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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第72回河川整備基本方針検討小委員会

平成19年7月31日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤   徹
委   員  綾   日出教

池 淵 周 一
楠 田 哲 也
黒 木 幹 男
小 坂 利 政
佐 藤   準
辻 本 哲 郎
松 尾 直 規
山 田 雅 雄
高 橋 はるみ
村 井   仁
古 田   肇
神 田 真 秋
野 呂 昭 彦


1.開      会

(事務局)  ただいまより、第72回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。私は本日の進行を務めさせていただきます河川計画調整室長の○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、お手元に配付しております資料のご確認をお願いいたします。まず議事次第がございます。それから、委員会の名簿、配席図がございます。資料目次がございまして、これにのっとって確認をお願いいたします。資料1、補足説明 資料でございます。鵡川と木曽川、2種類ございます。資料2、木曽川水系の特徴と課題(自然環境・利水等)でございます。資料3、長良川河口堰のレビューでございます。資料4、工事実施基本計画と河川整備基本方針(案)、鵡川水系と木曽川水系と2種類ございます。資料5、木曽川水系の基本高水等に関する資料(案)でございます。資料6、木曽川水系の流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する資料(案)でございます。資料7、木曽川水系の土砂管理等に関する資料(案)でございます。
 次、参考資料でございます。参考資料1、流域及び河川の概要、これは鵡川水系と木曽川水系でございます。参考資料2、これは管内図でございます。鵡川と木曽川と両水系ございます。参考資料3、流域図でございます。こちらも2種類ございます。参考資料4、特徴と課題、鵡川水系、木曽川水系、両方ございます。参考資料5、鵡川水系の基本高水等に関する資料(案)でございます。参考資料6、鵡川水系、流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する資料(案)でございます。参考資料7、鵡川水系の土砂管理等に関する資料(案)でございます。以上でございます。資料に不備がございましたら、お申しつけいただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 本日はAグループでございます。○○委員、○○委員、○○委員、○○委員、○○委員、○○委員はご都合によりご欠席されております。傍聴の皆様におかれましては傍聴のみとなっております。審議の進行に支障を与える行為があった場合には退出いただく場合があります。議事の進行にご協力をお願いします。それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

2.議      事

(委員長)  委員長でございます。本日は委員の皆様には、ご多用中のところご出席いただきましてまことにありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。前回、鵡川水系は特徴と課題、木曽川水系は基本高水関係の特徴と課題を審議いただきました。今回は、前回の審議を踏まえて、前回の補足説明に加え、鵡川水系は河川整備基本方針の本文案を、木曽川水系は自然環境、正常流量、土砂管理等に関する特徴と課題を審議いただきたいと思います。
 それでは、まず鵡川水系から審議をいたしますので、事務局より補足説明をお願いいたします。
(事務局)  河川情報対策室長の○○でございます。鵡川水系の本文の説明をする前に、前回ご指摘いただきました点につきまして補足説明をさせていただきます。失礼して、座って説明させていただきます。資料1−1、補足説明資料、鵡川水系に関するもの、A3版でございますが、それをごらんいただきたいと思います。
 前回の委員会で○○委員と○○委員のほうから、まず最初の点でございますが、シシャモ資源の動向及びシシャモの産卵床の保全について説明してくれないかと。特に○○委員のほうからは、川西頭首工の下流までシシャモの産卵床があるわけですが、その川西頭首工をもう少し上流側に移設できれば産卵床も伸びるのではないかというご提案をいただいたところでございます。
 実態でございますが、左上、ご存じだと思いますけれども、まずシシャモの生態というものをまとめてみました。全長が15センチ程度ということで、ふだん我々がよく見ておりますカラフトシシャモよりは一回り大きいというのが特徴でございます。
 2つ目のポツでございますが、沿岸域に生息し産卵期にのみ河川に遡上していくという生態を持ってございます。1つ飛ばしまして4つ目のポツでございますが、産卵期は10月下旬から12月の上旬でございます。その下のポツでございますが、卵は粘着卵でございまして、0.5ミリから5ミリ程度の粗い砂とか細かい礫に付着するという特徴がございます。そのようなものがシシャモの生態でございます。
 これまでのシシャモの漁獲量の推移でございますが、左下のオレンジ色の四角をごらんいただきたいと思います。鵡川の漁協におきましては、シシャモの最近10カ年の漁獲量でございますが、年平均100トン程度でございます。平成2から5、6年にかけまして、平成2年の漁獲量はかなり少なかったものですから、シシャモの保護ということで、自主的に胆振地方と日高地方の一部で自主休漁を実施しておりまして、ここで見ておりますような赤い部分、濃い赤が鵡川でございます。そのあたりの漁獲量は自主休漁ということで、とらなかったということです。その後は、漁獲量も回復しているという状況でございます。
 真ん中の欄でございますが、シシャモの産卵環境ということでございます。先ほど申した○○委員のほうから出た、13km区間ぐらいにございます川西頭首工、もう少し上のほう、上流に移動すれば、産卵床が少し上に上がるのではないかということでございます。これが、一番上のグラフを見ていただきますと、横軸が河口からの距離、縦軸がシシャモの卵の着卵密度でございます。大体3kmとか、5kmとか、7kmぐらいに山がございまして、大体そのあたりまでが良好な産卵の環境区間と考えております。
 それから、上流につきましては、それほど密度は高くないということでございます。これは隣接します6河川で見たのがその下のグラフでございます。下のグラフは右側が河口からの遡上の上限距離、縦軸が遡上の上限の比高でございまして、河口から6mから10mぐらいのところが、大体シシャモの産卵場所の高さの限界みたいなものがございますので、鵡川の場合、堰を上げても高さがこのあたりが限界ということでございますので、産卵床が上に残るのは難しいのではないかと考えられております。
 それから、シシャモの産卵床の保全についてでございますが、右側、将来におけるシシャモの産卵環境ということでございます。グラフを見ていただきますと、横軸が距離標でございます。13kmぐらいのところに川西頭首工、KP12.95というのがございます。このあたりで河床がぽんと上がっているのが頭首工でございます。その上にも川東頭首工というのが18kmぐらいにございますが、今仮にこの2つの堰を可動堰化いたしまして一次元の河床変動計算をした結果でございますが、基本的に河床勾配とか、粒度分布については、将来と現況でほとんど大きく変化しないということでございますので、産卵環境の保全は可能と考えておりますが、しかしながら、詳細につきまして、今後検討とか、関係機関との調整を行った上でこのような頭首工の可動堰への改築等の必要な措置は講じていきたいとは考えております。
 したがいまして、今後の方向性でございますが、シシャモの産卵環境の保全等につきまして、2つにまとめてございます。1つ目のポツでございますけれども、右側の図にかいてございますように、シシャモの産卵床に配慮いたしまして、産卵期の水位を考慮して、豊水位以上の部分で相当分の掘削を行いまして、流下能力を確保していきたいと思っております。
 2つ目のポツですが、シシャモの生息状況等につきましては継続してモニタリングを行って、頭首工などのいろいろな河床、粒度分布に影響を与える可能性があるものにつきましては、関係機関と調整の上、可動堰への改築など必要な措置を講じていくという方法をとっていきたいと考えてございます。以上がシシャモの環境についてでございます。
 2枚目でございますが、これは○○委員のほうからご指摘がございました水質についてでございます。左側の一番上のグラフを見ていただきたいと思うんですけれども、緑色の線がトマム橋というところ。右の上のほうに地図がございますが、一番上流の赤い大きな丸でリゾートホテルと書いてある左側にトマム橋という地点があると思います。この地点、これがグリーンのところでございます。
 それから、青い線、青巌橋というところでございますが、これはトマム橋のちょっと下流に赤い丸でついてございますが、この地点でございます。この地点が例えば平成10年とか、平成6年とか、平成2年に少し高い数値をとっておりまして、この部分について、どういう状況だったのかということを説明しろということでございました。いろいろ調べてみたんですが、結論から申し上げますと、このBODが上がっているという結果と密接な因果関係を持つような原因というのは特定できませんでした。
 まず、現況というか、実際から申し上げますと、水質のグラフの下にいろいろな点が書いてございます。BOD観測値(トマム橋)とか、BOD観測値(青巌橋)とかがございまして、例えばトマム橋の平成6年を見ますと、年に6回ぐらい観測しているんですが、1.0mg/lという非常に高い点をぽんととる時期がございます。平成10年にもそういう時点がございます。
 理由ではないんですが、どうも現象としまして、下流のほうの調査は年12回行っておりますが、上流側の調査は大体年4回から6回ということで、そのうちの1個が大きな値をとると、どうしても年間の値としては高くなってしまうという、これは理由ではなくて傾向がそうだということでございます。そういうことがわかっております。
 それから、○○委員から前回の委員会のときに、トマムのリゾート開発がある程度この水質の悪化に影響したのではないかということで調べてみました。その経過が右下のグラフでございます。トマムのリゾートは4期に分けて開発されております。青い四角で書いてありますホテル開業、ホテル第2開業、ホテル第3開業、ホテル第4開業と、これが4期に分けた開発の時期でございます。この時期に合わせて、例えばホテル開業とホテルの第2開業につきましては、それぞれの施設ごとに浄化槽を設けておりますし、グリーンで書いてございますか、汚水の処理施設設置、これは全部のホテルの計画に合わせた、ホテル全体としての汚水処理施設が完成した時点でございます。
 これを合わせて書いてみたのでございますが、本来なら、例えば汚水処理施設ができる前は高くて、施設を設置したら下がったとか、そういう因果関係がないということでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そこに書いてございますように、近年は環境基準を満たしていますけれども、上流で環境基準を上回ったということがありましたので、今後とも関係事業とか関係機関、地域住民の方々と連携をとりながら適切にモニタリングを行って、良好な水質の保全に努めていきたいと考えてございます。ここの6年ぐらいは良好な水質でございますが、注視はしていかなければいけないと考えてございます。
 そのほか、○○先生のほうからいただきました、隣の沙流川でかなりの水害が起こっているので、そのあたりを教訓にしろとか、汀線の後退についてのご意見につきましては、本文のほうで対応させていただいておりますので、後ほど説明させていただきたいと思います。以上でございます。
(委員長)  それでは、ただいまの説明につきまして、1−1の1ページ、これは○○委員のご質問ですが、よろしゅうございますか。○○委員からもございましたが、きょうはご欠席ですので、後ほど事務局からご説明をお願いいたします。
 2ページの○○委員の質問ですが、これもきょうはご欠席ですね。それでは、後ほど事務局から説明をお願いしたいと思います。
 それでは、続きまして、鵡川水系の河川整備基本方針の本文案について、事務局より説明をお願いいたします。
(事務局)  それでは、資料4−1でございます。鵡川水系工事実施基本計画と鵡川水系河川整備基本方針(案)という対比表に沿いまして、ご説明させていただきたいと思います。
 1枚めくっていただきまして、1ページ目からでございます。右側が今回の基本方針案でございます。1ページ目は流域のことを書いてございます。(1)流域及び河川の概要、最初は鵡川の河川のことを書いてございまして、第2段落目、「その流域は」というところは、流域の土地利用のことが書いてございます。このあたりは中下流部は農耕地としていろいろと使われてきたということでございます。下のほうにはJRの日高本線、石勝線、あるいは日高自動車道等、胆振東部の交通の要衝となっているということが書いてございます。
 「さらに」の段落につきましては、豊かな自然環境に恵まれているということが書いてございます。一番最後の行からは流域の地質のことが書いてございまして、上流部、中下流部に関するいろいろな地質のことが書いてございます。
 その後は、流域の年間降水量が書いてございます。占冠村で約1,400ミリ、下流部のむかわ町で約1,100ミリということで、北海道としては平均的な降水量だということでございます。
 その下は動植物のことが書いてございます。最初の「源流から占冠村市街地に至る上流部は」というところで、1/150以上の河床勾配、それから、いろいろなそこに生息いたします動植物が書いてございます。
 その次の段落が中流部でございます。その次が下流部ということでございます。特に下流部につきましては、先ほどからご説明申し上げておりますシシャモの産卵床の話ですとか、あるいはシギ、チドリの渡り鳥の中継地に河口がなっているというあたりが書かれてございます。
 3ページ、第2段落目のところに伝統と文化ということで、このあたりには古くからアイヌ人の方々が先住されておられて、例えばシシャモの由来等が書かれてございます。
 第3段落のところからでございますが、治水事業の沿革が書いてございます。平成9年に部分的な低水路工事が開始されまして、昭和25年に鵡川地点に計画高水流量3,600m3/sと決定いたしまして、仁和の地点から河口までの区間について築堤、掘削が始まったと。その後、昭和36年、37年の災害を踏まえまして、昭和38年に現在の区間、直轄の区間でございますが、穂別市街部までの区間を加えた総体計画を策定いたしました。昭和42年に工事実施基本計画を策定いたしまして、そのときの基本高水のピーク流量は変わらず3,600m3/sでございます。3,600m3/sは前にご説明しましたように、大正11年の洪水の実績流量で決まってございます。
 さらにその後、昭和50年、平成4年、平成13年、平成15年、平成18年の洪水を受けまして、その被害を踏まえて現在まで、築堤とか河道掘削が行われているということでございます。砂防事業につきましては、北海道さんが昭和39年から砂防堰堤事業を整備されております。
 「また」の段落でございますが、ここは地震対策ということで、平成18年にむかわ町が日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域に指定されておりますので、現在、地震・津波対策の調査、検討を行っているという記述がございます。
 次は河川水の利用でございまして、鵡川につきましては農地のかんがいと水力発電、ここが主な利用でございます。ちなみに、おおむね10年に1回の渇水流量は約4m3/sということになってございます。
 水質についてでございますが、先ほどのご説明にもありましたように、上流部において過去に環境基準を上回る年もあったけれども、近年はいずれの時点においてもおおむね環境基準を満たしており、良好な水質を維持していると。事実としてはこういうことが言えるのではないかということでございます。
 河川の利用についてでございます。5ページにかけまして、公園とか運動場、そのような利用がされておりますし、河川空間を利用いたしまして、たんぽぽフェスティバルとか、穂別流送まつり等も行われているということでございます。
 5ページ、真ん中で(2)です。河川の総合的な保全と利用に関する基本方針ということで、第1段落目、第2段落目、第3段落目につきましては、治水、利水、環境に関する施策を総合的に展開することがずっと書かれてございます。
 5ページ目の最後の行から、河川の維持管理に関しまして、多面的な機能を十分に発揮できるように適切な管理をしていく必要があるというところが書いてございます。具体的記述はアからでございますが、アの災害の発生の防止、または軽減というところでございます。最初の段落は、災害の発生防止または軽減に関しまして、堤防の新設とか、拡築とか、あるいは河道掘削などによる河積の増大とか堤防の強化みたいなものをしていくということでございます。内水被害についても対処していくということ。
 河川管理を維持するためのいろいろな巡視、点検をきめ細かく実施していくということ。むかわ町におきましては、先ほど申しましたような地震対策について調査検討を行っていくということ。
 河道内の樹木につきましては、計画的な伐開等の適正な管理を行うということが書いてございます。
 6ページの一番最後の行からでございますが、計画規模を上回る洪水に関しましても、できるだけ被害を軽減するよう必要に応じて対策を実施するということでございます。
 7ページ目の3行目からでございますが、これはソフト対策でございまして、○○委員のほうからも沙流川についてさまざまな経験をしておりますので、さらに洪水等による被害を極力抑えるため、既往洪水の実績や周辺流域の降雨実績等も踏まえ、洪水予報、水防警報の充実、水防活動との連携、河川情報の収集と情報伝達体制、及び警戒避難体制の充実、防災拠点の整備、土地利用計画や都市計画との調整など、総合的な被害軽減対策を行っていくと書かせていただきました。
 イのところでございますが、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持ということで、今後とも関係機関と連携いたしまして、必要な流量の確保に努めていきたいと考えてございます。
 ウにつきましてですが、河川環境の整備と保全ということでございます。これにつきましては、空間利用、水辺利用、ともによく親しまれている川だということを念頭に置きまして、河川環境管理の目標を定めまして、適切に川づくりを促進していきたいと思っております。
 動植物の生息、生育等の保全につきましては、良好な河川環境の保全に努めようということで書いてございます。「特に」というところでございますが、これは河口の話で、河口干潟については、かつて広範囲に広がっていたけれども、最近、海岸浸食に伴い縮小傾向にあるため、その次の行、右のほう、モニタリングを行いつつ、その保全と再生に努めると。それから、モニタリング及び河道の適切な管理により、下流部におけるシシャモの産卵床の保全に努めるとともに、シシャモ、サケ等が遡上する良好な魚類等の生息環境の保全に努めるということでございました。
 上のほうにつきましては、前回、○○委員のほうからご指摘がございました、汀線、あるいは河口干潟についてどう考えているのかということでございますので、モニタリングを行ってやっていきたいということでございます。下の部分につきましては、先ほど申し上げましたシシャモの産卵床の保全に努めるということを書かせていただいております。
 良好な景観の維持、形成についての記事がその次の段落でございます。
 それから、人と河川との豊かな触れ合いの確保についても、それぞれ関係機関と一体となって取り組んでいきたいという記述がございます。
 9ページでございますが、水質についてでございます。先ほどご説明いたしました、過去に環境基準値を上回っていた年があったことを踏まえ、関係機関との連携を図りつつ、適切にモニタリングを行うとともにというのを入れさせていただきまして、水質の保全に努めていきたいと考えてございます。
 そのほか、占用及び許可工作物の設置、管理、河川整備や環境や景観に関連させるいろいろなモニタリングについても適切に行うように記述してございます。
 最後の段落でございますが、地域の魅力と活力を引き出す積極的な河川管理を推進するということが書いてございます。
 10ページでございますが、河川の整備の基本となるべき事項ということで、前回の委員会でご説明いたしましたが、基本高水のピーク流量につきましては、これまでの基本高水と同じように3,600m3/sということにさせていただきたいと考えてございます。
 主要な地点における計画高水流量に関する事項、11ページでございます。これも、洪水調節施設等、ございません。計画高水流量は基準地点の鵡川において3,600m3/sとし、その下流は河口まで同流量とするというふうに定めさせていただきたいと思います。
 12ページでございますが、鵡川と河口における距離と計画高水位、川幅について記述がございます。4番でございます。主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項ということで、第2段落目の最後でございますが、10年に1回程度の渇水流量は約4m3/sということでございます。前回ご説明しましたが、鵡川地点における流水の正常な機能を維持するために必要な流量はおおむね6m3/sということでございます。これをもって、流水の適正な管理、円滑な水利使用、河川環境の保全等に資するものとするとさせていただきたいと思っております。一番最後の14ページにつきましては、鵡川の水系図を載せてございます。
 以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。それでは、前回の審議も踏まえ、また、それを検討をした上で河川整備基本方針の本文案につきまして説明をいただきました。これ及び、先ほどの補足説明もあわせてご意見を賜りたいと思います。
 まず、流域の有識者としてご参加いただきました○○委員からお願いいたします。
(委員)  流域という立場で、最後にご説明いただきました渇水時における渇水流量、これは4m3/s、10年に一遍、平均でも6m3/sぐらいということであります。これがこの整備計画の中で、利水、あるいは環境というところに置きかえると、6m3/sですと、ほんとうに最低限で、水深およそ30センチぐらいと予測できます。そのくらいの期間が非常に長いというところが、期間が長いというか、特に今年、渇水時期になりますと、非常にそういう期間が長くて、利水という部分、あるいは親しむという部分では、なかなか親しみづらい環境ができ上がってしまうわけです。
 先ほどから話題になっておりますように、上流部にある頭首工、これが旧態依然とした利水の状況であると。ということは、水田利用が半分になっても同じ水量を取水しているという実態が、上流部の川西、あるいは河東頭首工であるわけです。仮にこれらの水を節約することによって、下流部における流量が調節できやしないかという利水という部分、やはり30センチの流量では6,000程度ですと、環境に親しむという部分で非常に心もとない、寂しい流量なわけであります。
 その辺をこの計画の中で、将来何か方法がないのかと、地元としては、川を利用する、あるいは川に親しむ、川をもう少し活用するという部分では物足りない流量がここにでき上がっているものですから、頭首工における今の取水状況を将来にわたって変更しながら、もう少し利用価値を高める方策ということがもしできれば、非常にありがたいという気持ちがあります。以上です。
(委員長)  大変重要なご指摘ですが、事務局から説明がありますか。
(事務局)  一応、流水の正常な機能を維持するために最低限このくらい必要だという量で決めさせていただいていると、私は思っております。前回の委員会でも申し上げましたが、今の状況は、昭和61年に水利権の見直しがございまして、加水流量は若干ですが増加の方向にあるということが言えると思います。
 20年の期間をとりますと大体4m3/sなんですが、直近10年の平均をとると大体6m3/sぐらい、今増加の傾向にございます。それは、取水量が少し減っているのかもしれません。これからはそういう状況を見守りながら、ご指摘のような状況になっているかどうか、見守っていきたいと思っております。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  近隣の河川で非常に大きな洪水があったということで、それをご配慮いただいて、7ページに修文いただきました。これはこれで結構だろうと思います。
 ただ、もう一つのほうの、特に海岸浸食に絡むような文言でございますが、例えば5ページには、水源から河口までという表現があり、6ページには上流から海岸までという、少しニュアンスが違います。もちろん、扱っているものも違うのかもしれません。いずれにしても、特に土砂管理の面では流域を一貫してという、これは非常に進んだ考え方でご努力いただいている、これは非常に評価したいと思いますが、一たん海岸のことになりますと、この難しさは私もそれなりに承知しておりますが、8ページに、近年海岸侵食によりという原因は書いてございますけれども、これに対して、干潟の保全はわかるんですが、海岸保全という観点がどこにも出てこない。これは、ここには書けないなら、それはそれでしようがないとは思いますけれども、そういうものに対するご見解、今後の方針等をご説明いただければというのが当初の意図でございました。
 もう一つ、11ページに、鵡川基準点で3,600m3/sという記述がございます。これはこれで結構でございますが、横の絵と比べてみますと、河口というのが新たに追加になり、おそらく道庁さんが目安にしている穂別というのが抜けている。どうして同じ流量の河口をわざわざここに書き込んだのか、上流のほうの穂別を抜いたのか、この辺のご説明をいただければと思っております。
(委員長)  よろしゅうございますか。お願いします。
(事務局)  最初の汀線の後退の件でございます。前回も少しだけ申し上げたと思いますけれども、今やっておりますところではサンドバイパス、ご存じだと思いますが、隣の左岸側にございます漁港の、昔はそこで発生した土砂ですとか、最近は鵡川の航路を掘削したときの土砂等でサンドバイパス等をしております。左岸側にいろいろな水制工等を設けていると。現在は、そういう行っておりますいろいろな事業の効果を見守っていくということなんですが、河川の基本方針ということなので、基準を書かせていただきましたけれども、またご相談させていただいて……。
(委員)  いや、本文中に書きづらいのは私もよく存じておりますので、こういう場で口頭ででもご説明いただければと思いまして、発言させていただきました。
 この海岸の場合、かなり広い範囲にわたって一連のものとしてとらえないと、そこの場所だけではなかなか対処し切れない部分もあるんだろうなと承知しておりますので、その辺のご見解も聞かせていただければと思っただけでございます。
(事務局)  わかりました。当然、我々は総合土砂管理みたいな考え方を持っておりますので、ご指摘のとおり、河口のいろいろな土砂につきましては、源流からずっと河口までトータルとして考えなければいけないと考えてございます。その点につきましては、よろしゅうございますか。
 それから、2つ目の点でございます。11ページの計画高水流量に関する事項でございます。ご存じだと思いますけれども、基本方針につきましては、例えば基準点におきまして基本高水のピーク流量ですとか、あるいは、それから全体において河道とか、洪水調節施設との分担ですとか、主要地点における計画高水流量、いろいろな降水だとか、そういうものを書けということになっているわけでございます。
 このときに、今主要な地点、ここで議論になっております穂別のようなところの設定でございますけれども、基本的には本川の計画に影響があるような大きな支川ですとか、あるいは分派があったような場合に、例えばその地点で主要地点を設けるとか、合流している支川の直下流、合流直前に設けるというのが一般的でございました。本川の計画に大きな影響を与えるようなものということでございまして、今回鵡川につきましては、全国的な目で見ますと、そういうものは基準にはないと我々のほうは考えまして、鵡川のところに基準点を設けまして、穂別は今回は主要地点ではなくそうと考えているところでございます。
 それから、河口についてでございます。これまでの検討小委員会の審議の中で、河口域の土砂動態ですとか、先ほどのいろいろなご指摘がございました干潟の問題等がございますので、河口については非常に重要な地点ということで、河口を主要の地点と、これはすべての水系についてこうしてきたわけでございまして、それとの並びということで、河口については主要な地点ということで設定させていただいているということでございますので、ご理解いただきたいと考えてございます。
(委員長)  よろしゅうございますか。
(委員)  以前に私は大きな川の支川の扱いに対してもう少し書き込んだほうがいいのではないかというご意見を申し上げまして、それなりに対応していただいたように記憶しております。そのときの基準点の1割以上とか、そういう基準だったのか、ひょっとして1,000m3/s以上とか、その基準が必ずしも明示されなかったので、私はよくわからないんですけれども、おそらく鵡川ですと、この上のほうの穂別が入ってくるのは計画で600m3/sぐらいですか。
 ですから、1割は少なくとも超えているし、かなり上のほうではありますけれども、ほんとうに取ってしまうというのがどういう意味を、流域の皆さんがこれを見たときにどういうふうに思うのかと思いまして。
(事務局)  そう明確な基準があるというわけではございませんで、本川の計画にどれだけ大きな影響を与えるかということでございます。今のところの総合的な判断をいたしますと、今回は鵡川1点ということで考えたわけでございますが、一般的に先生がおっしゃるように、大きな合流量を持っているような川につきましては、今後とも主要な地点の設定には努めてまいりたいと思っております。
(委員長)  基準点の問題は、最近この委員会でも大分考えが動いているところだと思います。基本的には、基準点を決めた地点から下流は絶対破堤させないと。今まで各基準点で目いっぱい、100の1だとかと決めて、望ましきは大き目、大き目と上流もとってきたんですが、上流も大きいということは、下流が破堤のリスクを背負うので、上流、下流のリスクというものを詳細に検討しながら、決めていこうではないかという思想になりつつあります。
 したがって、まだ転換期ですけれども、整備計画の段階で上流と下流はどういうふうにセットしていくのか、さらに詳細に検討していただくということで、委員会としてはこの案で認めたいと思います。何かご意見がありましたら、どうぞ。
(委員)  結構だと思います。そういう方向ということで結構だと思いますが、当然ながら、そういうところの上のほうのいろいろな場所の流量は計算されているし、そういうことが、そこを担当しておられる、北海道ですと道庁さんが十分承知しているという意味で、それはそれで仕方ないのかなと思うんです。
 しかし、私は、実態面よりも、一般の方たちが見たときに、流域の治水のものの考え方というものが表に出るような観点がもう一つあったかなという気がいたしまして、申し上げました。結構だと思います。
(委員長)  それでは、河川工学の専門の立場からお聞きしたいと思います。○○委員、お願いいたします。
(委員)  前回も欠席したので、別にないんですが、文章、それぞれ前後の脈絡からして適正だと思うんですが、結構努めるとか、推進するとか、発展するとか、目標とするとか、反映するとか、いろいろ前後のあれからしたら適切かとは思うんですけれども。何か言葉に行動意思の順序が言外にあるのか、あるいは、中長期のあれですから、そういう前提条件とか、変化することも含めて調整の内容もありますので、それぞれのところでの言葉の使い方というものに意思の強さみたいなものがあるのであれば、そういうふうに読んでいいんでしょうねと。
 逆に、意見というよりも、文章がほかの整備基本集の対応も結構そういう言葉が随所にあって、そこら辺の使い分け等においては意思の強さがあるのか否か、読み方によってはそういうふうに読みたいと思ったりするものですので、そのあたり、印象として述べさせていただきました。以上です。
(委員長)  一般論で言いますと、箇所、箇所により表現が異なるのでしょうけれども、河川管理者が意思を持ってできるものはずばりと言うと。流域の関係機関と協働してそういう方向へ持っていこうというときは、努めると書くのが一般的だと思います。細部にわたっては、また事務局が詰めていただきたいと思います。
 それでは、次に○○委員、お願いいたします。
(委員)  ○○でございます。前半にわたりまして異論はございません。ただ、1カ所だけお教えいただきたいのは、このシシャモの保全の8ページの段落3つ目の下から3つ目、「モニタリング及び河道の適切な管理により」という表現のところです。シシャモの遡上を可能なようにいつまでも保つような水深、水量、流速、河道の形態等があると思われます。河道の適切な管理の中には、河床の粒径、粒度の保全という意味合いは含まれるんでしょうか。それとも、もう少し大きな形態的なものだけを意味しているんでしょうか。
(委員長)  どうぞ。
(事務局)  先ほど資料1−1でもちょっとご説明申し上げましたが、一次元河床変動計算をした場合に、河床勾配と粒径分布を結構気にしておりまして、そのあたりのことをここでは書いたつもりでございます。これから、シシャモに与える影響というのは、我々のほうもいろいろと研究しながら、これ以外のことについても関係機関と調整して、この部分についての産卵床の環境については保全していきたいと考えてきたところでございます。
(委員)  はい、ありがとうございます。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  もうお話が出ていたんですけれども、6ページの上流から海岸までの総合的な土砂管理の観点から、流域における土砂という話で、先ほど○○委員から、海岸が書けないのかという話がありました。私も土砂管理の観点とか、視点の中は、先ほど委員長がおっしゃったように、管理者がやらなければいけないというよりも、管理者がどんな視点、観点を持っているのかということが大事ですので、ここは河口までというふうに限定しないで、やはり沿岸、海岸というところまで気を配るということは非常に重要で、その後書いてある取り組みのところは流域に限定するとか、水系に限定するというのは結構だと思います。観点としては、やはり海岸まで砂を供給しているのだというのは非常に重要だと思いますので、そこを少し文案を考えてみてほしいと思います。
 それから、これももう既に○○委員がおっしゃったんですけれども、やはりこの川で基準点、主要点については少し気にかかりました。残した鵡川に対して河口は一律で入れたというけれども、1.何kmという、あまりにも近過ぎるようなところも、鵡川で河口も代替できるという気もするんだけれども、ただ、ずっとしゃくし定規にこれからも入れていっていいのかという話。
 それと、鵡川の流域は私はよく知らないんですけれども、観点は、どこを治水の視点で保全するのかということを、しっかり明確に書く話とセットである話だと思うんです。一番最後の流域水系図を見ますと、穂別から下流にはずっと想定氾濫区域が続きます。いわゆる治水で守るべきところの保全すべき対象が続いているんだけれども、やはり鵡川地点の周辺だけが非常に重要な守るべき対象なのかという視点を本文の中に書き込むことによって、初めて穂別が外れるかどうかという議論ができるかと思います。
 ですので、私はその詳細はわかりませんけれども、もし穂別が外れるのでしたら、14ページの水系図との関連も見て、保全すべき対象が希薄であるなら……。希薄という表現はおかしいですかね、鵡川が重要だという視点を書くべきかという気がいたしました。
 一般的には、私、鵡川より少し上流にもし保全区域があるなら、鵡川は基準点として下流に……。基準点は下流に置く場合と、保全すべき対象の上流に置く場合があって、上流に置いたほうが非常に自然な気はするんですけれども、今までの経験から下流に置いているところもあります。それが不自然であるようなときには、上流の主要点というのは私も残すべきかなという気はいたしました。この流域について、私はあまり精査したわけではありませんので、1つの意見として申し述べた次第です。以上です。
(委員長)  では、説明をお願いします。
(事務局)  この鵡川につきましては、最下流部の旧鵡川町のところがこの流域で最大の市街地でございまして、ここに人口、資産が集中していると。私も現場に行きましたけれども、非常に狭いところにどっと市街地が、わりと高いところでございますが、あるということが言えると思います。それに次ぐのが、おっしゃるとおり穂別のところに町がございますけれども、一応本川の関係からいたしますと、一番重要な守るべきところは鵡川ではないかということになります。
 それで、いろいろとご意見がございましたので、主要地点につきまして、個別に検討するということにさせていただいてもと思いますが。
(委員長)  では、お願いします。
 それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  特にございません。
(委員長)  ○○委員、お願いいたします。
 木曽川関係でご出席の委員はよろしゅうございますか。それでは、○○知事さん、お願いいたします。
(委員)  ○○の鵡川の基本方針について、たくさんの委員の方が非常にご熱心にご審議されたことを、まず、非常に感謝申し上げたいと思います。私どもとしては、この方針案で依存はございません。
 一言申し述べさせていただきますと、鵡川の平常時の愛護とか利用というのは非常に着目されているんですが、先ほど来お話があったとおり、平成10年以降、大きな被害も受けてございます。○○委員が先ほど述べられたように、隣接する沙流川でも大きな被害も受けてございます。
 ○○は災害は全道的なものは最近ないんですけれども、局所的な災害が毎年のようにいろいろなところで起こってございます。今年も、平年より異常に降水量が少ない地域も発生したり、平年より非常に大きい雨が降っているというように、気象の状況が変わってきているのかなというのは実感してございます。全道的に見ても、今年は雨が非常に少ない傾向でございますので、その反動で、今後の台風等の災害も非常に懸念されているところでございます。安全安心の観点から、早期の実施対策が望まれているところでございます。
 また、鵡川は先ほど来お話に出てございます下流部のシシャモ等農水産物等に恵をもたらすという側面も一面持ってございます。そういう意味で、この豊かな恵を享受しつつ、さらに安全な河川整備ということを進めるために、この基本方針の早期の策定をお願いしたいと思います。以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。
 それでは、鵡川の河川整備基本方針については、ただいま出ました意見等も踏まえまして、私と事務局において鵡川水系河川整備基本方針案を取りまとめ、各委員にご確認をいただいた上で河川分科会に報告したいと思います。この件につきまして、私にご一任いただければ幸いと存じますが、いかがでございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

(委員長)  それでは、鵡川水系については審議は終わりましたので、鵡川水系の関係委員につきましては、ここでご退席いただいても結構でございます。○○委員、○○委員におかれましては、短時間の中で熱心なご審議、ご議論をいただき、ありがとうございました。今回をもって最後の委員会となります。地域の実情を踏まえた貴重なご助言などをいただき、ありがとうございました。なお、いていただいても結構ですし、ご退席していただいても結構でございます。
 続きまして、木曽川水系の審議に入ります。前回の委員会で指摘のあった点について、事務局より補足説明をお願いいたします。
(事務局)  河川計画調整室の○○でございます。前回の委員会でご指摘のあった点についてご説明させていただきます。資料は1−2でございます。まず、長良川の計画規模の設定の考え方ということで、○○委員、○○委員からご意見がございました。流域面積や想定氾濫区域内の人口等を見ると、長良川の計画規模(1/100)は小さいのではないかと。
 これは前回にも流域面積、想定氾濫区域内人口等をお示ししながら1/100ということでお話をさせていただきました。今回も同じように、まず面積、人口等は載せております。これを見ていただきますと、大体1/100から1/150相当ということが言えるかと思います。
 今回検討いたしましたのは、まず右側にございますが、河道での対応でございます。長良川におけます河道での対応としまして、長良川沿川には人口・資産も集積しております。取水といたしましてハイウォーターを上げるということは被害ポテンシャルを上げることになりまして適切ではない。否定いたしましても、市街地、周辺の土地利用に大きな影響を与えて現実的ではないという状況の中で、河道掘削で流下能力の向上を図ることとしております。
 しかし、アユの産卵場や鵜飼い等、これは長良川のほんとうの特性でございますが、すばらしい河川環境を勘案する必要があると。また、堤防防御に必要な高水敷幅を確保した上で河道掘削をやっていく必要があると。そこで河道に流し得る流量というものを、忠節地点で8,300m3/sということで今考えてございます。
 次に、上流の洪水調節施設による対応ということで、河道だけではなくて、洪水調節施設はどうかということも検討いたしました。長良川では地形等の条件から、ダムサイトとしての適地は少ない状況でございます。また、広大な面積の土地利用を束縛する大幅な洪水調節機能を有する遊水池の設置も困難でございます。下に断面を入れておりますけれども、わりと谷が開けておりまして、そこには人家や道路なども存在しているという地形でございます。
 こういう中で土地利用状況や地形条件等の自然的、社会的条件を勘案いたしまして、見込める洪水調節量は、まず既設及び建設中のダムがございます。こちらで忠節点で200m3/sの調節量が考えられます。また、遊水機能を生かした洪水調節、これは大規模はできませんが、ほんとうに小さなものを組み合わせるということでございますが、最大で忠節で400m3/sと、小さい状況でございます。このように河道と洪水調節施設の対応というのは限られているわけでございます。
 次、それでは、長良川の計画規模をどう考えたかということでございます。長良川では、アユ等が生息する豊かな自然環境、これを非常に慈しんでおります。また、鵜飼いなどの文化も育まれております。これは岐阜の市街地でございますが、さらに河川内に旅館街や民家等も立地するという、河川とともに地域生活というものが成り立っているような川でございます。
 このような地域社会の形成等の社会的条件、それから、先ほどもおっしゃいましたいろいろな自然的条件と、先ほど対応できるという治水施策等を勘案いたしますと、長良川で対応できる流量は、忠節地点でおおむね8,900m3/sという状況でございます。この流量は、流量データによる確率から見ますと、横にグラフを入れておりますが、グラフの一番左手でございますが、流量データによる確率1/100、8,450m3/sから10,038m3/sになっておりますが、大体8,900m3/sというのはこの1/100程度となってございます。
 こういったことを勘案いたしまして、150か100かという状況の中で、計画規模としては1/100というのを設定したいということで、前回提案させていただいております。それでは、1/100の規模で、それでは基本高水流量はどうなるかということを次にお話しいたします。
 流量データによる確率、これは1/100の流量、これは今申し上げました約8,500m3/sから10,000m3/sでございます。時間雨量データ、これは12時間のデータでございますが、これから求められる流量のうち、この1/100の流量データ確率の範囲に入っておりますのは、8,837m3/sが相当しております。それよりも大きい値、1つ上の値でも10,105m3/sでございますが、これ以上の値につきましては、流量データによる確率で評価いたしますと、1/150から1/200、あるいは、それ以上に相当するような時間雨量データでは流量は出てございます。
 流量データによる確率、こういう時間雨量データによる検討、それから、前回お話しいたしました歴史的洪水流量、これは横に流量がございますが、8,520から9,885とございます。こういったものと、また自然状態での流量というものを総合的に勘案します。それと、先ほど言いました長良川で対応できる流量というものもあわせて、今回、総合的に検討いたしまして、基本高水のピーク流量は8,900m3/sが妥当と判断いたしたということでございます。これが1番目であります。
 ちなみに8,900m3/sより1つ上の大きい10,000m3/sクラスについて、では、これを採用して基本高水として治水を行えばどうなるかということを、2のところで検討いたしております。これは、時間雨量データによる検討から求めた流量のうち、8,900m3/sより大きい10,500m3/s、これは大体1/150から1/200に相当はいたします。これを対象に治水を考えてみました。10,100m3/sに対しまして、上流の先ほど言いました洪水調節をいたしますと、残りの流量9,600m3/sを河道で対応することになります。この河道での対応として、1つは河床掘削案、2つ目は河道拡幅案、3つ目は堤防かさ上げ案で検討いたしました。
 まず、河床掘削案でございます。こちらは中流域で瀬と淵がつながり、アユ等の生息場として非常にいい河川、こういった河川で今伝統的な漁法の鵜飼いもされているところを、先ほど申し上げました。これは地域の重要な観光資源でございます。ここで大規模な河床掘削を行いますと、瀬や淵がなくなり、ほんとうに単調な河床になってしまいます。アユやカジカ等の生息環境に甚大な影響を与えるおそれがあるということでございます。そういった意味で、河床掘削案をとるのは非常に難しいと判断しております。
 次に、河道拡幅案でございます。こちらは、写真がございますが、岐阜の市街地でございます。赤い線、こちらに堤防をつくらないと流れないということでございます。この赤い線から家がたくさん建っておりますが、こちらは移転していただくことになるということでございます。こうなりますと、家屋が約1,500戸、ホテル、旅館、約5戸の移転が必要になりまして、現実的ではない案となります。特に、旅館街は先ほども申し上げましたけれども、鵜飼いといった伝統文化の中で河川内の堤外地に立地していると。河川とともに生活しながら地域の観光産業をやっているわけでございますが、そういったものに甚大な影響を及ぼすということになります。
 次、堤防かさ上げ案について検討いたしております。これは、万一氾濫した場合には水位を高くしているということでございますので、被害が大きくなります。治水対策としては基本的には採用はしておりません。仮に堤防を上げたとしても、16基の橋梁のかさ上げが必要になってまいりますし、その橋梁とあわせまして道路網も上げなければいけない。また、沿道の建物のかさ上げも必要となりまして、地域社会への影響は甚大であると。10,000m3/sクラスの対応といたしましては、非常に難しいということがわかるということを、ここでご説明いたしております。
 次のページに参ります。こちらは○○委員からのご質問でございます。長良川の治水安全度を今回1/100にしていると。堤防強化や輪中堤等の対策と一体として行うべきではないかということでございます。こちらにつきましては、河川管理者と地域が一体となって総合的なハード、ソフト対策を長良川では実施することにしてございます。
 まず一番下に堤防整備ということがございますが、河川管理者でございますが、まず下流部のブランケットをやっております。これは河口堰の湛水による浸透対策として、ブランケットを設置しております。場所につきましては、真ん中に地図がございますが、5kmから25kmのところでございます。これによりまして、漏水対策というものをきっちりとやっているわけでございます。
 また、堤防の質的整備、これは現在詳細点検をやっております。図の凡例を見ていただきますと、赤が質的整備必要区間、オレンジが細い線でございますが、質的整備不必要区間、緑がまだこれから詳細検討予定区間になってございます。堤防の詳細検討をいたしまして、必要なところに洪水流量による浸透や洗掘作用に対しまして堤防を強化するという安全策をとっていきたいと考えてございます。
 また、護岸整備といたしましては、河岸浸食や局所洗掘が生じている水衝部、こういったところには護岸・根固めによる整備を行いながら必要な高水敷幅を確保し、安全を確保していくということをしております。
 次に、流域対策がございます。真ん中のところでございます。これは前回もお話しいたしました。計画規模を上回る洪水や整備途上段階での施設能力以上の洪水が発生した場合、こういった場合にも被害軽減を図るため関係機関と調整しながら、輪中堤の保全に努めていきたいということでございます。真ん中の写真は前回もお見せしましたが、51年9月の洪水で輪中堤が氾濫水をとめている状況でございます。こういったものを関係機関、地方公共団体等と連携しながら、調整しながら保全したいということでございます。
 3つ目が危機管理対策でございます。まず、岐阜の旅館街でございますが、これは川際にあります防水壁と本堤、これは堤防でございますが、この間に市街化区域、先ほど言いました家が建っていると。旅館及び家屋が密集しているところでございます。こちらでは、下の写真がございますが、個人の陸閘、またピロティ構造、こういったものによりまして浸水防止をやっております。また、専任の水防団をつくりまして水防活動を行い、地域特有の治水対策を実施して、自衛にも努めているということでございます。
 広域防災ネットワークの構築といたしまして、これも前回ご説明いたしましたが、迅速な救助や救援物資を輸送するため、緊急河川敷道路や防災船着場、広域防災拠点の整備を行うとともに、堤防・緊急用河川敷道路や高規格道路等と広域防災拠点等を結ぶネットワークを検討しております。こういったものを構築いたしながら、災害に強い地域をつくってまいりたいということでございます。
 その下に水防団との連携かございます。これは、先ほど少し専任水防団のお話をいたしましたが、岐阜市の水防団は29団、1,624名の専任者で構成されているということで、地域で水防活動を活発にされております。
 住民の防災意識の啓発でございますが、ハザードマップや被災水位標示板といったものを各地に置きまして、住民の防災意識の啓発にも努めているということでございます。ハード、ソフト、あわせまして総合的に治水対策をやっているということでございます。
 次に、木曽川の基本高水ピーク流量の検討でございます。これは前回木曽川につきましては1/100から1/200に計画規模を見直すということで、ご説明しております。今回お出しいたしましたのは、木曽川は流域面積が約4,700km2、これは犬山上流でございますが、非常に広い流域面積を持ってございます。こういった広い流域面積を持っているところでは、雨域が流域全体を覆うことが少ないということもございまして、前回お示ししました洪水到達時間等から出しました降雨継続時間、18時間というもの、洪水到達時間という概念がなかなか成り立ちにくいような状況でございます。
 雨が1つの流域の中で同じように降りますと、これは山奥から出てくる水に徐々に途中から出てくる流量が加わりまして洪水のピークが形成されていくと言うことができるのでございますが、雨が流域全体の中で順次移動したり、降ったり、降らなかったり、こういった中でのピーク流量の形成というのは簡単にできるわけではございません。こういったところに無理がございまして、もう一度見直しまして、今回2日を採用することといたしました。
 もう一度きちんと計算したということで、ご説明させていただきたいと思います。先ほど長良川でも申し上げましたが、まず、木曽川の河道での対応についてご説明させていただきたいと思います。流下能力を確保する上で計画上支障となる犬山地点周辺では、沿川には人口・資産が集積しております。ここでハイウォーターを引き上げるということは、先ほど申し上げましたように被害ポテンシャルを上げることになりまして、適切ではないと。引堤も周辺の土地利用に大きな影響を与えるということで現実的ではございません。
 犬山地点付近には名勝木曽川等に指定されております「日本ライン」がございます。景観上、河道掘削による地形の改変というのは非常に困難でございます。こういった中で、犬山の下流で、現況の河道で対応を図るといたしますと、流し得る流量というのは13,500m3/sとなるということでございます。
 今度は、洪水調節施設でございます。上流での洪水調節を考えております。木曽川では古くから電力開発が盛んで、27のダムが既に整備されてございます。土地利用状況や地形・地質等の自然的・社会的条件等を勘案いたしますと、上流にはさらなる新たな洪水調節施設の適地は少ないという状況でございます。
 また、既設ダムの有効活用を考えますと、経済的、技術的条件等を勘案いたしますと、ここでの既設ダム、電力ダムが多いのでございますが、容量が小さいなど、既設ダムの有効活用にも限りがございます。こういう中で、河道での対応、これは13,500m3/sの対応でございますが、こういったものも踏まえて、見込める洪水調節量はどれぐらいかというのを出してみました。既設の岩屋ダム、阿木川ダム及び味噌川ダム、建設中の新丸山ダム、及び既設ダムの有効活用を幾つかいたしまして、おおむね6,000m3/sまでは洪水調節ができるということがわかってございます。
 そこで、次、基本高水ピーク流量の検討でございます。木曽川で言いました河道での対応と洪水調節施設での対応をまとめてみますと、木曽川で対応できる流量は13,500m3/sと6,000m3/sを足しまして19,500m3/sとなってございます。そこで基本高水ピーク量の検討といたしまして、まず1/200ということでございますので、流量データによる確率、これは下に図がございますが、大体15,600m3/sから21,600m3/sぐらいでございますが、こういったデータ。それから、日雨量データ、これは今回使っております2日による日雨量データによる検討。歴史的洪水の検討、これは前回お示しいたしました。また、湿潤状態での推定流量、モデル降雨波形、こういった前回お出しした検討結果と、今申し上げました木曽川で対応できる流量も、あわせて総合的に検討いたしております。
 そういたしますと、前回、犬山で18,500m3/sとしておりましたが、今回の検討によりまして19,500m3/sが妥当と判断いたしております。この図の赤い線が入っているところでございます。ほかの流量との関係で見ていただくと、おわかりかと思います。
 今度は、計画高水流量の設定でございますが、既設の岩屋ダム、阿木川ダム、味噌川ダム、これと建設中の新丸山ダム、これに加えまして、先ほど言いました既設ダムの有効活用を行い、犬山地点の19,500m3/sから6,000m3/s調整して、13,500m3/sということで計画高水流量の設定を考えてございます。下に流量配分図を載せてございます。
 次に、木曽川、長良川の洪水調節についてでございます。これは○○委員と愛知県の委員からご質問がございました。木曽川で5,000m3/s、及び長良川で600m3/sの洪水調節量について、河川整備計画での議論かもしれませんが、具体的に説明が必要ではないかということでございます。今申し上げました既設ダムを含めた中で対応しているということについての説明でございます。
 基本的には、具体的な洪水調節施設につきましては、河川整備計画の段階で検討を行うこととしておりますが、河川整備基本方針では実現可能性を考慮の上、配置可能な施設を検討し、洪水調節量等を算出いたしております。木曽川でいいますと、まず工事実施基本計画と河川整備基本方針と、ここでは両方書いてございます。工事実施基本計画の場合におきましては、基本高水ピーク流量が16,000m3/s、犬山地点でございます。洪水調節量が3,500m3/s、これはこちらに書いておりますダムで調節すると。河道配分流量は12,500m3/sでございました。
 河川整備基本方針でございますが、既設の岩屋ダム、阿木川ダム、及び味噌川ダム、これを用いましておおむね700m3/sのカット、このときの必要容量といたしましては7,800万m3が必要となってございます。建設中の新丸山ダム、こちらでおおむね3,100m3/sのカットを考えてございます。治水容量は7,200万m3でございます。残り2,200m3/sございますが、これにつきましては既設ダムの有効活用により対応したいと考えてございます。
 これは、いろいろな考え方がございますが、想定される施設の容量を一度積み上げてみました。それで検討したものを今からご紹介いたします。かさ上げ、これは容量として7,800万m3、予備放流方式の採用、これは1億4,500万m3といたしまして、合わせまして2億2,300万m3で2,200m3/sの洪水調節が可能であるということを確認いたしております。その調節後の流量が下に計算結果が出ておりますが、昭和58年9月の洪水、これが19,454m3/sの基本高水に対しまして、計画高水13,264m3/s、13,500m3/sにおさまっているということでございます。これが木曽川での工事調節施設の考え方でございます。
 長良川につきましては右側でございますが、工事実施基本計画では忠節地点で8,000m3/s、基本高水ピーク流量がございました。500m3/sを上流ダムで調節いたしまして、7,500m3/sの河道配分流量としてございます。今回の整備基本方針では、8,900m3/sに対しまして、既設の阿多岐ダム及び建設中の内ヶ谷ダム、こちらの効果といたしまして200m3/s。残りの400m3/sにつきましては、遊水機能を生かした洪水調節施設により対応していきたいと考えております。こちらに必要な容量は880万m3ということでございまして、調節後の流量は平成12年9月でございますが、8,837m3/sを8,254m3/sということで、8,300m3/sの計画高水という形で調節できるということを確認いたしております。
 次に参ります。次は、木曽川、長良川の基本高水のピーク流量について。これは○○委員からのご質問でございます。雨を引き延ばすことによって短時間で見ると起こりにくい降雨パターンは、通常現実的でないとして棄却している。今回は棄却せず流量を算出しているが、棄却した方法で算出すべきではないかと。
 今回のやり方はこういうやり方ではございません。今申し上げた形で基本高水ピーク流量も決定いたしております。ここでは委員の質問に対しまして、棄却対象となる洪水を仮に算出してみました。主要な洪水の計画降雨継続時間内雨量について、木曽川では2日で1/200まで引き延ばし、長良川では12時間で1/100まで引き延ばしをいたしました。引き延ばした降雨につきまして、地域分布・時間分布の点から、これまでの実績雨量の生起確率の最大値を上限の1つの目安としまして、これを上回る場合を延長した分布とみなして算出いたしました。
 この下にございます木曽川のところを言いますと、茶色で色を塗った洪水が上回る、偏重した分布を持つ洪水だということでございます。長良川につきましても同じように算出いたしまして、下に書いてある洪水でございます。
 赤枠で囲っておりますのは、18時間、前回お示ししました18,500m3/sはこの47年のこの洪水を対象としたということでございます。今回は58年9月の1.15倍の19,454m3/sを対象としたということでございます。長良川につきましても、前回、平成12年9月の洪水、8,837m3/sを採用、今回も同じでございますけれども、採用しているということをわかりやすく示してございます。
 樹木伐開による河積の確保と。これは○○委員と○○委員からでございます。樹木伐開は従来、維持管理で行っていたのではないかと。改修計画では樹木伐開による維持管理を前提とすべきで、改修計画という視点と維持管理という視点をきちんと区分すべきと。計画論と維持管理の関係を聞かれたところでございます。
 ここでの考え方、前回もお話しいたしましたが、流下能力の不足している区間、景勝地の「日本ライン」のところでございますが、景観等の河川環境の保全が必要であり、河道掘削による地形の改変は困難でございます。これは先ほども申し上げました。樹木伐開により流下能力の確保を図ることといたしまして、樹木伐開を行った後は適正に維持管理を行うこととしております。計画河道は樹木のない状態を前提としているということでございます。樹木が繁茂してくる場合には、計画河道を維持するために伐開していくということをやるということでございます。
 それから、資料は用意してございませんが、岐阜県の委員からのご質問でございます。流域対策として森林対策をどのように進めるべきか教えてほしいということでございました。現在の治水計画では、実際に降った雨と実際に河道で観測された流量の関係をもとに構築しています流出計算モデルを用いて、基本高水のピーク流量を算出しております。これは森林を含む流域の流出特性を反映してございます。このため森林の保全というのは治水上も非常に重要でございまして、関係機関や地域住民等と連携いたしまして、地域の実情に合った効果的な取り組みを選定して行っていただきたいと思ってございます。
 次に、○○委員から、現在でも暫定堤防が多い中、河川整備基本方針が策定され、計画高水流量が増えると、堤防のかさ上げや強化が必要になり、暫定堤防がさらに増えるのではないかと。木曽川と長良川では流量改定を今回行っております。計画高水流量が増える地点はございます。しかし、ハイウォーター、計画高水位、こちらは現行計画と同じであります。計画高水流量が増えたことに伴う完成堤防のかさ上げや補強は行いませんので、こういったものがさらに増えることはございませんということでございます。
 三重県の委員から、東海・東南海地震に対して液状化等が心配されているが、具体的には河川整備計画段階での話かもしれませんが、対策をどのように進めていく考えかということでご質問がございました。
 地震対策につきましては、兵庫県の南部地震の震災後、ゼロメートル地帯の堤防を対象に点検を実施してございます。木曽三川下流管内においては、4カ所において対策が必要と判断されまして、平成7年から9年までに鋼矢板と高水敷造成により対策は実施してまいりました。しかし、東海・東南海地震につきましては、震度6弱以上と推定されておりまして、兵庫県南部の地震後の対応では想定が低いということになります。
 このため東海・東南海の地震規模を想定した木曽川三川下流部、堤防、水門、樋門、耐震性評価手法のガイドラインを、平成18年3月に作成したところでございます。耐震性の評価に当たりましては、堤防及び基礎地盤の土質部整地が必要でございます。既存のデータを活用しながらも、さらに新たな地質調査を行うということを考えてございます。
 さらに具体的な耐震対策工法につきましては、既に施工されている堤防補強対策工の耐震効果を適切に評価した上で、平成19年度、今年度に地震対策工ガイドラインを作成する予定だということでございます。
 ○○委員から、これは流量配分図につきまして、長良川、揖斐川に合流してから伊勢湾に出るのではなく、河口堰の後、瀬割堤で分けられ、その後一緒に伊勢湾に出るのではないかと。流量配分図の書き方が少し違うのではないかというご指摘を受けました。こちらは本文の中で修正したいと考えてございます。
 資料4−2、ページ31をごらんいただきますと、前回の工実と今回の整備方針、両方並べておりまして、違いがわかるかと思いますが、長良川と揖斐川、一緒に伊勢湾に出るように現状に近い形で直させていただきました。以上、補足説明でございます。
(委員長)  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきましてお伺いしたいと思います。資料1−2の1ページでございます。○○委員、いかがでございましょうか。
(委員)  長良川が1/100は小さいのではないかということで、対応するには限界があって、その視点から見ると1/100がいっぱいいっぱいなんだという説明だったように思います。試算とか、面積からすると、どちらでもいいではないかというあれもあるんですけれども、その川を1つ1つ見てみますと、この資料からは1/150のほうが妥当かなという気はします。
 ところが、一歩計画を立てるときに、河道でも、洪水調節施設でも、非常に限界的な状況であるという視点で1/100というものを選ぶというのは、それなりにそうなんだという気がするんです。問題はどこにあるかというと、例えば岐阜というか、その流域の人が1/100という判断をされたときに、我々の流域、地域は1/100なのかと、そんなにしか評価されていないのかということになりかねない気がするんです。
 やはり岐阜周辺のことを考えますと、1/150で守るべき対象でもあるということは、我々も認識しないといけないのかなという気が一方でします。そうすると、結局どこに問題があったのかというと、我々がここで基本高水、あるいは計画高水流量を決めるときに、洪水というリスクに対して、そのリスクをどう回避するかということを考えるのが基本高水だった。そのレベルを示すのが基本高水だと。
 でも、現実にそれだけで守れないところが1つ出てきた。これはほかのところでも多分あって、別の方法があったと思うんですけれども、流域基本高水とか、いろいろな方向に逃げる方法もあった。ここでは、○○委員も言われたように、次の資料にもありましたように、水防と一体だと。水防とか、さまざまなソフトな施策も含めて守るんだということと、1/100はセットになっているんだという説明が前回にも少しありましたし、今回の次の資料も含めてのお話の中ではそうだったと思います。
 そうすると、我々はどう理解するのかというと、岐阜周辺の長良川流域というのは、やはり1/150の安全度を求めていかなければいけない。でも、河川整備基本方針では、いわゆる我々は、少なくとも治水インフラによってそれを達成しようとしてきた。このところは、今後、ひょっとしたら変わるかもしれない、その先駆けにもなっているんだけれども、ほかのものと合わせて、すなわち、ほかの施設であるとか、ハザードマップによる避難とか、水防活用であるとか、いろいろなものを込みにして1/150を担保するように努力する。でも、治水インフラでは1/100の整備目標を持ちましょうという方向になってきたのかなという気がしました。
 これを確実に明文化できるかといったら、私はまだ難しいと思います。これを言い切ってしまうと、いろいろなところで議論が複雑になってくるような事例がまだ出てくる可能性がありますので、言い切るわけにはいかないということもよく理解できますので、きょうの説明でよしとするしかないという気がします。でも、大事なことは、洪水というリスクはどうやって回避するのかというのは、整備施設、治水インフラだけでは守れないということが明確になってきていると。
 水防対策、支援の問題も、ほかのところでも書いています。どうしてここだけ詳しく書くのかということが逆に言えば、変に見えてきます。ほかの川でも当然ハザードマップの作成を急ぎなさいということに対して、基本方針の中に書き込むんですけれども、ここではそれに非常に重点を置いています。ほかのところでハザードマップをつくるときの浸水想定区域図は、基本高水、あるいは計画高水流量を基本にして浸水想定区域を議論して、ハザードマップにします。
 ということは何かというと、基本方針で示しているレベルを、いつできるかわからないから、ここまでを確実に守るためには治水インフラも進めていきますけれども、しばらくの間はハザードマップと併用して守っていきます。だから、ハザードマップの浸水想定区域図の外力も、基本高水、あるいは計画高水流量だったわけです。
 では、ここをどうするのか。1/100の治水インフラの計画にするんだけれども、水防とかソフトの対応は、やはり1/150クラスに対してきちっとハザードマップ対応できる、あるいは水防活動とか、避難とか、もろもろのものを総動員して、そのところまで、すなわち、いわゆる洪水リスク管理を河川管理者はきちっと指導していくという形でかけるということを期待して、きょうのご説明を、次の水防のところも含めてお認めしたいと思います。ありがとうございました。
(委員長)  大変すばらしい着眼のお話だと思います。要するに今まで100の1までは守りますよと、それ以上は不可抗力ですよと言ってきたんだが、100の1を超えたときに何を考えておくのか十分検討しなさいというお話です。後で、3ページのところで輪中堤の保全ということを事務局は提案していますが、大変いい提案だと思います。それによってかなり150の1まで検討ができるんだと思います。
 現在は輪中堤をどう保全するかというのは、また法制度的にはいろいろ問題があると思うので、木曽川でひとつ実現できればいいなと私は委員長として、聞いていて感じました。○○委員はきょうはご欠席ですので、またご見解を聞いていただきたいと思います。
 次に、2ページですが、同じく○○委員、○○委員でございますが、ご意見、いただきたいと思います。
(委員)  私はもう結構です。
(委員長)  わかりました。では、3ページは、○○委員がきょうはご欠席ですが、水防だけではなくて、かなり有効な手法がここに出ています。おそらく1/150を流したときどうなるのやってみると、輪中堤を保全されると、かなりリスクは減少できるのではないかと思います。ただ、制度的には、昭和51年の水害のときも岐阜県ご当局も大変苦しんだ問題でもありますので、法制度的に今後担保していく必要があるかと思います。一応○○委員のご意見も承ってください。
 4ページ、これは事務局からのご提案であります。前回、洪水淘汰時間という発想から提案したけれども、ちょっと流域が5,000km2と大きいので、従前の方式で検討したということで、それなりに合理的なご提案だったと存じますが、また、ほかの委員でご意見があったら、後ほど承りたいと思います。
 5ページ、○○委員、これもよろしゅうございますか。
(委員)  まず、木曽川の基本高水のピーク流量の再検討というのは、私はもともとそちら側のほうがいいのかと思っていたんですけれども、そういうことで新しいデータで結構かと思います。木曽川と長良川の洪水調節をどうするかということが、ここに幾つか書いてございます。その中で気になったことを言いますと、1つは、前も言いましたけれども、現実にどうやって洪水調節分を工夫するのかという話です。十分時間のあることですので、ある意味では実現可能な基本高水の計画高水流量とダム洪水調節への配分がフィジブルなのかどうかという検討で、特に細かいことを言ってもしようがないんですけれども、予備放流方式を採用すると書いてあります。
 予備放流については、昭和40年代にいろいろ問題があるということがあって、だんだん予備放流方式はやらない方向できた。やっているところも県のダム等で非常に大きくて、なおかつ問題を抱えている。それから、大規模豪雨の話で、事前放流の話の検討を緊急的にやったわけですけれども、それを見ても、予備放流の問題点がそのまま残ってきて、事前放流の難しさが再認識されたという中で、予備放流方式を安易に導入するというのについては、かなり時間のある間は検討いただきたいということです。
 もう一つは長良川なんですけれども、長良川のものを見ますと、県ダムの効果の期待、直轄区間でない、いわゆる県の管理区間のところでの遊水機能を生かした洪水調節が入ってくる可能性があります。これについては、やはりこれまで以上に流域、直轄部分と県の河川管理、あるいは地域管理みたいなものを十分連絡をとりながらやっていただけたらなという気がします。やっていただかないと、これからは難しいというのがまさにここに出てきていると。
 私からすると、内ヶ谷なんていうのは、もっと早くから国が注目して、直轄のダムとしてスタートしていれば、遊水機能を生かした洪水管理をしなければならなくなる、いわゆる見捨てなければいけない土地もひょっとしたら救えたかもしれないとか、もう少し早い連携があれば……。だから、昔がだめだったというわけでは決してなくて、昔はそういうスタイルでやってきたんだけれども、今後、特に長良川流域という中では、県と国がきちっと連携してやっていって、さらにポシビリティーを探りながら、よりよい洪水調節というものをやっていただけるようにお願いしたいと思います。
 洪水調節については、今ここで決めなければいけない問題でもないし、これが最終計画でもないし、現実にやっていく中でまだまだ議論しなければならないことはよくわかっていますので、ポシビリティーとしてあるということで今回の説明は結構なんですけれども、そこだけ1点、ご注意願いたいと思います。
(委員長)  これは、○○県ご当局からもありましたけれども、よろしゅうございますか。
(委員)  はい。
(委員長)  では、6ページでございますけれども。
(委員)  ○○県もあるんですけれども。
(委員長)  ○○県ご当局もありましたか。
(委員)  特には。
(委員長)  6ページの左は○○委員でございますが、これは先ほど説明のあった延長ですから、また説明しておいていただきたいと思います。6ページの右ですが、これは○○委員です。
(委員)  これは了解いたしました。
(委員長)  ○○委員からもありましたけれども、きょうはご欠席ですので、説明していただきたいと思います。
 それから、口頭で岐阜県ご当局から説明のありました森林対策の点ですが、ただいまの事務局の説明、よろしゅうございますか。
 それから、○○委員からありました暫定堤防の件についてはよろしゅうございますか。
 三重県ご当局からございました東南海地震についての説明ですが、よろしゅうございますか。
 ○○委員からありました流量配分図は修正したという報告でございます。
 それでは、ただいまの説明に続きまして、木曽川水系の自然環境、正常流量、土砂管理等に関する特徴と課題について、事務局より説明をお願いいたします。
(事務局)  それでは、ご説明させていただきます。資料2、自然環境からご説明いたします。まず木曽川の自然環境でございますが、河川を大きく区分いたしまして、上流域、中流域、下流域、河口域と、そして、特性をそれぞれ整理いたしております。上流域は渓流環境、中流域は瀬・淵、砂礫河原、樹林地。下流域は湛水面、汽水域、ワンド等水際湿地であると。河口域は汽水域、ヨシ原、干潟と、こういう典型性での整理をいたしてございます。
 まず、上流域の河川環境でございますが、今申し上げました渓流環境というものがございまして、支川飛騨川におきましても渓流環境があると。こういった中では、アカザ等の魚類や飛騨川ではアマゴ、オオサンショウウオがいるということでございます。
 中流域におきますと、2つの派川を擁しまして、瀬と淵が連なるような広大な河川敷に砂礫河原や草地、樹林が広がり、ワンドが点在するといった環境でございます。北派川には旧川跡にトンボ池がございます。
 また、下流域の自然環境でございますが、こちらは木曽川大堰がございまして、その上流には広大な湛水面が広がっております。下流には明治の背割堤、ケレップ水制、ワンド等の水際湿地があるということでございます。
 河口域に参りますと、ヨシ原や干潟が点在するという環境でございます。
 次のページ、お願いいたします。それでは、それぞれのところでの課題と対応でございます。上流域におきましては、これは先ほどから出ておりますが、日本ライン、こちらでの治水上の掘削がございます。流下能力の不足で河積の確保がございます。これも景観への配慮が必要という中で、樹木の伐開で地形の改変を行わないということを考えてございます。
 中流域でございますが、こちらは澪筋の固定化がございまして、草地化、樹林化が進んでいる。砂礫河原やワンド等の水際湿地が減少してございます。これに対しまして、著しく繁茂した樹木を伐開し、河道掘削により冠水頻度を上げて、洪水の攪乱作用のもとで水際湿地や砂礫河原の保全・再生などに努めていきたいということを考えてございます。
 下流域に参りますと、こちらも澪筋の固定化、樹林化がございまして、同じような対策を考えていきたいということでございます。
 河口域に参りますと、広域の地盤沈下がございます。これによりまして、消波工を入れてございます。これは地盤沈下により波が超えてくると。そのために消波工を入れております。そして、ヨシ原や干潟が減少してきたということでございます。こちらにつきましては、ヨシの植栽をいたしまして、ヨシ原の再生。水制の設置や土砂の投入などによりまして、干潟などの再生も行っているということでございます。
 次のページに参ります。長良川でございます。こちらも同じように、上流、中流、下流、河口域と、大きな単位、典型性で整理してございます。上流は渓流環境でございます。瀬にはサツキマスの産卵場などもございます。中流域になりますと、岐阜市の市街地がございます。こちらは先ほどから何回も言っておりますが、瀬、淵が連なり、砂礫河原が広がるいい環境でございます。下流域になりますと、長良川河口堰上流には25km付近まで湛水面が広がっております。また、この湛水面から上流にかけましては、ワンド等の水際湿地が点在しているという状況でございます。また、河口域は干潟とヨシ原ということで、また4km付近では揖斐川と合流しているという環境でございます。
 次のページに参ります。こちらは課題と対応でございます。まず、これは上流域の県区間のところでございますが、こちらは河川改修がございます。その際に当たりましては、景観や動植物への配慮が必要だということでございまして、できるだけ改変を少なくするということで対応していきたいということでございます。
 中流域になりますと、これは岐阜市街地でございます。先ほど何度も出ています鵜飼いがされている。また、金華山と一体となった景観がいいところでございます。こういったところでの治水の河道掘削につきましては、配慮が必要だということでございます。こちらは河道掘削に当たって、平水位以上相当を対象に掘削を考えてございます。できるだけアユの産卵・生息場となる瀬に影響ないように実施していきたい。また、できるだけ砂礫河原の保全、再生というものに努めていきたいということを考えてございます。
 中流域のAというもの、こちらはもう少し下流のほうでございますが、アユの産卵、生息している川におきまして、やはり河道掘削が必要になってまいります。こちらにつきましても、掘削に当たっては、できるだけ平水位以上相当で掘削をしていきたいということでございます。
 次、下流域でございます。下流域につきましては、治水上、河道掘削と樹木伐開が必要でございまして、こちらでは小型魚類や種子性植物が生息しますワンド等水際湿地、こちらへの配慮が必要でございます。こちらで河道掘削を行うに当たりましては、平水位以上相当の掘削をいたしまして、どうしても水際のワンド等、消失いたします。これにつきましては、その掘削している形状に配慮いたしまして、ミチゲーションを行っていきたいと考えてございます。
 また、樹林の伐開に当たりましては、魚付林、こういったものはできるだけ保全するということを考えてございます。こちらのワンド等、水際湿地につきましてはモニタリング等を行い、順応的な管理をしていきたいと考えてございます。
 河口域につきましては、高水敷の整備や河道掘削、広域の地盤沈下、それに対応する消波工の設置、こういったものによりましてヨシ原、干潟が減少しております。こちらはヨシ原、干潟の保全・再生に努めたいと考えてございます。
 次に揖斐川でございます。こちらも上流、中流、下流と河口域、そして支川という形で、典型性で整理いたしてございます。上流につきましては、揖斐橋等の渓谷美あふれる河川景観がございます。
 中流に参りますと、扇状地を流れ、流水は全域にわたって浸透・湧出を繰り返していると。特に渇水時には、平野庄橋付近で瀬切れも発生するような環境でございます。瀬と淵が連なり、砂礫河原があるという環境でございます。
 また、下流域に参りますと、こちらはワンド等の水際湿地やヤナギ林が存在してございます。また、もう少し下流に行きますと、ヨシ原が連続して、干潟があるという環境でございます。
 河口域に参りますと、ヨシ原や干潟でございます。自然環境でございますが、根尾川、牧田川では、扇状地を流れ、流水は浸透、また湧出を繰り返していると。揖斐川の中流域と同じような状況でございます。こちらにはハリヨなども生息しているということでございます。杭瀬川は流れが緩やかで、セキショウモ等の沈水植物が生育しているわけでございます。
 次のページに参ります。こちらの対応でございますが、上流は保全するということで、手をつけないような状況がございます。中流域になりますと、床固や堰が多数ございまして、この遡上阻害がございますので、連続性の確保を考えてございます。中流域のAとございますが、揖斐川におきましても澪筋の固定化が進んでおりまして、草地化、樹林化が進行してございます。砂礫河原やワンド等の水際湿地も減少しているということでございます。こちらにつきましては木曽川と同様に、樹木の伐開や河道掘削等で冠水頻度を上げるという中で、洪水攪乱の中で保全していきたいと考えてございます。
 下流域に参りますと、こちらも澪筋の固定化等によりまして草地化や樹林化が進行しているということでございます。これも先ほどと同様の対応で考えていきたいと思っております。
 支川の例でございますが、根尾川での課題と対応でございます。根尾川では、治水上、河道掘削、樹木の伐開が必要になってございます。アユの産卵場となる瀬への配慮も必要となっています。また、澪筋の固定化、草地化、樹林化、こういったことも起こっております。これも、これまでと同様の対応で対処していきたいと考えてございます。
 また、河道内の湧水地周辺には極力掘削を回避し、ハリヨの生息環境の保全に努めていきたいと考えてございます。
 次に、河川空間の利用でございます。こちら、木曽川につきましては、先ほどから申し上げております日本ライン下りや犬山城、鵜飼いなど、水面利用が盛んになされております。また、中流ではアウトドア活動などもされておりますし、木曽川大堰の湛水面ではウィンドサーフィンや水上バイク等の活用もございます。年間約456万人に利用されていると。国営の木曽三川公園がございまして、こちらも年間約830万人に利用されています。また、北派川には自然共生研究センターがございます。これは独立行政法人土木研究所の施設でございます。広い河川敷を利用いたしまして、世界最大規模の実験河川で河川環境の研究を行い、河川管理に反映してございます。
 長良川でございますが、こちらは先ほどから岐阜市での金華山のところ、鵜飼い等がございます。また、河口堰ではレガッタ等の水面利用もございます。年間約134万人に利用されているということでございます。
 次のページになります。揖斐川でございますが、上流域では徳山ダムの上流域、これは約254km2の山林を公有地化することをしてございます。これを踏まえまして、揖斐川の水源地域ビジョンを策定してございます。中流ではヤナが夏の風物詩となっております。また、下流から河口にかけましては千本松原や七里の渡しなど、歴史的な景勝地もございます。年間97万人に利用されているということでございます。下に揖斐川の水源地域ビジョンの展開ということで、さまざまな活動の例を紹介してございます。
 次に、水質でございますが、木曽川三川の水質。高度成長期には本川の水質が一時的に悪化いたしました。しかし、それ以降は改善傾向にございまして、近年では環境基準値を満たし、本川の水質は良好でございます。しかし、支川におきましてはB〜D類型も存在しておりまして、市民の自助努力等とあわせまして、下水道整備や河川浄化施設の設置により水質浄化に努めているところでございます。
 水質の状況につきましては、真ん中の図のところで色分けをしてございます。下には桑原川という支川、これは羽島市でございますが、こちらで下水道の普及率とともに水質の目標値を達成に向けて努力しているという状況をご紹介いたしております。
 次に参ります。水利用でございます。こちらは中京圏の都市用水の需要の増大、地下水採取による地盤沈下、こういったものに対応するため、木曽川水系では牧尾ダムや横山ダムの整備をいたしまして、あわせまして、また木曽川水系水資源開発基本計画(フルプラン)を策定し、計画的に水資源開発施設を整備してまいりました。
 年表がございますが、水資源開発の経過というところに、最初に木曽川の三川協議会を35年に発足いたしまして、その後、フルプランを43年につくり、3回の改定をしていることがここに書いてございます。
 また、地盤沈下につきましては、昭和35年から昭和60年代にかけまして進行しているということでございます。
 都市用水の推移、これは下にございますが、都市用水の需要がどんどん増大してまいりました。これに対応いたしまして、図にございますが、下のところ、計画的に水資源開発施設を順次整備し、徐々に対応してきたということでございます。
 この右上でございますが、木曽川水系における水利権量と主な利水の受益地域でございます。木曽川水系では水の利用がたくさんされておりまして、産業・人口等の集中する中京圏への流域を超えての供給がされているということでございます。主な利水の受益地はこちらの図でございますが、三重県や知多半島、こういったところまで水が行っているということがわかるかと思います。また、利用といたしましては発電用水が非常に多くございます。また、農業用水も非常に多いようでございます。
 次、地盤沈下の抑制でございますが、地下水採取の規制や表流水への転換によりまして、近年では地下水位が回復し、地盤沈下量も鎮静化してございます。このグラフを見ていただくとわかるように、近年鎮静化している状況でございます。
 次のページに参ります。今度は渇水についてでございます。中京圏におきまして渇水が頻発してございます。近年におきましても、平成8年から平成17年までの10年間のうち14回の取水制限を行ってございます。平成6年には既往最大規模の渇水が発生いたしまして、市民生活・社会経済活動・河川環境等に甚大な被害を与えてございます。被害の状況はこちらに書いておりまして、例えば9市5町で水道が最長19時間の断水があったり、工業では約303億円の被害が発生したりしてございます。
 次に、下に参りますが、ダム等の安定供給可能量の低下。ダム等が計画されました昭和20年から40年代に比べまして、近年少雨傾向でございまして、年間降水量のばらつきも大きくなってございます。これは横のグラフを見ていただきますとわかりますように、大きなばらつきで渇水が起こっているという状況もわかります。
 これによりまして、ダムからの安定供給可能量が低下しているということでございます。もともと計画当時の開発水量、88m3/sあったものが、昭和54年から平成10年で見てみますと52m3/sと、約4割低下してございます。近年、最大渇水は平成6年になりますと約7割低下していると。貯金が目減りしているような状況でございます。
 それから、渇水時におけるダム分の総合運用でございます。渇水になりますと、ダムで枯渇するものが出てまいります。こういったものに対しまして、ダム群として総合運用いたしまして、効率的・効果的な水の補給をしていくということを考えてございます。牧尾ダム、岩屋ダム、こういったダムの利水容量の低下に伴いまして、段階的に節水は強化していきますが、枯渇のおそれが生じる場合には、後発でできました阿木川ダム、味噌川ダム、これを加えた4ダムを1つのダムとして運用いたしております。これをプール運用と言ってございます。余裕のあるダムから需要地に補給するなどいたしまして、牧尾ダム、岩屋ダムの枯渇を回避するといった運用をしてございます。
 次に、利水供給と流況の安定化に資する事業でございます。これは将来、これからの事業でございます。木曽三川をつなぐ水路の整備によりまして、広域的、また効果的な流水のネットワークの構築をしたいと考えてございます。これによりまして利水の安定供給、流水の正常な機能の維持を図るということでございます。
 真ん中の図がございます。ちょっと色がついてわかりにくいかもしれませんが、徳山ダムから下に赤で点々と書いてございます木曽川水系連絡導水路というのがございます。これが三川をまたいでいくということでございます。徳山ダムの黄色い線でございますが、この水がまた徳山ダムの緊急水という緑の点々が流れていく、それぞれの河川に導水されるという計画でございます。
 木曽川水系導水路につきましては、現在実施計画調査中でございます。目的といたしましては、異常渇水時の緊急水導水による河川環境の改善等、また新規利水の導水ということでございます。参考と書いてございますが、導水路が整備された場合の揖斐川の万石、木曽川の成戸地点における流況の確保状況でございますが、揖斐川では平成6年規模の渇水でも万石で20m3/sの流量が確保できるということでございます。赤いところでございます。それから、木曽川におきましては、平成6年規模の渇水でも成戸地点において40m3/sの流況を確保できるということでございます。
 次は流水の正常な機能を維持するため必要な流量の設定でございます。正常流量でございます。利水の歴史的経緯をご説明いたします。これは昭和17年に今渡ダムの建設に際しまして、発電事業者や農業関係者との協議によりまして、今渡ダム100m3/sの制限流量に合意いたしてございます。これは下流の流況へ悪影響を与えないということで貯留制限をかけたわけでございます。
 その後、昭和40年に木曽川三川協議会におきまして、水資源開発の基本となる木曽川三川の基準地点と基準流量を設定しています。今渡地点100m3/sの踏襲、下流の漁業に配慮しました木曽川の成戸地点、50m3/sを設定いたしました。それとあわせまして工事実施基本計画、こちらにおきましては、流水の正常な機能を維持するために必要な流量を今渡地点で100m3/sとしてございます。現在、今渡地点100m3/s、木曽成戸50m3/s等は利水計画の治水及び貯留制限流量として現在も運用しているという状況でございます。
 基準地点は、これもございまして、今回も今渡と考えてございます。
 正常流量の設定でございます。こちらにつきましては、まずA区間、B区間と分けておりますが、区間ごとに、また、かんがい期や非かんがい期と期別で検討を行っております。今回はA区間の@というのが図にございますが、動植物の生息地、または生育地の状況、こちらから検証して決定してございます。検証といいますのは、木曽川の大堰の放流量50m3/s、これは先ほど成戸地点、下流の漁業に配慮した木曽成戸50m3/sを昭和40年に設定したのでございますが、これの50m3/sにつきまして、まず検証いたしております。
 流量と塩素イオン濃度の関係をここでは確認しております。ヤマトシジミの斃死が発生しないという流量、これが木曽川大堰の放流量でどれぐらいかというのを見たわけでございます。これは平成17年のデータでございますが、おおむね50m3/sぐらいのところから、大きい流量でありますと11,600r/l、赤い線が引いてございますが、大体これ以下になります。こちらがヤマトシジミの生息の目安になってございまして、これ以下になるということが確認できるということでございます。
 こういう意味で、下流の漁業に配慮した木曽成戸50m3/sという意味がわかるわけでございます。歴史的な経緯を踏まえまして、ここでは木曽成戸地点50m3/sとしたところから、今渡地点で基準地点を設定しておりますので、この50m3/sから水利権量、支川の流入量等を加えまして、今渡でかんがい期、150m3/s、非かんがい期では78m3/sとして設定いたしております。こちらにつきましても、今後既設の施設を有効利用すること、また、水利用の合理化を促進すること等によりまして、必要な流量の確保に努めるということでございます。
 次に長良川でございます。長良川の歴史的経緯でございますが、こちらも三川協議会におきまして、まず長良川河口堰が位置づけられました。昭和38年から43年につきまして環境調査をいたしております。ここで仔アユ遡上を含め、魚道放流量が検討されております。魚道の放流量でございますが、アユの遡上期に11m3/s、その他4m3/sと設定いたしております。河口堰の維持流量として考慮した結果、長良川河口堰の開発量は22.5m3/sと設定したということでございます。
 工事実施基本計画におきまして、正常流量につきましては調査検討の上決定するということでございます。工事実施基本計画では設定はまだされておりません。
 今回、基準地点でございますが、忠節地点に設けました。これは河口堰の湛水域の影響範囲より上流に位置していると、長良川の流況を代表できる地点として忠節点を選んでございます。
 正常流量の設定でございますが、こちらも各区間で検討しております。こちらは、図を見ていただきますと、赤の@と緑のCの2点から忠節地点の正常流量を決定いたしております。@につきましては動植物の生息地、または生育地の状況、魚の移動・産卵から必要な流量から26m3/sというのを設定しております。また、舟運につきましても、長良川の鵜飼い区間における大型観光船が運航できる最低限の水位、これを長良橋で見ておりますが、この流量として26m3/sが必要だということから、忠節地点の26m3/sというのが通年で必要だということで設定いたしております。
 次に揖斐川でございます。揖斐川の歴史的経緯でございますが、こちらも三川協議会におきまして、下流の漁業に配慮した万石30m3/sというのを設定してございます。また、工事実施基本計画におきましては、万石地点において必要な流量はおおむね30m3/sと想定されるが、なお調査検討の上決定するものとしたと。こちらでも決定はしてございません。こういったことから、万石地点を今回正常流量の基準点として検討いたしております。
 正常流量の設定でございますが、こちらも下流のヤマトシジミ、こういった動植物ということから検証してございます。これは万石地点と下流の8kmの地点、ヤマトシジミの生息している地点でございますが、こちらとの関係のグラフを下に入れてございます。おおむね30m3/sのところより万石地点の流量は大きいと、先ほど言いました11,600r/lよりも塩素イオン濃度は小さくなるということで、昭和40年の三川協議会の下流の漁業に配慮した万石30m3/s、これのヤマトシジミとの関係で検証ができたところでございます。歴史的な経緯を踏まえまして、万石地点、維持流量30m3/sということで決定させていただいております。
 次に、土砂の動態でございます。土砂につきましては、それぞれ経年的に整理してございます。昭和40年代から50年代にかけまして、中上流区間では砂利採取等による影響、下流区間では河道しゅんせつ、砂利採取、地盤沈下等によりまして、河床は大きく低下してございました。下流区間では、昭和60年代以降、中上流区間では平成9年以降、河床はおおむね安定してきてございます。
 しかし、澪筋が固定化されることによりまして、水衝部や砂州の影響で水流が集中し、局所洗掘が近年では発生しているということがわかります。おおむね河床は安定しているんですけれども、動的平衡が失われまして、澪筋の固定化が進んでいるといった状況でございます。今後ともモニタリングを継続していくということで対処していきたいということでございます。
 長良川につきましては、昭和40年代から平成10年ごろまでは上流区間では砂利採取、中下流区間では河道しゅんせつ、砂利採取、地盤沈下によりまして、やはり河床は大きく低下してございます。平成10年以降、全区間において河床はおおむね安定してきているという状況でございます。下流の河道しゅんせつ区間につきましては、その中でも、掘ったものに対してリバウンドとして一部堆積してございます。また、湾曲の外湾側とか、水衝部におきましては、局所洗掘も一部出ているという状況でございます。
 次のページになります。揖斐川でございます。揖斐川につきましては、やはり昭和40年代から平成初期にかけまして、中上流区間では砂利採取等による影響、下流区間では河道しゅんせつと地盤沈下により、河床が大きく低下したわけでございます。上・中流区間では、平成初期以降、下流区間では平成10年以降で、河床はおおむね安定傾向でございます。河道しゅんせつ区間では一部堆積が出ております。これもリバウンドが出ている状況でございます。
 こちらの問題も澪筋が固定化してきていると。河床はおおむね全体的に安定しておりますが、動的平衡そのものが失われておりまして、澪筋の固定化が進んでいるという状況でございます。今後ともモニタリングを継続していきたいと考えてございます。
 ダムでございますが、丸山ダムでは堆砂が進行しております。しかし、堆砂容量及び死水容量内に土砂が堆積しておりまして、ダム機能は維持されております。横山ダムにおきましては、土砂掘削により洪水調節容量の確保に努めているという状況でございます。下にグラフを入れておりまして、経年変化がわかるかと思います。
 河口部におきましては、経年的にも河口閉塞は生じていない、大きな浸食、堆積の傾向もないということでございます。ただ、揖斐川、長良川の右岸側では、横断図を見ていただくとわかりますが、平成9年度に河道しゅんせつを実施しており、河床は低下しているという状況でございます。
 最後に、長良川の河口堰の概要と経緯につきまして、簡単に、これはご報告という形でございます。長良川の河口堰につきましては、こちら、まず概要がございますが、目的といたしまして、洪水防御、水道用水の供給、工業用水の供給ということでございます。下に長良川のしゅんせつと塩水遡上の影響と書いてございます。これは、しゅんせついたしまして川底を全体に下げますと、河口から15kmのところにマウンドというのがございますが、これもこういうことになりまして、塩水が上流に上がっていると。治水として河道の河積を確保いたしますと塩水が入るということで、潮どめ堰が必要だということでございます。経緯はこちらにあるような状況でございまして、これを見ていただけたらと思います。
 次に、運用開始から10年間の評価のまとめでございます。これは運用後、長良川河口堰モニタリング委員会、中部地方ダム・河口堰フォローアップ委員会、中部地方ダム等管理フォローアップ委員会、こういったところの指導・助言を得ながら調査を実施してまいりました。平成17年3月に、10年間の調査結果を審議いたしまして、フォローアップ調査が的確に行われていること、事業目的である治水効果・利水効果が発揮されていること、環境面においても堰運用開始後の環境の変化がおおむね安定していることから、総じて問題のないことを中部地方ダム等管理フォローアップ委員会において確認したということのご報告でございます。
 治水につきましては、水位低下の効果とか、水防活動の軽減効果という中で、所定の効果を発現しているということでございます。平成16年の洪水でもピークの水位は2mぐらい低下してございます。
 利水につきましても、新規利水、既存用水の取水の安定化という中で、新規利水についても効果を発揮しておりますし、既存用水の取水の安定化にも効果を発揮しているということでございます。下にあるのは愛知用水給水地域の渇水状況でございますが、知多半島では河口堰の運用開始以降、取水制限がないということで効果を発揮してございます。
 塩害、浸透水対策でございますが、塩害防止につきまして、塩化物イオン濃度の経年変化のグラフを載せております。河口堰運用によりまして、長島輪中内においては表層地下水の塩化物イオン濃度が減少したという評価をいただいております。ただ、課題といたしまして、高須輪中No.18付近の表層地下水の塩化物イオン濃度が継続的な減少傾向を示すまで引き続き調査を実施すると。下にグラフを入れておりますが、少し高い状況が続いておりまして、今後、減少傾向を示すまで引き続き調査を実施するということが言われてございます。
 また、輪中への浸透水対策につきましては、評価といたしまして長島輪中及び高須輪中においては、問題となるような地下水位の変動は認められないということでございます。
 次は環境でございますが、水質でございます。環境基準達成状況でございますが、河口堰の運用は環境基準達成状況に悪影響を及ぼしていないと。水質の経年変化、これは下にBOD、総窒素、総リン、次のページ、DO等を載せてございます。河口堰の運用後、堰上流側の水質は悪化していないと。総リンの減少は今後の富栄養化現象の発生リスクを低減させると考えられると。課題といたしましては、夏期の渇水が長期化した場合には、低層のDOが低下する可能性があるということが言われてございます。
 次のページに参ります。今度、上から水質で富栄養化現象がございます。こちらの評価でございますが、堰上流水域において夏期にクロロフィルa、及び藻類が増加する傾向があるものの、経年的に増加はしていないと。燐の減少に伴い、今後は減少していく可能性が考えられると。藻類の異常発生による利水障害が発生する可能性は低いと言われております。また、夏期の渇水が長期化した場合には、藻類が増加する可能性があると言われてございます。
 次は底質でございますが、底質の経年変化と出水の影響でございます。下に同じようなグラフが2つございますが、左側が堰の下流、右側が堰の上流でございます。長良川は基本的に堰が上がりますと出水によって川の状況になります。底質が改善されるということです。湖沼において見られるように、経年的に底質悪化が継続することはないと言われております。底質の課題といたしましては、今後も底質の挙動の把握を継続していくということでございます。
 次は生物でございます。アユの遡上状況、仔アユの降下状況、両方とも現状では影響は認められないということになってございます。サツキマスでございますが、こちらの遡上状況は、遡上数の減少に対しまして河口堰が影響した可能性は小さいと。木曽三川すべて、近年減少傾向がありまして、下にも長良川の入荷量の比率がございますが、長良川の比率が下がったということはございませんということでございます。
 それから、底生動物でございますが、底生動物の生息状況の変化はおおむね収束しているということでございます。ヤマトシジミにつきましては、堰を閉めましたら、当然淡水化いたしまして、いなくなったという結果が出てございます。
 最後のページはその他の、今ご紹介しましたもの以外の委員会からの検証結果を載せてございます。以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明並びに、先ほどの補足説明等についても含めまして、ご意見、ご質問をちょうだいしたいと思います。まず、地元の有識者としてご出席の○○委員からお願いいたします。
(委員)  自然環境ですが、木曽川、長良川、揖斐川と、中下流域で樹林化、陸地化が進んでいるというのが1つの大きな問題、これからの課題だろうと思います。それに対して、そういったところを掘削してということですけれども、その際、治水対策としての河床掘削とどう折り合いをつけながらいくかというのが、1つの課題ではなかろうかと思います。特に、この下流でのワンドというのが1つ、長良川と木曽川の背割のところに形成されているワンド群、この環境の保全というのも1つポイントになろうかと思います。
 これは成戸での正常流量にも関係してくるのかと思いますし、冠水頻度が下がっているという問題、澪筋が固定化されているという問題、これが全部かかわってくるのだろうと思います。正常流量の話でいきますと、11ページで特に木曽川の動植物の生息地の状況から50m3/s、これは歴史的な経緯もあるとは思うんですが、それで、このデータから50m3/sというのを検証されているんですが、やはりこのデータでは無理があるかなと。もう少し説得力があるデータの積み重ねが必要ではなかろうかと思います。
 それから、ヤマトシジミで検証されていますが、それ以外の動植物から見たときにどうかという視点も必要ではないかと。特に、先ほど言いましたワンド群における動植物、そういったものの生息にとって、果たして50m3/sが妥当かどうかという視点での検証も必要ではないかと思います。
 利水に関してい言いますと、先ほど、10ページですが、渇水時におけるダム群の総合運用と、木曽川水系の連絡導水路によるネットワーク化ということで、渇水時における安定的な水供給を確保していくということでございますけれども、特に木曽川水系の連絡導水路によるネットワーク化というのは非常に効果的ではなかろうかと思います。これはできるだけ早急にこうしたネットワーク化を進めて、渇水に対応していただければと思います。
 これは水利用とは……。よろしいですか、水利用。
(委員長)  どうぞ。
(委員)  総合運用ということですけれども、先ほど木曽川水系での基本高水が19,500m3/s、上流貯留施設等で6,000m3/sのカットということですけれども、その中で2,200m3/sが既設ダムの運用等によるカットと。その際にかさ上げとか、事前放流というお話がありました。ここでも2,200m3/sがほんとうにできるかどうか、話は別として、ここにも総合運用、ダム群の木曽川の場合には飛騨川と木曽川本川にたくさんのダムがあります。それも利水もダムもあるわけですけれども、これらの総合運営、統合運用を図ることによって、木曽川と飛騨川のピークを少しずらしてやることによって、いわゆる見かけ上の洪水調節は可能ではないかと。そういった、渇水時における利水面だけではなくて、洪水調節という面での総合運用も今後ご検討いただければいいのではないかと思います。そんなところです。
(委員長)  今の時点で、いいですか、事務局から。正常流量のお話などがございましたけれども。
(事務局)  データが少ないというのは、そのとおりでございまして、平成17年のデータで検証しました。これは、基本的には下流の漁業への影響という歴史的な経緯の中から、今回の正常流量というのは考えたわけでございますが、やはり、その裏づけといたしまして少しデータをとって見てみたということでございます。
 また、ワンドと正常流量との関係ということでございますが、これもまた大変難しい課題というか、テーマだと思います。これについて、また正常流量というよりはワンドを保全していくという中で検討すべき重要なところだと思いますので、これは勉強してみたいと思います。
(委員長)  それでは、同じく○○委員のほうからお願いいたします。
(委員)  それでは、木曽三川、下流側で水を利用しております利用者として、3点ほどお話をさせていただきたいと思います。
 第1点目は、木曽三川全体に関するお話ですけれども、私ども下流にある名古屋大都市圏は、この木曽三川の水を活用して大変な発展をしてきておりまして、大変感謝するわけでございます。そういった点で、森林の保全や上下流交流などに努めてきているわけです。そういった話の中で、この徳山ダムが完成に近づいて、導水路の整備ということ、早期着工が望まれているわけですが、この導水路によって、今○○委員のほうからも話がありました、木曽三川がつながるということでございます。
 こういった木曽三川全体、一体的な有効な利用が必要ではないか。三川の総合的な水運用の検討をする時期に来ていると考えておりますので、こういった具体的な運用方法について地域全体で検討して実現していくことが必要と考えておりますので、国におかれては主導的な役割を期待していきたいと思っております。これが第1点でございます。
 それから、第2点は、今の木曽川の維持流量、正常流量の変更に関してでございます。正常流量は今渡地点で現行の100m3/sから、夏場150m3/s、非かんがい期に80m3/sに変更するというお話でございました。これは、維持流量から積み上げて水利権量だとか、支川流入量などを加味して正常流量を150m3/sに変更するということでございますけれども、先ほどの事務局の説明にもありましたが、木曽川水系の水運用は長い歴史の上に立っておりますので、現行、今渡100m3/sという基準があります。その点、引き続き、具体的な運用としては、維持されることが重要と考えております。これが2点目でございます。
 3点目でございますけれども、今回のきょうの資料を見せていただきますけれども、河川環境であるとか、広域的な水利用に十分な配慮がされているという点で評価できると考えております。私ども、都市のまちづくりという点で考えますと、名古屋をはじめといたします都市部において、潤いのある水辺環境の創造がますます重要になってくると考えております。そういった意味で、名古屋市では引き続き関係者の皆様方の理解を得て、都市内河川の浄化と水環境の改善に努めていきたいと考えております。
 こういった都市内河川の浄化のためには、広域的な視点で環境用水の利用の促進にかかわる検討が必要と考えておりますので、引き続きご尽力いただくよう、要望させていただきたいと思います。
 以上、3点お話をさせていただきましたが、この3点に配慮した基本方針をぜひお願いしていきたいということでございます。以上でございます。
(委員長)  今渡が150と78という話と、今まで100で運用してきたという話とは、どういうことになりますか。
(事務局)  今渡は100m3/sというのは貯留制限でございまして、これはこれからも維持していくということで、正常流量は別の概念でございますから、こちらは分けて考えていきたいと思っております。
(委員長)  そこは丁寧に説明していただく必要がありますね。目標とする確保流量と貯留制限流量とか、流量の性格を明らかにするようにお願いしたいと思います。
 それでは、河川工学の立場から、○○委員、お願いいたします。
(委員)  それでは、細かいことなんですけれども、維持流量は多分議論されていたことだと思うんですが、正常流量ですね。12ページ、左側にまとめていただいているのは歴史的な経緯の中で、長良川のアユ遡上期11m3/s、その他4m3/s。アユ遡上期11m3/sというのは、今のこの正常流量の議論には使っていないんですね。もう少し上流の動植物の生息地のほう、すなわち@で決めて、下流に向かって計算されているんですけれども、長良川河口堰でのアユ遡上期11m3/sという歴史的に位置づけられたものからカウントすると、どうなるんでしょう。それが1点です。
 もう一つは、今ご要望がありましたけれども、木曽川水系連絡導水路について、10ページに、揖斐川で万石の20m3/s、成戸で40m3/sの流況確保というのは、先ほどの正常流量の足らない分がここに書いてあると見るんでしょう。万石の正常流量も、成戸の正常流量も、先ほど議論がありましたように158m3/sと、七十何m3/sとありましたね。この40m3/sというのは、今回確保すべき水量、これだけ分が木曽川水系連絡導水路で確保される分なのかということが、この文章から読み取れない。
 すなわち、木曽川水系連絡導水路に期待されているものは何なのか。正常流量がそれぞれの川でどれだけで、どれだけが現実に不足していて、どれぐらいの規模のものをこの連絡導水路によってやろうとしているのか、ざっくりとした目安をお願いできるでしょうか。
(委員長)  お答えください。
(事務局)  まず、11m3/sについて、これは22.5m3/s、開発量との関係がありまして、11m3/sの漁道からの流量プラス22m3/sがあったとしても、忠節に26m3/sあれば大丈夫だということにはなってございます。決めているのは、先ほど言いましたように、上流の動植物と舟運から忠節は決めていると。
(委員)  開発水量22.5m3/sを長良川河口堰で引き抜いたとしても、11m3/s確保できますか。若干不足するような……。
(事務局)  これはできるということでございます。
(委員)  そうですか。
(事務局)  それから、木曽川導水路、きょうご説明しましたのは、緊急水の補給で渇水時、つまり正常流量ではなくて、1/10以上の緊急渇水時によって万石での20m3/s、成戸での40m3/sを確保するということでございます。万石での20m3/sは、やはり徳山ダムの不特定とか、こういったものによりまして正常流量の確保は今後考えられていきますし、木曽川の成戸地点での40m3/sにつきましては、新丸山ダムとかを合わせまして確保していくようなことになってまいります。
(委員)  計画論上の正常流量の確保だけではなくて、緊急渇水時対応も含むということで、大体規模が決まるということと思えばいいわけですか。
(事務局)  緊急渇水時対応として、渇水対策容量を持っておりますので、これは緊急渇水時に配分できる容量ということです。
(委員)  緊急渇水時というのは10年に一度とか、そういう規模の渇水時に。
(事務局)  10年に1度以上ですね。平成6年とか、こういう大きな渇水時において水が足りないというときに使うということです。
(委員)  そのときに期待される必要量というのは、1/10規模よりも異常な事態も想定されているということと思えばいいですか。
(事務局)  1/10以上の異常な事態に備えての水を送っているわけです、今。正常流量とはふだんの1/10渇水程度、それではなくて、概念が違って、それ以上の渇水のときに。
(委員)  それはできるのかな。1/10渇水という確率事象が起こったときの足らない量というのはカウントできるでしょうけれども、1/100という非常に大きな規模の渇水が起こったときに必要とする量というのは、いまだカウントしたことがないですね。1/10以上の渇水、全部の期待値みたいなものは計算したことがないような気がするんですけれども。
(事務局)  ここでは、平成6年規模の渇水で見ております。
(委員)  よろしかったんですけれども、先ほどのをこだわっているんだけれども、長良川の河口堰、30m3/sぐらいありますね、12ページ。30m3/sぐらいしかないですね。ここから22.5m3/sを引いてしまったら、8m3/sぐらいしか残らないと思うんだけれども。
(事務局)  これは、4m3/sぐらい需要が発生していますので、それでいくと……。これは、発生している分4m3/s抜いていますので。
(委員)  残りは18m3/sぐらい。
(事務局)  はい、残りが18m3/sぐらいになります。
(委員)  わかりました。了解しました。済みませんでした。
(委員長)  ちょっと丁寧に。今の緊急で1/100なんていう話、説明の仕方だと、100年に1回までやるんですかというふうにも受け取れますので、既往の渇水があり、あるいは、徳山ダムにそれぞれのユーザーが乗っている人たちに水が届く必要もありますね。ですから、正常流量だけで説明がつかない部分はあると思うんです。そこはちょっと丁寧に説明していただきたいと思います。
 それでは、河川工学のほうから○○委員、お願いいたします。
(委員)  私も木曽川水系連絡導水路で、揖斐川、このネットワークというのは非常に流況の安定化、渇水対応も含めて大きな事業だろうと思って、関心を持っているんです。この揖斐川の水を長良川、木曽川等に、もちろん平常時も何m3/sか入れる。それから、緊急渇水時は、我が国で本格的な渇水対策容量を持つダムでもありますので、その渇水対策容量をどうためておくのか、運用。これはあまり循環しないのか、ためておくのか、そういったそれぞれの水路、河川に落としていくときに、それぞれの川については先ほど少しかかわるものとして、水環境の改善にももちろんなると。
 同時に、今度、こんなことはあまりないのかもしれませんが、揖斐川の水を木曽川とか、しかも、流量の少ないときに渇水対策容量として持っている徳山ダムの内実が、そういったほうり込まれたときの生態というか、そういうとこら辺には当然検討されているんだと思いますが。そのあたり、今後、利水、安定供給及び流水の正常な機能維持を図る上において、非常に効果的な流水ネットワークになると思っておりますので、そのあたりは当然検討されているんだと思いますが。
 これぐらいの近場の川でそういった形のものを、ほとんど同じ流水だというふうに見られるのだろうとは思うんですが、若干、表日本の川、裏日本の……。太平洋側のやつは落とすときに結構そういった話も聞きますので、ここら辺は生態とか、水質を十分検討されている上でこういったネットワークをできるだけ早く、水量の安定供給、流水の正常な機能の維持を図る上においても、重要な事業施設でもありますので、よろしくご検討の上、早急に進めていただければと思っております。以上です。
(委員長)  主要なところについては、○○委員との質問もあわせて、次回、資料をお願いいたします。
 ○○委員、お願いいたします。
(委員)  3点、お願いいたします。1番目は、今の木曽川水系連絡導水路の件で○○先生がおっしゃられたところの続きになりますが、生態系というか、生物がこの流域をまたがって移動し始めることになって、そこがまざることに対して生物系の先生のご了解というか、どういうご理解になっているのかなと。遺伝子レベルまでとは申しませんけれども、まざるのではないかと。
 それから、いろいろな寄生虫等の病気が河川で全部違っていますのがまざる可能性がある。そこについてはどういうふうにお考えなのかというのを、教えていただきたいと思います。それが第1点目です。
 第2点目は、維持流量、あるいは正常流量で結構なんですが、ちょっと私自身が理解できていないのでお教えをいただきたいのですが、維持される確率年と生物保全の関係性についてお教えいただけたらと思います。
 第3点目は、きょうの前半のところのお話で、確率年を設定する場合に、総合的判断でやったというご説明をいただいたんですが、事務局の方の頭の中にある総合的判断の方程式を教えていただけたらありがたいと思います。例えば、守られている資産量に対してとか、あるいは、あふれたときの被害金額とそのコストの関係とか、そこのところの方程式を少しご説明をいただけたらありがたいと思います。以上でございます。
(委員長)  さて、総合的判断というのは難しいですね。今まで挙げた項目の最後ということになると思いますが。1つは、歴史的な経緯もあると思います。それらを含めて、次回整理していただきたいと思います。
 では、○○委員お願いいたします。
(委員)  環境のところの2ページあたりから、どの川も中下流では樹林が固定化していると。それを河道掘削により冠水頻度を上げるというご説明がございました。ただ、前回のご説明では、流下能力が不足しているから河道を切り下げるというお話は必ずしもなかったような気がいたしますので、これは純然たる環境対策上のお話なのかなと思いますが。
 それに関連して、結局、計画的におそらく河道を下げてきた結果がこうなっているんだろうと思いますが、それに対しましても、動的平衡が失われているというご説明がございました。この動的平衡とおっしゃった意味がどの程度の区間を対象にして、頭に置いておっしゃっているのか。もし全域ということであれば、当然ながら、堰とか、ダムとか、そういうもののお話もなければいけないんでしょうし、影響といいましょうか、一番最後の土砂のところに2つのダムの例がございました。掘削しているダムというのもご紹介がありました。全体として、そういう土砂の動態を取り戻すための努力というのをどんなふうにお考えなのか。今の河道掘削との関連は全く切り離して考えていいのかどうか、その辺のご説明をいただけたらと思いました。
(委員長)  これも次回でよろしゅうございますか。
(委員)  はい。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  利水関係でちょっとお願いいたします。資料にありますとおり、非常に渇水が多い。外から眺めて見ますと、ダム開発は水利権分はあるはずなのに、何で毎年渇水があるんだろうと、こういうふうに感じてしまうわけです。今回の資料では、計画当初の設計の開発水量より、近年のデータによれば、ずっと安定供給できる水量が少ないと。10ページですと、4割、60%しかないんだということでありますし、平成6年だと30%しか供給できないという資料が出ました。
 これは今までになかったような計算でありまして、非常に結構だと思います。でありますが、ここで使われているいろいろな数字というのは、あくまでも許可水利権と、その他いつもの水利権であります。渇水のときというよりも、常時実績の数字で計算したものではないから、実際に渇水で取水制限が起きるところのシミュレーションにはあまりなっていない。つまり、どういうことかといいますと、水道でも、工業用水でも、計画需要量より実績はかなり下回っている。それでありながら、渇水を起こしてしまう。といいますと、この4割とか、7割とかいう数字が、どうも頭上の計算ではないかという気がして仕方がないんです。
 もし、できれば、実績取水から、別の年でやらないとだめなんでしょうけれども、取水制限を受けている場合は計算が違ってきますので、そういうところから眺めてみたほうがいいように思います。だけれども、非常に参考にはなります。
 平成6年当たりでも、結局、工業用水と農業用水は最大で約7割の制限率でありました。ただし、ここにもちょっとマジックがあって、こういう取水制限率というのは実績からの制限率のはずでありまして、いわゆる水利権量からの節減、制限率ではない。ですから、計算の仕方ではシミュレーションがいろいろ変わってくるのではないかと思って、非常に気にしているわけです。
 今後、こういうシミュレーションを、さらに導水路ができたとか、そういう場合に今までの実績があるわけですから、できれば、そういうシミュレーションをやっていただければなと。そうしたら、私どもは安心していろいろな水利用が可能になるという気がいたします。多分やっておられるんだろうとは思いますけれども、あまりにも公的な数字と比べて渇水の頻度が高過ぎる。当然のことながら、総合運用をされて被害を軽減しているわけですけれども、それをもうちょっとダイナミックにお願いできればということであります。ほとんどがお願いです。こういうのは、わかりませんでしょうかということであります。
 ちょっと余計なことを申し上げますと、このいろいろな図で非常に気になっているんですが、つまらないことなんですけれども、この三川の分かれている波線がありますね。これが、例を言いますと、資料1−2の4、その他どこでも出てくるんですが、4ページですが、非常に大きな波線のように書かれております、昔からの習慣だと思うんですけれども。これ、波線を書く必要はあるんでしょうか。そこの流量はどっちみち合算した流量ですし、全部こうなっています。3つ書いてありますので、えらいでかい破線のように見えてしまいます。これは余計なことです。以上です。
(委員長)  それでは、連絡水路のほうは次回の資料の中で説明をお願いしたいと思います。
 ○○委員、お願いいたします。
(委員)  木曽三川のこの地域、ご説明にもありましたように、非常に歴史的にもいろいろな経緯を経て現在の運用が現地で決まっているというようなところがございます。そういう意味では、今回の正常流量の設定などにつきましても、いわゆる取水制限、または貯留制限等、もう決められているようなものはあまり動かさないで、それをベースにして積み上げていただきたいと思っております。
 渇水の話、大分いろいろございまして、それぞれの川ごとにその川の利水調整委員会なり何なりというのが、もう何回も。毎年のように、ここら辺ですと、豊川筋等はやっているんですけれども、そういう中でそれぞれの対応の仕方というのもかなり安定してきているんだろうと思っております。
 その中で今回、木曽川水系連絡導水路という、これは今実験をやっておられるんでしょうか、近々具体的に走られるということでございますけれども。まさに川をつないでしまうといいますか、徳山の水をほかの2川に持ってこられるようなことでございまして、非常に有効な手段だろうと思っております。
 ただ、この場合に、その年が異常かどうかというのは後にならないとわからないわけです。実際にどういうふうに、どういう状況のときに、どう持ってくるのというような、そこは、例えば揖斐川筋のほうが水がないときに徳山ダムに持っていったりするというのも、なかなか難しいだろうと思いますし、そこら辺の実運用のお考えでもありましたら、教えていただければと思います。以上でございます。
(委員長)  ○○委員はよろしゅうございますか。
(委員)  せっかくの機会ですから、いいですか。鵡川の関係について終わったわけでありますけれども、共通して、災害における基本的な考え方で、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。
 国が管理する1級河川の増水時における後背域の守らなければいけないものについて、お伺いさせていただきたいと思います。鵡川の場合を例にとりますと、山があり、川があり、海があると。増水時における非常に膨大な量の汚濁水の影響が、結果として海に流れる。そこで生活している者を守らなければいけない、財産というものが、こういう環境整備、あるいは河川の整備計画の中になかなか表現されづらいという気分があるわけであります。
 特にそれを生活の糧にしている者たちにとっては、ある意味、シシャモは随分表現としては大事なものという評価があるんですけれども、同時進行で守らなければいけないものが仮にあったとしたら、管理しなければいけないところで何か探って出てきやしないのかなと、そんな気がするわけであります。
 どこの川でもそうでありますが、災害時における汚濁水の影響ということについては、いろいろな分野で大きな被害をもたらす。増水時における被害もそうでありますけれども、結果として汚濁水による被害ということも同時進行であるということも、やはり将来にわたる整備計画の段階では少しは表現する必要があるのではないかなと、そんな気もいたします。こういう機会で私も発言させていただくのは初めてでありますけれども、どうぞひとつ、その辺についても計画の中で注目があればなと、そんな気もいたしましたので、ちょっとだけお話をさせていただきました。
(委員長)  それでは、各知事さんからお伺いしたいと思います。○○県知事さん、お願いいたします。
(委員)  ○○県は木曽川の上流にありまして、先ほどお話がありましたように、県内に味噌川ダム、牧尾ダムがございます。先ほどから、何人かの先生からお話がありましたように、特に牧尾ダムにつきましては、ときどき渇水状況というのが私ども実際に非常に目に入りまして、下流に対してどういう影響があるかなということで心を痛めているところもございます。その中で、きょう10ページにございましたように、利水ネットワーク、あるいは総合的運用ですか、この考え方というのは非常に下流の皆さんにとって大切な面ではないかと考えております。
 また、水を大切にするという点から、前回もお話ししましたように流域の森林保全、あるいは水源保全という面から、木曽川につきまして上下流における行政、民間、それぞれのレベルの交流が続いております。最近も、水を支える上流に感謝したいということで、下流のある会社が森林保全のために年、利益の1%を上流の村に寄附したいと、このようなことを村に申し入れて、村も大変感激したという新聞記事が載っておりました。このようなことから、特に木曽川水系につきまして、どの河川もそうですが、水系一体という意識が非常に高まっていると思いますので、ぜひ今回の河川整備基本方針が一日も早く承認されることを期待しているところでございます。以上です。
(委員長)  次は、○○県知事、お願いします。
(委員)  まず、先ほどの長良川の治水のところで、○○先生から国と県の連携というお話がございました。これにつきましては、今後、方針策定後、整備計画等の議論を進めていかれると思いますけれども、これについてはしっかり連携していきたいと考えております。
 それと、治水に関して希望を申し上げますと、これは整備計画の中の議論かもしれませんけれども、やはり河川の水位を下げるというのが治水の基本だと思いますので、まず河道というものを第一に考えていただいて、その後、流水機能を活用した貯留施設といったような考え方になるのかなと思っております。
 それと、利水の関係について申し上げます。今年に入りまして、○○県では県議会の中に水資源対策議員連盟というものが発足しておりまして、こういった利水についても非常に関心が高まっているという状況でございます。
 また、その中では、先ほど木曽川水系全体の水利用のご紹介もありましたけれども、木曽川の水は愛知県さん、あるいは名古屋市さんのほうで大多数が使われているということもありまして、そういった議員連盟の中では、利水のユーザーであります下流域の方々に水源の保全といったものに関心を持っていただきたいという声があるのも事実でございます。この点につきましては、先ほど長野県さんからもありましたけれども、流域全体ということで連携していきたいと考えているところでございます。
 それと、また、これも前回の県議会の中でもあったんですけれども、水利権量の大きなところには農業用水というものがございます。こういったものが、実態に即した水利権量になっているかというところも、ときどき県議会の中でも質問があるということでございますので、こういったものにつきましては、実態に応じたものに水利権量ということで審査といいますか、そういったものをしていただきますようにお願いしたいと思います。以上でございます。
(委員長)  基本高水のピーク量とか、そういう骨格の部分はいかがでございますか。
(委員)  その辺につきましては、基本的には全国の中で議論されるべきものと考えておりますので、今のところは特に意見はございません。
(委員長)  わかりました。では、○○県知事さん、お願いします。
(委員)  全国的に元気な○○と言われているわけですけれども、私どもは、よその県と一緒に、安全安心の○○という言い方もしております。やはり、一番基本になるのは、水害であるとか渇水に対して十分な安全を持っているということが基本でございます。
 また、もう一つ、私どもは2005年に万博を開きまして、環境ということで環境愛知という点も打ち出しております。そういう意味で、人と自然が共生できる地域づくり、こういうことも目指しております。
 そういう中で今回の話、計画規模が1/100から1/200にレベルアップしたということで、非常に感謝を申し上げたいと思います。それから、木曽川の今渡地点での正常流量につきましては、かんがい期150m3/s、それから非かんがい期80m3/sとなっておりますけれども、この点につきましても少し事前にご説明もいただきまして、十分理解しているということでございます。
 それから、この今渡の基準につきましては、11ページにも書いてありますように、歴史的経緯というものがございまして、貯留制限流量はこれを変更しないということでございます。いずれにしましても、この基本方針が早く出まして、次のステップへ移れることを期待しております。以上でございます。
(委員長)  骨格部のところは、この数値でよろしゅうございますか。
(委員)  はい、結構です。
(委員長)  では、○○県知事さん、お願いします。
(委員)  ○○県でございます。きょうの前半で地震に対するお答えをいただきまして、ありがとうございます。○○県は木曽三川の下流に位置するということと、輪中堤に囲まれた低地ということで、一旦堤防が破堤すると甚大な被害をこうむるので、堤防の強化は重要であると考えております。また、内水対策も非常に大きな課題の1つと考えております。
 現在、徳山ダムは、試験湛水中で、もうすぐ運用されることになりますが、洪水調節が始まりますと、本川の水位がなかなか下がっていかず、水位が下がるには長時間かかるということがございます。そうなりますと、支川の水が捌けていかないこともありますので、できましたら、強制排水対策を行うなどの取り組み等も方針の中に載せていただいたらありがたいなと思うわけでございます。
 それから、きょうご説明いただきました10ページの徳山導水路の件でございますが、○○県としては、渇水時の緊急導水ということで、正常流量の機能の維持のための導水路と聞いていますが、きょうの資料を見せていただきますと、このオレンジ色の矢印で徳山ダムからの利水補給、初めてこれを聞かせていただいたんですが、この意味がよくわからないので、説明をいただきたいと思います。
 当然、渇水時になりますと、渇水対策協議会が設置されまして、水をどのように使っていくかということで協議を行うわけでございますので、ある意味、利水の補給等にも当然回ってくるわけでございますが、特にこの徳山導水路で、ここに書かれておりますような利水の補給というのはどういう意味かというのを、お聞かせ願いたいと思います。以上です。
(委員長)  では、それはまた次回に資料でお願いしたいと思いますが、治水の関係の骨格はこれでよろしゅうございますか。
(委員)  はい、結構でございます。
(委員長)  それでは、皆様のご意見をちょうだいしました。本日、木曽川水系は資料として河川整備基本方針の本文案などの資料が用意されていましたが、その紹介がありませんでした。次回は、本日の議論も踏まえ、本文について審議していただくこととなります。本日配付された資料も含め、お気づきの点がありましたら、次回以降の議論にも反映できるよう、あらかじめ事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。
 事務局におかれては、本日の議論や委員会からの追加意見を踏まえて資料を作成し、次回紹介するようお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いたものを国土交通省大臣官房広報課、及びインターネットにおいて一般に公開することとします。本日、鵡川関係ご出席の委員も最後までおつき合い願いまして、ありがとうございました。本日の議題は以上でございます。

3.閉      会

(事務局)  ありがとうございました。
 最後に、事務局よりごあいさつを申し上げます。
(事務局)  きょうも長時間ご審議いただきまして、大変ありがとうございました。鵡川につきましては、基本方針、一部残された次第でございますが、早急に個別に対応させていただきまして、まとめていきたいと思っております。どうもありがとうございました。
 また、木曽川でございますが、非常に貴重なご示唆をいただきました。計画の概念として、流域の重要度から決まる計画レベルと、それから、河川施設の実現可能性から決まります計画レベルと、1級水系で初めてこういう概念が出てきたのではないかと思っています。この2つの概念が違った場合の対応につきまして、危機管理等にどうやって生かしていくかというのを検討してまいりたいと。次回に、その結果を披瀝できればと思っております。どうもありがとうございました。
(事務局)  次回の本委員会Aグループにつきましては、江の川水系、及び矢部川水系の審議、8月10日13時から15時、場所は追ってご連絡をいたしたいと思います。木曽川水系についても、追ってご連絡いたします。
 また、お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございますが、郵送ご希望の方には後日郵送させていただきますので、そのまま席にお残しください。
 それでは、閉会いたします。どうもありがとうございました。

 







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