春には、毎年恒例となった、サケの稚魚放流が行われます。利根川水系は、日本の太平洋岸でサケが遡上する南限といわれています。昔は烏川や広瀬川でもサケが遡上し、産卵する光景が見られました。しかし、その数は減少し、昭和40年代前半には遡上がいったん途絶えてしまいました。こうしたことから、群馬県内では、昭和50年代頃からカムバックサーモン運動が起こり、市民団体や小学生などにより河川環境美化やサケの稚魚の放流が続けられてきました。
烏川では、高崎青年会議所主催の「サケの稚魚放流事業」により、12月に約6万粒のサケの卵が小学校を中心に配られ、子どもたちの手でふ化した稚魚が、3月第1土曜日に烏川和田橋付近から放流されます。「単に川に戻るサケの数を増やすというだけではなく、子どもたちが飼育日記をつけながら稚魚を育てることで、生き物への愛着と豊かな情操を育んでもらえれば」と同事業では考えています。子どもたちは、こうした大自然のロマンに想いを馳ながら6~7センチの稚魚に「大きくなって戻っておいで」と語りかけるよう送り出します。