手取川は古くより、石川県の穀倉地帯である加賀平野を潤し、流域の人々に恵みをもたらしてきた一方、その急流河川、天井川という河道特性ゆえに、度々洪水を起こす「荒ぶる川」でもありました。
特に被害の大きかったのは、昭和9年(1934年)7月11日の洪水です。活発な梅雨前線による記録的な豪雨に、残雪による融雪出水も加わり大氾濫となり、堤防越水や侵食により数カ所で決壊し、97名の人命が奪われ、2,113町歩の耕地が手取川から流出した土砂などにより埋没したという記録が残されています。
昭和41年(1966年)には一級河川に指定され、水衝部の補強、堤防の嵩上げなどの治水事業が進められました。昭和43年(1968年)完成の大日川ダムと昭和55年(1980年)完成の手取川ダムと合わせ洪水調節が可能となり、現在は河川氾濫による被害も激減し、手取川は安全な郷土形成の確固たる土台となっています。