内で洪水を流下させることが可能かどうか確認するというようなやり方でチェックをするということでございます。ご承知のとおり、川辺川ダムの位置図はそこにご紹介したとおりで、たしか第3回の委員会の資料で、川辺川ダムの概要については既にご説明しているところで、現地の条件だとか、地元での対応の経緯だとか、現況の整備の進捗状況は既にご紹介したところでございます。
 その下に諸元がございますけれども、既設の市房ダムでございますけれども、重力式コンクリートダムで、ダムの高さが78.5m、集水面積は約160km2で、総貯水容量は4,000万m3強ということでございます。洪水調節容量は、できるだけ効果的に洪水調節を行うということで、時期を分けて洪水調節容量を変化させてございます。一番多いときが第2期というところで、1,830万m3、もう少し少ないときは第1期と言っているところで850万m3ということでございます。
 一方、川辺川ダムでございますけれども、現在、建設ということで検討しておりますのが、アーチ式コンクリートダム、ダムの高さが107.5m、集水面積は470km2で、総貯水容量は1億3,300万m3ということでございます。洪水調節容量は、やはりこちらでも、なるべく全体の容量を有効に使うということで、1期と2期に分けて設定されてございます。
 右側のほうにまいりまして、洪水調節の実現可能性の検証ということでございますけれども、計画検討の対象洪水は11ございますけれども、これらに対しまして、市房ダム、川辺川ダムについて、さまざまな洪水調節方式のうちから効率性等を考慮して仮定するということにしてございます。もう少しわかりやすく言いますと、市房ダム単独の状態から、市房ダムと川辺川ダムの2ダムに変更になるというような前提条件でまいりますと、より効率的、効果的に洪水調節を行うためには、それぞれの洪水調節方式をもう少し見直したほうがいいというようなことでいろいろ組み合わせてシミュレーションをしてございます。川辺川ダムの洪水調節方式でございますが、不定率調節方式と記載してございますが、通常、鍋底カットというような、流入量が非常に大きくなったときに効果的にカットするような、ピークに近いところで大きくカットするというような調節方式をとっております。不定率調節と呼んでおりますので誤解を生じやすいかもしれませんが、あらかじめ操作ルールは定められておりまして、それに基づいて操作するというものでございます。ここでは、流入量が500m3/sを超えましたところで、一定率の調節を行いまして、下流に流す量を少し減らしていきます。全体的に見ますと、最大放流量は1,100m3/sということでございましたので、そこまで来るとその流量で保つということでございますが、川辺川の流量と球磨川本線の流量を見ながら、より効果的にカットするという観点から、放流量を低減させるようなポイントがございまして、そこから放流量を切り下げていって600m3/sのところでもう一度状況を見て、一番カットするところは、ここの場合200m3/sというようなカット方式で想定してございます。こういういわゆる鍋底カットというような方式をここでは考慮して検討を行ってございます。
 1枚めくっていただきまして、「洪水調節実現可能性についての検証(2)」でございますけれども、今申しましたような川辺川ダムの操作ルール、それから市房ダムにつきましては、自然調節方式を仮定してございますけれども、こういった方式で人吉地点での基本高水流量7,000m3/sを4,000m3/sにすることが可能かというようなことを検証するわけでございます。いろいろ検討しておりますカーブがここにございますけれども、市房ダムでの流入量と放流量の関係、川辺川ダム地点での流入量と放流量の図、それから一番右端のところが、人吉地点での全調節後の流量ということになってございます。
 少し後ろを見ていただきますと、5ページ、6ページ、7ページと、雨のパターンごとに、今申しました市房ダム地点での調節の状況、川辺川ダム地点での調節の状況、それから、人吉地点での状況、こういったものが示されてございます。それをわかりやすい表にしたのが4ページの表でございます。これをまとめますと、4ページの下の四角の中にありますようなことでございますけれども、川辺川につきましては、川辺川ダムの基本計画の洪水調節容量の範囲内で洪水調節が可能ということでございます。これは、川辺川ダムという欄のところのずっと横を見ていただきますと、一番容量が必要なところが、平成7年7月4日型というところで、8,380万m3強という容量が必要となってございますけれども、これが既定計画の8,400万m3以内だということを今ご説明したわけでございます。
 市房ダムにつきましては、一番大きいところが、昭和46年8月5日型の2,155万m3強でございます。これは既定計画の1,830万m3を上回るというようなこともございますので、この場合には本線上流において追加容量の確保が必要ということでございます。必要量が約300万m3程度でございますので、これについては市房ダムの有効活用等により対応が可能だと判断してございます。
 以上、ご説明したようなことから、人吉地点で7,000m3/sを4,000m3/sまで洪水調節することは可能である、洪水調節施設の実現可能性については確認されたというようなことかと思います。なお、より効率的・効果的な洪水調節方式の組み合わせがあるかどうかについては、今後引き続き整備計画の検討大部会でより詳細に検討していきたいと考えてございますけれども、ただいまご説明したとおりの資料によりまして、洪水調節施設の実現可能性が確認できたということでご報告させていただきます。以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対しまして、ご質問なりご意見をちょうだいしたいと思います。また私のほうから指名させていただきます。恐縮ですけれども、まず○○委員のほうからご意見を賜りたいと思います。
(委員)  最初に、前提ということでお話しされたので、そうなんだろうなと思うんですが、今ご説明のあった、あくまで洪水調節するような容量が確保可能かの検証ということで、洪水調節で、いわゆる鍋底カット方式というお話をされました。あくまで複雑ないろんな流入、入ってくる洪水のパターン、時間的な変化パターンを含めて、こういうものがあらかじめわかっているという計画上の操作方式ということで、こういったものが現時点においてはこの容量の中で下流の計画洪水量を保持するカット量として生み出されるというお話であったかと思っております。結構鍋底カット方式というのは、ある意味ではピーク流量が大きいところをごっそりカットするという形でいいんですが、実際、これは整備計画とか、あるいは基本方針のレベルでないのかもしれないんですが、こういった判断とか運用とかいうことは結構難しい洪水調節方式かと思っております。いろんな操作方式との組み合わせを今後検討されるということでもありますが、印象的には、実運用とか実操作ではいろんな判断と、このルールどおりの判断ができるような形でオペレートできるかということについては、私見ですけれども、なかなか厳しい操作をやるんだなという印象を持たせていただきました。
 それから、もう一点は、現在の川辺川ダム、既にアーチ式のコンクリートダム、それから容量もこのような形で確保の可能性の検証というレベルでは説明いただいたところでございますが、水量のカットでは、このような説明で確保可能ということでありますが、土砂とかそういうものについては、それもまたカットするからダムの下流、特に基準点にかなり近いサイトで位置づけられておりますので、下流の土砂状態、あるいは粗粒化とかアーマコート化というようなことがいろいろ言われておりますので、それが人吉での、前回ご説明のあった河床掘削、人吉層、そういったものの河床管理上、土砂状態がどのようになるのか。カット量が大きいやに思うので、そういったものが、下流の流下能力、人吉の河床管理上、さらに掘れるのかたまるのか、そういったあたりの検討をどうされているのか、そういったあたりも少し気になるところでございます。今後また説明等があるのかもわかりませんが、最初の意見として述べさせていただきました。以上です。
(委員長)  ありがとうございました。○○委員が先に席をお立ちになるようですので、この際、ご意見がありましたらお願いします。
(委員)  しばらくしたら退席いたしますので、少し。川の、あるいはダムの運用については、私は特に専門家ではないのでこの判断はなかなか難しいんですが、今想定されていらっしゃる川辺川ダムの集水面積、あるいは貯水量というのは、最新の今の数字として確保できるという判断はいつどうやってされているのかというのがやや気になるんですが、そこを教えていただけるとありがたいと思います。
(委員長)  事務局、答えていただけますか。
(事務局)  先ほどご説明いたしました3ページのところに川辺川ダムの諸元を記載してございますが、これは既に特定多目的ダム法に基づきまして基本計画を策定して、ダムの建設という段階に至っておりまして、その段階でこういった諸元については、現地の状況等を確認しまして可能であると判断しまして、今申しました基本計画を策定してございます。
(委員長)  よろしいですか。これでいいですか。質問は以上ですか。
(委員)  はい。
(委員長)  はい、わかりました。では、○○委員、お願いします。
(委員)  洪水の実現可能性についての検証についてはこれで結構かと思います。ただ、ここではダムが形式を問わずに存在するかしないかという観点で、基本計画の洪水調節容量というものを前提に議論されたかと思います。この後おそらく、きょうは環境のお話もあるということなんですが、この後の資料を拝見させていただいていますと、環境への影響という論点でかなりご意見があるようです。そういたしますと、ダムの機能を発揮させるための構造と操作規則によっても、かなり環境への影響のあり方が変わってくるのではないかと思います。基本計画の洪水調節容量という観点からのご議論をということできょうのご提案は結構かと思いますけれども、この後さらに踏み込んで、ダムの形式とか機能のところまでこの場で議論されるのか、あるいは整備計画のところにそれをゆだねるのかというところをお教えいただけたらと思います。
(委員長)  これは、委員長として前回、川辺川ダムについて次回審議しましょうと申し上げましたが、事務局から説明がありましたとおり、河川整備基本方針の範囲内で議論ということです。それで、川辺川ダムの特定多目的ダム法で決定している現行計画の枠内で議論するのかというご質問だと思います。極力そのほうが望ましいわけですが、委員の見識としてご意見があれば、それに対してその枠にとらわれずご発言していただいて、今後、整備計画の段階にもし反映することが必要であれば、ご意見を賜って結構だと思います。よろしゅうございますか。
 それでは、○○委員のほうからお願いいたします。
(委員)  皆さん、こんにちは。私、前回のこの小委員会で、人吉の水位を下げていただきたいと。3年連続避難勧告を出したわけですけれども、そのときの球磨川の人吉での状況というのは、消防団がそれこそ命懸けで、前回、写真でもご説明しましたように、パラペットがよたよたしているという状況ですから、本流の流れと、それから本流の水位が高いと支川の水位も減らないわけでして、バックウォーターによる被害もあるわけでございます。そこで、消防団員が命懸けで排水をする、あるいは避難を誘導するというようなことでございますので、上流で洪水調節施設をつくっていただきたい、こういうふうなお願いをしたわけでございます。よって、この資料におきましては、水位を下げるために洪水調節施設ということでダムに踏み込んでいただいたということは、私どもとしましても大変ありがたいことでございまして、このような議論で推移されますことを心からご祈念申し上げる次第であります。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  洪水防御計画の中にダムを位置づけるということは、我が国の場合は昭和31年に佐久間ダムができて以来、ダム技術というものが河川技術として大きく位置づけられてきたわけで、これまでの経緯の中で、河川管理者がダム計画というものを洪水防御計画として、ちょっと言い方が悪いかもしれませんが、安易に導入してきたという経緯が、私はないわけではないと思います。長い堤防を守るということは、河川管理上非常に大きな負担があるわけで、それに対しまして貯留という方法でもって洪水を下げるということは、一点集中主義的なところがあって、管理も比較的簡単になるということで、ダム計画は貯留洪水の調節ということをダムによって行うということが多々導入されてきて、必ずしもダムではなくて河道でもいいというケースがなかったわけではないように思います。
 ただし、昭和50年代半ば以降ぐらいから、ダムに対するいろいろな批判が、メリットとデメリットというものを明確に我々が認識するようになって、洪水防御計画におけるダム計画に対して非常に慎重に扱うようになってきたと思います。この基本方針の小委員会の中でも、必ずしもダム計画ではなくて、河道でもたせるところは河道でもたせるというような選択もあったように思います。球磨川の事例に関しては、これまでの議論の中で、基本高水、計画洪水流量、これを流出のプロセス、森林の機能等も踏まえて審議し、かつ河道でぎりぎりどこまでもつのかというような議論をしてきて、残り3,000m3/sをどう扱うかといったときに、洪水調節、要するに貯留という方法でないと、この洪水防御計画は成り立たないのではないかというふうに議論が進んできたように思います。そういう段階になって、ほんとうにできるんですかというのが前回のこの小委員会の疑問で、それに対して、きょう、事務局からお示しされた案は、技術的にはできると。今、委員長がおっしゃられましたが、基本計画としてある施設でこういう運用をすれば可能だという解を見せていただいたと。これが全然不可能ということになると、根本的にまた考え直さなきゃいけないわけですが、技術的には可能だろうということをお示しいただいたと私は認識しております。
 そういうことで、最初にちょっと触れましたが、必ずしも安易に、現時点では、この川辺川ダム計画が生まれたときの議論は私はつぶさに存じませんが、少なくともこの小委員会でここまでやってきた議論の過程の中で、貯留するという方策以外に、洪水防御計画を球磨川で立てる手はほかにないのではないかという選択があって、それは実現可能であろうというその可能性をきょうお示しいただいたと私は理解しています。
 ただ、○○委員が言われたように、3番の調節操作はかなり複雑です。下久保ダムでもやっているということでありますが、こういうぎりぎりの調節をしなくてはいけない、あるいはこれからレーダーとか数値予報モデルとかいろいろなものが進むにつれて、こういう操作を安全に行う技術は確かに上がってくると思いますが、あまりにもぎちぎちし過ぎているとかえってまた大変かなという気もしないではありません。
 それから、この調節方式は、現在の計画の容量を前提に考えておられるわけだと思いますので、先ほど、委員長がおっしゃった言葉をお仮りすると、現段階で考えるとしたら、もう少しゆったりできるような調節方式がとれるようなダム計画というものも考えてもいいのかなと。あるいは逆に、こういう情報を効果的に使うことによって十分可能であるというような検証というのも必要じゃないかと思います。以上です。
(委員長)  それでは、どうぞ、○○委員、お願いいたします。
(委員)  球磨川の場合、随分長いこといろいろ検討されてきて、ダムの代替案についてもいろいろ検討されて、結果、川辺川ダムが必要だということで、全体としてはこれでいいのかなと考えています。今、○○委員からもご指摘があったように、ダム操作は非常に複雑だと、そういう感じはやっぱり若干あるわけです。どうしても複雑だとヒューマンエラーが出やすいということで、部分的にでも坊主ダム的な要素は入れられないのかなと。もう決まった、人員があまり入らないような操作を部分的にでも入れられないのかなという感じがしています。
 それともう一つは、最近、結構ただし書き操作になることが多いので、どうしても想定外の雨が降って容量が足りないというようなことが多いんですが、操作を始める500m3/sは妥当なのかなという感じがします。というのは、この辺も考え方によるんでしょうけれども、中小の洪水からある程度抑え込むんだということであれば、わりと早めということになるんでしょうし、大きな洪水だけを抑え込むんだというのであれば、もう少し大きな流量になってから始める、それで容量を稼ぐというような考え方が出てくるかと思うんですが、いわゆる操作を始めるときの流量について、もうちょっと根拠みたいなものを聞きたいなという感じがします。というのは、雨は一山だけではなくて二山が来たりすることもありますし、とにかく容量をできるだけ節約しておいて、大きな流量が流れてきたときのためにとっておくという考え方もあるかと思うので、この操作の開始の流量について、ひょっとしたらまだ説明は無理かもしれませんけれども、いつか機会があったらお願いしたいと思います。
(委員長)  これは、質問というよりご意見と承って、また整備計画の段階に反映させていただいたらどうかと思います。
 それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  ここで示されたものは、人吉地点で基本高水流量7,000m3/sを計画高水流量4000m3/sまで洪水調節施設で調節が可能であるかということを示したもので、この結果から洪水調節施設の実現の可能性が示されたものと私も思います。球磨川の治水上、洪水調節施設を位置づけることが決定的に重要であるということは明かですが、洪水調節施設の建設に伴って、治水上、環境上の問題が出ることも考えなければなりません。特に大きな洪水調節施設ができることによって、球磨川の土砂の移動状況が変化するということ、これは洪水調節施設を考えるときに、治水上の容量とともに土砂移動が関わる問題についてどうするのかというのは重要な判断要因になると考えています。
 後で環境保全についての説明があるんでしょうけれども、治水の施設と切り離して考えることができない環境の問題、特に土砂の問題についてこの段階で懸念を示しておきたいと思います。まず、先に人吉区間の計画高水流量を4,000m3/sと決めた大きな要因は、いろいろある中で、川底に存在している人吉層である軟岩層をできるだけ露出させない、健全で将来の維持管理が容易な川をつくらなきゃならないということが大きな理由であるということで、私もそれを支持いたしました。
 洪水調節施設、この場合はダムなんですけれども、ダムをつくると、貯水池内に土砂がたまります。そうすると、下流へ移動する土砂量が減じ、河床を構成する礫の径が変わり、河床高が下がることを今まで私どもは経験してきております。そうすれば、人吉地区の河道の軟岩が局所的に出てくる可能性があります。この軟岩が局所的に出てくると河床の維持が大変になるということを私たちは既にいろいろな河川で経験してきています。ですから、この軟岩をできるだけ露出させない。洪水調節施設をつくったとき、局所的にもほとんど軟岩が出ないような土砂の出し方、量的だけでなくて質的にも、十分考えた排砂施設を有する洪水調節施設をつくることが、安全で維持管理が容易な河川をつくっていく上で重要なキーになると私は考えております。
 そういうことを論じるときに大事なのは、洪水調節施設をつくることによる土砂移動の変化がそれほど問題にならないとか、改善が可能であるかということをしっかり把握することが大切です。これは洪水調節施設容量と同等に大事になります。その他環境上のいろいろ問題があるんでしょうが、洪水調節施設の実現可能性ということに限定して私は土砂の問題をどう扱うべきかについて議論したいし、後ほど意見を述べたいと考えております。以上です。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  きょうは事務局では洪水調節の可能性について、資料2の3ページ以下、操作方式とかシミュレーション結果において示されたんですが、私、水文学の立場からもう少しわかり易いインデックスを用いながら、このダムの評価というかをしてみたいと思います。
 簡単な指標としては、そのダムがどれだけ基準点に対して支配面積を持っているかというのが1つのインデックス。それから、もう一つは、ダムそのものの容量が降雨に対してどれだけ相対的な容量があるかというのがダムの洪水調節に対する効果を評価する簡便な指標になろうかと思います。そういう観点から、市房ダムと川辺川ダムを見てみますと、市房ダムは、基準点に対する支配面積というのは14%。球磨川だけに対しても26%の支配率しか持っていないんですが、川辺川ダムは、川辺川そのものについて合流点までについては88%、90%近くカバーしているわけです。それから、基準点に対しても41%の支配面積率を持っているわけです。支配面積率においても、川辺川ダムのほうが非常に効果的であるということ。
 一方、ダムの貯水容量を、これは何億m3とか何千万m3とかという単位、m3をそのダムの集水面積で割ると、これはボリュームを面積で割りますから高さの単位になります。雨と同じ単位であらわすことができます。相当容量、雨量相当容量というような呼び方をしていますが、これで見ますと、市房ダムは、貯水容量を割ってみますと、3ページの表にありますように、1,830万m3というのが洪水調節容量で、これを157.8km2というようなもので割ると、114mmになります。一方、川辺川ダムの8,400万m3を470km2で割ると、180mmになります。180mmというのがどれぐらいの大きさかということですけれども、洪水時の流出率を0.7としますと、260mmの雨なら完全にとめることができます。ところが、計画降水雨量というのは420〜430mmです。だから、調節しながら流せるというんですが、市房ダムに比べれば1.6倍の容量を持っているわけで、これまでも問題になりましたように、市房ダムがただし書き操作をせざるを得なかったというのは、調節容量が必ずしも相対的に大きくなかったということ。180mmは、市房ダムに比べて1.6倍は大きいんです。だから、市房ダムよりは貯留できる能力があるということが言えます。ですから、鍋底操作ができるのも、それだけの容量を持っているからなんです。ただ、おっしゃるとおり、この操作は非常に厳しい面を持っていると思いますけれども、おそらくもう少し容量が大きければ、250mmとかそれぐらいあれば、もっと楽な操作ができるんです。
 ただ、今まで私が申し上げたのは、市房ダムよりもかなり能力があるというか、その地点の容量で見てもそうだし、先ほどのカバーした面積率にしても、はるかに川辺川ダムのほうが効果を発揮する調節施設であると理解ができると思います。そういう大ざっぱな前提の上にこういうシミュレーションをされてその効果を示されているというのは、それなりに理解ができます。この川では貯留施設が非常に効果的な、川辺川ダムは特に効果的な調節施設であるということを申し上げたいと思います。
 もう一つは、質問なんですが、きょういろいろダムによる洪水調節の可能性について示されましたが、上流の貯水池の操作によって各地点、人吉、あるいは中流部、下流にどれだけ水位を下げる効果があるのかというのを教えていただければ。これ、今まで議論されたんですかね、ちょっと忘れたんですが、貯水池の、あるいは川辺川ダムというものに特定してでもいいんですが、どれだけ水位低下効果がそれぞれの地点であるかということを教えていただければ、もうちょっとその効果がわかりやすいと思うんですが。以上です。
(委員長)  ただいまの2点目の質問は、今答えられますか。
(事務局)  きょうの資料にはつけていなくて恐縮でございますけれども、私の手持ちの資料ですと、人吉で水位低下効果2.5m程度。それから、下流の横石地点、八代に近いところでございますけれども、その辺で1m程度と出ております。
(委員長)  それから、河川工学の先生から、必要ではあるが、特定多目的ダム基本計画で定めた計画では不満であるというんでしょうか、もう少し改善の余地があるのではないか、あるいは操作方式にもうちょっとゆとりがあったほうがいいのではないかという意見がありました。私が先ほど申し上げたのは、特定多目的ダム法で決定された計画を基本とするが、なおご意見があったらということで各委員からお伺いしましたので、そういう方針で審議を続けさせていただき、場合によっては、現行計画にこだわらずに、もう少し治水の容量を増やすという選択肢、あるいは操作方式についてももう少しゆとりのあるというふうに進めたいと思います。事務局から何かご意見はありますか。
(事務局)  鍋底カットにつきましては、今、○○委員からもご説明いただきましたように、川辺川ダムの立地条件からすると、川辺川と本線の合流後には非常に効果的に効く調節方式だというようなことで我々もそういう検討をしてきたわけでございます。確かに全国的に見ますと、5例程度、実績として鍋底カットという操作方式があるんですけれども、例としては少ないというのは、いろいろ操作が切り替わっていくというようなところがありまして、所定の操作ルールに基づいて鍋底カットは行うということではありますけれども、例えば洪水・降雨予測だとか、そういったことをさらにきめ細かくやっていくだとか、いろんなことが必要になってくるんじゃないかと思います。いずれにしても、今回の検討に当たりましては、今、我々が有している市房ダムと川辺川ダムのサイトを前提条件として、どういう組み合わせでやっていったらより効果的な、効率的な方法になるかという考え方で1つのタームで整理したものでございますので、これから整備計画の検討の中で、今先生方からご指摘のあったようなやり方で、より効率的、効果的で、鍋底ももう少しゆとりのあるようなやり方ができるのかどうか、そういったところについても検討を引き続きしていきたいと思ってございます。
(委員長)  それでは、この問題については、少し柔軟に今後も審議してまいりたいと思います。
 それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  このダム建設の可能性、それに関する操作を含めての問題は、本来、河川局の皆さん、専門家と河川工学の先生方の多い場ですので、それについての議論は、専門的な判断はお任せしたいと思っております。私としては異論はございません。
 逆に、裏返して言いますと、今回の小委員会は随分丁寧に開いているわけでありますが、上流部、人吉地区において、もともと今回、ダム建設反対派の方々がご主張されています代替案の部分、特に人吉市街地で河道を広げたり、堤防の嵩上げ等、これはむしろ不可能である。本来の人吉の市街地の安全を守るために本来やるべきことは、逆に言うと、市街地の枢要部をむしろ大きく改変し兼ねないということでありまして、むしろそこら辺が非常に丁寧に資料が出ておりますので、この点については、今回こういう形で資料が少し整理されたというのは、小委員会がかなり回数を重ねたことの成果の1つなのかなと私なりに考えております。以上です。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  よろしくお願いいたします。きょうのご説明に関しましては、私はもちろん専門でもありませんので、特に異論のないところでございます。ただ、1点申し上げておきたいところがございます。これまで河川の流量管理として、現状の流下能力というようなことについて議論をされてきたかと思っております。もちろん、流下能力の実態とその設定の根拠といったことをこれまで何回も議論を重ねてまいったと。その上で、実際に洪水被害が出ている、あるいはこれからも増加傾向にあるかもしれないというような中で、先ほど来ご議論されておりますように、新ダムの前段階として、流下能力の増加を図る土木的工事、例えば河幅の拡幅など、あるいは管理方法として既存のダムの操作だとか、森林保水、あるいは遊水地、あるいは河床の掘削、あるいは堤防の強化及び引提といったようなことが議論されてきたと思います。ただ、こうした議論の中でも、つまり今までのダム以外の治水事業においても、環境に関しての議論があまりされてこなかったのではないかと思います。もちろん、これは段階を踏みということもありますので、いたし方ない部分もあろうかと思いますけれども、いわゆる県土環境の何を保全するのかというような議論が、いずれにしましても絶対的に必要になってくるだろうと思います。
 したがって、今申し上げたような、例えばダム以外の治水事業においても、場合によっては、環境面だけからの話ですけれども、考えた場合、ノーもあり得るだろうと思います。逆にダムは、一般的に、直接的に環境負荷に多大な影響を与えるということは言うまでもないことでありますので、気持ち的には最後の治水対策として考えていきたいと思っております。したがって、例えば今問題になっている川辺川ダムにおいても、ダムの効用がいかにどういうような形で環境に対してプラスに働くことがあるのか、あるいは先ほど○○委員もおっしゃられておりましたけれども、土砂の問題、あるいは逆に岩化していくというような現在の進行状況、つまりダムがない時期においてもこれが進行しているのか、あるいはあったらどうなのかといったような、現状の河床の状況ということについての資料を私は今後求めていきたいと思っております。
 すなわち、川辺川ダムというものが環境にいい部分もあるのか、あるいは全面的に悪いのかといったようなことも、先ほど申し上げたような幾つかの治水事業と並んでご議論、あるいは資料を提供していただきたい。私個人的には、何を保全するのかといった場合において、象徴的なものは、やはり尺アユではないかと。もちろん人為的に大きくした尺アユをつくればいいというわけではなくて、尺アユを構成している生物環境なり、あるいは物理的な環境なりを解明し保全していくということについて、これからも、治水や利水を踏まえて意見を述べさせていただきたいと思っております。以上です。
(委員長)  これは、次の項目のときに再度ご意見をいただきたいと思います。
 それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  私はいいです。
(委員長)  そうですか。それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  いよいよ川辺川ダムという項目が出てきたわけでございますが、私、この川の審議に入るに当たって、この4月だったですか、フロッピーが川辺川ダムを考える住民討論集会の議事録をいただきまして、それを全部打ち出しまして、ゴールデンウィークに読ませていただきました。なぜそういうことをしたかといいますと、どうして川辺川ダムがそんなに反対されているかというほんとうの真意はどこにあるのかということを探りたかったわけでございます。ものすごく大部なものになりましたが、長時間にわたりいろいろ、罵倒も含めながらご議論なさっておりましたけれども、その論点として、私の頭の中で整理いたしますと、ダムに対する不信感みたいなものが1つございました。それは市房ダムに関する誤解も含めての話だったと思いますが、それについていろいろ、こういうダムが必要なのかという、ダムをつくることによってむしろ洪水が起こるんじゃないかとか、こういう話がたくさん出てまいりました。したがいまして、きょう、ご説明いただいた河川工学的なことについて、この辺は十分専門家でご議論いただき、その結果を素人的にも理解できるように、ひとつお願いしたいというのが1点でございます。この中にも河川工学の専門家がたくさんいらっしゃいますから、この中でご議論いただければいいと思います。
 それから、2点目は、環境に対する問題でございます。これにつきましても、先ほど、○○委員からもお話がございましたが、ダムをつくることによって環境がどうなるのか、つくらないことによってどうなのかといろいろございますが、これについて、私も水資源開発公団で管理担当の理事をやっておりましたので、環境につきましても大変苦労はしてまいりました。したがいまして、こういうダムをつくったときのいろんな変化等につきまして、最近は環境アセスメントをやっているわけでありますけれども、このダムについては建設中ということになっておりますが、アセスメントがどうなっているのか、この辺も次の段階でまたお話をいただきたいと考えております。ありがとうございました。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  それでは、少し質問をお願いします。資料の3ページに、「洪水調節図(川辺川ダム)」と書いてありますけれども、上のほうは球磨川本線ですから、市房ダムの地点なんでしょうか。下のほう、「川辺川(ダム地点)」となっているんですけれども、両方とも川辺川ダム地点ですか。違いますよね。
(事務局)  上のほうは、球磨川の本線の川辺川の合流の直前のところです。そちら側の流量と川辺川のダム地点の流量を合わせて見ながら、先ほど言いました一番効果的なダムの操作を川辺川ダム地点で行うという考え方をご説明したものでございます。
(委員)  鍋底型というんですか、こういう放流の仕方というのは初めて見るような感じがするものですから。わかりました。
 それで、次の5ページのところに、同じように、これは球磨川上流というのが今の地点なんでしょうか。川辺川上流というのはダム地点のところだと思うんですけれども、これは流量だと思うんですけれども、合わせた合流地点が一番下の図ということなんですけれども、球磨川の流量と川辺川の流入量とを総合的に観察しながらダムの放流を有効にダムの貯水量を使いながら人吉への影響を最小限にしていくというような操作なんだろうと思うんですが、ちょっと気になるといいますか、川辺川上流のところで、赤線が流量だとしますと、放流量をぐっと増やしていくという立ち上がりは、自然流入の範囲内という形で、カーブは多分、それ以内に抑えられているような感じがしますけれども、例えば46年のところ、21の最後のところでドンと流量が落ちているんですけれども、この立ち上がりの分と、落ちるのはほとんど瞬間的に落とされるような感じがしますけれども、40年の3,900m3/s、人吉のところで流下するときの操作、これが先ほど言われました鍋底のこういった操作によって3,900m3/sの流量操作が可能になったと。上のダムは、大体、通常のダムの操作という感じがいたしますけれども、それに対して川辺川ダムをこのような形でされていると。39年のところもストンと落ちているところがあるんですけれども、落とすのは、逆にこんなにストンと落とさなくてもいいんじゃないかなという気がしますけれども、そこらあたりはどうなんでしょうか。
(委員長)  事務局からお願いします。
(事務局)  ご質問ですのでお答えいたします。ここの図は、例えば5ページの図は、3ページのものとちょっと違っておりまして恐縮なんですけれども、球磨川上流と書いていますのが、市房ダム地点での流入と放流の絵でございます。したがいまして、この辺を合わせますと、大分人吉地点とオーダーが違うというところはお見受けいただけるのではないかと思います。
 それから、洪水末期にストンと落としているのは、これは単に計算上こういうふうに今回計算しただけで、現実的な操作は、河川整備計画の段階でもう少しゆっくりすりつけていくような操作にしていくということになろうかと思います。いずれにしても、次、どのぐらいの雨が来そうかとか、そういったことによってこの辺の下げ方が変わってきますので、今回はわりとわかりやすくずっと一定量で放流して、必要な流量を放流したところでストンと落としちゃっているような計算に単にしただけでございます。ちょっと説明が不足してございまして申しわけございませんでした。
(委員)   わかりました。
(委員長)  それでは、○○委員のほうからお願いいたします。
(委員)  1つは、今までの審議の中身を振り返ってみますと、まず治水計画を立てて、その後で環境面の検討というような手順が示されているような気がするんです。そういった意味合いから、○○委員、○○委員も指摘されましたように、環境が一体この治水計画にどのような影響を及ぼすかということが、現時点の中では論じがたい状況になっている。私はこの点については環境のところで触れたいと思いますけれども、この流し方ですと、どうも環境の問題が二次的テーマとして位置づけられているのではないかという感じ方をしております。本来、河川法では、治水、利水、環境を総合的な視点から基本方針に策定すべきというような視点が明らかにされていると思っているところです。
 それから、事務局側からの説明、そして委員長からも冒頭に、河川整備の具体的な内容の取り扱いについてということでご説明がございました。しかし、にもかかわらず、ただいままでの論議、あるいは今回の資料を拝見いたしますと、基本高水流量と計画高水流量を事務局案どおりにした場合、既に3ページのところに、洪水調節の実現可能性についての検証ということで、これまでありました川辺川ダムの既定計画のもので足りるかどうかというような形での検証がされています。こんなふうな形で考えていきますと、事務局側から、あるいは委員長のほうから言われたのにもかかわらず、今の論議は、基本方針の段階であるにもかかわらず、川辺川ダムの具体的内容に踏み込んで、そして実質的に、川辺川ダム計画そのものを決定づけようとしていると私はとられかねないんじゃないかというおそれを持つところです。
 繰り返しますけれども、制度上も、個別の洪水調節施設については、その妥当性も含めて、基本方針策定後の河川整備計画策定の段階において論議されるべきものである。むしろ、整備計画の段階では、今後20年、30年を見通して望ましい複数の選択肢が環境を踏まえたところの中で示されていくというのが私は必要ではないかと思っているところです。そういった前提条件の中で、あるいは私自身、お話を伺いながら疑問を感じたところを申し上げながら、まず、この中で、3ページの操作方式の仮定、これはあくまでも仮定でございまして、この3ページのところのさまざまな洪水調節方式のうちから効率性を考慮して仮定したと言われているところですけれども、操作方式の仮定という中身は、実に大きな要素をはらんでいるものであると思いますので、このわずか2行の中から、私は素人ですのでわかりがたいという思いを抱いているところです。
 それから、「洪水調節の実現可能性について」ということで、4ページのところから5ページにかけてですが、ごらんいただきますと、昭和40年7月の降雨の位置づけ、私どもはこれまでその検証に対して、対象洪水の1つである40年7月洪水、これは棄却ということでずっと来たのにもかかわらず、今回、検討対象とされておりますけれども、その考え方について説明をしていただきたいと思います。
 それから、市房ダムについてですけれども、4ページの表を見ますと、昭和46年8月5日型と平成17年9月型の洪水におきまして、現在の市房ダムの洪水調整容量を上回る容量がここの中で見出すことができます。しかし、今回の検証は、洪水調整の選択肢の1つと仮定して試算したものであるはずなんです。この検証をもって、個別の洪水調節施設であります市房ダムの追加容量、これは下の赤いところの枠書きをごらんいただきますとわかりますけれども、市房ダムの追加容量の必要性、あるいは川辺川ダムの必要性が位置づけられたものではないかと考えています。また、有効活用と一口に言いましても、利水者との協議等の課題がありまして、現時点で市房ダムの有効活用により対応可能かどうかということについては、私は判断できないんじゃないかと思います。
 したがって、現在の市房ダムの治水容量を前提に洪水調節を実施した場合、現計画の市房ダムの調節容量を超えた分の流量が流下していくことになると思われますけれども、その際、昭和46年8月型と平成17年9月型の洪水における人吉地点での流量がどのようになるのか。例えば人吉地点で4,000m3/sを超えることはないのか。さらには、市房ダム下流から人吉地点までの間であふれる個所はないのか、こういったことについて説明をしていただければと思っているところでございます。以上です。
(委員長)  基本高水、計画高水ありきで川辺川ダムを議論しているのではないかということについては、冒頭、私も皆様に了解を得ましたが、整備計画の段階で当然議論することであり、ただ、この委員会でそこを全く見ないで議論するのはいかがかと複数の委員からありましたので、今回、議題にしたわけでございます。決して今後の川辺川ダムの計画の議論を縛るものではないと委員長としては思っております。
 それから、47年災害をなぜ対象にしたか、市房ダムの計画をどう考えているか、これについては事務局からお答えをお願いします。
(事務局)  まず1点目の40年7月降雨の件でございます。棄却されていたのではないかというようなことでございますけれども、昭和40年7月降雨につきましては、人吉地点でダム操作だとか上流での氾濫がなければ、5,700m3/sということを過去のデータでも示してございますけれども、観測史上最大の洪水でございます。短時間に集中して雨が降ったという降雨パターンであったために、通常の引き延ばしを行いますと、ものすごく時間雨量が大きくなりまして、その関係で、基本高水の計画対象降雨から一たん棄却したということはございました。ただ、第6回の小委員会のときの議論で、80分の1の計画降雨まで引き延ばさなくても、その降雨パターンで7,000m3/sを記録するような雨になることがあるのではないかというご指摘がございまして、80分の1の計画降雨まで引き延ばさなくても、たしか1.16倍ぐらいだったと思いますが、そのぐらいの引き延ばしで基本高水のピーク流量が7,000m3/sとなるような計算がなされましたので、要は80分の1までの確率には至らない段階で実際に球磨川にそういう雨が降る可能性があるということがございましたので、基本高水及び計画高水の検討の対象と加えることとしたものでございます。前回の小委員会でも、雨のパターンをいろいろお示しした際に、昭和40年7月降雨も加えた資料でご説明してございますし、本日の資料でもそういうようなことで、一たん棄却はいたしましたけれども、やはり対象にすべきということで入れさせていただいてございます。1点目はそれでございます。
 それから、2点目というか、その前に、操作方式はどんなことを仮定しているんだというお話がございました。川辺川ダムについては、基本的に鍋底で効果的な方式で、何m3/sからどういうふうに調節を開始するかというところはいろいろ条件を変えて検討してございますけれども、市房ダムにつきましては、より効果的な方式ということで、一定量の率を変えたり、自然調節にしたり、いろんな選択肢を加えて検討いたしました。その結果、1つのパターンとして、きょうご説明したような結果が出てきておりまして、川辺川の基本計画での洪水調節容量内で、それから市房は若干容量が不足しますけれども、これまでご説明しました人吉4,000m3/sが確保できるという1つのパターンが導き出されたというご説明をさせていただきました。
 それから、市房ダムの件でございますけれども、あと何年の雨だったか、もう一度お教えいただければ。
(委員長)  46年8月と17年9月とおっしゃいました。
(事務局)  事務局のほうで、その数字、もう一度データから調べますので、ちょっとお時間をいただければと思います。
(委員長)  4ページの現行の既定計画の容量が1,830万m3に対して、46年8月は2,155万m3、それから、17年9月は1,943万m3。超えているではないかということに対して説明を求められたわけです。
(事務局)  わかりました。今、データを当たっておりますので、ちょっとお時間をいただきたいと思います。
 その前に1点、環境のお話がございましたので、事務局からご説明させていただければと思います。何度も申し上げておりますけれども、ダムに対する具体的な環境対策につきましては、整備計画の策定過程で議論するものと思っておりますけれども、きょう、特に土砂の関係ではいろいろご指摘がございましたので、その点、もし差し支えなければ、資料を使ってご紹介したいと思うんですけれども。
(委員長)  環境問題について、決しておろそかにしているわけではなくて、本日、別に用意しておりますので、その場でまたご審議いただくことにして、決して、委員長としても環境をないがしろにしているということではないことをつけ加えさせていただき、その段階で事務局からご説明願いたいと思います。
(事務局)  わかりました。先ほどのご質問でございますけれども、昭和46年8月型の洪水では、人吉地点の流量は3,551m3/s、それから平成17年9月型の洪水では3,461m3/sということで、人吉地点でいずれも計画高水流量4,000m3/s以内となってございます。ただ、違う雨のパターンとしまして、昭和57年7月型ですと、人吉地点の流量は逆に4,247m3/sということになりまして、安全に洪水を流すことができない状況になるということで、いろんな雨のパターンによりまして、市房ダムの容量の使い方、川辺川ダムの容量の使い方、それから、人吉地点の流量が異なってまいりますので、今ご説明したような状況になってございます。
(委員長)  この点は、今の委員会で洪水調節容量が必要だと、近くに発電のダムがあるので、場合によってはそれを買い取ろうかというような議論をしております。当然、通産省に関係ある委員もおいでになっていますが、当事者同士が全く相談しないままに検討項目として幾つかの選択肢が出ております。今、市房ダムについては、○○委員の熊本県が管理しているダムに全くご相談なく1,800万m3、2,100万m3にしたら何とか計画がまとまるよというお話をしているので、ちょっと憮然たる思いがあると思います。これは、整備計画の段階で当然によく相談していただくということであります。農業用水とか発電で重要な施設でもございますから、例えばですけれども、現在の放流管の穴をもう少し大きくして、洪水が来襲する前に、容量をお借りして容量を増やすとか、そういう選択肢もあり得るので、その段階でまた協議をしていただくということにしたい。今まで他水系の委員会ではそういう議論もしているということを、ご紹介させていただきます。
 そういうことで、一応、今、○○委員からの質問にはお答えいただいたわけですね。
(事務局)  若干補足いたしますと、ちょっとくどいかもしれませんが、市房ダム、前回もご説明いたしましたとおり、過去に3回、ただし書き操作というのに至ったという経緯もございますので、容量が不足しているというのは皆さんもお感じいただいているところじゃないかと思います。そういったことも含めまして、これから全体的に川辺川ダムだとか、市房ダムだとか、その辺の容量の関係だとか操作の関係でより効率的なものを見出していく必要があると考えてございます。
(委員)  説明の中身の中で、市房ダムの有効活用によって対応可能というその考え方、県営ダムだからという、そんなこだわりもないとは言えませんけれども、そんなことよりも、できる限り河道に流量を配分するという河川整備の原則のもとで計画策定は進められていくべきであると私は思っております。次の河川整備計画の段階で、当然ここは論議されると理解しておりますので、ここは確認にとどめておきたいと思います。以上です。
(委員長)  それから、一応、各委員の意見を承りましたが、意見書の中で、事務局に聞いておきたいことがあります。まず、相良村議会の意見書として、森林整備と保水力の向上、定期的な砂利除去や堤防嵩上げ、宅地嵩上げ等で対応できるのではないか。それから、もう一点は、ことし7月、例年より砂利除去で2m前後水位の低下があったという意見がございました。これについての見解を求めたい。
 それから、球磨川大水害体験者の方で、昭和40年7月午前6時の水位が6.07mを当局は5.05mと改ざんしているのは許されない。これはたしか、一度説明があったと思いますが、再度、これについては明確に答えていただきたいと思います。
 それから、体験者の会長の言として、満杯になった上流の市房ダムが、決壊を防ぐために緊急放水して、その結果、市内は急激に水位が上昇した。これは昭和47年の出水のことだと思いますが、これも説明があったと思いますが、これについて、再度丁寧に説明していただきたいと思います。
 それから、これは流域外の人ですので皆様には紹介していないと思いますが、私のところにまいりました白川研究所長さんの意見書で、白川水系の川底においては、強度の低い軟岩が露出しているにもかかわらず、川底が深く掘られていない。以上の意見書が気になりましたので、これについての説明を当局から求めたいと思います。
(事務局)  1点目の森林の保水力の件でございますけれども、たしか第3回の小委員会でこの辺については議論がなされてございまして、お手元の資料の「これまでの審議に用いた資料」という資料の中に資料の5番目というのがございまして、そこの6ページのところに、一番下に日本学術会議答申というのがございますけれども、ここにございますように、日本学術会議での答申でも、森林は中小洪水には効果を発揮するが、治水計画で対象とするような大洪水に対しては顕著な効果は期待できないとされてございます。森林には洪水緩和機能があり、森林の保全が重要というのは我々も、あるいは委員の先生方も認識されているところだと思います。我々も流出計算に当たりましては、現況の森林の保水力を前提といたしまして、いわゆる貯留関数法で流出計算をいたしますけれども、各パラメーターの値を採用して計算しておりまして、現況の森林の保水力についてはちゃんと評価しているというようなことでございます。ただし、球磨川の流域におきましては、既に流域の8割が森林でありまして、今後、森林の洪水緩和機能をさらに向上させることはなかなか難しいことだというようなことだったかと思います。
 それから、2点目、治水対策の方法として、定期的な砂利の除去だとか、堤防嵩上げ、宅地嵩上げ等で十分対応可能というご指摘でございますが、治水対策の方法としまして、砂利の除去というのは非常に局所的な対策であります。それから、堤防の嵩上げについては、何度も申し上げておりますが、ハイウォーターレベルを上げることになりまして、我々の想定を超える大きな出水がありまして、万が一波堤したときには被害を拡大しかねないので大きな問題だと思っております。また、宅地嵩上げも、連続堤方式の採用が難しい場合に特定の家屋だけを水害から守るというような限定的な対策として行われてきているものでございます。したがいまして、ご指摘の砂利の除去だとか宅地の嵩上げは、この場合、相良村だったと思いますけれども、一部の地域のみを守るという方策でありまして、抜本的な治水対策とは言えないと考えてございます。
 それから、ことし7月の雨の際に、砂利除去のおかげで、例年より2m程度水位が低かったというようなお話ですが、ことしの7月の出水は、どちらかというと球磨川流域の主に南部で雨が多くて、平成17年の雨のときには、川辺川流域や球磨川の本線上流域で雨が多かったというような違いがございます。その結果、平成17年、川辺川の柳瀬地点で2,400m3/sという出水でございましたが、平成18年は約半分の1,200m3/sでしたので、ご指摘の水差は、主に流量の違いによって生じた水差だと考えてございます。
 次に、球磨川の大水害体験者の会の方のご指摘で、人吉地点の水位6.07mを5.05mに、昭和47年7月洪水のときに改ざんしているというご指摘でございます。また、これまでの審議に用いた資料、先ほどの資料でございますが、資料12の4ページでございます。このときにもご説明いたしましたけれども、人吉市内の水位観測所は、左の図にございますように、人吉自記水位観測所というところとふもと町の水位観測所と2点ございます。これが同じ雨のときに、ふもと町のほうが水位が6.07m、人吉の自記水観測所が5.05mということでございました。それによりまして違う水系を読んだものでございまして、誤解を生じたと考えられまして、ご指摘の改ざんというものではないと再びご説明させていただきたいと思います。
 それから、47年7月の出水の際に、市房ダムが満杯になって決壊を防ぐために放水したのが水害の原因というご指摘でございます。これは同じ資料の15でございますけれども、15の1ページ目に、「市房ダムの洪水調節について」ということでご説明した資料がございます。私もこれを説明をするのは3回目になりますけれども、右側の通常操作の例というところの一番上の貯水位のデータを見ていただければと思うんですけれども、市房ダムの緑色の線が貯水の線でございます。このときの雨は、川辺川の流域での雨が多くて、市房ダムの流域ではあまり大きな雨は降っていないということで、市房ダムでは洪水調節を行いましたけれども、ダム自体、満杯には至りませんで、洪水調節容量の範囲内で規定どおりの操作を行ったということでございまして、市房ダムから水害の原因となるような放流があったという事実はないということでございます。
 それから、白川河川研究所長さんからのご指摘の、白川の水系の川底では強度の低い軟岩が露出しているけれども川底が掘られていないというご指摘についてでございます。これは直轄河川でございますので事務所のほうで調べていただきまして、直轄管理区間、これは河口から17.3kmまででございますけれども、河床は礫、砂、粘土などで構成されておりまして、岩の露頭などは見られません。直轄管理区間より上流側で立野ダムという、これも直轄ダムでございますけれども、これの建設予定地までの間には、部分的に岩の露頭を確認していますけれども、ここに出ております岩は、いずれも阿蘇の火山性の堆積物で非常に強固な岩でございます。このため、川底が深く掘られるというような状況が見られないものと考えてございます。
 ご指摘は以上でよろしかったでしょうか。
(委員長)  では、そういうことで、そろそろまとめさせていただきたいと思います。ダム下流への土砂供給の件でかなり議論がありました。人吉地点の河道維持や河川環境の観点から重要なことであって、十分な対応を考えてほしいということでございますので、今後の環境項目の審議に当たって検討してまいりたいと思います。
 それから、1つの分析として、人吉地点における基本高水のピーク流量7,000m3/sに対し、実現可能と考える施設を想定して既存施設の有効活用及び新たな洪水調節施設を用いることによって3,000m3/sの洪水調節が可能であるということは事務局のご提案でも示されましたが、なお、それらについてはかなり厳しい状況である、もう少しゆとりが必要ではないかということもございました。私としては、特定多目的ダム法で決められた基本計画に基づいて議論をお願いしたわけでございますが、今後の検討としては、必ずしもこれにこだわらずに幅広に整備計画の段階でも検討していただいて、もう少しゆとりのある計画にすることが望ましいと思います。
 それから、いずれの場合にしても、市房ダム、一応川辺川ダムと想定されますが、2つのダムの効果的、効率的な運用が重要であるということは結論が出ていたと思います。これにより、河道への配分として4,000m3/sは可能であり、前回の審議で私は一応腰だめと申し上げましたが、計画高水流量4,000m3/sを決定したいと思います。そういうことで進めさせていただきます。
 なお、前回の最終段階で、堤防論ということとダムの放流の問題で、私から意見を申し上げましたが時間足らずでございまして、お手元に資料をお配りしました。時間の関係もありますが、さらっとご説明させていただきます。安全工学というのは、土木工学ではあまり使わないんですが、最近、鉄道とか飛行機とか原子力発電所とか化学プラント等では大変懸命に勉強しております。普通、教科書どおりにつくれば安全なはず、安全に飛べる飛行機を設計すれば落ちないはず、事故の起こらない鉄道を設計すれば大丈夫なはずと言いながら、やっぱり飛行機も落ちることがあり、鉄道だって事故を起こすことがあるということから、安全問題を典型的に目標として研究している分野が安全工学でございます。絶対な安全はこの世にはない、危険は稀少頻度ながら起こり得るという前提にこれを追究しているわけであります。お手元にお配りした資料を説明させていただきます。
 次のページで、「危険とは」というのは、人が起こす危険と自然が起こす危険があって、河川は自然が起こす危険だと。道路の事故なんかは、車さえ走らなきゃ事故は起こらないわけですが、洪水災害というのは自然が起こして、不可避的に人間に危害を及ぼすわけで、これが研究対象になる。安全工学の基礎理論、スライド4番目に3つぐらいのルートがあると思います。1つは、危険の発生確率を如何に低く抑えるか。球磨川の場合は、人吉80分の1まで、八代100分の1まで発生確率を抑えようという発想で、この信頼性理論に乗っているわけです。2番目は、発生メカニズムをいかに回避するか。安全装置をいかに巧みに配置して大災害を起こさないか。3番目が、被害が起きても受忍の範囲にいかに抑えるか、リスク管理、この3点だと思います。
 次のページの「信頼性理論」です。青い線が、外力、限界確率分布でありまして、その外力でどこまで安全かというのであります。右肩上がりの青い線です。球磨川の場合は、人吉で80分の1まで。上の、1から80分の1を引いたところまでぐらい、下から言うと、80分の79までは何とか対応できる。どうしても80分の1だけは対応できない、80分の1になると対応できないという線であります。それに対して、今一生懸命、7,000m3/sとか4,000m3/s河道と申し上げてきましたのは、赤く右に下がっていく強度確保確率分布曲線であります。これは従来100%機能を発揮しているという前提で考えていますが、人間のつくるものですから、堤防が破堤したり、いろんな不ぐあいが発生する確率が微小でもある。河川工学は、今まで強度は100%任せてくださいと言いましたが、こっちにも微小ながら不足する場合がある。したがって、強度があって外力が下まわり、本来の機能を確実に発生するというのは、この掛け算になるでしょうということを申し上げています。
 下の「システム安全工学」、これはいろんな方法があります。細かくは説明しませんが、河川の場合、破堤というのは何が原因で起こるかというのを追究し、それをどう避けていくという手法等を考えようとするものです。
 7ページ、これがみそであります。例えば超過確率100分の1の安全度のものを直列システムで3つつないだ場合に、どれが欠けても破堤してしまう、壊れてしまう、災害が全体に及ぶというときにこれを3つつなげると、100分の1のものが0.0297、100分の3倍ぐらい増えていくということを言っています。それに対して、どれが壊れてもほかに安全システム、バックアップシステムがあれば大丈夫だと。つまり、車で言えば、フットブレーキに対してサイドブレーキを引くとか、鉄道で言えば信号をつくったり、ブレーキをつくったり、ATSをつくったりという安全装置を幾つも重ねると安全度は上がってくるということを申しております。こういう仕組みをできるだけ河川工学の中に取り入れていく必要があるのではないか。
 それから、どこまで災害を認められるかというのは、これからの新しいリスク解析の分野であります。阪神大震災では6,000人の方が亡くなりました。この1000年間で6,000人の方が地震で亡くなったので、通常のリスク計算では毎年6人で大したことないじゃないかということは言えると思いますが、これは水害と同じで、自然災害のリスクは起こったときに地域に与える影響が非常に大きいので、大変厳しく考えておく必要があろうと思います。特に人吉、八代等、人家の集まっているところで、単に通常のリスク管理、経済ベースでは考えられない問題があるのではないかということを申し上げておきます。
 それから、9のスライドですが、いろんなリスクがありますが、前にもたばこを吸うリスクとか、山に登るリスクと言いましたが、個人の趣向によって選択するリスクと違って水害のリスクというのは、とられるばっかりでもうけのないリスクなので、可能な限り低くすることが要求される。したがって、個人の価値観に影響されてはならないということであります。それで、この前、○○委員から質問のあった堤防設計上の説明について事務局からもあったわけですが、堤防というのは、基本的に他の工学と比べるとハンデがある。土でつくっているために、土全体の強度というのがわからない。それから、粘土の中にちょっと砂の層が入ると全体の性格が変わって透水してしまうという土質材料上の制約がある。それから、基礎にどんな地下水のルートがあるとか、そういうことが全部明確にわかっていないためにさまざまな負担がある。それから、設計上では、計算方法が必ずしも確立していない。工学上では、日本の堤防というのは、大体1日、球磨川ではせいぜい24時間以内で洪水は去るわけでありますが、大陸の河川では数十日から数カ月かかっているということで、危なそうなところは全部観測して点検して修理ができるわけですが、日本の場合はあっという間に洪水が去ってしまうというので危険個所が簡単には見つからない。去年はよかったのに何でことしは破堤するんだということがあり得るというわけです。つまりは、実物実験や試運転が不可能だということであります。
 これらを踏まえた新たな堤防設計というのがあり得るべきだと思います。フロンティア堤防という提案もありましたし、私もまた過去にそういう提案を申したことがありますが、それらの設計した堤防が洪水の洗礼を浴びないと、これで安全だということはまだ言えないということであります。それは謙虚に受けとめなきゃいけない思います。
 それで、堤防設計の計算方法でありますが、円弧滑りというのをよく使います。これは大変おもしろいデータで、左側は技術者の解答ですが、ある高さで盛土したのに、これの上に盛土を重ねたら、あと何ft盛土したら壊れるか。技術者26人が解答しました。これを見る限り、答えは赤線のところですが、何ftから何ftと言いました。この答えに引っかかっていない人が26人中8人。それから、大学の研究者の方がやったのが見事に1人も当たっていません。そのくらい理論式ではない勘みたいなところがあるということをひとつ申し上げたかったわけであります。
 それから、もう一つは、連続堤で、現在、どの堤防も全部同じ断面で設計しているんですが、これからは連続というのは、長いところについては少し設計を変えていくべきではないかと思います。例えば0.99と書いてありますが、単位長1kmの堤防が100回洪水を受けたら100回に1回壊れるかもしれないという堤防を、例えば何十kmつないだらどのくらい安全度が下がるかということであります。ここで例えば、八代が30km、人吉が15kmです。図で見ますと、上から3番目の線ですが、100回に1回しか壊れないという単位長の堤防も、これが例えば30kmつながると0.75ぐらいになりますから、4回に1回は壊れる可能性がある。人吉でも0.86ぐらいでしょうか。7回に1回ぐらいは危ないということになります。それだけ堤防に対してはもっと謙虚に、当然にいろんなことを考えなくちゃいけませんが、そういうものであるということを考えておく必要があります。
 それから、計画高水位を超えても前回流れたからいいではないかという議論に対してであります。これは1cm超えた場合、5cm、10cm超えた場合ということですが、10cm超えた場合で、延長30kmのところで見ると0.55ぐらいになりますから、これだとほとんど2回に1回は壊れそうなことになりますし、15kmの人吉でも4回に1回ぐらい破堤が起きる心配がある。したがって、多少計画洪水位を超えたからいいじゃないかという議論は、安全工学としては大変無謀な議論であります。
 それから、スライド14で、上下流のバランスで、これは前回、あえて人吉を80分の1に対して八代を100分の1にしたという理由でありますが、上流で氾濫して川に入らないまま下流へ流れていったというのはだれもがお手上げと考えるのでいいでしょうと。それから、一番下の線で、上流で川に入って下流も安全に流れた、これは予定どおりで結構ですね。それから、上流で氾濫してても下流の河道で十分安全に流したというので、人吉の人には申しわけないけれども、八代は救われたということで納得してくださいということになります。問題は、人吉で氾濫せずに下流で氾濫した場合、これはおそらく破堤という危険性を伴うので、何で人吉を堤防で囲んでしまったのか、何にもしなければ八代は助かったんじゃないかという議論が出るのではないか。そんな意味から、こういうケースを防ぐために下流を100分の1といたしました。
 長々と話しましたが、絶対堤防は破堤しないんだという大前提じゃなくて、破堤しても被害を及ぼさないという発想が大事なのではないか。そのためには、先ほどの水位のところでも言いましたが、できるだけ水位を下げる、堤防以外の安全システムをいかに組み合わせるかという意味では、洪水調節も重要な選択肢であります。もちろん、森林農地の持つ現状の保水機能は確保してもらうということが大前提であり、3回目に森林の保水能力に限界ありと申し上げましたけれども、決して保水能力がないとはこの委員会でも一切言っていないということをつけ加えさせていただきたいと思います。
 それから、最後のページで、河川工学の先生にも事務局にも申し上げているんですが、毎回、放流という言葉が大変住民の方が、不信感を持っている。簡単に放流量とおっしゃっていますが、この白抜きの字を見ていただくように、流入量というのは結構です。流入量100に対して45貯留して、60m3/sは上流から来た水をそのまま通過させているのではないか。これを放流量と言うばかりに、本来、ダムの中にためておくべき流量を下流へ加害力として出しているのではないか、そういう誤解を受けているのではないかと思います。その右側で、流入量より追加して流した場合、これが初めて放流量になるのではないか。そういう意味で、河川工学の世界でも、また行政の分野でも、放流という言葉は、あるいは法律等の言葉にも出てしまっているのかもしれませんが、これだけ誤解を招いているとすれば、ここはひとつ根本から考え直していただきたいということで、前回の言い足りなかったことを申し上げました。
ということで、一応、この計画高水流量については審議を終わらせたいと思います。
 本日は3時間いただいているんですが、残り1時間以下になりました。時間の都合上、河川環境の審議は次回に行いたいと委員長としては思います。これで始めると、また2時間はネットかかると思いますので、そういうことにさせていただきますが、一応、次回の審議にも必要でございますので、本日配付されている資料の目次だけでも事務局からご説明をお願いいたします。
(事務局)  はい、わかりました。そうしますと、資料3−1の「川辺川ダムを考える住民討論集会」の資料をまずごらんいただければと思います。環境という観点で住民討論集会でどういう議論がされたかという追体験ということでございますけれども、この資料の16ページをお開きいただければと思います。よろしいでしょうか。議論されてまいりました項目だけご紹介させていただきますが、まず、ダムによる水質の影響という観点で水温の問題、いわゆる冷水放流の問題、それから濁りの問題、右側のページにまいりまして、水棲昆虫への影響、河川水の変化、低質への貯留、1枚めくっていただきまして18ページ、ダム湖の富栄養化の問題、こういった問題がございます。2つ目といたしまして、ダムによる流量の影響ということで、ダムからの放流ということで、流況の変化等による影響のご指摘がございます。
 19ページのほうにまいりまして、3の魚族(アユ等)への影響ということでございますが、尺アユの話が先ほど○○委員からございましたアユの個体調査について、アユへの濁りの影響、それから1枚めくっていただきまして20ページ、アユの餌となります付着藻類の問題、こういった問題が指摘されてございます。
 20ページの4でございます、八代海への影響ということで、既存ダムの漁業への影響、右のページにまいりまして、ダム等にたまった汚泥と赤潮の関係、川辺川ダムの影響予測、1枚めくっていただきまして22ページ、既存ダム等と干潟の減少の関係、こういったものの指摘がございます。
 23ページのほうにまいりまして、5番の稀少生物への影響ということで、ダムサイト周辺に生息しておりますクマタカへの影響、それから九折瀬洞の生物への影響といたしまして、コウモリへの影響、東ホールの保全策、1枚めくっていただきまして、ムーンミルクの問題、こういったもののご指摘がございます。その他、ダム代替案による環境影響、あるいは環境アセスの実施、こういったことについてご指摘がございました。
 次に、資料3−4という資料を準備させていただいてございます。これも「川辺川ダムを考える住民討論集会」(環境)概要等についてということでございます。先ほどの県でおまとめいただいた住民討論集会の資料についてより詳しく図やポンチ絵を入れましてわかりやすく対比した資料です。また次回ご説明させていただくということで、本日のご説明は割愛させていただきたいと思います。
 もう一つの資料、資料4でございます。「河川環境の現状と対応方針」ということで、本日、環境というテーマでご説明させていただこうと考えていた資料でございますけれども、目次を説明ということでございますので、資料の性格だけご説明いたします。1ページ目でございますが、河川環境の特徴ということで、球磨川流域全体の環境上の特徴を整理した資料でございます。
 1枚めくっていただきまして、2ページでございますが、今言いました全体の環境の中で河口部、下流部の河川環境についてご説明した資料でございます。
 次に3ページでございますけれども、球磨川の中流部、山間部を流れております部分でございますけれども、ここの河川環境についてご説明した資料でございます。
 次に4ページ、上流部の河川環境ということで、人吉周辺の河川環境についてご説明した資料でございます。
 次に5ページでございますけれども、球磨川全体の水質の現状について整理したペーパーが5ページでございます。
 次に、6ページといたしまして、参考といたしまして、市房ダムにおける水質保全対策ということで、市房ダムでの対応、それから川辺川ダムでの検討内容といったものをご紹介してございます。
 7ページでございますけれども、土砂動態の影響も、○○委員、○○委員をはじめご指摘がございました。土砂動態の現状について、7ページは、球磨川全体、それから支川の川辺川について経年変化はどうなっているかということをご紹介した資料でございます。
 1枚めくっていただきまして、参考といたしまして、川辺川ダムによる下流河川への影響(土砂動態)についてということで、○○委員等からご指摘のございましたところを説明した資料をご準備してございました。
 1枚めくっていただきまして9ページでございます。また全体的な話でございますけれども、球磨川におきます魚類の生息環境ということで、河道の連続性についての資料、それから尺アユということで○○委員からもご指摘がございましたが、アユの生態についてご紹介した資料でございます。
 最後に10ページでございますが、川辺川ダムとの関連で、自然環境の保全ということで参考となります資料をご準備していますが、九折瀬洞という洞窟の特有の生態系の話、そこの保全の話と流域内のクマタカを中心とする猛禽類の生息について保全対策を中心にご紹介した資料、こういった資料をご準備いたしてございまして、また詳しくは次回の委員会のときにご紹介させていただきたいと思います。
(委員長)  これで、この球磨川に対する審議は9回を数えまして、住民討論集会が9回だったそうですが、次回やると、その記録が破れるということでございます。終始、各委員には丁寧にご意見をいただきましてありがとうございました。一応、本日で計画高水流量について腰だめを外して次の段階に進みたいと思います。当然ながら、○○委員からありましたように、環境の問題についても同様に丁寧に審議ができるよう皆様のご協力もお願いしたいと思います。そういう前提で、本日の議事は閉じたいと思いますがよろしゅうございますか。
(委員)  きょうの委員長の取りまとめの中で腰だめをとるということでの論議がずっと続けられて、今総括がされたわけでございます。私は前回からずっと申し述べていますように、この妥当性についてということでは納得はしていないわけです。いずれにしましても、国土交通省は、みずからの責任において基本高水と同様に、計画高水流量についても、今回取りまとめられました結論、それからプロセス、こういったことを県民の皆様方に説明責任を果たしていただきたいという思いがございます。特に住民討論集会は、国土交通省の主導のもとで9回を数える間なされてきたわけでございますので、ぜひ地元の皆様たちに、住民討論集会を開く形の中で、私は早急にこの問題については説明責任をしっかり果たしていただきたいと思っております。
 それから、次回、環境についての審議がなされるわけですけれども、今回の資料を拝見しておりまして、国土交通省は環境に関して平成12年の6月に、「川辺川ダム事業における環境保全への取り組み」という大変分厚い報告書を出しております。その中に、いろいろとダムができたときのことも想定してですので分厚くはなっていると思いますけれども、それに比べまして、今回の資料は、ほんとうに項目的にも少のうございますし、前回の資料の中に比べると1割にも満たないような資料が出されておりまして、私ども熊本県は環境立県、そして有明海、八代海の再生、さらには住民討論集会の中でも、実は非常にたくさんの意見が出されているという状況にございます。そういったことを考えますと、ぜひ資料をもう少し出していただければと思います。この少ない資料で審議をして、環境に対しては影響がないというような結論でも出されますならば、私たちは、それはまたそれで後々、反対派の皆様方に対して説明できないというようなことが生じるのではないか、そういうことを恐れるところでございます。
 それから、もう一つ、これはぜひ伺いたいと思いますけれども、ここしばらく、非常に地元、人吉、球磨、状況的に変化が来ております。これまで○○委員は、ダムは地元が求めてきていることだとずっと言い続けておいでになられました。そんな中で、例えば11月10日、相良村長が立場を明らかにされて、ノーという表明をされていらっしゃいます。それから、11月11日、農林水産大臣の講演の中で、大臣といえども、相良が反対している以上、利水ということに国自身が踏み込むことは難しいというようなことをおっしゃっていらっしゃいます。それから、さらに、12月17日ですけれども、相良村において、ダムの反対集会が行われました。全体の参加者は、これはマスコミ報道ですけれども、2,300人という報道がされています。その中で800人の村民が参加しているという事実がございます。相良村の総人口は5,526人です。5,526人中800人。そして、世帯数でこの人数を考えていきますと、2軒に1人が反対集会に参画されているというような状態がございます。もちろん、この反対集会の中に、様子を見に伺った方々やダム推進だけれどもという方でここに参画なさった方々がいらっしゃるということも私は当然ではないかと思いますけれども、それにしましても、これだけ多くの方々が参加している、人吉、球磨の状態がほんとうにダムは地元が求めているという前提の中で私どもがこの問題をずっと考えていくということ、当然、私は地元の熊本県の首長として意見を求められて、そして地元、人吉、球磨に対して意見を求めるというようなことが次のステップの中では出てまいります。
 こんな中で、今後の河川整備の具体的な扱いというようなものが利水についても踏み込めていない。しかも、地元としてはこういうような状況がある、そんな中で、私どもが今小委員会の中で論議をしていることは、一方では、長期に及んで20年ないし30年の整備計画を立てるという観点で今論議をしているということではありますけれども、きょうの論議にまで至る中で、川辺川ダム、既存の計画がほんとうに重要であるというような段階にたどり着いています。私はきょうの段階に至って、一体これから先、どのような方法の中でこれは進められていこうとしているのか、国土交通省にこの点について意見をぜひ伺いたいと思います。以上です。
(委員)  委員長、その前に一言よろしいでしょうか。
(委員長)  じゃ、どうぞ。
(委員)  ただいま○○委員が申されました、私も○○委員と一緒に熊本県で人吉の市長という立場で仕事をやらせていただいていますが、○○委員のおっしゃる話にほとんど全部反論をしなきゃならないものですから非常につらいわけですけれども、まず、地元の変化ということを申されましたが、確かに変化は合っているわけです。ただ、私どもは、この変化に対しまして非常な不信感を持っているということでございます。私は前回も申しましたが、川辺川ダム建設促進協議会の会長を平成元年からお引き受けさせていただいていますが、そもそも私に会長をしろとおっしゃられたのは、前村長の前任者が私のところにわざわざお越しになりまして、現在の五木の村長さんとお二人で、こういう協議会をつくるから、おまえ、受益地として一番大きいから会長をしろということであったわけであります。
 今回、基本高水、計画高水の議論の中でもって、つまり川辺川というのは、流域の住民の生命と財産を守るために計画されたわけでございまして、人吉はもちろんそうですが、渡ですとか、あるいは八代ですとか、そういうところまで考えながら計画を策定していただいているわけでございまして、大変ありがたいと思っています。
 これは前も申しましたけれども、私はそういう関係で前知事の福島譲二さん、それから前々知事の細川護煕さん、今の知事と3人にお仕えしているわけでございますけれども、前知事と前々知事は川辺川ダムにつきましては促進ということで大変な骨折りをされましたし、その関係で県職員も五木に泊まり込んで説得をされたということでございます。よって、五木村は、今も水没者とか離村者でもって大変な計画をつくらざるを得ない、相良も一部そうなんですけれども、そのように、この川辺川ダムにつきまして流域の住民の生命と財産を守るために大変なご苦労をしていただいているという事実があります。
 それから、利水のことを○○委員はおっしゃいましたけれども、ここでもって利水の話が出ようとは私は全然考えてなかったわけですけれども、ご承知かと思いますけれども、なかなか事前協議なるものも話が詰まっていかないものですから、私どもといたしましては、農水省がダムの水は使わないというような非ダム案を示されまして、しかしながら、それを反対される方々はダム案だというようなことを主張されますので、違うということをはっきりさせるために、利水事業につきまして川辺川ダムとは関係ないというふうに切り離したわけでございます。
 今後、これについていろんな議論があるんですけれども、要するに利水のほうは、土地改良法での申請事業でございまして、相良村が最大の受益地でありますけれども、その相良村が中心になってずっとやってきた全体の農業計画を申請することによって進めてきた。それを反対されるということは、全く農水省のほうも念頭になかったわけでございまして、大変今、とまどっているということでございます。今、組合をつくっていますけれども、これを脱退したいとおっしゃっていますけれども、これには関係する市町村の議会の同文議決が必要でございまして、それについて私どもは絶対に受けられないという状況でございます。
 よって、大変○○委員に対しては申しわけないんですけれども、公開討論会につきましても、先ほど、○○委員がおっしゃいましたように、罵声が飛ぶというような状態が非常に強うございまして、私どもはそこに出席して非常に恥ずかしい思いをしている。少なくとも、私たち市町村長の仲間と話をする際に、公開討論会についての評価は非常に低いということ、私は前回も申しましたように、対立の構造を持ち込むしかないのではなかろうかと思っておりますので、私は公開討論会の開催については絶対に反対でございます。
(委員長)  当委員会はまさに基本方針を議論するところでございますので、その辺については事務局で承っていただきたいと思います。そういうことで、○○委員のほうから要望のあった点については。
(事務局)  今、○○委員からお話があったわけでございますが、河川法に基づきますと、一級水系ですから当然一義的に国が管理する河川でございます。そうは言っても、県と国が一体となって計画の策定、事業の推進が現実として、47都道府県ありますが、そういった方向でやられておりますので、ぜひ県も一緒になって説明責任を果たしていってほしいなと。我々は当然先頭に立ってやりますが、ぜひ一緒に手を携えてやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(委員長)  そういうことで、本来、あまり行政に携わらない人にしては、いろいろ現地の事情をお聞かせいただいたということでございますが、一応、これまでの資料は住民討論集会の資料を丹念に追体験しながら、それぞれに専門の立場からご意見をいただいた。それから、環境の問題については、そういうご不満にこたえるように誠心誠意資料は出していただきたい。本日出された資料で次回議論、あるいは追加もあるんでしょうけれども、その場で疑問のあった点はどしどし言っていただいて、その場で答えられないものは次の機会にでも解明していただくという方式で議論は進めさせていただきたいと思います。
 それでは、きょうははるかに早く終わると思いましたが、委員長の議事進行が不適切だったのか、ちょっと時間がかかってしまいました。30分残っておりますが、新しい環境の問題については、ここで議論を始めるとまた二、三時間コースになりますので閉じたいと思います。各委員には、本議題につきまして貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について発言者の氏名を除いたものとし、各委員のご確認を得た後、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。本日の議題は以上でございます。

 

3.閉      会


(事務局)  ありがとうございました。次回の本委員会は、Bグループにつきまして、荒川等3水系の審議を1月19日(金曜日)13時から15時までの間で、場所は後日改めてご連絡をいたしたいと思います。また、球磨川水系の審議につきましても、後日改めてご連絡をいたしたいと思います。お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございますが、郵送をご希望の方には後日郵送させていただきますので、そのまま席にお残しください。
 それでは、閉会いたします。どうもありがとうございました。

  







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