水管理・国土保全

  

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地域と千曲川

日本の原風景

ひとたび洪水となれば、地域に甚大な被害をもたらす千曲川ですが、平時におけるその表情は極めてやさしく、おだやかで、地域の人々のやすらぎの源です。遠く北アルプスを望む中流域の眺望は、まさに信州のイメージそのものであり、春夏秋冬の季節の移り変わりが織り成す自然の美しさは、人々の心を魅了してきました。
 古くは万葉の頃から、そして平安歌人にも歌われた千曲川は、近代文学においても島崎藤村の『千曲川旅情の歌』『千曲川のスケッチ』に描かれ、高野辰之により『ふるさと』『おぼろ月夜』に歌われました。まさに失われつつある日本の原風景がここにあります。


飯山市の菜の花公園と千曲川




広大な果樹園と豊かな川の幸

千曲川沿川は、信州のイメージに大きくかかわるリンゴの生産地としても有名ですが、その成り立ちは明治以降の近世ことです。
 それまでは養蚕が産業の中心でしたが養蚕の衰退によって空洞化した地域産業を盛り返したのがリンゴ栽培でした。また、明治以前の日本人の主要な動物性蛋白源は魚介類でしたが、山国の長野県において水産漁業の中心は、河川・湖沼でした。
 千曲川に産する豊富な淡水魚介類が家庭の食卓をにぎわしたのは既に過去のことですが、ウグイの産卵習性をたくみに利用した「つけば漁」は、今でも千曲川の春から初夏へかけての風物詩として、地域の人々や観光客に親しまれています。つけば小屋で味わうウグイの塩焼き、田楽、天ぷらの風味は、眼前に広がる雄大で野性味溢れる千曲川の味として人々の心を魅了し続けています。


つけば漁が盛んな千曲川上流部





















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