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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第76回河川整備基本方針検討小委員会

平成19年9月18日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤   徹
委   員  綾   日出教

  池 田   啓
入 江 登志男
内 田 和 子
越 澤   明
佐 藤   準
谷 田 一 三
福 岡 捷 二
虫 明 功 臣
井 戸 敏 三
石 井 正 弘


1.開      会

(事務局)  ただいまより第76回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。
 私、本日の進行を務めさせていただきます河川計画調整室の○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、お手元に配付しております資料のご確認をお願いいたします。まず、議事次第がございます。名簿がございます。配席図がございます。次に、資料目次がございます。これにのっとって確認をしていきます。
 資料1−1、付議書及び付託書。資料1−2、社会資本整備審議会運営規則。資料1−3、河川分科会の運営規則。資料1−4、一級水系にかかる各種諸元でございます。
 資料2でございます。2−1は、円山川水系の特徴と課題。2−2が、旭川水系の特徴と課題でございます。
 資料3でございます。3−1が、円山水系工事実施基本計画と河川整備基本方針(案)でございます。3−2は、旭川水系でございます。
 資料4でございます。4−1、河川整備基本方針の基本高水等に関する資料(案)でございます。これは、円山川水系が1、2が旭川水系でございます。
 資料5でございます。流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する資料(案)。これは円山川水系が1、2が旭川水系でございます。
 資料6、土砂管理等に関する資料(案)。1が円山川水系、2が旭川水系となってございます。
 次に、参考資料でございます。参考資料1、こちらは流域及び河川の概要でございまして、1が円山川水系、2が旭川水系でございます。
 参考資料2、これは管内図でございまして、1が円山川、2が旭川となってございます。
 参考資料3、こちらは流域図でございます。1が円山川、2が旭川となってございます。
 資料に不備等がございましたら、お申しつけいただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の審議は、Aグループでございます。会議に先立ちまして、本委員会の新しい委員をご紹介させていただきます。円山川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として、○○委員でございます。
(委員)  代理の○○です。よろしくお願いします。
(事務局)  地元に詳しい委員として、○○委員でございます。
(委員)  兵庫県立大学の○○です。よろしくお願いします。
(事務局)  旭川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として、○○委員でございます。
(委員)  代理でございます。○○でございます。よろしくお願いします。
(事務局)  地元に詳しい委員として、○○委員でございます。
(委員)  ○○でございます。よろしくお願いいたします。
(事務局)  ○○委員、○○委員、○○委員、○○委員はご都合によりご欠席されております。
 傍聴の皆様におかれましては傍聴のみとなっております。審議の進行に支障を与える行為があった場合には退室いただく場合があります。議事の進行にご協力願います。
 本日、本委員会でご審議いただく水系は、円山川水系及び旭川水系の2水系です。円山川水系及び旭川水系の河川整備基本方針につきましては、去る7月20日付で国土交通大臣から社会資本整備審議会長に付議がなされ、7月24日付で同会長から河川分科会長あてに付託されたものであります。
 それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

2.議      事

(委員長)  委員長でございます。本日は委員の皆様にはご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、議事次第に沿いまして、円山川水系及び旭川水系の河川整備基本方針について審議をいただきたいと思います。事務局から説明をお願いします。
(事務局)  それでは、河川計画調整室の○○でございます。お許しをいただいて、座ってご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、円山川水系からご説明いたします。これは兵庫県の北部に位置しております。隣の京都府も一部入っております。
 まず、水源からご説明をいたします。流域面積が1,300平方キロメートル、幹川流路延長は68キロメートルでございます。こちらは上流の水源でございますが、これは朝来市の円山というところから流れ出ております。国道と播丹連絡道路、またJRと並走しているというような形で、下流へ下っております。この辺を見ていただくとわかりますように、山が迫っておりまして、その間に水田が少し広がっていると。こういった中を蛇行して、円山川が流れております。
 和田山が見えてまいりました。こちらの和田山は平成16年に浸水しております。この青いところでございます。ここで、今度はJRの山陰本線が川と並走しているということでございます。
 どんどん下流に下ってまいります。このあたりから、平成16年の台風で浸水した地域が広がってございます。30キロを越えまして、直轄区間がこの赤崎橋。このあたりから下流が直轄区間となってございます。
 ずっとまた下流にまいります。この辺から、だんだん、浸水被害が非常に広くなっております。中郷地区というところでございます。こちらは瀬、淵、河畔林と非常に環境のいいところでございます。
 下流にまいりますと、今度は出石川という支川が、右支川でございます。こちらは平成16年に決壊したところでございます。右側が六方平野という非常によい水田でございます。左側が豊岡の市街地になってございます。この六方平野側の堤防も平成16年に決壊いたしました。あたり一面泥の海になってございます。
 こちらの特徴といたしまして、コウノトリがおります。これは国内で最後までこの丹波地区におりましたコウノトリ。野生の復帰を目指して、今、地域を挙げて活動をされています。コウノトリと共生した地域づくりであります。
 こちら、六方排水機場といいまして、この辺は低平地で内水被害が非常に多いところでございます。内水対策が非常に重要な課題となってございます。
 下流に入りますと、また少し狭くなってまいります。こちらは、下鶴井の湿地というのがございます。こちらはワンドがあったり、湿地環境が非常によいところでございまして、環境上非常にすばらしいところでございます。
 次は、ひのそ島。これは川中島でございまして、治水の観点から半分川は切りましたけれども、残りの半分で湿地の環境を残してございます。
 下流にまいりますと、有名な城崎温泉がございます。こちらも平成16年につかっておりますし、内水でもつかりやすいところでございます。
 河口にまいります。河口は、右岸側に導流堤がございます。こちらは県の導流堤でございまして、河口の状況でございます。
 以上でございます。
 それでは、お手元の資料2−1、流域及び氾濫域の概要ということで、特徴と課題でご説明をさせていただきます。
 まずは流域及び氾濫域の諸元でございますが、今申し上げましたような諸元でございまして、主な市町村、これは豊岡市、養父市、朝来市という市町村でございます。
 降雨特性でございますが、年平均降水量は約2,000ミリと、全国平均よりは多い降水量でございます。特に9月から10月の台風期に多いと。また、冬は季節風の影響で降雪が多いところでございます。
 次に地形特性でございます。右側でございますが、これは縦断図を見ていただきたいと思うんですが、赤い線で縦断勾配を入れてございます。まず、出石川の合流点。こちらに河床勾配の変曲点がございます。ここまでは非常に緩いと書いてございますが、約9,000分の1の勾配でございます。ここから中流部に入りまして、780分の1ぐらいの勾配でございます。八木川の合流点まで中流部ということでございます。そこから上は上流でございまして、約100分の1から1,300分の1という範囲でございます。上流は勾配が立って急勾配になってございます。この円山川でございますが、先ほどの豊岡市街地がございますが、盆地が形成されておりまして、さらに、その盆地の下流では、下に写真を入れておりますが、海に至る間に狭いところがございます。山が迫っておりまして、その間を川が流れているといった地形でございます。
 また、豊岡盆地につきましては、一番下に地質の縦断図を入れておりますけれども、堆積した海底が陸化をしている関係で、厚い粘性土層が形成されております。これは、実は築堤を行うと地盤が沈下したり、地下水をくみ上げると地盤が沈下するといったことが起こっているということでございます。
 それから、下の真ん中でございますが、土地利用でございますが、山地が約8割ございまして、農地が約1割と。人口資産は、先ほど言いましたわずかな盆地に集中しているということでございます。主な産業でございますが、かばんが非常に有名でございまして、出荷額が200億円を超えておりまして、全国シェアの約2割を占めているということでございます。また、城崎温泉や但馬の小京都、出石町等の観光産業も盛んでございます。
 次のページをお願いいたします。主な洪水とこれまでの治水対策でございます。左側に年表がございます。まず、年表でご説明いたします。
 明治40年8月の洪水。これが、非常に大きな洪水でございます。後ほど既往洪水の検討に使っております洪水でございます。
 大正元年の9月洪水。これを契機に、大正9年から直轄河川改修工事に入りました。第1期改修工事と言われるものでございます。この中では、豊岡市の市街部の蛇行部をショートカットするといったこともやってございます。
 昭和13年。これは兵庫県で、中小河川改良工事をやっております。一応、兵庫県の工事になってございます。また、昭和31年、直轄河川の改修工事に着手と。こちらがまた直轄に変わったということでございます。
 それから、昭和34年9月。これは伊勢湾台風でございますが、こちらに大きな被害が出てございます。これを契機に、35年の総体計画を策定いたしてございます。
 そして、昭和41年。これは一級河川になりまして、円山川工事実施基本計画の策定がされてございます。
 そして昭和63年。これも計画の改定を行いました。これは1/100の規模に対応すると。流域の開発の進展、これを見まして、計画規模を1/100としたということでございます。これが、今の既定計画になってございます。
 それから、平成2年9月でございますが、こちらに大きな出水がございました。また、平成16年10月、先ほど3Dでも浸水域をお見せしましたが、大きな被害がございまして、河川激甚災害対策特別緊急事業が採択されているということでございます。
 主な洪水でございますが、昭和34年9月、昭和51年9月、平成2年9月、それから次のページに紹介してございますが、平成16年10月と。これだけの主な洪水がございます。これまでの治水対策でございますが、大正時代の改修、これは先ほど言いました第1期の改修でございますが、豊岡市街部のショートカットをしてございます。下に図面を入れてございますが、大正9年より始めまして、昭和9年に完成しております。昭和25年の改修後の図を見ていただけるとわかりますように、河川の形が変わっているということでございます。
 昭和時代からの改修でございますが、こちらは豊岡盆地を中心に堤防の整備をしてまいりました。特に軟弱地盤、これが先ほど言いましたようにございまして、堤防が沈下をいたします。そのために堤防のかさ上げなんかも実施をしてもらっております。また、流下阻害となる橋梁の改築。先ほどご説明しましたひのそ島ですね。こういったところの河道内の島の掘削。こういったこともやってございます。
 さらに、頻発する内水被害を軽減するための排水機場等の整備を実施してまいりました。少し上流でございますが、出石川のほうでございますが、出石町の市街地の浸水被害を軽減するため、これは県の事業でございますが、谷山川から、谷山川放水路を抜いてございます。また、六方平野の浸水被害を軽減するために六方川上流の小野川というところから小野川放水路を整備してきたと。こういった形で、昔から治水に対してはさまざまな事業を行ってきたというところでございます。
 次のページをお願いいたします。
 平成16年10月の非常に大きかった洪水について、円山川の緊急治水対策事業を行っております。こちらのご説明をいたします。まず、平成16年10月洪水でございますが、これは台風23号という台風性の洪水でございます。総雨量は290ミリにも及んでおります。基準地点の立野地点では、戦後最大の水位を記録し、堤防高を超える越水が約4時間に及びました。この下にハイドログラフというグラフを入れておりますが、7.6メートルの堤防高のところを超えている時間が約4時間。この越水時間4時間の中で、最後に破堤が起こってしまったということでございます。また、破堤越水判断がなかった場合の流量、つまり氾濫をしなかったと考えた場合、全部河道にあふれた水も流れたとすれば、約4,900m3/sの水が出たということが推定されてございます。
 被害の状況でございますが、浸水面積が約4,000ヘクタール。家屋の全半壊も約4,000戸ぐらいでございます。また、浸水家屋は約8,000戸という非常に大きな被害が出てございます。また、先ほど3Dでもご説明しましたが、円山川、それから出石川の2カ所で破堤をしてございます。越水は各市、この図で見ていただきますと、オレンジ色のラインが入っているところでございますが、さまざまな箇所で越水氾濫が生じているということでございます。
 円山川は、このため激甚災害対策特別緊急事業ということで、平成21年度までの間に整備をすることになりました。この内容につきましては、まず下流部から河道を掘削してまいります。また、隘路となる橋梁のかけかえも行っていくと。
 被災流量は先ほど言いました4,900m3/sでございますが、これは概ね計画高水位または被災水位以下で流下させるということを考えてございます。また、中上流部の無堤部がございます。こちらは、下流部への影響を考慮しながら、築堤を実施していきたいと。また、堤防の強化も実施していきたいということでございます。
 もう1つ、内水対策でございます。内水対策といたしましては、床上浸水被害を軽減するための排水ポンプの増強等を実施していくということでございます。これらの箇所につきましては、下の図のところで入れてございますが、緑色で旗揚げしているところ、これが今申しました、いろいろな事業の箇所でございます。また、下流部では、円山川、下流部治水対策協議会、これは住民、県、市、整備局とか、国が一堂に会しまして、そこで、早期の治水安全度を向上するために、輪中堤の整備とか、避難対策充実などの検討も実施しておるということでございます。
 下に、緊急治水対策事業の概要とございまして、激特事業以降、平成26年度までに行うものでございます。これにつきましては、洪水に対する水位低下を目的といたしまして、中流部に遊水地の整備、これを考えてございます。
 次のページにまいります。
 基本高水のピーク流量の検討でございます。現計画、工事実施基本計画は昭和63年の計画でございまして、表にまとめたように、基準地点が立野地点、計画規模は1/100。計画降雨量は2日雨量で327ミリでございます。基本高水ピーク流量は6,400m3/s、計画降水流量は5,400m3/sとなってございます。それで、この計画の後に、雨と流量がどうなったかということから、まずは経年変化の検証をいたしました。既定計画策定後に、基本高水を上回るような出水があるかどうか。これは発生しておりません。2日雨量と年最大流量を入れておりますが、雨は、平成2年に大きな雨が降っておりますが、二山洪水でもありまして、流量から言うとそれほど大きな流量は出ていないと。こういう中では基本高水を超えるような出水は発生していないということでございます。
 次に、流量データ。これによります確率からの検討を行いました。これは、立野地点におけます1/100規模の流量を推定したわけでございます。4,600m3/sから6,500m3/sとなってございます。基本高水は6,400m3/sということで、この間に入っているということでございます。
 次に、既往洪水の検討をいたしました。これは、明治40年8月、この洪水を新聞記事や文献等から氾濫区域や浸水深等を探し出しまして、この洪水規模がどれぐらいかということを再現してみました。台風経路、これは台風性でございまして、台風経路等から類似の降雨を選定いたしました。これは昭和34年9月の降雨でございます。流水計算を実施し、氾濫再現計算をやりまして、その結果から氾濫区域や豊岡市街の痕跡水位、これはおおむね一致するような流量はどれぐらいかというのを出してございます。これがおおむね6,400m3/sとなってございます。これは、下に図がございますが、赤字で浸水実績、青字が計算の浸水深と。若干の誤差はございますが、おおむね浸水深を表現しておりますし、実績の浸水区域と計算の浸水区域もおおむね合っておるということでございます。そこで、基本高水ピーク流量の設定でございますが、既定計画策定以降の計画を変更するような出水を発生していないということ、それから、流量データによります確率からの検討と、今申し上げました既往洪水の検討、これを総合的に判断いたしまして、下に図を入れておりますが、6,400m3/sという基本高水のピーク流量、これは妥当と判断をしてございます。
 次のページにまいります。治水対策の考え方でございます。まずは、現況流下能力、水位縦断図を入れてございます。少し小さいですけれども、これは現況の河道に基本高水を流してみました。いずれも河道におさまらないという中で、非常に水位がオーバーしているということでございます。そこで、まず、河道への配分流量を考えました。これは、下鶴井付近、下に写真が出てございますが、先ほど環境が非常にいいところということで、3Dでもご紹介いたしました。この下鶴井付近、こちらでは右岸側に玄武洞という国の天然記念物がございます。左岸側には鉄道及び駅舎等がありまして、非常に、ここでの大幅な河道確保というのは非常に困難なところでございます。社会的影響、地形特性、こういったものを考えると難しいということでございます。
 そこで、河道内の掘削と築堤によりまして、流下能力を確保していきたいと考えます。そこでここの横断を入れておりますけれども、断面A−A´というところでございますが、こちらにはワンドがございまして、貴重種であるタナゴ類やトンボ類などの動植物がここには生息しております。非常に場所のいいところでございまして、激特で掘るときにも相当の議論がありまして、激特での掘削ラインを決めているところでございます。ここではまたコウノトリの採餌場所になっております。貴重な湿地環境が形成されております。そこで、河道掘削に当たりましては、これらの環境を保全するとともに、湿地環境の再生を図るということで、下にございますような河道掘削、湿地の再生を図るような形での掘削を考えてございます。この流下能力が大体5,600m3/sということでございまして、これを計画降水流量として設定してございます。
 ここでは、基本高水ピーク流量は6,400m3/sでございますので、どうしてもその間は洪水調節施設による洪水調節が必要になってまいります。それが下でございます。6,500m3/sに対しまして、残り5,600m3/sですから、残り800m3/s。これをまず、河道の遊水機能を生かした洪水調節施設。これは先ほど言いました中郷地区の遊水地になるわけでございますが、これと新たな洪水調節施設により、対応を考えていきたいと考えております。
 次に、右側にまいりますが、堤防の整備でございます。先ほど申し上げました軟弱地盤ということがございます。さらに、下流部では山が迫り、円山川と並行してJRや県道が走っております。このため、技術的、社会的影響等の観点から、堤防を連続して整備することは非常に困難だという状況がございます。このため、実は堤防の整備が遅れておりまして、堤防整備状況というグラフを入れておりますが、完成堤はまだ8%、暫定堤防が65.8%、未整備が26.2%という状況でございます。今後、築堤や堤防の拡築を実施していく必要がございます。また、軟弱地盤であるということから、地盤改良など、軟弱地盤対策をここでは実施していく必要がございます。さらに堤防の質的評価といたしまして、浸透対策等の質的強化を今後実施していきたいと考えてございます。下に、安全度が不足する割合ということで浸透に対する安全性について不足する割合を入れておりますが、まだ約3割ぐらいが不足しているという状況でございます。
 次に橋梁の改築でございます。桁下高さが不足しているなどの改築が必要な橋梁がございます。こういったものは関係機関と調整の上、その改築を実施していきたいということでございます。
 内水対策でございます。河口から16キロ付近まで、これは出石川の合流点ぐらいまでですが、先ほど言いました河床勾配が非常に緩いところでございます。また、低平地となってございます。潮汐の影響も受けますので、このため非常に水はけが悪いということで、昭和51年9月、平成2年9月と内水被害が頻発しております。こちらにつきましても、関係機関と連携調整を図りながら、排水機場の整備等を今後実施していくということでございます。
 以上から、下に計画流量配分図というものを出しておりますが、立野地点で5,600m3/sということになってございます。今の効率から比べまして、府市場、こちらが5,000m3/s。今回は5,200m3/s。立野が5,400m3/s、5,600m3/s。河口では5,700m3/sを6,000m3/sと流量を増やしてございます。これにつきましては、洪水調節施設等の見直しということもいたしまして、流量が増えているということでございます。
 次に、自然環境にまいります。まず、自然環境につきましては、左に下に、河川の区分と自然環境という部分があります。上の図と見ていただきたいんですけれども、まず下流、河口から出石川の合流点、先ほどの緩い勾配のところが下流部でございます。さらに中流部は出石川合流点から八木川。それから上流部。そして出石川と、4つの区分で考えてございます。下流部につきましては、汽水域や干潟、湿地がございます。中流部につきましては、瀬、淵、河畔林、礫河原があるようなところでございます。上流部につきましては渓流環境があると。出石川につきましては、少し平瀬で瀬、淵もあるというような環境でございます。
 ここの環境についてご説明いたします。まず、下流部の河川環境でございますが、こちらは先ほど言いましたように河床勾配が緩くて、緩やかな流れの汽水域にヨシ原・干潟が存在してございます。こういったところには貴重なトンボ類やタナゴ類、シラウオ等が生息・生育しているという状況でございます。また、先ほどから何度も出ておりますが、ひのそ島、川中島でございますが、こちらは左岸側を半島掘削いたしました。右岸側は湿地再生ということで残してございまして、湿地環境をこちらに再生していくということにしてございます。下鶴井地区、これは先ほどから何度も出ておりますが、こちらも干潟、ワンドなど、さまざまな環境があり、コウノトリの採餌場になってございます。仔稚魚が生息するような、非常によい環境でございます。
 六方たんぼ等の水田と一体となって、河道内の湿地環境を考えていきたいと。これは、コウノトリの採餌場としての利用を考えて、この流域の田んぼと一体となった河川のあり方、これを考えていく必要がございます。
 課題でございますが、治水上、流下能力が不足しておりまして、河積の確保が必要でございます。そのため、改修に当たりましては、湿地環境やシラウオ等の産卵場の保全に配慮が必要でございます。そこで、対応といたしまして、河道掘削に際しましては、湿地性植物が生育可能な標高で掘削をすると。ヨシ原・干潟・ワンド等の環境保全に努めたいと考えております。これは、下に湿地の保全のイメージというものを幾つか入れておりますけれども、少し掘るときに干潟の再生や湿地の再生ができるように、なるたけ水面に近いところで掘削をしていくということでございます。
 ひのそ島につきましては、もう工事が大体完了いたしまして、今後、環境の保全に努めていきたいということでございます。また、下鶴井地区。こちらは多様な環境保全再生に努めたいということで、掘削のときにも考えていきたいということでございます。こういった保全対象の湿地環境につきましては、モニタリングを行いながら、順応的に完了していきたいということでございます。
 それから、六方たんぼとか、流域との連続性を考えまして、関係機関と連携いたしまして、堰及び樋門等の落差によります魚類等の移動障害の改善に努めていきたいと。これは、川の中の縦断的な移動、それから、流域との横断的な移動、両方を考えた、エコロジカルネットワークを考えることもやっていくということが対応策としてございます。
 次は、上流部の河川環境でございます。上流部につきましては、河畔林のある渓流区間や河岸にツルヨシ群落があり、また、瀬・淵が連続するような区間が存在してございます。上流には、石のすき間などにオオサンショウウオが生息しているということでございます。そこで、こちらも治水上河積の確保が必要でございまして、瀬・淵等の河床形状の保全に配慮が必要だということでございます。そこで、平水位相当以上の掘削によりまして、現状の瀬・淵の連続する河川環境の保全に努めてまいりたいということでございます。
 次のページにまいります。
 次のページの真ん中に、中流部の河川環境というのがございます。中流部につきましては、連続する瀬・淵、礫河原がございます。また、大規模なムクノキ−エノキ群集の河畔林も存在しております。瀬にはアユの産卵場がございます。また、支川やワンドには、貴重なタナゴ類が生息していると。特に中郷地区、これは3Dでもお見せしましたが、瀬・淵や礫河原、河畔林、ワンド等、非常に多様な環境が存在いたしましておりまして、生物もたくさんおるところでございます。また、この地域では、湿地再生の基礎資料とするために、試験的な湿地を施工してございます。それで、こちらの課題でございますが、こちらも河積確保が必要でございます。そのために、改修に当たりましては、多くの生物の産卵、生息の場となっている瀬・淵、河畔林の保全、こういったものに対する配慮が必要となってございます。そこで対応でございますが、基本的に河道掘削に対しましては、水際の多様化のため、平水位相当以上での掘削をしていきたい。また、河畔林、礫河原は、できるだけ保全に努めてまいりたいということでございます。
 また、中郷地区におきましては、洪水調整施設の実施に当たりまして、今、試験湿地をやっておりますが、この試験湿地の成果をいかした湿地の再生に努めていきたいと考えられます。また、関係機関と連携し、堰及び樋門等の落差によります魚類等の移動障害の改善。これは先ほど言いました流域と河川のつながり、または河川の上下流のつながり、エコロジカルネットワークというのを考えていきたいということでございます。これらにつきましては、モニタリングを行い、順応的に管理をしていきたいということでございます。
 次に、支川の出石川の河川環境でございますが、こちら、出石川は河川改修が進んでおります。そのため、平瀬による単調な環境が非常に多くなっております。また、五条大橋付近、こちらの水田では、採餌するコウノトリを確認しております。また、石のすき間など、オオサンショウウオなども上流部を含めて生息しているということでございます。これは、横に旧河道による湿地環境というものが今乾田化されているということ。この写真に出てございます。こういったものが実は課題になっておりまして、乾田化、改修によりまして、コウノトリの餌場や魚類の産卵地、このような湿地環境というのが今、減っております。この湿地環境の保全と再生が必要でございます。また、オオサンショウウオや魚類等の移動の観点から、河川の連続性の確保が必要となっているということでございます。
 そこで、対応でございますが、まず、流下能力の確保、河道の掘削に際しましては、瀬・淵の再生に努めていきたいと考えております。また、自然再生計画に基づきまして、五条大橋付近につきましては、湿地の環境の保全と再生をしていきたいということでございます。一番下は、先ほどから申し上げています魚類等のエコロジカルネットワーク。これを流域の水田との連続性を考えていきたいということも考えております。
 そこで、左側にトピックとしてございますが、コウノトリの保護増殖・野生復帰の経緯ということを入れてございます。コウノトリにつきましては、明治41年に「狩猟法」に基づきまして保護鳥に指定されております。また、戦後、農薬の影響などによりまして、餌の激減や営巣、これは松でございますが、松の木の減少などから個体数が徐々に減少しております。豊岡市では、昭和30年代から、地元住民等と協力して、保護活動を積極的に展開しております。しかし、昭和46年にこの但馬地区で国内の野生のコウノトリ最後の1羽だと思うんですが、絶滅をしてしまいました。そこで、平成4年から野生復帰の計画をしたと。これは、保護をして飼育をするということから始めておりますが、現在では飼育数が100羽を超えているという中で、平成17年に試験の放鳥が開始されました。13羽を放鳥したということでございます。平成19年には国内で46年振りに自然界でヒナが巣立ちをいたしました。これは先般、非常にニュースになったものでございます。
 こういった経緯がございまして、コウノトリと共生する地域づくりを、この地域では非常に積極的に取り組んでおります。これは環境整備事業、また放鳥事業、普及啓発、こういったものを合わせて、総合的に国、県、市、企業、住民、学識者、NPO等、それぞれの方々が役割分担のもとで実施していくということでございます。
 地域におきましては、六方たんぼ等の水田にコウノトリの餌場としての機能を持たせるために、冬期の湛水型の水田、また水田の魚道の整備。これは水田に木製の魚道をつけまして、魚が上がっていくようにしていると。こういったことなども実施しております。そこで河川では、自然再生計画をつくりまして、これに基づきまして湿地再生や魚類等の縦横断方向の連続性確保などを実施しているといった取り組みをしてございます。
 円山川水域の自然再生計画でございますが、平成17年に円山川水系自然再生計画検討委員会におきまして、多様な生物の生息・生域環境の復元を目指すものとして計画を策定してございます。特にコウノトリと人が共生する環境の再生を目指しているということでございます。現在では円山川水系の自然再生推進委員会として、さらに実施に向けた詳細な検討を実施しているということでございます。
 次のページにまいります。水利用・水質・空間利用でございます。水利用につきましては、こちらに円グラフがございますが、農業用水が非常に全体使用量としては多いと。約9割以上を占めてございます。ほかには水道用水や、雑用水がございます。ここでの水利用の特徴は、地下水の利用がございまして、冬期の消雪用揚水等によりまして、地盤沈下が15年で13センチも進んでございます。真ん中にグラフがございますが、赤い線が水位でございまして、地下水が下に緑の棒グラフがございますが、これが揚水量でございます。揚水量を上げますと赤い地下水位が下がりまして、青い地盤沈下、これが進んでいくと。こういう構図になってございます。これにつきましては、国、県、学識者などで地下水の適正な管理等の検討の委員会を今後設置する予定になってございます。
 次に水質でございますが、水質につきましては、全川でおおむね環境基準を満足していると。非常に水質については今のところ問題ございませんということでございます。
 次は空間利用でございます。空間利用につきましては、豊かな自然環境、こういったものを利用した環境学習を実施しております。また、下流域には城崎温泉もあります。感潮区間で屋形船の利用や、ボート競技会場としての利用もなされております。また、花火大会などのイベントやスポーツ、レジャーなどにもこの円山川は利用されてございます。特に河川敷では、但馬牛の飼育ということで、採草地としての占用が非常に多いところでございます。
 次にまいります。流水の正常な機能を維持するために必要な流量の設定でございます。まず基準地点でございますが、これは府市場地点。右側に図がございますが、中流部のところに基準地点の府市場というのがございます。この地点を基準地点としてございます。これは流量把握が可能で、過去の水門資料が十分に備わっております。また、主要な取水後でありまして、管理が効率的・効果的に行いやすいと。現在も観測はしていて、適している場所だということでございます。
 この地の利水の歴史的経緯でございますが、現在の工事実施基本計画、こちらで流量が定められております。水質の維持流量及び流水の占用から、府市場地点を基準地点として、おおむね6m3/sと定めておりました。この工事の時代と現在を比べまして、これは水質の維持流量でございますから、流出負荷量を算定してございます。これが人口フレームが現在変わってまいりまして、こちらに表がございますが、工事のときに平成7年の目標で24万1,900人という将来想定から、今回の検討では17万5,000人と、人口のフレームが変わってございます。このため、今回の検討では流水清潔の保持に必要な流量が小さくなってございます。そこで、実は正常流量が変わりました。これについてご説明いたします。正常流量の検討ということで、右側でございますが、区間を@、A、B、Cと4つに分けてございます。区間@は感潮域でございまして、区間のAからご説明いたしまして。区間Aにつきましては動植物の生息地、または生育地の状況から、こちらはアユの産卵、サクラマス・サケの移動に必要な水深30センチというところから、必要流量2.64m3/sを出してございます。これはかんがい期を中心とした流量でございます。また、それ以外の通年といたしまして、流水の清潔の保持といたしまして、こちらで必要流量1.18m3/sというのを出してございます。それから、区間Bにつきましては、また動植物から3.07と。区間Cにつきまして、景観から0.71m3/sを出してございます。
 そして、正常量の設定でございますが、下に水収支縦断図を入れております。基本的には区間Aのところで、そこから水利減量、これを加えまして府市場で2.64m3/sに0.26m3/sを足しまして、おおむね3m3/sと。これはかんがい期でございます。
 それから、非かんがい期に至りましては、先ほどの流水の清潔の保持、1.18m3/sに0.26m3/sを足しまして、おおむね1.4m3/sとなってございます。そこで、1月から3月まではおおむね1.4m3/s、4月から12月まではおおむね3m3/sといたしまして、もって流水の適正な管理、円滑な水利使用、河川環境の保全等に資するものとしたいと考えております。ここは、必要流量の確保に努めるということでございます。
 最後に、総合的な土砂管理でございます。河床変動の状況でございますが、近年、工事による影響がございますが、経年的に見ていただきますと、浸食傾向がずっと続くとか、堆積傾向が続くといったことは見られません。上流では、山付き部で蛇行しておりまして、局所的な洗掘もございますし、さらに、25キロから26キロぐらいのところにつきましては、いまだに河床がまだ動いているというような状況でございます。これは、下に横断図を入れておりまして、経年的な変化を入れてございます。まず、25キロで600のところを見ていただきますと、河床がまだまだ変動しているという状況がわかるかと思います。河床材料につきましても、変化はほとんど見られないと。また、河口周辺の状況でございますが、昭和39年以降、河口部の形状はほとんど変化が見られません。また、河口部におきましては、津居山港という港湾区域がございまして、航路、泊地の水深の維持の管理のため、浚渫が一部なされてございます。また、導流堤がございまして、砂州の発達もなく、河口閉塞も生じていないという状況でございます。
 以上でございます。
(事務局)  それでは、続きまして、旭川水系につきましてご説明したいと思います。河川情報対策室の○○でございます。よろしくお願いします。では、お許しをいただきまして、座って説明をさせていただきます。
 それでは、3D画面を用いまして、旭川の流域についてご説明申し上げます。
 旭川は、岡山県の中央部を流れます流域面積1,810平方キロメートルの一級河川でございます。源流は岡山県の真庭市にあります朝鍋鷲ヶ山でございます。最上流部には、昭和30年にできました湯原ダムがございます。治水と発電の多目的ダムでございます。その直下流の河川敷には、湯原温泉がございます。俗にいう露天風呂番付では、西の横綱ということになっております。ちなみに、東の横綱は群馬県の宝川温泉だそうでございます。高瀬舟の発着場が見えてございますけれども、以前は備前と美作を結びます重要な交通手段として旭川の高瀬舟というのは機能を果たしてまいりました。中流部に旭川ダムがございます。昭和29年にできました治水と上水と発電の多目的ダムでございます。このあたり、旭川が平成10年10月に浸水被害を受けまして、青で着色してある部分が当時浸水をしたところでございます。治水の基準点の下牧でございます。現在の効率では、基本高水のピーク流量が8,000m3/s、基本高水流量が6,000m3/sと定まってございます。その下流に旭川合同堰がございます。これは最大取水量16.247m3/sのかんがい用水で、2,300ヘクタールのかんがいを行っているという堰でございます。下流の中原地区におきましても、平成10年10月にはかなりの浸水被害を受けてございます。
 江戸時代に、これより下流の岡山城下を出水被害より守るために、越流堤と放水路を組み合わせましたと「川除けの法」いうものを熊沢蕃山が考案いたしまして、その後、津田永忠らがこの百間川を築造してございます。岡山城と相対しまして、岡山後楽園がございます。これは、旭川の水を中洲に取り入れました回遊式の庭園で、日本三名園の1つでございます。この岡山後楽園と、その下流のほうに東西中島地区というのがございますが、ここが非常に地盤高が低くて、しょっちゅう水害を生じているというところでございます。このあたりにケレップ水制がございまして、これは航路維持のために、以前、オランダ人の技師のムルデルが提案したものでございますが、現在は干潟とかヨシ原が広がっておりまして、良好な自然環境を呈しているところでございます。
 最下流部は干拓によりまして、ゼロメートル地帯が広がってございまして、平成16年にも高潮被害を、大きな被害を受けているというところでございます。
 百間川のほうでございますけれども、百間川には広い高水敷が広がっておりまして、この高水敷には公園ですとか、あるいはスポーツ施設が整備されておりました。貴重なオープンスペースとして市民の方々に多く利用されているというところでございます。百間川の築造と同時に河口に河川水門ができました。現在の水門は、昭和43年3月にできたものでございまして、塩害防止、それから高潮防止というものに威力を発揮しているところでございますが、現在、計画流量の6割ぐらいしか流下能力がないものですから、増築工事をしているというところでございます。
 それでは、資料の2−2に沿いまして、流域のご説明をさせていただきたいと思います。旭川水系の特徴と課題、資料2−2をごらんください。左上のオレンジ色の流域及び氾濫域の諸元でございます。流域面積は、先ほど申しましたように1,810平方キロメートル。主な関係市といたしましては、一番下に書いてありますが、岡山市と真庭市がございます。降雨特性といたしましては、上流域は年間2,000ミリということでほぼ平年どおりでございますが、下流のほうは瀬戸内式の気候で、少雨ということでございます。特に梅雨と台風期に降雨が集中しているということがいえるのではないかと思います。
 一番下でございますが、主な産業といたしましては、やはり観光ということで、岡山後楽園を筆頭といたしまして、そのような観光産業が盛ん。それから、マスカット栽培につきましては、全国シェアの9割以上を誇っているというところでございます。
 右上でございますが、地形特性でございます。真ん中あたりの縦断図がございます。旭川が赤く書いてございますけれども、真ん中の距離の80キロぐらいのところに落合盆地というのがございますが、このあたりまではほぼ緩やかな流れです。その上は若干急でございます。大部分が右の横断図にございますように、旭川の洪水時の河川敷よりも地盤高が低いということで、特に最下流部のゼロメートル地帯につきましては、かなり浸水被害のポテンシャルが高いということで、この面積が東京、大阪の約2倍もあるという、非常に広いところでございまして、ここに人口・資産が集中しているという川でございます。これは下に書いてございますけれども、江戸時代、水田が不足したためにいろいろと新田開発をしたために、いろいろと干拓を行ったということでございます。
 その下に土地利用がございますけれども、土地の利用としては、山林が88%、農地が約10%、市街地が2%ということで、人口・資産はほとんど岡山と真庭市に集積しているということがいえると思います。
 次のページでございます。
 主な洪水と、これまでの治水対策でございます。基本的に、大正15年に直轄事業として着手はしてございますが、昭和9年と昭和20年、8,000m3/sと5,120m3/sと書いてございますが、ここに大きな洪水を受けまして、流量の計画をそれぞれ変えてございます。左側のほうの、3つ目の水色の四角に一番下でございますけれども、昭和41年に工事実施基本計画で、基本高水のピーク流量が6,000m3/s、計画高水流量が下牧で5,000m3/sと決まってございます。その後、下流の岡山市が重要ということもございまして、流量規模等を再考いたしまして、平成4年には下牧の基本高水のピーク流量が8,000m3/s、計画高水流量が6,000m3/s、これが1/150の計画でございます。このうち、旭川に4,000m3/s、百間川に2,000m3/s流すというのが今の計画でございます。
 その後、平成10年10月に、先ほど申しましたように戦後最大の洪水が発生いたしました。また、平成16年には高潮の被害が生じてございます。右側に、昭和9年と平成10年、それから平成16年の高潮の被害等が書いてございます。
 下の、これまでの治水対策でございますけれども、洪水調節施設の整備ということで、これは岡山県さん、あるいは中国電力さんのほうで、昭和29年度に湯原ダムとか旭川ダムを建設されておられます。それから、百間川でございますが、これは江戸時代に、先ほど申しましたように、岡山城下の洪水被害を軽減するために開削をいたしました。現在の状況は、昭和50年から工事に着手して、平成8年にほぼ築堤が完了しているということでございます。若干、流下能力が低いところはございますけれどもということでございます。百間川の河口水門につきましては、塩害防止のために、河口樋門を建設しました。これが、江戸時代でございますが、今の水門は、昭和43年3月でございます。塩害と高潮防止ということになってございます。現在は2,450m3/sという、平成4年の工実に対応のため増築中でございます。なお、下流部のほうには内水対策といたしまして、各支川から入ってございます倉安川の排水機場、それから、平井排水機場等を整備しているということでございます。
 次に、基本高水のピーク流量の検討でございます。現在の工事実施基本計画は、平成4年でございますけれども、基準地点の下牧から、計画規模が1/150でございまして、対象降雨は2日雨量で257ミリ。基本高水のピーク流量は8,000m3/sで、計画高水流量が6,000m3/sという計画でございます。この検証でございますけれども、右のほうに年最大流量等の経年変化がございます。平成4年のところに、工事実施基本計画策定という矢印がございますけれども、それから見ますと、その雨量を大きく超えるような雨は降っていないということ。それから、最大流量でございますけれども、8,000m3/sに対しまして、戦後最大雨量で5,720m3/sということで、大きく計画変更をするような洪水は発生していないのではないかなと考えてございます。
 左を見ていただきまして、下でございますが、流量データによる確率からの検証ということで、流量データ、基準地点では1/150の規模のそれぞれの分布モデルを確率分布モデルによりましてバンドを計算いたしますと、5,500m3/sから8,200m3/sということで、8,000m3/sはその中に入っているのではないかということでございます。
 また、既往洪水による検証でございますけれども、昭和9年9月の洪水、これが一応、既往最大と考えられてございます。時間雨量がございますので、そこから流出計算を行いまして、氾濫区域とか、浸水深の記録からいろいろとデータを推定いたしますと、下牧地点では7,500m3/s、その上流の氾濫を考慮しますと、大体8,000m3/sぐらいになるのではないかということでございます。これからも、現在の8,000m3/sというのはそれほど大きくはずれた数字ではないのではないかということでございます。
 以上の、これまで計画を変更するような洪水は発生していないのではないかということ。それから、流量データによる確率からも妥当ではないかということ。それから、既往洪水による検証においても、ほぼ同じような洪水があったということから、下牧で8,000m3/sといたします計画は妥当ではないかということでございますので、今回の基本方針では、基本高水のピーク流量は、下牧で8,000m3/sということで継承させていただきたいと考えてございます。
 4ページの治水対策の考え方でございます。基本的に、現況流下能力のところを見ていただきますと、上側が本川、旭川の縦断図でございます。12キロのところに百間川の分派点がございまして、分派点より下流はほぼ概成をしておりますが、上流部分で河積が不足する部分があるということでございます。ここの岡山後楽園付近というところが、大体4,000m3/sのネック部ということでございまして、右側の流下能力確保というところの真ん中の水色の四角でございます。旭川、百間川分派後というところでございまして、先ほどCGでもございましたけれども、岡山城と、岡山後楽園のあたりの、これは左側が写真でございますが、周りはもう岡山の市街地でございます。引き堤はなかなかできないということと、岡山後楽園は大体地盤高がハイウォーターぐらいでございまして、これを掘削するということは、とても社会的影響が大きいということで、ここのあたりが現況流下能力4,000m3/s、これ以上はなかなか広げられないというのがこのあたりの状況でございます。
 それから、百間川でございますが、すみません、左側の現況流下能力の図でございます。大体、分派後、直下流ぐらいで、二の荒手の下流ぐらいですか、河積が不足しているということでございます。この百間川につきましては、このあたりはかなり都市化が進んでいるということと、実際この百間川を整備するときに、ここの堤外地の用地を買う場合でございますけれども、その土地は公共敷地として使うということと、これからもこういう、先ほど言いましたようないろいろな公園ですとか、あるいはグラウンドといったような、そういう施設として使っていくという話をしてございますので、これまでの整備状況からして、ここの状況を大きく変えることはできないということで、もともと2,000m3/sという計画でここはつくってございます。2,000m3/sを大きく超えるような改修は、なかなかしづらいということでございます。
 したがいまして、分派後で百間川が2,000m3/s、本川が4,000m3/sということでございますので、河道で対処できるのが、足した6,000m3/sでございます。残りの、8,000m3/sから6,000m3/sを引きました2,000m3/sというものを、既設ダムの有効利用ということで考えてございます。右上でございますが、既設の湯原ダムと旭川ダムがございますけれども、これを有効活用することによりまして、洪水調節容量を確保していきたいと考えてございます。
 また、整備する場合の整備内容と箇所でございますけれども、旭川につきまして、先ほど流下能力がないところにつきましては、あるいはかさ上げですとか、河道掘削とか、あるいは樹木伐開等をしていきたいと思っております。下流につきましては、高潮対策もしていきたいと思っていますし、堤防で浸透に対して弱いとされているところもございますので、浸透対策もしていきたいと思っております。
 百間川につきましては、後ほどご説明申し上げますが、分派点の改修とかかさ上げ河道掘削等を行っていきたいということでございました。計画流用の配分図につきましては、右下に書いてございますように、基準地点の下牧で6,000m3/s、旭川本川に4,000m3/s、百間川に2,000m3/sの分派と考えてございます。
 5ページでございます。治水対策の考え方でございますけれども、まず、百間川の分派点の改修ということでございます。計画では、先ほど申しましたように、本川に4,000m3/s、百間川に2,000m3/sということになってございますが、なかなかこれまでの分派の状況からいいますと、百間川に分派する流量がそれほど多くないということでございました。このあたりの構造について、再検討をしていこうということでございました。模型実験等による分派構造の検討が必要なのではないかと考えているところでございます。
 右側でございますが、百間川の河口水門の増築ということで、これは今も進めておりますけれども、当時、昭和43年3月には、計画高水流量1,200m3/sということの構造として完成しておりますが、現在の基本高水流量2,450m3/sに対応する新たなる水門の増築ということで、現在、事業を実施中でございます。
 高潮対策でございますけれども、平成16年にも高潮被害がございます。旭川本川につきましては、河口から2キロメートル区間で高潮堤防を設置するという計画を持っております。築堤以外につきましては、水門で高潮対策をするということです。内水対策としましては、先ほど申し上げましたが、支川の排水、なかなかうまく内水排水ができないということで、支川の倉安川の百間川側、あるいは旭川側に排水機場を整備して内水被害を防止しているということでございます。
 左下に行っていただきまして、堤防の質的強化ということで、旭川とか百間川の堤防を調査いたしますと、振動破壊に対して非常に安定度が不足しているのではないかということでございますので、浸透対策工みたいなものを実施していきたいと考えてございます。
 また、真ん中でございますが、岡山市は「東南海・南海地震防災対策推進地域」に指定されてございます。軟弱な地盤ですので、液状化の可能性もあるということで、耐震矢板を旭川本川の感潮区間に設置するということになってございます。
 右下の河川防災ステーションでございますけれども、旭川と百間川の分派あたりで破堤いたしますと、ゼロメートル地帯も含めまして多大な被害が出てしまうということで、ここの水防拠点ですとか、避難場所とか、緊急用資材の備蓄施設となる河川防災ステーションみたいなものを整備していきたいということでございます。これをもとに、いろいろな広域防災拠点を結ぶネットワークを検討していきたいと考えてございます。
 以上が治水対策の考え方でございます。
 次は6ページでございますが、自然環境でございます。真ん中に流域図がございますけれども、源流から新庄川の合流点までを上流部、そこから下流の旭川合同堰までを中流部、そこから河口部までを下流部と分けてご説明したいと思ってございます。
 まず、右上のほうでございます。上流部でございますけれども、大体上流部につきましては渓流のような様相を呈してございます。基本的にはそのような河川環境とか景観とか、あるいはその渓流に生息いたします生物とかの生息環境を保全していきたいということで考えてございまして、対応としては魚類、オオサンショウウオが生息しているということでございますので、その生息環境の保全とか、良好な水域環境を保全していきたいと考えてございます。
 左上に行っていただきまして、中流部でございます。このあたりは、瀬と淵が交互に形成されておりまして、そこをアユが産卵の場として、いろいろとそのあたりで生息しているということでございます。したがいまして、そのような瀬とか淵といったようなものの良好な河川環境の保全と、アユ等の産卵場の保全といったものを念頭に、自然環境の保護をしていきたいと考えてございます。
 下流部でございますが、下流部は、河口部に干拓地がございます。このあたりにはそれなりの河口部としての自然環境があるわけでございます。また、ケレップ水制周辺には、先ほど申しましたように、ヨシ原とか干潟がございまして、さまざまな自然の良好な環境を呈しているということでございます。
 そのほか、このあたりは河道の樹林化みたいなものも進んでございますので、その点も含めて考えますと、対応といたしましては一番下でございますけれども、河口の干潟あるいはヨシ原、水際植生を保全していくということです。それから、アユの産卵場の保全。河川環境とのバランスを配慮しながら、樹木の計画的な伐開的、それぞれ適切な河川管理をしていきたいと考えてございます。
 右側の真ん中にあります百間川でございますけれども、百間川は河口付近で水門で締め切られた湛水域がございます。そのあたりに、アユモドキも生息してございますし、水際低水路にはヒシモドキとかオニバス等もございます。このような水生生物の生息地となっております水際の部分ですが、ワンドを保全していくと。それから、アユモドキ等の植物の生息環境を保全していくということから考えていきたいと考えてございます。
 7ページでございますが、水利用・水質・空間利用ということでございます。まず、左上の水利用でございますが、旭川の水利用の大部分、約77%は農業用水でございます。
 その下のほうでございますけれども、じゃあ、水道はどうかと申しますと、岡山市の水道の水源の約半分は旭川からとっているということでございます。
 右の、空間利用でございます。下流部につきましては、先ほど申しました岡山後楽園という代表的な河川景観でございますし、そのほかにも自然散策とかカヌーといったものに下流域は使われているということでございます。
 左下の百間川でございますが、ここは河川敷、これが緑地公園化しているところもございました。多くの地域の住民の方々が利用されてございます。中流部でございますけれども、これも一応いろいろな観光名所がございます。高瀬舟の発着所跡は、結構皆さん方からも親しまれているということでございます。
 左下でございますが、上流部でございます。直下流の旭川の河川敷に湯原温泉が噴出しているということでございまして、ここもたくさんの観光客でにぎわってございます。
 右下、旭川ダムの周辺では、桜のトンネルという桜並木という地域のシンボルもあるということでございます。
 右側でございますが、水質でございます。BODにつきましては、最上流地点、一番上に野田橋というのがございますけれども、ここを除きまして、環境基準を満足しております。この野田橋でございますが、下にグラフがございまして、下のほうに紺色の点がございます。ここはAA類型ということでございまして、1mg/lを上下しているということでございます。基本的にこのあたりは旧川上村とか旧八束村でございまして、このあたりは養豚、いろいろな飼育ですとか観光系で、結構水質等に影響を与えていることがあるのではないかと言われてございます。
 特に平成17年の数値が高いのでございますけれども、これは冬場からBODが高かったんですが、渇水が春場にちょっとございまして、それが長期化することによって平均値が上がってしまったということでございます。ちなみに平成18年の値は1を下回っているということでございますが、基本的に環境基準を満足したり、満足しなかったりということでございまして、現在は川上村、八束村を中心に生活排水対策重点対策地域ということで、そこに計画をつくりまして、今そういう対策をしているということでございます。
 8ページでございますが、流水の正常な機能を維持するため必要な流量の設定ということでございます。基本的に今の工事実施基本計画も同量の流量が設定されているということでございます。
 まず、左上の利水の歴史的経緯でございますが、農業用水の需要の増大ということで、人口増加に伴いまして水田が不足したために、農業用水の需要がどんどん拡大していったということがございます。水争いも起こっていたということでございます。そういうことで、旭川合同堰の完成でございますけれども、昭和9年9月で取水堰が幾つかございましたが、施設が被害を受けました。その後、安定的な取水を確保しようということで、合同堰による効率化計画が立てられまして、何年かの歳月を経まして、昭和28年に旭川合同堰が完成しております。このときの農業用水の取水量が、牧山地点下流の農業用水の取水の88%を占めるというところでございます。
 都市用水のほうですが、都市化の進展に伴いまして、水道用水の不足が顕在化いたしました。旭川ダムにつきましては、牧山地点でかんがい期でおおむね24m3/s、非かんがい期でおおむね12m3/sを確保する計画として、昭和58年にそういう計画を定めてございます。平成4年の工事実施基本計画で、牧山地点のかんがい期26m3/s、非かんがい期でおおむね13m3/sとして、正常流量をもう既に設定しているということでございます。
 今回、考え方を整理いたしまして、右上の動植物の生息地でございますけれども、基本的にサツキマスの移動に必要な流量ということで、必要流量1.10m3/sでございます。真ん中の下に正常流量の設定というのがございます。かんがい期でございますけれども、@と書いてございます新鶴見橋、大体10キロぐらいのところにございますけれども、ここの維持流量が1.1m3/s、牧山が大体20キロ付近にございますので、そのあたりの水利流量23.29m3/sを足してから還元・分派量等を足しますと、牧山地点の正常流量はおおむね26m3/sということでございます。そのあたりで、基本方針におきましても、かんがい期26m3/s、非かんがい期23m3/sとしたいと考えてございます。
 次は9ページでございます。総合的な土砂管理ということでございます。河床変動の経年変化の図が例によって書いてございます。左側が旭川、右側は百間川でございます。一番下が平成7年から平成16年ということでございます。洪水等で河道改修をしたことによる変動等が若干ありますけれども、ほぼ河床変動は小さくて安定傾向にあるということが本川、百間川で言えるのではないかと考えてございます。
 横断的変化を見ましても、左下でございますけれども、全川にわたって安定傾向ではないかということでございますが、ただ、百間川の分派前は、上流部分はみお筋が固定化しまして、樹林化が進行しているということもございますので、れき河原の再生を現在は実施しているということでございます。
 河床材料につきましては、旭川については全川的に河床材料の代表粒径の変化は見受けられないということでございます。
 ダムの堆砂状況でございます。湯原ダムにつきましては、計画堆砂量の約69%が堆積をしてございます。昭和40年後半から昭和60年ごろの堆砂の影響で、堆砂が計画を上回っておりますが、最近はかなり計画量に近づいてきておりますけれども、今後の堆砂状況を見守っていく必要があると考えてございます。
 旭川ダムにつきましては、計画堆砂量の約53%が堆積をしておりまして、堆砂傾向は近年おおむね計画どおりということでございます。今回、湯原ダム、旭川ダムの有効利用をする際におきましては、こういう堆砂状況を現実に合わせたものとして考えていきたいと考えているところでございます。
 河口部の経年変化でございますが、現在のところ、砂州の発生等、河口の閉塞については発生していないと考えてございます。
 以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。
 ただいま円山川水系及び旭川水系の特徴や課題の紹介がございました。それでは、ご出席の各委員からご意見を賜りたいと思います。まず、円山川水系の流域に詳しい委員としてご出席の○○委員からお願いいたします。
(委員)  お話を伺っていて、63年のときの流量5,400m3/sというのが、今回5,600m3/sという形で200m3/sほど増えたんですけれども、それは何か増やすべく理由があったのかどうかということをお教えいただければと思います。
(委員長)  当局お願いします。
(事務局)  上流の洪水調整施設の実現可能性を考えまして、その見直しを行いました。その分、200m3/sを河道で増やすという形になってございます。
(委員)  ご存じのように、円山川は河口部で完全にボトルネックになっていまして、もちろん河積を何とかして確保して流量を増やすということも考えられるんですけれども、それにはほとんど限界がある川だと思われるんですね。そうしたときに、河道により流量を流すという計画のほうに振ってしまうと、河口周辺の河積確保は、例えば扇形の変更から、あるいは築堤、さまざまなことをやっていかないと非常に困難になっていくわけですけれども、そのときに下流部に負荷をかけることをどう担保していくかというもう一方の努力がない限り、とにかく川に持たせるという形ではなかなか難しい川だと思うんですね。その点、今回200m3/sという形でやろうとされているわけですけれども、そうではない考え方は方向性として考えられないものかどうか。特にほとんどの流域に流れたものがほとんど一点に集まるような、その一点そのものが非常に人口の集中したところにポイントとして集まってきますので、上のほうで受けていくということも少し考えていかないと。一番わかりやすい例は、お玉を想定されたらいいと思うんですけれども、広い扇のようなお玉の柄のところのものが、ある一点のお玉のところに集まっている。そこに土砂も堆積しているし、水も堆積してくるという状態ですから、広い扇状のところで何とか受ける方向を考えないと、河口の部分だけで持たせるというのは難しいのかな。ただ、今回の河道そのものを掘削することによって200m3/s確保というのは、環境的に見てもそんなに今は大変な量ではないと思うので、可能かとは思いますけれども、ただ、基本的な考え方として、そういう考え方が少し進展されるといいかなと。これはお考えをお聞かせ願いたいことと、もう一つは意見としてお聞きいただければと思います。
(委員長)  大変的確なご指摘で、他の委員からもまたさまざまなご意見が出ると思いますので、まとめに当たって十分配慮してまいりたいと思います。
 それでは、旭川水系からご出席の○○委員、お願いいたします。
(委員)  ○○でございます。失礼いたします。
 旭川は下流に岡山市というかなり大きな都市を抱えているわりには、ただいまご説明にありましたように、流域の地形形状が大変よくできておりまして、山地と高原部が多いものですから、わりあい下流部に広大な干拓地があるわりには制御しやすい河川であると考えております。
 ただ、干拓地がありますがゆえに、先ほど来ご説明がありましたように、河川からの洪水はダムと放水路で何とかもっているという状況ではございますが、高潮対策につきましては若干不安があるのではないかなと。高潮、それから、近い将来想定されております南海地震などに伴う津波などについては、若干心配なところがあるかなと思っております。
 それから、もう一つ非常に珍しい特徴として、下流部のところにかなりの文化遺産が張りついているということで、干拓地そのものも新田開発の非常に珍しい遺産でございますし、それから、放水路としての百間川のところもそうでございます。ただいま地元では、この干拓地とか放水路の百間川を後楽園、岡山城や、ちょっと場所が別でございますけれども、閑谷学校とかを合わせたグループの世界遺産の考慮ができないかというところを考えているところでございます。
 そうすると、私が危惧するところは高潮ともう一つ、放水路である百間川の入り口が、近代の非常にうまい仕掛けで、越流堤、遊水地の組み合わせで、うまいぐあいに何段も水勢をそぎながら水が入るような仕掛けになっているわけですが、それが地元の方の強い要望で、非常に貴重な文化遺産であるので、その取り入れ口、荒手と申しておりますけれども、それを何とか残しながらの治水対策ができないものかという要望が今出ておりますので、形は何とか昔のものを残しながら、安全性を高めるという方策がとられるやに聞いております。このあたりがきちっと確保されれば、十分この計画でいけるのではないかと私自身は思っております。
 以上でございます。
(委員長)  それでは、ただいまのご意見は、取りまとめに当たって十分配慮してまいりたいと思います。
 それでは、河川工学の立場から、○○委員、お願いいたします。
(委員)  ○○です。
 この計画の基本高水流量、それから計画高水流量につきましては、私はこういう方向でよろしいと思っています。ただ、ご説明が十分でなかったと思うんですが、旭川ダム、湯原ダムを有効活用して、計画高水流量6,000m3/sを確保するということについて、簡単なご説明でもしていただきたいと思います。それがまず1点目です。
 2点目は、○○委員のお話と関係があります。河川工学という委員と少し違う立場から私は意見を申し上げたい。一の荒手というのは固定堰ですよね。それから、旭川では一の荒手より少し上流には大変な量の樹木が繁茂しています。旭川のこの区間は、特に樹木の多いことで有名で、適切に管理しなきゃならないわりには、ほとんど手がつけられていない川です。樹木の抵抗が効いていて、水位が上昇して固定堰から百間川に水が入っていくというメカニズムなんです。みずみちも樹木群によって固定されて、今のところは百間川に入りやすい形になっています。
 一方、その下流の後楽園を含む区間は、4,000m3/sしか流すことができない。だから、この区間の計画高水流量は4,000m3/sであると言っているわけです。この計画は一見よさそうなんですけれども、よくよく考えてみたら大変難しい問題があります。百間川には2,000m3/s以上入れないという条件があり、一方、旭川下流は4,000m3/sしか流れません。百間川の直上流は樹木がやたらに生えている。樹木を切らないと、百間川の上流も、流下能力を確保できないと一方においては言っているわけです。
 樹木を伐採することになっているんですが、樹木を伐採すると、今度は一の荒手に2,000m3/sが入りづらくなります。旭川の下流部に計画以上の洪水流量が行き過ぎないようにすることも含めて、どうやってそれを担保するのか、私は大変難しい問題であると思います。先ほど分派点の構造の決定のために水理実験をやらなきゃならないと言われましてが、そうだと思いますが、文化遺産ということは十分承知しているんですけれども、治水上大変難しい問題を抱えた文化遺産だと思っています。
 2,000m3/s、4,000m3/sの分派をどう実現するのかということと、樹木の伐採問題の3つが複雑に絡んでおり、しっかりと検討しなければなりません。樹木を切って流下能力を上げる方法を採用することが多いのですが、旭川はなかなかそうはいかない。関東でも遊水地への越流量を確保するために、樹木を残して抵抗を増やして、水位を上げて入れるようにしている川もあります。そういったところは、流下能力があるからそういう手段を考えているのであって、ここはそう簡単にはいかないし、文化遺産だけの話にもなかなかならないと私は思っています。まずはこういうシナリオで、基本方針をつくったとしても、整備計画で十分に検討しないと、簡単にはいかないなと感じています。
 第3点目は、水質についてです。百間川に行ってみますと、ふだんの河川敷の利用は非常に盛んです。一方において、ふだんの百間川にたまっている水の水質が悪い。この水質をどうするのか、百間川にとっては重要なことだろうと思うんです。水質改善については当然いろいろな機関と連携してやるという表現になると思いますが、基本方針ですので、そこのところはしっかりとどうしたいのか、どうするのかということを記して欲しい。7ページを見ますと、環境基準はCですよね。Cの環境基準を満足しているからいいかのように見えるわけですが、旭川の後楽園と百間川との関係を考えたときには、もっと水質がよくなければならないところなので、基本方針の中で方針を書くことが大事じゃないかなと思っています。
 第4点目は、自分の専門の立場から下流域の水制について、意見を述べます。
 旭川には、ムルデルさんがおやりになった水制が下流に設置保存されています。これを残すんだということで、私も非常に結構なことだと思います。ただ、流下能力がない、1/150で4,000m3/sに絞り込むということですから、超過洪水が出たら厳しい川になるということも考えなければなりません。水制も相当の流れの抵抗を引き起こす。水制周辺で相当量の洗掘も起こるでしょう。維持管理上いろいろ出てきますから、この辺もほんとうに将来にわたって維持が可能なのか、整備計画でよく整理して、残せるということであればしっかりと残していただきたいと思います。
 最後に、超過洪水対策として、旭川の中で百間川放水路をどう使おうとするのかということについてです。私が聞いているのは2,000m3/s以上流せないんだと言っていますけれども、超過洪水対策としての放水路の持っている意味は大きいと思いますので、十分検討する必要があると思っております。
 以上です。
(委員長)  いざとなったら、本川に流すのか、百間川に流すのか、哲学をはっきりしておきなさいとおっしゃっているわけですね。
(委員)  はい。
(委員長)  それから、円山川のほうはご意見ありますか。
(委員)  ありますけれども、よろしいですか。
(委員長)  じゃ、どうぞ、おっしゃってください。
(委員)  円山川は、先ほど○○委員から下流部の流下能力についてご意見がありましたが、私もそのとおりだと思っています。だた、私は河川工学を勉強している者として、もうちょっと別のことを考えました。
 2点ほどあります。第1点目は、河口付近の低地を浸水からどのように守るのかというあり方ですが、今回、災害が上流で起こり、上流域に堤防をつくっていますから、河口部をどう守るかは緊急の課題になっています。現地をそういう目で見せていただきました。私が思ったのは、河口は勾配が1万分の1ぐらいのほとんど平らな河道です。その中で、港湾区域になっている河口部が極めて狭くなっています。資料2―1の右図に河口が狭いと書いてあるんですが、ここには、津居山港があり、また港湾区域にもなっております。河口の平面形を見ましたら、流れにくい構造をしています。導流堤があります。これは航路を維持するために必要だというのは承知しているんですが、治水上、この河口の形でほんとうにいいのか疑問です。今回の洪水に対し、十分水面形を調べて、河口の形による水位の堰上げがないのか。河口域の勾配が1万分の1ですから、ちょっと水位が上がると、そのまま上流まで水位が上昇します。潮位との関係もあるのですが、河口域の平面構造は基本方針としては見直す必要があるのではと思います。河口の水深を維持したいならば導流堤は中導流堤としてこのまま利用して、津居山港のほうにも洪水が流れるようにする。導流堤の形は、海の波の影響が入らないためにこの形をしているんだと現地では聞きましたが、導流堤は残して、もう少し洪水流が流れるようにするのがよいと思います。4キロぐらいまで9,000分の1の勾配の河道ですので、河口域の水位縦断形については、しっかりと調べていただきたい。もちろん、道路をどうするかとか、輪中堤をどうするかとかといういろいろな方法を考えられていると思いますけれども、私はまず河口のところの水の出方をしっかりと検討する必要があると考えています。
 第2点目は、3ページの円山川河川激甚災害対策特別緊急事業についてです。この図を見ますと、六方防災拠点のちょっと下流ぐらい、立野大橋橋梁補強と書いてある付近のところで水があふれ出ています。掘削するところは赤い線が引かれた立野大橋より下流と上流です。堤防補強とここでやることになっています。この区間の水の流れ方を見ていますと、立野大橋の付近で水の流れる断面積が変化します。下流は掘っていますから。さらに掘るわけです。そうすると、水面の形は立野大橋で折れ曲がっていました。今回、こういう処理の仕方をしたときに、どんな水面形になって流れるのかが実は大切です。堤防補強をするだけが対策ではないんじゃないかと私は思っています。
 縦断的に川の断面積が変わってきたときに、洪水の水面形がどう変わるのか、どこで変わるのか。これまでは立野大橋でしたけれども、改修したことでただ上流に移るのか、移るとまたそこも問題点が出ないかということを考えると、この地点は災害を起こした地点ですから、改修の断面と、それによって起こるべく水面形をもうちょっと丁寧に見て、調べていただきたいと思っております。
 全体的に掘削をやらないで、ここはこのまま断面にするという理由は、私にはよくわからないので、次回で結構ですので、ご説明をお願いしたいと。
 最後に、基本方針では遊水地をつくることになっています。現地には遊水地の状況を呈していて、ああいう場所がよく残っていたなという感じを受けました。かなりの量を遊水地でカットできるということで、上流や中流で水をためるべきであるというご意見は私も同意見であります。ここにしっかりと遊水地を新しく位置づけるというのは意味があることと思っております。
(事務局)  旭川の上流ダム群の有効利用についてでございますが、基本的には発電容量の振りかえを考えております。したがいまして、容量が変わってきますので、調整の仕方みたいなものは再度考えなきゃいけませんが、このようにカットできる方法があるということは、一応我々のほうでは検討しております。
 以上でございます。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  円山川と旭川の流量の検討について、まず述べたいと思います。今まで、雨にしても洪水にしても工実の計画を超えてないから、その基本高水を踏襲するというのはいいんですが、1つ教えてほしいんです。既往洪水の検証というときに、従来は洪水痕跡とか、氾濫を戻しながらやっていたと理解していたんですが、ここではまた雨も推定してやっているというような書き方になっているんですけれども、雨はどうやって推定するのか、両方ともそういう書き方になっているんですが、最近やり方が変わったのかどうかということを両方の川でお伺いしたいということと、円山川については、少なくとも雨としては364ミリという一番大きい2日雨量というのは平成2年に経験しているけれども、流量は少なかったと。おそらくこれは降雨パターンによるんだと思いますけれども、なぜ平成2年は少なかったというのは説明しておいたほうがいいんだろうと思います。ついでにというか、2日雨量でいいかどうかという議論は今まであったわけですが、ここでは実績として雨にしても洪水にしてもないから、その検証をしないというのはいいんですが、大体ここではどのような雨が効くかというようなことも、もし検討されているんだったら教えていただければと思います。
 それから円山川についてですが、これはほんとうに大変な川だと思うんです。下流が非常にふん詰まりで、豊岡盆地のあたりが非常にあふれやすいという本質的な傾向を持っているということです。ちょっと言いにくいところがあるんですが、前回の災害はたまたま右岸側が切れて豊岡市街地が守られたというので、被害が総体的には少なかったということがあると思うんですね。先ほど○○委員も指摘されました円山川の激特災害で、輪中堤の整備とか避難体制ですとか、輪中堤というようなことが今考えられているのがどの辺かということと、超過洪水対策との絡みで、右岸と左岸の安全度をどう考えるかというのは、書きにくいとは思うんですけれども、少なくともそれは意識していなきゃいかんことだと思うので、その辺の書き方の議論、今までも幾つかあったと思いますけれども、豊岡とその反対側の六方平野の治水の考え方というのは、何らかの形で入れていただきたいと思っております。
 以上です。
(委員長)  それでは、他の委員からもお伺いしたいと思いますが、○○委員、よろしゅうございますか。
(委員)  次回もう一回開催しますね。
(委員長)  ええ。やります。
(委員)  じゃ、それまでに教えてほしいということで、1つ、円山川ですが、私は城崎温泉しか行っていないので、河川そのものは見ていませんが、1つは自然環境でやや特殊な状況、つまりコウノトリの問題、それから  干潮区間で観光の非常に重要な地域であるという要素が、治水対策でどういうことがあるのかというのは私もわかりませんので、教えてほしいと。それはどういうことかといいますと、コウノトリの共生は地元の兵庫県の大きな政策の1つですけれども、河川の区域はかなり重要だとしても、河川のみでは到底無理でありまして、実際に今の地元の共生地域づくりの中で、河川がどの程度分担してほしいということになっているのかというのを逆に知りたいということであります。資料を拝見していますと、これは大変重要だと思いますが、河川のみでは大変つらいことになりますので、それが1つです。
 これも教えていただければ、それで結構な話なんですが、円山川の下流部分は特殊な区域で、しかも大谷川そのものは一級河川でないようですけれども、こういう地域の観光資源上と河川との問題点が実際あるのかないのかというのを教えていただければと思います。
 以上です。
(委員長)  では、次回用意していただきたいと思います。
(委員)  それから、岡山のところですが、これは城下町時代から城下町の入り口のところに中州の町がありまして、これはやや特殊な町ですけれども、これは治水対策上、中州が存在することが問題があるのかないのか、教えていただければと思います。
(委員長)  次回でいいですか。何か答えられたら答えてください。
(事務局)  東西の中島地区のことを今おっしゃっておられるんじゃないかと思います。ここは今おっしゃられましたように、地盤高が大体低いところで、かなり浸水がございます。現在、あそこは将来的には都市公園の計画もございまして、今も地元のほうでは用地買収等を行っているところでございます。そういうことも考えまして、これから我々としましては、まちづくりと一体となった、あるいは都市公園をどのように考えるかということも含めました治水対策をこれからしていきたいなと思ってございます。
(委員)  逆に長期的にはむしろ、中州を撤去するぐらいのお考えはあるんですか。
(事務局)  撤去といいますか、あそこは公園の計画が今あって、それが進んでいて、地元の方も条件等の問題があるとは聞いておりますけれども、そちらの方向に進んでいると聞いておりますので、我々としましても、そういう状況を踏まえて、あのあたりのことを考えていきたいなと考えているところでございます。
(委員)  中州を取るまでの必要はないということですか。
(事務局)  だから、中州を取っ払うとか、そのようなことは考えていないということです。
(委員長)  洪水時には水がオーバーフローする公園が残ると、直訳するとそういうことのようですけれども。
 それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  円山川なんですが、まず1つは水質の問題なんですが、現在のBOD基準が上流2地点がAの2.0のr/L、下流が3ですね。この基準については、現状で十二分に満足されているんですが、余りにも低いハードルだとは思われませんか。それが1つです。基準も50年、100年の計画の中で見直すべきだと思うんですね。
 それからもう一点は、同じく水質なんですが、円山川の上流というのは、鉱山地域があります。これの影響は下までは及ばないんですけれども、かなり生野など濃度の高いところもございますので、そこら辺も目配りだけしていただいて、将来的な影響がないかだけ確かめていただきたいと思います。
 それから、さっき○○先生がおっしゃった遊水地は、どこに遊水地が来るかよくわからないんですが、出石川から立野の間のところで遊水地計画があるように見受けるんですが、高水計画を見ると、1,000とも読めるし800とも読めるので、どちらかはっきり教えていただきたいんです。そこの遊水地計画とかは非常にいいんですが、それと、コウノトリと共生する地域づくりと関連しているのか、遊水地は全く別なのか、そういうところを教えていただきたいのです。だから、遊水地と共生型のものが関連する、それから遊水地をどのような制度によってやるのかというのを、細かいディテールは本委員会のマターではありませんけれども、方向性だけ教えていただきたいなと思います。
 それから、旭川についてはおっしゃるとおり、水質のCは低いハードル過ぎます。どうも昔に決めた安全パイのハードルが、そのまま延々とこれから100年生き残ってしまうというのは、私はぞっとします。基本方針で少なくとも見直しすべきだというぐらいの意見は出したほうがいいんじゃないかという気がします。
 それから、先ほどさらっと2,000m3/sの洪水調整が発電容量の見直しでできるとおっしゃったんですが、十分いけるかどうかというのは、私は素人でわからないんですけれども、大丈夫なんですね。
(事務局)  それは一応計算はしておりますので。
(委員)  わかりました。
(委員長)  遊水地のほうを答えてください。
(事務局)  まず、遊水地の位置ですけれども、出石川合流点より少し上流のところになります。本川の右岸側ですけれども、5ページに写真が入っておると思うんですけれども。
(委員)  流量配分のところが4ページにございますよね。
(事務局)  はい。
(委員)  出石川1,000m3/sというのは、これは遊水地が効いた後の流量でしょうか。
(事務局)  出石川じゃなくて、本川でございます。
(委員)  いや、出石川の1,000m3/sという流量は、効いた後の値でしょうか。
(事務局)  これはまた逆に、洪水調整施設を別途、上で考えておりまして、ここの中のほうの遊水地ではございません。
(委員)  3ページのは本川ですね。
(事務局)  はい。本川です。3ページも5ページも同じ写真でございます。
(委員)  本川の遊水地はないんですか。これなんですか。それは800m3/s持てるわけですね。
(事務局)  いや、800m3/sではなくて、全部で800m3/sですから、いろいろな実現可能性があるほかのものも含めてということです。
(委員)  わかりました。その出石川の1,000m3/sというのは、調節後の流量なんですか。
(事務局)  これはそうです。
(委員)  調節後。
(事務局)  はい。これは別途の調節後の。
(委員)  調節後ですね。本流から5,000来て、立野が5,400で、これは計算が合うんですね。
(事務局)  ピークのときに合流量ですから。
(委員)  大丈夫ですね。
(事務局)  はい。
(委員)  わかりました。
 それから、コウノトリという極めて注目される種類がある円山川です。激特事業を展開するときに、例えば北川のような場合ですと、非常に自然環境に丁寧に気をつけながら事業を実施していますよね。これも実は小委員会のマターじゃないような気もするんですが、当然、円山川でもそういうご配慮はいただいていると思うんですけれども、どういう配慮をしているか、次のときにでも教えていただければありがたいです。
(事務局)  ○○先生からご質問いただいた水質の件ですけれども、先生の言われることはもっともでございまして、例えば円山川の8ページをごらんいただきますと、水質はおおむね環境基準を満足しているということですけれども、一番上が立野でB類型なんですけれども、A類型にしても2なんですよね。平成2年は渇水で塩水遡上があって、ちょっと高くなっていますけれども、平成2年を除けば2も満足している。1がAAなんですけれども、ほとんどそれぐらいということで、府市場で見ても、多々良木橋で見ても、もう一つ上の段階でも十分対応できる数字になっています。ということで、先生が言われるように県の部局とも相談させていただいて、見直すことも含めて検討させていただきたいと思います。
(委員長)  じゃ、よろしゅうございますか。
 それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  旭川水系、それから円山川水系ですけれども、正常流量関係の数値も出ております。おおよそ旭川水系などはよろしいかと思いますし、円山川水系は将来の開発人口の低下というようなことから、実施計画よりも少し下げられたということで、これも初めてかなと思っていたんですけれども、妥当ではないかと思っております。
 それから、先ほどからコウノトリの自然環境の話、豊岡の話が出ておりますけれども、コウノトリは今回野性に帰りそうなところまで来ておりますが、基本的にはえさ場と営巣地の関係ということで、周辺の水田なんかと一緒に地域の中で全体で取り組んでいくというようなことだろうと思っておりまして、川のほうにもそれなりにいろいろお願いしたいということもあろうかと思いますけれども、川だけでコウノトリ全体を面倒見るということにもならんだろうと感じております。
 以上でございます。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  円山川、旭川、両方お聞きしたいと思います。
 円山川水系ですが、8ページのところで、地下水位は冬期に低下しているという注釈と、冬期の主な地下水利用は水道用水と消雪用揚水というコメントが入っているわけですが、これは調査されているのは1月と7月の2点だけで、通年的な調査データというのがあるのかどうか。地盤沈下というのはどの程度の範囲なのか、ここの調査地点だけなのか、それとも周辺だけなのか。それから、これは冬期の地下水の揚水が地盤沈下に響いていると書いておられるのですが、全体の水利用からしますと、水道用水やその他というのは全体に比べて非常に少ないのですが、農業用水は年間どのように利用されているのか、地下水は利用していないのか、そのあたりの各利水別、季節別の使用データというのがどの程度そろっているのかを確認したいということでございます。
 それから、地盤沈下が15年で13センチというのは多いのか少ないのか、少ないほうかなという感じもするんですが、地盤沈下対策というのは何かなされているのかどうかもお聞きしたいと思います。
 旭川のほうでございますが、7ページの水質のところを見させていただきますと、先ほどもいろいろご意見がございますが、私の関心はAAとAのところでございまして、先ほどのご説明ですと、AAのところは平成17年、これは渇水があってというようなこともございましたが、傾向としては13年以降、徐々に水質が高くなってきているというような状況が見られます。それから、A類型のところにつきましても基準以内ではありますが、だんだんに増加しているというようなことがございますので、それぞれ湯原ダムの上流ですと、新庄村でございますか。それから、旭川ダムの上流ですと真庭市とか美咲町でございましょうか。その上流域のところの下水道とか、合併浄化槽といった生活排水対策の整備率、また今後の数値予測もありましたら、どういう傾向なのかというのも教えていただきたいと思っております。
 以上です。
(委員長)  では、次回、お願いいたします。
 それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  あまり意見はないんですけれども、水質の話がちょっと出ておりますけれども、環境基準というのは、正直言って大分昔につくったものでありまして、どなたかもおっしゃったと思いますが、見直しされるべきものだと思っているんですよね。大体BODそのものが極めて怪しげな数字でありますし、前も申し上げたと思いますけれども、窒素分によるBODと炭素源によるBODをきちっと分けてほしいですよね。きれいにしていくほどBODが高くなるというのは産業界でもかなり起こっておりますし、そこらの点は河川環境サイドからも環境基準を見直してほしいぐらいの意見があってしかるべきだろう。ともかくBODが5を切ったら通常、普通の魚は何も問題ないわけでありまして、よほどきれいという、金魚なんかが住めないような、水質が必要な魚だったらそういうことはあるのかもしれないなと思いますが、いずれにしても、現況の環境基準の数字でもって議論するのはそぐわないなという気が非常にしておりますので、そこらは言っておきたいと思います。
 それからもう一つ、再度発電容量を治水に振りかえるという話がありましたけれども、前も何回か申し上げていたと思うんですが、河川関係は、地球温暖化問題に対して我々はどうやっているという話が全くないんですよね。高潮等を含めてもちろん大影響を受ける側なんですけれども、河川サイド、水サイドとして地球温暖化を防止するために炭酸ガスをどう減らすという話は全然ないんです。だけれども、せめてもうちょっとただのエネルギーであります水力発電を使えるところまで使うべきですし、同時に発電容量を振りかえるとすると、炭酸ガスはそれで幾ら増えるんだぐらいの数字ははっきり出しておいていただきたい。大した量じゃないですから犠牲とは言いませんけれども、洪水を守るためには対価があるんだということは示していただきたいということで、もしできましたら、今回も教えてもらえるとありがたいです。
 以上です。
(委員長)  それでは、知事さん方がご出席ですので、ご意見を承りたいと思います。
 まず、○○県知事からお願いいたします。
(委員)  ○○県、代理の○○です。
 意見といいますか、2点、申し上げさせていただきたいと思います。
 7ページに自然環境についての記述がございまして、7ページの右下に出石川の河川環境がございまして、平成16年に台風23号による災害がありまして、それを受けまして、出石川の上流におきましては、ここに書いてありますように、オオサンショウウオを300頭以上捕獲して、それと共生するような形で災害復旧を進めております。その進め方におきましては、専門家の方々に入っていただいて、7ページの右下に書かれていますように、河川の連続性を確保するようにということを念頭に、今年度から幾つかグループに分けまして、捕獲された場所に放流していく形をとっております。コウノトリは非常に全国区になっておりますけれども、オオサンショウオウにつきましても、自然環境に配慮した形で災害復旧を展開しているところでございます。
 以上は紹介でございます。
 2点目が要望でございます。3ページに激特事業、緊急治水対策事業について記されておりますけれども、この事業につきましての鋭意進捗されていますことに感謝を申し上げますとともに、本基本方針が速やかに策定されることを切に要望するものでございます。あわせて整備計画の策定作業につきましては、本県担当部分との十分な調整をお願いしたい。
 以上でございます。
(委員長)  それでは、○○県知事、お願いします。
(委員)  ○○県でございます。発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。9月の定例県議会中でございまして、東京事務所の○○が代理出席をさせていただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、今回の旭川水系の河川整備基本方針についてでございますけれども、先ほど来より各委員の皆様方、あるいは国土交通省の皆様方に非常にさまざまな方面から真剣なご審議をいただいていること、まずもってお礼を申し上げたいと存じます。
 それから、旭川につきましては、先ほど○○委員のほうからもご紹介がございましたけれども、岡山県にあります3大河川の1つでございまして、その中でも県の中央部を流れまして、県都岡山市を流域に持っております。いわば岡山県の発展には欠かせない母なる川でございまして、上水道、工業用水道、農業用水、あるいは発電用水といったようなことで、利水面でも地域の発展に欠かせないものでございますし、また治水につきましては、県民の安心・安全のために、どうしてもこの河川の整備というものが重要な課題になっておるところでございます。こうした現状をつぶさにご検討いただきまして、今後整備方針が早期に策定されますよう、県といたしましては強く要望させていただきたいと考えてございます。今回示されました案につきましては、全く異論を持ちません。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 以上でございます。
(委員長)  それでは、最後に私からもご意見申し上げたいと思います。
 まず、円山川でございますが、先ほど○○委員から核心に触れるご指摘がございました。事務局の原案で激特事業が完成したあかつきはどうなるのかなと。平成16年の水害は、左岸は病院があったり、まず市街地でしたね。たまたま右岸が破堤したので、左岸が助かった。だけれども、左岸もかなり水浸しだったと。これが再度災害防止、あるいは既往最大洪水よりは少ないので、この計画ができ上がれば、ほんとうに治水上、安全になるのかなというのが何となく腑に落ちないところがあります。おそらく計算どおりになるんだと思いますが、更にもうちょっと雨が降ったらどうなるのかとか、いろいろ考えておく必要があるのかなと。六方川の六方地域は破堤したんですが、田んぼがあったから助かった。住宅は山の際に張りついていた。避難所の人は国土交通省が爆弾で破堤させたんじゃないかといううわさも流れたそうです。そんなことはないんですが、右岸側の密集市街地が助かった。そういうことも考えますと、超過洪水も見通した考え方が必要です。結局河川だけで全部処理できないんじゃないのと。土地利用も含めてどうしていくのかということを念頭に置かなければいかんのじゃないかなと思います。
 それから、先ほど○○委員がおっしゃっていました下流をいろいろいじるという話も、いじってもなかなか水はけはそんなによくならないんじゃないか。むしろ道路とか何かをつくり直すときに、あるいは鉄道も高くして、少なくとも被害に遭う対象物、重要施設だけは助かるような、つまり防御対象からの発想がないと、川だけで全部うまくいきますよということにはならないんじゃないかなと思います。それを今回の基本方針にどれだけ書き込めるのか。
 それから、中貝市長がこの災害のときにはご判断でポンプをとめて、当然河川のポンプもとめたけれども、ご自身の所管の農業用水のポンプも、下水道のポンプもご自身がとめたということで、大英断であります。こういう立派な市長のご判断だけに任せておくというのではなく、頼りになる制度的なバックアップが必要です。その辺も考えて、いざとなって、あるいは超過洪水のときにどうするかということも考えたものでなくてはいかんのではないかなと思いますが、どれだけ書き込めるのか、また次回、皆様のご意見を承りたいと思います。
 それから、旭川ですが、これはずばり、いざとなったら本川と百間川とどっちへ洪水を流すのということだと思うんですね。どれだけ地域として書き込めるのかということはあります。どうも皆さんのお気持ちは、いざとなったら本川よりは百間川に流すということを念頭に置いたらどうかというご意見でありましたが、どれだけ書き込めるのか、次回、皆さんと議論をしておきたいと思います。
 それから、百間川の水質問題で、実は百間川には流量がほとんど入っていないから、水が動かないので水質が悪いのではないかと。もともと人工河川で、あそこは川がなかったんですよね。農地だけだったところに、人工的に2,000m3/sの川を設定するために低水路を広げたら、その低水路は上から水が来ないからよどんでいて、水質が悪いんじゃないかなと。もう少し低水路の河道の設定の仕方に知恵がないかなと思いますが、現地も大分できちゃっていますから、自然の節理で、低水路が流れなきゃ水質は悪くなるんじゃないか。でも、限られた水量だと、やはり本川のほうに流したいという堂々巡りになっているのかなと思います。何か低水路断面の工夫で、もし可能でしたら、お考えいただいてはどうかと思います。
 この2つの河川は荷が重い河川でございました。次回、少なくともそういう議論があったということを踏まえて、取りまとめに当たりたいと思いますが、そういう前提で、本日の議事は閉じたいと思います。
 本日は資料として、河川整備基本方針の本文案と、その骨子などの資料が用意されていましたが、時間の都合でその紹介がありませんでした。次回は本日の議論も踏まえ、本文について審議していただくことになりますが、本日配付された資料も含め、お気づきの点がありましたら、次回以降の議論にも反映できるよう、あらかじめ事務局までご連絡くださいますよう、お願いいたします。事務局におかれては、本日の議論や委員からの追加意見を踏まえて、本文案に必要な修正を加え、次回改めて紹介するよう、お願いします。
 最後に、本日の議論録につきましては、内容について各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いたものを国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議題は以上でございます。

3.閉      会

(事務局)  ありがとうございました。
 次回の本委員会は、Aグループにつきまして、円山川水系及び旭川水系の審議のため、10月3日水曜日、10時から12時の間、場所は追ってご連絡をさせていただきたいと思います。お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございますが、郵送をご希望の方には後日郵送させていただきますので、そのまま席にお残しください。
 それでは、閉会いたします。どうもありがとうございました。

 







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