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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第67回河川整備基本方針検討小委員会

平成19年5月28日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤   徹
委   員  池 淵 周 一

金 盛   弥
楠 田 哲 也
佐 藤   準
浜 田 康 敬
福 岡 捷 二
虫 明 功 臣
森   誠 一
山 脇 康 典
野 呂 昭 彦
嘉 田 由紀子
山 田 啓 二
太 田 房 江
井 戸 敏 三
荒 井 正 吾


1.開      会

(事務局)  そろそろ定刻となりましたので、小委員会を開催したいと思います。カメラの方はご退席いただきますようお願いいたします。
 ただいまより、第67回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。
 私、本日の進行を務めさせていただきます河川計画調整室長の○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、お手元に配付しております資料のご確認をお願いいたします。まず、議事次第がございます。それから、名簿、配席図がございます。次に資料目次がございます。資料目次に沿いまして確認いたします。資料1、これまでと今後の審議の流れ、資料2、補足説明資料、資料3、工事実施基本計画と河川整備基本方針(素案)。次に参考資料がございます。これは10ございます。1、管内図、2、治水に関する特徴と課題、3、利水・環境に関する特徴と課題、4、治水計画等について、5、これまでの説明概要、6、琵琶湖・淀川の基本理念(案)、7、その説明資料、8、基本方針の検討の考え方、9、基準地点と計画規模、10、自然環境と水利用、以上でございます。
 資料に不備がございましたらお申しつけいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、本日はAグループでございます。○○委員、○○委員、○○委員、○○委員、○○委員はご都合によりご欠席されております。
 傍聴の皆様方におかれましては傍聴のみとなっております。審議の進行に支障を与える行為があった場合には退室いただく場合がございます。議事の進行にご協力願います。
 それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

2.議      事

(委員長)  ○○でございます。本日は、委員の皆様にはご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 まずは、事務局より資料についてご説明をお願いいたします。
(事務局)  事務局を担当しております河川計画課長の○○でございます。お許しをいただきまして、着席してご説明をさせていただきます。
 まず、資料1をご準備いただければと思います。

(混線中)

(事務局)  すいません、少々お待ちください。
 なるべく大きな声で説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
 まず、資料1でございます。「これまでと今後の審議の流れ」ということで、これまでの審議経過を整理させていただいております。
 平成17年10月3日に淀川に関します小委員会を開催いたしまして、治水に関する特徴と課題、それから第2回が水利用及び環境に関する特徴と課題、第3回が補足説明ということで、平成17年の10月から11月にかけまして3回の審議をいただいております。その3回の審議で何点か浮き彫りになりました課題がございまして、それらの検討に少し時間を要しまして、結果的に基本理念(案)という形で、それらの課題に対する考え方、これを整理させていただきまして、今年の1月12日に小委員会第4回目を開催いたしました。その場でも、基本理念に対しましてかなり幅広いご意見がございまして、それらを踏まえまして、去る5月14日、第5回の小委員会を行いました。この小委員会第5回目におきましては基本方針の検討ということで、この資料に書いてございますとおり、これまでの審議を踏まえた基本方針の検討の考え方、基本高水の検討、計画高水流量の検討、琵琶湖・淀川の水辺環境と流域全体の水利用など、こういった点についてご説明をさせていただきました。本日、それらにつきましていただいたご意見、ご質問、これらにつきまして補足説明をまずさせていただきたいというふうに思います。
 それで、資料2のほうに入らせていただきたいと思います。
 資料2、まず1ページ目でございますけれども、基本高水検討対象洪水の選定についてということでございます。これにつきましては、○○委員のほうから、基本高水設定のかなめということで、その選定プロセスの具体的な数値が重要なので、それを示してほしいというご意見がございました。また、基本高水が幾つかの地点で減少していることの妥当性の指摘、これにつきまして○○委員や○○県知事さんのほうからご指摘がございました。それに対しまして資料を準備させていただきました。
 今回実施しました中上流地点における基本高水の検討でございますけれども、これは雨量や流量が多かった代表的な洪水を対象としまして、最新のデータまで含めましてピーク流量を算出し、それらについて検証を行ったものでございまして、基本的な検討の手法は他の集計でも行っているものと変わったところはございません。ただし、対象洪水の選定過程において上下流バランスを考慮した点が今回の淀川の検討の特徴でございます。その手法についてお話をさせていただきます。
 考え方のフローということでございますけれども、計画規模、計画降雨継続時間、計画降雨量の設定というのは通常どこの河川でもやっている手法でございますけれども、それに続きまして、雨のパターンを複数採用するという観点で、既往洪水の雨量上位5洪水、それから流量上位5洪水を抽出してございます。これを行った上で、複数の降雨パターンを設定して流出解析を行いまして基本高水のピーク流量を決定しています。この決定に当たりましては、上下流バランスのチェックということで、後ほどお話をさせていただきますけれども、そういった点について検証を行っているということでございます。
 左のほうに雨のパターンを3つ書いてございます。昭和28年の台風13号、昭和34年の台風15号、昭和35年の台風16号と3つございますけれども、見ていただければわかりますとおり、それぞれの雨ごとに降り方が偏っております。昭和35年の台風16号ですと、桂川の流域が多い。あるいは、34年ですと、これは伊勢湾台風でございますので、伊勢湾に近いほう、木津川の流域のほうが多い。昭和28年につきましては流域全般的にまんべんなく比較的降っていると。こういうようなことで、それぞれの雨ごとにパターンが違うものですから、複数の降雨パターンで流出解析を行うというようなことをやってございます。
 上下流バランスのチェックシートといたしましては、左の下に書いてございますとおり、既往洪水のうち最も流域に一様な降雨が生起した昭和28年9月洪水――左側の28年の台風13号でございますけれども、この雨のときの枚方地点が17,000m3/sとした場合に、その上流から流れてくる水の量、これをそれぞれの基準地点における通過流量を計算いたしまして、これを例えば加茂地点あるいは羽束師地点での基本高水のピーク流量の上限値として設定をしました。この上限値の中に入る範囲で基本高水のピーク流量を設定するというやり方をしてございます。
 右側のほうの表に移りまして、基本的な条件は一番上に記載してございますけれども、今申しましたような基本的な条件を上回る流量が生起する洪水パターンは検討の対象洪水から除外するというのが1つ目に書いてございます。2つ目に、下流地点の通過流量が基本高水のピーク流量を超過している洪水パターンも、例えば枚方が17,000m3/sを超えているというような洪水パターンも除外しております。残った洪水パターンの中から最大値を基本高水のピーク流量として設定するというふうなやり方にしてございます。これを見ていただきますと、枚方は16,871ということで前回もお話ししたとおりでございますけれども、ここで加茂地点というところを見ていただきますと、結果的に決まっておりますのは昭和36年の台風26号の9,724m3/sで決まってございますけれども、そのほかの2つの青で網かけをしましたところにつきましては、例えば加茂地点で言いますと、昭和28年の台風13号ですと11,530ということで、先ほど申しましたメルクマールとなる上限値を超えてございます。また、枚方でも17,000m3/sを超えているというようなことで、これは対象洪水として除外をするということになっているわけでございます。また、昭和40年の台風24号につきまして見ましても、加茂地点で10,839m3/sとなってございまして、メルクマールとした数字を超えてございます。したがいまして、この洪水についても除外されているということで、結果的に残った雨のパターンの中で最大のもので、9,724m3/sというのが加茂地点の基本高水のピーク流量と設定されたわけでございます。また同様に、羽束師地点でも、昭和28年の台風13号あるいは昭和40年の台風24号、平成16年の台風23号、これらが先ほど申しましたようなメルクマールとしての上限値を超えてございまして、残った3洪水の中で昭和47年の台風20号ということで、5,810m3/sで決まっておるということでございます。また、島ヶ原、請田についても同様な考え方で設定をいたしてございます。そういう形で上のほうが課題になる、あるいは上のほうでたくさんの雨が降った結果、枚方を流れる量が予定している17,000を超えるというようなものは除外されていくという、そういうことをしてございます。
 2ページに参ります。猪名川につきましても同様な整理で基本高水の検討をやってございます。小戸地点の基本高水の検討では、雨量データだとか流量データによる検証、それから歴史洪水の検証等、淀川と基本的に同じ方法で検討を行っておりまして、考え方のフローも同じです。ただ、基準点がここは1カ所、小戸地点のみでございますので、上下流バランスのチェックというのは右の表の上に書いてございますとおり、下流の主要地点の基本高水のピーク流量につきましては、基準地点の通過流量を検討対象とすることによりまして上下流バランスを確保するというやり方にしてございまして、全体のバランスをそういう形で保ってございます。小戸地点では3,491という昭和58年の台風10号が採用されるということになってございます。そのほかの地点でもそれぞれ最大のものが採用されるということでございます。
 1枚めくっていただきまして3ページでございます。狭窄部対策についてということでございます。狭窄部につきましては、たくさんの委員からご指摘をいただいております。上下流バランスという点がこの淀川水系で非常に重要な課題だということもございまして、たくさんの委員から指摘がありました。指摘の中身といたしましては、狭窄部の流下能力がどうだというような点。それから、流量増分の抑制措置ですね、開削によって流量が増えた分の抑制するような措置が必要ではないかというような点。それから、狭窄部上流の遊水地のあり方についてのご意見。こういったようなところが大きな課題だったというふうに記憶してございます。
 まず、そういうようなご意見を踏まえまして資料を準備させていただいていますが、狭窄部上流はその地形条件から氾濫が生じやすく、結果としてこの氾濫が下流に対する遊水効果となっているということでございます。狭窄部上流で築堤を行いまして氾濫を防御すると、下流への流量増が懸念されます。当然のことでございますが。その程度につきましては、上流の地形特性に大きく依存するということがわかりました。これをベースに、それぞれ保津峡と岩倉峡についてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、保津峡、亀岡盆地の関連でございます。左側でございますけれども、保津峡の上流の亀岡盆地では、河床勾配は1/500程度でございます。伊賀盆地、木津川のほうと比べますと勾配が急だということでございます。かつ、氾濫域が河岸段丘等により挟まれて狭いという地形的な特性がございまして、氾濫水が河川内の洪水と一体となって谷全体を流れるというような形状ということでございます。氾濫流は、霞堤がまだここには残ってございまして、霞堤により河道内の洪水と一体となって狭窄部の入り口に向かって流れていくというようなことでございます。こういう地形的な形状でございまして、前回ご意見のございました、例えば農地を1/30とか住宅は1/100とか、安全度を分けて遊水効果を検討してみてはどうかというご指摘がございましたけれども、今申しましたような流れの形状にこの氾濫域はなってございまして、遊水効果を期待するには限界があると。効果は小さいというようなことで、そういった検討につきましては今回見合わせていただきました。また、今申しましたような流れのために、仮に築堤しましても、下流への流量増は比較的小さいというようなことがわかりました。したがいまして、亀岡盆地においては、所定の遊水効果を期待することは難しく、必要な高さを有する堤防を整備することで対応するという基本方針になっているわけでございます。
 今申しました一番最後のところでございますけれども、結果的に、狭窄部への流入量というのは築堤高によって規定されてくるということになります。結果的にそういうことでございますので、堤防の高さを適切に設定することによって、開削による流量増分を抑制するような措置は必要ないというようなことになるということで、先ほどちょっとご説明いたしました流量増分の抑制措置というものは、この場合にはそんなに必要ではないというようなことがこれからわかるかというふうに思います。
 それから、1枚めくっていただきまして、今の関連の補足説明をさせていただきます。「狭窄部対策について(狭窄部掘削について)」というペーパーでございます。
 左の上にございます。狭窄部の入り口から上流を深さ方向に掘削した場合。右側のほうに図がありますけれども、掘削を下向きにした場合に、同一の流量に対して狭窄部上流の水位は大きく低下しますが、水面形は大きく変化しないということがわかります。したがいまして、堤防をスライドダウンするというようなやり方ですと、掘削を行っても下流に対する流量増はほとんどないというようなことで、先ほど申しましたようなお話になります。
 それから右側に参りますが、狭窄部を水深方向に掘削する場合には、狭窄部への流入量に大きな変化はないと。これは超過洪水時も同じということでございまして、右側にございますように、流下断面はほぼ変わらないということで、築堤して拡大する場合と、深さ方向に掘削して全体を下げて流下断面を拡大する場合を比較しますと、結果的に下流の流量増はほとんど変わらないということになることが明らかかと思います。したがいまして、先ほども申しましたとおり、狭窄部の開削に対してゲートなどを設けて流量を抑制するまでの措置は必要ないというふうに考えたわけでございます。
 狭窄部を掘り下げる開削を行った際の流量の比較というのをこの下のほうに幾つかのパターンで掲載してございますが、検討してございます。請田地点と島ヶ原地点の2地点、検討してございます。請田地点では1/100、1/150、1/300という3つの洪水規模で検討してございまして、また、それぞれ昭和28年の台風13号、40年の台風24号、平成16年の台風23号と3つのパターンで検討してございますけれども、狭窄部を仮に深さ方向に掘り下げていっても、請田地点の流量がさほど大きく変わりません。それから、下流の桂流量と書いてありますけれども、桂地点は、桂川の狭窄部を出たさらに下流側で加茂川の合流点前ということでございますけれども、そこの地点での流量を見ましてもそんなに変わらないということで、先ほど申しましたように、基本的に流下断面が大きく変化しない関係もございまして、水位はずっと下がりますけれども、下流に流れていく流量というのは大きな変化がないということがこれでわかると思います。同じように、1/150、1/300という超過洪水の場合も同様の傾向になってございます。ということでございます。
 1枚またもとに戻っていただきまして、亀岡につきましては今申しましたようなご説明になりますが、次に伊賀盆地、木津川の上流の岩倉峡上流についてのご紹介になります。岩倉峡上流の伊賀盆地では、河床勾配が約1/1,000ということで、亀岡に比べますとかなりゆったりとしております。また、ここは大きな支川が合流してきている関係もございまして、氾濫域も広く平坦であります。氾濫水は滞留するという傾向があります。このため、先ほどの亀岡盆地とは違いまして、築堤をすると下流への流量増は大きくなると。氾濫域を限定して川の中に押し込んでしまうと、洪水を押し込んでしまうと、下流への流量の増が非常に大きくなるというような傾向が亀岡に対してございます。したがって、伊賀盆地においては、遊水効果というのがやはり重要でございまして、現在、遊水地を整備しているというようなことでございます。
 先ほどの4ページに参りますが、島ヶ原地点の1/100、1/150、1/300ということをお示ししてございますけれども、これにつきましては先ほどの桂川の請田地点と同様の傾向でございまして、深さ方向に開削をした場合ですけれども、開削によって流下断面は基本的に大きく変わりませんので、流量増につきましてゲートなどを設けて流量抑制するまでの必要はないのではないかというふうに考えているわけでございます。
 なお、3ページ、もう一回戻っていただきまして、亀岡盆地の計算、地図に氾濫の状況、湛水の状況を示した地図がございます。これは前回の資料ですけれども、本日の参考資料8にお示ししていたんですが、そこに若干不備がございまして、数字の精度を上げまして、本日、差しかえをさせていただいておりますので、お断りを申し上げたいと思います。
 5ページのほうに参ります。5ページ以降は、具体的な狭窄部の取り扱いをご説明する資料でございます。
 まず5ページは、先ほどの保津峡の上流側になります。保津峡の上流部の整備でございますけれども、ちょうど保津峡に入っていくところが請田地点でございますが、左側に断面図がございます。上流貯留施設無しとか上流貯留施設有り、さらにそれに堤防築堤とか狭窄部掘削とか、いろんな条件を加えたときの水位条件についてポンチ絵で示したものでございますけれども、請田の1/100で平成16年23号の台風型でやりますと、上流の貯留施設がない、日吉ダムがないような場合ですと、亀岡駅のあたりまでどっぷりつかってしまうという、そういう計算になります。それに日吉ダムが効果を発揮すると、水位が下がりまして、亀岡駅が大体助かるぐらいの高さになります。さらにそれに堤防の築堤を加えますと、あふれてくる水がなくなりますので、氾濫が出てこなくなると。さらに狭窄部の掘削を行うと、川の状態が下がりまして、より安全な状態になるというポンチ絵でございますけれども、基本的にはこういう考え方のプロセスで狭窄部のことを考えていただければというふうに思います。
 基本的には今申しました一番左下の方策で今後検討を進めていくということでございますけれども、右側の地図がございますが、ここにございますように、ここの区間は京都府さんが管理している区間でございますので、京都府さんで亀岡市街地の大規模な浸水被害を抜本的に防御するべく、ここの河川改修計画を作成して、計画に基づいて事業を実施してきていると。その具体的な中身ですけれども、右側の下に京都府改修計画の特徴とございますが、河岸段丘に挟まれた将来発展を担う希少な低平地の約半分について河道として基本計画に基づき確保というふうにしてございます。見ていただければ、氾濫域の中に赤い堤防のラインが入れてありますけれども、ここにございますように、谷底の平野部の貴重なエリアの中にこういう堤防と河道を形成して治水対策を行っているというのが実情でございます。現在、段階施工により下流改修との調整を行いながら施工中というようなことでございまして、河床掘削で流下能力を向上させるというような方向で整備が進んでおるところでございます。
 1枚めくっていただきまして6ページでございます。岩倉峡上流部でございますけれども、伊賀盆地のところでございます。ここは、川上ダム、上野遊水地の整備や築堤に加え、狭窄部を深さ方向に掘削することにより治水安全度を確保するという考え方でございます。今申しました亀岡のようなケースと検討の中身は基本的によく似ていますけれども、ここは計画遊水地が上野遊水地の中に4カ所ございますが、ここの遊水効果を期待して河道計画が立てられてございます。
 1枚めくっていただきまして7ページでございますけれども、ここからは河道に流し得る流量ということでございます。前回の小委員会では、○○委員から桂川の改修の考え方についてご指摘がございました。また、三川合流点の処理についてもご指摘をいただいております。また、委員長からは、計画高水流量のバック資料をきちんと整理して説明するようにというお話もございましたので、淀川を含め、何河川か河道に流し得る流量についてご説明をさせていただきます。
 まず、淀川本川でございますけれども、淀川の状況でございますが、城北・豊里地区(12キロ付近)と書いてございますが、この地点の河積不足と河道の湾曲等の影響によりまして、その上流の一部区間において流下能力が不足しています。その他の区間については計画高水流量に対しましては流下能力を満足しているというような状況でございます。水位縦断図がございますけれども、部分的に淀川のハイウォーターレベルを超えているところが赤い線でございます。これが先ほど申しました城北・豊里地区のところでございます。地図は一番右のところにございますけれども、少々見づらいですが、橋と橋の間のあたりに、左右岸にワンドやたまりが高水敷等のあたりに見えているのがわかるかと思います。こういったところが断面が不足箇所になっておるところでございます。
 流下能力のネック箇所の対処方針でございますけれども、左の下に記載してございますが、左岸の城北ワンド群は、淀川のワンド群として最大の規模を優先しておりまして、多くの水生生物の生息・生育場所となっている最も重要な場所だということでございます。一方、右岸側の豊里のたまりは、淀川のたまりとしては最大の規模ということで、そこに設けました平成ワンドでございますけれども、良好な河川環境を有する新たに整備されたワンドとなっておりまして、周辺の自然環境の維持・保全に貢献しているというふうに言えます。また、●●●●●●の研究会からも、ワンドやたまりの環境を保全・再生することが不可欠とご指摘もいただいています。右側のほうに写真が並んでございますが、城北ワンド群というのがございます。淀川の左岸側にできておりますワンド群でございますけれども、大変貴重な環境を呈しているというようなことでございます。ワンド自体の機能は、模式図がありますけれども、本川から隔離されているというところがポイントでございまして、出水時にはつながりますけれども、ふだんはそこの円が切れているところが重要なポイントだそうで、そういった関係で本川とは違う多様な生態系が形成されているということでございます。この区間につきましては、一番下にございますとおり、淀川の河川環境保全上、重要な地区であり、ワンド、たまりが存在する高水敷について極力保全を図る必要があるというふうにされてございます。
 1枚めくっていただきまして8ページでございます。今のような状況を踏まえまして、淀川本川における流下能力の増大策というのを検討いたしております。方策としましては、引き堤とか堤防の嵩上げ、それから右側に低水路掘削・高水敷掘削、こういったものをお示ししてございます。引き堤、それから堤防嵩上げでございますけれども、そこに航空写真がありますが、堤防沿いまでものすごく人家が連檐してございまして、高度な集積ということでございます。引き堤あるいは堤防嵩上げは非常に困難な状態でございます。また、万が一破堤した際の被害ポテンシャルを増大させることにもなりますので、築堤というのはなかなか厳しい、現実的ではない方策だというふうに言えます。一方、低水路掘削・高水敷掘削でございますけれども、先ほどお話をいたしましたとおり、城北ワンドだとか豊里たまりだとか、自然環境の豊かな淀川を象徴するような景観・環境がございますので、こういったところに手をつけるのはやはりおのずと限界があるというようなことでございます。
 したがいまして、対処方針としましては、左の下でございますが、既定計画である12,000m3/sまでは対処可能であるがということでございますが、低水路の一部を掘削することによりまして12,000m3/sまでは対応可能ですけれども、それ以上に掘削することは、河川環境の保全や堤防の安全性から困難だというふうに考えております。そのときの水位縦断図は右側にございますけれども、12,000m3/sが限界だというふうに考えてございます。なお、ここでありますような掘削を行う際には、急速に実施するのではなく、掘削による河道への影響を把握しながら進めるだとか、断面形状の変化による環境に対する影響や土砂の上下流方向の連続性のモニタリングを踏まえながら順応的な整備、こういったものを進める必要があるのではないかというふうにしてございます。
 9ページでございます。宇治川でございますけれども、宇治川の流下能力の増大策でございますが、宇治川につきましても航空写真が右のほうに示してございますけれども、山間部から出てきまして、宇治の市内にすぐ出ていくわけでございますが、中の島になっております塔の島地区というのがそこにございます。そこの左岸側に世界遺産の平等院だとか、右岸側には宇治上神社だとか、世界遺産が周辺にはたくさんあるということで、この地域も拡幅だとかそういったことは非常に厳しい状況になってございます。それから、塔の島地区が大変景勝地にもなっているものですから、あるいは歴史的にも貴重なエリアになっているものですから、ここを大幅に河床掘削して平水面の低下をさせるというのは、貴重な歴史景観だとか周辺環境にも影響が大きいことから、掘削量は抑えるというような基本的な考え方になっています。9ページの右のほうでございますけれども、水位縦断を見ていただきますと、塔の島地区というところだけがかなり水面形が上がってございますけれども、中の島があるというお話をさせていただきましたが、極めてこういう断面の不足した場所になってございます。そういった関係で、左側の下でございますけれども、こういう状況を踏まえますと、堤防の安全性を確保するとともに景観保全の観点から、大幅な河床掘削による平水面の低下は景観への影響が大きいことから、掘削量を極力抑えるという考え方にしてございまして、1,500m3/sという流下能力の確保が精いっぱいだというようなことでございます。
 次、10ページでございます。木津川の河道に流し得る流量でございますけれども、木津川につきましては、流下能力が最も不足しておりますのは淀川との合流点の少し上流側ということになります。地図が右側にございますけれども、真ん中あたりを左に流れているのが木津川でございます。そのちょっと上が宇治川でございまして、そのさらに上が桂川ということになりますけれども、この木津川の三川が合流する手前ぐらいが流下能力が不足しているという区間になってございます。この区間を拡幅するとか堤防の嵩上げをするというのは、この土地の利用状況、これ、左岸側が八幡市になってございますので、ここには京阪電車等もございますので、こういったところを拡幅したり堤防嵩上げするというのは非常に厳しいというのは、見ていておわかりいただけるのではないかというふうに思いますけれども、こういったところの流下能力の拡大というためには、左のほうの2つ目の白の四角でございますが、「堤防の安全性確保」と「たまりの保全・再生」を両立するために、大幅な掘削はできないというふうになってございます。ここで言うたまりというのは、木津川自体はもともと砂が多い河川でございまして、その砂の中に水のたまったような場所があるということでたまりと呼ばれてございますけれども、このたまりが先ほどのワンドと同じように本川とは隔離された水の空間でございまして、非常に特徴的な、淀川の独特の生態系が形成されているということでございまして、こういったたまりも保全の必要があります。先ほど淀川のときにも申しました●●●●●●も、こういったたまりの中で生息が確認されたこともございます。ということで、こういったたまりの保全・再生、こういったものを図りつつ、さらに堤防の安全性確保を図りつつ、必要な治水、安全の確保をするという観点で、左の下のほうに上記を踏まえた設定河道断面がございますが、ございますように、川の中の高水敷の一部を掘削しまして必要な流下能力の確保を図るということにしてございます。河道掘削の実施に当たっては、堤防の安全性を確保するとともに、木津川下流部に形成されているたまり、砂州等の保全を行うため、低水路拡幅の掘削範囲は現時点においては6,200m3/s以上の流下能力向上は困難ということで、6,200m3/sまでの流下断面確保が精いっぱいだというようなことでございます。
 次に桂川でございます。11ページでございます。桂川につきましては非常に河床の高い川でございまして、全川的に流下能力が不足しているということでございます。現在、その流下能力の不足を解消するために、引き堤の事業を実施しているというようなことでございます。こういった中で再度引き堤を実施することは社会的な影響が大きいというようなことと、それから、その周辺の立地条件からしますと、一番下の写真を見ていただければあれなんですけれども、桂川のこの地区の周辺というのも、かつては田んぼが多かった土地でございますが、かなり住宅や工場だとかいろんなものの立地が進んでおりまして、拡幅をするのはなかなか困難な状態になってございます。それから、堤防の嵩上げにつきましても、先ほどから申しておるような状況でございまして、なかなか困難を極めているというような状況でございます。こんな中で現在行われている拡幅でございますけれども、右側の真ん中あたりに、淀大下津地区については、引き堤事業に伴う移転は完了し、現在、淀水垂地区、淀樋爪地区の移転を行っており、地元住民や京都市も早期完了を望んでいる状況だというようなことでございまして、現在、ダイナミックな引き堤が行われておりますけれども、さらにこれを再度引き堤するというのは非常に困難な状況ということでございまして、結果的に流下能力の向上のため全川的に河道掘削を行うということでございますが、左の真ん中にあるような方針で掘削を行うことにしてございます。そこでは、侵食幅を残し、最大限高水敷を切り下げる。その際、縦横断の連続性を保つように、近傍の断面に対して高水敷の切り下げ、河床幅の拡幅、低水路勾配のすりつけ等を行うというようなことで検討を行っております。ただし、ここにございます断面は、実際の整備を進めるに当たりましては極めて単調な断面でございまして、今後、具体的に景観や自然環境との調和というのを考える上で、どういった川の中のつくり方をしていくのかというのは重要な課題になるのではないかというふうに考えてございます。
 次に猪名川でございます。12ページでございますけれども、猪名川も右側のほうに写真ございますが、猪名川と藻川に分離しているところでございますけれども、周りが住宅地や工場、こういったものがたくさん立地しておりまして、拡幅だとか堤防の嵩上げというのは非常に難しい状態になってございます。こういう条件のもとで流下能力の拡大をするということでございますけれども、左の2つ目の白の四角のところにございますとおり、河床掘削案で行うんですけれども、河床を下げ過ぎると土砂が再び堆積する傾向にあるため、維持が困難。既設の河道内構造物においても改築及び移設が必要になり、影響が大きい。河床を下げることにより塩水の遡上の範囲が広がる、そういう影響があるというようなことでございまして、低水路の拡幅案としては、必要な高水敷幅として最低限5mを確保するというような観点で整備を行うこととするというふうに考えてございます。流下能力が最も不足している箇所は下流部であると。河道掘削案については、河床掘削案と低水路拡幅案があるが、どちらも限界があり、2,900m3/s以上の流下能力の向上は困難というふうにしてございます。
 13ページでございます。洪水調節施設の運用についてということでございますが、これは今、河道に流し得る流量についてご説明をいたしましたが、これによりまして計画高水流量がおおむね決まりますけれども、基本高水と計画高水の間を洪水調節施設によります操作で埋めなければなりませんが、その運用の一例を示したものでございます。鍋底カットだとか、それぞれ持っております既存の洪水調節施設のポテンシャルをうまく活用して洪水調節をするような案を考えてございますので、参考でお示しをさせていただきました。
 14ページでございます。遊水地の多目的利用についてということでございます。○○委員から前回、遊水地について、環境面など多面的な機能を考慮すべきというお話がございました。この上野遊水地は、もともとは農地が中心のところで、現在、遊水地とされてございますが、治水機能を果たすだけでなくて、平常時は農地として活用されています。そういったところではございますけれども、右の下のほうでございますが、自然環境の連続性の保全ということで、遊水地周辺の環境等を勘案しまして、河川と遊水地の連続性の確保だとか、本川以外の水域に依存する生物の生息・生育に配慮した自然環境の保全、こういったものに努めるということで、いろいろ工夫はしてございます。ただ、環境面にある程度配慮した措置ではございますけれども、必ずしもこれで十分というふうなことではないでしょうから、引き続き先生にもご指導いただければというふうに考えてございます。
 15ページでございます。淀川水系における利水に係る放流操作の現状についてということでございますが、前回、○○委員のほうから、利水上の観点から無効放流を極力なくすような努力が必要だと、こういうご指摘がございました。淀川の水利用の現状・課題、これは何度もご説明しておりますので、左のほうにありますが、省略させていただきます。淀川水系の利水の取り組みということで、淀川水系の利水に関しては、最下流の淀川大堰で余剰が生じないように補給量を管理する洗堰放流操作を行っているというようなことでございます。渇水などの発生時の被害を最小限に抑えるための取り組みを引き続き実施するという考え方でございます。右側のほうにございます、最下流の淀川大堰で無効放流が生じないよう補給量を管理しているということで、流量は、正常流量を決めております高浜地点と淀川大堰での湛水位の増減量で管理をしておるということで、極力、水につきましても流域全体の皆さんの貴重な財産だということで、淀川大堰において無効放流が生じないよう効率的に利用するということで、24時間の用水の需要量と供給量の予測、こういったものを行って調整を行うというようなルールでやっておるということでございます。
 16ページでございます。河床材料の状況についてということでございますが、前々回、○○委員から、環境の観点から土砂管理をしっかりやってほしいというご指摘がございました。また、前回、○○委員から、河床の質も問題だというようなご指摘がございまして、河床材料について目を向けなさいというご指摘がございました。今回ちょっと資料を整理させていただきましたけれども、河床材料ですね、河床の構成比、例えば粗礫・玉石、礫、粗砂、細砂、粘土・シルト、こういうような河床材料の組成を分析させていただいております。例えば淀川本川の三川合流点より下流部ということでございますが、左側に示しておりますけれども、昭和60年の河床材料の上下流方向の分布と平成10年度の上下流方向の分布がここにお示ししてございますが、これを比較しますと、全般的に平成10年度のほうが河床材料の細粒化が進んでおるというような状況でございます。細かくなっているということでございます。それから、木津川でございますけれども、右側でございますが、昭和39年、昭和54年、平成15年というようなデータがございますが、こちらにつきましては河床の粗粒化、すなわち粗礫だとか礫が増加しているというようなことで、もともと細かかったものが少し大きくなりつつあるというようなことがわかりました。
 次のページ、宇治川、桂川でございますけれども、宇治川につきましても、昭和40年と平成12年の比較をしますと、粗砂、細砂が増加し、粗粒化していると。それから、桂川についても粗礫・玉石が増加しておりまして、大きくなっているというようなことでございます。
 18ページに猪名川がございます。猪名川のほうは、昭和44年、昭和57年、平成8年のデータがございますけれども、ちょっとデータにばらつきがありまして、一定の傾向は見られておりません。なお、この猪名川の水系では、一庫ダムで、ダム下流の河川環境の復元のために、水のフラッシュ操作(ダムの弾力的操作)とあわせまして土砂の供給実験というのを行っているということでございます。右側のほうに写真でお示ししていますが、玉石投入とヨシの除去というようなこととか、河道への土砂投入というのが写真で示されてございますけれども、水のフラッシュ操作とあわせまして土砂の供給実験を行っております。これらがどの程度の効果があるかというのは、今後、引き続きモニタリングを行いまして、効果があればそういったことも続けていきたいというふうに考えております。土砂の供給実験は、淀川水系でほかにも布目ダムという木津川の支川の布目川、室生ダムという木津川の支川の宇陀川、こちらのほうでも実施しておるということでございます。
 19ページでございますが、最後に、流水の正常な機能を維持するために必要な流量の設定ということで、前回の資料で正常流量につきまして淀川本川の高浜地点のデータについてご説明をさせていただきました。若干の修正をさせていただきました。ここでも今回新たに追加いたしまして、猪名川において基準地点として小戸地点を新たに設定するということでご説明をさせていただきます。2年前に一度説明したときにもこの点については変更させていただいてございますけれども、流水の正常な機能に関します9項目の検討を行いまして設定いたしますと、動植物の生息地または生育地の状況、これはニゴイだとかサツキマスを見てございますが、さらには景観、こういったものも含めまして検討を行いました結果、小戸地点でおおむね1.4m3/sが正常流量として必要な流量というようなことになってございます。19ページ一番下の資料にございますとおり、平成17年11月30日の小委員会の資料、これの修正ということで説明をさせていただきました。
 なお、前回の小委員会のときに、さらにリスク分担につきましていろいろご議論がありまして、例えば排除用のポンプをとめたらどうなるかとか、狭窄部上流側でどうだとか、それから洗堰を全閉したらどうだとか、いろいろ比較考量しなさいというご指摘がございました。そのデータについては若干見直しの必要なところもあったものですから、現在整理中でございまして、申しわけございません、今回に間に合いませんでした。次回に改めてまたお示しさせていただきたいというふうに思います。
 長くなりましたが、以上でございます。
(委員長)  はい、ありがとうございました。きょうは時間的に厳しい委員もおられるようですので、ご意見は簡略といいますか、コンパクトにお願いしたいと思います。
 それでは、ただいまの補足説明資料につきまして、ご意見のあった方からお伺いしたいと思います。1ページから2ページ、これは○○委員でした。お願いします。
(委員)  それでは、前回、質問等させていただいた中で、この上下流バランスを踏まえた治水安全度、そういうものに基づいた考え方等については、対象洪水の選定というものについては適正な考え方ではないかというふうに申し上げました。その中でベースとなる流出計算の算出プロセス等についても少し資料等を見せていただけないかということ等で質問させていただいたんですが、事前にこの基本高水の算出に当たっての流出計算モデル等についても資料を説明していただきました。ここに、基本的な手法は他水系と同様だというふうに書いてございますが、見せてもらって感じたことは、相当な見直し・改善がなされておりまして、流量観測データ等に基づき各種定数が再同定されておりますし、とりわけ流域の状況、河川の状況を踏まえて、流域を46流域、31河道と流域分割あるいは河道区間を増やすとともに、流域貯留関数はもとより河道貯留関数も連結して、さらに、先ほど来ございました岩倉峡とか保津峡とか三川合流部におきまして各地域における流量低減を踏まえたモデル化を実施されていると。さらには、従前、琵琶湖流入については、逆算流入量等というような展開がございましたけれども、降雨、洗堰操作から琵琶湖水位、洗堰放流量を算出することを可能にするなど、その算出プロセスで相当ななされ方がされているなというふうに、内容とあわせて感じた次第でございます。
 その上で、実績洪水あるいは実績洪水より大きな降雨を含めたさまざまなケースについて流出計算を行っておられまして、ここに挙げておられる基本高水検討対象洪水一覧表という形で、降雨からの河川流量の流出過程の検証・再現もした上で出てきているというのを確認させていただきました。これらのことから、上下流バランスを踏まえた基本高水の算定の考え方あるいはプロセスには、限られた資料あるいは展開等から見まして適正妥当な出てき方じゃないかというふうに感じた次第でございます。
 そういったことから、ちょっと細かいことで恐縮なんですが、請田の一番最後でございますが、昭和34年、台風7号というものが棄却されているという、これは羽束師のところで上にマークされている5,810m3/sという、これが請田では34年台風7号では5,812m3/sということで、それを上回っているという、そういう数字のルールからしたら当然かとは思いますが、そういった形で棄却されているということで、4,700m3/sじゃない4,500m3/sという形で出てきて、少し数字の微妙さはありますけど、大きな値を出す基本高水よりも、4,500m3/sのほうがこのエリアとしては妥当かなというふうに思って、その数字の若干のあれはありますけれども、思った次第でございます。
 以上でございます。
(委員長)  これは○○委員からもご意見ありましたか。
(委員)  1ページの基本高水検討対象洪水の選定についてということにつきましては、ただいま○○先生からもお話がありましたけれども、考え方とストーリーは、これは前回も申し上げましたが、私、理解できるものであります。特に上下流のバランスについて、今回、詳しい説明がございまして、考え方は全く合理的であると思っておりますし、ちょっと私が申すのも変ですが、評価をいたしております。
 あと、数値的なものにつきましては、これは専門の先生にお願いするという立場でございます。
 もう1点ございます。狭窄部の話でございます。これは続けてよろしいでしょうか。3ページでございます。
(委員長)  次に一緒にまたお伺いして。今、1、2ページだけで。
(委員)  ああ、そうですか。
(委員長)  そのときにお伺いします。
 それでは、3ページから6ページについてお伺いしたいと思います。
 それじゃ、続けて○○委員、お願いします。
(委員)  3ページでございますが、このたび狭窄部の上流について河川工学的な地域特性が、岩倉峡上流あるいは保津峡上流についてその特性が示されましたことについては、大変意義があるものと思っております。したがいまして、この特性を十分に認識して、この上下流の治水対策が講じられなければならないと思っております。端的に申し上げますと、こういうふうに、例えば保津峡について、掘削によって、その掘削だけの水位は反映して下がるけれども、流量増についてはそんなに変わらないんだということになりますと、これは下流に対する影響は大変なことでございまして、嵐山下流の桂川、それから淀川の安全性、特に桂川の改修の促進が急務であることを認識します。ところが、少し先になりますが、11ページで示される桂川の改修というのは、五千何百m3/sに対しましては大変な工事量が想定されるわけでございまして、こういったものが果たしていつごろ完成形の形になるのかというふうなこと、つまり、改修の目途については、失礼ですけれども、甚だ超長期的な話であろうかと思うわけでございます。こういったときに、先ほど、流量増にはすぐ極端に結びつかないから、狭窄部の流量や開削相当分についての措置は何もする必要がないとおっしゃることについては、ちょっと結論が早いんじゃないかと思っております。
 結論が早いことについて、さたに理由を申しますと、桂川の改修の困難性のほかに、この検討の前提となっている3ページの計算条件があります。「日吉ダムがあり」、これはおそらく日吉ダムの利水容量の洪水利用を意識されていると思いますし、また、上流で、前回も説明がありましたが、小規模の調節施設を考えることが計算条件の中に入っていると思いますが、そういったものがほんとうに担保されるのかどうかということであります。現時点ではあいまいなところがあるんじゃないかなと思っております。これが2点目。
 それからもう1点は、瀬田川洗堰との均衡の問題であります。瀬田川の洗堰は、今、問題になっておりますのは、全閉はしないと。しかし、設置前の流量分については制限すべきじゃないんじゃないかというふうな方向に向いていると思います。換言すれば、設置後の増分は堰で調節するのであり、これを保津峡なり岩倉峡なりで考えますと、やはりこれは掘削によって流量増になるということであれば、増分については調節しないと洗堰との均衡性を欠くと思います。翻って、では、木津川とか桂川とか、ひいては淀川の安全性がどの程度あるかと。今、スーパー堤防なんかやられておりますけれども、まだまだ改修もありますし、でき上がった後もやはり安全性については絶対安全であるということは言えないと。常にリスクがあると思いますので、そういうリスク回避の面からいっても、亀岡の地域の霞堤を閉塞して流水機能をこの際期待しないという方向と、それから、開削によって生じる流量増分について何ら措置なしということは問題であり、今時点でこういうふうにきっちりと判断することは適切ではないのではないかと思います。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  きょうの資料を見せていただきまして、私が今まで保津峡とその直上流の区間の洪水時の挙動について、私の理解不足であったかなと思いました。きょうの説明を聞いて、提出された方策は、洪水流の挙動から見て、説得力のある説明になっていると思います。私は、保津峡を開削するというものですから、当然幅を広げるものと思っていたんですが、拡げずに下に掘り下げるということでした。渓谷ですので、掘り下げても水面の幅はほとんど変わらないわけですから、河床が下がっても水面形もそうは変わらない、このため流量もそれほど変わらないというのはそのとおりだと思います。
 ただ、○○委員も言われましたように、幾つかこれから検証しなきゃならないことがあると思いますが、全体としてこれでよいと考えています。ただ、ここで注意しなきゃならないのは、水面を下げても水深は上がります、渓谷の河道というのは狭く、非常に抵抗が大きいので、粗度係数等をどういう条件で計算をして数十m3/sという数字が出てきているのか。土木研究所では、以前京都府から依頼されて保津峡の水理模型実験はやっているんです。模型実験も含めて、粗度係数や水面形、流量等の変化を確認していただきたい。
 2点目は、この計算がよろしいという前提に立って見ますと、請田より上流側はどんな条件で検討されたのか、わかりづらいところがありました。私は説明を聞いていて、これから桂川下流の改修もあるし、保津峡の開削もあるし、請田を中心とする上流部の築堤をすること、それから日吉ダムの持つべき役割という4つの考えるべき条件があるわけです。。それらをどういう順番で実行すべきかについては十分検討の必要があると思うんです。桂川の開削断面が1/150の流量に対して安全性を高める必要性は十分わかっているんですが、ほんとうに1/150の断面の川をつくって、その後の維持等を考えたときに大変な問題が起こってくる心配があると私は感じています。すなわち、それだけの断面を持った川を作っても、洪水を迎えるときに十分断面確保ができるのかと。河床勾配をあらあらで見ていますと、木津川は現在の勾配の半分ぐらいの勾配に変わりますし、桂川はいずれも三川合流点で1/7から1/8ぐらいの水面勾配に変わっていくようです。ということは、現在は土砂を比較的三川合流部から下流へ流し込んでいるんですが、それが緩い勾配に改修したときに、土砂堆積や樹木管理の上から、この河道を維持できるようにしなければならない。その辺の見直しが必要なんじゃないかと思います。
 3点目は、先ほどのどんな順番で行うかという中の危機管理に関してです。「流量が増えても、そんなに流量は増えませんよ」と説明されましたが、そうはいっても下流には行くわけです。「築堤でやれば流量増が数十m3/sですよ」と言っていますけれども、1/100規模の河道ですので、もっと流量が増えるということは、あり得るだろうと思います。そのときに、堤防築堤と今の霞堤との関係をどうするんだろうか。少なくとも計画高水位の流量までは流してやる方向を検討されていると思いますが、それを超えたものについては、危機管理上霞堤の持っている意味や築堤の高さが大変重要になってくると思います。それが数十m3/sであろうが、下流に対する――もっと大きいかもわかりません。そういうものに対して安全弁をやはり考えていかなければならないかなというふうに思いました。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  少し前でも、1ページのところでもよろしいでしょうか。
(委員長)  いや、3ページからご質問があったと思うので、その点についてだけ。
(委員)  そうしたら、後に回させてください。
(委員長)  いいですか。
 それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  狭窄部の問題については、前回、バイパストンネルとか、流量制御水門というような話が出たんですが、それより非常に具体的に亀岡盆地と伊賀盆地それぞれの地形の特性といいますか、ここで重要なのは、盆地の勾配とともに、狭窄部の勾配がどうあるかというのが基本的に重要で、それが大きな違いがあるわけですね。要するに、保津川では狭窄部が非常に急勾配であるということで、これは3ページでもよろしいんですが、あるいは4ページの左上の図でもいいんですが、急勾配な狭窄部にすりつければ、これは水面形も変えずにというのはこのポンチ絵のとおりで、水面形が変わらないということは流量も変わらないということで、これができるというので、非常によくわかりました。一方、伊賀盆地、岩倉峡のほうは、狭窄部の勾配がそう急じゃないわけですね。ですから、遊水地とかそういう氾濫で対応すると。これは、北上川の狐禅寺遊水地と同じような原理でやっているというので、それぞれの違いによって……。それで、伊賀盆地についても遊水地等の氾濫によって下流への流量増はそんなにないという話はよくわかりました。具体的にこういう方向でやられるのが非常によろしかろうと思います。○○委員が言われたような細かい検討はいろいろ必要でしょうけれども。そういう意味で、この狭窄部の取り扱い、上流の取り扱いについては、私にとっては非常にわかりやすくなりましたし、実現可能性も高いんだろうと思います。
 ただ、これは、○○委員のご指摘にありましたように、やはり下流がちゃんとできてからやるという、おそらくそれは先ほどの5ページの京都府改修計画のあたりにも暗にそういう表現があるわけですが、そういうことでよろしかろうと思います。
 実はもう1点、前の問題に対してちょっとコメント、それは今言わないほうがいいですか。上下流バランスの問題、そこについてちょっとコメントが。今やってもよろしいですか。ちょっと私、早く退席するものですから。
(委員長)  あ、そうですか、どうぞ。
(委員)  私、この考え方は非常にいいと思うんです。ただ、今までのほかの川での検討で、確率というのは洪水到達時間内の総雨量について決めて、それの分布形をいろいろ検討して、その中で最大値を基本高水とするという考え方を、ここでは実は破棄しているわけですね。そこについては。だから、そういう道筋で考えることも実はできて、この数字とかそれはいいんですけれども、結果として下流の枚方地点の流量を過大にしないというか、計画高水におさめるための中・上流の計画高水流量と決めたら、その計画高水流量がどれ位の確率に当たるか評価し直して、ここの150分の1の確率をちょっと下げるという表現も実はできるんだと思うんですね。それのほうがむしろ、確率の考え方で基本高水を変えるという従来の考え方を踏襲しながらやるという意味では筋が通るんですが、ただ、安全度が中流・上流がちょっと下がったということで、ある種の感情的な抵抗があるかも知れません。それ、両方があると思います。中・上流で決めた計画高水流量が従来の確率評価ではどれくらいになるのかも示していtだきたい。ご検討いただければと思います。
 以上です。
(委員長)  それでは、7ページから12ページまで、○○委員です。
(委員)  先ほど申し上げたことと関係しますが、例えば10ページ、木津川、この三川合流地点、それから11ページ、桂川の三川合流地点、ここで断面形を広げますので、水面形が相当緩くなると考えられます。これまでは流下能力がないために上流側で滞留し、大きな水面勾配を持っていたのを緩くすることになります。このときの桂川の河道は11ページに示された断面になるわけです。水面形が計画高水位内におさまるように断面を決めたのはいいんですけれども、こういうものを維持できるのかどうかを、土砂の面からよく考えておかなきゃだめじゃないかと思います。おそらくこれは樹木が生えたり、澪筋が固まってくるということが具体的に起こるんじゃないのか。そういう懸念が桂川の下流については心配されると私は思っています。これに対する最終的な結論として、断面形状の変化による影響や土砂の上下流方向の連続性のモニタリングを踏まえながら順応的に整備を進めるということを言っておることでよろしいんですが、相当しっかりやらないと大変だなと。三川合流点の処理の問題とも関連します。淀川の下流部をさらに掘ったときに、どうつなげるのかという問題、それが桂川の川幅を広げたところにどういう影響があるのか。具体的に土砂の移動とか流れ方とか、現在ある床どめをどういうふうに考えるのか等、いろんな難しい問題が出てくることを強く意識していただいて、さらに十分な検討をしていただきたいなというのが希望です。
 以上です。
(委員長)  まだ14ページ以降あるんですが、かなり今回の計画の基本的なところでしたので、専門の委員からお聞きしました。○○委員以降、また後でお聞きするということで、大変時間が厳しい委員がきょうおいででございますので、そちらをお聞きした上で、それでは、お伺いしたいと思います。まず知事さん方からご意見を承りたいと思います。
 ○○県知事の○○様、よろしくお願いします。
(委員)  ありがとうございます。○○でございます。私どもは、さまざまな資料をいつも県民の皆さん、あるいは議会で説明させていただくという役を負っておりますので、その面で1つ、2つ質問させていただきます。
 まず、資料2の1ページ目ですが、大変緻密なこれまでの降雨パターンに応じた基本高水の方向をお出しいただいて、今までなかった資料だと思いますが、降雨パターンを見るときの淀川流域全体、琵琶湖流域が左の図であえて外してあるのは、もう宇治川で全部代表されているという理解でよろしいでしょうか。琵琶湖流域を預かる者としては、やはりそれぞれの昭和28年の13号、34年、35年と、どういう状態であったかを知りたいと。数量としてはここに集約されていると思いますが。
 それから、その右側のところですが、これもいつも議論になるところですけれども、基本高水を決めるときの倍率ですね、引き伸ばし率、なかなか住民の皆さんに、例えば枚方で昭和28年1.17倍ですと、その下は1.38倍ですと、この倍率をどう説明したらいいかという点が少し補足していただけたらと。本日でなくても結構でございます。
 それから、13ページですが、宇治川のところですけれども、こういう状態で計画をしていきますと、あくまでも計画としては、ここでは「天ヶ瀬ダムだけでは容量が不足するため、大戸川ダムが必要」という、この今の時点での見解ということで、ここにこう書いてあるから決定ということではないと。改めてそのあたりをこれから議論を十分に、特に住民の皆さん、県議会でさせてもらわないといけませんので、そういう意味だという理解でよろしいでしょうか。
 以上です。ありがとうございます。
(委員長)  これは事務局からお願いいたします。
(事務局)  まず1点目、琵琶湖流域が抜けておりましたのはこちらのミスでございまして、大変申しわけございませんでした。次回、改めてそこも含めた資料をお出ししたいと思います。
 引き伸ばし率の説明の仕方につきましては、この場で口頭でといってもちょっと時間がかかると思いますので、また改めて事務局でご説明をさせていただきたいと思います。
 それから、3点目の大戸川ダムの話ですけれども、基本方針では個別の施設まで決定するというものではございません。洪水調節施設での対応の可能性をお示しするという、その一環で、仮に大戸川にこういったものをつくった場合にこういう対応が可能だということを一例としてお示ししただけでございまして、知事がおっしゃいましたように、これで即座に決定とか位置づけるとかいうようなことでは、基本方針のレベルではありませんので、補足をさせていただきたいと思います。
 以上です。
(委員長)  じゃあ、資料等はまた次回にちゃんと文案で出していただくことにしまして、それでは、○○県知事さん、お願いします。
(委員)  三重県の代理の○○でございます。よろしくお願いいたします。
 6ページで岩倉峡の開削について、「岩倉峡上流部では川上ダム、上野遊水地の整備、そして築堤に加え、狭窄部を深さ方向に掘削することにより治水安全度を確保する」ということで、狭窄部の開き方に触れていただいたということで、今回、大きな進展があったのかなと思っています。一方、3ページに戻りますと、このグラフの下ですけれども、築堤による下流への流量増が大きいので、築堤はしないというふうな言い方になっておるわけですが、46年当時の工事実施基本計画の基本高水流量と今回示されています流量を比較すると、雨の降り方をいろいろ見直していただいて1,000m3/s減ってきておるんですね。島ヶ原で1,000m3/s。1秒間にドラム缶で5,000杯くらい減ってきているというにもかかわらず、当然、上野遊水地、それからダムにつきましては進めていく必要があるということかと思います。一方、この横に書いてあります亀岡の部分を見ますと、当初は何らかの貯留施設をつくってというような同じようなお話を聞いておったんですが、今回、保津峡についてはそういう貯留施設じゃなくして開削すると書かれています。当然、羽束師の基準地点の計画高水も、工事実施基本計画の計画高水より増えております。当然、下流に流すということで増えております。そうした中で、枚方の流量を変えないままに、保津峡は下流に流し、木津川は下流に流さず上流のダムなり遊水地で頑張ってくださいということかと思います。意味はわかるんですが、ただ、基本高水流量が1,000m3/s減ったということを、地元の市町村あるいは住民の方々に説明するときに非常に難しい面があると思っております。1,000m3/sも減ったのに、同じだけの規模の施設をつくっていかなきゃならないのかと。もう少し開いてくれるのであれば、もっと遊水地は小さくてよかったのでないかと、こういうような話につながってくる部分が出てきますので、いやいや、今ある施設をきっちり使う必要があるのだと。それで、なおかつ下流の安全度を高めるんですよというような説明は、我々も一生懸命していかなきゃならないと思います。そういった中で、それならば、遊水地も貯留施設というふうな考え方をするのであれば、費用の負担等につきましても三重県だけが出すのはいかがなんですかと、こういうような話にも発展しかねないようなことが考えられますので、今後進めていただく中で、その辺も含めた中でいろいろ意見をいただきながら、三重県としてどういうふうに地域の方々に説明していくかというような資料もいただきながら、一緒になって進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(委員長)  従来との関係でいうと今回の基本方針は最終案に近いと。従来は、もし大洪水になったらまたつくり直すという雰囲気でしたけれども、今回はおそらくこれが最後案というところですから、いろんな議題が出てくるんだと思います。それらも踏まえて議論を進めたいと思います。
 それでは、○○府知事さん、お願いいたします。
(委員)  それでは、意見を述べさせていただきます。
 まず、前段のほうとの関係で1点お話をさせていただきたいと思いますけれども、保津峡の開削については、きょう事務局から詳細な説明があったように、やはり従来どおりの計画で対応をすべきであるというふうに考えます。現在の計画でも、下流に負担をかけないように、当面の措置として当然に霞堤も残しながら築堤を行っておるし、それから、同様のレベルでは保津峡の開削も行わないという前提で行っているわけであります。それなりに上流側も下流のことも考えながら現に仕事をしているわけですが、やはり大局的・長期的には、きょうお話のあったような方向で行くべきかなというふうに考えるのが1点でございます。
 それから、資料2ではないんですが、資料3についてもよろしいですかね。
(委員長)  それはまたお伺いしたいと思います。
(委員)  じゃあ、また後ほど。
(委員長)  それでは、○○府知事さん、お願いします。
(委員)  それでは、3点ばかり意見を述べさせていただきます。
 まず1点目ですけれども、3ページです。先ほど○○委員から下流の治水安全度ということでご発言がございましたけれども、全く同感でございまして、ただ、私なりの言葉で言いますと、先ほどの説明では、下流への流量増は比較的少ないので、抑制措置は必要ないということでしたけれども、ちょっとそこはひっかかります。要するに、流量増の大小じゃなしに、やはり少しでも増えるのであれば下流の治水安全度をきっちりやっていただきたいというのが1点です。
 それから2つ目ですけれども、4ページです。掘削したときに請田、島ヶ原の流量変化がございますけれども、ここでお示しいただきたいのは、上流三川の狭窄部が開削したときに淀川地点の流量変化がどうなるのかということはやはりお示しいただきたいなという気がします。
 それから3点目ですけれども、12ページです。深い河床掘削と塩水くさびについての意見です。左側のほうでは、塩水の遡上範囲が広がるということで、塩水くさびが意識してありますけれども、言いたいのは猪名川の河床ですね、マイナス5mとなっています。以前、私どもは寝屋川の治水計画を立てるときに議論したのは、要するに深く掘ってもあんまり意味がないんじゃないかと。明確な結論は出なかったんですけれども、大体マイナス3mぐらいが限度じゃないかなという意見があったんです。ところが、今回、マイナス5mのところを掘っていくという説明でした。そこで、深く掘ることの妥当性を検証していただけたらなと思います。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○県知事さん、お願いします。
(委員)  兵庫県です。今回、兵庫県に関するページといたしましては、特に2ページ、12ページ、13ページ、15ページ、18ページ、19ページということで、補足説明をしていただいてどうもありがとうございます。今後、わかりやすく県民に説明する際に、また必要な資料の提供についてご依頼申し上げますので、そのときはよろしくお願いしたいと。
 以上でございます。
(委員長)  次、○○県知事さん、お願いします。
(委員)  奈良県でございます。2点ほど申し上げたいと思います。
 まず1点目、1ページの基本高水の検討のところでございますが、今回、28年の9月の洪水で頭打ちという計算をされておりますが、結果といたしまして、木津川の加茂の地点の基本高水のピーク流量が非常に下がっておるということもございます。実質的にこれまでやってきたものに比べて安全性が下がるということになるわけでございます。その上流で県の管理しておる河川等もございまして、そちらの治水計画とも密接に関連してくるところでございますので、そこにつきましては少し細かく調整をさせていただければというふうに考えておるというのが1点。
 それともう1点は、資料の13ページのダムの操作のところでございます。今あるものを有効活用するというのは、全くそのとおりであるというふうに思いますが、先日、事務的に少し説明をいただいたとき等に聞いている話は、かなり極限までダムの活用をしておるような話もございます。1つは、当然、利水に影響のない範囲でされておると思いますが、上流、奈良県も利水で使っておるダムがございますので、そういうものへの影響がないのかどうかということが1点。それと、この実現可能性みたいなものについてもう少し詳しくご説明をいただければという、以上でございます。
(委員長)  それでは、それ以外の各委員のご意見を承りたいと思います。
 それでは、○○委員、さっきはあれでしたから、全体も含めてお願いします。
(委員)  はい、よろしくお願いいたします。
 私の前回の質問に対しましては、14ページ以降に非常にわかりやすい形でまとめていただいているかというふうに思います。どうもありがとうございます。きょうは、先ほどリスクについては、事務局のほうも次回資料をというようなお話でしたので、私もリスクということについて少し私見を述べさせていただければなと思っておりましたけれども、後ほど少し事務局のほうと面談させていただければと思いますので、その点、よろしくお願いをいたします。
 何点かあるんですけれども、まず1点目といたしましては、先ほど○○委員がおっしゃられた、掘削するということによって河床あるいは水位が低下するというようなお話と関連するかと思うんですけれども、同様に、特に掘削部もしくはその上流域に既に居ついている生物がいるわけであります。ですので、こういった点に対するいわば配慮のようなこともぜひご検討いただきたいと思います。
 それともう1点目は、タマリの定義について、細かいことではありますけれども、きょうの事務局のお話は、いわゆる連続性、本川とつながっているというにちょっとウエイトが置かれていたかと思います。もちろんそういう点もあるわけでありますけれども、この連続性というのは、いわゆる冠水、増水を通じて水位変動という時系的変化ということ、そして同時にフラッシュされることによる環境の変動ということが、このタマリ、あるいはワンドというものの生態的な価値があるというわけでございますので、その点、ぜひご配慮した文言にしていただきたいと思います。といいますのは、これは一河川形態の定義の話だけではなくて、淀川の特に下流域における河川環境の極めて特徴的なものであります。ですので、こういったタマリ、あるいはワンドといったものについての位置づけは、ぜひやっていただきたいと思っている次第であります。
 それと関連することでありますけれども、きょうのご説明にもありましたが、特に淀川下流域あるいは木津川の下流域に希少種がいるお話、そういったものに十全たる配慮をしていただくというお話もございました。例えばこの16ページの河床材料の変化ということについて、16ページの左下の図、淀川大堰というものの存在が、昭和60年度と平成10年度のこういった人工構造物のある、なしということで、特に上流域の河床の変化というご指摘いただきました。これ、非常にわかりやすくて、ありがたい図であるかと思います。もしこういった淀川大堰によって河床の細粒化および堆積ということが生じているとすれば、今後の下流ワンド帯における河川環境に対する配慮に関しまして、淀川大堰の運用を含めたことも視野に入れていただきたいというふうに思っておる次第であります。
 それと、ちょっと余談ではありますけれども、この情報の公開ということに関しましてでありますが、特に木津川のほうに関しまして、●●●●●●がおそらく分布しているであろう――たしか航空写真があったかと思いますけれども、これは委員の皆さん方に言わずもがなのことでありますが、最近も、●●●●●●の密猟が横行しておりますので、資料のお取り扱いの点、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 とりあえず私のほうからは以上であります。ありがとうございました。
(委員長)  同じくここは○○委員も河床材料の話。
(委員)  河床材料や河床変動等の調査が進んでまいりまして、治水に果たす河床材料の持っている意味が大変大きいということがわかってきました。上流側の川と下流側の川で河床材料の環境面からの果たす役割が何なのか。治水上は河床材料は粗度とか洗掘とか、そういう目で見ていますけれども、環境上の河床材料の持つ意味は、大変大きいことが分かってきているんですよね。18ページですが、玉石を一庫ダムの下流に置いて洪水が出たときにどうなったかとか、いろいろ調査をやられています。こういうことは大変大事です。特にこういう大きな石が河床上にあることが重要です。本来そこにあるべき石礫が、ダムで止められて下流に流下せず、粒径が少しずつ小さくなってきている例が見られます。そんな中でこういう大きな石が果たす役割、それらがあることによって、様々な粒径の河床材料がそこにとどまれるということです。そういうことで河床材料、特に大石の持つ役割がすごく大事だということがわかってきております。きょう出していただいた資料は、昭和何十年からの調査結果を出していただいてよろしいんですけれども、ただ出すのではなくて、これがどんな意味を持っているのかをそろそろ考えていかなきゃならないなと思います。データはそろっているんですが、川が少しずつ変わってきたために、河床材料の質と量が変化してきています。河川構造物ができてこうなったとか、いろんな原因があって変化してきていますので、ただ経年的なデータを出すだけでなく、しっかりした見方で説明をしていくということをお願いしたいと思います。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  今説明のあった資料と関係ないんですけれども、前回のこの委員会で私は基本方針の仕組みについて申し上げました。その後、お聞きしております各委員の中で、こういった私と同じ考え方での発言もあったんじゃないかというふうに思います。特に前回の検討小委員会において、超過洪水時などのリスク管理の議論において、それぞれの県で抱えている問題あるいは歴史的な問題がある。それも含めてみんながどう分担していくのか、そのシステムまでこの場で考えていく必要があるのではないか。そういったことを含た基本方針が要るのではないかというお話がございました。また、これを受けまして委員長からは、リスク管理の問題といいますか、リスクの分担といいましょうか、宅地の嵩上げだとか農地をどうするかだとか、現行制度では足りないところがたくさんあると思う。委員会としては先送りみたいであるけれども、でき上がった暁には必ず必要な制度の検討を要請するというお話がございました。こうしたことからいたしますと、やはり今回の基本方針の策定の機会に整理できる課題と、今後、時間をかけてからでも議論を尽くし、まとめていくべき課題があるということが、ある意味で浮き彫りになったのではないかというふうに思います。こうしたことから、私のほうから前回ご提案させていただきましたように、基本方針策定後も流域の責任能力のある関係者が集まって、データを共有しながら、こうした検討をすべき課題についても引き続き議論・検討するような場を設け、これが整備方針の見直しに反映できるような仕組みを設けることを今回の基本方針に位置づけることが肝要ではないかというふうに思いまして、あえて発言をさせていただきました。
 ありがとうございました。
(委員長)  ありがとうございました。
 ○○委員のほうから何かありますか。
(委員)  はい、ありがとうございます。
 一言お断りしておきますけど、私、狭窄部の開削に決して反対しているわけではないんです。開削にするについては、一定の何らかの対策が必要であるということを主張しておるわけでございます。
 もう1点ですが、前回、委員長のほうから、農地等を対象に1/30あたりを考えたらどうだというお話があり、先ほどご説明があったんですけど、もう一つ理解できなかったんですが、要するに、下流部が1/200あるいは中流部が1/150というのは、これ、外水の堤防に守られたその中を流れる量なり安全度の問題であると思いますが、内水の問題ですね、例えば琵琶湖では、湖岸堤に接したところが内水で悩んでおられます。同様に、淀川の左右岸でもそういう地域がございます。寝屋川流域などは典型的な淀川・大和川の内水地域だと言っていいと思います。それから、三川合流点付近でも、これは京都市を中心として、あの辺がやっぱり堤防に囲まれた地域であります。こういったところの治水水準はそれぞれ違うと思うんですね。ただ、流域全体で考えたときにこういったものがどういう状況にあるかということは、今、上野の対策、治水水準をどうするか、あるいは亀岡の治水水準、これは堤防ができた後の話になるかもしれません。そういったものを示していただけないか。つまり、亀岡のところをものを例に出しますと、あそこが堤防で囲まれたときに、あそこの水はどういうふうに今この中で評価されておるのかですね。あるいは、内水対策ですから、それぞれ地域によってそれぞれの実情に合わせて講じられると思いますけれども、ずっと滞留しているようなことに実際はなっているんじゃないかなというような感じもしないでもない。要するに何が言いたいかといいますと、内水対策のバランスですね。外水のバランスはわかったんですが、内水対策のバランス、これは実態はどうなっているんだろうなということが1つ疑問なんですよね。
 以上です。
(委員長)  これはあれですか、内水のリスクと外水のリスクはある程度バランスをとるべきだという……。
(委員)  いや、そういうじゃないですけど。
(委員長)  それぞれのリスクがどうなっているかということを示してほしいと。
(委員)  そうです。
(委員長)  そうですか。じゃあ、また次回に詳細なデータをつくっていただくことにします。
 ○○委員、お願いいたします。
(委員)  洪水、高水の話、対象洪水などの話につきましては、専門の先生方にお任せしようと思います。本日の資料で14ページあたりに遊水地の多目的利用ということで、遊水地を利用して自然環境の連続性を確保するというようなお話がございました。ただ、ここに書かれておりますように、遊水地そのものは通常の平年は水田に使っておるわけでございますから、遊水地というよりも水田そのものがいろんな自然環境とのかかわりを継続できるようにしていくべきだろうというふうに思っております。それにつきまして近ごろいろいろ研究も進んでおりまして、これまではどちらかというと川と農地・水田を切り離してしまったような施工方法などを、農林水産省もやっておったんですけれども、そういうようなものをできるだけ旧来の水田と川の関係に戻せるような、特に滋賀の琵琶湖なんかも知事さんもいらっしゃいますが、非常にいろんな研究もされておられますけれども、そういうような研究も進んでおりますので、これからこういう多目的利用――多目的利用なのかどうかよくわかりませんけれども、こういうような自然生態系との関係も大分よくなってくるのではないだろうかというふうに期待しているところでございます。
 以上でございます。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  今、○○委員からもお話があったように、本日はどちらかというと洪水調節というご議論ですけれども、ちょっと気になった点だけ一言、コメント的に申し上げたいと思います。
 13ページのところで、先ほど奈良県のほうからもちょっと懸念が表明されましたが、この13ページの下に、具体的な説明はなかったと思いますけど、既存施設の有効活用の観点から云々ということがありまして、これは当然、これからの考え方として、洪水調整施設の既存施設を利用してより有効に活用していくということは大変大事なことだろうと思いますが、逆に、ほとんどのこういう施設は多目的に利用されているということからいうと、利水の観点からも有効活用と。相互の有効活用というのがやっぱり重要な視点としてあるのではないかと。つまり、洪水容量を利水に有効に活用するという方途もあるのではないかということで、総合的な考え方が必要ではないかと。それは別に無視したということではなくて、ここは洪水調節を中心に書かれたということだろうと思いますので、コメントということにさせていただきます。
 それから、有効活用というイメージが何となく運用だけというふうに見えるのですけれども、やはりこれからの洪水調節施設あるいは多目的ダム等の有効活用のためには、改築ですとか、あるいは堆砂容量の活用のための、堆砂の除去ですとかという、そういう単なる運転操作だけではない、改築・改善というような観点も治水・利水含めて重要になってきているのではないかということをコメント的に述べさせていただきます。これからの基本方針の中にそんなことがどういう意味で書き込まれるのかというのを関心を持っているところでございます。
 以上です。
(委員長)  大変いろんな立場からのご意見がありまして、まとめにくいんですが、一応、狭窄部は河床を掘り下げても影響がないという説明だったと思うんですが、影響がないと言いながら、数字は微妙に変わっているではないかと。ゼロであるのかというご意見もありました。
 それから、これは水理工学のほうの分野だと思いますが、先ほど○○委員からも、条件つきながら、昔、実験もやったのではないかというお話もありましたので、それらの資料もあれば出していただいて、科学的というか、技術的な説明に努めていただきたい。やっぱり狭窄部は上流で氾濫させていたと。それを開削したから、その水が下へ落ちてくるはずだというのに対して、いや、そんなことはない、量は変わっていないんだという説明だと思いますので、ここはひとつ丁寧にお願いしたい。
 それからもう1つは、狭窄部の上流の人も、ある意味では、その上流を改修した結果、水が集まってくるのではないか。その人たちもある意味で被害者になるわけですね。内水のように見えて外水のリスクも負っているのかもしれません。そうすると、その上の改修、この前、私、農地1/30、宅地1/100と申し上げましたけど、きょうは、それは意味がないというご説明で納得しましたけれども、狭窄部に必要以上に水が集まらない方式、それには霞堤というお話もありましたし、堤防でもよく言うハイウォーター堤というのもありますね。何かその辺をシミュレーションして見せていただいたらどうかと思います。
 それから、これまでの説明と全く違っちゃったことで、計画高水流量が減ったにもかかわらず施設は相変わらず必要というのは、住民説明が成り立たないというお話がありました。これも胸の痛い話で、今まで全部、各部分が予定された数値の最大値を集めれば全体ベースでは合格としていましたけど、今回は、破堤させないために堤防のところに必要以上の水は抑制するという思想で、下流は疑わしきはできるだけ大きく、上流は控え目にという思想で大分変わってきました。それを調節する水、あるいは、それが計画を超えたときでも大被害にならないという発想でやっていますので、これをどう説明し切れるか。どんな説明があるか、私も考えつきませんけれども、やっぱりこの問題を克服していかないと、治水運命共同体はまとまらないのかなという思いがあります。宿題にならない宿題ですが、これを一応事務局につくっていただくことを前提にします。案文のうち、この基本理念を書き込んだ部分がございますので、その点について、時間が厳しいですが、事務局から説明をお願いしたいと思います。
(事務局)  それでは、資料3のほうに参ります。資料3でございますけれども、1枚めくっていただきますと、淀川水系の河川整備基本方針の素案が右側のほうに記載してございます。ちなみに、左側には淀川水系の工事実施基本計画を並べてございます。お手元の資料で基本理念のところは黄色で網かけをしまして表示をさせていただいております。
 一番最初、1ページでございますが、河川の保全と利用に関する基本方針、「流域及び河川の概要」でございますけれども、ここはずっと行っていただきまして、9ページの(2)でございます。「河川の総合的な保全と利用に関する基本方針」というところでございますが、ここに基本理念の考え方を入れてございます。「一部の地域の犠牲を前提としてその他の地域の安全が確保されるものではなく、流域全体の安全度の向上を図ることが必要であるとの認識に立って」という基本理念を記載してございます。その後、「社会経済活動を優先した水利用・河川利用から、流域全体として人々の活動のみならず生物の生息・生育環境など自然環境を含めて淀川流域固有のバランスを持続的に保持していくことが必要であるとの認識に立って」というふうに書かせていただいてございます。
 それから、めくっていただきまして10ページでございますけれども、アの「災害の発生の防止又は軽減」というところに黄色で網かけしてございますが、「上流の流下能力を増大させることにより、人為的に下流有堤部の負荷が増すことから、洪水を安全に流下させるため、下流部においては上流部以上の計画規模を確保する」と。常々議論がされてきているところでございます。「また、同様の観点から狭窄部の開削は極力避け、ダムを含む対策により遊水機能を極力確保するものとするが、これにより狭窄部上流における計画規模を満たすことが困難であることから、流域全体の協力のもと、下流河道との整合を図り、必要最小限の範囲で狭窄部の流下能力を増大させるものとする。また、瀬田川洗堰の全閉操作は、人為的に琵琶湖沿岸の治水リスクを高めることになるため原則として行わないこととし、下流に影響を及ぼさない範囲で、洗堰設置前と同程度は洪水時においても流下させることとする」としてございます。
 めくっていただきまして12ページでございますけれども、「災害の発生の防止又は軽減」の中でございますが、「計画規模を上回る洪水や整備途上段階で施設能力以上の洪水が発生した場合においても」ということを書かせていただいております。「下流河道で堤防の決壊による甚大な被害のおそれがある場合には、真にやむを得ないときに限っての瀬田川洗堰の全閉操作、」、括弧書きで(狭窄部の開削後においては開削前と同程度まで流量を抑制する方策)としてございますが、これは、基本理念のときには今申しましたところをこういう形で書かせていただきました。先ほどご説明をいたしましたように、我々事務局といたしましてはこの部分の記載は必要ないのではないかというふうに考えてございますが、先ほど委員長から宿題をいただきましたので、この辺について、次回、きっちりご説明をさせていただきたいと思います。さらに、「沿川の内水排除の規制などについて検討し、流域が一体となって的確な対策を講ずる」としてございます。また、「琵琶湖周辺に甚大な被害のあった明治29年洪水については、実績洪水であることに鑑み、琵琶湖沿岸において深刻な被害を生じさせないため、下流への被害を増大させない範囲でハード・ソフト両面にわたる対策を講ずる」。何かいい言葉がないかということでございましたけれども、理念の言葉で書かせていただいてございます。
 次、13ページのイでございますが、「河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持」でございます。「琵琶湖・淀川流域の特徴ある生物の生息・生育空間の保全・再生に努めるとともに、河川特性や地域固有の歴史・文化を活かした利用の実現に努める」としてございます。また、「琵琶湖・淀川流域全体の自然環境を考慮した水利用を図るため、異常渇水時には琵琶湖水位が著しく低下する実態を念頭に、気象予測の精度向上も勘案し、流域が一体となってハード・ソフト両面にわたる異常渇水対策を行う」としてございます。
 ウで「河川環境の整備と保全」でございますが、「琵琶湖・淀川流域の特徴ある生物の生息・生育空間の保全・再生に努めることとし」というふうに入れてございます。
 特に基本理念に係る記述だけご説明をさせていただきました。
(委員長)  それから、河川局長さんに一言、今、○○委員からも言われましたが、必要とあらば法制度を改正してもやらないとまとまらないのではないかと僕も前回言いました。委員長が言うと、単なる無責任発言になるおそれがあるので、河川局の姿勢をお伺いしてよろしゅうございますか。
(事務局)  なかなか大きな課題でございまして……。
(委員長)  例えばですね、内水ポンプをとめると簡単に河川局の方はおっしゃいますけど、知事さん方にすればそう簡単な話じゃないと思うんですね。
(事務局)  はい。
(委員長)  やっぱりそれは制度的な担保がないと、納得はしても反対するという人もいるわけですね。そうすると制度的に何かないと、ここに書いてあるように簡単にはいかないんじゃないか。そういう意味も含めて、私は制度的な担保が必要じゃないかなと申し上げましたが、それは一委員の意見です。できないものはできないとなっちゃえば、これ、なかなか基本方針がまとまらないと思うし、今後、実効ある基本方針とするためにも、淀川流域の事情に応じた検討が必要であり、制度の補完が必要じゃないかと、私は思うんですけど、その辺のご意見を承りたい。
(事務局)  河川管理上、究極の選択といいますか、河川管理責任を問われる究極の課題だというふう思います。このペーパーの中にも、一番最初の理念ですよね、一部の地域の犠牲の上に安全が、流域全体がおんぶに抱っこじゃいけないよというような記述と、それと12ページの一番最初の計画規模を上回る洪水が来たときにどうするんですかという記述とは、究極の状況をかんがみますとなかなか厳しいところがあるんですよね。被害を最小限といいますか、できるだけ小さくするということが異常洪水時に求められたときに、どういう行動をとるのかと。今、委員長が言われたのはまさにそういうところではないかと。異常じゃなくても、計画の範囲内でもあるのかもしれませんが。そういう議論ができるような社会が早く到来するといいなというふうに個人的には思っていまして、ということでございまして、できれば早くそういう世の中が来て、河川局としても提案して法律なり何なりをつくっていきたいというふうな思いではいるんですが、今の時点で即そういったものを導入せいというのは、ちょっと私個人としては早いのかなというふうに思っております。
(委員長)  それでは、そういう前提で、先ほどの基本理念、説明がありましたけれども、これらも踏まえて、次回、各知事さんからご意見を承りたいんですが、この時点で何か宿題なりつけ加えることがありましたらお願いしたいと思います。
 それでは、○○県知事さんからお願いいたします。
(委員)  はい、ありがとうございます。
 これまでの議論を前向きに反映していただいておりまして、まだ細部まで十分に読ませていただいていないんですけれども、全体として治水リスクを上下流で担うという基本方針、しかも、今、河川局長が言われたような課題を抱えながらということを河川管理者としては自覚しながらも、このような流れで大変大事な方向でくみ上げていただいていると思っております。特にリスク分担の実効性を担保するための合意形成の仕組み、あるいは制度設計ですね、ここのところは、基本方針に例えば「そういう合意できる仕組みが必要だ」ぐらいを入れていただくことも提案としては必要かと思っております。「危機管理のための仕組みづくりが必要だ」というようなことを一言でも入れていただくと、その次が整備計画なり、あるいは具体的に現場での、特に私どもは、市町、受任する現場は消防にしろ水防にしろ市町村の行政と深くかかわってきますし、まさに住民一人一人の生活とかかわってきますので、1行でもそういうコメントをいただけるとよろしいかと思っております。
 それから、全閉解消につきましてしっかりと位置づけていただいたことは、滋賀県としても大変ありがたく、また、歴史的な重要な意味があると思っております。さらに、明治29年洪水につきましても、ハード・ソフト両面にわたる対策を講じると位置づけていただいておりまして、ここも評価させていただけると思っております。ただ、全閉解消では下流も含めたしっかりとした条件整備が必要であるということできょうも既に議論出てきておりますけれども、私どももここのところは自覚をし、また、皆さんとともに今後の条件整備は必要だということを主張させていただきたいと思います。
 このような中で、ちょっとまだまとまりにくいんですけれども、一字一句はまた担当のほうとも相談いたしましてコメントさせていただきますが、1つだけ、10ページの下から2つ目のパラグラフ、黄色で網かけしていただいておりますけれども、「瀬田川洗堰の全閉操作は、人為的に琵琶湖沿岸の治水リスクを高めることになるため原則として行わないこととし、下流に影響を及ぼさない範囲で」と、これが「影響を」というと、少しでも水量が増えたりすると全閉をしなければいけないということになるということで、12ページには、下から3つ目のパラグラフですが、明治29年のところでは「下流への被害を増大させない範囲で」とありますので、この10ページ、「下流に被害を及ぼさない範囲で」としていただくと、より、これからの本当にいざというときのリスク内包化、リスクを内側でどう受けとめていくのかというときの議論の出発点になるかと思っております。
 それとあわせて、12ページの上から4つ目のパラグラフでございますけれども、「下流河道で堤防の決壊による甚大な被害のおそれがある場合には、真にやむを得ないときに限っての瀬田川洗堰の全閉操作」と直接行っておりますけれども、これまでの議論の中でも、瀬田川洗堰の放流制限という途中経過があり、そして全閉操作という議論もさせていただいたと思いますので、瀬田川洗堰の放流制限、そしてやむを得ないときの全閉操作というようなプロセスを明記していただけたらと思います。
 いずれにいたしましても、上流・下流、ここのところでしっかりとリスクを全体で受けとめさせていただけるような方向での流れに対してはありがたく受け止めております。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○県知事さん、お願いします。
(委員)  狭窄部の話ばかりになって申しわけないんですが、10ページの黄色の部分ですが、「狭窄部の開削は極力避け」云々、それから、3行ほど下で「必要最小限の範囲で狭窄部の流下能力を増大させる」と、こういうふうに書かれているんですけれども、狭窄部を開かないというような前提がありきのような文章じゃなく、きょうの説明の中でも必要に応じて開いていくということでありますので、例えば、狭窄部についてはダム等のそういうもので対応すると。それから、必要最小限度というのも必要な範囲で狭窄部を開いていくとか、そういうような表現にしていただいたらどうかなと。まだ下流の整備ができてないからすぐに開けないよというのは、これは十分承知しておる中ですけれども、これを文章化してずっと残されるとなったときには、やはりそういう表現にちょっとご配慮いただきたいなというふうに思います。
(委員長)  それでは、○○府知事さん、お願いします。
(委員)  個々の表現というよりは全体的なことでやはりもう一度お話をさせていただきたいわけですけれども、前回も、それから前々回もお話をしたとおり、議論の立て方として、最初に理念があって、それから検討していくというストーリーの立て方が理解しがたいというお話をさせていただきました。洗堰の操作にしても、狭窄部の今の三重のお話にもあるように、いずれも我々行政が何をできるかという手法にかかわる部分でありますけれども、その手法に関するところを先決めするような議論の進め方というのはやはり理解しがたいということを前回お話しさせていただきました。いずれにせよ、既に相当の経過がある治水事業であるから、実際がどうなっておるのかとか、きょうのデータのように地形がどうなっているのかとか、あるいは破堤したらどういうリスクがあるのかとか、そういう具体的なデータに基づいて繰り返し議論がなされて、その中で基本的な考え方とか基本的な整備の方針といったものが出てくるのではないかというふうに思われるわけです。もちろん、そういうデータに基づいた議論がなされる中で、なるほど、それで上流も下流も安全なんだなということになれば、そういう結果に関係なくとりあえず絶対だめだということにはならないわけで、納得できれば、それぞれリスクを分担しましょうという基本理念に基づいてまさに合意ができるわけですから、ともかく先決めすることなく、できること、起こりそうなことについて、すべてのケースについてデータで議論をする必要があるのではないかと。そういう中で方向性が決まってくるんじゃないかというふうに思うんです。ぜひそういうことで、先ほど事務局のほうからもさらに追加的なデータも次回までにお示しいただけるということであったので、そのところに期待をしながら、改めて意見は述べさせていただきたいと思いますけれども、基本的に前回、前々回言ったような意見がやはり一番根っこにありますので、そこのところはぜひ改めて今回ももう一度主張させていただきたいというふうに思います。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○府知事さん。
(委員)  言葉じりをとらえて申しわけないんですけれども、基本方針の前に、これ、河川整備なんですね。整備となると、どうしてもハードものにとられてしまうんですね。ところが、文章を読みますと「ハード・ソフト両面」という言葉を随所に使われています。とすれば、整備の基本方針とはいいつつ、ソフトについてももっと加筆してもいいんじゃないかなと思いますね。今、流域全体で協力しようとしているのであれば、これだけパソコンとか雨量の予測とかできますので、流域全体でとらえた洪水予測であるとか避難誘導とか、そういったソフト面も私は書くべきだと思います。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○県知事さん。
(委員)  兵庫県です。兵庫県に特にこの時点で関係すると思われるのは、三重県さんが言われた10ページにあります黄色の部分の狭窄部、とりわけ猪名川の狭窄部の話と、それから13ページにあります異常渇水対策ということですので、この点について少し事務的にも問い合わせなどをさせていただいて、また補足的に次回説明していただければということで考えています。
 以上です。
(委員長)  では、○○県知事さん、お願いします。
(委員)  奈良県でございます。まず、前回もそうだったんですが、これ、淀川の基本方針というよりは、狭窄部の非常に上流に位置している奈良県の思いということで聞いていただければ結構かと思うんですが、9ページに黄色く塗ったところの一番上、「一部の地域の犠牲を前提としてその他の地域の安全が確保されるものではなく、流域全体の安全度の向上を図る」ということが書かれておりまして、これは非常にもっともなところでございますが、一方、これもちょっと言葉じりをとらえるような話になるんですが、10ページでは、黄色いところの下から4行目ぐらいに「必要最小限の範囲で狭窄部の流下能力を増大」ですとか、これは事務局のほうで取られるという話もされていますが、12ページの黄色の上から2つ目のところの括弧内「狭窄部の開削後においては開削前と同程度まで流量を抑制する」と、こういう書き方が出てまいりますと、最初に申し上げた「流域全体の安全度の向上」という観点を踏まえてとなっても、上流に位置する県といたしましては、やはり上流のほうにかなり負担が出てきているのではないかというような考えになることもあり得るということでございまして、少しそのあたりの書きぶりについてさらにご検討いただければありがたいかなというふうに思っております。
 以上でございます。
(委員長)  一通りご意見を承りまして、最後に私も意見を申し上げたいと思います。どこをそもそも原点に物を考えるのかという点です。100とか200年に1回とかの雨が降ってきて、さらには300年に1回の雨の場合に、それでも皆さんの住んでいるところがいつもカラカラにするということはあり得ないですね。したがって、水がつかるというリスクについてその内容にもいろいろあります。元来、その地形条件で潜在的に浸水する固有のリスクと、上流で水を集めて堤防で誘導していって、その結果、下流区間破堤のリスクに転嫁されるのは、これは持ち込まれたリスクですね。強制されたリスクと、自然条件としてあるリスクというのは、ある程度考えを整理する必要がある。例えばリスク最小と言ったときに、どこかにかためればいいじゃないか、国家的にに少ないからいいじゃないかというのではなくて、そこに住んでいる人たちの、あるいは土地の固有のものを見ながら考えていくべきなのではないかというのが、私の意見でございます。いずれにしても、どこを原点にするか。今までの計画というのは、100とか150と決めたら全部流域をカラカラにするという前提で、もしパンクしたら、また計画規模を大きくして、ダムをつくって、堤防を広げるということでしたけど、今後は少子・高齢化時代ですから、そんなことは前提にはできないので、限られた資源を、皆さんが十分満足とはいえないまでも、ある程度仕方ないと理解していただける範囲内でリスクをしょっていただくという考えが必要なのではないかなと、私は思っております。
 次回、それぞれおいでの知事さん方に何とか合意の得られるように、ひとつ事務局も資料を出していただくことをお願いしまして、きょうはこの会議を閉じたいと思います。よろしゅうございますか。
 それでは、今回は、前回説明いただいた内容について補足説明があり、各委員からご意見をいただきました。議論も深まってまいりましたので、次回は、今回のご意見に関する審議に加え、できれば基本方針の本文案についても審議したいと思います。本日、基本方針の本文についても用意していただいておりましたので、お気づきの点がありましたら、次回の議論にも反映できるよう、あらかじめ事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いたものとし、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議題は以上でございます。

3.閉      会

(事務局)  ありがとうございました。
 次回の本委員会は、後日、改めてご連絡をさせていただきます。
 お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございますが、郵送をご希望の方には後日郵送させていただきますので、そのまま席にお残しください。
 それでは閉会いたします。どうもありがとうございました。

 







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