水管理・国土保全

  

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木津川の自然環境

自然環境の特徴
河川形状
木津川の上流域においては、山付区間も多く河川も横断形に連続しています。このような地形より、多種多様な動植物がみうけられます。貴重種とよばれるものも多数みられ、木津川は良好な環境に恵まれた河川といえます。
流域は90%以上が山地で占められ、河川付近が開けているのは、柘植川、服部川及び木津川の合流する上野盆地付近と、名張川と宇陀川、青蓮寺川の合流する名張市付近です。昭和22年以降、木津川、名張川ともに砂州の固定や植生の発達が見られており、木津川や服部川では横断面の複雑化、澪筋の移動などが見られています。

河川形態は、木津川、服部川、柘植川中間渓流型から中流型であり、名張川、宇陀川は渓流型の山間渓流です。

一方、下流の淀川合流地点までは比較的緩やかで自然河岸が多く、瀬・淵が明確な中流型であり、木津川上流の河川勾配は1/460~1/860 ですが、岩倉峡付近は1/170~1/240 と急流になっています。

市街地は1/400 程度で、上流は1/150 となっており、さらに、流域には高山ダムや室生ダムなどによるダム湖が止水的な環境も有しています。


木津川服部川合流部


名張川宇陀川合流部

自然環境
上流域は室生赤目青山国定公園に指定され、奥山愛宕神社のブナ林、青山高原のツツジ群落、赤目渓谷のアラカシ林、香落渓谷のアラカシ林などの特定植物群落が、流域内には笠置山の天然林、西沢のノハナショウブ群落(三重県の天然記念物)、高倉神社のコジイ林、上野城の森林などの特定植物群落が分布しています。木津川上流域で、広範囲にわたり多数確認されている生物としては、魚類ではオイカワ、ニゴイ、カワヨシノボリなど、底生動物ではコガタシマトビケラ、ウルマーシマトビケラなど、鳥類ではカワウ、アオサギ、ツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリなど、両生類・爬虫類・哺乳類では、アマガエル、トノサマガエル、クサガメ、カナヘビ、アカネズミ、タヌキなど、陸上昆虫類などではアジアイトトンボ、シオカラトンボ、ツヅレサセコオロギ、ツバメシジミなどが挙げられます。

重要な種では、タコノアシ、カワヂシャなどの河畔に生育する種などの植物が分布しており、特別天然記念物のオオサンショウウオをはじめ、ズナガニゴイ、メダカ、オオタカ、クマタカ、ギンイチモンジセセリなどが分布しています。
この中には、京都府、三重県、奈良県、近畿地方といった地方版レッドデータブックの記載種が多数含まれており、木津川上流域は、周辺地域で減少しつつある種の貴重な生息場のひとつとしての役割を担っています。


オオサンショウウオ


ギンイチモンジセセリ



竹蛇籠
近年、上流域からの土砂供給量が減少し、平均河床高の低下、また、流路の固定化により、樹林化や澪筋が河床低下しています。平成初期のワンド・たまりの再生や保全、礫河床の瀬の保全・創出を目指し、学識者、NPO、淀川河川レンジャー、京都府、淀川河川事務所が連携して活動を始めました。

その改善方策として、竹かごに石を積めて使用する竹蛇籠(たけじゃかご)という古事記にも記載のある日本の伝統的な河川工法を用いて、対策を行いました。竹蛇籠を流路の水際付近に設置し、流路の流速を大きくして瀬を作ると共に、竹蛇籠の下流の流速を小さくし、多様な流れ場を作ることで生物の生息環境に適した物となります。


竹蛇籠作成の様子


竹蛇籠の設置状況
















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